BanG Dream! NIGHT STORY 作:黒マメファナ
①恋人と愛欲
土曜日のこと。バンドの練習もないその日に、倉田ましろはお気に入りのワンピースに身を包み、駅前への道を急いだ。バンドメンバーの透子に教えてもらったメイクをしようとして、失敗していつものメイクで行こうと決めた時には既に、約束の時間までギリギリになってしまい、心の中で言い訳をしながら少しだけ頬に汗を垂らしながら走った。
「ご、ごめん……っ!」
「おうましろ、今日もギリギリセーフだな」
「今日も、って……だって」
「はいはい、行こうぜ」
「う、うんっ」
慣れた様子でその言い訳を遮ったのは幼馴染でもあり、少し前に恋人として過ごしている同じ歳の青年だった。何度目かのデートで慣れない彼の手の感触に戸惑いながらも、並んで歩いているということに胸が高鳴っていた。
「とりあえずカフェか?」
「うん、そのあと映画ね」
「おっけー、ってまたアニメ系か」
「い、いいじゃん……! だって、ほかのやつなら、友達とも行けるし……」
「ま、それがましろのトクベツって言うならいいんだけどな?」
「う、うん」
ましろから提案して彼と映画を見る時はもっぱら他の人と行くのがなんとなく恥ずかしいものが中心だった。幸いなことにましろが好きなものを余すことなく伝えているおかげで、彼はこれまでに観ても一緒に盛り上がることができない、ということがなかった。そんな歩幅があってないようであっている二人はましろお気に入りのパフェのあるカフェに入っていく。
「お待たせしました、季節のジャンボパフェです」
「おお……見てみて! 特盛り……!」
「それ一人で食うの?」
「え、一緒に食べるんだよ?」
「マジで?」
そんな風に二つあるスプーンの一つを手渡し、舌鼓を打ちながら、彼はコーヒーを挟みながら食べていく。そうして、終わりが見えてきた頃に、そういえばと彼が切り出し、ましろがスプーンいっぱいにパフェを頬張りながらんー? とリアクションを返した。
「そういやましろ、勉強大丈夫か?」
「……んっ」
彼はどっちだよそれと頬杖をつく。勉強があまり得意ではないましろ、そもそも中学時代まで彼女がそれなりの成績で済み、なおかつ月ノ森に外部入試で入ることができたのは長続きしない塾や家庭教師ではなく完璧と言えるほどましろのマイペースを知っている彼が教えたからということが大きな理由だった。
「ん……新しい家庭教師の先生が、結構教え方上手なんだ」
「お、珍しい。お前の勉強教えれるなんて、よっぽど優秀なセンセイなんだろうな」
「うん……優しいけど、ちょっとだけ、厳しいかも」
「続くといいな」
「続くよ、たぶん」
そっか、と彼は相槌を打ち、最後の一口をましろに向ける。幸せそうな顔であ~んと口を開く彼女にヒナのようなかわいらしさと保護欲を感じた。守ってあげたい、その気持ちが彼の恋の根底であり、また彼がましろにとって特別でありたいと考える根底でもあった。
「いや、最近のアニメ映画ってスゲーんだよなぁ」
「でしょ! 作画監督の人がね、なるべくならCGを使わずにって一枚一枚こだわってて」
映画もあっという間に見終わり、そんな感想を二人で話し合う。目を輝かせ興奮気味のましろに対して、頷き、そして彼はチラリとこのノリなら誘えるとなぁましろ、と声をかけた。彼が見ていたのは話題の恋愛ものでもあり、少女漫画の実写作品だった。
「んー、あれ、透子ちゃんと一緒に観に行っちゃった……二回目だけど、それでいいなら」
「あー、そっか……悪い、じゃあ俺もやめとく」
だが、カラぶってしまい彼は落ち込みながら帰り道を歩いていく。やけに落ち込んでしまったことを気にしたましろは、あのさと少し勇気を出したように問いかけた。この先には一軒の
「……あのさ」
「ん?」
「休憩……してく?」
「えっと……それって」
上気した頬、ドキっとしてしまう魅惑の唇、童顔だが出るところは出ている彼女のスタイルを改めてまじまじと観察してしまい彼は喉を鳴らした。だが幼馴染として過ごしてきた時間と、さらに上乗せで守っていたという過去が積み重なり、一線を越える勇気が持てないままでいた。
「あ、ああいうところって高いって聞いたしそれにほら、十八歳未満は、ダメなんだろ?」
「……だけど」
「俺たちにはまだ早いよ、それにこの後予定あるって言ったのましろじゃん」
「うん、家庭教師の人、土曜と火曜に来るから」
「ほら、じゃあ早く帰ろうぜ!」
手を引き、その場から離れていく。ましろはほんの少しだけ残念そうにしながらもわかったと素直に彼に従った。まだその予定の時間である19時までは二時間あるのに……という後ろ髪引かれながら。彼と解散した。
──手は自然に繋げるようになった。キスも、二人きりの時に数回した。だがその最後の一線で、彼はどうしても留まってしまったままだった。ましろとしてはどうにかして、関係を進めたかった。
「ましろー、先生来たわよ」
「あ、はーい」
だが、その思考も19時ちょうどにやってきた家庭教師によって中断させられてしまう。ため息を一つ、こぼしながらましろは大学生であり一学期中間の前からの先生である男を部屋に招き入れ、高校受験の際、カレと勉強する用に買った机を広げて座布団を取り出した。
「さて、予習してきた?」
「うん」
「そっか、んじゃパッパッと終わらせるか」
期末に向けた範囲の確認と予習を踏まえての授業内容。ましろが予習をしてきたパターンとしてこなかったパターンの二通りの準備を怠らないという勤勉さ。そしてなによりましろがどうしてもという時は休憩時間も設け雇用先に電話をして延長することも辞さない丁寧さ。それがましろの両親の絶大的な信頼を得ていた。
「せーかい。ここも丸だ。お、今日は調子いいな」
「冴えてる。ジャンボパフェ効果かも」
「ってことは……カレシとデートだったのか」
「……うん」
ましろのやる気の上げ方も知っている。まさに彼女にとって理想的な家庭教師だった。
──ただ一点を除くのだが。彼は、正解には簡単な解説を、不正解にはなんで間違えたかの追求をする。それを追求するように、彼はプライベートの話をする間は、ましろの脚、スカートから伸びた無防備な太股をゆっくりと撫でまわしていく。
「どうした、まさかまた空振りか?」
「……んっ、ダメ、だった……や♡」
「知ってたけど。ま、じゃあ……オレの勝ちってことで」
「あ、きゃ……」
するりと、蛇のように狡猾に、ましろを抱えて膝の上に乗せる。後ろから抱きしめるような格好で、左手でお腹に手を回しながら、採点を続けていく。
間違えた問題は丁寧に解説していく。耳許で囁くように舌を這わせ、採点をしていた右手で少女を嬲りながら。
「ここ、前も間違えてたな。苦手か?」
「あ……っ♡ んん♡ それは、先生が……ん♡ こんな解説するから、んっ♡」
「言い訳すんなよ。ほら同じとこ間違えたらお仕置き、だろ?」
「……っ♡」
お仕置きという言葉にましろは身体を強ばらせた。だが断ることのできない彼女は頷くしかなかった。そして、彼によって三つのお仕置きを選ばせられる。そのどれもが倉田ましろを生徒として扱うのではないのだった。
「フェラ抜き、エロ写メ、ディープキス」
「……っ、ディープキスで♡」
「ましろ、こっち」
「んく、ふ、んっ♡ ちゅ、は、れろ……♡ やら、これ、ん♡」
呻きながらも一分に設定されたタイマーが鳴るまでひたすらに口内や舌を貪られていく。息も絶え絶えになるほどにキスを繰り返され、やがて受け入れていく。拒絶するよりも受け入れてしまう方が楽だと知ってしまったましろに、苦しいのを我慢出来るはずなどなかった。
「あむ、んっ♡ ちゅ、ぅん♡ せん、せ……っ♡ んん……ぅ♡」
「……っと。お仕置き終了」
「ぷは、はぁ……♡ あっ、あん♡」
「次、は正解」
そしてお仕置きが重なれば重なるほど、通常の責めは苛烈になっていく。お腹にあった手が、ましろの太腿を抱き込み、無防備になってしまったショーツ越しのワレメをカリカリと嬲っていく。間違いがあれば今度は左手の指で口内をまさぐられましろは恍惚の声を上げていく。
「んん、んく♡ はぁ……んっ、ちゅ♡ あっ♡」
「あ、ここ二回目だな……ましろ」
「え、エロ写メ……で♡」
次は膝立ちになり、ワンピースと同じ青色系統のショーツを半脱ぎにさせられ、その痴態をスマホのカメラに収められる。顔まで撮られるわけでは無いがそれを見せられ、ましろは恥じらいを感じ、より感度が上がってしまう。
「ごちそうさん、後でオカズにさせてもらうとして……よっと次は」
「あっあっ♡ んむ、らめ、声、でちゃう……っ♡」
「イキそうになってんじゃなくて、問題解説聞けよ」
「むり♡ むりだよぉ♡ イク、イク……ぅ♡」
ショーツを完全に脱がされ、指を膣内に挿入され、ましろは身体を震わせる。
イカされ、弛緩したましろに彼は舌なめずりをするようにましろに間違えた問題を見せた。
「三回アウトだとなんて約束だった?」
「……っ♡ 最後のお仕置き、フェラ抜きと……♡」
「と?」
「……生ハメ♡」
「よく言えました」
そう言うなり、彼はベッドに座りチャックを開けて肉棒を晒していく。股の間に座り込んだ少女に目で訴えると、躊躇いながら男根に口をつけ舌を這わせていく。
「っ、ぅえ……にが、うぅ……やだよぉ……」
「じゃあ間違えなきゃいい話だな」
「っぐ……は、れろ、ん……っん」
眉を顰めながらも教えられた通りにフェラチオをしていく彼女に、彼は興奮を覚えていた。拙いながらも、舌や唇で的確に気持ちいいところを刺激していくと、彼は彼女を撫でてやる。
「いいぞましろ。咥えろ」
「ん……っ、んく♡ む、んはぁ……おっきいよぉ……れろ、ちゅ♡」
「あんまのんびりしてても顎疲れるだけだからな」
「うん……っん♡」
無理やりさせるのではなくあくまでましろに動いてもらう。それを繰り返していることで、ましろから男を悦ばせる術を仕込んでいた。自分が使うために、自分が気持ちよくなるために。
「ん、じゅるる、んっんっ♡」
「あーいい。吸うの上手いな。きもちい」
「ぷは、はぁ……れろ♡ ちゅ、はふ、んく♡」
いくら事情や断れないと言い訳を重ねようが、れっきとした浮気とも言うべき、不貞の行為。だがそれを繰り返してしまうのは、単に彼女の自尊心の欠如にあった。自分を特別だと思いたかったましろは、だが特別になれるような力を見いだせずに高校生になったが故に、彼を拒絶できなかった。
──いい身体してると褒められ、性技を上手だと褒められ、自分に価値を見出される悦びに、ましろは溺れてしまっていた。
「そろそろ、でそうだ」
「んっは、れろ、ぅ、はぁい♡ あふ、あ、びくびく、して……っん、じゅるる♡」
「いいぞ、ましろ……っ!」
「っ! ん、んぐ、ぅう……っん、んん……!」
「あーでる、いいぞ……ほらましろ飲め、飲まねーと窒息しちまうからな」
「っ、んくっ、ぅえ……げほ、っく……はっ、はっ……」
頭を抑えられ、やっとのことで飲み込みその味のひどさにえづいてしまう。喉に精液が絡まり、咳き込み息が出来なくなるような苦しさにもがいているとティッシュと一緒にペットボトルの水をカバンから出し、ましろに手渡した。
「んく、んく……ぷはっ、サイアクだよ」
「まだフェラ慣れねーのか」
「だって、自分でやってみたらいいよ。味も変でまずくて、この間なんかお腹壊したんだからね」
そんなふうに文句を言ってしまう、言えてしまうくらいにはもう、彼女は彼との行為に抵抗がなくなっていた。
まだ恋人であるハズの男ですら踏み入ったことのない領域を我が物顔で蹂躙されることへの反応が鈍ってしまうほど、ましろは彼から陵辱され続けていた。
「んじゃぱっぱと続き終わらせて……どうする? 明日」
「なんでもいい……あっ♡」
「また映画でも観るか? でもこの間
そう笑いながらましろの身体をまさぐり反応を楽しんでいく。熱い吐息を隠すこともできず、むしろ蕩けてしまう。指で膣を擦られるたび、舌を絡めて擦り合わせるたび、そしてあれほど嫌悪していた肉棒を膣内に突き立てられるたび、ましろの中で何かが壊れていくのだった。
「ん……ぁう♡ せんせ、んん♡ だめ、あっ♡」
「時間ねーし、じっくりは……
「んっ、あん♡ あっあっ♡ 声、バレちゃ、ん♡」
「なら我慢しろよ。それとも塞いでほしいか?」
「ぅ、むりだもん……ふさいで、んむ、ちゅ、んは、れろ♡」
覆い被せられ、腰を打ち付けられ、ましろはしがみつきながらその快楽に溺れ始めていた。拒否しようにも拒否しきれない、セックスから得られる病みつきになるような刺激が、ましろを蝕んでいた。
「ましろ、イクぞ、ましろ」
「ん、ぅん♡ あっ、んん、わたし、ふぁ♡ もう、イッて……る、んっから♡」
「そうか、なら……っ!」
「あっ♡ あぅ、んっ……はぁ♡ なか、らし……っ♡」
教えこまれた求められる悦びに何も考えられなくなっていく。快楽に流され、自ら口を開き、キスを求めて舌を絡めていく。
これは仕方がない。私は悪くない。そんな言い訳を重ねながら、彼の耳許で囁いた。
「はふ……せんせ♡」
「っ、ましろ……」
「あっ、だめだよ♡ じかん、あん♡」
求められた。必要とされた。その感情にましろはぞくぞくとした心地良さを抱いてしまっていた。時間ギリギリになっても、感情で自分を求めてくれる。犠牲にしてまで、愛欲をくれる。ましろは、その毒を飲み干していくことが、クセになってしまっていた。
「結局えっちしちゃったせいで、今日も勉強、あんまりできなかったじゃん」
「悪い悪い。勉強の方は火曜、な?」
「ん……あっ♡ 明日でも、いいよ♡」
「へぇ?」
「や♡ すぐ、コーフン、する、んっ♡」
ましろが誘うからな、と彼は口元を吊り上げた。その気持ちが浮気だと分かっていても、カレシとは違う特別を求められることへの悦び。ましろは大切にしてくれるカレシではなく、壊してくれる男に嵌り始めていた。