BanG Dream! NIGHT STORY 作:黒マメファナ
──いつからだろう。そんなバカな、とは思いながらも、罪悪感から目をそらす現実逃避だとも思いながらも、捨てきれなかった可能性を抱いたのは。
よくよく考えればおかしかった。何故、奪われた日に、そこにいたのか、何故、その日は彼と入れ違いになったのか。あまりにも性格が違ったことが、気づけなかった原因なのかもしれない。
「……
「だから……あなたではない、あなたを作り出して……恐怖を……逸らした」
「そうだ。我ながら酷い設定だよ。けど、ウィッグを見つけて、あの時はこれなら、と名案のつもりだったさ」
そして、わたしに触れた。普段はしないような、彼の本能のままの、獣欲を余すところなく、わたしにぶつけた。
──結果は、明らかで、わたしはその獣欲に溺れ、満たされる悦びを知った。甘い毒に嬲られることが、好きになっていた。
「試すようなことをして、申し訳ない……!」
「いえ……いえ……わたしは、ずっと……望んでいました、から……」
「燐子……」
「だから、謝るのはわたしです。どちらもあなたでした……けど、わたしはあなたのお兄さんと……浮気をして、いました……彼の方がいいとまで、口にしました……だから」
「そう、だね。暫く、ボクに会わず、ボクの兄に抱かれ、快楽に堕ちていたのだったね……」
「っ、ん……ぅ、はい……あっ♡」
──ベッドへと移動したわたしは、その眼光に射抜かれて背中に快楽が走り抜けた。ここからは、演技も嘘も必要ない。本当の彼に、抱かれ、獣欲のまま犯されてしまうのだという悦びだけが、わたしを動かしていた。
「ほら、口を開けてごらん……」
「……んぁ♡」
「そう、いい子だね……
「あ、んぅ……ふぁ、あっ、んっ……♡ んはぁ、れろ、ちゅ、あ、あ、やぁぁ……♡」
キスをしながら彼は
──わたしといる時は、抑圧から解放され、一人の男として立とうとしてくれていたのだから。
「……あんなに出してあげたのに……まだ、ココは足りないようだね」
「あんぅ……あっ、あっ♡ や、おまんことクリ……同時にしたら……っ♡」
「したら……またいやらしく精液をねだるんだろう? そういう顔だ」
「あっ……♡」
あぁ、幸せだ。彼がわたしを、淫らなわたしを見ている。興奮している。視姦して、言葉と手で堕とそうとしている。
──愛されている、満たされていく。
「おちんちん……精子を、ナカにください♡ いやらしいわたしは……嫌いですか?」
「まさか……愛しているよ、燐子」
「んぅ♡ ぁ、ふ……♡ くら、さい……んんぅっ♡」
押し倒され、唇を奪われ口内をくちゅくちゅと舌で弄ばれながら、陰唇に肉棒を擦り付けられ……何度も味わった挿入の快楽に、わたしは呻いた。お仕置き、なのに……幸福で満たされて、同時に入ってくる舌を迎えて味わっていく。
「……もう、ボクは我慢しないよ。あぁ、それとも、乱暴な言葉遣いの方が……燐子は好みかな?」
「……っ♡」
「ふふ、正直な子だ……なら、これからキミと交わる時は……
「──っぁあ♡」
「へぇ……今の反応まだ一突きなのにイッたんだ? 奥まで突っ込まれただけで、燐子はもう、そんなエロい顔しちゃうんだ」
まるで人格が変わったのではないかというような豹変とそこから与えられる快楽に頭がおかしくなってしまいそうだった。しかし、彼はわたしを言葉でも嬲ってくる。
「びっくりしてるとこ悪いけど、御行儀いいだけが……オレじゃない……ってことだよ」
「……はい♡ すごい……前よりももっと、あなたに夢中、です……♡」
「もう、下の口は夢中だけど?」
「あっ、あっ♡ おまんこも、んっ、やぁ、あなたのおちんちんに、夢中っ、ですっ♡」
「そうそう。燐子も……もっと本性見せて」
押し倒される正常位から、抱えあげられ、騎乗位で突き上げられながら、胸を鷲掴みにされる。本性……なんて意地悪なのだろう。こんなの、もう腰が砕けてしまうくらい気持ちいいのに、いやらしく、腰を振れと言うのだから。
「ん……っ、あっ♡ ふ、あぅ……っ♡」
「そんなゆっくりじゃ、きもちいのは燐子だけだけど?」
「ひ……んっ♡ ぅん、あっ、あっ、やぁぁ……♡」
自分から腰を振ってセックスに溺れているというえも言えぬ羞恥心。動く度に膣壁が擦られる快感。彼の下弦の月を浮かべる下卑た視線。
──わたしは、まるで見世物のように、踊る。代金の代わりは……その快楽と、熱い……。
「いい腰遣いになってきた。ご褒美は……なにがいいかな?」
「あっ、あ、せ、せー、しっ♡ なかに、あつ、ぃん、あっ、ひぁ、せーしっ、ほしい……っ♡」
「うん。それなら……幾らでも」
腰を落とす度に膣の最奥に亀頭が容赦のないディープキスをしてくる。そんな男根が、だんだんと膨らんでいくのが……わかった。
──ご褒美の膣内射精ならもっと……と少しの不満を感じた瞬間、彼の腰が浮き上がって、わたしを貫いた。
「──っあ、ふ……ぅ♡」
「やっぱり燐子って……犯されたいんだ?」
「そ、そん……あっ、あっ、まっ、や、んっ♡」
抱えられ、対面座位で突き上げられる。自分の意志とは無関係に擦りつけられる肉棒が、わたしを被虐的に染め上げていく。御行儀の良い印象のある短い黒髪、整った眉……その下に浮かぶ弧を描く唇の三日月とわたしにあらんばかりの欲求をぶつける瞳に、その被虐思考は、完成される。
「ふふ、間近で見ると……ぜんぶを奪った上で……注ぎたくなる」
「ん、ぁ……どう、ぞ……♡ なにもかも、奪って……♡」
理性も、唇も、貞操も、すべてすべて……奪ってみせて。今はあなたに犯されることが幸福で、あなたの唇を受け入れることが幸福で、男根を咥え込むことが幸福で……膣を白濁に穢されることが、なによりの幸福なのだから。
「んちゅ、ぅっんっ♡ はぁ……あっ、膣内射精……したら、また……んっ、奉仕……させて、ください♡」
「ん? あ……そっか。さっきは顔にかけられたから……飲みたいんだ」
「……っ、はい♡」
さっきはシャワーに流されてしまったから……やはり、受け入れたい。味も匂いも、見下ろされる快感も、何度味わっても足りない。もうわたしは、それをきもちいことだと、教えられてしまったのだから。もちろん、膣内に射精され……擦りつけられるのも。
「そろそろ……時間だ」
「はい♡ 膣内に……っ♡」
「一滴も、逃すつもりは、ないよ……」
──その言葉と同時にドクン、と膣内の男根が跳ね……お腹に熱いモノが注がれる。注がれるだけじゃなくて、唇を奪われ、最奥に念入りに擦りつけられて、わたしの快感も、爆発する。
「あふ、あっ、んん──っ、ぅ、ちゅ……は、ぁ、れろ……んっ♡」
「イッたね……いい顔だったよ、燐子」
「……ふぅ……はぁ……はぁ……はい♡」
暫く余韻に浸ってから肉棒が抜かれ、わたしは生唾を飲み込んだ。愛液と精液で汚れた男根を、しゃぶらせてもらえる。そう思って、彼を見ると……ああ、また、口許が歪んでいた。堪えるようにそのまま、四つん這いになって、少し柔らかくなった亀頭の裏側の凹みにキスをする。
「ん……ふぅ♡」
その匂いとぴくりと反応した肉棒に、自分がまた発情していくのがわかった。口内を精液で満たされたいという劣情、彼の視線と共に感じる……期待。そんな気持ちに誘われ、手で竿を上下に扱きながら精液の残る鈴口に舌先を這わせ、ゆったりと奉仕を続けていく。
「あ、はぁ……♡ あ、また……おっきく……ん、れろ……♡」
「今度はえらくじっくりだね……ああ、でもぴちゃぴちゃと舌を見せて奉仕する燐子も……そそる」
言葉が嘘ではないと証明するように、肉棒は硬さを取り戻していく。それだけで思考に靄がかかり、本能のまま、唇を付けて、噎せ返る臭気と苦味を堪能していく。
「あ、もっと……もっと♡ わたしに欲情、して……ください♡ 性欲、のまま……愛して♡」
「そんなおねだり……応えないわけにはいかないな……こう、かな?」
「んぐ……ふ、ぅ♡」
彼が立ち上がり、膝立ちになったわたしの頭を掴んで強制的に肉棒を奥まで咥えこませる。
──彼はどこまでも、加虐的だ。口の中で暴れる男根がその本質と、その心が満たされていることがわかり、わたしは……その男根に吸い付いた。
「ん、じゅる……ぅく、ちゅ♡」
「……その反応は、このまま犯してもいい、ってこと?」
「……ん、ちゅぅ、ふ……♡」
それが貴方の望むプレイならば、と口内は男根でいっぱいで、言葉にはならなくても……愛撫で伝える。しかし、彼はそれでは満足しないようでわたしを見下ろしていた。
『言葉は、コミュニケーション以上に、相手に自分の声を伝える、自分にしかないものを届ける役目があると思うよ……燐子さんがボクを呼ぶ声を聴くと、特にね』
口に出して「愛してる」と言ってほしくなるように、名前を呼んでほしいと望むように……彼は、わたしの口から、たった一言が欲しいのだと、わかった。そのために、今にも犯してしまいたいと頭に置く手を抑えて、突き出して堪能したいという腰を抑えて、びくびくと快楽に跳ね、射精したがる肉棒を抑えて、待っている。
──なんて、愛おしいヒトなんだろうか。いや、だからこそ……愛おしいのかもしれない。
「ふ……はぁ、おね、がいします……♡ あなたの……好きなように、犯して、つかって……口に、射精、して……んぁ……♡」
「──っ!」
だから、わたしは誘ってみせる。言葉で、口を開いて舌を見せ……胸の前で手を出して、下品におねだりをした。わたしは……白金燐子は、貴方のためなら、黒色に染まってみせます。獣欲に堕ちるのも、愛欲に染まるのも、肉欲に溺れるのも……貴方を独りになんてしない。わたしは、今までの貴方を裏切った、今の貴方だけの穢れた宝石だから。
「なら……こうして、やる……っ!」
「んぐ、うっ、えぅ……っ♡ んじゅる、お、ぐ……ぅ、ん、ちゅぅぅ……♡」
「ふ、はは……いいね、いいよ……燐子。もう……限界だ」
──宝石は、どんなに大切にしても、使うものだから。身につけ、その汗や空気に触れ、汚れてしまうものだから。これでいい……わたしは、幸せだ。
いつか使われなくなっても、構わない。
「燐子の口の中……いっぱいに……っぅ」
「──っ、ん、ぅ……ぐ♡ ふ……ぅ、ふぅ……♡」
頭を掴まれ腰を振られ、まるでわたしのことなんて本当に道具であるように犯され、射精される。苦しい、息ができない、注がれる粘り気のある液体が喉に絡みついて、嗚咽が漏れる。油断したら、胃に入っているものごと、全部床に出してしまいそうになる。
──なのに、それなのに……こんなに、愛おしくて、幸福な行為は、初めてだった。その幸福を、床に、なんて……勿体ない、と飲み込み、嚥下し、喉を通し、胃に収めていく。
「……っ、げほ、う、ぇ……はっ、はっ……はっ、ぁ……みて、いましたか……ちゃんと、飲み……ました……♡」
「う、うん……見てたよ」
ああ、そんな顔をしないでください。苦しかったけれど……苦しかったからこそ、貴方の愛を感じましたから。今は焼けるように喉が痛くて、声も出ないけれど、嫌なことなんて、貴方がそんな顔をすることなんて、何一つないのですから……。
一度歪んでしまったせいか、わたしも、わたしの情欲を、獣欲を、愛欲を、抑えきれなくなっていた。腿を伝う愛液……疼く下腹部、何度壊れるくらいに愛されても、今日は甘すぎる毒に脳を犯されて……止まらない。それはきっと、彼も……同じことだ。
「……ほら、見ていたせいで、まだ……」
「は、む……ちゅ、れろ……♡ おっきい、まま……♡ 次は、どちらに出して……もらえますか……? このまま口ですか……顔ですか……胸でも、もちろん……♡」
「膣内でも……?」
「はい……あ、んっ♡」
「なら次は……コッチで」
「あっ、ぅ──っ♡」
再びベッドに抱えあげられ、後背位で腰を打ち付けられながら、終わらない夜の交わりをわたしは心から堪能していた。この夜が明ける頃……わたしはこれまでのわたしを喪ってしまうだろう。それでも……わたしは……わたしは……彼を愛しているから。
「んっ、あっ、あ……ひぁっ♡ 同時にされたら……ぁっ、また──っぅ♡」
「……イキすぎでしょ……まったくっ!」
「ひ、おく、ごり──ってぇ……あっ、また……♡」
「あーあ、これは……お仕置きとしてオレがイクまでにイッた回数だけ……好きな時に奉仕してもらおうかな」
「……いっぱい、です……ね♡」
彼がただ肉欲に溺れてわたしを抱いているのではないのだから、二人が満たされているのだから。昨日までのわたしなんて……必要ない。 だって、もう……彼に不満なんて、何一つないから。
「っ、そろそろ……出る……っ」
「はい……きてください♡ んっ、あっ、は、ぅぁ──っぁあ……まだ、こんなに、いっぱい……♡」
「ふふ……このまま、次は燐子から腰を振ってもらおうか……」
「あ、んっ♡」
「その反応……好きだよ」
わたしは……ただ幸せだった。彼に……「好き」と言ってもらえて……
──さようなら、
──裏切りと穢れた宝石 END