※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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魔宮の門 その3

 今回の話が少し厄介なのが、シティーアドベンチャーという所にある。

 迷宮に入ってお宝を持って帰ったら、盗賊に分捕られるというのが見えているので、まずはカゾフの街の掃除から始める必要があった。

 さて、どうするかと悩んでいると帰り道で悲鳴が聞こえる。

 

「助けてくれ!

 化け物に襲われる!!」

 

 スラムだから見て見ぬふりを住人はするが、私たちは冒険者。

 こういうトラブルこそ飯のタネである。

 

「助ける?」

「当然」

「はいはい」

 

 私の確認に、ルーファスとクリシィが返事をして悲鳴の場所に。

 駆け付けた時に五人ほど倒れており、そこに新たな餌よろしく私たちがやってきた形になった。

 

「遅かったか……」

「完全に私たち狙っているんだけど!」

「とにかく追い払おう!」

 

 影みたいな生物はルーファスのソリッドスラッシュで切りつけると隙間から煙のように逃げてゆく。

 追跡する選択肢もあったが、五人の救助が先とばかり回復魔法をかけてゆく。

 五人のうち二人はスラムの住人で既にこと切れており、三人はカゾフの警備兵でこの死体を調べていた時に襲われたらしい。

 翌日、この件で警備隊事務所に呼ばれる。

 船から降りると、ふと隣の船が気になった。

 

「隣の船、出港しないのかしら?」

 

「海賊討伐までここに居るそうですよ」

 

 今日の護衛であるレイアがそんな事を言う。

 後ろではうちの船が出港の準備をしており、今日も練習航海の予定である。

 当然、ルーファスは私の隣を歩いている。

 私たちを使った水夫の中には、隣の船である『水晶の輝き号』の船員も居るのだが、彼らの支払いは実は船の持ち主である魔術師リンドグルムの財宝を横領していたりする。

 かなり筋が悪い連中なので、身を守るためにも彼らを処分する事も考えつつ警備隊事務所へ。

 警備司令ゼノンは警備兵を助けてくれた礼をしつつ、スラムで起こっている猟奇殺人事件について語る。

 

「既に10人以上の犠牲者が出ており、その全てが手足を折られて血を吸われている。

 我々としても事件解決の為に協力してくれるとありがたい」

 

「協力するのは構わないのですが、海賊が絡んでいたらどうします?」

 

 私の確認に顔をこわばらせる警備司令。

 思った通り、かなり海賊に浸食されているな。これは。

 

「もちろん、海賊が絡んでも問題はない」

 

 そういう警備司令ゼノンの顔に脂汗が浮かぶ。

 場所が無法地帯のスラムの上に、今の景気に海賊が関わっている。

 分かっているから事をあまり大事にしたくないという訳だ。

 まぁ、無駄なんだが。

 

「分かりました。

 信頼できる冒険者をご紹介しましょう」

 

 さてと、盤上をぶっ壊すか。

 

 

 

 アシュレイ・フィードたちが宿泊している宿は『海のアヒル』亭に行く。

 彼らに面会を求めるとすんなりと会う事ができた。

 

「一つ聞きたい。

 なんであんたらが解決しないんだ?」

 

 アシュレイの疑問はもっともで、私はあっさりとタネバラシをする。

 

「手が回らないんですよ。

 これだけを解決しても何も変わらないので」

 

 白々しく私は情報を小出しする。

 彼の正義漢を刺激しつつ。

 

「依頼は『スラムの殺人事件の捜査』。

 だから、犯人を捕まえればおしまいなんです」

 

 セーリン・ボージュが険しい顔をする。

 彼女は賢者の学院を卒業しているから、私の情報を知っているっぽいんだよなぁ。

 だったら、私の物言いに気づいてほしいものである。

 

「運もあっていくつか遺跡を見つけて成功したんですが、それで他の人がこう考えるんですよ。

 『遺跡解放者のゼラニウムがここに居る。という事は、ここに未発見遺跡があるのか?』と」

 

「なるほど。

 お主らが動けば大事になるという訳か」

 

 ドワーフのブルーダ・グンツが髭を触りながらぼやく。

 私は笑顔でその問いには答えなかった。

 

「あとは依頼者であるこの街の警備司令の方に話を聞いてください。

 良い返事をお待ちしています」

 

 聖戦士タイデグリーの姿が見えなかったが、この話を聞けば彼らに協力するだろう。

 スラムの方はこれで引っ搔きつつまずは外堀から埋めてゆくことにしよう。

 戻ると船が帰ってきていたので船内に入り、ラダに声をかける。

 一休みとばかり、裸で精液まみれのジーンがラダの股あたりで奉仕しているのはいつもの事なので気にしない。

 どうせ私もルーファス相手にいつもやっているし。

 

「たしか貴方、ラーダ神信仰していたわよね?」

 

「ああ。これでもそこそこ敬虔な信者なんだぞ」

 

「じゃあさ、ちょっと神様にいい事をしようと思わない?」

 

 三日後。

 ラーダ神殿のフラーレス司祭率いる神官戦士団がこの街に派遣される事が決定される。

 それに合わせて、近くのサスア村の住人がナムゴーの村に移住する事も決定された。

 生活が厳しいサスア村の村長は移住を考えており、幸いにも私はナムゴーの村に縁があるので移住を仲介したのだ。

 もちろん、それに伴う費用は全額こちらもちである。

 それでもかかった金額は30000ガメルもかかっていないし。

 で、私の手の中には、サスア村の近くに隠された聖域への鍵である『スターストーン』が。

 ラーダ神殿の動きが速いのは、この地に古代魔法王国時代の知識の神殿がある事を私がたれこんだからである。

 久しく見つかっていなかった古代魔法王国の遺跡発見にカゾフの街は沸きに沸いた。

 そして、それは横取りができると悪党が考えるには十分なタイミングだった。




ソードワールドPCシナリオ『聖域探索』と『暗黒の儀式』より。
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