※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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四大魔術師の塔 その10

 ストレングスで筋力を強化、デクリーズ・ウェイトでルーファスの体重を減らした上で私たちはフライトで空を飛ぶ。

 目指すは隣村であり、『明日に吹く風』たちが攻略しているだろう飛行船である。

 

「寒っ!」

「寒いな……」

 

 小雪がちらつく中の飛行は寒いったらありゃしない。

 対策として毛皮とか着こんできたが、寒さが貫通する。

 それでも、一時間もしないうちに隣村に着けたのはありがたかった。

 

「ゼラ姐さま!

 どうしてここに!?」

 

 ありがたい事に、先に送ったアイソラ・セレシア・スィートゲイル・シャミナは残っていた。

 全員精霊使いなので、この異変を察してくれたのは助かる。

 

「何が起こったのですか!?

 精霊たちがざわめいています!」

 

「塔の装置を『死神』が奪ってでたらめに発動させたのよ!

 急いで塔に戻って、装置を止める必要があるわ!!」

 

「もう『明日に吹く風』の皆様と騎士団の方々は、『死神』が隠れている場所に向かって出発しちゃっています!」

 

 シャミナの悲鳴ですでに飛行船に向けて出発しており、居なかったのは予想はしていたがちょっと痛い。

 だが、戦力は確保できた。

 

「全員急いでベレーヌの村に戻って頂戴。

 今からだったら夜になる前に村につくから、そこから先は馬車で塔に送るわ」

 

 アイソラ・セレシア・スィートゲイルの三人も真剣な顔で頷く。

 彼女たちは塔の研究が何を目的にしているかを私が説明していた。

 だからこそ、原因とその放置した場合の惨状が分かるというのが大きい。

 そのまま急いで彼らが向かった場所に飛ぶ。

 飛行船は谷沿いに停泊していた。

 しばらく周回していると、ルーファスが私を引っ張り谷のある場所を指さす。

 雪が降る雲のせいで薄暗くなっていたのが幸いし、ライトの魔法で位置を教えてくれたのだ。

 そこに向かって降りてゆくと、『明日に吹く風』の六人とローンダミス・マルダー・フレアの三人が出迎える。

 

「何をしておる!

 シムシャーラが見つけたからよかったものの、敵に見つかったらどうするつもり……」

 

「塔の装置が暴走したんですね?」

 

 ジェドンの怒声を遮ってバルアーが頭を抱えながら確認し、私は無言で頷いた。

 もうこの飛行船にかまっている時間はないのだが、これを放置するほどローンミダスは無能でもない。

 この飛行船が逃げて『死神』によって活動されたらどんな惨状が起こるかわからないからだ。

 それが分かっているからこそ苦渋の顔をするローンミダスに私は微笑む。

 

「もちろん、この飛行船を放置するつもりはありません。

 誰か私に魔力を渡してください。

 一気に片づけます」

 

 シースルーの呪文って便利だね。

 飛行船は10人乗りで、シャーリラ・豹・マーヴェル・ウェイリンの他に飛行船のスタッフである、船長のシーヴァ、助手のラッシド、設計者のエフレム、協力者のリーバー、護衛の二人が乗っていたのは分かっている。

 シャーリラ・豹・マーヴェル・ウェイリンが降りたのでこの船には六人しかおらず、すべてが見えているのに、奇襲をしくじるメンバーでもなかった。

 見張りをしていた護衛の二人がルーファスとローンミダスによって無力化されると、あとはもう独壇場だった。

 エフレムやリーバーが呪文を放つ前に、マーカスとシムシャーラのミュートが飛び、無力化されると何もできずに捕まったのである。

 

「さてと。

 また魔力頂戴。

 テレポートで飛んで帰るから」

 

「わしは魔術師というのは塔の中で何かしているものだと思っておったのだが……」

 

「この人が特殊なだけです」

 

 ジェドンから魔力を分けてもらう間、バルアーが苦笑する。

 テレポートで連れ帰るのは、ルーファスとローンミダス。

 これだけの捕虜と飛行船がある以上『明日に吹く風』のメンバーを連れ帰るのは最初から考えていなかった。

 

「サムソン卿に話しておきますから、彼らが来たら交代してください。

 私たちが塔に向かって三日経っても何の連絡もなかったら魔術ギルドに連絡を」

 

 なお、四日で豪雪になるので、最悪捕まえた連中を使って飛行船で逃げろと暗に言っているのをリーダーであるルージェンダルクは頷いて理解してくれた。

 

「ご武運を」

「できる限り頑張りますわ」

 

 ルーシェンダルクの激励に微笑みながら私はテレポートの呪文を唱えてベレーヌの村に帰った時には、雪は小雪からさらに大きくなっていた。

 少し休憩すると、出発時間ギリギリにアイソラ・セレシア・スィートゲイル・シャミナが帰ってきた。

 私を含めてこの五人は馬車で休憩スタートである。

 

 

「出発するわよ!」

 

 用意した馬車に薪を大量に詰んで出発する。

 メンバーは以下の通り。

 

 

 ゼラ

 ルーファス

 

 

 シャミナ

  シャーマン3 シーフ1 コーティザン3

 

 マティアラ

  シーフ3 シャーマン2 レンジャー1 セージ1 コーティザン3

 

 リーマ

  シャーマン1 レンジャー2 セージ2 コーティザン4

 

 ラダ

  シーフ3 セージ4 プリースト2 (ラーダ)

 

 ジーン

  シーフ4 レンジャー2 ファイター3 コーティザン4

 

 クリシィ

  シーフ2 バード4 ダンサー4 フォーチュンテラー1 コーティサン2

 

 アイソラ・フロストシルバー

  ファイター1 シャーマン7 セージ4 ヒーラー7

 

 セレシア

  シャーマン3 レンジャー1

 

 スィートゲイル

  シャーマン3 シーフ1 レンジャー1

 

 ローンダミス

  ファイター8 レンジャー5 セージ3

 

 アイアン・ゴーレム

 

 

 カルダモンとアルミンは捕らえた二人対策として館に残している。

 反対されたが、失敗したときに王宮に報告する人間が必要だと念を押して納得させた。

 ついでに豹とマーヴェルについては『悪いことをするな』というギアスをかけておいた。

 逃げてもいいが害を与えないようにという最低限の保険である。

 出発すると、森の中でドライアードにチャームをかけられる。

 ラダが抵抗に失敗してフラフラ行こうとした所をジーンにスネアで転ばせられて止めたが被害はそれぐらいのものだった。

 

「裸のドライアードに見とれたりして!」

 

とすねたジーンをラダが宥めるほほえましい一幕があったが、それ以降は何事もなくとりあえず今日の休憩地として決めていた丸太橋のある小川の所まで来る。

 偵察していたラダが手で隊列を止める。

 風に乗って、何か音がする。

 何かが戦っている音がする。

 ラダとジーンが見に行くと、ミノタウロスが狂ったウンディーネに襲われていた。

 その下にはミノタウロスが凌辱したのだろう。裸で動かなくなった女が一人。

 

「助ける?」

「当然。情報もほしいわ」

 

 狂ったウンディーネとミノタウロスが争っているのが幸いして、精霊たちとミノタウロスは精霊魔法とルーファスとローンミダスの剣で鎮圧された。

 アイソラが女に駆け寄って息を調べると、また生きていた。

 リフレッシュをかけて落ち着かせると『黄金の車輪』のマイシリカだった。

 

「……塔に数匹のミノタウロスが現れたの。

 門を閉じて迎撃していたら、いきなりレイスが襲ってきたわ。

 それに翻弄されて、さらに警備についていたアイアン・ゴーレムが私たちに襲い掛かってきたわ。

 みんながどうなったのか分からない。

 あなたたちに助けてもらおうとしてフライトで空を飛んで逃げたら、狂ったシルフに襲われて、森に落ちたらウンディーネに魅了されて……あとはご覧の通りよ」

 

 自虐の笑みを浮かべる彼女をアイソラが慰めるのを聞きながら、明日以降の戦いを考えると頭を抱えるしかなかった。

 夜の闇をものともしないように雪は激しく振り続けていたからだ。




 ミノタウロスが出るのはオリジナルマジックアイテムのおかげと先にネタバレ。
 『コロシアム・プレミアム』のミノタウロスの遺跡の話から、定期的にミノタウロスが来るならそういうアイテムがあってもいいなというのがネタ元。
 
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