※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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底辺冒険者娼婦の冒険 その2

 目的地の遺跡は、お昼にロマールを出てから日が落ちる前に着いた。

 遺跡のある森は街道から離れており、まず人が近づかない場所だろう。

 森の前で馬車を止めて、今日はここでキャンプする事になる。

 

「とりあえずキャンプの準備をするわ。

 テントを立てるけど誰がする?」

 

「あ。私がしますから。姐さんは座ってください」

 

 私が荷物を出そうとしてシャミナに荷物を取られる。

 じゃあ、料理を荷物から食材を出そうとして、

 

「料理は私が作りますね」

「あ。マティアラ姉さん。手伝います」

 

 やる事がなくなって立ちすくす私にジーンが笑う。

 

「あはは。

 部屋の中では無敵なあなたも、意外に呆然とする事があるのね」

 

「まぁ、あの手の準備は初心者に任せる事だな」

 

「いや。私も初心者なんだけど……」

 

 ラダのツッコミに憮然とする私。

 それを見て二人が笑い、つられて笑っていたルーファスが口を開いた。

 

「折角だから、時間を無駄にしない事にしよう。

 今回の依頼は店のおやじから聞いたが、詳しい話をもう一度聞きたい」

 

「……いいわ。

 食事前にそのあたりはきっちり話しておきましょうか」

 

 私はマントを外してその上に座る。

 ハイレグアーマーなので、お尻が痛いのだ。

 閑話休題。

 

「まずは私の事から話すけど、私は元レイド貴族の娘なの。

 で、レイド帝国が滅亡して私は奴隷としてロマール王国貴族のデュナス公に飼われていたのよ」

 

 案の定、デュナス公の名前が出るとルーファスの顔が厳しくなる。

 まさか、彼が倒したミノタウロスの性処理奴隷として使われた時に腹上死したなんて言ったらどういう顔をするのやら。今は言うつもりもないが。

 

「で、私の家に伝わる遺跡だったのよ。ここ。

 元レイド帝国貴族の関係者だからロマールで栄達するのは無理だろうし、この国を出るためにもお金が必要という訳。

 その伝承と場所を知っていたのが蘊蓄盗賊のラダという訳」

 

 私が口を閉じると、ラダが今度は口を開く。

 彼は自ら書いた地図を地面において説明する。

 

「この遺跡は古代王国時代の貴族の館らしくて、当時は他の冒険で手いっぱいで忘れていたものだった。

 この地図は当時を思い出して書いたもので違いがあるとは思うがないよりはましだろう。

 地崩れか何かで半分埋もれた屋敷で、朽ちた家具や美術品がいくつかあったが、当時は追っていたモンスターの事があって、良くは調べなかった。

 部屋の数は十数個ほとで、そんなに大きくはない」

 

「ダーリン。追いかけていたモンスターって何?」

 

「ゴブリンだ。

 あの時、この森に巣ができていてな。

 その討伐を依頼されていたんだ」

 

「ゴブリンがその遺跡に巣を作っていたのか?」

 

 ルーファスがジーンの質問に答えたラダに割り込む。

 ラダは思い出すように口を開いた。

 

「いや。

 森の外れの洞窟で、逃げたゴブリンを追いかけていた時にあの屋敷を見つけたんだ。

 それがどうかしたのか?」

 

 ルーファスは顎に手を当てて考えを述べる。

 その言葉に、私たちはハッと気づいてしまう。

 

「ゴブリンが遺跡に巣を作らなかった。

 つまり、巣を作るには危険な何かが働いているんじゃないのか」

 

 

 

 夕食は保存食だけでなく、レンジャーのジーンが森の周辺で採取したハーブと罠にかかった兎の焼肉だった。

 腹を満たせばすることもない訳で、夜の遺跡侵入なんてやりたくないので、交代で寝る事にする。

 さすがに盛るほど私たちも慢心はしていない。

 で、馬車には私たちが、テントにはラダとジーンが、ルーファスは私たちの馬車に誘ったが女ばかりという事で焚き火の近くでごろ寝する事に。

 警戒の順番はこんな感じ。

 

1 私とシャミナ

2 ラダとジーン

3 マティアラとリーマ

 

「俺は焚き火の近くでうつらうつらしているから何かあったら起こしてくれ」

 

 ルーファスの言葉は戦場経験者の余裕というか、剣闘士時代の警戒心というかそういうものが見え隠れしていた。

 起こされたのは朝方、まだ夜が明けないぐらいだった。

 

「んっ?」

(姐さん。起きてください。

 何かいます)

 

 起きてショートソードとスモールシールド手に取る。

 まだ馬車からは出ない。

 寝ているように見せかけて、奇襲をしかけるからだ。

 

「囲まれた」

 

 ルーファスの声が馬車内部の私たちにも届く。

 彼の他にラダとジーンが焚き火の前でショートソードを構えてマティアラとリーマを守っている。

 私たちも馬車から出ると、囲んでいた者たちの正体がわかった。

 狼の群れのように見えるが、ひときわ大きな狼が前に出た。

 

「お前は何者だ!

 何の為にこの森に来た!」

 

 その言葉は精霊語だった。

 それに驚く精霊使いの三人。レベル低いからなぁ。

 ネタバレは避けたいが、ここで不意の戦闘はしたくないので、私が精霊語で話す。

 

「プーカよ。

 私たちは争いを好まないわ」

 

 私の声に前に出た狼以外は森に帰ってゆく。

 どうやら、友好的に話をする事ができそうだ。

 こうして、精霊プーカと接触した事で遺跡の情報をうまくパーティに流すことができた。

 この森に魔法樹があるという事を認識しただろう。

 あとは、この遺跡に縛られているスペクターをどういう形で流すかなのだが、そんな事をうわべで考えていたらいつの間にか朝になっていた。

 

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