※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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青き像の眠る丘 その5

 ホードラックまでの旅だが、途中で一泊して向かう事になる。

 馬車でべリムを出た所でジーンがぽつり。

 

「つけられているわね」

「でしょうね」

 

 食えないから体を売っている冒険者がホードラックの依頼を受けたことは察しているだろう。

 問題は、私達が食えない冒険者という事で侮ってくれるかという所である。

 ついでに言うと、私たちの体を食べたレイファンたちが私達を景品として見てくれるかという所だろう。

 このあたり、ユニコーンの時のディラン達と同じで、ラダとルーファスを始末したら私達が股を広げると勘違いしてくれるのならばありがたい。

 なお、それがどれだけ難しいかを相手が知らないのもみそである。

 

「今日はこのあたりで宿泊するわよー。

 周囲に罠を張って、野宿の準備をしましょう」

 

「「「はーい」」」

 

 私の声にシャミナ・マティアラ・リーマの三人が返事をする。

 逆に、ラダとジーンとルーファスとクリシィは野営で何をすればいいか分かっているから、先に準備をしていたり。

 このあたりでもこのパーティの経験差というものが、監視している奴らにはわかるだろう。

 

「で、つけている奴らがどれぐらいで襲ってくると思っているの?」

「半々かな。

 私達が帰ってこなかった場合、次の冒険者を雇うために王都ファンまで出るかもしれない。

 だったら、明らかにレベルが低いだろう私達を利用してうまく立ち回る方がおいしいわよ。

 ついでに言うと、私達というお宝のおまけもあるしね」

 

 周囲の警戒と罠を張ってきたクリシィが話しかけてきたので、私は焚き木の上の鍋をかき混ぜながら話す。

 野草がいい感じで空腹をくすぐる。

 

「おーい!

 誰か来てくれ!!

 ルーファスの奴が大猪を狩ってきやがった!!!」

 

 私とクリシィが顔を見合わせて苦笑する。

 今日の食事は豪勢になりそうだ。

 

「万一があるから、朝までルーファスの上で腰を振っちゃだめよ」

「はいはい。ぜラの分も残しておきますって」

 

 結局、その日は襲ってこなかった。

 

 

 

 私達がホードラックに着いたのは、翌日のお昼になってからである。

 依頼主のラフムはこの村の名士であり資産家でもあった。

 べリムの冒険者の宿の主人の紹介状をみせると、依頼人のラフルの胡散臭そうな顔もとりあえずは雇ってみるかという顔になるから日頃の付き合いや信用というのは大事である。

 

「ふーん。

 こんな田舎にわざわざ冒険者がやってきたんだ。

 感謝するべきだよ。親父」

 

 なお、あまりに見た目が娼婦らしかったので、エゼットの方がフォローを入れていたのには笑いを我慢する事に。

 もちろん、休み時間の間に彼に奉仕を約束したのは言うまでもない。

 

「とりあえず、現場を見せてもらいますか?」

 

 警備を始める前に、状況を確認する。

 屋敷は低めの柵で囲まれており、屋敷の裏手には林が広がっていた。

 

「賊は夜中に押し入り、書斎を含めていくつか部屋が荒らされている。

 息子のエゼットと交代で見張りをしたが、裏をかかれたように荒らされた。

 だが、盗まれたものは何もないのだ」

 

「ちなみに、盗まれそうなものに心当たりは?」

 

「さあな。

 このあたりでは代々名士として名が通っているからそれ相応の富はあってな」

 

 とりあえず聞きたい事は聞けたので、警備計画を話し合う。

 背後の林は要警戒なので、ラダとジーンとクリシィの三人に頼んで鳴子をつけてもらう事にする。

 

「相手を怪我させるような罠じゃなくていいの?」

「いいわよ。

 長丁場になったらきついのは向こうだし」

「どういう事だ?」

 

 ジーンの確認に私が返事をし、当然のようにエゼットが口を挟む。

 彼はありがたい事に、たよりない私達に協力してくれるそうだ。表向きは。

 

「この依頼、解決するまで私達は滞在することになるのですが、一月も経過して解決しなかったら私達も役立たずでしょう?」

「それはそうだな」

「この村からべリムの町に出る馬車は週一ぐらいでしたっけ?

 冒険者の宿の主人が依頼内容の確認をして、交代を送る判断をすると思いますよ。

 私達はあくまで急遽送り込まれた冒険者ですから」

「そ、それは困るな」

 

 露骨に狼狽えるエゼット。

 もうちょっと大きく構えてくれ。そっちの嘘がバレるだろうが。

 

「王都の冒険者の宿に依頼が行って、冒険者が来るとしたら早くて一月後。

 逆に言えば、まともな冒険者が解決するまで私たちは、賊に踏み込ませなければ勝ちなんですよ」

 

 開けられた窓からカラスが一羽私たちを眺めていたが、私はそれに気づかないふりをした。

 

 

 

 警備計画は交代でこんな感じになる。

 

夕方から夜 ラダ・ジーン

夜から深夜 ルーファス・クリシィ

深夜から朝 ぜラ・エゼット

朝から昼   シャミナ・ラフム

昼から夕方 マティアラ・ファルム

 

予備 リーマ

 

 

 もちろんうまく行かないのがこの手の依頼であり。

 仕事をと始める前に、ホードラックの村から依頼がやってきてしまっていた。

 

「村の娘が盗賊に攫われてしまった!助けてくれ!!」

 

 村人の頼みに苦虫をかみつぶしたような顔になるラフル。

 間違いなく、陽動作戦なのだろうが、見捨てると名士としてのラフルの家の名誉が地に落ちる。

 

「親父。何を躊躇っている!

 日頃から言っていたじゃないか!!

 村とうちは共にあり、助け合ってこれたから名士としてこの家は栄えているって!

 助けないと!!」

 

 エゼットの力説を笑いたくなるが我慢我慢。

 けど、ラフルには心打たれたのだろう。

 意を決して私たちに依頼をする。

 

「すまないが、助けてもらえないだろうか?」

 

 かくして、ルーファス・クリシィ・ラダ・ジーンが屋敷より離れる。

 それを見逃すような賊たちではなかった。

 襲撃は深夜から朝ごろの一番闇が深い時間に行われた。

 当たり前のようにエゼットは私の体を求め、奉仕していた最中に踏み込まれたのである。

 

「動くな」

「っ!?」

 

 林の罠は外されていた。

 あると分かっていたら、外すのも容易なのだろう。

 エゼットだけでなくファルムも賊に通じていたのだから。

 裸の私は、後ろからのナイフにエゼットのを咥えたまま手を上げて拘束される。

 部屋から出ると、全員拘束されていた。もちろん『抵抗するな』と事前に決めていたからである。

 

「っ……ん!!

 んんん!!!」

 

 あ。館の主人であるラフルが縛られて猿轡をつけられている。

 そうだよなぁ。

 エゼットとファルムの内通に気づいてなかったんだろうし。

 

「急げ。

 こいつらの仲間が帰ってくる前に必要な物を探すのだ」

 

 私たちが来て時間が無くなったことでレイファンの奴は強硬策に出たらしい。

 聞くと、遺跡には封印がされており、その封印を解く巻物を探すためにこの屋敷を荒らしたとか。

 まぁ、シーフが四人もいれば、私たちを拘束して家探しをした方が早いからな。

 

「あった!

 本棚の奥に隠し棚が!!」

 

 かくして、ラフムが隠そうとしていた秘密はあっさりとプロのシーフによって発見される。

 ここに至って、ファルムの価値もなくなったのだが、レイファンもここで協力者だったファルムを始末する事はしなかった。

 

「よし。

 こいつと女たちは連れてゆく。

 安心しろ。

 封印が解けた際には解放してやるとも。

 行くぞ」

 

 かくして、私、シャミナ・マティアラ・リーマがファルムと共に連れてゆかれる事に。

 あれ?

 私だけ裸なんですけど……

 

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