オランからカゾフまでは陸路で三日。
海路で一日である。
船購入から一月後。
船の名前を何にするか考えてなかったのだが、ルーファスの一言で『ゼラ』号となった。
そんな『ゼラ』号の航海は……
「ぉぇ……」
「うぷ……」
見事に船酔いに悩まされる冒険者が二人。
クリシィとレイアである。
「ほら。酔い止めの薬。大丈夫?」
「あ。ありがとう……ぅ」
「わ、私も…ぅぅ……」
あれは酔い止めの薬も吐くと見た。
そんな事を思いながら私は甲板で水夫たちの仕事を眺める。
「見張りはしっかり見張れよ!
座礁なんかしたら、順番飛ばすからな!!」
船長の激に苦笑する。
今回の航海は、水夫に余裕があるので、休める人間が多いのだ。
で、そんな力があって暇な水夫の前に、男の上で腰を振るしかない便女たちがあられもない姿で乗り込む訳で。
「ぁ…んっ♥…もっと…ひゃうっ!」
「いいっ♥…あはっ♥…奥に…あつぅい♥」
休憩中の十人ばかりの水夫たちはマティアラとリーマの奉仕に気持ちよくなっているらしく、ここまで声が聞こえてくる。
なお、順番で次はジーンとシャミナ。クリシィとレイアも本来はローテーションに入る予定だったのだが、この分では無理だろう。
「すいません。提督。
提督の人形の性能を知りたいんで、試しに操ってくれませんか?」
これが無ければ、今頃ずっと下で輪姦されていたというのに。
ルーファスとラダとジーンが噴き出すのを憮然とした顔で無視して私はウッドゴーレムの操作をする。
提督なのだ。私。
これには理由があって、船を操れないのに船長は名乗れないし、パーティの指揮はルーファスに任せるつもりで、私自身は肉便器ってポジを主張した結果、船長と水夫を含めた全員に却下されたからである。
「提督。
その日のうちに全員を穴兄弟にするって時点で駄目でしょう」
「いや、ちょっと足りなかったし……」
なお、その日のうちに食べきったのは私とジーンで、私が提督なのにジーンは姐さん呼ばわりである。
また、下で楽しんでいるマティアラとリーマとシャミナもちゃんと食べきったのは言うまでもない。
結果、彼らの弾が尽きた事で序列を確立したと言えよう。
まぁ、ルーファスを見てみんな屈服したのだが。
話がそれた。
船長のツッコミに返事をしつつウッドゴーレム8体が櫂を漕ぐ。
今回は川下りという事で、舵まわりの確認である。
「進路が変わっています!」
マストにつけられた見張りの声で船の方向が変わっているのが分かる。
それを聞きながら、私は船長に尋ねる。
「どんな感じ?」
「まぁ、及第点でしょうな。
戦闘じゃ無理でしょうが」
ある意味わかりやすい返事に納得する。
事実海賊の襲撃報告が増えていたのである。
ミルリーフでないのが本当に救いだが。
「やっぱり出る?海賊?」
「というか、この船を襲わないでどうするんですかって」
積荷はせいぜい儲けが出る程度の商品だが、私を始めとした娼婦連中にとんでもない値段がついているらしいのだ。
まぁ、オランの酒場であれだけ遊べばそうなるよなぁと。
さらに、私のアンバーローブにルーファスのソリッドスラッシュ、ゴーレム工房発見の報酬によって金塊は十本を超えて船長室の宝箱に転がっている。
大成功した冒険者が船を手に入れたという所だろうか。
「カゾフの港では物騒な話を聞きますからね。
海賊が交易商人の船を襲ったとか、怪しげな密輸業者が暗躍しているとか。
倉庫街は無法地帯で暗黒神の神殿まであるって噂もある」
オランとアノスにあるグロザムル山脈に大規模なダークエルフの集落があり、アザーン諸島の海賊『赤き血の兄弟団』と組んでいる訳だ。
船長の話は思った以上にシャレになっていなかった。
結果、こんな情報も付随する事になる。
「ファリスを国教にするアノスはこの状況を看過できずに、外交使節とファリス神官戦士の派遣をオランに提案している……か」
私のゴーレム工房がらみでオラン王宮から聞いた話なので、まず間違いがない。
気前よく船をくれると思ったらこんな裏があったという訳だ。
下手をするとカゾフの太守も巻き込みかねない外交案件だが『冒険者がやりました』だとオランもアノスも文句が言えないという訳だ。
こういうまどろっこしい手をオランが打たないといけないのは、グロザムル山脈を根城にするエルダードラゴンの存在がある。
その名前を『天をも焦がす』コーラスアス。
こいつが出ると『流星落ちる時』という超絶世界の危機シナリオが発動するのでそのままでない事を祈りたいものである。
オラン周辺は世界の危機であふれている。
「しかしまぁ、みんな連れて来なくて正解だったかな?」
今回の航海ではカルダモンとアルミンが賢者の学院に残って工房がらみの処理をしている。
重くて持っていけなかったストーンゴーレムの留守番という名目だが、ちゃんとあの二人を学院で学ばせたいという親心である。
あと、イジェルファも船を降りている。
長く氷漬けになった彼女は、そろそろこの時代になれないとという事で残ってオランで今後を考えるらしい。
そんなやり取りをしつつ、私たちの船は夕方にはカゾフの街に到着する。
倉庫街は避けて宿も取らず船暮らしだが、酒場で遊ぶのは許可した。
「隣にでかい船があるな」
上陸作業を眺めていたルーファスが隣の船を見て感動する。
うちの船よりも大きい。
感心していたら船のネームプレートが見える。
『水晶の輝き号』。
あ、これ幽霊船になる前か。
ダークエルフとエルダードラゴン
『流星落ちる時』より。
『水晶の輝き号』
ソードワールドPC 『白霧の幽霊船』より。