エルフたちを森に返しつつ、『疾風の剣』を確保した上で、『疾風の剣』を奪った犯人を捕まえ、疫病の薬になるジャイアントアントの蜜を確保しながら、ケンタウロスたちの争いを阻止し、海賊たちの介入を防ぐ。
……やる事が……やる事が多い……
という訳で人間を分けて攻略を続ける。
ナイトウインドとダバールは犯人捜しを。
ナイトシェードとマーティーとカインズは入り江にて拠点防衛と海賊来航時の指揮を。
ラヴェルナとローンダミスは二ムに教えてもらったペリトン山に住むというケンタウロスの老賢者に会いに。
私とルーファス、シャミナとクリシィとジェニはそのまま底なしの洞穴へ『疾風の剣』を取りに行く事に。
洞穴の底は砂地になっているみたいだが、木々のせいで穴そのものが薄暗い。
「多分、ここにあるみたいなんだけど……」
ロケーションの魔法をかけた私がげんなりした声を出す。
砂の中から剣を探すという面倒な事をしそうだというのを察したクリシィが鋭い目で砂地の方を見る。
「何か居るか仕掛けられているか……」
「じゃあ、とりあえず踏んでみますか」
こういう時に便利である。ウッドゴーレム。
ストーンゴーレムに縄を結んで、ゆっくりとおろしたウッドゴーレムが巨大なハサミで粉砕されたのはその数分後の事である。
「……ジャイアント・アントライオンね。
ジャイアントアントを餌にするアリジゴクのでかいやつ。
もちろん、あの大きさだからジャイアントアント以外の生き物も餌にするでしょうね」
「じゃあ、どうやって倒すんですか?」
シャミナの質問に私はあっさりと一言。
ウッドゴーレム二号がゆっくりと降りてゆく。
「こいつで釣るのよ」
かくして、ジャイアント・アントライオンはウッドゴーレム二号を粉砕した代償に私のファイヤーボール、シャミナのストーンブラストでボコられて砂の上にその死体を晒す事になった。
安全になったので、私たちはフォーリングコントロールで底に。
この穴はグラスランナーの間では『底なしの穴』と呼ばれており、ここに降りたグラスランナーたちで帰ってきた者がいなかったからとか。
おそらく、あのジャイアント・アントライオンにやられたのだろう。
「おい!こっちに穴があるぞ!!」
ルーファスの声でそっちに行くと、アリジゴクの砂場の横にファイヤーボールの爆風で崩れたのだろう。
横穴が姿を現していた。
「ルーファス。
一応言っておくけど、どうもこの穴の先に『疾風の剣』があるみたい」
「だろうと思った」
「望む所です!」
私のげんなりした声にルーファスが肩をすくめ、ジェニが胸を叩く。
まぁ、この面子で負けないのは分かるが、今回はそれが仇となるのが厄介なのだ。
「待って!?
何か来る!!」
クリシィが警告し、戦闘態勢を取ると、出てきたのは三匹のジャイアントアント。
広い場所で戦った事もあって無事に退治できたが、こいつら虫なので灯りに魅かれる訳で。
中に入ったら何度戦うか考えたたげで頭が痛くなる。
「蜜だけ取ったら撤退しましょう」
なお、その蜜を確保する過程で22匹のジャイアントアントを倒す羽目になり、死体から蜜を確保した量の方が多かったという本末転倒なオチを付け加えておく。
「大地の精霊よ……トンネル!!」
シャミナが呪文を唱えて地面にボコッと穴が空く。
埒が明かないので、ロケーションの魔法で当たりをつけつつ、クリシィが占い師だった事を思い出して占いで更に場所を特定しつつ、シャミナの呪文で一気にジャイアントアントの宝物庫を上から掘る事にしたのだ。
MPが足りなくなったらジェニのトランスファーメンタルパワーもあるし魔晶石も山ほどある訳で。
魔晶石が一つ潰れた結果、宝物庫の真上で穴ができると、シースルーで宝物庫を確認。『疾風の剣』を見つけ出す。
あとはクリシィが完全に空いた穴からロープで『疾風の剣』だけを持ち出して、即座にトンネルで穴を塞ぎつつテレポートで帰還。
「ただいまー」
「おかえりなさい。ゼラ高導師」
入り江の拠点に戻ると無事に山の賢者に会えたらしいラヴェルナが先に戻っていた。
賢者アルタイスは、ケンタウロスの争いの阻止に協力を約束してくれた事もあり『疾風の剣』が見つかれば、ひとまず会戦は先送りできるだろう。
「あと、先に使者に出したエルフの里から受け入れの準備に時間がかかると」
「そうよねー」
急に150人の生活の準備をするというのは、衣食住の確保だけでも大変なものである。
まぁ、最悪海賊から船を分捕って、今みたいに陸に上げるという手段でもいいのだが。
少なくとも、雨風は凌げる訳だし。
「あと、帰りたくないエルフたちが何人か」
「え?壊れたエルフじゃなくて?」
「はい。私たちみたいに喜んで腰を振っていたエルフたちです」
そりゃ、160人も居れば帰りたくないのも居るわな。
男子に残りたくない人間がいないのは、奴隷労働が男子側がきつかったというのもあるのだろう。
「で、何人?」
「7人ですね。その内6人が精霊使いとして開花していて、高位精霊使いも一人」
「何でそんなのが牝家畜になっていたのよ!?」
私の驚きにラヴェルナが近づいて私の耳元で囁く。
理由を聞いて私も納得せざるを得ない。
「……どうも彼女『主人の命令に従え』という呪いをかけられていたみたいで。
ザラスタの奴隷商人の間では有名だったそうです。
百年以上前から家畜として飼われていたとか」
「ほらっ!きりきり歩け!」
「悪かったから……ほんの出来心だったんだよお……」
ダバールと知らないグラスランナーの声が聞こえてきた。
ナイトウインドとダバールの二人は犯人を捜しだしてきたのだろう。
まだまだする事は多いが、ここでする事は峠を越えたなと私は安堵の息をついたのだった。
エルフはオリ設定。
何となしに振ったら生えた。