※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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ザラスタ沖海戦 その3

 残った海賊戦力は以下のとおりである。

 

ガレオン船 4隻

ガレアス船 3隻

ガレー船  5隻

 

 まだ突っ込むには少し怖い戦力である。

 こいつを間引かないといけないのだが、敵もそこまで馬鹿ではないだろう。

 もう一手打つ必要があった。

 

「捕まえた海賊の言った通り、ザラスタから少し離れた小島に海賊たちのアジトがあったわ」

 

 アダマスにお願いして上空から偵察してもらったのである。

 

「島ごと潰せるが?」

 

 とアダマスは言ってくれたのだが、海賊たちが奪った荷やお宝は復興の為には押さえておきたいものでそういう意味からも私たちが仕掛けないといけないのである。

 

「これを」

 

 航海途中に飛び立ったのは伝書鳩。

 海賊たちの連絡手段一つで、降伏した船に積まれていたものである。

 アザーン諸島全域に海賊が跋扈しているので、何だかの連絡手段は有しているとは思ったが、種を見破ればこういう事だったかと納得半分苦笑半分である。

 

「何を送ったの?」

「アザニア王国の港町パナンスにいるマシュマー王子あてに」

「これから向かう所じゃない?」

 

 クリシィの質問に私はハトが飛び去った方向を眺める。

 順調に行けば翌日には着くのだが、それまでにマシュマー王子の所にあの伝書鳩が届くというのがポイントである。

 

「あなたに海賊の手紙を偽造してもらったでしょ。

 今回の戦果を正直に伝えた上で支援を要求するというスカルロードの手紙を」

「ああ。マシュマー王子に踏み絵を踏ませるのね」

 

 マシュマー王子が海賊に取り込まれているのは知っているが、これだけ派手に負けた結果を知ってなお海賊側につくかどうか。

 金と女と権力で骨抜きにしたとて、腐っても王族の王子様。

 自分を支えてくれる海賊たちの立場が危なくなったと分かれば手を切るだろうし、それでも海賊側につくのであれば、港町パナンスのファリス大神殿に粛清してもらうのみである。

 手にはもう一通鳩に運ばせたのと同じクリシィに頼んで偽造した手紙がある。

 

「これ、本物なら言い逃れできない証拠でしょ?

 ザラスタの評議会が揺れる理由の一つは、大陸との交易路だけでなく、アザーン諸島の交易路を海賊が牛耳っているのがあるのよ。

 海上騎士団がちゃんと動けば、海賊たちは更に締めあげられるわ」

 

 オランとアノスの内政干渉という言いがかりをつけられたらまずいので、汚職と海賊との内通の罪でマシュマー王子に選択を迫る。

 あの手の島の基地は補給がなければ維持できない訳で、それはザラスタの海賊のシンパが補給物資を送っているのはほぼ分かっていた。

 ここでも我々が手を下して内政干渉のきっかけを作るような下手を打つつもりはなく、海上騎士団が取り締まるという形でアザーン内部でケリをつけるという政治的摩擦が起きないように慎重に手を進めるのだ。

 

「本当に国ってめんどくさいわねー。

 なんで男ってそんなものにこだわるのよ?」

 

 クリシィが嘆く。

 ルーファスが王を目指そうとしているのは知っている訳で、半分耳の森で統治とはを少しは手伝って肌で知ったクリシィからすればそういいたくなるのも分からなくはない。

 

「とりあえず、私たちを征服する以上に素敵なものらしいわよ。国を作るって」

「ここのやり取りみてたら、絶対そうは思えないんだけどー」

 

 だから私は曖昧に微笑んでごまかすことにした。

 

 

 

 翌日。私たちの船はアザニア王国の港町パナンスに入港する。

 明らかに空気が違ったのは、ザラスタ沖海戦の結果が知れ渡っていた事だろう。

 

「おーい!お前らザラスタから来たのか?」

「そうだけどー?」

「ザラスタの沖合で海賊たちと海戦があって、海賊たちが負けたって本当なのか?」

「そうよ!だから一番に荷を積んでやって来たんだから!」

 

 私の返事に港で歓声があがる。

 ザラスタの商人たちも伝書鳩なりの連絡手段で連絡したのだろう。

 とはいえ、複数の確認があると情報の信憑性があがる。

 

「これで海賊に怯えなくて済むぞ!」

「ざまぁみろ!海賊たちめ!!

 高いみかじめ料取っていたから天罰がくだったんだ!」

「これで商品が安くなるぞ!」

 

 港の歓声が海賊に対しての感情を表していた。

 なまじ勝ちすぎたから反感を買ったのだ。

 正規の統治組織でないのにみかじめ料を取ればそれは反感を買う訳で、アザーン諸島に海賊の主力がまだいるとは思われるが、アザーン諸島とアレクラスト大陸を結ぶ航路については安全がだいぶ確保されたのだから、彼らの喜びようもわかろうというもの。

 だからこそ、彼らは墓穴を掘る。

 

「大変だ!

 マシュマー王子が殺されたぞ!!」

 

 船を停泊させて海上騎士団の本部に向かおうとしてその報に触れる。

 おそらくは口封じで、ザラスタで暴れていたザシェイアだろう。

 普通ならこれで罪を着せられて窮地にという事なのだが、便利である死者蘇生魔法。

 この瞬間を待っていたのだ。

 

「通して頂戴!死者蘇生魔法が使える所にあてがあるわ!!」

 

 

 かくしてマシュマー王子は息を吹き返し、激怒した彼により海上騎士団による海賊の取り締まりの強化が命令された。

 ザラスタ評議会の要請に伴う海上騎士団によるガサ入れによって、ザラスタの海賊と繋がる勢力は逮捕拘束および手切れを余儀なくされ、海賊たちの基地は補給が途切れる事になった。

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