アテナの目を抉り取って医療班に診せたのち、アロイスは彼女の両手首と両足首をそれぞれ縛りつけて自分の天幕内の隅に転がらせた。
放置されたまま無為な時間を過ごすアテナは、大量の出血のせいもあって気を失うように眠りに就く。
眠る少女を苛むのは、ゼダンによって故郷を滅ぼされた過去の悪夢。アテナは飛び起き、夢と
そのとき、時刻はすでに丑三つ時となっていた。同じ天幕内にて眠りに就いていたアロイスは、その喚き声によって起こされた。このままでは眠ることができないと、アロイスは布を持ってきて猿轡のようにアテナの口元に噛ませる。
しかし、アテナは一向に落ち着く気配がない。
「フウウゥゥッ!! グゥゥゥウウウッ!! ウウウウゥゥゥッ!!」
「あのなぁ、お前さん。俺だってなるべくなら、その四肢を奪いたくはないんだよ。命の奪い合いは全力でこそ、だろう?」
暗い天幕内。布を噛まされながらも呻き続けるアテナの傍らにしゃがみ込み、転がる少女を見下ろしながらアロイスは言う。
「グウウウゥゥッ!! ウウゥゥゥゥッッ!!」
「四肢を失って、自ら死ぬこともできないで……俺にただぶち込まれるだけの穴になっても良いというなら、もちろん俺は構わないがね」
「ウゥゥッ……!! グウゥッ、フゥゥッ!!」
「あぁ。一度、その使い勝手を試させてもらうのも悪くない」
衣の破れる無慈悲な音。
アテナが息を呑んだことで、絶え間なく続いていた呻き声が初めて
アロイスは目を細め、口端を上げる。そして少女の反応を楽しむように自身を取り出し、その眼前へと突きつけた。
「なんだ、見るのは初めてか。そうだろうなぁ、いかにも男など知らなさそうだ。その初物をこれから頂くと思うと……ふふ、いいね……ノってきた」
「ウゥッ、グウゥゥゥッ!!! フウウゥゥッ!! グゥッ、ウウゥゥゥッ!!」
「はぁっ……はは、抵抗したって無駄さ。あぁいや、そのまま無為に足掻き続けてくれて構わない。その方が……フフッ……興奮……する、からな……」
「グウゥッ!? フウゥッ、ウウッ、ウウウゥゥゥッ!! ウゥゥゥッ!!」
「はーっ……はぁっ……はは、お前さんを眺めながら触るだけでも、こんなになるとは。さぁて、どちらにしようかねぇ……前か、後ろか……」
「グゥッ、ウウゥゥゥッ!! フゥッ、ウゥッ! ウウゥッ、グウウゥゥッ!!」
「そうだな。やはり、初めての経験を得るお前の顔を拝みたい。……なぁ、アテナ」
ねっとりと紡がれる己の名に、少女は身の毛のよだつ思いを抱く。アテナは生理的に顔色を青ざめさせながら、それでも逸らすことなく男を睨みつけた。
「お前の処女を奪った相手が誰か……その全身に、刻みつけな!」
「ッ゛……!!?」
破瓜の音がした。
それは相手を想いやる情愛など一切ありはしない、ただ欲望を好きに叩きつけるだけの、あまりにも無惨な音だった。
男はぎらぎらと眼を光らせ、熱く浅い呼吸を繰り返しながら自身を打ちつけ続ける。
身を裂く激痛に苛まれる少女はただ目を剥き、叫び、流血するばかり。それらすべての要素も興奮材料としかならないのか、男は口端を歪めながらより一層動きを速める。
「ッゥ゛ア、ァ゛ッ゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッッ!!」
「はぁっ、はッ、はァっ……!! ッハハハ、ほら、どうした! 殺すんじゃなかったのか、この俺を!!」
「グゥ、ッ、ぎ、ィ゛、ッ゛ッッ、ァ゛ッ、アッ゛、ア゛ァッ、グぃ、ァ゛ッ、アッ、ァ゛ッ!?」
「ハッ、はぁッ、……あァ、布、取るか。ほら、聞かせて、くれよッ、……その、声、をッ!」
「ッ、ア゛、ゲホッ、が、ァ゛!? ッ、ア゛ッ……っや、あ゛、ッ、ア゛ぁぁぁッ!! やッ……いッ、だ……いた、い……ッ゛!! ひ、ぐっ、ぅ゛ッ、あ゛ッ、ぅあ゛ッ、ぁっ゛ッ、ァ゛ッ!!」
「はっ、はぁっ、ハハッ……こいつは……想像、以上……っ! ック、はっ……はァっ……ハッ、はっ……オラッ! 気を、遣るなよッ! ハッ、はぁ、ッ……ハハッ、はははははッ!」
狂人にも似た笑い声。肉のぶつかる音。死の淵に立つが如き女の絶叫。
男は欲望を打ちつけ、快楽を貪り、哀れな少女を蹂躙する。
ただされるがままのアテナが、正気を保っていられるはずもなかった。
「ぅッ゛、グっ、あ゛っ、ああ゛ッ……ッ、ぁッ、あ゛……ッ!! や、ら……ぁッ゛、ぃ゛っ、あッ゛……ふ、ぅ゛……や、ッあ゛……!」
「ハッ、はっ、ハァっ……! っ、出す、出す……ハッ、オラッ、全て、飲み込めッ! ッ、ぁっ……ハッ……! 出す、ナカ、に……ハッ、……ッ、ぁ……!」
「や、ぁ゛っ゛……ッ!! やァ゛……だめ……ッ゛、……やめ、て、ぇ゛……ッ゛! っ゛、ぁ゛ッ、ぁァ゛っ、ッ゛!! ぁ゛、や、ぁぁッ゛、あ゛ッ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ゛ッ゛!!」
潰しかねない勢いで男の体は自身よりずっと小さい少女を押さえつけ、包み込み、限界まで密着させる。そして微かに背を揺らし、少女の最奥へ己の欲望を吐き出した。
「……ァ、……ぁ……、……っ、あ……」
「はーっ……はーッ……、……あ? おい、気を遣るなと言っただろう」
「っ……ぁ……!? はぁッ、あ゛っ……ぁぁ、は、ァ……っ」
アロイスは意識を失いかけている様子のアテナを揺さぶり、無理矢理に現実へと引き戻させる。
ぼんやりと開かれた哀れな少女の目は、明らかに今までのものとは異なる感情を示していた。
「……ぁ……、……あ、あぁ……」
「っ、ふふふ……ハハッ、いいね、とてもいい……男を知った、女の顔だ。いや、恐怖と絶望の色と言うべきか?」
「……っ、…………、……」
「……おい。起きろと、言っているだろうッ!」
「っ゛っ゛い゛ッ、あ゛ぁ゛ぁぁぁああああああああああああ!!??」
ずくん、と。男が急な律動を再開すると同時に、少女の口からは絶叫に近しい悲鳴が上がる。とめどなく涙を流す瞳は完全に光を失っており、その思考はとうに正常な働きなどできなくなっていた。
「ふ、ぅ、ぐっ、ぅ゛、ッ、ぐ、ぅッ、ッあ、ぁ゛、ぁっ、ァあッ……!? や、ら……もっ……もぅ、いゃッ、ィ、だッ……や、ぁ……やぇ、て、ぇ……!!」
「くくくっ、簡単に終わらせなど、するわけがないだろう。ほら、まだまだ……叫んで、くれよッ!」
「ッや、ぁっ、ぁ゛ぁぁあああああああ!! あ゛ぁああああッ、ぃ゛ッ! いだ、ぃ゛……! や、ァ゛っ、こわ、れッぁぁぁぁあ゛あ゛!! もぅ、や、ぁあああああッ!!!!」
「痛いか? そうか痛いか、可哀想になぁ! ックク、ほらッ、もっと、泣き喚け! っは、はぁっ、はははっ、俺は気持ちいいよ……はッ……お前のカラダ、最高じゃないか!!」
ついぞ味わったことのない快楽と興奮に、男は身と心を震わせる。
ついぞ経験したことのない激痛と恐怖に、女は喘ぎ、叫び、ただひたすらに涙を流す。
意識を失うことさえ許されぬ、無限に続くかと思われる地獄の時間。この恐ろしき一夜の記憶はアテナの身に強く刻まれ、生涯忘れ去られることはなかった。