住民が移住したサスア村。
現在はラーダの神官騎士とフレーラス司祭がこの村跡を利用して調査基地にしようとしている所だった。
そんな村の近くの森に潜む盗賊団に私たちが気づかない訳がなく。
というか、こいつらを待っていたのだから罠の準備はばっちりである。
「光よ!」
飛んでいた私のライトの呪文で照らし出される盗賊たち。
数は二十数人という所だろうか。
「畜生!待ち伏せだ!!」
「構う事はねえ!やっちまえ!!」
「やばい!
村にゴーレムが居やがる!!!」
ゴーレム工房でありがたく頂いたストーンゴーレム四体である。
こいつらが神官戦士たちと村を守りつつ盗賊に迫ると我先に逃亡に移るが、逃がすつもりはない。
「後ろに冒険者たちが居るぞ!」
「こっちにもだ!!
囲まれた……」
という訳で、戦力を紹介しよう。
フレーラス司祭率いるラーダの神官騎士が三人に神官戦士が五人。
これにゴーレムを指揮しているアルミンとカルダモンが居る。
で、後ろをふさいでいるのはルーファスをリーダーとした以下の面子である。
シャミナ・マティアラ・リーマ・クリシィ・ラダ・ジーン・レイア・イジェルファ
イジェルファにはカルダモンとアルミンを呼ぶ際にお誘いをかけたらOKが出たので。
後は上空から眠りの雲を撃ち込む簡単なお仕事である。
かくして、盗賊団の頭ゲイルと繋がっていたラーダの賢者マーラ共々御用となった。
そこから先は電撃戦である。
盗賊団を捕えた事を名目に芋づる式に海賊を叩き潰したのだ。
カゾフのスラムを闊歩するストーンゴーレムを威圧に使い、盗品を流用していた『水晶の輝き号』の船長コンラッドと同調していた船員を逮捕。
さらにごく普通の船長の振りをしていた『海竜の角号』のオウル船長とその手下たちも御用となった。
この時点で逮捕者は百人を超えて、警備隊事務所の牢獄は満杯になっているのだが、構うことなく今度はスラムの邪神討伐に動く。
聖戦士タイデグリーとアシュレイ・セーリン・ペペ・ホロウ・ブルーダの六人と合流するとある程度動いていたらしく、暗黒神ザタタのメダリオンを抑えて退去の儀式も調べていたらしい。
暗黒神を呼び出そうとした召喚者は既に死亡しており、これで無秩序だったスラムの浄化が一気に進むことになる。
「提督!
目的地の島に近づきましたぜ!!」
「船長!
奴らこっちに向かってきます!!
やる気だ!!」
「野郎ども!
姐さんたちの前で情けない所を見せるんじゃねえぞ!
戦闘準備!!」
最後の黒い新月党討伐の為に彼らの拠点がある島に攻め込む。
彼らは逃げる為にも私たちの船と戦闘する事を選んだ。
そりゃ、ここの船員肉便器あいてに腰を振っているの知っているからなぁ。
「撃て!」
船首に備え付けられたバリスタから矢が放たれる。
向こうからも矢が飛んできたが、双方ともまだ当たらない。
私がフライトで飛び、スリープ・クラウドを撃てば、彼らは降伏する間もなくお縄に着く事になった。
高レベルソーサラーのえげつなさを我ながら思い知りながら、後始末に入る。
盗賊のリーダーであるゲイルと海賊の船長であるオウル船長とコンラッド船長は縛り首に。
下っ端海賊で罪の軽い連中はそのまま配下に加える事に。
問題は罪が重くて許せない幹部連中である。
殺すには罪が軽いし、許すには罪が重すぎる連中だが、処分を問われた私は石巨人の迷宮を利用した肉便器刑を提案し採用された。
「いやぁぁ!助けて!
……もお入らない…ぁぁ」
「ぁぁ…壊れる…私、壊れ…」
「…もっと……もっと…あはっ♥」
捕まった海賊と盗賊の合計が144人。
処刑された幹部連中が12人。
釈放された下っ端が103人。
残った29人が記憶喪失の果てに美女・美熟女肉便器に変えられて、現在釈放された下っ端に嬲られている最中である。
クリシィの苦笑がこの始末を端的に表していた。
「私たち、いつから奴隷商人になったのかしら?」
一方で、海賊の壊滅で主が無くなった船は私が預かる事になった。
『海竜の角』号と黒い新月党が使っていた帆船の二隻だが、船長以下幹部クラスを粛正したので動かせる訳もなく。
一隻は協力してくれた外交的配慮によって聖戦士タイデグリーに渡すことに。
既に彼には『赤き血の兄弟団』がファラリス信仰をしている事、アザーン諸島を本拠に活動をしている事を告げているので、アノスがアザーン諸島に介入するだろう。
聖戦士タイデグリーはアシュレイたちと共にプラードまで陸路で行き、アノス国境の砦から神官戦士を連れて来るそうだ。
それまで船員が集まればいいのだが、いざとなったら手を回す事にしよう。
一方で、船長以下船員の大半が捕まった『水晶の輝き号』の持ち主リンドグルムは船を降りて侍女のアンナと共にこの街の屋敷に居を構える事に。
ちょうどスラムにある魔術師の屋敷が空いていたので、これ幸いと押し込んだのは言うまでもない。
襲撃を避けられるように竜牙兵数体をプレゼントした上でスラムの浄化に協力して彼の『水晶の輝き号』を買い取る事にした。
あ。報酬だがもう笑うしかない状況である。
ラーダ神殿の聖地に等しい遺跡の発見とラーダ神官が盗賊と繋がっていたスキャンダルの黙認。
麻薬取引を行っていた海賊の財宝独り占め。
船三隻と肉便器29人の他に私に支払われた金塊は14個である。
カゾフの街に決定的な影響力を握った上で、やっと本命である遺跡の攻略が行える。
その遺跡を攻略したいラージャンスに雇われた『風を追う者』たちが来る前の話である。