ネルフの研究棟に設けられた、リツコの仮眠室。役職持ちの上級職員である上に『ゲンドウも使用する』関係から、大きめのベッドが据え付けられ、シャワールームまで備えてあるその場所に、人影が2つ。
その一方は、部屋の主である赤木リツコ博士。
そしてもう一方は、ネルフに忍び込み、赤木博士を勧誘しに来た第3使徒サキエル。
実に絵になる美男美女、あるいは美女と美女。
そんな2人の空気はしかし、甘いものとは言い難い。そこにあるのは緊張と葛藤。
今しがたまさに、『魂を売った』リツコの状況を鑑みれば、それも当然の事。だが、そんなリツコの葛藤を見透かすように、サキエルは彼女と正面から向き合うと、その華奢な身体を優しく抱きしめた。
その抱擁は、性欲に飢えた男のそれとは異なり、ただただ優しく穏やかなもの。自分より背の高い身体に包まれて、優しく頭を撫でられる。
その状態は『良い大人』であるリツコにとっては気恥ずかしいもの。だが、『ただのリツコ』はどういうわけか、ただ無言でゆっくりと撫でられるその状況を甘受し、『喜び』の様なものを感じていた。
それはきっと、下心が透けて見えぬが故の事。女の聡い直感力は、男の下卑た欲を見透かしてしまうものだが、こと眼前のサキエルに対しては、その感覚が全く働かないのだ。
それよりもむしろ、頼り甲斐や包容力とでも言うべき要素を強く感じてしまう。
それ故だろう。リツコの感情はいつのまにか平静を取り戻し、緊張から解放された精神は、一転して色欲に覆われる。
————今から、性行為を行う。
その状況に対して、何も感じぬものなど居りはしない。ただリツコにとって、今までその状況において感じてきたのは『恐怖』『嫉妬』『自棄』などの負の感情が色濃かった。
だがどうだろう。言葉を交わしていないのは同じ筈なのに、『今までの相手』と『今の相手』でこうまで感情が変わるとは。
今のリツコの心中に渦巻くのは『期待』や『興味』。人外と情を交わす事への興奮だ。
仮にもヒトである『あの男』に対しては恐怖していたのに、使徒を相手には恐怖の感情が湧いてこないというあたり、リツコという女は、本当にどこか壊れているのだろう。
あるいは。目の前の使徒が、それほどまでに心の隙間に入り込むのが上手いのか。
「……落ち着いたかな? お互いにとって楽しい時間を過ごしたいからね。まだ辛い様なら、決して無理はしないで欲しい」
「ふふ、優しいのね?」
「そうかな? 女性と肌を重ねるなら、優しくするのは前提条件だろう?」
そう言って微笑むサキエルは、じっとリツコの眼を見つめてから、その額に軽く口付けた。
それだけで胸が弾むのは、流石に生娘の様で恥ずかしく、そして同時に、こうした甘い愛撫を受けた経験は初めてなのだと自覚してしまう。
そう、自覚してしまったのだ。
そして、気づいてしまえば、もう抗えない。優しく扱われる快感。女達が一度は夢見て、現実を見て折り合いをつけていく、『素敵な人と優しく結ばれる』という願望。
女学生が学習ノートの片隅に落書きした妄想の様な、甘い夢想。それを具現化した存在が、目の前にいる。
そう認識してしまったリツコの中で、閉じ込められていた少女の自分が、目を覚まし。
そして、そうっと、目を閉じた。察して欲しいと願って。察してくれると、確信して。
————それに対する返答は、啄む様な甘いキス。リツコの唇が求めれば、求められただけ応じ、決して無理強いはしないその口付けは、息継ぎを挟みながら続けられ、リツコの身体をいよいよもって発情させる。
「……サキエル」
一言そう呼びかけてみれば、一瞬にしてリツコの意を汲んだサキエルは、彼女を優しく抱き上げて、そっとベッドに横たえる。
リツコの頬に添えられた指先は触れるか触れぬかの距離で、つぅ、と肌の上を滑り、首筋を経て彼女の着衣のボタンに至ると、実に器用にそれを外し、あっという間にリツコの肌を曝け出させて、その白い肌に再び指先が踊っていく。
その愛撫が恐ろしいのは、触れられるたび、リツコが感じる快感が増えていくという点。
リアルタイムでリツコの性感帯を解析しているサキエルの奉仕は、力加減、タイミング、撫で方といったその全てがリツコを狂わせる要素に満ちており、リツコは自然と甘い喘ぎを漏らしてしまう。
そうしてしばし、リツコはサキエルの指先で奏でられる身に甘んじた。性器にも触れず、胸を弄るわけでもなく、『肌を撫でられているだけ』で、リツコは軽く達してしまい、パンティのクロッチにジワリと滲みでる愛液が、彼女の興奮を言葉以上に物語る。
だが、そこでリツコは、サキエルを軽く押し退けた。
「……これ以上焦らされたら、狂ってしまいそう……だから、ね……?」
そう告げて自らの手で衣服を脱ぎ去り、一糸纏わぬ姿となったリツコは、その勢いのまま、サキエルを押し倒して、その衣服を脱がせにかかった。
幸い彼は、デニムとシャツのシンプルな服。興奮したリツコでも服を脱がせるのに困ることはなく、リツコの眼前に産まれたままの姿の天使が現れる。
ささやかな胸の膨らみ。男の筋肉美と女の曲線美を兼ね備えた芸術的な肢体。そして『何もない』股間。その姿を興味深そうに、かつ興奮した様子でリツコが見つめるその中で、組み伏せられているはずのサキエルは、リツコを抱き寄せ、その唇にキスを落とす。
絡み合う舌。互いの身体を弄る手。だが、己が興奮の為にサキエルを貪るリツコに対して、サキエルのそれはリツコの快楽だけを考えた『愛撫』。
貪れば貪るほどに与えられる快楽に、リツコははしたなくもその女陰をサキエルに擦り付けながら、ただただ溺れるのみ。
そして、『リツコの欲望』に応じたサキエルが陰茎を形成すれば、彼女は迷わずその剛直で自身を貫いて見せた。
この行為に名をつけるのならば、『人間を使ったオナニー』。今まで貪られるばかりだったリツコが貪る側に回ったその性行為は、酷く淫靡で自己中心的。
「もっと、もっと、もっと————!」
無意識にそう呟いて、リツコはサキエルの上で腰を振る。乳房を揺らし、汗を滴らせるその姿は、一般的観点で見れば淫らで浅ましいものに映る事だろう。
だがこの行為は、リツコにとっての『禊』であった。
貪られるばかりだった己との訣別。快楽の為に使われるのではなく、快楽の為に使う側として振る舞うその行為は、彼女の心の声なき叫びであり、鬱憤の爆発。
そうしてリツコが全てを吐き出して、崩れ落ちてからが、サキエルにとっての本番となる。
フラストレーションを吐き出して、緩んだリツコの心の壁を中和し、侵食し、プライドと世間体を黙らせて、その心の奥底から、子供としてのリツコの心を引きずり出したのだ。
それは恐らく、彼女にとっての根源。
母の愛に飢え、同時に自身を取り巻き始めた下卑た視線に怯える、思春期の少女の記憶。
そんな彼女を優しく癒すかのように、サキエルは彼女の頭を胸元にかき抱くと、自身の肉体を女性に寄せる。
膨らんだ乳房に顔を埋める形となったリツコ。そんな彼女に乳首を含ませたサキエルは、その先端から乳汁を溢れさせながら、リツコの頭と背中を優しく撫でる。
「りっちゃんは可愛い良い子。頑張り屋さんで、真面目で、優しい子。でもちょっと、頑張りすぎて、疲れちゃったよね。苦しかったよね。大丈夫、僕が守ってあげるからね」
そんな言葉を耳元で囁いて、自身に縋るリツコを、我が子のように慈しむサキエルは、リツコの身体を今一度、優しく愛撫し始める。
「……なんだか恥ずかしい」
「ふふふ、りっちゃんにとって『男』が貪る対象になるのなら、甘やかすには僕が『女』になる方が都合が良いでしょう? さぁ、じゃあ、りっちゃんのここも可愛がってあげないとね?」
そう言って、サキエルはリツコのクリトリスを優しく指でつつくと、上体を起こし?リツコに授乳したままその女性器や胸を愛撫できるように、リツコを横抱きにする。
その姿勢は、ミケランジェロのピエタに似て非なる『授乳手マン』の体位であり、リツコの渇いた魂を母性と肉欲で溺れさせる為のもの。
甘い乳を啜り、性感帯を刺激され、白魚のような指で秘裂を掻き回されるその状況は、リツコから余裕のある思考を奪い、ただただ貪り切れぬほどの快楽の渦に彼女の魂を引き込んでいく。
何もせずとも与えられ続ける愛と快感。それは堕落という精神の毒であり、依存という愛の毒であり、背徳という魂の毒。
だがリツコはもはや、自ら進んで毒杯を呷る事しか出来ない。いや、それ以外したくない。
ただ、ただ生きているだけで愛して欲しかったのだ。優秀で在る事ではなく、娘である事で愛されたかったのだ。
だから、この甘い毒には耐えられない。
「ママ……」
「なぁに? りっちゃん」
「もっと欲しいの……気持ちいいのが欲しい……」
「ふふふ、りっちゃんは正直に言えてとっても良い子だね。じゃあもっと気持ち良いのをあげる♡」
そう告げた直後、サキエルは『増えた』。と言っても、コアによる分身ではない。2人目のサキエルと1人目は背中から伸びる紐状の器官で繋がっており、『厳密には増えていない』のだ。単にそういう形に変形しただけである。
そして2人目のサキエルはリツコの股間に顔を埋め、長く伸びる舌を挿入しつつのクンニリングスを開始する。
直感的に『汚い』と感じてしまう女陰を舐めるという行為だが、快楽と共にリツコが感じたのは『圧倒的な包容力』。自身の穢れに口付け、それを舐められるという体験は、『全てを受け入れられている』という実感をリツコに齎らしたのだ。
そして、手が4本に増えたのならば愛撫の数が増えるのも自然な事。授乳している1人目が上半身、クンニ中の2人目が下半身を担当し、徹底的に性感帯を開発することで、リツコは今や全身が性感帯として機能し、何処かにサキエルが触れるたびに甘イキして潮を噴く有様となっている。
もはやベッドの上にいるのは、赤木博士でもなければ、赤木リツコでもない。
幾重にも重ねた大人という名のATフィールドを全て中和された結果赤ちゃん返りし、おっぱいを飲んでおもらしをする『りっちゃん』がいるだけだ。
「ママ、ママ……」
「はいはい、ここに居ますよりっちゃん。どうしたの?」
「ちゅーして」
「りっちゃん可愛い♡ ほらこっちむいて♡ ママとちゅーしましょうね」
とんでもない猫撫で声のサキエルも、今はただ、優しいママとしか感じられない。感じたくない。
母の娘であるだけで良かった赤子の状態。それはリツコにとっては『存在しない過去』であり『魂の欠けた部分』。それを埋めてくれる新しい『ママ』に対して、リツコはただ、許される限り甘えたかった。
そして、それが許され続けるが故に、リツコの魂が負った傷跡は、サキエルという存在で埋め立てられていく。
やがて、リツコの中の赤子は泣き止み、リツコは正気に返って赤面しつつも、それでもサキエルの与える愛と肉欲に、今度は大人として溺れていく。
「……私、とんでもない真似をしてなかったかしら」
「可愛かったよ? ……ATフィールドの奥底に隠された、剥き出しの君は、どうやら寂しがり屋の女の子だった、というだけのこと。恥じるような内容ではないさ。催眠療法で幼児退行したとでも思っておくと良い。実際そうだしね」
「……あなたが悪ノリしたのもあると思うんだけど?」
「僕は君の求める愛を与えただけ。実際ほら————気持ちよかったし、今も気持ち良いよね?」
そう告げて、少しばかりクンニの吸い付きを強めてやれば、リツコは面白いように身を跳ねさせてイキまくる。そして、少しばかり拗ねたような表情で、思いっきり乳を吸うのだ。
サキエルからすれば『可愛いなあ』というしかない。満足して心の中に引っ込んだとしても、リツコの本質は『母を求める赤子』なのだ。甘えん坊なその魂は、無意識のうちにリツコをサキエルに甘えさせている。
そして、甘える我が子に対して母であるサキエルは、無限の甘やかしで迎え撃つのだ。
「りっちゃんは本当に可愛いね」
そう言いながらそっと髪を撫で、リツコを『望み通りに』イキまくらせるべく愛撫の手を強めるサキエル。
* * * * * *
その後、サキエルとリツコの赤ちゃんプレイはリツコが体力の限界に達して寝落ちするまで行われ、サキエルのおっぱいに埋もれながら眠ったリツコは、数刻の仮眠の後に目覚め、自身を抱きしめるサキエルと甘い言葉の応酬を交わす。
「おはよう、リツコ博士。よく眠れたかな?」
「ええ。……夢のような、悪夢のような、淫夢のような記憶があって恥ずかしいけれど」
「魂を露出させたなら、誰しも『ケダモノ』を剥き出しにしてしまうものだ。リツコ博士は飼っているのが『甘えん坊な赤ちゃん』な分可愛い部類だよ? 寝顔も可愛いしね」
「……もう。照れさせないで頂戴?」
「ふふ、ごめんごめん」
「怒っては無いけれど。…………そういえば、私、ピロートークするの、初めてだったのね」
「おや、そうなのかい?」
「ええ。……あの人にとっても、貴方にとっても、私は駒に過ぎない。それなら、大切に可愛がってくれる方に、私は進むわ」
「そうか。ありがとう。……これからよろしく、リツコ博士。……でも、こんなに可愛い僕の赤ちゃんを駒扱いは難しいかも知れないね」
「……もう」
そう言って、リツコは照れ隠し混じりにサキエルを押し退け、押し倒すとその乳首を甘噛みし、滲む母乳を吸い立てる。
その行為はやがて目覚ましがわりのセックスにまで発展し、結局リツコは珍しく重役出勤となってしまうのであった。
エロ作家としての名義は下手物喰らいなのですが、名前変えるのも面倒なので黒山羊のままで……
そっちの名義の代表作は業深迷宮日誌。あとはDLサイトでドスケベ同人音声が出てたりするぞ! よければそっちもよろしくね!