バンパイア戦に向けて現在各人が修行中な訳で、私たちはタイデルからオーファンに一度戻り装備を整える事に。
場合によってはオランまでテレポートで飛んで装備を整える。
「当たり前のようにこの手の剣が手に入るのね……」
「装備もよ。ここまですると、ゼラのいう事が本気って分かるわね……」
装備を一新させたイジェルファとレイアが感慨深く新しい装備を身に着ける。
カゾフの魔宮の門で量産され続けている魔法のグレートソード+1に、ありふれた魔法鎧+1をつけたイジェルファはグレートソードを振って確かめている。
レイアの方は同じく魔法のブロードソード+1とありふれた魔法鎧+1とありふれた高品質ラージシールド+1で身を固めて盾と剣の握りごこちを確かめていた。
この二人の装備でも軽く数十万ガメルが飛ぶ代物。
二人の役割はルーファスとローンダミスというアタッカーと違い、攻撃的ディフェンスであり、後衛を守りつつ前衛をサポートする事が仕事となる。
「私、これ着ていていいの?」
「つけていないと危ないじゃない」
戸惑うジェニが装備しているのがグレイスーツと呼ばれるミスリル銀製のチェインメイルアーマーと霧雨の剣と呼ばれるシャムシール。
彼女はプリーストだから後方に居て欲しいがマイリ―の神官戦士なだけあって前衛もできるという訳で。
イジェルファとレイアの前にジェニが居るので、二人の出番は基本回ってこないが、次の敵はそうも言っていられないレベルの敵である。
「しかし、これは……」
ローンダミスが感慨深く呟く。
カゾフの魔宮の門で量産され続けている魔法のグレートソード+1だが、彼の筋力に合う奴があったからである。
これだけでも、前衛の破壊力は強力になるが、もちろん魔法鎧+1装備済み。
「良く手に入りましたね……これ……」
「どれだけのコネと金を使ったのよ……」
ラヴェルナとマイシリカが呆然と持っている杖を眺める。
『死者支配の杖』。その名の通りアンデッド特攻なのだが、その完全版の杖二本を彼女たちに渡す事に。
もちろん装備も私のアンバーローブほどではないが、アンバーローブを装備させた上にルーンの指輪を渡している。
「一応私にもつけさせるんだ。これ」
「私は後ろからサポートするだけなので」
「え?これ私も着ていいの?」
クリシィ、シャミナ、アクシリアに渡したのがコールド・クローク。
クリシィには猫の爪と呼ばれるミスリルナイフも渡し、ガード・グラブもつけさせている。
「うん。悪くないな」
ルーファスがありふれた魔法鎧+1を着て動きを確かめる。
彼には愛剣ソリッドスラッシュがあるから、これで十分。
さてと、私も『死者支配の杖』を持った所で後ろから抱きしめられる。
「ゼラ姐さま。私たちに声をかけないなんてずるいです!」
「そうですよ!私たちの前で冒険の準備をして、誘っているみたいじゃないですかぁ!」
マティアラとリーマの二人である。
ちらりとシャミナを見たら可愛く舌をだしてごまかしていたからバレたのはここか。
「あなたたち、王宮で侍女をしているんじゃなかったの?」
「王様の許可済みです♪」
「王様、冒険談を聞いた後だと凄く燃えるんですよ♥」
あー。納得。
元冒険者の王様なだけにこんな大冒険の準備をしていたら、そりゃそうなるわ。
「で、いかかです?」
「歴戦のシーフとレンジャー肉便器、いりませんか?」
クリシィが頷く。彼女たちと組んでいたので腕も信用もあるのが分かっているからだ。
ルーファスは何も言わずに微笑むのみ。
私はため息をついて了承すしかなかったのである。
「仕方ないわね。貴方たちの装備も買うからオランに飛ぶわよ!」
マティアラとリーマの為にコールド・クローク二着と猫の爪、更に高品質の弓と銀の矢を買って来る羽目になったのである。
私の中にあるカゾフ太守の知識の中に、飛行戦艦の知識があったのが大きく、その座標が分かれば、遠見の鏡で外見を確認する事もできる訳で。
「……門よ開け!ディメンションゲート!!」
飛行戦艦の艦内にゲートが繋がる。
その先は古代魔術王国の貴族が居たであろう貴賓室。
クリシィとマティアラが先行し、安全を確保した上で伝声管があったので私がレクイエムを歌う。
この船にいるだろう数百体のアンデッドたちの六割がこれで動きが鈍り、次々と餌食になっていった。
アンデットルーラーで同士討ちを起こさせ、ホーリーライトで次々とワイトが消えてゆく。
ルーファス・ローンダミス・イジェルファとレイアが切ったワイトの数は数えられないほどになり、ラヴェルナとマイシリカが唯一正気を保っていた幽霊ことレミールから情報を得る。
シャーマンたちも活躍したというか彼女たちが居なければ、この快進撃はできなかっただろう。
この船は星海にいるので、空気が無いのだ。
その為、彼女たちでシルフをコントロールして艦内に空気を充満させなければ捜索もできない羽目に。
結果、艦橋以外の全域を制圧するのに9日もかかったが、この飛行戦艦を無傷で入手できる所まで来たのである。
……艦橋にいるアンデッドナイトを倒せるならば。
(何故だ!太守よ!!
何故あなたは蛮族に味方するのだ!!!)
アンデットナイトと化した指揮官ドゥルガーの思念が私に伝わる。
なるほど。彼には私がカゾフ太守に見えているのか。
ルーファスとローンダミスの剣に押され、ジェニのホーリーライトで焼かれ、五百年の妄執に終わりを告げたのだった。
「綺麗だな……」
「……そうね」
乗員全てをこの世から成仏させたはいいが、この船をコントロールできるのは私一人なので、とりあえず衛星軌道に乗せる。
そのはるか下にはフォーセリア世界が広がっていた。
「こんなの見たのは俺たちが初めてなんだろうな」
「……そうね」
冒険大好きで感傷に至るのはいいけど、今話しかけないで。
墜落しかねないから。
必死に制御計算をしている私を見てあきらめたのか肩をすくめてルーファスは出て行った。
それからしばらくて、抱かれている時に注がれる精液を少なくするというルーファスの報復に泣いて土下座をする数時間前の話である。