※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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青き像の眠る丘 その8

「ようし。そっちだ。土を積み上げてくれ。

 空堀には水を入れないように!」

 

「積み上げた土は固めて土壁にする。

 ゴーレムが踏むから近寄らせるなよ!!」

 

「柵と空堀はターシャスの森に作るなよ!

 エルフとの約束だからな!!」

 

 ドノバの村はドノバの町に変わろうとしている。

 ターシャスの森の遺跡と対ファンドリア最前線という位置がこの町を城塞都市にしようとしていた。

 そして、その城塞都市の要である土壁を構築しているのが数体のゴーレムたちである。

 

「ほら!呪文が甘い!!

 この手の従者魔法のポイントは簡潔に!分かりやすく!短く!!」

 

 そんな町に私の管理するターシャスの遺跡はある訳で。

 これみよがしにオーファンの旗を持たせたゴーレム六体を使って土木工事を行っている。

 で、いつの間にかできたオーファン魔術学園ゼラ教室の課外授業はオークの魔法を使った従者魔法の勉強である。

 フェリーナの指導の元、アルミン・カルダモン・ミック・ジャギー・チェペルがウッドゴーレムを使って空堀を掘り、土壁を作り、村人や他の冒険者たちの共に働いていた。

 

「なんで俺様がこんな事を……」

 

 ソーサラーレベルがこのフェリーナと同じアルミンはそんな事をぶつくさ言っていたが、それを聞き逃さなかった私は、ゴーレムの肩に座ったまま一言。

 

「これを扱いたかったらちゃんと修業しなさいな」

 

「ちくしょー!やってやるぞ!!」

 

 私がこの間手に入れたミスリム・ゴーレムである。

 オーファンの旗を片手に持ち鎮座させているのはもちろん対ファンドリアへの威嚇である。

 持って帰った事でオーファン王宮はそりゃもう揺れに揺れた。

 しかも、経緯が限りなく非合法だったので、処分も検討されたぐらいだ。

 それを不問としたのは、もちろん国際情勢の急変である。

 私はぽつりと呟く。

 

「ベルダインとロマールが休戦。

 ベルダインは実質的にロマールの影響下に入ったか……」

 

 きっかけは、ロマールからの兵站線となっていた海路をコリア湾の海賊が荒らした事である。

 これにロマールと婚姻同盟を結ぶことになっていたガルガライス海軍が撃退。

 得た海賊の捕虜から、背後にドレックノールの存在が確認できたのである。

 ロマールの西部諸国侵攻にはロマール盗賊ギルドの協力が大きく、レイドにまで影響力を伸ばしてきたドレックノールの存在は孤立奮闘していたベルダインに決定的な不信感を与えることになった。

 さらに、西部諸国北方クルスク平原のゴブリン軍団との死闘から帰ってきたベルダイン騎士団の報告「ドレックノールがこの動乱にかこつけて西部諸国に影響力を拡大させようとしている」はロマールにつくかドレックノールにつくかという視野狭窄をベルダイン王室に与える事になった。

 かくして、『ドレックノール討伐の為』という名目でベルダインとロマールの間で休戦が成立。

 ドレックノールは対ロマール軍の最前線に立つ事になり、西部諸国の分裂は決定的となった。

 

 一つはドレックノールを最前線としてドレックノール・リファール・ゴーバの三か国シエント同盟。

 シエントとは西部諸国の川であるシエント川の事で、この川の下流がドレックノール、中流がリファール、上流がゴーバという訳で、ドレックノールが落ちると次はそのままこの二か国とという訳で助けざるを得ない彼らは結束する選択肢しかなかった。

 もう一つは、タイデルを中心としたタイデルの盟約で、タイデルを盟主にラバン・プロミジー・タラントの四か国で、対ロマールに向けて結束をうたいながらドレックノール救援に消極的な国々だ。

 さらに言うと、このタイデルの盟約はオーファンの介入すら拒んでいる。

 ロマールを追い払うのにオーファンを呼んでオーファンに乗っ取られましたというのは本末転倒だからだ。

 かくして、ロマール影響下に入ったベルダイン・ガルガライス・ザーンの西部諸国三勢力の暗闘が始まろうとしていた。

 

「ゼラ!

 ちょっといい?」

 

「何?ジーン?

 今は話せるけど?」

 

 うしろから声をかけたジーンに振り向いて返事をする。

 ジーンの顔が強張っており、かなりの厄介事なのだろう。

 

「話がしたい人がいるって」

「誰?」

 

 私の確認にジーンはただあいまいに笑って視線をそらせた。

 つまり、そういう人らしい。

 

「わかったわ。

 で、何処にいるの?」

 

「エルフの里の方」

 

「フェリーナ!あとお願い!!」

 

 ミスリル・ゴーレムをコントロールして、ターシャスの森の中に入る。

 私の反対側の肩にジーンが乗る。

 

「ねぇ。こいつの代金なんでしょうけど、彼あそこまで優遇する訳?

 散々体貪らせたでしょう?」

「まぁね」

 

 このミスリム・ゴーレム強奪に際しては知っていたラフルとエゼットに『忘却の棒杖』を使いミスリル・ゴーレムの事そのものを忘れさせ、封印の丘は破られていないという事になっている。

 事実、入り口は竜牙兵で守り、扉はハード・ロックで厳重封印。

 封印の丘は今も静かに守られている。

 中のものが夜半にこっそりと消えたなんてわかるはずもなく。

 なお、敵対した冒険者たちは雇用して『オーファンに入るな』というギアスをかけて国境で解放したり。

 殺す必要はないが、秘密は守ってもらわないといけない訳で、こういう結果となった。

 あとは、このゴーレムがこのターシャスの遺跡から出たと報告すれば、オーファン王宮も魔術ギルドもそれ以上は突っ込まない。

 そして、ここまでした上でエゼットをオーファンの賢者の学院に招待したのだ。

 魔法が使えなくてもせめてきちんとした学問を修め、親であるラフルに認められるように。

 彼の滞在費と授業は私持ちである。

 

「敬意かな」

「けいい?」

 

 私の一言にジーンが実に怪訝な声で返す。

 鬱蒼とした森の中をミスリル・ゴーレムは苦も無く歩く。

 

「悪の誘惑に彼、勝ったのよ。

 それをする理由があり、それをするチャンスもあった。

 彼はそれをしなかった。

 だったら、利用した私が責任を持たないと」

 

「ふーん。

 私にはその感覚分からないけど、ルーファスはゼラのその行動を聞いて微笑んでいたわね」

 

「そっか。

 ルーファスがねー」

 

 森のエルフの集落に着くとルーファスが今まででいちばん真剣な目で相手を見ていた。

 たしかに、この冒険の中では彼女は一番の腕を持っているわ。

 知識を思い出し、凄腕のエルフの貴人に私は礼をとった。

 

「西部諸国タラント王国王妃。レルミア様ですね?」

 

「はい。

 オーファン魔術師導師。ゼラニウム。

 影の森を通って貴方に会いに来ました。

 オーファン王国に取り次いでもらいたいのです。

 これからの話の為に」




影の森
 『西部諸国ガイド』
 マエリムの森の地価に位置し、タラントやターシャスの森にまで広がる地下大空洞。
 このあたりのエルフの聖地である。



リザルト
 シナリオ終了経験点500点

シャミナ
 シャーマン3 シーフ1 コーティザン4
 残り経験点1000

マティアラ
 シーフ3 シャーマン2 レンジャー1 セージ1 コーティザン3
 エルフ語習得
 残り経験点500

リーマ
 シャーマン1 レンジャー2 セージ2 コーティザン4
 エルフ語習得
 残り経験点1000

クリシィ
 シーフ2 バード4 ダンサー4 フォーチュンテラー1 コーティサン3
 残り経験点1000

ラダ
 シーフ3 セージ4 プリースト2 (ラーダ)
 残り経験点1000

ジーン
 シーフ4 レンジャー2 ファイター3 コーティザン5
 残り経験点500


ゼラ
 ファイター3 他スキルあり
 残り経験点500
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