魔法は便利ではあるが万能ではない。
それは事移動について現れている。
テレポートなりで一度言った所については楽なのだが、一度も行った事が無い地については自力で行かねばならない。
という訳で、アザーン諸島に向けて『水晶の輝き号』が出発する。
今回のメンバーは以下の通り。
シャミナ
シャーマン6 シーフ1 コーティザン5
クリシィ
シーフ7 バード4 ダンサー5 フォーチュンテラー1 コーティサン4
レイア
ファイター6 レンジャー1 コーティサン1
イジェルファ
ファイター5 レンジャー2 コーティサン1
カルダモン
セージ3 ソーサラー4
ジェニ
ファイター・プリースト(マイリ―)7
ゼラ
ルーファス
乗員400人に以下のメンバーたちを乗せて船はカゾフの港を出る。
なお、ラヴェルナとローンダミスはオランでお勉強と冒険をさせている。
アザーン諸島に着いたらテレポートで呼べるし。
呪われた島と実は航海距離はあまり変わらないのだが、かなりの間片方に陸地を眺めながら南下できるのがありがたい。
何しろ、この船の船員たちは昨今の船不足でスキルが怪しいのだから。
船員を最大の400人まで雇ったのは、人数でカバーするというのがある。
反乱とかは私を含めた肉便器たちを抱かせれば不満は消えるだろうし。
そんな訳で、乗員400人の内29人が肉便器という航海だから、既に暇な連中が嬲り始めている声がほのかに聞こえていたりするのだが、気にせずに私は甲板に立って風景を眺める。
裸で。
いや、やる事ないし、服汚れるから裸で良くねという人間辞めるとここまで堕ちるという所を見せつけている訳なのですが。
なお、シャミナは今嬲られている最中だし、同じく甲板に出ているクリシィも裸だったりする。
服を着ているレイアとイジェルファの顔が『私たちもああなるの……?』と困惑なのに対して、同じく服を着ているジェニの視線が汚物を見ている視線なのだが、どうせここに来るのは早いだろうと生暖かく見ているのは内緒。
アザーン諸島に到着予定は20日前後だが、多分遅れるのはついでとばかりに沿岸の調査を行うからである。
グロザムル山脈がせり出すこの半島は次の停泊地であるプラードから先に街らしい町がなく、ある意味開拓し放題なのである。
「師匠。それではここに城を建てる事も夢ではないと?」
私の痴態に慣らされたカルダモンが真顔で質問する。
慣れとはおそろしいもので、前かがみの連中も多いのだが、この程度では平常心を維持しているらしい。
もちろん夜は別だが。
「まあね。
ただ、ここに城を建てると大国オランと聖王国アノス、さらにダークエルフを気にしなければならなくなるけどね。
建てる?城?」
「やめておこう。
何となくだが、ここじゃない気がするんだ」
私が笑顔でルーファスに振ると、ルーファスはあっさりと首を横に振った。
その気になればオーファンでもケイオスランドでも領主になれるのだが、やはりまだ見ぬ呪われた島に運命が導こうとしているか……
そんなこんなで5日ほど経過して私たちの船はアノスの国境の町である塩の町プラードに到着する。
最速船なら二日もかからない距離なのだが、これだけの日数がかかったのは少し沖に出て船員の訓練をしていたからである。
何かあっても戻れる場所でのチェックは大事。
爛れた航海ではあるが、沈めば皆海の底なので、訓練は気を抜かない。
そのかいもあってか、目立つ問題も見つからなかったのでこうして先に進む事に。
「港に着いたぞ!」
「よし、半分残って残りは陸に上がっていいぞ!」
「酒場だ!酒場!!」
港に着いた時の船員の騒ぎぶりはいつも変わらない。
半分が陸に上がり、もう半分が翌日陸に上がり、翌日に次の航海に向けての準備をして、次の日に出航だから、港に着くと最低でも四日のロスが発生する。
さすがに服を着こんだ私は、責任者として次の航海に向けての準備とこの街での情報収集をする事に。
「この街、とにかく水が足りないのか……」
ここから先が未開な理由がこれである。
温暖な気候だが、わずかな果樹園と羊や山羊の放牧、海水から取る塩がこの街の収入となっていた。
それでも人口は二万五千人を数えるのだから、港による経済力の大きさを物語っている。
オランやカゾフから水や穀物を運んで、プラードからは塩を送る事でこの街の交易は成り立っていたが、それだけではこの街を維持できない。
それを維持していたのが港に停泊している、アノスやアザーン諸島の船である。
少なくとも、オラン周辺の海賊については叩き潰した事もあって、交易量は回復傾向に向かっているという。
「どーするのよ!
失敗したなんて言えないじゃない!!」
「落ち着けって。
もう一度、仲間を募って……」
なんとも懐かしいやり取りが耳に届く。
私たちが居るのは冒険者の宿である『白羽の矢』亭なのだが、となりの席の男女が冒険に失敗して帰ってきたらしい。
たまたま目に入ったからなのだが、泣き顔で男を糾弾する女は上品そうで彼女の隣には魔術師の杖が置かれていたのだから、少しはおせっかいをと思ったのは一応オランの賢者の学院にお世話になっているからもある。
「もし?困っているなら話を聞きましょうか?」
「あ?すっこん……っ!?」
振り向いた男が黙ったのは、私の美貌に見とれたからみたいで、女の方が男の足を踏んづけたので私はたまらず苦笑する。
「私もオランの賢者の学院でお世話になっている身でね。
同じ魔術師が困っているなら、少しは話をって訳」
「……悪い風にはしませんよ。
この人、オランでも高導師なので」
「え?なにそれ聞いていないんだけど???」
ついて来ていたカルダモンの言葉に今度は私が驚く。
そんな私の若干オコ顔もカルダモンは一言。
「言ったら拒否するでしょうが。けど言いましたよ。夜に、ルーファスに使われている時に」
「……」
目を反らす私。こうなると、悪いのは私な訳で。
何でも、色々な功績と色々な縁からオーファン魔術ギルドが次期最高導師候補として私を高導師に昇格させ、それをオラんの賢者の学院が認めるという政治が絡む案件となっており、下手に動かれるとまずいのでカルダモンがルーファスと結託して仕組んだとか。
いつの間に仲良くなったんだ。この二人。
「あんた、『遺跡解放者』のゼラか?」
「違うわよ!『ゴーレムマスター』のゼラ導師よ!!」
これだけ肉便器やっているのに、そっちの名前で呼んでくれない事にちょっと寂しい感じがする今日この頃。
なお、この二人、魔術師がシャルミナで盗賊がダバールと言うのだが、グロザムル山脈にある精霊の泉の水をくむという依頼を受けたのだが、その泉を知っているドワーフに話を聞く前に、ピクシーにいたずらされて逃げ帰ってきたらしい。
精霊使いが居ないとこういう失敗は時折あるのだ。
で、精霊使いを探す事になるのだが、うちのシャミナは今は多分真っ白になっているだろうし、マティアラやリーマを呼ぶのも気が引ける。
オランの初心者パーティーに声をかけようと思っても依頼をしていたら空振りという可能性もある訳で。
「で、いきなりオランに呼ばれる何で聞いていなんですけど!?」
「いやまあ、エルフの里に帰っていたのが運の尽きというか。
私の誘いに乗ったって事は暇だったんでしょう?」
「うっ……」
そんな感じでテレポートにて呼ばれるスィートゲイル。
都合のいいエルフである。
「ゼラ姐さま!
なんで私を呼ばないんですかぁ!!!」
あ。シャミナも服を着てやってきたが、垂れてる。白いのが。床に。
カルダモンが額に手を当て、シャルミナとダバールがドン引きしているのを私は見ない事にした。
「で、何でいるの?ルーファス?」
「むしろ何で誘わないんだ?ゼラ」
当たり前のようにいるルーファスに私は苦笑するしかない。
なんだかんだ言って冒険大好きなのだ。彼も。
当然、クリシィとジェニも来るから置いてきぼりはとレイアとイジェルファも参加する事に。
なお、精霊の泉の水のありかを知るドワーフを救出する為に、彼になついていたいたずら好きのピクシーに話を聞く事ができる精霊使いがいると簡単にクリアできるシナリオだったりする。
その後の精霊の泉にはグレムリンが巣食っていたが、この面子で負けるはずもなく、無事に依頼はクリアされる事になった。
「ちょっと!?
絶滅寸前の魔法樹マグナロイじゃないですか!?」
依頼が終わって依頼主の賢者ガザールに会って、一番驚いたのが私だったりする。
万の金を払った上に研究功績をすべて譲る事までしてその鉢を借りて、カゾフの地下迷宮でコピーを取りまっくたのは言うまでもない。
おまけ
「アネリー姉さん!?」
「シャルミナ!?何でここに???」
お礼とばかりに船で宴会をと二人を誘ったら、このセリフである。
どうも姉さんこと盗賊ナイトウインドはこの船のお宝を狙って、手下のマーティとカインズと共に船に乗り込んでタイミングを計っていたらしいが、あまりに色々あり過ぎて手を出す前にこうして姉妹再会となった訳で。
悪さしているわけでもないし、人不足は深刻なので放置する事にした。
一応貴族の親元には連絡だけはしておいたが。
リザルト
経験点1000点。
レベルアップは後で行う予定。
ナイトウインド及びナイトシェード姉妹
『ナイトウインドの影』『死せる神の島』よりレベルを下げて登場
ナイトウインド
ソーサラー2 シーフ3 セージ1
ダバール
シーフ4 セージ2
ナイトシェード
シーフ4 ソーサラー3 ファイター2
マーティー
シーフ4 セージ3 プリースト(チャ・ザ)1
カインズ
ファイター4 シャーマン4 シーフ2