※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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魔宮の門 その5

 カゾフのスラムの治安は劇的に改善した。

 盗賊と海賊の幹部が首を吊られ、下っ端は与えられた肉便器相手に腰を振って悪さをしなくなったからだ。

 そして、その状況で邪神信者が動けばファリスとラーダの神官戦士が飛んでくるという訳で。

 それは同時に、今のみんなの今後を考えさせる機会になったのである。

 

「ダーリンがラーダ神殿の幹部に誘われているのって知ってる?」

 

 何気なく切り出したジーンの話に私は納得そうに頷いた。

 なお、二人とも肉便器として使われた後にお湯で体を洗っている最中の話である。

 

「知らなかったけど、まぁ来るんじゃないかなとは思っていたわ。

 オランの神殿に呼ぶにはやっかみとかがあるでしょうから、聖地の管理こみでここの神殿長あたりかしら?」

 

「……なんでわかったの?」

 

「女の勘」

 

 そんな事を言いながら湯船につかる。

 既に何人の肉便器たちが湯につかって体を洗っているのもあって湯に精液が浮いているのだが私たちは気にすることなく湯につかり、体についた精液が湯船に広がってゆく。

 スラムの浄化で空いた屋敷を改装して使っているのだが、これ幸いとお風呂については改造を施している。

 さすが古代魔法王国の遺跡跡にある都市で、スラムでも水道跡があったのはありがたい。その再建工事にはストーンゴーレムが大いに役に立ったのだが、話がそれるのでこれぐらいで。

 

「で、ついでに肉便器たちの管理責任者としてここのギルドの幹部にって誘われているの」

 

「いいんじゃない。

 受けなさいよ」

 

 私があっさりと勧めるとジーンは少しだけむくれる。

 構ってほしかったのかもしれないなと思いながら、ジーンを抱きしめて囁く。

 

「付き合ってもらっているのは私だからね。

 私は二人の幸せをあきらめるまで付き合ってほしいなんて思っていないわ」

 

 ある意味、引退していた二人を引っ張り出してここまで付き合わせたとも言う。

 幸せになってほしいし、いい生活が送れるのならばそれに越したことは無いのだ。

 

「で、本音は?」

 

「……多分肉便器がさらに増えるのよ」

 

 本格的にアザーン諸島のシナリオを進めると、大規模な海賊との戦闘が避けられなくなる。

 幹部の処刑と末端の釈放は仕方ないとはいえ、中間連中の処理で血を流さなくていいのならばこれに越した事はない訳で。

 大規模奴隷貿易なんて言ってはいけない。

 自覚はしているので。

 

「そういえば、マティアラとリーマも今後の事を考えてるみたいよ」

 

「あ、それ私も相談されたわ」

 

 私が思い出した言葉にジーンも返事をする。

 元がオラン出身の二人は里帰りとばかりに実家に顔を出し、大金を実家に置いて縁を切ってきたらしい。

 

「これですっきりしたわ」

 

 とはマティアラの言葉だが、少しだけ寂しそうに笑ったのを覚えている。

 そんな彼女たちはオーファンに私が作った半分耳の森を故郷と思い、そこでの生活を考えているというのだ。

 

「肉便器生活は辞めるつもりはないけど、自分が帰る家の近くで使われたいってさ。

 自分が自分で居られる場所ができたんだから、村の発展に尽くしたいって」

 

 半分耳の森は私の影響もあって近くにファンとタラントとの間に飛行船が飛んでいる。

 その船員相手に娼婦として生きていけるし、ファンの娼館で働いて半分耳の森に帰るなんて事も出来る。

 それぐらいの絶大なコネを私は築いていた。

 

「あ。

 押しかけ弟子になったアルミン。

 賢者の学院で正式に学ぶって」

 

「へー。

 あの野心ばかりたぎっていた坊やがねー」

 

 私の思いだしにジーンが感慨深く呟く。

 だから彼は今もオランの賢者の学園で必死に勉強している。

 

「あの師の業績を誰かがまとめないといけないんだ。

 死霊魔術師に当代きってのゴーレムマスターで、遺跡解放者だぞ!?

 これをそのまま冒険者の成功譚で終わらせてなるものか!!!」

 

 私肉便器という突っ込みはカルダモンと共に却下された。

 カルダモンがついてきているのは私の外付け良心装置だそうで、カルダモンが私の近くで私の業績をまとめ、アルミンがそれを清書して賢者の学院で発表するためらしい。

 そんなアルミンから気になる報告が来ていた。

 ロドーリルとの戦いで死闘を繰り広げているプリシスから早くも留学生がやってきたというのだ。

 その名前はファルメス・ランズバードとイッシュという二人で、ファルメスはブリシスの貴族の一人であの軍師の弟子。

 イッシュというハーフエルフは彼の護衛だという。

 生きたゴーレム工房の発見はこれほどの激震を既に周辺諸国に与えていた。

 十体のストーンゴーレムは百人の兵士に匹敵する。

 これを安定的にオランから供給できるのならば、ロドーリルの軍勢を安定的に押し戻す事も可能だろう。

 ただ、それには問題点が一つあり、ゴーレム工房から湧いて出るゴーレムをコマンド・ゴーレムの呪文でコントロール下におけるのが私かバレル導師しか居ないという事で、莫大な財宝やカゾフでのやりたい放題にオラン王宮が口を出さないのもそのあたりが関係しているのだろう。

 軍師ルキアルはいつロマールに移籍するのか?

 少なくともその情報はまだ入ってきていない。

 

「少しずつ、みんな今後の事を考えているのね」

 

「貴方はどうなの?ゼラ?

 先の事を考えているの?」

 

「考えていたら、肉便器なんてやっていないと思う」

 

「それもそうね」

 

 そんな話をしながら風呂から上がった。

 『駆け抜ける風』みたいに英雄になれない冒険者たちは、冒険者の先を見据える事になる。

 これは、そういう時が私たちにも来たというだけの話である。




ファルメス・ランズバード 『哀しみの賢者』より
 ファイター4 セージ3 ノーブル2

イッシュ 『黒い肌の軍師』より
 シャーマン7 レンジャー4 セージ3 ファイター2 シーフ1
 南方の肌の黒い人間とのハーフで変装の耳飾りで白くという設定
 
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