※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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黒き魔人の森 その3

 上陸する場合、港が無ければ砂浜に上陸する事になる。

 となると、ボートでとなるのだが、魔晶石があるとこういうズルもできる。

 

「ウォーター・ウォーキング!」

 

 荷物はウッドゴーレムに持たせて、私たちは水上を歩いて砂浜に上陸する。

 船そのものを上陸させる事をよくやっていたのだが、ここは鎖国中のアザニア王国。

 船をつけてトラブルに発展したら目も当てられないのでこんな事に、

 

(ゼラ師匠。聞こえますか?)

(聞こえているわよ。ラヴェルナ。

 物覚えが良くて私も教えるのが楽でいいわ)

(何かあったらこれで連絡しますね)

(私が居ないからって遊び過ぎたらダメよ♪)

 

 遺失呪文。マインドスピーチ。

 こういう時に便利な呪文である。

 やはりラヴェルナは天才である。その分男遊びも開花しているが、ローンダミスがしっかり手綱をつけられるかだが、彼も時折ルーファスと鍛錬しているからそっちもできるんじゃなかろうかと勝手に思ったり。

 十五人もの冒険者たちが数体のウッドゴーレムと共に上陸したのだから目立つ事この上ない。

 森の近くの集落では既に私たちを見つけて、興味半分、厄介事半分という目で私たちを見つめていた。

 

「私たちは冒険者なんだけど、村長はいらっしゃる?」

 

 アシュレイたちの方は冒険者に見えるが、私たちは冒険者よりも娼婦じゃねと思ったが言うつもりはなかった。

 この集落、ラム村というのだが宿などの施設もない10件ほどの男ばかりの集落である。

 山の方はアザニア王国の奥に繋がり、砂浜には漁で使う小舟が置いてあったが使われた形跡がなかった。

 村のそばを森から流れる小川が流れており、それがそのまま砂浜まで流れて行っていた。

 探索をする場合、この小川をさかのぼる所から始める事になる。

 狩猟や漁業で生計を立てているそうだが、森については王国の役人によって入るのを禁止しているという。

 そして、役人たちが用立てた船がやってきて定期的に荷物を送りだしているのだという。

 という村人の話が実に後ろめたい。

 ついでに言うと、私たち女連中を見る視線がいやらしい。

 大体察した。

 

「で、あんたら冒険者はどうしてこんな村へ?」

 

「実は、マシュマー王子の依頼を受けて、この森に薬草を取りに来たんですよ。

 こちらが、マシュマー王子の署名入りの依頼書です」

 

 海賊と繋がっていたマシュマー王子が切り捨てられた事なんてこの村人たちが知る事もなく、おそらくマシュマー王子の署名を見た男たちは疑いの視線を少し下げた。

 私はアンバーローブを少しはだけて、肌を晒して誘う。

 

「向こうの冒険者たちは薬草の仕事ですが、私たちはマシュマー王子の命を受けて、皆様を慰安するようにと」

 

 何しろルーファス以外全員肉便器である。

 私の言葉に合わせてそれとなくアピールすれば、男たちの疑念も私たちを抱けるという確信に歪んでゆく。

 

「なるほどな。あんたらは泊っていくんだろう?」

「ええ。宿がないから野宿する事になるので困ったなぁと」

「安心しろ、それぞれの家に泊めてやるさ。男は野宿だが」

 

 かくして、アシュレイたちが先に森に入り、私たちはその日の夜、村人に偽装した海賊を制圧したのである。

 

 

 

 いつもなら楽しんで捕まえる所だが、今回は海賊たちの幹部との戦いが待っているので、おとなしく拘束した上で村を調べるがたいものは出なかった。

 

「もし、ゼラが相手の立場ならばどうやって私たちを潰す?」

 

 ジェニの質問に私が少し考えて答える。

 何しろ相手は死霊魔術師なのだから。

 

「間違いなく私の知識以下だろうから、私の知識を欲しがるでしょうね。

 そして、この戦いに海賊の戦略は絡んでいない」

 

「どうして?」

 

 私の返事にクリシィが食いつく。

 彼女も気づけはギルド長クラスの大盗賊になっているだけに、こういう会話に良く絡んでくる。

 

「アザニアの西側に海賊の根拠地があると、アザーン諸島の主要交易路であるザラスタ-パナンス-ベノールの航路に絡めないでしょう?

 こっちに根拠地があるはずがないのよ。

 で、海賊たちはこの間の海戦で大打撃を受けたから根拠地での再編は必須。

 死の導師シュバードクラスの幹部がこんな場所で戦いをというのが間違っているのよ」

 

「という事は、死の導師シュバードはゼラのそういう読みを外してここに来た。

 つまり、ここならゼラに勝てると踏んでいると?」

 

 ルーファスがまとめるように言い、私はそこで肩をすくめた。

 

「多分ね。

 問題は、そのシュバードが何をもって私たちに勝とうと考えているのか?

 そこが分からないのよ……」

 

 

 

 その日の夕方、アシュレイたちが戻ってきた。

 私たちがラム村を制圧するだろうと踏んで、奥まで行かずに戻ってきたらしい。

 

「俺たちは湿地帯まで行って、小川の分かれた所から近くの滝まで調べてきました。

 ゴブリンの群れ15匹とクロコダイルと交戦。

 交戦中に数匹のゴブリンが森の奥に逃げて行きましたが、追撃はしませんでした」

 

「ご苦労様。

 とりあえず適当な家で休んで頂戴。

 明日は更に奥を探索してもらうから」

 

(私ならここで攻めるな……)

 

 そう思ったので竜牙兵とストーンゴーレムを伏せていたのだが、案の定奴らは攻めてきた。

 ゴブリンとリザードマンで。

 警戒していた上に烏合の衆だから蹴散らしたが、まだシュバードの策は見えてこなかった。

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