我々のマフォロ島滞在はまだ続いている。
ケンタウロスのニムから渡された遺言状で、次の目的地がナーマ島という事になるからだ。
正直、この目的地は罠なのだが、ナーマ島周辺に住むマーマンとの協力は取り付けておきたい所ではある。
それ以上にここに留まる理由は、マフォロ島とナーマ島とターゴン島を結ぶ海底洞窟の攻略の為である。
この後の本当の目的地であるターゴン島を攻略し、囚われの王女を助け出すのが次のシナリオなのだが、その脱出経路の確保を先にしておこうというという訳で。
海底洞窟はモンスターの巣窟である。
という事は、モンスターを排除できればこれほど安全な事はないともいう。
それだけのレベルをルーファスは持っていた。
ケンタウロスの賢者アルタイスからマフォロ島の洞窟の入り口を教えてもらって攻略開始。
洞窟内部の調査と拠点設置に5日、周辺の掃討と使わない洞窟の封鎖に5日、どちらかの島につながっているらしい通路のめどをつけたのに5日とかなり時間がかかってしまった。
さすがにターゴン島に捕らえられているルゼリアが落盤事故で死んだらまずいので、同時並行でターゴン島に仕掛けをしておく事も忘れない。
狙いは、ターゴン島を見張っている海賊船。
この襲撃は、洞窟探索前の夜に行われた。
海賊船の近くまで飛んでスリープクラウドを炸裂させた上に、ルーファスとローンダミスを降ろす簡単なお仕事である。
40人の海賊の内船長を含む海賊五人が死亡。
残った幹部8人はTSF肉便器として残りの海賊たちにマフォロ島で輪姦させる事で忠誠を勝ち取る事に成功。
海賊船はそのままに、人員はこちら側に寝返った海賊たちとテレポートで入れ替え、死体はジャイアントアントの餌として底なしのほら穴に捨てる事に。
もちろん、制圧後は中の海賊たちを私たちに降伏した人間に入れ替えている。
「一応確認するけど、本当にいいの?」
「もちろん」
「役に立っていないのは自覚していたから」
私の確認にそう言って笑ったのはナイトウインドとナイトシェードの二人。
二人とも裸で首輪をつけた上にさっきまで使われていたらしく精液まみれ、下腹部に淫紋と『肉便器』の共通語文字を掘っている。もちろん、不老魔法処置済。
「誰かが先に潜って情報集めないといけないだろう?」
「ルゼリアを助ける為にも、同じ女がいた方が楽だしね」
この海賊船がターゴン島に補給と休養の為に寄港するついでに、二人を海賊行為で得た貢物として収容所所長のベルクフォンに差し出すのだ。
二人が嬲られている間にルゼリアの情報を集めておくのが目的である。
いくら嬲られても体に問題はないとはいえ危険な任務である。
「それに、少し離れて心配させたいのよ。ダバールを」
「わかる。女抱き放題だから、ここ」
ナイトウインドのぼやきにナイトシェードが苦笑しつつ、下腹部に彫られた『肉便器』の文字をなんとなしに触る。
この二人、私たちが彫っている『ルーファス』の文字やラヴェルナが彫った『ローンダミス』の文字を羨ましそうに見ていたからなぁ。
「まぁ、いいわ。
死なないようにね」
「もちろん」
「死んだら男に抱かれないじゃない」
私の呆れ声に、二人が楽しそうに笑う。
この二人を見ていると、別れたマティアラとリーマを思い出すので、いつか会わせてあげようとなんとなく思った。
「あ、献上されるまで体洗っておきなさい。
それと、ここの人間相手にこれ以上抱かれるの禁止ね」
私の確認に露骨にしかめっ面になる二人。
ぎりぎりまで輪姦されるつもりだったな。こいつら……
テレポートがあるという事は、行動範囲がとにかく広がる事を意味する訳で。
アザーン諸島とアレクラスト大陸の航路で行われている戦いに関与できるという事を意味していた。
「海賊側が明らかに押されだしたわね……」
ザラスタの港に入ってくるオラン王国の艦隊を見て、私はほっと一息をつく。
種は簡単。オラン王国の艦隊は全てガレー船であり、ウッドゴーレムたちが櫂を漕いでいるのだ。
足りない船員をウッドゴーレムに任せられるのは、ゴーレム工房が生きていて操作できる魔術師を確保できる賢者の学院を抱えるオランだからこそ出来た力業であり、そこに乗っている人間は、雇われた冒険者たちだったり、アノス王国から来たファリス騎士たちである。
三回ほど海戦が発生した結果、そのどれも海賊側は負けて逼塞する形になっており、海路が安全になったザラスタは久々の好景気に沸いていたのである。
「とはいえ、完勝ではないわ」
情報収集の為にザラスタの魔術ギルドに寄ると、臨時講師をしているマイシリカの表情は明るくない。
彼女はオラン艦隊の損害を掴んでいた。
「オラン出港時12隻の艦隊は三回の海戦で沈没が2。途中の嵐で難破が3。
着いた7隻中、大破が1。中破が2。
艦隊には150人ほど乗っていたそうだけど、24人が死亡30人が負傷の上ほぼ全員か船酔い症状ありって有様。
聞いたわよ。海賊連中、ゴブリンとかの妖魔を船員に使っているって」
船員という専門職がいなくなって船を出すとこうなるという見本である。
それでも勝てたのは純粋に数が多かった事につきる。
そうると次は、このザラスタの街に潜んでいる海賊の排除である。
「海賊の幹部に暗殺が専門のやつがいるわ。
気を付けてね」
「もちろん。
二回も殺されるなんてまっぴらごめんですら」
そんなこんなでマフォロ島に戻ると海賊たちが沸いていた。
まるで宝物でも出たかのように。
「銀だ!
海底洞窟の奥で銀鉱脈が見つかったぞ!!」
「誰か掘れる奴はいないか!?
俺たち大金持ちだ!!!」
……どうやら、ターゴン島に繋がったらしい。