主人公は痴女(クソ真面目)
天井から吊られている女は、顔色一つ変えずに目の前の人間に鋭い目を向ける。
「……この程度で驚かれると、些か困りますわ」
「流石、対魔忍の面汚しといったところかしら? 貴方にとっては、これすらも修行なのね」
最強の対魔忍、井河アサギは目の前で宙吊りになっている女から視線を外しつつもそこに立っていた。
アサギとて数々の歴戦をくぐり抜けてきた猛者である。これまでの人生で、数多の修羅場をくぐり抜けてきたし、それと同じほどに酷い事や残酷な光景も見てきた。
それでも、アサギは目を逸らす。
自身と共に最強の名を欲しいままにできるほどの力を持ちながら、「面汚し」の名を甘んじて受け入れるその女から。
「膣宮
「私も着る時は着ますわよ? 着衣プレイの気分の時だけですけれど」
全裸の女は、それは見事な肉体美を誇っていた。
すらりとした脚線美を描く長い足に、引き締まった縦に割れているウエスト。真っ白で柔らかく、重力に従いつつも形を損なわないバスト。
おっとりとした、やわらかそうな目つきとふっくらとした唇。その全てが、美しい女であるという証明である。
女は、その美しい身体を隠すこともなく天井から吊るされていた。それが女の修行のひとつなのだ。
その美しい足を180度に大きく、まっすぐに開いている。恥じらいも何もなく大きく具まで開かれた女の壺に深く刺さった張型からは鎖が伸びていて、その鎖が天井に吊るされているのだ。
つまり女は、自身の膣圧だけで己の体重を支えているのである。
並みの人間ならば羞恥心から顔を歪めているだろうが、この女にとっては些事であった。
「……まぁ、いいでしょう。貴方をからかうのも楽しいけれど、帰られてはつまらないですからね」
膣の力を抜いて、ふわりと床に足をつける。重力を感じさせないその身のこなしは、女の実力の高さを如実に示していた。
そうして、その場には急に重みから解放された鎖と張型が、ばるんと跳ね返る。その際に、張型についていたたっぷりの愛液がアサギの足元にまで飛び散った。
「……天性の肉体、というヤツね」
「うふふふ……褒めても何も出ませんわよ、井河さん?」
それほどまでの愛液に塗れた張型で、膣圧のみの力を持ってして自身の体重を支えるなどと……常人においては、まず不可能である。
たとえば、粘り気の強い野菜の代表格である長芋の皮を剥き、糸を引くねばねばのとろろを大量に出した状態で、長芋を手で強く握ることは可能だろうか?
とろろに塗れた長芋だけで、自身の肉体を支えることはできるだろうか?
……不可能である。
その握る力が強ければ強いほど、ぬるりと手から飛び出してしまうからだ。
しかし、膣宮はそれを、己の膣圧で体現しているのだ。
とろろよりも粘り気が強く、ローションよりも潤滑能力の高い膣宮の愛液は、一度触れば水で洗い流さない限りはまともに物が掴めなくなるほどの異常性を持つ。それでもなお、膣宮の膣肉はそれを凌駕する繊細な筋肉を持っているのだ。
膣宮 灰汁芽は、最強の肩書を得るアサギですら脅威と感じるほどの対魔忍である。
掌を突き出せば壁が割れ、足を蹴り上げれば大岩を砕き散る。韋駄天の如き能力を持つアサギですら追いつかれるのではないかというほどの反射神経と、恐るべき瞬発力。
その見た目からは想像もつかないほどの才能を持っている。肉体における戦闘能力でいえば、修行を積んでいるアサギと同等と言えるだろう。
しかし、その優れた才能を伸ばす事をせず、彼女はただ一点のみに力を注ぎ続ける。
———いわく。
天性の肉体を持ち、しかし房中術の担い手。
———いわく。
神に見染められた肉体を持ってして、神に背いた者。
———そしていつしか、女は。
頂点に至れる才能を持った、対魔忍の面汚し。
そのように呼ばれるようになったのだ。
* * * *
着込んだ対魔人スーツの色は柔らかな印象を与える萌黄色……の筈だが、薄く透けるラバー素材のようなそれは隠す機能を失い、卑猥な印象を与える服装になっている。特に、胸全体と股間周りを意図して切り抜いたようなデザインは痴女という他に言い表す言葉はなかった。
かろうじて、隠さねばならない所だけはしっかりとした素材で隠されているものの、その範囲は極端に少なく、逆に目立っている。
胸の先端をタッセルがぶら下がったニップルシールで隠すなど、露出しつつも最低限のマナー(?)を守り、しかし見るものが目を逸らしてしまうほどの卑猥さ。それらを全て両立させる服装と言えるだろう。機能性はない。
そんな女は、当たり前のように暗い影の中からぬるりと現れた。高度な気配遮断技術であり、戦闘慣れしたものでもすぐに判断できるものではない。
「こんばんわ……井河さん?」
「膣宮!? なぜここに……」
しかし、出たところが問題であった。
国内屈指のハイレベル・ハイセンスな高級ホテルの最上階に位置する三つ星レストランの窓際。ロマンティックな都心の輝きが一望できる絶好のプロポーズポイントである。
料理も評判が高いだけに、綺麗な服を身につけた人々が歓談を楽しみながら食事をとっている。そんな中で、アサギの目の前に座る女だけはあからさまに浮いていた。
女は、頬杖をつきながらもアサギの顔をじっとりと眺める。
大きくて白い、もっちりとしたたわわな柔肉の巨乳がふにゅりと形を変えるのにあわせて、乳首に付けられたタッセルがさらりと動いた。
「な、な、な……なんて格好で来ているの!?」
「やめてくださいまし、ここの客は全員私を認識できずにいる……1人で騒いでいるように見えますわよ?」
「貴様……ッ!」
それよりも、と女は話を進める。
「彼氏さん、遅いようですわね」
「!」
膣宮とアサギは、昔からの馴染みであった。
共に将来を期待された対魔忍であったから、よく競争をさせられたのだ。
しかし、それだけである。
膣宮にアサギの彼氏……恭介のことを話した事は、なかった。
膣宮はアサギに興味がなかったのか、己で房中術を極め続け、そしてアサギもまた膣宮とは距離を置いて過ごしていた。
同い年どうしの2人だが、しかし仲はそれほどまでに良くなかったのだ。知り合い程度、といった関係性である。
「先に言っておきましょう。事態は一刻を争っていますわ」
「……まさか、恭介が何かに巻き込まれたというの?」
それを肯定するように、膣宮は懐から映像端末を取り出した。
「これは……な、お、朧!?」
アサギの彼氏———沢木恭介が、かつて殺した筈の裏切りの対魔忍 朧によって拉致される光景。怯えるように後退りする恭介が、朧の部下に捕まる光景を、かなり遠くからズームして録画したような映像である。
絶句するしかなかった。まさか、あの朧に捕まるなんて。見間違えるはずがない。確かに、映像には朧が写っているのだ。
ありえない、何故なら。
「そんな……朧は私が殺した筈だ!」
「しかし生きている。……それが答えでしてよ?」
しっかり壊し尽くさないと、とその柔らかそうな物腰には到底想像がつかない冷ややかな言葉が口から溢れる。
アサギは朧を切り刻んだ筈なのだ。その肉体を10片の肉塊に変えた。これでもう死んだだろうと、しっかりと殺し尽くした筈だ。
だが、そこに映るのはまぎれもなく、朧である。
「……膣宮、お前がなぜこの映像を?」
「———対魔忍の面汚しとも言われる私に、任務が与えられましたわ」
基本的に、膣宮に任務が与えられることはまずない。
それは面汚しという不名誉な通り名が原因であった。
しかしそれでも、例外はある。———例えば、政府からの直々の依頼だったり。
「貴方も疑問に思いませんこと? 最強の対魔忍と誉高いのだもの、大切な彼が狙われたっておかしくないと、常に警戒は怠らなかった筈ですわね? なぜ、彼が敵の手に落ちているのでしょうか?」
「……まさか、密告者がいたのか?! それで、恭介の情報を流して……!」
「貴方に復讐を遂げようとする者は多くいますわ。それだけに、貴方の大切な人の存在というのは……それは価値のあるものでしょうね」
アサギは考える。
何故、アサギの彼氏の情報を流す者がいるのか。何のために、どうして……
恭介の事を知っているのは、ごく限られた人しかいない。しかし、その中に情報を流して得するような人は誰1人としていない筈なのだ。
最強の対魔忍の、唯一の弱点。
それを敵に流すことによってメリットを得るのは……つまり、恭介のことが邪魔な人間だというのか?
恭介の存在を知り、尚且つ彼のことが邪魔であろう人間。
アサギは唯一、そんな人物に心当たりがあった。
「まさか、長老だと、言うのか……?」
恭介との交際を機に、対魔忍を辞めたアサギ。
それに対して最も渋っていたのは、アサギの祖父でもある対魔忍の長だ。
邪魔な恭介さえいなければ、アサギが対魔忍に復帰するかもしれない。長がそう考えたのだろうと、アサギの頭の中でピースが繋がってゆく。
「私はこれより、政府の命により粛清にいきますわ。くれぐれも、私の邪魔などせぬように。……まぁ、今からノマドのアリーナに向かう貴方には関係のない話ですわね」
「そこに、恭介が……」
ノマドのアリーナ、という言葉にアサギは心当たりがあった。確かに、以前から主要的なアジトだろうと掴んでいたところである。
「伊河さん———私は貴方とはあまり親しくありませんし、深く知ることもありません。……ですが、あなたの運命に哀れみを覚えたのも事実。これは、私のエゴに他なりません」
———抗いなさい、彼のことを愛しているのなら。
それだけいうと、膣宮は椅子を立った。
これから任務だと言わんばかりに、ゆらりと手足を伸ばす。
「膣宮……待てっ!」
そうして、するりと溶けていなくなる膣宮。
アサギは覚悟を決めると、連絡のつかない携帯を握りしめて立ち上がったのであった。
* * * *
「恭介ェェエッ!」
剣を振るう。敵を薙ぎ倒す。
数ヶ月ぶりのその行動は、しかし最強と言われたアサギにとって慣れたものであった。
銃撃を掻い潜り、敵の頸動脈を掻き切る。相手が倒れ伏せる事を確認する前に、次のエリアへと身体を走らせる。
人の命をゴミのように刈り取っていくその姿は、まるで修羅のようであった。
「恭介……!」
「おやおやぁ? 随分と早いおつきだねぇ。アタシ達から迎えにいこうと思ってたけど、手間が省けて助かったよ? ……アサギ」
捕らえられていた恭介が捕まっていたのは、大量の機械が取り付けられた部屋であった。
そこで全裸になって、身体中にさまざまなチューブを繋がれて拘束されている。
———それは、とてもおぞましい実験であった。
恭介の端正な優しい顔立ちの半分は、紫色の血管が浮かび上がっていた。もはや下半身に人の形はなく、獣のような骨格と、恐ろしい爪の尖った異形へと変わっている。
額からは大きさがまばらな角が2本生えており、髪の半分が過度のストレスから毛先だけが白くなっていた。
それは、アサギにとってはあまりにも残酷で悲しい光景だった。
ガラス一枚越しに、痛みから身を捩って苦しむ恭介の姿に、思わず言葉を失う。
「アサギ……ィっ」
苦しそうな、掠れた声だった。
どれだけ叫んだのだろうか。口からはぜいぜいと掠れて痛々しい呼吸が聞こえてくる。手首の拘束を無理にでも剥がそうとしたのだろうか、手枷のかかった部分には紫色のアザがくっきりと浮かんでいた。
「感動的だねぇアサギ? おっと、機材を壊したら、おたくの大切な王子様も死んじまうからねェ?」
「………………朧」
アサギは強く、朧を睨み付ける。
その表情は憎悪に濡れて、ひどい殺意を抱いた顔であった。端正な顔立ちが怒りで歪んで、煮えたぎる感情全てを込めて視線で射殺さんとばかりに。
———朧を、見ている。
あの日、事務的に朧を殺した冷たくも感情の篭っていない目ではなかった。明確な殺意と、朧だけを見ているという事実が、朧に満足感を与える。
「ンッフ、ウフフ、ウフフフフッ! アッハハハハハハハ!
ザマァみやがれアサギィ! かわいそうに可哀想にねぇ? プロポーズされると思って、超高級三つ星レストランでキョースケくんを待ってたのにィ? あーあーあー! ざぁんねん、愛しの王子様は哀れなバケモノに改造されてしまいました! 哀れ無様可哀想に、なぁんて悲劇のお姫様かしらねェ? キスしてみる? アハッ、キスしたってお前みたいなヒトゴロシにヒロインぶった奇跡なんて起きないけどねェ?! アタシを殺した血塗れの手に結婚指輪を期待したのかい!? お前に幸福なんて訪れない。アタシがお前だけは殺し尽くしてやるんだ……アハッ」
そうして、朧は———己の武器を両手に掲げる。それは、今日までにアサギの血を吸わせようと毎日丁寧に研ぎ続けた鋼。
銀色に美しく光るそれに、アサギの顔がきらりと写り込んだ。
「ここがアナタのブライダル。素敵に生まれ変わってる新郎と、人を殺して血塗れの花嫁。アタシは神父で、ふたり揃ってこの刃で地獄に……ハネムーンに連れてってあげる」
「死ね」
アサギは、短く呟いた。余計な言葉は不要だった。
そして、閃光がぶつかりあう。音をおいて激突した両者は、すぐさまその身を反転して続け様に相手の命を刈り取らんと腕を振るった。
「恭介をッ!!! 元に戻せェエエエッ!」
「機械ぶっ壊してみたら? ま、そんなことしたら頭壊れちゃうけど……ネ? アッハハハハハ!」
「朧ォ……朧、朧朧オボロお前貴様ァッ!」
互いに、譲れない戦い———少しも気を許す事なく剣を振るって、相手をいかに殺すか考える前に身体が動いていく。どちらともに、殺意に満ち満ちた決闘であった。
アサギの剣が、朧の腕を掻っ切る。朧の鉤爪が、アサギの腹を掻っ切ろうとして宙を裂く。その隙をついてさらにアサギは朧の肉体を切り刻み、あたりには徐々に真っ赤な血が飛び散り始めた。
———アサギは、あまりにも強かった。
朧がアサギの肌に少しの引っ掻き傷を与える間に、アサギは朧の肉を切り飛ばして明確に死を与えようとしてくる。
「ぎぅッ……! こンのクソ対魔忍がァッ……!」
このままでは、拉致があかない。
自身が優位に立ってアサギを屈服させ、地べたに這いずらせて屈辱の限りを味わせて、そうして殺さなくてはならないのだ———朧はその執念から、己の手で決着をつけることを諦める。目的はアサギと決闘することではないのだから。
朧が今持つ最大のアドバンテージ……それは、アサギの大切な彼氏の命を握っていることなのだ。
「……調子乗ってんじゃないわよ、アンタの大切なカレシくんは全てアタシにかかってんだよッ! 生かすも殺すも自由なのさ!」
「———楽に死にたければ、今すぐ恭介を元に戻しなさい」
明確な死が、朧に向けられる。
それに屈するわけにはいかなかった。その死の淵から、屈辱を覚えながらも這いずり上がってきたのだ。再び、その泥沼に戻るわけにはいかない。
今度は、今度こそは憎きアサギをその泥沼に引き落としてやらなくてはならない。
そうしないと、朧の中で渦巻いている死の屈辱から解放される事はないのだ。
そのためならば、どんな手段を使っても構わなかった。
———アサギを、なんとしてでも絶望に塗れさせなくてはならないのだ。
「ッ改造度200%越えッ! 感度3000倍化! 全感覚器の神経3000倍化ッ! 精神保護回復薬原液投下ッ!」
怒りに任せて、朧はありったけの命令を機械に下す。
途端、ガラス越しに苦しみ悶えていた恭介の身体が、ますます異形へと変わってゆく。
筋肉が膨れ上がり、顔が裂けたところから新しく出来たばかりの眼球がギョロリと動き出した。歯は口の中に収まりきらないほどに成長を始めて、ますます、人の形から遠ざかっていく。
そして、その苦しみから、この世のものとは思えないほどの悍ましい悲鳴が、その場に大きく反響した。
「あ、アァァアッ……あ"あ"あ"ぁ"ッッ!!! ア"——————ッ!!!!! アァァア"ッ!!!!」
その声量に耐えきれなかった喉から、血が吹き出す。それは、人間の色では考えられないほどドス黒くて、そしてヘドロのように毒々しいものであった。
「恭介ェ———ッ!!! やめろ朧ォオッ!」
「可哀想にねぇ。痛覚が普通の3000倍に感じて、さらに時間経過すら遅くなっている筈さ。計算では……1秒の間に痛みで気絶して痛みで蘇生するのを、5度繰り返しているの」
1秒の間に、5度も気絶と蘇生を痛みから引き起こされる。その苦痛は、一体どれほどのものなのだろうか。
「完全にバケモノに覚醒するまで、その意識が全てケモノに生まれ変わるまで、およそ3分ほど。……トクベツにね、たっぷり時間をかけてあげてるのよォ?」
アレほどまでの拷問を与えても、3分は人間としての理性が保たれ続ける。それは、きっと受ける人間からすれば恐ろしく惨たらしい拷問なのだろう。
長く苦しめるためだけに、治癒力高めの保護液も同時に投下しているのだ。本来なら数秒で書き換える苦痛を数分に引き延ばすのは、アサギに対しての復讐であった。
「……あんなバケモノ彼氏でも、助けてあげたいの?
なら———さっさと土下座して自分の指の手を全部反対に折りなッ! そのあとでアンタのボッキボキに折れた指をアタシがたっぷり踏み潰してあげるわッ早くしなッ!」
「あ、あ、あぁぁあ……ッ!」
絶望を顔に宿したアサギを見るのは、それは気分がよかった。しかし、それだけでは足りない。絶望し、そして屈服して苦しみもがきながら敗北を認めさせなくてはならないのだ。
「あぁんもう……腹立たしい、焦らしやがってこのブスアマがッ! ほら、さっさと武器を捨てて土下座すれば投薬を止めてやってもいいわ! バケモノの身体と元の人間の人格を持ったまま、アンタと一緒に殺してあげるわ! アーッハッハッハッハ! それとも、このままバケモノになっちゃったカレシくんに喰われ殺された方が幸せかしらァ?」
「恭、介ェ……ッ!」
アサギには、もはやわからなかった。
恭介の苦痛から溢れ出る悲鳴が耳を苛む。その状況で、時間の制限も突き詰められて、正しい判断を行うことは出来なかった。もはや、なにが正しいのかもわからない。どうすればいいのか、彼のために一番最善なのは、一体何かがわからない。
最強の対魔忍とて、ただの女だ。
苦痛と愛の中で、アサギは膝を折り、指を地面につける。
———そして。
「クヒッ……ウフ、アハ、アハハハ……ッ! アーッハッハッハッハ! ザマァみやがれクソアサギ! 指を折れ! 全部! 10本全部! ボッキボキに折って土下座でやめてください朧さま許してくださいって泣きながら命乞いしろ惨めに殺してやるからさ!!!」
「私は、どうなったっていい……恭介を、恭介を助けろォ、朧ォオーッ!」
地面につける指に、体重をかける。
それは自身が、他人に行なっていた拷問と似ていた。あれを受けた人間は悉く涙を流して鼻水で汚れた顔で許しを乞うのだ。それを、アサギはこれまで何人も殺し尽くしてきた。
最強の対魔忍。つまり、それほどまでに人を殺してきた対魔忍。
その名が付けられるに至るほどの殺戮を繰り返したのだ。
指に力が入れられていく。反対方向に折ろうと、じわじわと力がいれられていく。恐ろしくて震えているのがわかる。自身の左手の薬指だけは、綺麗でありたかったのに。
———その時である。
「……ご機嫌よう、甲河さん?」
「………………え? 面汚、し?」
対魔忍の面汚し。それはあまりにも有名な通り名だ。もちろん、朧とてその女のことは知っていた。
しかし、なぜ、ここにいる?
朧は振り返っていない、なのに視界が後ろにあることに気がつく。自身の後ろに立っていたのだろう面汚しが、目の前にいる。
果たしてなぜ? ……その答えがわかったのは、自身の視界がずるりと落ちた時であった。
勝ち誇った朧の首から上が、グルンと180度回転する。そのまま捻り切れたそれは、重力に従って地面へと転げ落ちた。
あまりにも呆気なく、油断しきっていた朧の身体が———首から上の無くなった身体は、糸が切れたようにその場に倒れ伏せた。
首が落ちてもなお、理解が出来なかった朧は視線を上に向ける。そこには、伸ばした紐状のものをもった膣宮が……対魔忍の面汚しが、立っていた。
まさか———首を、落とされたというのか?
理解が追いつかない朧は、それを茫然と見上げるしかなかった。そうして、ひどく冷酷な目で見下ろしてくる女は、その紐状の白いものについた血を払う。
その紐状のものが少しだけ左右に広がり、細く伸ばされていたのが元の形に戻る。
そうしてようやく、面汚しの手にあるものの正体がわかった。
朧の首を掻っ切ったその白いものは、コン○ー○である。
朧は、0.02mmコ○○ームで、首を捻り切られたのだ。落ちた朧の頭の横には、○○ドームを包装する四角のパックが落ちていた。
「そして、さよならですわ」
———そんな、馬鹿な……!
それが、最後に見たものである。
言葉を発する暇も、無念を感じる暇もなく、朧の意識は急激に沈み込んでいって……
「成敗———」
すぐさま火を指先に灯した膣宮は、それをもって朧の肉体に火をつける。不思議とすぐに燃え広がったそれは火柱を立てるほどの高火力になり、すぐに朧の身体を消炭へと変えていく。
「……あ、あな、た……膣宮ッ!?」
「さっきぶりね。伊河さん? 呆けている暇はなくってよ」
「な、な、ぁっ!?」
膣宮はすぐさま強化ガラスを拳で粉砕し、その破片をパンチラッシュの風圧で飛ばして、恭介に繋がれる薬液チューブを悉く引き裂いていく。チューブからは、緑色やピンク色の蛍光色が目に眩しい液体がドロドロと溢れていた。
「恭介がっ! し、死んじゃうっ……! 膣宮、やめっ……!」
「伊河さんも、お願いしますわ。このまま肉体改造の薬液を投下され続けるのは大変よろしくありませんでしてよ」
「膣宮、あなた、なにをしようとしてるの!?」
全てのチューブを引き抜いていて、出来る限り毒素を身体から出そうとさせる膣宮を前に、アサギは狼狽えるしかなかった。
朧の言っていたことが本当なら、このチューブのうちのどれかが恭介の脳を守るために投薬されていた回復薬なのだ。
それが断絶された今、恭介の脳は理性崩壊して本能に従う獣になってしまう。
それは、実質的な恭介の死である。
「落ち着きなさいまし、……伊河さん」
「膣、宮……」
「この肉体改造は本来、ノマドにおける人外兵器作成のためのもの。究極の肉体改造ですから、結果的に死を早めるものであれ、即死するものではありませんわ」
「でも、これのどれかが回復薬だって言ってたのよ! それを投薬しないと、恭介の心が、壊れちゃう……!」
肉体の死はまだ先だ。おぞましい肉体改造を施されているが、それは死に直結するものではない。
しかし、脳が死んでしまえば、そこにいるのはただの獣であり恭介ではない。
絶望するアサギだが、目の前にいる膣宮は真剣な表情でアサギを見下ろす。まだ、彼女は諦めていなかった。
「問題は人間の自意識を、記憶を、全て守ってあげること……それなら私の房中術でなんとかなるかもしれないのです」
「……なんですって?」
「確率は低いですが、それしかありません。手伝って、くれますね?」
確率は低い……もうだいぶダメージを負っているから、ここから生還できるのかは本人の、恭介の心次第なのだ。
しかし、膣宮はそれに賭けようと思った。きっと、助かるかもしれないと奇跡を信じて。
「そんなことが、本当に……?」
———ア、ァウ、ィイイ……
と、その時、恭介が言葉を発した。
人間としての声帯がなくなってしまったからうまく言えなかったのだろうが……その発音の仕方は間違いなく、アサギの名を呼んでいた。
彼が、アサギを見ている。
苦しくて辛くて、もはやまともに考えられるほどの思考力も理性もなにもない筈だ。
それでも、アサギの名を呼ぼうとした。アサギを、見た。
「……伊河さん、やりましょう」
それしか道はないのだ。アサギは、膣宮の言葉に小さく頷いた。
目元にたまった涙を乱雑に拭い去り、覚悟を決めて恭介の前に立つ。
その顔には、いつものように恋人に向ける穏やかな笑顔を、無理矢理に作った。
———そして。
「忍法、淡々愛愛柔硬恋触ッ!
アサギッ……彼のチ○○に跨がりになってくださいまし!」
「ハァッ?」
アサギは耳を疑い、そしてその次に目を疑った。
恭介の……恭介が、大変なことになっていたのだ。つまり、先程までは肉体改造もあって赤ん坊くらい(つまり萎えててもデカい)だったのが、膣宮の忍法により大きく膨らまされて……
例えるなら、そこにあるのは冷蔵庫。
高さおよそ180cmくらいの○○ポが、そこに佇んでいた。
意味が、わからなかった。
「貴方が愛を囁き、愛し合った記憶を思い出させ続けるのですわ。貴方にしかできない、2人の思い出を語りかけながら、熱く愛しあってくださいまし」
「無茶よ! こんなの……こんなのってないわよッ!」
「大きさなら心配ありませんでしてよ。我が房中術のおかげで、いまの貴方のマ○○はアルファードくらいなら楽に収納できる身体にしてありますもの」
「なんてことしてくれてるのよ!?」
アルファードとは、7人乗りのトヨタの普通自動車の事である。
それを軽々と○○コに収納できる身体になったのだ。それなら、冷蔵庫であれ簡単に埋まるだろう。
時間はありません、なんて言われて、アサギに迷うことは出来なかった。
覚悟を決めてそのチ○○の上に飛び上がると、空中にいながらも自身の股間部の布を開けて、恥ずかしい格好で股を開きながら自然落下する。
かつて一緒の任務に当たった時に見たことがある、膣宮の必殺技。アサギはそれを模倣した。
やるしか無いのだ。そうしなくては、恭介が助からないのだから。
「ハァァッ! アサギ流ッ、膣内大回転全身射精殺しッ!!!!」
「忍法、悦楽脳汁人道凱旋ッ!」
重力に従って、アサギの体が恭介の冷蔵庫に向かって落ちていく。
膣宮の忍法によりアサギの肉体は改造され、その壺は膣宮の思い通りに操作が出来るようになっていた。その証拠に、アサギの下半身の女壺からは太陽が如き眩しい光が溢れ出ている。それは、神の領域にも足を入れた膣宮の房中術が為せる技であった。
自身の両足を極限まで……180度に開きながら、そしてその足を己の手でしっかりと押さえながら、アサギはそれに向かって落ちていく。
神が如く光り輝くアサギのマ○○が、恭介の冷蔵庫の先端部分に到達する。
———そして。
* * * *
「ぉ……あ、う"ん……」
「それでは、私はここでお暇致しますわ」
隠れ里にある伊河家の、あまり光が差さない部屋で2人は対峙していた。
片方は日陰に隠れるように縮こまって、そうしてもう片方の……美しい女はにこりと笑ってその場から立ち上がる。
家の戸を開けて外に出る。そこから数十メートル歩いたところで、家主と出会した。すなわち、伊河アサギである。
2人とも似たような服を着ていた。清楚な白いブラウスに淡色のカーディガン。膝下の丈のフレアスカートが、柔らかな風に靡く。この年代の女に人気のある服なのかもしれないが、しかし気が強そうな印象を与えがちなアサギには似合わずに、おっとりとした花のような印象を与える膣宮には似合う服装であった。
「何用かしら、膣宮?」
「恭介さんの忘れ物と、高名なお医者様の紹介状をお持ちしましたの。……しかとお渡ししましたわ。私は、これにて」
「待ちなさい」
アサギは咄嗟に、膣宮の腕を掴んだ。
ゆっくりと、淑女のような美しい動作で振り返った膣宮の瞳をキッと強く睨み付ける。その表情は、仕事中のものであった。
「———長老を……祖父を殺してくれたこと、感謝してるわ」
「私は、命令に従ったまで」
「……直々の、命令っていうやつね」
「えぇ。対魔忍の方々は……前長老含めて、私の事は面汚しと忌み嫌いますわ。私に命令を下してくださるのは……政府くらいなのですもの」
政府———アサギは口の中だけで、小さくそれを反復させた。
敵は、あまりにも大きすぎる。
「私を対魔忍に戻すっていうのも、貴方の任務だったのね」
「さぁ、なんのことでしょうか?」
しらばっくれるには、あまりにも出来過ぎていた。アサギは、確信を持って突き詰める。
「恭介は生きながらえたけど……あの姿では、決して表の世界では生きていけないわ。この隠れ里で、ひっそりと暮らしていくしかない。———ここで生きていく以上、私は対魔忍にならなくてはならない」
「その言い方だと、まるで私が『恭介さんが化物になるまで待って、そして生かした』という風に聞こえますわよ?」
「そうかもしれない、と思って聞いているのよ?」
逃げないように、アサギは自身の手の力を込めて膣宮の腕に力を込めていく。それは、怒りに任せての暴力であった。
しかし、膣宮は顔色一つ変えずにおっとりと言葉を返す。
「伊河さん。私は……確かに、彼の姿が変わる前に助けることは可能でしたわ」
「……!」
「それに関しては本当に、心の底から、申し訳ないと思っていますの」
だからこそ尽力はしましたわ。そう言って、アサギの胸のポケットに一枚の名刺を差し込んだ膣宮。
しかし、その瞬間の顔は仕事の顔であった。
膣宮の本性は痴女ではなく、冷酷な対魔忍である。確かに方向性はふざけているかもしれないが、仕事の処理としては完璧なのだ。
その声は、音に出てはいなかった。
対魔忍として……闇に生きる者として磨かれた、唇のみで言葉を伝える術。それは、誰にも聞かれてはならないということなのだろう。
———恭介さんは、生きていてはならない。
その言葉に、アサギの身体は凍りついた。何かの間違いなのかと、真偽を問うように膣宮を睨み付ける。それでも、彼女の目はどこまでも冷徹で残忍な、仕事人の目をしていた。
まさか、恭介は政府から生きていてはならないと判断されたというのか。
ひゅ、と背筋が寒くなっていく。
先ほどまで、膣宮はアサギの……恭介が待つ家にいたのだ。彼の安否はどうだろうかと、ざわつく心を落ち着かせる。
「……長老も含め、この里のみんなは貴方の事を誤解しているわ。確かに貴方の房中術や対魔忍スーツはあまり見れたものではない。
けれど、貴方のその本質は純粋な対魔忍であるということ。任務に対して残酷で残忍に対処できる、究極の仕事人が貴方という人となり」
膣宮は、その姿や技においてみんなから忌み嫌われる対魔忍だ。しかし、彼女の任務成功率というのは抜群に高く、対魔忍最強のアサギと同程度の成績を収める。
だからこそ、わかるのだ。
膣宮は決して、任務で手を抜くような人ではない。
———では、なぜ恭介は生きているの?
きっと、政府はアサギの枷になる恭介を邪魔だと思ったのだろう。だから、恭介は死ななくてはならなかった。生きていては、ならなかった。
それならばなぜ、膣宮は恭介を殺さなかったのか?
「私は。———私は、この里において……いえ、ほぼすべての対魔忍から忌み嫌われる面汚し。
天性の肉体と才能をドブに捨てた女と言われてますが、私にも、私なりの美学はありましてよ」
膣宮は、微笑んだ。
———私の信仰は、すべて愛にあります。
「私は愛の力を信じている。よく言うでしょう、愛する人がいれば強くなれる……と。だからこそ、私は愛するのです」
そういって、アサギに腕を掴まれたまま、膣宮は自身の身体をゆっくりと抱きしめる。それは大切なものを、しっかりと確かめるような緩慢な動きであった。
「貴方だって、愛する人のために自身の指を折ろうとした。その覚悟もまた愛なのです。愛の力は偉大で、そしてとても恐ろしい。
……人が極限を超える時、それは愛する者のためなのです」
幼い頃、膣宮はそれを信じた。
愛の力こそが人を救うのだと。誰かを思う力は、何物にも勝ると。
———しかし、同時に思ったのだ。
膣宮は天才であった。だからこそ幼い頭で疑問を抱いた。
己の才を以ってしても、本当に大切なものが出来た時に、守り抜く事は出来るだろうか?
愛すると言うことは、つまり弱点を作ること。
「伊河さん、貴方もひとりでは恭介さんを守れなかったでしょう? どんなに最強であっても、愛する人を守るのはとても難しい事……」
愛は、最大の弱点であり武器になり得る。しかしその弱点を消し去ることは、果たしてできるのか。
幼い膣宮は、悩んだ挙句に答えを出した。
それは、究極の自己愛。
自分自身を愛せば、愛する人を永遠に守り続けることが出来るだろう。
他者を愛するように、己を愛する。普通の人がパートナーに捧げる愛を、すべて己の中に蓄積させていく。
「私は、私自身を愛することにしたのです。愛は、何物にも勝る力。そして私は、私をどれだけ愛しているか知っているから、けして裏切らない事をわかっている。
どんなに愛し合う2人でも、互いの心はわからない。けれど、私は私のことをどれほど愛しているか自覚しているのです」
膣宮の周りの人間は、幼い彼女の言葉を聞いても笑って受け流してしまった。
いつか、愛する人が出来るだろうという当たり前に彼女が流されると思ったのだ。
しかし、彼女の愛は本物だった。
彼女は自己愛を貫き続けたのだ。
「私が最も心配したのは、自身の肉体が浮気……即ち、性欲求に敗北する事が恐ろしかった。私の精神は私を愛しても、肉体はたまにどうにもならない時もある。
だから、私は私以上に快楽を与える事が出来ないように、房中術を学んだのです」
膣宮を愛せるのは膣宮のみ。
それは、肉体においても同じことを言える。
膣宮の究極の才能で磨かれた房中術は、この世において最強とも言える。その術を己自身に使うことにより、膣宮はどんな快感にも負ける事はなくなったのだ。
感度3000倍程度では声を上げることもなく。
数百の男の慰み者になったとしても、女の壺に挿入する事すら叶わない肉体を作り。
どんなに男の精を注がれたところで、その子宮が受け入れる事はない。
膣宮は、己の肉体すらも浮気しない身体を作り上げた。
そのせいで面汚しと言われようが、関係がないのだ。膣宮が愛するのは己のみであり、己こそが世界で最も大切な人なのだから。
「———アサギさん、私は……私の信仰は愛なのです。それだけは、本当のことなのですよ」
アサギは、己が掴んでいた腕を離した。
きっと、膣宮の腕のカーディガンの下では手の形のあざができているかもしれない。それほどまでに強く握っていた手を、ゆっくりと離したのだ。
「貴方が愛する人をなんとか救ってあげようと、指を折ろうとした時。私、後悔しましたもの。……そう、貴方の覚悟こそが、私が最初に夢見た本当の愛の力」
政府からの依頼は伊河家家長にして隠れ里長老の裏切りの調査、及び暗殺。
そして、最強の対魔忍・伊河アサギの愛する男、恭介を———事故に見せかけて、殺す事。
それは、愛を信仰する膣宮からすれば許されない事であった。愛し合う男と女を、永遠に離別させるなんて、あまりにも酷い事だと思った。
それでも、対魔忍である以上は怒りを飲み込んで遂行した。何人もの人間を殺してきたのだから、これも同様だ。同じように、冷徹で残忍であらねばならない。
膣宮は恭介のことを、バケモノになって悲鳴をあげている最中までは見殺しにするつもりだった。このままならうまく死ぬだろうと、膣宮は手を出すつもりはなかったのだ。……それでも。
———私は、どうなったっていい……恭介を、恭介を助けろォ、朧ォオーッ!
アサギが魅せたそれは、膣宮が一番最初に憧れた愛の強さだった。それは原点だった。
だからこそ、膣宮は政府からの命令を無視して恭介を救う手助けをした。それだけなのだ。
「伊河アサギ。貴方は、まごう事なく最強の対魔忍ですわ」
「———えぇ。そうよ、私は最強の対魔忍」
去っていく膣宮の後ろ姿を見送りながら、アサギはポツリと言葉を漏らした。それは、自分に対しての覚悟だったのかもしれない。
愛は、時として限界を超える力となる。
膣宮の信念であり、信仰の言葉。今まで知らなかった面汚しの、唯一の美学。
愛を貫いたアサギだからこそ、膣宮はアサギのことを最強の対魔忍と認めたのだ。その言葉の意味を、深く噛み締めるように口に出してみた。
「……恭介、ただいま」
「ォオ……ぅ、あああ……」
戸を開けて、家に入る。
そこには、未だバケモノの姿をした恭介がいた。人間の意識は持ち、しかし人の言葉を喋る機能を失ってしまっている恋人は……今日も、無事に帰ってきたアサギに歪な笑顔を向ける。
「……ふふ、好きよ。恭介」
「ォア‥‥ゴォ、ゥオオ」
「ねぇ」
愛の力と言うものは、不思議なものだ。
本来ならきっと、恭介はあそこで死ぬ運命だったのだろう。
しかしアサギは、愛する人を守り抜いた。
変わり者だが冷徹で残忍な対魔忍の心を傾けて、恭介の命を救ったのだ。
確かに姿形は変わってしまったかもしれない。それでも、この優しい心が守られただけで、アサギは幸せだった。
するりと、男の首に腕を回して背伸びをする。おどろおどろしい牙が生えている口元に顔を近づけて、いつもなら恥ずかしいキスを落としてみた。
「好きよ、恭介」
いつか、キスで姿が変わるかもしれない。
そんな奇跡を夢見ながら、アサギは今ある幸せを噛み締めた。
解説
忍法・淡々愛愛柔硬恋触
半径5m範囲のすべての生物に対して、生殖器の強靭化。元気いっぱいになり、どんな物理攻撃にも耐えうる最強の防御バフである。
男の場合にはより硬く、より大きくなる。
女の場合にはより柔らかく、伸縮性が高くなる。
人にもよるが、男だとダイヤモンドを粉砕するほどの硬さを持ち、女だとアルファードを収納できるくらいになる。
膣宮が自身に使った際には、アパートくらいの建物なら飲み込める。
忍法・悦楽脳汁人道凱旋
対・人間催眠術の一種。
アク○の瞬間にさらにア○メを重ね与えることにより、脳内の情報量を限りなく無にする技。
そこに愛や恋、友情などといった生物に許された思い遣りのある感情を想起させる○クメを引き起こし、人間としての理性を留めさせ続ける。最初のア○メの際に一度すべての情報を無くしてから、さらに重ねるアク○で人間性を取り戻させるため、人道凱旋の名がついている。
膣内大回転全身射精殺し
膣宮の必殺技。
天高く跳び上がり両足を持ち大きく開きながら、重力に従って落ちて、相手を飲み込む必殺技。
膣宮はこれで幾人もの人を圧死にて屠ってきている。マ○○で人を殺す女。
数百の男の慰み者になったとしても、女の壺に挿入する事が叶わない肉体を作る。
鼻毛真剣をイメージしてもらうとわかりやすい。陰毛を自由自在に操り、超高密度かつ断裁不可能のトンネルのようなもの(陰毛オ○ホール)を作る房中術。
どんなに長い竿でも、その陰毛トンネルの長さから膣の入り口にたどり着く事すら出来ない。そして陰毛に挿入したら最期、竿は陰毛で千切りにされてしまう。
マ○○の入り口に貫通式オナ○ールを用意されているイメージ。○ナホールに挿入すると、○○ポは千切りになる。
これからの恭介
さすがに巨大化け物で永遠に居続けるのは可哀想なので、肉体改造手術をしてもらう予定。しゃべるぬいぐるみになるかもしれないし、ツノの生えた人間になるかもしれない。
どちらにせよまともな生活は送れないが、チ○○が現在は通常時でも赤ん坊くらいのサイズなので早急な肉体改造が必要だ。
膣宮について
・求道家タイプで、強さを曲解している。
・愛=強さ
・他人は弱点になるので自分を愛せばいい。