※この作品はR-18です。

ソードワールド1.0転艶記   作:北部九州在住

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アザーン諸島攻略戦 その2

 アザーン諸島に行く場合、とにかく船の選定が必要になる。

 沿岸航海と違い、遠洋航海になるために航海の難易度もけた違いになるからだ。

 ありがたい事にそういう船は私が手に入れた船団の中にあった『水晶の輝き号』である。

 この巨船を改造して遠洋航海に耐えられるようにする必要があった。

 

「あ。ゼラ。来ていたんだ」

 

「こんにちは。ジーン。

 カゾフの盗賊ギルド幹部の仕事はどう?」

 

 この造船バブルの中でもカゾフの造船所に割り込んで好き勝手できるのは、私がこの町の功労者というのが大きい。

 海賊や邪教崇拝者の討伐に古代遺跡の発見と無茶を言えるネタがいくらでもあるからだ。

 別れてそれほど時間も経っていなかった事もあって、別の道を進んだのに前と同じように話す私たちの前で、船の大改造工事が進められていた。

 

「ゴーレムって便利よねー。

 海から引き揚げてまた戻すなんて荒業が出来ちゃうんだから」

 

「そうじゃないと、さすがにここでも無茶は言えないわよ。

 今度の旅はかなり長くなるかもしれないから」

 

「……まさか、呪われた島?」

 

「残念ながらハズレ。

 いずれは行くでしょうけど、今回はアザーン諸島よ」

 

「ああ。ついに海賊退治に乗り出すのね」

 

 このカゾフはオランとアノスの沿岸交易の拠点だったのだが、海賊のせいで不景気が続いていたのだ。

 それを取り除いたのと造船バブルのおかげで景気は上向きになりつつある。

 このバブルなのに『なりつつある』という微妙な言い回しの理由がアザーン諸島の海賊のせいだったり。

 

「しかし、大きいわね。この船」

 

「アザーン諸島あたりの技術で作られているのでしょうね。

 向こうじゃ、大商人は船を居城にしているとか」

 

 どうみてもガレオン船である。

 こいつをガレアス船にするのが今回の改造の趣旨である。

 

「私、ウッドゴーレムを操れるでしょ。

 そいつらをに櫂を漕がせるために側舷を用意するのが一つ。

 後は中の改造とかね」

 

 乗員は最大で400人という超巨大艦だが、そんな人員を確保するのも一苦労である。

 この手のゴーレムや無駄にある竜牙兵はこの人員削減対策の最たるもので、その分食料や水や資材を詰めるという訳だ。

 

「実際、私たちが捕らえた海賊や雇う水夫の人数は200人ちょっとだと思うのよ。

 足りない分は私が魔法でなんとかしないとね」

 

「海の上の戦いは、あんたやルーファスでもどうにもならないかー」

 

 戦えば無双はできる。

 だが、その戦うまでが長いのが海の上であり、船内という狭いコミュニティーだからこそ、不満が反乱に繋がりかねないのだ。

 だからこそ、最近始めたという人身売買が効いてくる。

 

「とりあえず、この間得た肉便器たちは全員連れて行くわ」

「飽きる事無く、着くまで嬲られっぱなしかぁ……いいなぁ」

「一応聞くけど、来る?歓迎するけど?」

「やめとくわ。私たちはここであんたたちの英雄譚を見届けさせてもらうわ」

 

 ストレスは私を入れた肉便器にぶつけてもらうという事で。

 真面目にジーン・マティアラ・リーマが抜けたのは大きかったり。

 その分私とシャミナとクリシィで食べ放題と駄目な発想に至ったのは内緒である。

 

「実際どうなの?」

 

 邪な考えを振り払うようにジーンの質問に私は真面目に答える。

 無双はできるが無敵じゃないのがこの世界。

 1/36ですべてがご破算になりかねないのだ。

 

「前回は魔術師が居ないと分かっていたから簡単に制圧できたけど、空を飛んでいる時に眠らされたらそのまま海へ真っ逆さま。

 ダークエルフやダークプリーストが居る可能性が高い以上、簡単に接近はできないと思った方がいいわ」

 

「だからこいつな訳だ……」

 

 艦首と艦尾に備え付けられた投石器と、ウッドゴーレムたちの下にあけられた船窓からずらりと並ぶバリスタを見てジーンがぼやく。

 この重装備はたしかに動く城と言いたくもなるだろう。

 改造中の船内に入る。

 船底の倉庫には食料と水と物資が山ほど詰まれる予定だが、実はこれは奪われてもいい物資であり本命は私の部屋に置かれる無限のバッグのセットである。

 

「調理室があるのね」

「長い航海だとどうしても体調を崩すから。

 料理はそういう意味でも大事なのよ」

 

 なお、魚を食べればという発想はその魚が食べられるかという所から始めないと毒に当たって簡単に死ぬのだが、ファンタジーは便利なもの。

 キュアーポイズンの魔法があるから行けるじゃんと気づいて作らせたのである。

 イーストエンド産の調理炉と大きな果実の鉢植えと『生命の竪琴』も用意したのは言うまでもない。

 

「あんたの部屋は当然の大きなベッドなのはいいとして、船員室の隣にあるこの部屋って……あれ?」

 

「ええ。あれ」

 

 トイレである。別名肉便器たちの奉仕部屋なのだが。

 何もない部屋のはすだが、そこの端に見慣れないものを見つけてジーンが質問する。

 

「この空の樽って何?」

「お風呂」

「へー……お風呂!?」

 

 水が貴重な航海においてお風呂なんて贅沢は味わえる訳が無い。

 そこはファンタジーという訳で、そのからくりがあったから遠慮なく使う事に。

 

「上の階調理室なのよ。で、そこの水樽から水が下に落ちるようになっているの。

 石を焼いてお湯にしてもいいし、汚れた水は精霊魔法のピュリフィケーションで綺麗にすればいいし。

 足りなくなったらコントロールウェザーで雨を降らせるから平気って訳」

 

「……何でもありね。魔法って」

 

「それでも古代魔法王国は滅んだのよ。

 色々考えさせられるわ」

 

 前の冒険で得た29人の肉便器たちだが、セイラ―スキルを忘れなかった12人は船員としても仕事をさせつつ、この冒険の間に何処に出してもりっぱな娼婦として使われる程度に使われ続けた事を先に記しておく。

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