※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

92 / 140
シャミナ
 シャーマン5 シーフ1 コーティザン5
 残り経験点6000

クリシィ
 シーフ6 バード4 ダンサー5 フォーチュンテラー1 コーティサン4
 残り経験点1000

ゼラ
 ファイター3 他スキルあり
 残り経験点14500

ルーファス



魔宮の門 その10

「選ばれた戦士よ、よくぞ我がもとへ来た。

 汝も知っての通り、この迷宮ではさまざまな試練が待ち受けておるだろう。

 だが、臆することはない。

 懸命なる判断と、十分な技量さえあれば、どれも恐るるには足らぬ。

 力の限りをつくして見事栄誉を手にするのだ。

 迷宮の中には、余からのささやかな助けも用意されておる。

 それでは、汝の健闘を祈っておるぞ」

 

 戦士の門に入った私達を太守の画像が出迎えて消える。

 入った面子、私、ルーファス、シャミナ、クリシィの四人はそれを黙ってみていた。

 

「ゼラ。

 一応聞くけど、あれ本物?」

 

 クリシィのボヤキに近い質問に私は肩をすくめて返事をした。

 

「本物に近いわね。

 このあたり色々難しいけど、そういう解釈が一番近いわ」

 

 正しくは、生きている迷宮が太守の魔力や記憶を受け継いでいるのだが、それを説明してもクリシィが理解できるとも思えず。

 迷宮内部はなめらかな黒曜石で作られ、天井の水晶の発光体が迷宮を照らしていた。

 

「とりあえず、先に進もうか」

 

 ルーファスの声と共に私達は隊列を整える。

 先頭からクリシィ・ルーファス・私・シャミナで扉を開ける。

 その先に三叉路と部屋の扉が見える。

 更に近づくと右側にも扉。

 

「どうする?ゼラ」

「無視していいわ。この二つの部屋は罠だし」

「ゼラ姐さんの知識ってすごいです!」

 

 シャミナの尊敬の声だが、実質カンニングみたいなもので嬉しさより恥ずかしさの方が勝るのでシャミナを顔を見ずに左の道を先に進む。

 途中で更に左に曲がったところに部屋の扉が。

 開けると床一面に何か散らばった部屋が。

 

「入らないで。これ、骨なのよ。

 入って中央に行くとスケルトンが襲ってくるって訳」

 

 という訳で、前もって買った炎晶石をぽいっと投げて来た道を戻ると、轟音と共に散らばった骨が灰になるがまだ少し残っていた。

 私達が入ると、その残った骨が一体のスケルトンとなったが、一体のスケルトンに出来ることはなく、警戒したルーファスの一刀のもとに潰されて次の扉が開く。右と左の二つの扉が。

 

「で、どっち?」

「左」

 

 クリシイの確認に私が即答し、女神の間へ。

 像に触らないよう指示してその先に進むと、通路に出て右側に扉がある。

 

「そっちの扉は行かなくていいわ。

 通路奥の扉に進んで頂戴」

 

 私の声に皆警戒しつつ進む。

 通路奥の部屋の前がまた三叉路になっているのだが、真ん中の扉を開けると八芒星の魔法陣から一揃いのソフト・レザーが出てくる。

 

「これはね、この迷宮攻略に置いて絶対に必要なものなのよ」

 

 私一人で抜け駆けができないこの迷宮だが、仲間が居ると話が別である。

 早い話どうやってコピーの私を潰すかというのが最大の難問だったのだ。

 それが出来るのがこの革鎧である。

 

「後でそれに着替えるから」

 

「え!?

 じゃあ、そのローブどうするんです!?」

 

 シャミナの驚きの声に私は苦笑してシャミナを指差した。

 

「貴方が着るの」

 

 部屋から戻って右に行くと六芒星の魔法陣がある部屋に入るが、ここでも私は一つの策を仕掛けた。

 ストレングスの魔法をかけた私がその剣を持ち、それをクリシィに渡したのだ。

 

「これ使えないんですけどー!」

「それが狙いだから」

「あー。なるほど。」

 

 私の言葉にクリシィがにやりと笑う。

 コピーされるクリシィはこの剣で攻撃をする訳もなく、自前の武器に切り替える。

 つまり、一ターン両方行動不能になるのだ。

 その一ターンで私のコピーがどうにかできるならば、この勝負は勝ちである。

 

「俺は?」

「ルーファスが負けないこと前提の策なんですけど。これ」

「じゃあ、頑張らないとな」

 

 そんな事を言いながら先に進むと、泉の広間に着く。

 ここの水を飲んで回復して最後の作戦タイムに入る。

 

「だから、鞄を持ってきたんですね」

 

 アンバー・ローブを着たシャミナが苦笑して、ローブの下から無限のバッグのセットを叩く。

 入っているのは水ではなく今まで得たお宝だったり。

 何しろこの迷宮はアイテムまでコピーされるのだ。

 つまり、ソリッドスラッシュやアンバーローブがもう一つ手に入るのだ。

 GMが居たら発狂するだろうが、こっちも命がけである。

 遠慮なくマンチキンさせてもらうとしよう。

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 来た方向から右のドアを開くと、メデューサの絵が出迎える。

 

「あの絵、石化の魔法がかかっているから見ちゃだめよ」

 

「襲ってこないだけでもありがたいな」

 

 ルーファスのボヤキとともに左の扉に入り、通路先を更に左に行くと扉がなくなり黒い球体が私達に襲いかかる。

 ただ、メンタルアタックをルーファスにかけても意味がないと思うのだが?

 こいつの撃破にはあと一ターンかかり、ルーファスとクリシィの精神力が4点削られる事になった。

 私がトランスファ・メンタルパワーで回復させたのは言うまでもない。

 

「さてと、次は……」

 

 黒い球体を撃破すると先の扉だけが現れる。

 ここからはボスまで一直線である。

 そして待ち構えるのは鋼鉄の騎士。

 固くても私達は四人いるわけで、潰すのは3ターンだった。

 この迷宮は本来一人用なので、一人なら攻略度は一気に上るだろう。

 

「で、次が最後なんだけど……」

 

 取り出したのは砂時計。

 ひっくり返して私は魔法をかけた。

 

 

 

「見事だ、よくぞここまでたどり着いた。

 まずは汝の勇気と努力に敬意を示そう。

 だが、最後にもっとも過酷な試練が残されている。

 勝者となるには、これに打ち勝たねばならぬ。

 用意はできておろうな。

 汝は今から、汝自身と戦うのだ」

 

 その言葉とともに出てきた私、ルーファス、シャミナ、クリシィの四人のゴーレムでアイテムも能力もそのままである。

 

「ルーファス。少しだけ耐えて!」

「分かった」

 

 ルーファスとルーファスゴーレムが剣を交わし、クリシィとクリシィゴーレムが持たされていた魔法剣を投げ捨てて自らの装備であるショートソードに切り替える。

 そして二人シャミナの魔法が同時に炸裂する。

 

「「ミュート!!」」

 

 私がここで得たレザーアーマーを着た理由がこれである。

 この鎧、回避とダメージ減少に+1あるのだが、代償というか魔法抵抗に必ず失敗するようになっている。

 つまり、私がこの鎧を着ると、私のゴーレムもこの鎧を着るわけで、私共々無力化されるという仕掛けである。

 そして、しばらくすると明らかな差が出てきた。

 特にルーファスとクリシィの動きが格段に良くなり、シャミナのゴーレムが回復に回るのを見透かすようにシャミナはシェイドで私のゴーレムの精神点を削り、私のゴーレムが気絶した。

 

(策がうまくいったわね……私達自身にスローネスの呪文をかけたのは……)

 

 このゴーレム作成は、私達が部屋に入った段階のデータによって作成される。

 つまり、入る前の能力値データでゴーレムが作られるのだが、スローネスの呪文で素早さが下がった状態でデータが作られ、私達は魔法が切れるか切れないかぐらいで入室すれば、魔法が切れたと同時に元の能力に戻る訳で。

 現実のゲームならばGMが頭をかかえる処理だが、この場ではGMである太守の残像による能力値修正が発生しない事に賭け、それに勝った。

 部屋の前で出した砂時計は、この魔法が切れる時間を計っていたのだ。

 そして、消耗したMPをそのままにしたのは、私のゴーレムのMPが同じになりこうしてシェイドで精神点を枯渇させて気絶させられるからである。

 後はもう、詰将棋みたいなものだった。

 ルーファスがルーファスのゴーレムを潰しにかかる間、フル・ポテンシャルのカードを発動して私の近くに投げ捨てられた魔法剣を拾い、クリシィに加勢すると能力が落ちたクリシィゴーレムでは耐えきれずに崩壊。

 最後はルーファスの一撃でルーファスのゴーレムが潰されて、太守の幻影が現れて私達を称賛したのだった。

 

「よくやった。

 これでこそ我が戦士にふさわしい。

 汝に魔戦士の称号を送り、望みどおりの褒美を取らそう。

 さあ、何なりと申してみよ」

 

 

 

 かくして、私達は国が買えるほどの財を得て凱旋する事になった。

 





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