※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

95 / 140
魔宮の門 あとしまつ その3

「元気でね」

「ええ。ゼラ姐さんもお元気で」

「こっちはこっちで楽しく暮らしますわ」

 

 オーファン王国半分耳の森。

 ハーフエルフの里として私が作ったこの森には二十人のハーフエルフが集まって集落をつくっていた。

 そこにマティアラとリーマの家がある。

 

「ただいま」

「おかえりなさい」

 

 そんな挨拶をしながらこの姉妹は自分たちの家に入る。

 彼女たちにとって夢見た故郷という夢はここに実現したのである。

 

「今後どうする訳?」

「おとなしくここで暮らすには男を知り過ぎましたし」

「ファンの娼館で働きながら、こっちで暮らすつもりです」

 

 ここにはタラントとオーファンを結ぶ飛行船が停泊するので、このような通勤が可能だったりする。

 男の上で腰を振りつつ思ったら帰れる故郷と言う事で、こっちの家の管理は入植者の人を雇ってするらしい。

 

「私たちお金持ちですから」

「ゼラ姐様のおかげで」

 

 パーティーを離れるので退職金代わりに二人にはそれぞれ金の延べ棒を数本渡している。

 万一盗まれても大丈夫なように、アウザール商会に預けているので生活はまず安泰だろう。

 そんな彼女たちの家から帰るとこの森にあった四大魔術師の塔に足を運ぶ。

 装置が無くなった今、この塔はタラントとオーファンを結ぶ飛行船の灯台となっており、灯台守兼半分耳の森の村長でもあるマイシリカが暮らしている。

 塔の入り口でストーンゴーレムが出迎える。

 もちろん、私がゴーレム工房で作ったものでこの森の守護者として置いてゆく予定のものだ。

 マイシリカはダークエルフに狙われる可能性があるので、こういう防御については私もかなり配慮しているのだ。

 マイシリカは窓の外に佇むストーンゴーレムを眺めて苦笑する。

 

「あんなもの何処で入手したのよ?」

「オランのゴーレム工房。

 生きていたからこれからも増産されるわよ」

「本当?」

 

 マイシリカが驚くが、これがアレクラスト大陸の広さであり情報伝達の速度でもある。

 大陸全域に広がって、そこから諸国が対応に迫られるまでまだ少しの猶予があるだろう。

 

「これからこの大陸には嵐が来るでしょうね。

 その時、ここが残るぐらいには色々支援はするつもり」

 

「……あんた、一体何を見てきたの?」

 

 私のぼやきでごまかした断言にマイシリカがドンびく。

 まぁ、この後魔精霊アトンの騒動が待っているなんて言うつもりもない。

 

「私は所詮ズルをして得た力を使っているだけだから」

 

 そのズルの源が高位死霊魔術師のディアネーとカゾフの太守ハラドという強大な魔術師の知識という所が問題だったりするのだが、私が言わなければマイシリカは分からない訳で。

 

「まぁいいわ。

 ここでおとなしくとはいかないでしょうけど、この故郷は守ってあげるわ。

 あんたのくれたストーンゴーレムも使ってね」

 

「お願いするわ。

 もう少ししたら、ここの転移の扉繋げるから」

 

 私の一言にマイシリカの顎が完全に外れて私を呆然と見る。

 あれ?私、何かやらかしたかと首を捻るとマイシリカがゆっくりと確認する。

 

「あのさ。転移の扉って古代魔法王国の技術で復旧は無理なの」

 

「古代魔法王国時代はあれ基本的な装置だから復旧は簡単なのよ」

 

 あ。ここか。やらかしたのは。

 私が苦笑するとマイシリカが杖を構えて尋ねる。

 

「ゼラ。

 いや、あんた誰?」

 

「私はゼラニウムという魔術師よ。

 ただ、ちょっと古代魔法王国の魔術師の魂と融合したり知識と技術を受け継いだだけ」

 

 それがどれほどやばい事なのかを理解しているマイシリカは杖を力なく落とした。

 しばらく呻きながら私に確認する。

 

「この事を知っているのは?」

「私の古いパーティーは知っているわ。ここに住むマティアラとリーマもね」

「ギルドや学園は?」

「オーファンとオランには私が申告している。導師の地位はそれもあってよ」

 

 既にオランとオーファンが組んでケイオスランド開拓をしている事や、私を始めとした魔術師の賢者の学院受け入れ推進などで協力している事は話すつもりはない。

 だが、既に国を跨いだ何かが行われている事を察したマイシリカは確信を尋ねる。

 

「で、ここにゲートを繋げる理由は?」

「ここを守るため」

 

 後にルキアルによって発生する魔術師狩りから守るため。

 たしかに魔術師は時代の主役から去った人たちなのかもしれないが、彼らの英知と経験と歴史を否定するにはあまりにも惜しい。

 それをできうる限り残しておきたかったのである。

 

「つまり、ここが襲われる可能性があると?」

 

「だから、この塔だけは絶対に守ってほしいの。

 私が駆け付けられる時間を確保する為に」

 

「……タラントの飛行船もそれがらみね?」

 

「タラントは王妃がエルフで王女がハーフエルフという事もあるから、ここのみんなの受け入れは容易なはず。

 万一に備えて王妃あての書状も渡しておくわ」

 

 そう遠くない未来に起こるこの大陸の大混乱。

 それをハッピーエンドでというのはおこがましいが、私が関わった人たちが多く助かるぐらいの足掻きはしてもいいだろう。

 

「わかった。

 少なくとも命を助けてもらった恩もあるから私は貴方を信じる。

 で、その繋がるゲートの出口は何処になるの?」

 

 マイシリカの質問に私は笑顔を浮かべるだけであえて言わなかった。

 オラン王国。ホープの村の遺跡と地下都市を管理下に置いてゴーレム工房の移設と転移の扉の整備。更に魔力の塔の建設をゴーレムを使ってやっている事はオラン王国や賢者の学園にも秘密なのだから。




リザルト 経験点 1500+部屋通過ボーナス500+レベルクリアボーナス(9×500=4500)=6500


シャミナ
 シャーマン6 シーフ1 コーティザン5
 残り経験点5500

クリシィ
 シーフ7 バード4 ダンサー5 フォーチュンテラー1 コーティサン4
 残り経験点500

ゼラ
 ファイター3 他スキルあり
 残り経験点21000

ルーファス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。