カゾフがこういう状況であるのに、オラン王国の動きが遅いのはある意味仕方ない理由がある。
古代魔法王国の遺産が多すぎるのだ。
私がやったゴーレム工房などが良い例で、下手すれば国をひっくり返す遺産がふと冒険者に拾われて使わるなんて事が起きた時に、戦力を保持していなければ簡単に詰む。
さらにもう少し深く探ると、オラン王国というのは詰まる所オランとパダというか堕ちた都市を勢力圏に保持していれば成り立つという国で、それ以外はある意味放置に近い政策をとっていた。
いろんなシナリオや物語を読んで気づいたが、オラン王国は想像以上にファリスの影響力が強い。
それはオラン国内においてアノスの影響力が強い事を意味している。
賢者の学院や五大神の宗教、そして冒険者と調べれは調べるほど中世国家と嘆きたくなる国家権力の弱さに嘆息するしかない。
話がそれた。
現在のカゾフはよく言えば表向きは平穏。
悪く言えば裏でかなり色々やばいものが浸透していた。
「思った以上にガラが悪いわね。この街」
偵察に行かせたジーンがぼやく。
こういう場所は盗賊ギルドが裏の治安を維持するのだが、さっきも言った他勢力が入り込んだ事でギルドも取り締まりができなくなっているのだ。
海賊の場合海に逃れられたらおしまいだし、ダークエルフ相手に全面戦争をするには戦力が足りない上に、アノスから来ているファリス神官戦士たちが邪魔な事この上ない。
「海賊を一人捕らえるか殺すかで500ガメル。
有名な海賊ならば5000から10000ガメル払うって。
やっと上も本気になったのかしら?」
港の造船所はフル稼働している。
ここにある船たちもエレミアに送られるのだろう。
そんな話をするとジーンが私の耳元で囁く。
「この街は遺跡をほとんど掘り返して、たいしたものはないみたい。
今、一番のお宝って船なんですって」
なるほど。
船を海賊で襲われた体にして、エレミアに売り払うつもりか。
下手をすればこの船に盗賊たちが襲来する可能性すらあるという訳だ。
「だんだん見えてきたわね。
多分この船が洋上で他の船を襲っていたんでしょう。
それをやり過ぎた結果、ファリスの神官戦士たちに襲われて潰された」
「それよりもあんたの事がもう噂になっている。
『遺跡解放者』がこの街にやってきた。
まだここにも知られていない遺跡があるんだ。
冒険者たちも慌ててこっちに駆け付けているって」
ジーンの耳打ちに私は苦笑する。
オランでも派手に動いた為に私の冒険者としての名声は決定的に高まっている。
まぁ、実際遺跡を漁りに来た面は否定しないのだが。
「で、何処を狙うの?」
「狙うのはいいけど、まずはお掃除から。
今、動いたら横取りされちゃうし」
そんなやり取りをしていたら甲板の方に裸の船長が顔を出す。
しっかりお愉しみだったらしい。
「おーい。提督。
下の姐さんたちが動かなくなったんでそろそろ交代してくれや」
なお、私もジーンも実は裸で股から精液が垂れていたりする。
交代するまで、船員たちに使われていたのだ。
下手な娼婦より上手いので、じゃあと船員がお願いした訳で、私たちは心よくOKしたのである。
「はいはい。
大体、酒場で仲良くなった連中まで連れて来る事ないでしょうに」
「すまねぇ。こんなに多くなるとは思わなかった」
たしか今はレイアのはずだから彼女一人ではきつかろう。
余った男たちを処理するのは先輩のご褒美……げぶんげふん。責任である。
「あんたたち朝の掃除はちゃんとしなさいよね」
なお、やってきた男たちは朝まで途切れず。
翌日の昼に強制的に打ち切るまで、私たちに肉便器はうちの船員だけでなくカゾフの港で働く250人の海の男たちの精液を受け止め、この船の商品がなんであるかをカゾフの住民に見せつけたのである。
翌日の夕方、情報収集に動く。
まぁ、夜になったらまた乱痴気騒ぎになるから動ける時間は結構大事なのだ。
「これで冒険を忘れないのがゼラの凄い所だよな」
「そんな私に常についてくれるルーファスはいつもいい男よね」
「どうも」
「何でこの人、ローブを着ている時はこんなに魔術師顔しているのかしら……?」
私とルーファスとクリシィがカゾフの街を歩く。
昨日はあくまで初回無料の撒き餌で、今日からは個室で一人ずつという訳だ。
相手をする時間と人数が当然限られるので、ここからの値段は時価で競り合う形となる。
場所も船ではなく、その手の宿を抑えてのお仕事。
250人近い海の男たちを穴兄弟にすれば、ある程度情報が割れて来る。
「やっぱり陸は落ち着くわ」
「乗ってないとまた酔うわよ」
「仕方ないわね。酔い止めの薬を買っておくから。ちゃんと飲みなさいよ」
なお、今の時間『ゼラ』号は演習航海に出ている。
彼らも海賊の噂を肌で感じているし、襲われる理由と商品を理解しているから、ここから見る限り手を抜いているようには見えない。
そんなやり取りをしながらやってきたのはカゾフの魔術師ギルド。
名前を出して少し待つと、待ち人がやってきた。
「お久しぶりです……と言っても、パダで別れてからまだそれほど経っていないですがね。ご活躍は耳に入っていますよ」
「こっちの水はあっているみたいね。導師リーヴス」
さすがにここで別れた恋人であるレイアの事は互いに口にしない。
今も彼女は順調に肉便器の道を歩み『ゼラ』号の中で船員に使われているはずだからだ。
「で、こちらには何の用で?」
「いくつか知りたいことがあってね。
まずは、カゾフで動いている海賊について」
盗賊ギルドも海賊に懐柔されているらしく、決定的な情報を出さなかったのだ。
多分、昨日私たちを使った奴に海賊のスパイがいるのだろう。
「私もそれほど詳しくはないですよ。
『赤き血の兄弟団』や『黒い新月党』あたりですね」
『黒い新月党』。また聞いたことのない名前が出てきたので尋ねると、麻薬密売に関わっているらしい。
「また、厄介な……」
「『赤き血の兄弟団』はアザーン諸島の海賊で、『黒い新月党』はこちらの海賊です。
今、この両方の勢力が水面下で争っているんですよ。
で、そこに暗黒神やダークエルフも絡んで、領主は頭を抱えているでしょうね」
エレミア行の船需要でカゾフの景気はいいが、その理由が海賊である。
王宮も何とかしないとと思っているが領主の動きが鈍く、アノスまで出張ってきているのはこんな理由があったという訳だ。
「ちなみに、アノスの連中の話は?」
「彼らもオランと事を構えたい訳ではないです。
神官戦士を入れた冒険者を雇って動いています。
私の経歴を知って誘いに来ましたよ。お断りしましたが」
リーブスは肩をすくめる。
そして、誘ったパーティーの名前を教えてくたれのである。
「アノスから来た聖戦士タイデグリーとこちらの冒険者たちですね。
たしか、アシュレイ・フィード、セーリン・ボージュ、ペペ、ホロウ、ブルーダ・グンツの六人です」
黒い新月党
『果てしなき宝島』より
聖戦士タイデグリー『亡者が村に潜む闇』より
ファイター5 プリースト5 (ファリス)
今回の冒険者『悪魔が闇に踊る街』より
アシュレイ・フィード
ファイター2 プリースト2 (ファリス) セージ1
セーリン・ボージュ
ソーサラー2 セージ2
ペペ
シーフ3 セージ1
ホロウ
シャーマン2 シーフ1 レンジャー1
ブルーダ・グンツ
ファイター2 プリースト2 (マイリ―) レンジャー1
クラフトマン5 (木工)