BanG Dream! NIGHT STORY 作:黒マメファナ
「じゃあおいで」
「うん……♡」
家に戻ってきて数分もしないうちに、僕は白金さんをベッドに座らせる。もうあれで終わりだと思っていたのに、彼女はもっと……と家までついてきた。ピアノレッスン室では不満だったのだろう。もう抵抗する素振りすらせず、むしろ僕を求めてくる。
「きす……いっぱい、いっぱい……して♡」
「白金さん……」
「ん♡ りんこ……がいい♡」
僕に体重を預けるように唇を重ねながら彼女は、甘い声で熱に浮かされたようなしっとりとした顔でそう言った。
戸惑いはあったけれど、あの白金さんが僕に舌を出しながら甘い声を出しているという優越感が勝り、キスを重ねていく。
「んっ、ちゅ♡ は……あ♡」
「燐子……さん?」
「ううん、よびすて……♡」
「……燐子」
「ん♡ ちゅ、ぅん♡ れろ……あん♡」
胸や脚に触れると白金さん……燐子は、彼女は今までとは比べものにならない程の艶を浮かべる。
頭の中にいる悪魔が歓喜の声をあげる。好きなようにしていい。彼女はもう……僕のモノだと。
「燐子」
「……あ♡」
「脱がせていいよね?」
「……うん♡」
それを証明するかのように、彼女はあっという間に抵抗することなく下着姿になった。白い肌に紫と黒の、蝶の飛び交うその美しい姿に僕はえも言えぬ興奮と共にゆっくり後ろに回り込み、耳に唇を当てて胸に触れていく。
「ん……♡」
「こういうセクシーなやつ、いつも着けるの?」
「ううん……あ♡ んん♡」
「じゃあ今日は……僕とするから?」
「……うん♡ いや、だった……?」
「ムラムラするよ」
「……して♡ いっぱい、えっちな目で……みて♡」
耳許で囁くと甘い声で誘ってくる。今の会話はまるで……そもそも途中から彼女の態度がまるで、そこまで考えて思考を振り払う。
今はあの行為で物足りなかったものをぶつけるだけだ。じっくり、じっくりと彼女を犯したい。その望みを叶えるための時間も場所も……ここにはあるのだから。
「あっ♡ んん……みみ、んっ♡ びんかん、だからぁ……♡」
「燐子はどこも敏感……でしょ」
「あんっ♡ んっ、んっ、あっ♡ ちくび、こりこり、すき♡ 」
下着越しに指で乳首を弾くと、カリカリと引っ掻くと、それに対応した声をあげる。耳にキスをして舌を這わせるとひとつひとつ反応する。
素なのか、誘ってるのか、そんなことを警戒したのも一瞬だけだった。名前で呼ばれ、見上げた彼女の顔は艶を含んで、最高に美しく見えた。
「んっ♡ んんぅ……ぷは♡ あ、んむ……っはぁ♡」
「燐子は、キスすきだね」
「うん……キミのキス、すき♡」
彼女は、かわいらしい、本来の彼女の笑顔を浮かべた。まるで恋人とするキスを愛するように、恋人との行為を愛するように、白金燐子は、僕に触れられることや僕に触れることを、愛しく思っていた。
「そっか」
「……どうしたの?」
今度こそ、頭の中にいた悪魔が消えていく。満足したのか、それとももう奪わなくていいからなのか、それとも……彼女の眩しいばかりの光に浄化されてしまったか。後に残るのは、彼女を穢したいという背徳感ではなく、彼女を遠くで見ていることしかできていなかった頃に抱いていた……恋心だった。
「僕は……白金さんのことずっと、ずっと好きでした。一目見た時から……ずっと」
「……そう、なんだ……それじゃあ、ごめんね」
向き合った彼女は僕の頭を撫でる。恋心を踏みにじったこと、あんな痴態を聴かせてしまったこと、全てを謝罪してくれた。けれど、そんなことはもうどうだってよかった。ショックで、もうやめてほしいとすら思っていたけど、結果として彼女に想いを伝えることすらできたのだから。
「僕についてきたのは、カレシとなにかあったんですか……?」
引き裂くつもりなんてなかった。ただ踏みにじられた恋の復讐として、好きだった頃の白金さんを穢して、満足しようとした。
彼女は少し迷ったように視線を左右に揺らして……衝撃的な一言を出してきた。
「……カレとは、お別れ……しちゃって」
「それは……僕のせいで?」
「ううん……キミのせいじゃないよ……確かに、あの日がきっかけ、だけど……」
そこで初めて、白金さんの恋を知った。元々の性癖と相まって窮屈だった彼女は、刺激を求めてカレシの告白に応えた。そこで処女を奪われ、色々な行為を教えてもらったことは、彼女にとって幸せで愛すべき時間だった。
──けど、カレにとって白金燐子は白金燐子である必要がなかった。彼女は見栄や飾りのために付き合い、その欲求を満たすための行為に……虚しさを感じていた。
「……うん」
「それで」
「キミは、わたしを見てくれてる。わたしの事情を知ってる。わたしの淫らなところを知ってる」
「つまりは……都合が、いいってことですか?」
「そう……なのかも」
胸が苦しくなった。自分に気持ちが向いたのはとても嬉しい。嬉しいけれど、僕が求めていた恋とは、違うものだった。
都合がいいってことは……都合が悪くなれば、それこそ家の事情があれば彼女はすぐ他人に戻るのではないか……そんな恐怖が頭を巡った。
だが、白金さんは優しいキスをして、それを否定してくれる。都合がよかったのはカレとの別れるためのきっかけだったに過ぎないと、彼女は言った。
「好きなの、キミの目に捉えられると、まるで縛り付けられたようにぞくぞくする。その声で囁かれると、まるで脳までいじられたみたいに支配されるみたいできもちい。手で触られると……唇や舌で触れられると、キミのことしか考えられなくなる。わたしは……キミとできるようなものを、刺激を、求めてた……」
「白金さん……」
「呼んで……燐子って、呼び捨てて……首輪をつけて♡」
顔の距離は数センチ、そこに淫らに微笑む彼女がいる。もう悪魔なんていらない。アラームもいらない。
──彼女は、燐子は、綺麗で淫らな……僕の初めての恋人だ。
「んっ♡ ちゅ、は……♡ んん、ふぁ♡」
「燐子。僕は燐子がほしい」
「っ♡ うん、キミのりんこ……キミだけの、わたし……♡」
「なら、いっぱいいじわる、してあげる」
「うん、して♡ いじわるして、やらしい目でわたしを見て……犯して♡」
抱きしめながらブラのホックを外す。はらりとベッドに紫と黒が剥がれ落ちて、白とピンクが顕になる。ショーツも脱がせて、彼女は生まれたままの色になった。初めて見る彼女の裸体は、生唾を飲み込んでしまうほどに美しかった。
「キレイ……」
「あ……みて♡ いいよ、触って♡」
「燐子はこっち向きの方が、すき……なんでしょ?」
「……うん♡」
後ろからされるのがすきって言ってたから、とまた背中から抱きしめ、耳や胸、膣を愛撫する。今度は僕も一緒に裸になっているから、燐子は臀部に当たる愚息をしきりに気にして……興奮していた。
「あっあっ♡ んっ、ちゅ♡ おっきいの……あたってる♡」
「ほしい?」
「あ、うん……っ♡ レッスン室の続き、いっぱい……じっくり、しよ♡」
押し付ける度に膣が指を締め付けてくる。キスをしながらだとより感じているのがわかる。こんな風にじっくり後ろから犯されるのが好きなら、レッスン室は物足りなかったんだろうな。
「じゃあまずは指でイッてね。僕の燐子」
「あっ♡ それ、んっ♡ いい、きもちい♡ あっ、あっん♡」
「いっぱい聴かせて」
「うん♡ あっもう、もう……あ──っ、はっ、ん……♡」
弛緩していく。指を抜くと愛液でどろどろで、二本の指をゆっくりと離すと糸を引く。それをおもむろに彼女の口に含ませていく。ああもう僕もおかしくなったみたいだ。彼女をいじめるとぞくぞくする。こんなことをさせて、キレイにしてくれた? と問い掛ける自分ももう……彼女と同じ深淵を覗いてしまったのだろう。
「うん……♡」
「そっか……じゃあ舌出して」
「……んぁ♡ いっぱい、して♡ んっ、ちゅ、んく♡ だえき……のむからぁ♡」
くちゅくちゅと舌を絡めて、ディープキスを繰り返す。もう何度彼女と唇を重ねていったのかわからない。そのくらいに彼女の口内を犯して、舌を擦り付けていった。
「あ……あっ♡ んん♡ こんな、きす、されたら……♡ これだけで、きもちよく、なっちゃう……♡」
「そのうちキスだけで……イケたりして」
「……それ、いい……ね♡ いっぱい……して、おぼえたいな……♡」
そんなやり取りはまるでもう恋人同士のそれで、僕はそんな彼女の表情に胸が苦しくなるほどの愛おしさを感じた。
僕には彼女が必要だ。いいや、必要だと思ってしまった。もうこの気持ちを持たなかった頃には戻れない。僕は白金燐子という存在に溺れていた。
「おいで」
「……ん♡ あ……きて♡ 今度はキミから……わたしをいっぱいにして♡」
唇を重ね、たっぷりと余韻に浸ったところで、レッスン室のやり直しのように対面座位を誘うと膝立ちになった彼女はそう淫らに微笑む。
僕は彼女の言葉にゆっくりと頷いた。僕と燐子の熱く蕩ける夜が始まろうとしていた。