※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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パダの冒険その1

 パダの町は城塞都市である。

 元は墜ちた都市の探索拠点から始まったこの街の成り立ちから、冒険者の町としても知られている。

 その規模は拡大し続け、城塞の内側は成功した冒険者が暮らし、その外側に住む冒険者たちは内側への生活に憧れつつ今日の生活に必死になるという暮らしをしている。

 

「こういう町の場合、普通の旅人は壁の外の冒険者の宿に泊まるんです」

 

 オラン出身のカルダモンを先頭に私たちはパダの町に入る。

 一攫千金を狙う壁外の町並みはよく言ってもスラムだった。

 敵意と羨望が混じった冒険者たちの視線を感じる。

 アルミンでも分かるその視線に、カルダモンがあっさりと言う。

 

「どうみても、師匠たちは成功した冒険者にしか見えませんし」

 

「ただの娼婦設定はだめ?」

 

 私のぼやきにルーファスが突っ込む。

 なお、私の装備はアンバーローブな訳で。

 

「だったら、それ脱がないと無理だろう」

 

 並みの冒険者なら、それがどれほどの価値が分かるだろう。

 そして、その価値が城が建てられる価格という事まで分かる人間はありがたい事に城壁の中という訳で。

 とりあえず、外壁の通りで一番内壁の門に近い冒険者の宿に入る。

 『遺跡の番人亭』と書かれた宿の中から怒声が聞こえたのはそんなタイミングだった。

 

「冗談じゃない!

 我々の仕事外だ!!」

 

「儂一人で彼女を助けられるわけないじゃろう!

 急がねば彼女は取り返しのつかない事になるのだぞ!!

 報酬も約束しよう。頼む!!!」

 

 宿をとろうとしたカルダモンが何かを思い出そうとして、首をかしげて叫ぶ。

 

「ノーランド師!ノーランド師ではないですか!!

 お久しぶりです。賢者の学院で教えていただいたカルダモンです!!」

 

「……おう。冒険者になると言って、学院から出て行った小僧か!

 立派に……とはまだなっていないようじゃが、ちゃんと学んでいるか?」

 

 オラン出身の冒険者、しかも賢者の学院に通っていたともなれば、こういう縁がつながる事もある。

 それが良い事か悪い事かはまた別問題なのだが。

 

「よかった。

 すまんが助けてくれないか?

 遺跡の奥で将来優秀な女性魔術師が遺跡に捕らわれてしまったのじゃ!!

 はやく助けねば大変なことになりかねん!!」

 

 老賢者の懇願がカルダモンに移った所で、さっき拒絶した冒険者たちのパーティが割って入る。

 

「やめとけ。やめとけ。

 俺たちは遺跡の調査隊の警護の依頼を受けていたんだが、地震で彼女が持っていた水晶が割れて、何か魔法が発動して彼女は姿が変わって遺跡の奥に消えていったんだ。

 もう、俺たちの手に負える仕事じゃないから内壁の人間に頼むんだな」

 

 冒険者のリーダーが言い捨てると、向こうの冒険者の杖を持った人間が割り込む。

 

「しかし、この依頼で成功した場合、私たちは内壁に入れる約束だったではありませんか。

 断って、遺跡探索に支障が出るのは……」

 

「けど、やっぱり命が大事よ。

 そうやって、取り返しのつかない失敗をしなかったからこそ、私たちはここまで来たんじゃない」

 

 向こうの冒険者唯一の女性戦士が宥めると、向こうの盗賊二人と戦士たちが首を縦に振る。

 私がつい口を挟んだ。

 

「つまり、リスクに合う報酬がないという事?」

 

「そういう事です。

 警備の依頼料に1000ガメルの追加料金、さらに魔術師ギルドの発動体や内壁への推薦状では助け……」

 

 私に説明した戦士が固まる。

 後で聞いたがマーチャントスキル持ちだったらしい。

 つまり、アンバーローブの価値を見抜いたと。まぁ、内壁に入るか入らないかの連中だからそうなるか。

 

「いいわ。

 じゃあ、賢者様の報酬に私から追加を出しましょう。

 これでいいかしら?」

 

 ころんとテーブルの上に換金用の宝石を一つ出した。

 大体一万ガメル前後で換金できるそれを見た向こうの冒険者連中の目の色が変わった。

 

「で、その救出に私たちも加わる。

 これで断るなら構わないけど?」

 

「おおっ!ありがたい!!」

 

 ノーランドと呼ばれた老賢者が私の手を取る。

 まぁ、向こうのパーティはソーサラーが一人しかいないから、魔法関係のトラップとかで引っかかりかねないと危惧したのだろうなぁ。

 

「わかった。

 こちらも依頼を受けよう。

 あんたがリーダーでいいか?」

 

 向こうの確認に頷いて、私は振り返って一言。

 

「じゃあ、ちょっと遺跡に行ってくるから、みんなは休んで……」

 

「いや、師匠。それ無理なのでは?」

「そうだぞ。遺跡に行くのに置いて行かれるのはいやだぞ」

 

 カルダモンとアルミンの魔術師コンビに呆れられ、ラダとジーンとシャミナ・マティアラ・リーマ・クリシィは準備が終わっていた。

 残ったルーファスがぼやく。

 

「俺には聞かないのか?」

「無駄なことを聞く時間ないので」

 

 そんなやり取りをして店を出ようとした際に向こうのシーフの一人にこんな声をかけられた。

 

「そのローブ……もしかして『遺跡解放者』のゼラか?」

 

 また私の肩書に新しいのが加わったのを知ったのだった。




シナリオ『闇からの脅威』収録の『夢幻よりの……』


今回の冒険者たち。
 『駆け抜ける風』。『世界の果ての壁』収録の『裏切りの友情』より。
 ノルク以外全員人間。


アラン
 ファイター5

リーヴス
 ソーサラー・セージ3 プリースト(ラーダ)3

レイア
 ファイター5 レンジャー1

オルバン
 ファイター4 セージ2

ギース
 ファイター5 マーチャント4

フェイド
 シーフ4

ノルク (ハーフエルフ)
 シーフ3 シャーマン1



仕事的には壁内の仕事と思うが、シナリオの急ぎの都合上壁外の『遺跡の番人亭』を使用している。
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