※この作品はR-18です。

貞操観念のおかしいカルデアのお話   作:ソボロ

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マシュの先輩、私がんばります!
ドスケベ後輩マシュ・キリエライトが遂に先輩と結ばれ、たった一発の膣内射精でラブラブ完堕ち受精するお話


 

 クラス、盾兵(シールダー)のデミ・サーヴァント。

 

 マシュ・キリエライトは他ならぬ人類最後のマスターのパートナーである。

 

 マスター個人の気質もあって、彼は何か特定の序列・優劣(ナンバーワン)を決めることを好まない。

 

 人かであるか否かの垣根は関係なく、彼はその当人にとっての最も理想的な在り方(オンリーワン)を望む。

 

 

────というような気質を踏まえても、マシュ・キリエライトは彼が最も信頼を置いている相棒と言っていいだろう。

 

 互いの理解も深く、等しく双方ともに思いやり、カルデアに来てからの付き合いでこそあるものの、その強固な繋がりはもはや異体同心と言い表しても良い。

 

 

 しかし、故にこそ。

 

 互いの強い繋がり、深い思いやり、大きな愛情。

 そしてフォウくんもご機嫌な善良な者のみで構成されたカルデアという環境が、彼女に一つの悩みをもたらしていた。

 

 彼女は、この貞操が極限にまで緩い世界線にて異例の“処女”であった。

 

 

────……

 

 

 カルデアの職員たち全員がマシュ・キリエライトに性的魅力を感じていない訳ではない。

 

 可愛いと思うし魅力的だとは思うがしかし、どうしても彼らにとっては見守りたい父性の方が勝るのだ。

 

 それは調子こいてサーヴァントの人格を軽視して逆鱗を踏んで殺されて、“自然淘汰”に近い形で良識のある人物のみしか残らなかったこのカルデアでは尚更だ。

 

 

 彼女は遺伝子操作によって産まれたデザイナーベビーであり、誕生後14年間に渡って無菌室に隔離、秘匿されてきた過去がある。

 

 当然その期間は性的接触以前に接触そのものが不可能なのでその気になった人物がいたとしても物理的に触れなかった。

 

 マシュが15歳になる頃、Dr.ロマンの働きかけにより彼女はカルデア内の移動を許され、一般職員に混じり無機質な“備品”のように過ごす事になる。

 

 無論その頃のカルデアにはまだ今のような安定した体制も整っておらずカルデア式英霊召喚の基盤も出来ていない。

 

 貞操観念の緩いこの世界。

 

 後にサーヴァントの逆鱗を踏んで殺される末路を辿る職員もこの頃は存在していて、マシュに劣情を向ける者は当たり前だが存在した。

 

 そもそもが性行為に関するハードルが地に埋まった世界線であり、加えてこの頃の感情も情緒も育っていない、まさしく“人形”のようであったマシュならば要求されるがままに、備品として、役割として、己が身体を使わせただろう。

 

 しかし結果的にではあるが、マシュの身を真っ先に守った者たちがいた。

 

 

 ────ベリル・ガットが、他の職員たちによるマシュへの性的接触を許さなかったのだ。

 

 決して彼は表だって阻止していたわけではない。

 

 しかし職員たちがマシュに手を出そうとすると決まって出所不明の殺意と悪寒に襲われ、本能で“何故かは分からないが彼女に手を出したら死にそうな気がする”と感じた職員たちはみなマシュを敬遠していた。

 

 “自分の手で美しいものを壊した時だけ、それを美しいと感じられる”

 

 そんなどうしようもない性分を生来から抱えるベリルにとって、一目惚れしたマシュの一度しかない処女は何としても自分が“壊したい”ものであったのだ。

 

 加えてそれ以外にも彼女を守る者たちは複数存在していた。

 

 Dr.ロマンや、元からカルデア初期の所業について何なら座に帰ろうとするほど憤っていたダ・ヴィンチちゃん。

 

 マシュのデザイナーベビー計画、隔離、秘匿に携わるどころか知らされてすらいなかった一般スタッフの中のまともな良識を持つ者も、“流石にそれはどうか”と蛮行を咎めていた。

 

 ベリルだけでなく他のAチームのメンバーも、マシュへの悪影響を考慮して彼女の身を守っていた。

 

 キリシュタリア・ヴォーダイムの前ではそんな不躾な職員も退散することしか出来ない。

 

 デイビット・ゼム・ヴォイドは一言も口を挟もうとはしなかった。

 が、一言も発することなく彼が僅かな動作を行うだけで何故か彼女を使った性処理を行えない状況が勝手に出来上がる。

 

 カドック・ゼムルプスは直接的に“やめろ”と制止することは無かったが、居心地が悪そうにしながら“あくまでAチームの役割だ”と自分に言い聞かせるようにして彼女を庇っていた。

 

 後にマシュの先輩にもなる、この時の芥ヒナコにはそれらに関する興味は一切無かったが、ただでさえ目障りな人間による盛り場が形成されるのを嫌って妨害し、結果的にマシュを助けることに繋がっていた。

 

 密かにマシュと友達になりたいと願っていたオフェリア・ファムルソローネは、そんな職員たちに嫌悪と怒りを露にして手癖の悪い職員を追い払っていて。

 

 スカンジナビア・ペペロンチーノはそんな場を見つけては、空気のように自然に滑らかに入り込み、オフェリアと何が起こっているのか分かっていない様子のマシュの肩を抱き、雰囲気を和やかにしつついつもその場から逃がしていた。

 

 

 一般職員の視点からすれば、ある日どこかから編入してきた15歳の若いカルデア所属のマスター候補の一人であり、今は人類最後のマスターに無自覚の恋心を抱くパートナーであり、尚のこと手を出す理由がなかったのである。

 

 隔離・秘匿に関わっていた極一部の職員は既に現在のカルデアでは生存しておらず、カルデア内で彼女の過去を把握しているのは現段階ではダ・ヴィンチちゃんぐらいのもの。

 

 

 自然界の“宝石”とは、文字通り誰の介入もなく大自然の円環(サイクル)によって産み出される。

 

 本人の関与せぬ内に自然と形成されていた周囲の環境によって現在(いま)の姿が形作られていく様はまさしく宝石の作られる過程のようであった。

 

 そんな数奇な運命を辿り数多の善意に囲まれて健やかに育ったマシュは今や無事に────……

 

 

「ハッ、ぁ……ふ、ぐ♡♡ ぅ゛ぅ~ッ……!♡♡ ぁ、イ゛く…………せん、ぱ……い゛っ……い゛っイギますっ……♡♡♡ ぉ゛っおっ……イ゛────ッッン゛う゛゛っ…………!!♡♡♡」

 

 プシャァァァアッ……!♡♡♡

 

 

 ────無事にドスケベ淫乱オナ狂いムッツリ性欲モンスター処女マシュマロ後輩となっていた。

 

 彼女の自室にて。

 

 辛そうに眉をひそめたまま脱衣所から拝借したマスターくんの上着を羽織ながら、右手で乳首を強くつねり左手で激しくクリトリスを転がしていたマシュは、ビグンッ!♡♡ と腰を浮かせて勢い良く潮を吹いて愛液のアーチを作っていた。

 

 全身の筋肉がこわばる。

 アクメの余韻は収まらず、彼女は仰向けで腰だけヘコッと持ち上げた姿勢のままガクガクと痙攣を続けていて。

 

「ハー……ハァ゛ー……ふぅーっ……♡♡♡ ~~っ、は……はぁ……♡♡」

 

 すでに発情の極みを迎えていたマシュの表情はどこまでも一匹の雌として仕上がっていて、瞳にはハートマークすら浮かべて荒い呼吸を続けている。

 

 クタリ、と力が抜けて頬に髪を張り付けたまま脱力するマシュの欲情は未だ止まらない。

 

「んっ……ぁ……♡♡♡」

 

 クチュリ♡ と体勢を仰向けから横になり、胎児のように身体を丸めてまだ一度も使われていないツルンとした無毛のマンコの入り口を何度も細い指で圧迫する。

 

 乳首を強くつねり、捻るのに使っていた右手で羽織っているマスターの上着の襟を引き寄せ、己の口元を覆って深く、深く呼吸を繰り返す。

 

「先輩っ……せんぱ、い……♡♡♡ ぁっあっぁっ気持ちっいい、です……!♡♡♡」

 

 彼女が脳に浮かべるのは無自覚な恋心を向け続ける先輩の姿。

 

 何故この貞操の緩い世界線で彼女はこうも熱心にオナニーに耽っているのか。

 

 無論、この世界線でもあくまで性行為に関するハードルが低いだけで、誰だって催したらオナニーはする。

 

 むしろ女性英霊も含めてオナニーの頻度は性的トリガーが軽い分、他の世界線よりも高い。

 

 しかしこの世界線の“普通”を基準にしたうえでここまでの性的興奮を催したのなら、相手に困らないこのカルデアの環境下でなら、誰か相手を身繕った方が早いし手軽で何より“確実”なのだ。

 

 

 ────しかしマシュは奥手(ヘタレ)だった。

 

 マスターへ抱いている恋心に、マシュ本人が無自覚だったのが更にそれに拍車をかけた。

 

 マスター自身も(マシュの事も好きだけど本人が誰ともヤらないし、先輩、マスターって肩書きを傘に強引に迫るのも酷い話だし……何より嫌われちゃうよなぁ……)と好意と善意から遠慮していたのが更に追い討ちとなっていた。

 

 マシュ自身は“いつでもOKです!”のオーラを出してるつもりではあった。

 

 処女かつ色事関連の駆け引きの経験値が皆無のマシュでは、この世界線基準で見ればそれがアピールにすらなっていなかっただけで。

 

 マシュ視点ではいつでも誰かと熱い逢瀬を交わしている先輩が、何故か自分にだけは手を出そうとしないように見える。

 

 そのうえ女性英霊はいずれも同性であるマシュですら惚れ惚れするほどの美貌揃いであり、それがまた只でさえ奥手の彼女の自己評価をみるみる低下させていく。

 

 そのせいで“自分には魅力が足りないのだ”という勘違いをみるみる肥大化させ、それがまた彼女の積極性を奪う要因となっていた。

 

 無論、遠慮と配慮の結果とは言えマシュと二人きりの状況であっても、催した時は必ずその場では我慢してマシュ以外の誰かに性処理を頼むというマスターの行動も、彼女の自信を喪失させる大きな原因の一つであった。

 

 噛み合いが良いのか悪いのか、この世界線では抱かせてくれる相手など簡単に見繕える。

 

「お、ほぉ゛ぉ゛……っ♡♡♡ い゛……いい゛で、す、先輩……っ♡♡ ぁ゛っぁ゛、う゛っお゛、お♡♡♡」

 

 指の腹で固く勃起したクリトリスを何度も擦る。

 

 普通であれば痛みを感じて快楽どころではない力で強く乳首をつねり、根本からしごいてたわわに実った乳肉を揉み潰す勢いで圧迫しても、未開発の人間にいきなりやっても単なる苦痛と嫌悪の対象でしかない。

 

 

 ────しかし長く濃密なオナニー習慣で無自覚なセルフマゾ開発を続けてきたマシュにとって。

 

 カルデア内で生活していればどこででも性に爛れた様子が拝めて無限に知識や性欲を仕入れられる環境にいるマシュにとって。

 

 何より本人のムッツリさと性欲の強さから、四六時中マスターとサーヴァントとの激しい種付け交尾を覗いては学習を続け、オナニーの度にマスターの姿を重ねて自分なりに再現しているマシュにとっては。

 

 これぐらい激しくしてもまだ増進していく性欲に追い付かないのである。

 

 この貞操観念の緩い世界線のカルデアではオカズには困らない。

 

 

 本日もまた、彼女の脳内には網膜に焼き付けたマスターとサーヴァントとの濡れ場が展開されていた。

 

 

────……

 

『ン゛う゛う゛ッ!!♡♡♡ ン゛゛ゥ゛ー゛-ーッ゛゛!!♡♡♡ ン゛♡♡ ゥ゛♡♡♡ ム゛゛ぐゥ゛っ゛んーーっ!!♡♡♡』

 

 影の国のあるじ、ケルトの女王をギチギチに縛る拘束具が金具の音を鳴らしていた。

 

 棒状の口枷の隙間からくぐもった雌の声をヨダレと一緒にダラダラと垂れ流し、俗に“ヒトイヌ”と呼ばれる姿で四つん這いに拘束されたスカサハはただ身悶える事しか出来ない。

 

 折り曲げた肘と膝をスッポリ覆う革製の拘束具に、同じく革製のベルトで両目を隠し、革製の首輪に繋がれたリードを引っ張られ。

 

母乳滴る大きな乳房とそれにも負けない大きなボテ腹を、たぽん♡♡ と揺らすその姿は(まさ)しく肉便器、マゾ奴隷といった所。

 

 そんな彼女を絶え間なくアクメさせ続けるのは勿論マスターで、彼はリードを巧みな力加減で引っ張りスカサハの背筋を反らさせながらその雌殺しチンポで容赦なく彼女の秘裂を抉り続けていた。

 

 ぱんっ♡♡ ぱちゅんっ♡♡ じゅぶぢゅっ♡♡ と何度も接触を繰り返す度に二人の結合部に泡立った愛液や本気汁の橋が糸を引き、その度にスカサハは無様な豚のような声でアクメする。

 

(あ……あわわ……あのスカサハさんが……あんなっ……あんな激しく虐められて……♡♡ 縛られて……レイプされて……♡♡ ……あ、今あんな乱暴にお尻を叩かれただけで……!!♡♡♡)

 

 すっかりマゾが板についたスカサハを犯し潰すマスター。

 

 そんな二人の様子をひっそりと扉の隙間から覗きながら、マシュ・キリエライトは一心不乱にオナニーしていた。

 

 強く気高く、聡明で凛々しいあの戦士の女王が、ヒトであることを放棄するような装いでねじ伏せられるような乱雑な交尾で、喉の奥から歓喜の声をくぐもらせる。

 

 まばたきする事すら忘れ、己の股下に自分の淫汁で水溜まりが広がりつつあることにも気付かず、ビチャビチャと激しくマンズリしている事にも無意識で、マシュの思考、意識はその視界に全て注がれていた。

 

『射精すよ……師匠ッ……!』

 

『んムゥ゛ぶっ♡♡♡ ふグッゥ゛ン゛っ♡♡』

 

(ぁ゛っクる、クる……っ♡♡ 先輩のが膣奥にっ!♡♡ 射精されるっ♡♡♡ イッッ……ク、イグイグ……ッッ!!♡♡♡)

 

 射精の予告に合わせて激しさを増すピストン。

 肉を打つ音は更なる高まりを見せ、首輪を引っ張られてスカサハの背筋が大きく反れる。

 

 その光景を見つつ己を投影していたマシュもそれと全く同じ刺激を自身に錯覚させ、大絶頂の準備を整えていた。

 

 

────……

 

 

「────ぅ゛イ゛゛ッッ゛……イ゛……ッッぐ……!!♡♡♡ お゛ッお゛ォ゛……ッ゛ォほ…………♡♡♡ お゛ーーイッ゛ぐ♡♡♡」

 

 っっぷしゅぃぃぃっ……♡♡♡ と横向きに寝転んだマシュは何度目になるなるかも分からない妄想トランスアクメで歯を食い縛って全身を強ばらせて潮を吹き散らかしており、視界が滲む程の強烈な刺激にただ荒く胸を上下させていた。

 

 乱れた衣服に、虚ろな瞳に愛液の泉。

 

 息も絶え絶えで白い吐息を何度も立ち上らせるその姿はまるで襲われた直後のようで、ヂョボボロロ……♡♡ と少しずつ勢いを弱める潮は寝床を濡らし、またシミを広げていく。

 

「…………っは……はぁ……♡♡ は……ぁ……♡♡ ……ぁ……スン……っ……スンスンッ……っ♡♡♡」

 

 ボンヤリと“また掃除しないと”と言った考えは浮かぶものの、身体は動かない。

 

 今は性欲を発散させる事のみが何よりも優先され、それ以外の行動が酷く億劫に感じられる。

 

「ん……♡♡ ぁ、あっあ……♡♡ ソコ……気持ちいいです……せん、ぱっ……♡♡♡」

 

 ゴロンとうつ伏せになり、顔の下半分をマスターくんの上着で包んだマシュは腰を持ち上げ、両手でまたオナニーを再開していた。

 

 顎と両膝を支えに、勃起したクリトリスと、充血して絶え間なく本気汁を垂れ流す膣穴の入り口を両手で弄る。

 

 どれだけやっても結局自分の指と妄想だけでは覗いてきた“あの光景”に届かない。

 

 ────この世界にもディルドーはある。

 

 一般職員からマスターの分、そしてレイシフト先の住民やエネミーチンポなど様々な性関連の情報が保存されているカルデアでなら、その形を3Dプリンターで出力してオナニーに用いる事も可能。

 

 当然マシュの部屋にはマスターの雌殺しチンポを模したゴム素材のディルドーが置いてあるが、それを膣内に挿入れた事はない。

 

 どうしても処女だけは先輩に捧げたいと言う思いから、それで膜を破る事だけは出来なかったのだ。

 

 そのため指でスる時も膣の入り口しか擦れない。

 

 

 彼女の情欲は、溜まる一方であった。

 

「フー゛……フゥ゛ーっ……。…………せ……先……ぱいっ……欲しいです…………グスッ……」

 

 モードレッドがシミュレーター内で肉便器扱いされマゾアクメしている姿。

 牛若丸が雑にハメ倒され、語彙が“あるじどのっ”しか無くなった雌犬調教の姿。

 お仕置き待ちでイタズラを仕掛けてきたBBちゃんへのお仕置き首絞めファックの姿。

 

 今までに覗いてきた幾つもの濡れ場を想いながらも、一抹の寂しさと願望を切なく漏らしながらマシュは今日も、自慰に耽る。

 

 

 

────……

 

 

 

 貞操観念の緩いこの世界線に迷い込み、その快感に居心地の良さを覚え“まぁいいか”と定着して馴染んだ殺生院キアラ。

 

 彼女は現在様々な要因で果てしない雑魚マンコとなり、ありとあらゆる性的快楽で敗北する存在であるが、身に付けている技術や抱いた時にもたらす快感は据え置きである。

 

 そのため彼女は他のサーヴァントと同じくマスターにハメ堕とされた一人であるが、同時に彼と親交を深めた結果キアラはマスターの性技関連の師匠にもなっていた。

 

 

 彼女は改心したわけでもないし、その人間性に変化もない。

 

 前と変わらず真に“人間”と呼べるのはこの世界に自分だけ。

 

 彼女が反旗を翻さないのは、何よりもこのカルデアにいるのが“現状”一番気持ちいいからだ。

 

 そう言った危険性を秘めたままのキアラだったが、徐々にこの底抜けの善人たちの集うカルデアに絆され、“師”として仰がれるのも気持ちいいと思うようになっていた。

 

 そんな、カルデアの人類最後のマスターのテクニック面での師匠であったが、彼女は密かにもう一つの側面を有していた。

 

 それは、

 

「その調子ですマシュさん! そう、……そうっ……! その動きを覚えるのです! より柔軟に、しなやかに!」

 

「っハイ! キアラ師匠(せんせい)っ!」

 

 先輩との初体験を迎える際に恥をかきたくないとするマシュの、奉仕テクニックの師匠でもあったのだ。

 

 マネキンの股間に張り付けたマスターの形を取ったディルドーに、マシュは懸命に手コキを行う。

 

 その後ろでキアラが真面目な表情のままコーチングを続けており、二人の間に一切のおふざけは存在しない。

 

五指(ごし)全てに意識を張り巡らせて! 先端、カリ首、竿、根元……グラデーションを効かせるようにっ!」

 

「こうっ……ですか……!?」

 

「その調子です!」

 

 マシュから申し出た性技の師事に対し、キアラはどこまでも真摯であった。

 

 マシュの横でもう一体用意したマネキンで実演して見せながら、時に厳しく、時に優しく、己の手練手管を教え込んでいく。

 

 勿論キアラはフェラのテクニックも教えていた。

 

 口の使い方、舌の這わせ方、吸い付き加減の調節。

 

「ッッ゛……オ゛ご……っぶ、ぐ……!」

 

「我慢です、我慢ですよマシュさん。息苦しいでしょうが、いずれ慣れればそれすらも快感に繋がります」

 

 マシュの喉の拡張も手伝っていた。

 

 上を向かせたマシュの口にマスターの雌殺しチンポを再現したディルドーを咥えさせ、強く鼓舞しながら開発の助力を続けていく。

 

 

「それでは行きますよ。構えてくださいマシュさん。……………………スタートッ!」

 

「ムグっ………………!! ~~~~っ!! っっぷぁ……っ! 出来ました(れきまひた)……!」

 

 風変わりな特訓もその中に含まれていた。

 真剣な面持ちでキアラがストップウォッチを叩けば、マシュは迅速にサクランボの茎を口に含む。

 

 モゴモゴと叩き込まれた舌技を全霊で発揮し、目を閉じて彼女は口内で舌を踊らせる。

 

 一分後、マシュが口を開けば舌の上のサクランボの茎には結び目が作られていた。

 

「お見事……前回よりも更にタイムが縮みましたね。この技術はお口でご奉仕する時も、接吻する時にも使えます。精進を重ねることです」

 

「ハッ……ハァッ……ありがとうございます……! こ……これで私も……キアラ師匠(せんせい)のように口だけでも先輩に気持ち良くなって頂けるでしょうか……?」

 

「ふふふっ……それはまだ先のお話かと。しかしこの調子で修練を積めば貴女もいずれ────これこのように」

 

 そう言ってキアラがおもむろに口を開いて淫靡に舌を垂らす。

 

 その瞬間彼女の口内からトロリとした唾液に覆われた知恵の輪がコロコロコロ……、と分解された状態で転がり出てきて、マシュの目の前で金属音を立てて跳ねた。

 

「────ッッ……!? カチャカチャとした音も立てず……表情も変えず……私と自然に喋りながら……!? それもっ……この数は……一……二……三…………な……七ッ……!!? いつの間……に……?」

 

「うふふ……マシュさんの時間を計ってる間、退屈だったもので」

 

「な…………っ……!」

 

 純朴でひた向きに技術を吸収していく、無垢な恋心を抱くマシュと、徐々に絆されつつあるスケベに対して真摯なキアラの相性は抜群であった。

 

 ありとあらゆるテクニックを教え込み、牛歩ながらもそれを飲み込んでいくマシュ。

 

 いつも通り手や口、胸、脚、ワキ、全身での性奉仕の術を一通り教わり、終わりを迎える。

 

「本日もご苦労様でしたマシュさん。貴女はとても飲み込みが早い。これからも修練は欠かさぬように」

 

「ぁ………………はい……ありがとうございます……」

 

 予定していた分の特訓を終えて、片付けと締めの言葉に入るキアラにマシュは申し訳なさそうな声を反射的に漏らす。

 

 何故なら、みっちり教わった性技のテクニックであったが、本日もキアラはマシュに“膣トレ”の類いを一切課さなかったのだ。

 

 気を遣われている。とマシュは感じていた。

 

 “はじめては先輩に捧げたい、奪われたい”。

 

 なのに自分の意気地無さから未だ膣は手付かずで、処女膜を傷付ける事を考慮して膣を用いる修行がつけられないのだ。

 

 色事に長けたキアラから見ればそれはさぞお子様めいた幼稚な拘りに見えているのだろう、とマシュはずっとそれを負い目に感じていた。

 

 

「……? どうされました?」

 

「いえ……その……申し訳ありません…………キアラさんは私のために時間を割いてくれているのに……私の都合で……そ、その……アソコを使った修行が……出来なくて…………」

 

 モジモジしながら謝意を告げるマシュに対し、キアラは予想外の言葉をかけられたとばかりに目を丸くした。

 

 そしてフッ……と柔和に微笑むと、彼女はその白魚のような指でマシュの頭を優しく撫でる。

 

「……フフ……何かと思えば…………。良いですかマシュさん。貴女の持っている処女(ソレ)は、生涯に一度しか使えぬ最強のオンナの武器。今の(わたくし)ですら使うことは叶わない。貴女のせいで鍛えられないのではなく、それがある以上私が鍛えるまでもないのです」

 

「せ……師匠(せんせい)……」

 

「想い人を確実に射止める為に、誰に教わるでもなく最強の武器を研ぎ澄ませる……善哉(ぜんざい)善哉(ぜんざい)……」

 

 撫でられる度に胸中の不甲斐なさが、己の劣等感が払拭されていく。

 

 見上げたキアラの慈母神のような笑みには後光が指して見えていた。

 実際にはただ位置関係の問題で照明が被っていただけだが。

 

 恐ろしきは本物の“聖人”としての素質を有し、海洋油田基地セラフィックスにてセラピストとして活躍していたキアラのカウンセリング能力である。

 

「師として保証致しましょう。貴女の想いは必ず実る────と」

 

「せっ……師匠(せんせい)……っ……キアラ師匠(せんせい)ーっ!!」

 

「ふふふソワカソワカ……。泣くにはまだ早いですよ全く。その涙は破瓜(はか)の時まで取っておきなさい」

 

 よく分からないノリのままマシュは涙を浮かべてキアラの胸の中へ顔を埋めて抱き着いて、キアラもまたそんな彼女の身体を優しく抱擁する。

 

 

 まるで熱血スポコン漫画の弟子と師匠のやり取りのような一幕を────その部屋の持ち主、カーマは寝そべったまま冷めた眼差しで見つめていた。

 

 

「………………ツッコミませんからね私」

 

 

────……

 

 

 またある日のこと。

 

 訓練終わり、疲労困憊のマスターが寝静まった頃にマシュが訪問。

 

 例え精力的に特訓に励んでいようと、結局のところマシュかマスターのどちらかが行動に移さない限り初夜は決して訪れない。

 

 そしてマスターとマシュ、カルデア全体では善意の空回りが起こっておりマスターからのアクションは望めない。

 

 そのムラムラと溜め込んだ性欲の滾りは基本的にオナニーで発散するのが常であったが、それも徐々に抑えが効かなくなるどころか共にパートナーとして近い距離で過ごす関係上、想いは増加の一途を辿り続ける。

 

 その結果彼女は少しずつ大胆になっていき、

 

「(…………起きてますか……先輩……?)」

 

 遂には限界が近くなると寝静まったマスターの部屋に訪ねるようになっていた。

 

 ノックも声も非常に小さく、例え起きていても聞き取れるか怪しいボリュームでマシュは消灯したマスターのマイルームの扉を叩く。

 

 暫く待っても返答はない。中から人の動く気配もない。

 

 まるで彼の人となりを表すかのように一切施錠されていないマイルームへと足を踏み入れた彼女は、バクバクと心臓を高鳴らせながら部屋の中を見渡し他のサーヴァントがいないことを確認しつつベッドへ近付いていく。

 

 この時マスターのオナホ嫁となって第二の自室と言っても良いレベルで入り浸っていた虞美人が気を遣って霊体化していたのだが、マシュは当然それに気付かない。

 

 どんな些細な物音も立てぬよう、マシュはベッドの側へ椅子を移動させるとそこへ腰掛ける。

 

「…………は……ぁ…………♡」

 

 近くに座っただけで濡れた吐息が勝手に口から零れ出した。

 

 長く深い付き合いになるマシュはマスターの眠りの深さも熟知している。

 

 鍛練と過酷な環境もあって身の危険が迫れば自ずと肉体が覚醒するのだが、原則安全なカルデアで眠りに就いた彼はそう簡単に起きはしない。

 

 微かな衣擦れの音だけを奏でながら、マシュは腰を上げると非常に緩慢な動作でマスターの頭部の両脇に両手を置いた。

 

 室内の唯一の灯りである仄かなデスクライトの光がマシュによって遮られ、彼の顔に影が落ちる。

 

「はぁ…………ふ、ぅぅ…………♡♡」

 

 どこまでも穏やかな寝表情のマスターとは対照的に、暗がりの中でも分かるほど顔を赤らめたマシュ。

 

 あまりにも鼓動が高鳴りすぎて先輩に聞こえてないか不安になる。

 

 しかしもはやその迸る想いは堪えきれず、マシュはユックリと顔を近付けて就寝中のマスターと唇を触れ合わせた。

 

「……ん…………っ……!♡♡」

 

 それはこの性が身近な世界線基準で見れば挨拶程度の軽い接触であった。

 

 舌を絡めるでもなく吐息を混ぜるでもなく、本当にただ唇と唇が接触するだけ。

 

 一般的な“キス”の範疇にも届かないただの接触。

 欧米圏に至っては本当に挨拶レベルで行われる児戯のようなもの。

 

「ふぅ、う……♡♡♡ はぁ、ぁ……♡♡ んぅ……♡♡」

 

 しかしこれまで性に囲まれながらも一切直接的な接触を行ってきて来なかったマシュにとっては途方もない官能を与えてくる。

 

 こうでもしなければ奥手のマシュはここまで接近できない。

 無数の背徳感とスリルが燃料となり、ゾクゾクと下腹部と背筋を疼かせながらマシュは小鳥が啄むように唇を触れさせ、子犬のようにチロチロと舌先をマスターの唇に這わせる。

 

「(せんぱい……せん……ぱい……っ♡♡)」

 

 全身が燃え上がるように熱い。

 

 ヒートアップした彼女は細心の注意を払いながらベッドに上がり、マスターの眠ったまま立ち上げられた立て膝を跨いで股を擦り付け始めた。

 

 オナ狂いとなったマシュの最上のオナニーであり、彼女はこうして情愛、親愛、性愛、が限界に達する度にマスターの寝込みを訪れていた。

 

 長い付き合いに、数え切れない程繰り返して確かめてきた事である。

 

 熟睡している時の彼は頻繁に寝込みを襲われるうえに、貞操観念が緩いことも手伝ってそこに“悪意、敵意、殺意”が介在しない限り────ましてやそこがカルデアなら滅多な事では起きはしない。

 

 アン・ボニー&メアリー・リードの海賊コンビに寝てる間に拉致られた時も、彼が熟睡から目覚める事は無かった。

 

「ぁっあっう♡♡ ぁ゛っあ、はぁっ……♡♡ 先……輩、ごめんなさ……っ♡♡♡ ん゛っう゛、ぉ゛ぉ……♡♡」

 

 マスターに体重をかけて万が一起こしてしまわぬよう両肘と両膝を支えに四足になり、腰をヘコヘコと動かして彼の太ももで股を擦る。

 

 下着とストッキングの上から擦るだけのそれは、自分の指で行う自慰と比べると任意で強弱を決められる“圧力の強さ”には到底及ばない。

 

 しかし、彼女はその行為に自慰の何十倍もの官能を得ていた。

 

 もしも先輩が起きてしまったらというスリル。

 就寝中の先輩を“使って”オナニーする事への背徳感。

 愛しき先輩と鼻先が触れ合う程の距離まで接近した事への果てしない興奮。

 自分の手でしか触れたことの無い秘所に布越しと言えど先輩に触れているという感動。

 こんな発情期の犬のように腰をヘコつかせる浅ましい姿を見られてしまったら、という先輩へ抱く破滅願望。

 このまま自分の本性を知られて他のサーヴァントにしているのと同じように征服されたいという従属願望。

 

 あらゆるスパイスが渦巻いた情欲が、マシュをどこまでも高鳴らせた。

 

「────イ゛゛ッッ…………~~っ……くふっ、は……ぁぁぁ……っ……!!♡♡♡」

 

 ガグンッ!♡♡♡ と強く腰をビクつかせてマシュは最初の特大アクメをキメる。

 

 思わず普段のオナニーの調子で大きな声でイキ声をあげそうになり、間一髪噛み殺した喜悦の声を吐息と一緒に滲ませた。

 

 眼鏡を曇らせる程の熱い吐息を吐きながら、下半身から上り詰めてくる快感に浸りつつマシュは改めて先輩を見下ろす。

 

「ぁ……はぁ…………はぁ……♡♡♡ ん……ちゅ……ん……♡♡♡」

 

 一度トリップしたマシュはもはや性欲を吐き出しきるまで止まらない。

 

 眠りこけたままのマスターの表情に愛情を爆発させ続けるマシュは一心不乱にこの世界ではキスと呼べない拙いキスを行い続けた。

 

 

 どれほどその時間が続いただろうか。

 

 朝が近付き、いつもの起床時間を迎えてマスターは目を覚ます。

 

「…………んー……う、んんん……っ。……ふわぁぁ…………おはよぉございますせんぱ……パイセン……」

 

「パイセンに言い直すな。おはよう後輩」

 

 彼が目を覚ました時そこに後輩の姿はなく、いつも通り先に起床して自分の分まで含めてコーヒーを淹れる虞美人の姿が。

 

 寝ぼけ眼を擦りながら上体を起こして背伸びを一つ。

 

 そこで彼は自身の肉体に起きていた、就寝前との差異に気付いた。

 

「あれ……なんか口回りに変な感触が…………、……? 膝が湿って…………んん……?」

 

 虞美人は昨晩の出来事を全て目にしている。

 マシュに気を遣って訪問している間だけ霊体化していた事で気付かれなかっただけで、導くべき後輩の一人であるマシュの想いも知っている。

 “早くくっつきなさいよまどろっこしいわね”と常にやきもきしている程だ。

 

 今この時も“さっさと気付け”と喉元まで出かかっている言葉を必死に飲み込んでいる最中である。

 

 

 この世界線で彼が寝込みを襲われる事は日常茶飯事だ。

 故にこの現象、寝起きの心地にも覚えは幾つもあった。

 

 慣れ親しんだ濃密な発情した雌の匂い。

 マシュが証拠隠滅し切れなかった僅かな痕跡。

 オナニーの際に湿らせた微かな愛液。

 

 

 ────彼が、自分が寝ている間に何があったかに察しがつくのに、そう時間はかからなかった。

 

 

「────ッッまさかパイセンまたブッ!!?」

 

「今回は違うわよ馬鹿!!!」

 

 

 

────……

 

 

 マシュは奇跡的とも言える運命の星回りに恵まれて、気軽な性欲処理による処女喪失を免れているわけだが、今のカルデアがマシュの初体験にとって100%安全な場所というわけではない。

 

 マシュが想いを告げられずアタックもされず、悶々とした平常運転のままカルデアでの日常を送っていた時の事。

 

 この日はハベトロットとモルガンを交えたお茶の時間を経て、その際にハベトロットに花嫁として自信を持てと励まされるもやはり勇気を出せない自分に不甲斐なさを感じながら、カルデア地下図書館へと足を運んでいた。

 

「…………はぁ…………」

 

「気が優れないようですね。その悩み事はいつものアレですか? マシュ」

 

 無意識に俯き気味で前髪で瞳を伏せながら歩いていた事もあって、彼女は正面からかけられた声に小さく身を跳ねさせる。

 

 投げ掛けられた声はどこまでもしとやかで上品で、されど色気に満ちた妖艶なウィスパーボイス。

 

「えっ、あ、おはようございます、メドゥーサさん」

 

「おはようございます、マシュ」

 

 ゴルゴン三姉妹の末の妹、メドゥーサにマシュはペコリと頭を下げた。

 

 オフである事を表すように普段のピッチリとした黒のボディコン服ではなく、深い藍色のデニムジーンズに黒のニットセーターと一冊の本を携えた装いで、彼女はマシュの目の前で足を止めた。

 

 同性であることを加味しても若干近過ぎるような距離感で、彼女は優雅な手付きでマシュの髪に手櫛を通す。

 

「そのように伏し目がちで歩いていては危ないですよ。それに貴女の美しい目まで隠れてしまっては勿体ない」

 

「ぁ、えっと……は、はい……!」

 

 自分にはない大人の魅力に思わずドキドキしてしまう。

 彼女はやや高い視点から至近距離でマシュの顔を見つめながら、優美に微笑んで頬を撫でた。

 

「貴女ほどの人に迫られればマスターであろうと喜んで受け入れるでしょうに。もっと自信を持って良いのですよ」

 

「うぅ……は……はい……面目ないです……」

 

「先程の朝食の時も物憂げでしたね。しっかり食事は摂れていますか? 見る限り少々野菜に偏り気味に思えますが、もっと肉も摂るべきです。血液にコクが出ますから」

 

「け……血液…………?」

 

「最近は慌てて廊下を走っていく姿も見受けられますが、良質な睡眠は取れていますか? 貴方が望むなら私が供をするのも全く構いませんよむしろ望むところ」

 

「メ、メドゥーサさん? あの……ち、近」

 

「初夜が不安だと言うのなら私が練習台となっても構いませんが」

 

「なぜ喋りながらドンドン距離を詰めてきてるのですか!!?」

 

 ドキリとする程の距離に一歩退けばその長い脚でまた一歩。

 やがて順序は入れ替わり、彼女が踏み出す度にマシュの方が合わせて下がる。

 

 気付けばマシュは壁を背中に互いの胸が密着して形を柔らかく変える程に押し込まれていた。

 

「気のせいではないでしょうか。大丈夫、貴女の想いを散らせるような真似は断じて致しませんとも。その一線だけは守ります」

 

 老若男女問わず魅了する魔性の美女が、うら若き乙女を壁に挟んで長く美しい指で顎を撫でる。

 

 端から見ればとても画になる美しい有り様だったがその実態は捕食体勢に入った蛇と小動物そのもの。

 

「あぁ……そうですね……しかし……このまま貴女の純粋な想いを燻らせ続けていくのを見逃すわけにも行きませんし……ちょっと……ちょっとだけ…………軽いつまみ食いぐらい…………」

 

 ゴルゴーン三姉妹の末妹(まつまい)、メドゥーサの好み……それは“スタイルの良い処女”。

 

 

 つまりマシュはストライクゾーンど真ん中。

 

 

 人理を守るカルデア所属のサーヴァントであり善側に立っているアレコレで誤魔化されてはいるのだが、実は割と中々アレな性格をしていらっしゃる。

 

 具体的にはギリシャ神話出身らしく性にかなり奔放で、男も女も自分の好みであれば見境がないバイセクシャルでゴリゴリの肉食系。

 

 この性癖と性欲と、そしてこの世界線特有の貞操観念の緩さから、実は過去にフレンド関係にある別世界線のカルデアの女性マスターをツマミ食いして帰ってきて問題になったことも。

 

 幸いそこのマスターと貞操観念の緩い世界線のマスターとで良好な関係を築けていたのと、肝心の女性マスターがキスマークだらけでモジモジしつつ何故かやたらメドゥーサを擁護してくれたので事なきを得たのだが。

 

「めっメドゥーサさ……! まっ待ってくださいっ! そ、そのっ心の準備が……!」

 

「ご安心を。優しくシてあげますし、傷一つ残しませんとも」

 

 話を聞いていないというかもはや聞く気がない。

 

 マシュからメドゥーサへ全く嫌悪は無いし強い信頼も抱いているのだが、流石にコレに関しては心の準備が全く出来ていなさ過ぎる。

 

 顔を真っ赤にしながら戸惑いと躊躇を露にするのだが、その初々しいマシュの反応すらも愛おしいと言わんばかりにメドゥーサは顔を寄せて囁いた。

 

「ええ……これは先日赴いた微小特異点でマシュが私への攻撃を身を挺して防いでくれた事への、私からのほんのささやかな……可愛らしい返礼とおも────」

 

「「────メ ド ゥ ー サ ?」」

 

 

 ビタリ、とまるでビデオの一時停止ボタンを押したかのように、メドゥーサが妖艶な笑みを浮かべたまま停止する。

 

 まるで彼女の時間だけが止まったかのようだ。

 

 遅れて一筋の汗がメドゥーサの美肌を流れ、頬を伝って美しいラインを描く顎から垂れて落ちる。

 

「あ、あ、あ、あ────」

 

 美しく妖艶な魔性の美女から一転、油の切れたブリキのようにギギギ……とメドゥーサが振り向けば、そこには二人────二柱の女神が立っていた。

 

 鏡合わせのように瓜二つ。

 この世の美を全て束ねて作られたような美しくも幼い小さな女神に、メドゥーサはガクガクと震えながら弾かれるようにマシュから離れた。

 

「う、上姉様……下姉様……な、な……なぜこちらに……」

 

「生意気。女神オナホとして今日もあくせく働く私と、便所女神として今日も平等に愛を与えてきた(ステンノ)を出迎えもせず、ひとり気ままにつまみ食いだなんて……なんて酷い妹なのかしら」

 

「仕方ないわ(エウリュアレ)。安定の変わらぬ愚妹っぷりにむしろ安心したほどよ。それで、もう続きはいいの? 気にしなくていいわよメドゥーサ。姉の私たちへの慰労よりも優先すべき事なのでしょう? 見ててあげるわ」

 

「あ、あわわ……あわわわ……」

 

 アレほどに大きく妖艶で美しい美女だったメドゥーサが、いまや目の前の二人の幼女よりも小さく見える。

 

 一様にニコニコと微笑む二柱の女神の前に、メドゥーサは姉においたがバレた妹らしく跪いて胸の前で両手を組みプルプル震えることしか出来ない。

 

「フフ、フフフ。そんなに震えちゃってみっともない。肉を揺らして誘っているのかしら。それとも……マシュの処女(ハジメテ)をつまみ食いしようとしたその負い目からかしら」

 

「姉を差し置いて自分だけ先に味見しちゃおうだなんて卑しさここに極まれりね。私たちのマスターのパートナーなんだし仕方ないから初夜ぐらいは譲ってあげようとアレほど話したのに……。その堪え性の無さは誰に似たのかしら」

 

「……………………」

 

「────聞こえたわよ、メドゥーサ」

「────聞こえましてよ、メドゥーサ」

 

「ひっ、ひぃ!? まだ何も言ってません!? まだ!!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいお二方!! “姉を差し置いて先に”、と言うことは既にお二人もロックオン自体はされているのですか!!?」

 

「「………………ふふふ」」

 

(女神スマイルで誤魔化されました!!)

 

 ガシリ、と祈りを捧げる信者のように跪いたメドゥーサの手首を掴み、エウリュアレとステンノは踵を返す。

 

 そのまま手のかかる(可愛い)妹にするように二人はメドゥーサを引きずり始めた。

 

「さて駄メドゥーサ。姉に恥をかかせた罪は重いわよ。どんな罰が良いかしら」

 

「楽しみね駄メドゥーサ。今宵の宴は長いわよ」

 

「あわわ、あわわわ……!」

 

「ま、待ってください! エウリュアレさん! ステンノさん!」

 

 手を引かれて連れていかれるメドゥーサとその姉二人の背中をマシュは思わず呼び止める。

 

 足を止めて振り返った彼女たちに、マシュは続けて声を投げ掛けた。

 

「そ……その、メドゥーサさんも私が不甲斐ない部分に発破をかけてくれた所もあると思うのです。私の業務や生活が疎かになっている部分を気遣って頂いたのも事実ですし……何とぞご容赦を……」

 

「マシュ…………!(パァァァッ……)」

 

 救いの女神得たり、とばかりにメドゥーサは姉の女神二人を差し置いて滂沱の涙を流した。

 具体的には目の幅の涙を。

 

 自分を性的に襲おうとした相手にまで己の至らなさを下地に減刑を嘆願してくれるその姿に、彼女は思わずマシュへ感動の視線を向けた。

 

「マシュ……! じゃないのよメドゥーサ」

「パァァァッ……じゃないのよメドゥーサ」

 

「「何をヒマワリ色のオーラを浮かべているのかしら?」」

 

 しかしやはりその願いは届かない。

 

 再度メドゥーサの肩をガッシリと掴んだ女神二人はズリズリと妹を引きずっていく。

 

「あんな無垢な娘を美味しく頂こうとした罪悪感はちゃんと持っていて? なおのこと貴女の罪状が重くなったわよ」

 

「愚妹を更に追い込むナイスアシストねマシュ。それではまた。……ほら、行くわよメドゥーサ」

 

「ご、ごめんなさーい…………!!」

 

 助けを求めるように手を伸ばしたままゴルゴン三姉妹の末妹は二人の姉に引きずられ、そのまま遠く遠くへと連れていかれ小さくなっていった。

 

 嵐が過ぎ去ったあとのように途端に静かになったカルデア通路で、マシュは呆気に取られたままため息をつくのだった。

 

「行ってしまわれました……」

 

(しかし……元を正せばやはり私が意気地無しのせいですし…………はぁ…………勇気が……欲しい…………)

 

 

 

────……

 

 

 その日の晩。

 

 カルデアミーティングルームにて。

 

 

「さてそれでは────諸君。第27回、マシュとマスターくんはどうすればくっつくのか会議を始めよう」

 

 長机の椅子に二人並んで座り、一様に眼鏡をかけるダ・ヴィンチちゃんとロリンチちゃんがやたら直球なネーミングの議題を掲げた。

 

 室内の机には現カルデア職員の重役がズラリ。

 

 いずれも今のカルデア運営が安定するようになって久しい、優秀かつフォウくんもご機嫌のマトモな善性を持つ者ばかり。

 

 中には初期からマシュへの不埒な接触から守ってきた古参メンバーも席に座っている。

 

 普段は極秘で行われているこの会議だが、今回は大事なゲストを招いていた。

 

 そのゲストとは、上座のホワイトボードのそばの床に直接正座させられている一人と、ついでにもう一人。

 

 

「……メドゥーサそれ何………? “私は駄目な妹です”って書いたプレート首に提げて……」

 

「不可抗力で…………」

 

「不可抗力かぁ……」

 

 他ならぬカルデアの人類最後のマスターと、本日つまみ食いを働こうとして罰を与えられたメドゥーサだった。

 

 衣装はオフの服装から普段の黒のボディコン服にバイザーをつけた状態で目元を隠しているが、心なしか眉尻がしょんぼり下がっているように見える。

 

 

「さて、まずは諸君も気になっているであろう、“なぜこの会議に当事者であるマスターくん”を連れてきているか、を説明しよう。大きい私、お願い」

 

「了解。こほん、────これまでの会議は、我々が知る通り細心の注意を払ってマスターくんとマシュに極秘で進めていたものだ。議題の中心も、如何にすれば“マスターくんとマシュはくっつくのか”、だ」

 

 気の抜ける会議名に反して進行は至極まっとう。

 

 ロリンチちゃんに振られたダ・ヴィンチちゃんは慣れた様子で進行を行い、彼女の口上に十数人のカルデア職員は閉口したまま流れに合わせてウンウンと頷いていた。

 

「当然、内容が内容だ。この作戦は当事者たちには秘すべきもの。そのため水面下で我々は試行錯誤してきたね? 老婆心ながら、我々はうら若き男女の甘酸っぱい恋の成就を祈って苦心してきたわけだ。……さて、今回彼を連れてきたのは、我々と彼の認識に大きな齟齬があり、それぞれで情報共有を行わねばならないと判明したから。そして、その罪を断罪するためだ」

 

 にわかにざわめき始める職員たち。

 

 状況が分からぬ職員たちと異なり、今の説明である程度状況を把握したマスターは“既にもう嫌な予感するな”と冷や汗を垂らす。

 

「(どんな罪を犯したんですかマスター)」

 

「(………………いや……その…………)」

 

 ヒソヒソとしたメデューサの問い掛けにマスターはモゴモゴと口ごもる事しか出来ない。

 

 珍しくダ・ヴィンチちゃんに怒られたと思えばこういう思惑が裏にあったのか、と項垂れる事しか出来ない。

 

「今日の昼、私、レオナルド・ダ・ヴィンチはマスターくんと昼食を摂る際に、それとなくマスターくん側へのヒアリングを試みてね。マスターくん、私の“マシュだけ意図的に避けているようだけど何か事情が?”という問いに君はなんと答えたっけ」

 

「…………マシュが誰かとシたがってる所を見たことないし…………職員のみんなも手を出してないし……何か理由があるんだろうなーって…………。ポッと出の俺が立場を傘に他の人を差し置いて抱くのも……アレだし…………マシュに嫌われたくないし……。……せめてヤるにしても、マシュが誰か望む人と初めてを迎えたあとに、そこでOKを貰えたらお願いしようかなー……って……思ってて……」

 

「「「………………(ガタッ)」」」

 

「なんでみんな一斉に起立を!!? 待って待って! だって分かんないじゃん! 裏でそんな思惑が動いていたなんて! ああぁぁあぁあちょっと待ってー!!」

 

 

────……

 

 

「とりあえずマスターくんと我々との認識の行き違いが正されたのは大きな前進と見ていいな」

 

「あぁ。今までの会議が前進どころか単なる足踏みにしかなっていなかった事実のダメージがデカいが」

 

 活力溢れる会議が行われる横で、マスターはメデューサと同じく首にプレートを下げたまま項垂れていた。

 

 プレートには“私は駄目な先輩です”という懺悔の言葉を中心に罵倒の寄せ書きが記されている。

 

「まぁまぁ、ようやく前進できるとポジティブに考えよう。むしろマスターくんと連携が出切る分、解決は秒読みと言ってもいい。マシュがマスターくんに想いを寄せているのは明らかなんだからね」

 

 職員たちからの一通りの罵倒と説教を受けたあと、マスターとメデューサの二人にも席が用意されてようやく会議はスタートしていた。

 

 無論、懺悔のプレートは両者首に掲げたまま。

 

 

「じゃあもう取り敢えず認識の行き違いは無くなって問題も無くなったわけですし、マスターくんから普通にアタックすれば解決なんじゃないですかね?」

 

 情報システム管理部門の上長が挙手をしながら率直な解決法を提示する。

 

 他何名かも“まぁ……実際そんな、実態はややこしい状況じゃなかったんだもんな。我々とマスターくんで誤認してただけで”、と同意を示した。

 

 それに真っ先に懸念を挙げたのは他ならぬマスターであった。

 

「いや……その、まぁ……勘違いしてた俺が言うのもなんだけど……多分普段通りに行くとマシュに伝わらないかも」

 

「その通り。諸々の事情と経緯、そしてマシュの視点から見た認識では異なる形に受け取られる可能性が非常に高いんだよね」

 

 ダ・ヴィンチちゃんもそれに合わせて発言し、ホワイトボードに図解を交えて情報を整理していく。

 

「色々考慮するとマシュの認識では“自分に魅力が足りずマスターくんのお眼鏡に叶っていない”という風になっている可能性が高い。とにかく自信が喪失してるんだね。私を筆頭に美しい女性英霊も沢山いるし」

 

「そうなんだよね。多分いま俺がマシュを“抱きたい”と伝えても、マシュはその日の“代わり”として求められたと曲解するん……じゃ……ないかなぁ……」

 

 自分の発言にて生じる不甲斐なさと申し訳なさを引きずるようにして、マスターは所在なさげにそう続けた。

 

 その懸念は他の職員たちにも伝わったようで、実際“消去法で選ばれた”と誤った認識を得てしまったマシュの胸中を思うと胸が張り裂けそうである。

 

 明確に作戦と道筋を立てねばなるまい。

 

 そうして会議が行われる最中、メデューサに肩を叩かれたマスターはそちらへ視線を向ける。

 

 彼女がこちらに向けて伸ばしていた手の中には宝具、“騎英の手綱(ベルレフォーン)”が握られていた。

 

「私の宝具(手綱)を貸しましょうか。ロマンチックですよ」

 

「天馬の上で大空でヤれと!?」

 

 

────……

 

 

 後日。

 

 朝の訓練終わりにマスターはマシュと肩を並べて食堂へ向かっていた。

 

「大丈夫ですか先輩……? 本日は誰ともセックスをされていないようですが……もしお相手を探しているのでしたら私もお手伝いしますよ」

 

「大丈夫。今日は、ずっと抱かせて欲しいと思っていた人にアタックしようと思っててね。それまで禁欲しようかなと」

 

「そっ……そうですか……! 先輩がそこまでする程の方とは……!!」

 

 会議の難航の末に、マスターがポロっと口にした初心に帰ったアイデアは満場一致で採用された。

 

 マシュのこの軽いやり取りだけでも如何に彼女が自分のオンナとしての魅力に自信がないかが伺える。

 

 この世界線での普通なら、“相手を探す手伝いをする”ではなく“自分とヤる?”と聞いてくるのだ。

 

 ずっと抱きたかった人とヤりたい、と言われて、今まで一度もマスターとヤってないカルデア所属の人物などマシュ一人しかいないのに、“自分の事では……?”という発想に全く至らないと言うことは、それだけマスターの相手に自分がなる可能性をナチュラルに除外しているのだ。

 

 そんな彼女の現状に罪悪感を覚えながら、二人は廊下を歩いていく。

 

(もしかして今も実は内心で悲しんでたりするのかな……、うぅ……申し訳なさが…………)

 

(誰かは分かりませんが先輩にとっては念願のお方……っ、つまり今宵の交わりもそれだけ情熱的で激しいものに…………! こ、これはアーカイブから目が離せません……!♡ 応援してますからね、先輩!♡♡)

 

 隣で密かに興奮してフンフン言っているマシュに気付かず、マスターは己を責め続けるのだった。

 

 

「…………♪」

 

「相変わらず良く食べるねマシュ」

 

「はい、カルデア食堂の皆さんが作る料理は今日も美味しいです! ……ぁ、……はし……たなかった……でしょうか……?」

 

「ううん全然。いっぱい食べる子って可愛くて俺好き」

 

「……! えへへ…………」

 

 朝のそれなりに賑やかなカルデア食堂。

 利用者も厨房も活気に溢れ、その様相を眺めるだけで今日も健やかなる淫奔な一日が始まることを予感させる。

 

 そんな中マスターとマシュはいつも通りに穏やかで微笑ましい一時を送っていた。

 

「未来さん! マシュさん! おはようございます! お隣良いですか?」

 

 そんな二人の元へ、同じく朝食を持った邪馬台国二代女王、壱与が朗らかに現れる。

 

 もちろん断る理由など皆無である二人は温かく迎え入れ、マスターが引いた隣の席へ壱与は腰を下ろした。

 

 そこへ遅れて初代女王の卑弥呼も合流。

 グローバルなカルデアには珍しい、米率の高い食卓にて四人は雑談に花を咲かせる。

 

「はむ、あむ……んぅーっ美味しいぃっ……! やっぱり朝はおっきなおにぎりが無いと始まらないわよね!」

 

「良いですよね現代……美味しいご飯がたっくさん……」

 

 男の拳ほどもある大きなおにぎりを頬張り、ご飯粒を頬に付けながら卑弥呼は太陽のような笑みを浮かべる。

 

 同じように食事を口へ運びながら壱与もしみじみとそれに同意した。

 

 何かと癖の多い英霊たちだが、感性がまともで素直な邪馬台国の二人を交えた食事は実に和気藹々としていて笑顔が絶えない。

 

 それから幾らかの話題を朝食と一緒に消化して、流れはいつも通りの方向へ。

 

「えっと……先程の、卑弥呼さんが未来さんの子種で双子のホムベビを産んだ話で思い出したんですけど……そう言えば私、一昨日出産したばかりで丁度フリーなんですよねー……。お腹……寂しいなー……(チラッ)。未来さんのお時間さえよければ……今晩のお相手とか……させてもらえないかなー……(チラッチラッ)」

 

「んムグッ……! ……~~っ、壱与ズルい! 抜け駆けは無しだかんね!」

 

「ズルくないですぅー! 未来さん一人占めしたいだけじゃないですか!」

 

(────! かの名高き邪馬台国初代女王、卑弥呼さんに……二代女王、壱与さん……お二人は先輩とよくセックスされてはいますが……それでも存在の格としては先輩が望んでいても不思議ではありません……! 今晩の相手とは……もしかしてお二人……?)

 

 精神に起きた波紋を表面上に出すことは無く、マシュは眼鏡のレンズを光らせて視線だけを巡らせる。

 

 仲の良い口論を続ける卑弥呼と壱与の二人を見て、そしてそれを苦笑いしながら宥める先輩を見る。

 

(お二人ともとてもお美しいですし、人としても尊敬するばかりの優しい方たち……! そんな……そんな先輩の故郷、日本を代表する最古の女王タッグが……っ♡♡)

 

 想起するのはこれまでの目にしてきた光景も踏まえた今夜の光景。

 

 いつも通りあっさりハメ潰され幸せアクメでイキ失神したあと、ザーメンだけでボテ腹になりアへ顔のまま気絶する卑弥呼の横で。

 

 柔らかな身体を活かして180度ピー……ン♡♡ と開脚した壱与の二代女王マンコを獣のごとく犯す先輩の姿。

 

 同じくケダモノのように野太いオホ声をあげながら屈服おマンコ宣言と共に極大絶頂を迎える壱与の姿。

 

(こ……! これは……っ! これは………………!)

 

 一人で勝手に妄想を爆発させるマシュ。

 反射的に脳へ思い描いた光景に彼女は白ご飯を口に運ぶ動きが止められない。

 

 女性英霊の例に漏れず、二人とも目の覚めるような美少女でありタイプも異なる。

 こんな美少女二人からのお誘いを、もし自分が男だったら断れるだろうか。

 

 否、無理に決まっている。

 

 そうして本日の夜の予約が決まる瞬間を聞き逃さないようにと、マシュが顔を赤らめてご飯をモグモグしながら先輩の方へと視線をシフトすれば。

 

 

「あの……ホンットごめん二人とも……!! 今日はちょっと、どうっっしても抱かせてもらいたい子がいて……その子の為にも俺、今日の夜まで禁欲しようと思っててさ」

 

(お……お二人ではない……!?)

 

 当然ながらマシュの予想は当たらない。当たるハズがない。

 該当する人物はマシュだけなのだから。

 

 マスターは申し訳なさそうに手を合わせて頭を下げており、卑弥呼も壱与も普段とは違うお誘いの断り方から落胆よりも興味の方が勝っているようだった。

 

「えっ、未来クン……今日の夜まで禁欲って…………そっか、本気なんだ……!」

 

「そこまでの意気込みとあらば……私たちが邪魔するわけにもいきませんね……」

 

 一日、どころか今日の夜までただヌかないだけで禁欲とはこれ如何に。

 とはなるだろうが、この性行為が身近な世界線基準で、夜まで誰ともヤらないと言う宣言はそこそこの決意の現れである。

 

「明日以降ならタイミングが合えばお相手させてもらうけど……どうかな、卑弥呼さん、壱与さん」

 

「やったー!! ヤるヤるー! アタシ、またいっぱい孕んじゃうんだから!」

 

「是非お願いしますとも! 負けませんからね卑弥呼さん!!」

 

 任務中や特異点攻略中、大がかりな修行中であれば一日二日(いちにちふつか)性欲処理をしないのは珍しくもないが、カルデアの中のように常にサーヴァントが近くにいる状況で誰ともシないのは、マスターでなくとも珍しい。

 

 例え一般職員であってもこの世界線、このカルデアならよっぽど忙しくて缶詰にでもなっていない限り日に二、三回は適当に誰かをハメ倒してスッキリしている。

 

 もし相手が見つからなくても少し足を運べば任意で壁尻性処理便所をやってる誰かがいるのだ。

 

(いったい……いったいそのお相手とは誰なんですか……先輩…………!!?)

 

 

────……

 

 

『────禁欲をしようかなと、一日』

 

 会議の際にマスターが提示したアイデアは至極単純、しかしそれでいてシンプルゆえの分かりやすく効果を望めるプランであった。

 

『決行日、マシュとは何か特定の用がない限り一緒にいるから、マシュの前で例え誰かに誘われてもしっかり断って、印象をつけさせるんだ。俺がマシュの事を抱きたがっているって』

 

 “…………なるほど”、と暫しの逡巡の後、小声で誰かの相づちが静まり返った会議室に行き渡る。

 

 ダ・ヴィンチちゃんは神妙な面持ち、されど決して否定的な色の無い、妙案を告げられたような表情で考え込んでいた。

 

『ふむ……なるほど、“どうしても相手をして欲しい人がいるから”と、明確な理由を述べつつマシュの目の前で幾つもの誘惑を断つわけだね』

 

『……一日も禁欲してまでお願いする程の相手とは、いったい“誰”だ、……とマシュ視点ではその“誰か”への期待が膨らみ続ける…………』

 

『一日高められたその疑問と期待……マスターくんがそこまでして万全のセックスを望む相手……その答えが一日の最後に“自分”だと判明する……。…………あぁ……おれ女の子にコレやられたらダメになっちゃうわ…………』

 

『おれなんか多分マタ・ハリさんとかにコレやられたら魔術師辞めるよう言われても抗える自信無いかも。……ごめんなさい先代の皆々様…………』

 

 理解を進めたロリンチちゃん、そして他の職員も頷きながらそれに付け加える。

 

 メデューサもまたそのシチュエーションを自分に置き換えながら、確かにそれをやられたらトキメキますねとコクコクと頷いていた。

 

『…………うん! 悪くない! マスターくんとマシュの関係性ならそれぐらい胸元直球ストレートの方が変に策を弄するよりも効果があるだろう。これで行こう!!』

 

────……

 

 以上が先日の会議にて採用された作戦である。

 

 無論、マスターにとってはある意味苦悶の一日であった。

 

 たかが一日と言えど性行為が当たり前の世界で、目の前の美女たちからの好意的なお誘いを断腸の思いで断らねばならない。

 

 相手によっては断るうえで丁重に謝り倒し、後日の約束を取り付ける事で何とか宥めるパターンもあった。

 

 コノートの女王、メイヴを始めとした己の“美”に絶対の自信を持つ者。

 

 中華の皇帝、ふーやーちゃんのようにマスターは自分の誘いを断らないと信じている我の強い者。

 

 独占欲が強く、そのマスターが切望している“誰か”が自分で無いことに対抗心を燃やすライネスのような者。

 

 エリちゃんや牛若のように素直に聞き入れてはくれるが、露骨にシュンと落ち込んで良心を抉ってくる者。

 

 中にはモレーのように“だからこそアがる♪”と何とか逆レイプしてやろうと背徳的快感を求める者もいた。

 普段ならそうやってチンイラさせてくる者はお望み通り抱き潰してハメ倒して、雌殺しチンポでお仕置きするのだが今日はそれも出来ない。

 

 

(…………! 修行終わりにスカサハさんからのお誘い……!! かの影の国の女王、スカサハさんこそ先輩が望む“誰か”でしょうか……!!? …………あれ、違うみたいです……?)

 

(はっ……! ミーティング上がりにマタ・ハリさんからのお誘い……! あんなにも魅力的で包容力溢れるマタ・ハリさんこそ先輩が望む相手────あれ、違う……。何か先輩が事情を話すと何かを察した様子で“まぁ……! ふふっ♡♡”と言いながら私の頭を撫でて行きました……。………………?)

 

(…………!! 冥界の主、エレシュキガルさんからの勇気を振り絞ったお誘いです……! エレシュキガルさんも大変お綺麗ですし高名な女神……彼女こそ先輩が────……違いました……)

 

(あわわ……! オルトリンデさん、ヒルドさん、スルーズさんの麗しき戦乙女三人組に囲まれて夜のお誘いを……!! もしや先輩の言う“誰か”とは一人ではなく三人……!!? あ、あれ…………? 違うみたいです……)

 

 

(どなたも素晴らしく魅力的で、先輩のお眼鏡に叶っても不思議じゃない方々ばかり……なのに全員違う……? いったい……誰なんですか!? その“誰か”とは……先輩……!?)

 

 マスターも大変だったがマシュもマシュで常に気が休まらない一日を送っていた。

 

 目論み通り彼女の中の“誰か”への期待は天井知らずに膨らみ続け、“あの方々を前にして我慢するということは、先輩にとってそのお方は相当魅力的なんだろう”と考えるようになっていた。

 

(…………いいなぁ……)

 

 ────チクリ、とその認識がマシュの胸を少しだけ刺す。

 

 自分も先輩にとってそういう存在になれたら、と秘め続けている願望がささくれだって、しかしそれを何としても表に出さぬよう努めていた。

 

 自分がヘタレて躊躇している間に、きっと取り戻せない程に差をつけられてしまってるんだろうな、と。

 

 しかしやはり認識と善意の行き違い、そして自ら作り出した鎖に無自覚に縛られているマシュは踏み出せない。

 

 せめて少しでも長くお側にいれればいいな、と後ろ向きな心持ちのまま、彼女は彼の背中を追う。

 

 

「やぁやぁ聞いたよ愛しきピグレット。もう噂で持ちきりさ。一人を抱かせてもらうために万全の体勢を整えるべく禁欲中だってね? おぉっと言わなくてもだいじょうぶだとも、ズバリ当てて見せよう────それは私っ、神話に名高き偉大なる大魔女……キルケーの事だろう!!?」

 

「違います」

 

「なんだよぉ! 少しは含みを持たせてくれてもいいだろぉ!!」

 

 夜を迎え、夕食を終えた二人の前でキルケーが嘆く。

 

 傍らではその妹弟子であるコルキスの魔女、大人の方のメディアがそんな姉弟子の姿を気の毒そうに眺めていた。

 

「それにしてもマスターが叔母さまや私からの誘いまで断って望むなんて。上手く行くといいわね。まぁ床上手のあなたならそんな心配もいらないだろうけれど」

 

 当番制でカルデア食堂の料理担当を担うこともある二人。

 残量の少ないキュケオーンの入った寸胴鍋の隣で、メディアは落ち着いた声音で片付けを進めている。

 

 メディアとマスターもまた関係性は良好で、魔術の師を務めながらその延長線上でまぐわう事は少なくない。

 

 未熟でへっぽこ魔術師のマスターではあるが、メディアにとっての心証には欠片も影響していなかった。

 

 そもそも魔術世界に於いてこの場にいるキルケーとメディアの二人は、古今東西あらゆる魔術師の中でも五指に名を連ねる最高位の存在であり、明確に“彼女を上回る”とされるのは魔術王ソロモンぐらいのもの。

 

 そんな彼女にとって魔術の腕前など、人物評価の項目の前には些細な事でしかないのである。

 

 純朴で純粋に己を慕ってくるマスターはメディアにとって、愛しき弟に面影が重なる存在でもあり、師匠と弟子、時に男と女、主に雄と雌なのだ。

 

「うぐぐ……! 教えてくれよピグレット! 誰なんだいその幸せ者は! 私はもう噂を聞いた時から“あっ、さてはこの大魔女をまた徹底的に抱き潰し雌豚にするつもりだな? もー、そんなことしなくてもピグレットにはいつも即効でハメ倒されて降伏お嫁さん宣言させられているのに鬼畜だなぁ、仕方ない。私も多少魔術で一瞬で気絶してしまわないよう強化しておこう”……って耐気絶バフを付与していたと言うのに!!」

 

 スラスラと饒舌に一人芝居で盛り上がるキルケーだったが、“その切望している相手は誰なのか”という問いにはマシュも内心で大いに首を縦に振りながら聞き耳を立てていた。

 

 メディアも同様にその答えには関心があったようで、荒ぶるキルケーを片手間に宥めながらその疑問に続いた。

 

「あー、まぁ隠すような事でも無いですしね」

 

(……もうそろそろ言っちゃって良いかな?)

 

 そう言ってマスターは隣に立つマシュの肩に手を置き優しく引き寄せる。

 

 唐突な行動に頭上へ“?”を浮かべながらも、マシュは無抵抗に引かれるままにトトト……と移動して────

 

「────マシュに、今晩お願いしたいなと」

 

「「「────────」」」

 

 ピタリとマシュを目の前に連れ、後ろから両肩に手を置いて彼はそう言った。

 

 キルケーも、メディアも。想定外の言葉に硬直する。

 これまで中々進展を見せなかった二人に遂に動きが起きた。

 

 その素振りを今まで見せなかったマスターからのアクションに、マシュ本人でさえ笑顔のまま固まっていた

 

(私? 先輩が本日名だたる方々からのお誘いを断り、一日切望されていた相手が私? わ、た??? ??)

 

「────私?」

 

 処理落ち寸前の思考のままゆっくりと情報を噛み砕き、認識が進むに連れてマシュの顔が下から上へ古典的なアニメのように紅く染まる。

 

 頭からボッ、と煙が吹き出るような表現が見えた気がした。

 

「…………えぇぇ!? え……! えっっ!!?」

 

 突然のカミングアウト。可能性など欠片も考えていなかったマシュがようやく状況を認識するが、それで出来たのはただひたすらに驚いてフリーズする事だけだった。

 

「な、ぁ、え、あ、あぁ……マ……マシュか……そうか……そうかい………な、なら仕方ない、か」

 

「そ、そうね、お……おめでと……う……?」

 

 これでマシュ以外の人物であったならキルケーは間違いなく張り合おうとしていただろう。

 

 この場で負けじと次の夜の約束まで取り付けていたに違いない。

 

 しかし想像だにしていなかった人物に立った白羽の矢、そして知っている通りの二人の関係性の前に、キルケーはぎこちなく引き下がるだけであった。

 

 メディアも同様。

 理知的で聡明な彼女であっても驚きが隠せないようであり、彼女は目を丸くしながら冷静さを取り繕いながら、とりあえず祝福の言葉を捻り出す。

 

 とは言え思わぬ状況の訪れによる動揺はあるようで、その動揺は料理の片付けを行っている手元の震えに表れていた。

 

 マスターもマシュも、それぞれ弟と妹のように可愛がっていて互いの成就を願ってはいたが、その単純ながら行き違う状況に一筋縄では行かないという認識を持っており、まさに寝耳に水だったのだ。

 

 

「ぁ、ぇと……そ、その……先輩…………わた……し……ですか……?」

 

 顔を真っ赤にしたままのマシュが肩越しにマスターへ視線を向けながら改めて確認する。

 

 何かの間違いではないのか、性処理玩具や誰かの“代わり”のマンコ穴としてなどではなく、女として自分が選ばれるなど、と処理しきれない爆発的な幸せを困惑へと変えるマシュ。

 

 しかし問われたマスターは全く様子を変えず、恥ずかしそうに笑う。

 

「いやぁ、ホントはもっと早くお願いしたかったんだけどね。ずっと前から好きだったんだけど、カッコつけたくて恥ずかしくてさ。ごめんね」

 

 申し訳なさそうに苦笑いを浮かべるマスターだったが、マシュはそれどころではない。

 

 マスターに意思の再確認を行ったのは自分の聞き間違いを疑っての事。

 奥へ押し込んだ願望がもたらした都合の良い幻聴なのではないかという疑惑から。

 

 しかし返答は変わらず、むしろ今までの“自分は先輩の眼中に無いのだろう”という思い込みまで消し飛ばされるおまけ付き。

 

「あ…………ぁ……ぅ……あ……♡♡♡」

 

 完全にキャパシティをオーバーしたマシュはそれ以上意味のある言葉を話すことも出来ず、リンゴのように赤くなりながらマスターに両肩を置かれたまま小さくなるのだった。

 

「という訳なんだ。ごめんキルケー。また今度相手するからさ」

 

「ん、ぅ、うぅん……しょ、しょうがないな……、ぇと……マシュは初めてなんだろう……? ちゃ、ちゃんとエスコートしてあげるんだぞ、ピグレット」

 

「メディア師匠も誘ってくれたのにすいません。次の授業の時とかにヤらせてください」

 

「えっえぇ。その、二人とも明日に響かないようにね」

 

 そのまま彼はキルケーとメディアを残し、すっかりショートして思考停止してしまったマシュを肩に抱いて去っていく。

 

 そんな二人の姿が通路の曲がり角に消えてから、キルケーはガタッと片付けていた机に突っ伏した。

 

「はぁあぁああ…………びっっ……くりしたぁ……」

 

「動揺し過ぎよキルケー。マナーモードみたいになってたわ。大魔女ならドッシリ構えてないと」

 

「いや驚くだろう、メディアだって動揺してたじゃないか」

 

「私は別に……。あの子の求愛に応えて嫁になる事が決まってるのは私だけじゃ無いんだし、元々マシュも応援していたんだもの。思わぬ進展に驚きこそすれ、コルキスの魔女たるもの動揺をそう表に出しはしないわ」

 

 リアクションを全く隠せずにいたキルケーとは対称的に、落ち着いた様子で片付けを進めるメディア。

 

 そんなどちらが目上か分からないやり取りにキルケーは膨れっ面でメディアを睨むが、彼女はある一点を見つけると“フッ……”と薄く微笑むのだった。

 

 

「…………メディア、おたま逆さだよ」

 

「────! ……っ……………」

 

 

────……

 

 

 

 顔を真っ赤にしたままのマシュと手を繋いで部屋へ向かうマスター。

 

 特にマスター側に妙な緊張や不安は無い。

 ヤり慣れている彼は今回もまた一人一人に合わせて最大限の快感を得られるよう尽力するだけであり、その対象が今回はずっと想っていたマシュであるというだけだ。

 

「ん?」

 

 その途中、彼は進行方向にある友人の姿を見つける。

 

 美しいフワフワの白い毛並み。

 愛くるしい姿の小動物。

 

 通路に設置されている休憩所のデスクの上で、フォウくんがこちらをジッと見つめて後ろ足で立っていた。

 

 距離が近づく。

 

 いっぱいいっぱいでうつ向きがちになり思考がショートしているマシュはフォウくんの存在に気付いておらず、二人とフォウくんの距離は緩やかに縮んでいく。

 

 マスターとフォウくんは互いに視線を逸らさず交差させ続け、そして。

 

「────フォウ」

 

「────フッ……」

 

 彼は足を止める事なく、すれ違う瞬間にフォウくんの掲げた前脚、その肉球へ手のひらを合わせてハイタッチ。

 

 互いに良き友人である二人は言葉を交わさずに、それぞれ“激励”と“感謝”の意を交差させてそのまま振り返る事なく離れていく。

 

 これが恐らく人と人とのやり取りであったなら、あのハイタッチはきっと高らかなる快音を祝砲のように掻き鳴らしていたであろう。

 

 

────……

 

 

 

 部屋に辿り着くまでの記憶がない。

 道中に軽いトークへの応答をしてたような気もするし、フォウくんを見かけたような気もするが、彼女にとってはまるでワープしたような気分であった。

 

 気付けばマスターの部屋に居て、向かい合った状態でいざ始まらんという状況。

 

「大丈夫? 凄いガチガチだけど」

 

「っっは、はい……! 準備万端のマシュ・キリエライトですっ!」

 

(あわわ……!♡♡ えと、あの……そのっ……まずは……私の方から先輩にご奉仕をっ……ぁ、え?♡♡ 先にご挨拶……あ、違、な……何からやれば……♡♡)

 

 これまでに何百何千と繰り返してきた妄想(シミュレーション)は緊張と喜びと混乱に掻き消されており、もはや彼女の脳内では答えが出ずにグルグルと渦巻くばかり。

 

 脳内の自分は速やかかつ滑らかな誘導、巧みなご奉仕に流れるようなベッドインまで済ませていたのに、全く身体が動かない。

 

「まー最初は緊張するよね。良いよ、ゆっくり慣れていこう」

 

 そんな様子を見てマスターは笑い、自信無さげに胸の前で両手を握るマシュを抱き寄せ頭を撫でる。

 

 見るだけでこっちまで嬉しくなる、マシュの好きな見慣れた笑顔を間近にして彼女の緊張が微かに和らいだ。

 

 頭を撫でる手のひらは大きく、これまでの過酷な旅で傷付いてはいるもののその暖かさはやはり変わらない。

 

「あ…………♡♡」

 

 接触による呼び掛けは効果覿面であったようで、まるで一雫の水滴による波紋が荒れた水面を静めていくかのように、マシュの混乱が和らいだ。

 

 落ち着きを取り戻した事でマシュは、抱き寄せられたこの至近距離の今の状況を受け入れる事が出来、トロンと潤んだ瞳を閉じてマスターへ身体を委ねた。

 

 顎を少し上げて、口元の力みを抜いて、接触をただ受け入れる。

 

 

 緊張するあまり、“恥ずかしい姿を見せたくない”と思うあまり、今まで当たり前にやってきた“先輩に頼る、委ねる”という選択肢を思い出しながら、彼女は少しずつ無駄な力を抜いていく。

 

「────ンむ……♡♡ ちゅ……っ、ちゅく……♡♡♡」

 

 先輩と後輩の唇が触れる。

 想い人との生まれて初めてのキスの瞬間を心に深く刻みながら、彼女は不安げに胸の前で組んでいた手をほどいてマスターの腰に回した。

 

 舌は挿入れず、互いについばむような表面をなぞるキス。

 胸の内から絶え間なく沸き上がる歓びに、マシュの目から涙が零れる。

 

 十数秒程の初めての口づけが終わり、細い銀の唾液の橋を引きながら口を離せば、マスターはマシュが泣いている事に気付いて優しく微笑みながら頭を撫でた。

 

「……えへへ……嬉しいです……♡♡ 初めてのキスを先輩にあげられて……♡♡♡」

 

「……俺も嬉しいよ。もっと早くこうすれば良かったね」

 

 この貞操観念の緩い世界線。

 

 貞操という存在が軽いため年齢が2桁になる頃には男女ともに童貞や処女を失っているのが常である。

 

 そのためマシュほどの年齢で処女を保っている者など絶滅危惧種と言っても良く、ここまで来ると“軽い”存在の筈の童貞や処女に逆に希少性が生まれてくるのがこの世界線の特徴だ。

 

 そこにファーストキスすらも未経験となると更に稀。

 

 挨拶感覚で行うセックスだが、キスは尚更気軽な位置にあるため、殆どの人間が産まれ育つ内に親だったり同級生だったり身近な誰かと当たり前に済ませているものだ。

 

 そんな初めてのキスを、自分に捧げられて良かったと涙する後輩の姿に、マスターの愛情や欲情は更に加速する。

 

「ンっ♡♡ ぁむっ、っチュ……♡♡♡ んう♡♡」

 

 堪えきれずマスターは再度マシュの唇を奪う。

 一度目と同じく全身を委ねるように脱力してマシュは口づけを受け入れ、今度は濃密に舌を絡ませた。

 

 ディープキスのやり方にも人それぞれで特徴がある。

 攻めっ攻めの貪り合うようなキス。

 舌で愛し合うように絡み付かせるキス。

 唾液を送り合って互いに混ざり合うようなキス。

 受け身で蹂躙される事を望むようなキス。

 

 マシュのキスにもまた、その人となりが表れていた。

 

「ン、んぐ……コクッ……♡♡♡ れる……ぇう、っっちゅうぅ……っ♡♡♡ ンくっ……♡♡ ぷぁ……はむ……♡♡♡」

 

 とにかく人懐こい子犬のように舌を触れさせてくる。

 纏わりつかせる、ではなくまるで触れ合う事を望むような寄り添う動き。

 

「ン゛、んっ♡♡ んく、っん♡♡ えぉ……れる♡♡♡ ごく……こくっ……♡♡♡」

 

 それでいてこちらからの接触の全てを受け入れる。

 舌で押してやれば反発せず受け止めるように舌を絡ませ、唾液を送れば送るほど喜んで嚥下していく。

 

 何より、それでいて上手い。

 

(キアラさんかな。……練習してくれてたんだなぁ…………)

 

 マシュの甘え好きで弱気で能動的で、無垢な雛鳥のような人格を、ウブな所はそのままにキステクに反映させる事が出来る人物となるとかなり限られる。

 

 ここまでに至るまでの背景を、マシュがここまで努力してくれていた事を感じて感激しながら、彼はマシュとの口づけを続けた。

 

 

「────ン゛っう……!♡♡♡ ……っ……?♡♡」

 

 そこでマスターにとっては見慣れた反応、マシュにとっては初めてと言っても良いほどの絶頂が訪れる。

 

 マスターの服を掴む手に力がこもり、快感の刺激の中に僅かな困惑を見せながらマシュは足を震わせた。

 

(あっ……あれ……今、私っ……キスで絶頂(イッ)…………?♡♡♡ あっだめ、また────)

 

「ン゛ふッッ……!♡♡ ぅ゛……ぉ……?♡♡♡」

 

 ビグッ、と再度痙攣。

 

 マシュは己の肉体の状況に気付いていなかった。

 

 こうして今キスするまで極度の混乱と緊張により、“先輩と遂に初夜を迎える”という事実を前にして肉体が限界まで発情し切って牝になる準備を整えている事を、脳が認識出来ていなかったのだ。

 

 想いを募らせ拗らせ、オナニーで自己開発を続ける日々。

 

 愛情を堆積させ、燻らせ続けるのを日常としていた彼女の身体は、もはや他の牝サーヴァントと“同じ”になれるように、ありとあらゆる先輩からの行為を極大の悦びとして受容出来るようになっていた。

 

 身体が勝手に悦びを何倍にも増幅させる。

 快感全てを細胞一つ一つで感じ取る。

 

 キスされてイかない訳がなかった。

 

(変ッ……で、す♡♡ 私の身体っ♡♡♡ 気持ちいい゛っ……♡♡ 先輩が触れてる゛……ところ……♡♡ あっヤバ────)

 

「ン゛む゛ぅ゛っっ♡♡♡」

 

 ただキスされているだけ。

 まだ性感帯に触られてもいない。

 

 だと言うのに、絶頂の一つ一つが今までのどんなオナニーよりも感じた快感が深かった。

 

 腰が震える。

 

 まだ衣服を脱いでもないのに下着が役割を放棄する。

 ストッキングに包まれた足を伝って愛液が滴り落ちて、想いが増大する。

 

「ぷぁ……はぁっ……は……せんぱ……♡♡♡ ぁ……♡♡」

 

 口を離して荒い息遣いでマスターを見上げれば、どうやら彼もこちらの状況が分かっているらしい。

 

 幼子にするように再度優しく頭を撫でられ、突然の絶頂に乱れかけた精神が平穏を取り戻した。

 

「こんなに気持ち良くなってくれて嬉しいよ。もし駄目だったらどうしようってずっと不安でさ」

 

(……いいんだ……♡♡ キスされただけでイくような身体でも……♡♡ 先輩も不安だったんだ…………♡♡♡)

 

 照れ臭そうに笑うマスターの言動全てがマシュを肯定していた。

 

 簡単にイって腰砕けになるような雑魚雌っぷりを喜んでくれる。

 この交わりに不安を抱いていたのは自分だけでは無かったのだという安心感をくれる。

 

 言の葉一つ一つが自らを縛り付ける鎖を優しくほどいていく。

 

「続きやろうと思うんだけど、良い?」

 

「はい……♡ 先輩のお好きなように、私で気持ち良くなってくれると嬉しいです♡♡」

 

 不安や緊張から来る身を苛むようなドキドキは消え失せた。

 今彼女の身体を占めるのは、想い人に身を捧げるオンナとしての喜びによるドキドキだった。

 

「ちゅっ♡♡♡ んぇ、ぁむ……れる♡♡ ぷぁ……はぁ……好きです……先輩……♡♡♡」

 

 マスターが再度マシュを抱き寄せ、唇を奪う。

 今まで何があっても口に出せなかった言葉が嘘のように簡単に出てくる。

 

 接触を受け入れ幸福に浸りながら、マスターは彼女の衣服を脱がせながらベッドへ寝かせていった。

 

 慣れた手付きで、一切の滞りを感じさせず、熟練の料理人に剥かれる食材のようにスルリスルリと衣服を脱がされていく。

 

 自分で脱ぐよりもスムーズと思える程に、上着を脱がされ、ネクタイを緩められ、スカートと一体化しているインナーを首と腕を通して脱がせてやれば、あっという間にブラとショーツ、そしてパンティストッキングのみの下着姿となる。

 

 恥ずかしさはあった。

 

 もしこの相手が彼ではなく、今のコミュニケーションが無ければ、きっと彼女はこの時点で自己評価の低さと羞恥心から咄嗟に身体を隠していただろう。

 

 しかし自分が求められている事を知り、自分をオンナとして見てくれている事を知った事で、その“雌”の肢体を晒す事への喜びの方が勝っていた。

 

「はぁ……は……はぁ…………♡♡」

 

 至近距離で交差する二人の視線。

 マシュの紫色の瞳は歓喜の涙と欲情で潤み、アメジストのような煌めきを放っていた。

 

 それを見たマスターはまた小さくキスをすると一言、“綺麗”とだけ告げる。

 

 そのフレーズだけでまた喜びの絶頂に至りながら、彼女はアイコンタクトで意図を汲むとコクリと小さく頷いた。

 

 何もかもが初めてのマシュに合わせて一アクションごとに歩調を整えさせ、マスターは続けてブラジャーまで外す。

 

 淀み無くブラを外され、マシュの衣服の上からでも存在を主張する大きな胸がプルンと現れた。

 

「……ど……どうでしょうか…………形とか……変……だったり……しませんか……?♡♡」

 

「とんでもない。凄っごい綺麗で好きな形で、何よりエッッロい」

 

 新雪を思わせる白い肌は興奮に仄かに赤らみ、微かに膨らんだ乳輪からツンと勃った乳首まで美しい薄桃色。

 

 毛布や枕などの寝具を下に仰向け気味の体勢でありながら重力の影響を最低限にして形を保っており、若々しさと瑞々しさに溢れている。

 

(綺麗で……先輩の好みで…………そして……エロいって……♡♡♡ 嬉しい……嬉しいっ……♡♡♡)

 

 一般的な評価はもはや彼女の頭に無かった。

 ただただ自分のおっぱいが、先輩の好みで、先輩にとってちゃんと雌に値すると言う事実が、狂おしい程に嬉しかった。

 

 下から支えるように彼の手のひらがマシュの胸を揉む。

 

「────っふ、く……♡♡♡」

 

 ただ触れただけでビリリと甘い快感が電撃のように駆け抜け、マシュは切なげに眉を寄せて身体を強張らせた。

 

 

 胸を持ち上げようとすればズシリと重い。

 瑞々しさとハリに満ちていながら、その乳房はまるでマシュを表しているかのように、どこまでも受け入れるかの如く柔らかく指が沈み込んでいく。

 

 それでいて跳ね返さんばかりの弾力まで備えており、これだけで並の男ならいくらでも落とせるであろう女体としての完成度だった。

 

「ハッ……ハッ……は……っ……!♡」

 

(あ、来る……先輩の指が……っ……♡♡ 少しずつ……♡♡ 登ってくる……!♡♡ 今っ乳首、触られたら……絶た────)

 

 ────キュッ♡♡

 

「イ゛っっぐ!!♡♡♡」

 

 緩やかに乳輪をなぞり、少しずつ乳首に迫るマスターの指。

 

 “触ってください♡ いじめてください♡♡”とアピールし続ける乳首に応えるように、彼の親指と人差し指が乳首を挟んで彼女は容易く過去最大の深度で乳イキをキメた。

 

 ガクンっと身体を戦慄かせ、密着して触れているマスターの肩をギュッと握り締め、下着を貫通する程のアクメ潮で下半身を濡らす。

 

 視界に白い火花を散らし、オナニーでは決して届かず溜まるばかりだった欲求がみるみる晴れていく。

 

「気持ちいい?」

 

「はいぃ……と……とても……♡♡ ぁ、ん…………♡♡♡」

 

 アクメの刺激に突っ張った身体を解きほぐすかの如く、愛撫の手を緩めながらマスターはマシュの頭を撫でる。

 

 まるで良いことをした子供を誉めるように、あやすように、彼の一挙手一投足が異性を愛する最適解。

 

 女としての自信を全て失くしていたマシュにはそれがよく効き、“イッてよかったんだ”、“感じてよかったんだ”と、尽きることの無い喜びに彼女は頭を撫でられるだけで甘イキを続けていた。

 

 思考を溶かす適温のぬるま湯にどっぷり浸かるような心地よさから来る幸福に、マスターへ抱くマシュの恋慕は天井知らずに膨れ上がっていく。

 

 

 マスターが次に、胸を弄る手を下腹部へスライドさせ、薄い黒のパンストを潜ってビチャビチャの下着の中へ。

 

「ん゛っぉ……ぁ♡♡♡」

 

 既にマシュの膣口は限界まで濡れそぼっている。

 このまま挿入してもスルリと飲み込めてしまう程に。

 

 しかしマシュの初体験をより良いものにしたいと考えるマスターは、他の女性を愛するのと同じように入念に愛を与える方を選んでいた。

 

 肉付きの良いフワフワとしたマシュのお腹、そしてヘソ、下腹部。

 

 そのまま潤いに満ちた肌に手を這わせていけば遂に彼の手がマシュの無毛の恥丘を伝い、固く勃起したクリトリスを擦ってピチリと閉じた処女膣を撫で上げる。

 

 片手で頭を撫でて至近距離で視線を交わらせマシュを落ち着かせながら、そのまま指に力を込めた。

 

 

────チュク……っ♡♡

 

 

「ぁっ、んぃ……♡♡ ぁ、あっあ♡♡♡」

 

 水音を奏でながら、彼女の膣は産まれて初めて自分以外の指を迎え入れた。

 

(す、すっ……ごい♡♡ 私の指と全然違う♡♡♡ 気持ちいいっ……!♡♡)

 

「気持ちッ……い、イです……せんぱ……!♡♡♡」

 

「じゃあもっと良くなれるよ」

 

 自分の細い指とは全然違う雄の指。

 雌の自分にはない太くゴツゴツとした力強い指。

 

 人差し指の第一関節を少し過ぎる程度に挿入れるだけで、彼女の膣穴はキュウキュウ♡♡ と愛しい人との再開を果たしたかのように締め付けてくる。

 

 時間をかけてゆっくりと、緊張と一緒にほぐれていくマシュの膣穴。

 

 途中何度も軽イキを繰り返す度に優しいキスをされ、それでまたキスイキしつつ、セルフ開発済みの膣口をマスターに弄られていく。

 

「おっ♡♡ ぁっそこイッい♡♡ だめっ♡♡ イクッ、イグ……!♡♡♡ あ゛っあぁあ、んお゛っおぉ……!!♡♡♡」

 

 自分でも制御出来ないくらいに身体が跳ねる。

 妄想で何度も恋い焦がれていた体験が現実に起こっている事への歓喜と混じり合い、すがり付くようにマスターに抱き着きながら弾けてしまいそうな快感に喉を震わせた。

 

「────オ゛ッッイ゛゛ぎゅっ…………!!♡♡♡」

 

 吊り上げられたように腰を浮かせ、尿道口から潮を吹いて彼女は容易く激しい絶頂に至った。

 

 今まで経験したことも無い、深く重たい本気アクメ、深イキにマシュは喉奥から込み上げる声を噛み潰しながら全身を反らせる。

 

 肉体の輪郭が曖昧になるような錯覚に包まれ、夢見心地のまま放心しそうになるドスケベ後輩だったが、そのフワフワする感覚をマスターの指が強引に引き戻した。

 

「ん゛ぉっ♡♡ せっせんぱ……♡♡ 待、待ってくだ、さ♡♡♡ い゛ま敏かッッ……!♡♡♡」

 

 シュィィッ……!♡♡ と間を置かず再度の絶頂。

 

 しかしそれでもマスターのマシュを強制絶頂に導く手は止まらない。

 

「お゛っおっお……!♡♡♡ はァ゛ぁ駄目またイぐ……ッ!♡♡ 先、輩……は、恥ずかしい声出……~~おッッ゛♡♡♡」

 

「恥ずかしがらなくていいさ。俺好きだよ、だらしない声」

 

 そこでマシュは思い出す。

 

 今まで数え切れないくらいに自分の目でも、アーカイブ記録ででも、先輩とサーヴァントとの情熱的な情交の光景を。

 

 歴史や神話に名を刻んだ、偉大な存在である名だたる英霊や神霊たち。

 

 そんな面影を一つも残さず、全てを脱ぎ捨てた一匹の雌として本能全開に喘ぎ散らかさせていたのが、この先輩であると。

 

「────ん゛゛ほォ゛っっ!♡♡♡」

 

 プシャァァッ……!!♡♡♡

 

 

────……

 

 

 時刻にしてほんの十五分前後。

 

 少し待てばすぐに経ってしまう短い時間。

 

 しかしそんな僅かな時間でも、

 

「ハァ゛ー……ぁ゛ぇ……ハァーっ……あ、は……ぁ゛はぁぁ…………ほ……ォ゛ぉ……♡♡♡」

 

 セルフマゾ開発で先輩専用クソ雑魚敏感ボディとなったマシュがイキ地獄を味わいトロトロに蕩けるには充分過ぎる時間だった。

 

 普段の様子とは掛け離れただらしないアクメ放心姿。

 

 瞳の半分を瞼に隠し、真っ赤に紅潮した舌をデロリと垂らして、指先に至るまで完全に脱力し切った無力な雌の姿。

 

 今まで抑え込んできた雌のフェロモン全開で、燃え上がりそうな程に上昇した体温で汗だくになりジットリと周囲を湿度で満たす。

 

「(よいしょ……)」

 

 マスターはそんなマシュの身体を抱えて、ベッドに対して垂直に寝かせていた体勢を平行にさせ、腰の下に毛布を設置するなどいよいよ本番の準備を進めていた。

 

 そんな接触さえまるで揺り篭に揺られているように心地よい。

 

 マシュが連続アクメによる朦朧とした意識から回復したのは、マスターが準備を終えるのとほぼ同時だった。

 

「さて」

 

「はぁ……はぁ……? ……せ……んぱ────……い……♡♡♡」

 

 気付けば自分の体勢は仰向けで股を開き、その間にマスターがいる状態。

 

 そして、その下腹部には自分が何度も映像で見てオナニーの際には必ず思い浮かべていた、大きさ、長さ、太さ、形、反り、全てが女を啼かせる事にのみ特化した女性特効雌殺しマジカルチンポが屹立していた。

 

「はぁっ……は……ぁ……♡♡ す……すっ……ご……♡♡♡」

 

 それを一目見た瞬間、彼女を包んでいた絶頂直後の暖かな浮遊感は既に吹き飛んでいて、初めて間近に在る雄大な雄の象徴に全身の雌の細胞が目覚めていた。

 

(せ……先輩のチンポ……!♡♡ で……でも……少し……先輩のカタチを模したディルド……より……大きい、よう……な……♡♡)

 

 そこにあるチンポは間違いなくマシュが個人的に所持しているディルドーと同じ形状である。

 

 細部に血管の浮き具合や膨張率の違いはあれど、カルデア定期診断のデータから再現された物に狂いはない。

 

 しかし、彼女は確かに目の前にある本物チンポに、ディルドーにはない“圧”のようなものを感じていた。

 

 存在感、重力、熱……何より、魅力的な異性を前にして沸き上がる濃密な雄の気配そのものを、マシュは強く感じていた。

 

(すごいっ……強、い……かっこいい……っ……♡♡♡ 模型なんかより、全然っ……!♡♡♡)

 

 脳内でディルドーの存在、形を思い浮かべて今目の前にある本物チンポと比べてみると、もはや彼女には“同じ形”の筈の先輩ディルドーが棒切れに思えてしまう程に、雄大な存在感で彼女を魅了していた。

 

 ギシ、とマスターが身体を僅かに倒し、ピトリとマシュの下腹部に雌殺しチンポを押し当てる。

 

 “ここまで挿入ってお前を犯すんだぞ”

 “これが今からお前を女にするチンポだぞ”

 

 まるでそう言われているかのような錯覚が身を包む。

 

「はっ、はっ、は、ぁ、はっ……!♡♡♡」

 

 “絶対堕ちる”、“絶対勝てない”、“間違いなく自分はコレのモノにされる”

 

 そんな直感的確信が彼女を激しく興奮させていた。

 

 一般人が銃や刃物を突き付けられ死を悟り、身体が勝手に抵抗の意思を失うのと同じように。

 

 ただ下腹部にチンポを乗せられただけで、マシュは女としての敗北を────雌への昇華を悟って身体が勝手に敗ける準備を目まぐるしい速度で進めていた。

 

(わ、私のおへそまで優にある……!♡♡♡ 先輩との赤ちゃんを作る場所に簡単に届く♡♡♡)

 

 そんなマシュの状態を知ってか知らずか、彼は変わらず微笑んだまま竿に手を添えて彼女の未踏の処女穴へ先端をあてがった。

 

 そこから一気に挿入れるような事はせず、彼はマシュの下腹部を落ち着かせるように撫でる。

 

「初めてだし、落ち着いてゆっくり行こう。やっぱり良い初体験にしたいしさ」

 

「は、はい……っ♡♡」

 

 そう言ってマスターは一言合図してチンポを挿入しようとして────それをマシュが思い出したかのように制止した。

 

「ま、待ってください先輩……っ♡♡♡」

 

「ん、どうかした? やっぱり怖い?」

 

「い、いえ、そう言うことではなく。……すぅー……はぁー…………♡♡♡」

 

 イメトレだけは毎日欠かさず無数にやってきた。

 

 決して処女だからと辿々しくなく、滑らかに事を運びキアラ師匠から授かった技で先輩にご奉仕して気持ちよくなってもらって、自分の処女を捧げてマンコを使ってもらう。

 

 そんな良い所を見せてやろうという計画は早々にご破算となり、手のひらの上で転がされるようにイかされてしまったけれど。

 

 どうしても処女を散らす瞬間、初めての雄を受け入れる瞬間に言わねばならない言葉があったのだ。

 

 

 濡れた吐息で深く深呼吸すると、マシュは股を開いたまま両手でピッチリ閉じたマンコをクパァ♡♡ と開く。

 

「先輩、好きです、大好きです♡♡ 私の未使用後輩マンコ……♡♡♡ 先輩のおチンポで私もあなたの女にしてください♡♡♡」

 

「…………っ……!」

 

 自分からのおねだり、自発的な告白、自主的な宣言。

 

 これだけは何としてもやりたかった事であり、その効果は覿面であった。

 

 グッ、と衝動的に襲い掛かりたくなる欲求に駆られるも、何とかそれを抑えてマスターは腰を押し出した。

 

 グプ、ヌ゛ププッ……♡♡♡

 

「ん゛っ……!!♡♡ お゛……お゛ォ゛、ほ……!♡♡♡」

 

 赤黒い亀頭が充血した薄ピンクの陰唇を掻き分けて、奥から溢れ出してくるドロドロの本気汁を纏いながら少しずつ進んでいく。

 

「い゛っ……イグ…………!!♡♡♡」

 

 自分の指で何度も弄った入り口。

 しかしそれで得た快楽のいずれもを軽々と上回る、太い一本による雄々しい刺激にマシュは早速アクメしていた。

 

 想像していた痛みなど欠片もなく、明らかに処女穴に不釣り合いなデカマラを、ヨダレを垂らして受け入れていく。

 

 緩やかに、ともすれば止まっているかのようにも見える程の速度で挿入は行われ、亀頭までをマシュのマンコに挿入れるとマスターは上体を倒し、マシュの身体へと覆い被さった。

 

 鍛えられた胸板にムニュリとマシュのおっぱいが潰れ、左腕を身体に回され抱き寄せられる。

 

「おっおっお……!♡♡ せんぱっ……い゛……♡♡♡」

 

「俺に任せてもらって良い? 絶対気持ちよくさせるからさ」

 

「で、……でっも゛……ォ゛っ!♡♡♡ ごっ、~~゛っめ゛、なさ……♡♡♡ 先に……っぃ……沢山イっ゛ぢゃ……います……!♡♡♡」

 

「いいよ、だいじょうぶ。何もおかしくないよ」

 

「へっ♡♡ はへ♡♡ へっ、へ……!♡♡♡ ────ふぎッッ♡♡♡」

 

 ジョッ……!♡♡♡ と、そう耳元とで囁かれ、同時に抱かれた頭を右手で撫でられマシュはまた容易く絶頂に至った。

 

 吹き出した潮が結合部に潤いを追加し、また緩やかな挿入が再開される。

 

 ヌ゛ぷ……ズっ……にゅぐぐ、ぐ……♡♡♡

 

「ぁっあイグ、いぐいぐいぐ……!!♡♡♡ またイグッ……………!♡♡♡ ────ッッ゛ッ゛!♡♡♡♡」

 

 相性のよさ。マシュのセルフ開発マンコ。マスターの雌殺しチンポ。貧弱な快楽耐性。テクニック。

 

 これらの要素が噛み合っている事から、例えマスターが処女穴でもお構い無しに、他のサーヴァントにするのと同じように激しく乱暴にオナホ扱いでハメ潰していようと、マシュは一抹の苦痛も感じなかっただろう。

 

 むしろマシュが想定し、楽しみにしていた初体験はそのパターンだった。

 

 しかし現実はそんなマシュの妄想の上を行く。

 

 

 じっっくりと馴染ませるように、激しさの一切を捨てて全力で甘く愛されるスローセックス。

 

 行動、息遣い、視線、チンポ、あまねく要素が今まですれ違って届いていなかった分を取り返すかの如く愛情を告げており、まるでその巨大な愛にゆっくり押し潰されていくような心地よさだった。

 

「ん゛ほォ゛お゛ッッ……!!♡♡♡ ァ゛……ぁ゛、ぇ゛……♡♡」

 

 ミリ単位での繊細で優しい挿入に反してマシュの絶頂の感覚は極めて短い。

 

 マシュ本人にとっては境目が認識出来ないほどの絶頂漬け。

 

 それで喉を、身体を震わせる度に、頭を撫でられ抱き締められ、またその幸せで呆気なくイク。

 

 

 マシュはオナニーで、マスターは違うサーヴァントとのセックスで。

 

 それぞれで性欲解消自体はしていたものの、互いに互いを想い、想うが故に今まで我慢していた二人。

 

 それは図らずもポリネシアンセックスめいた快感を生み、マスターは自分の肉棒を、マシュは自分の膣ヒダの感覚を鮮明に捉えていた。

 

「好゛、き……っ好き……!♡♡ 好きです……ら゛い好ぎ……ッ……!♡♡♡ 好ッ、お゛ッほォ゛……!♡♡」

 

 快楽を味わうのに無我夢中でほぼ無意識に近い形で好意を駄々漏れにするマシュ。

 

 まだ一往復すら終わっていない。

 まだ挿入れ終わってすらいないのに早くもマシュは限界を越えて感じていたが、マスターはマスターで己の獣欲と射精を堪えるのに必死だった。

 

(具合やッッば……! うねって絡み付いて吸い付いて……! ギュウギュウ締め付けてくるのに柔らかくて……ッ! 気を抜いたらすぐ射精そうッ……!)

 

 念願の相手と繋がれた幸福に満たされているのはマスターも同じだった。

 

 誰だってセックスに限らず初めての一歩と言うものは勇気がいるものだ。

 

 マシュはそれで失敗や自分からの幻滅を恐れて自らを縛り付けていたようだが、今こうして具合を味わっているととんだ杞憂だったとしか言えない。

 

 彼女もまた、快楽のクソ雑魚即堕ちマンコでありながら、他のサーヴァントにも劣らない至高の名器だった。

 

「んお゛お゛っォ゛……ッ!♡♡ またっ……イグ……ッ!♡♡♡ おっおっおっお……!!♡♡♡」

 

 収まることのない快楽の荒波に揉まれながら、マシュはどこかで“自分の知っている情報とは違う”と感じていた。

 

 処女に関するあらゆる文献(エロ本)書物(エロ小説)参考動画(AV)で学習している時、それなりの確率で“挿入されたら強い異物感を感じる”とあった。

 

 しかしいつまで経ってもマシュにはそれが来ない。

 

 むしろ膣穴を埋められる程に胸の内から多幸感や快感や安心感がない交ぜになって湧いてくる。

 

 これにはマシュとマスターの関係性、そして今まで毎日欠かさず何回も指がふやけるまでマスターをオナネタにオナニーしていたのが関係していた。

 

 “異物感”とは正しく“異なる物”の感覚。

 

 自分の身体に本来無い物が侵入した際に訪れる感覚なのだが、毎日濃密な妄想オナニーでセルフ開発を続けたオナ狂いドスケベ後輩にとって、マスターのチンポは“異物”では無くなっていたのだ。

 

 もはや長らく不在にしていた自分を埋める最愛の要素の帰還に等しい。

 

「…………っ……?」

 

「お゛っお゛ぉ゛……っ!♡♡♡ はっ♡♡ は♡♡ はぁっ……♡♡」

 

 亀の歩みより遅い挿入であったが、遂にチンポの先端がマシュを清らかな処女────未使用新品マンコたらしめる処女膜に優しく触れた。

 

 本来処女膜とは非常にデリケートで、激しい運動をしてる間に破れてしまう事も珍しくない。

 

 “膜”とは言うものの実際は厚さ一ミリ程度の非常に薄い粘膜のようなもので、入り口全てを塞ぐような形はしていなかったりする。

 

 大体が破れて初めて存在を感じる程度のものなのだが、互いに肌を伝う汗の雫を感じ取れる程に感覚が鋭敏になった今、二人はその存在をしかと感じていた。

 

「…………良い? マシュ」

 

「はっ♡♡ は……♡♡ はい……♡♡♡ せんぱいに……もらって欲しいです……♡♡♡」

 

 アクメ漬けで弛緩し力の入らない腕でマスターに抱きつきながら、マシュはすぐ横にある彼の頭へ自分の頭をすり寄せた。

 

 その言葉と意見を同じくするかのようにマシュの膣もチンポに吸い付き、蠢き、奥へ奥へと誘っている。

 

 その全幅の信頼と親愛を受けて彼はマシュの頭を変わらず撫でながら、破る瞬間だけ少し速度をつけてチンポを侵入させた。

 

「オ゛ッッい゛っっ……ぐ……!!♡♡♡ ふぎっ♡♡♡♡ ~゛~゛ィ゛!♡♡♡」

 

 フィクションで見るような激しい痛みや“ブチリ”とした強い感覚も無かった。

 

 ただ軽く“プツッ……♡♡”と引っ掛かりが外れるような感覚と、チクッとした暖かな刺激があるのみ。

 

 しかしたったそれだけの微かな刺激だったが、マシュの胸の内に生涯この刺激を忘れることは無いだろうと確信するほどの喜びが弾け出す。

 

 やっと先輩のモノになれた。初めてを捧げられたという実感が全て快感と悦びに変換され、マシュは脳内に電撃を走らせながら人生で最大の幸せアクメで肉体を痙攣させた。

 

「~゛~゛~゛~゛ッッ、か……!♡♡♡ は……ァ……♡♡♡ っあ……は……♡♡♡」

 

 途方もない感情の波に涙が溢れ出す。

 

 快感に蕩けた締まりの無い笑顔と嬉し泣きが合わさり、実に雌らしい姿だった。

 

「────お゛゛ッッぎゅ……!!?♡♡♡」

 

 しかしまだ終わりではない。

 彼女にとってはゴールではなく、ここがようやくスタートなのだ。

 

 再開する抱き締められたままのスローセックス。

 

 処女膜を越えてからは正真正銘、自分自身ですら弄った事の無い未踏の膣道である。

 

 ロストバージンの快感が終わるよりも早く、未知の快感が押し寄せてマシュの瞳がグルリと裏返る。

 

「お゛イグイグイ゛っぐ……!!♡♡♡ お゛ーー゛っ♡♡♡ ひ、ぎぃぃぃっ♡♡♡」

 

 今までは自分で慰めてきた快感の最大記録を塗り替えられる形だったが、ここから先は自分も知らない新鮮な快楽しか届かない。

 

「────~゛~゛ッッぎ!!?♡♡♡ んお゛ぉ゛お゛っ!♡♡♡ イグッ!?♡♡♡ ほお゛お゛お゛ぉっ!!♡♡」

 

 手付かずだった膣肉に、主の存在が刻まれていく。

 一ミリ一ミリ、着実に馴染ませながら侵入してくるチンポにマシュは喉元を晒して仰け反りながら壊れたようにイキ潮を吹き散らかした。

 

 入り口から得る刺激はそのままに、初めての強烈な奥イキに浸されてマシュは野太い獣声アクメをあげることしか出来ない。

 

 今までに行ってきたオナニーで得てきた快楽を全部足し算で一つにしても叶わないほどの快感をこの瞬間に無限に味わいながら、マシュは喉を枯れさせる勢いで喘ぎ続けるのだった。

 

 

────……

 

 

「……分かる? マシュ。一番奥」

 

「ぁ、あ゛い♡♡♡ ヒッ♡♡ へひ♡♡♡ あ゛っ、あ……♡♡ 私の……赤ちゃん作るところ……♡♡♡ キスひて……ます……♡♡♡」

 

 あれから更にかなりの時間が経ち、遂にマスターのチンポの先端はマシュの膣奥、子宮口とねっとりとしたキスを交わしていた。

 

 そこに辿り着くまでにアクメした回数は数えきれない。

 ベッドの端から愛液が滴り落ちる程に愛液を垂れ流し、もはや何度愛の告白を繰り返したかも分からない。

 

 マシュの体力はとうに限界を越えていて、喜びと“先輩と最後を迎えたい”という気力のみで保っている状態だった。

 

 それもそのはず、他の鳴らした女性英霊でさえ、マスターの普通セックスで容易く途中で気絶するのだ。

 

 たった一度の挿入であっても、処女だったマシュが快楽を何倍にも増幅させる状態で、初めてでマスターの雌殺しチンポを味わうなど、今意識を保ってるだけでも奇跡に近い。

 

「……良い? 俺もだいぶ……限界でさ……っ」

 

「は、は……イ゛♡♡♡ お願いじま、す♡♡♡ 私の赤ちゃんのお部屋に゛……♡♡♡ せん、ぱいの……ザーメン゛欲しい゛で、す……!♡♡♡」

 

 マシュもまた敏感になった膣でマスターの限界を感じ取っていた。

 

 パンパンに張った亀頭。

 鼓動に合わせて脈動する肉竿。

 

 優秀な雌に種付けを果たさんと今にも精を解き放たんとする怒張の様子を、鮮明に。

 

 朧気な視界で肉体と空間の境目も曖昧。

 そんな霧散せんばかりの意識が、ギュウッ……! とマスターに抱き締められて繋ぎ止められた。

 

 全身に感じる圧力が、確かにほどけそうだった自分の意識を呼び戻し、彼女は本能のままに両足を腰に回してすがり付く。

 

「“次”からはもっと色んな事をヤろう。今までのが帳消しになるぐらい、たくさん」

 

「は……はい……はいっ……!♡♡♡」

 

(あぁ……♡♡♡ 先輩は……いつも……いつも、そう……です……♡♡♡ 私が怖い時……不安な時……寂しい時…………♡♡♡ 助けてくれ゛……る……♡♡ 支えてくれる……ん、です……♡♡♡)

 

 みっちりと隙間無く埋められたマシュの膣奥、子宮へとチンポが押し込まれる。

 激しさは無く、ただただ愛に満ちた力強い押し込みに、男を知らないマシュの子宮は抵抗なく受け止めて。

 

 お互いに壊れんばかりに抱き合いながら、堪えに堪えてグツグツに煮立ったザーメンが、怒涛の勢いで放たれた。

 

 

────っっびゅぐり゛ゅるる゛るぶぶぅぅっ♡♡♡ びゅうーーっびゅぐーーっっ♡♡♡ ぶびゅるるるるっ、どぐんっ♡♡♡ びゅぐぅぅぅっ…………!♡♡♡♡

 

「~゛~゛~゛~゛~゛~゛ッッ!!♡♡♡♡」

 

 

 たった一発にこれまでに伝えられなかった愛情を込めて、受精確実の濃厚膣内射精にマシュは舌を垂らして人生最大のアクメで意識を吹き飛ばさせた。

 

 身体の座標が重なってしまうのではないかと言う程に強く抱き合いながら行われる種付け射精と本気アクメ。

 

 ポッコリと下腹部が膨らむ程の大量ザーメンが注ぎ込まれ、より繋がりを強固にしながら人類最後のマスターとそのファーストサーヴァントは共に最高の絶頂へと至り、仲良く繋がったまま深い眠りにつくのだった。

 

 

 

────……

 

 

「「妊娠してない?」」

 

「うん、どうやら着床までに至ってないようだ」

 

 

 翌日────ではなく二日後。

 

 なぜ翌日ではないかと言うと単純な話で、今まで自分の華奢な指しか知らぬところを一気に飛ばして雌殺しチンポを味わい、マシュにとって一つ一つの絶頂が過去のアクメ全てを吹き飛ばすレベルの快楽を味わったことで、腰が抜けて行動不能になってしまったのだ。

 

 現在、医務室にてダ・ヴィンチちゃんとロリンチちゃん両名を前に、マスターとマシュが座って説明を受けている状況である。

 

「マスターくんのあのプリップリの濃厚ザーメンなら、大抵の雌は私たち含め一発で孕まされるレベルなんだけどね。あれだけお腹が膨れる程射精されたら三つ子四つ子出来るもんなんだけど、特殊な事情があるみたい」

 

 マシュの身体を、この貞操観念の緩い世界線ではお馴染みの精査魔術で確認した所、どうやらその子宮には新たな生命はまだ芽吹いていないらしい。

 

 その発言を受けてマシュはしょんぼり肩を下げてうつむき、お腹を撫でる。

 

「そ……それは……やはり私のお腹に問題があるのでしょうか…………」

 

 折角取り戻した自信に再び陰りが見える。

 それを察知したダ・ヴィンチちゃんとロリンチちゃんはすかさず朗らかに笑い、その懸念を払拭させた。

 

「違う違う。安心してマシュ。君の女性としての機能には全く問題がない。むしろ今まで抑圧されていた分が解き放たれているのか、活発なぐらいだよ」

 

「一応私たちも準備はしていたんだよね。肉を持った赤子を孕まないエーテル体のサーヴァントと違い、今のマシュはデミ・サーヴァントの力はあっても身体は立派な人間だ。そのためカルデアでも充分な育児施設や諸々は用意してある」

 

「……“特殊な事情”って言ってたけど、それが関係してるってこと?」

 

 大小両方のダ・ヴィンチちゃんの説明を受け、マスターが挙手して質問を挙げる。

 

 その言葉にロリンチちゃんはビシッとキレよく指差して“正解っ”と可愛らしく微笑んだ。

 

「まず安心してもらうためにも結論から。大丈夫だよマシュ。バッッチリ受精してた☆」

 

 ロリンチちゃんの言葉に合わせて、ダ・ヴィンチちゃんが何やら写真を取り出しホワイトボードに貼り付けた。

 

 それは魔術によって投射されたマシュの胎内の様子であり、よりズームした写真には受精する瞬間まで捉えている。

 

 それを見てマシュは一安心したようで、胸を撫で下ろしてホッと安堵のため息をついていた。

 

「調べた結果、どうやらこれはマシュ自身────と言うよりかは、マシュの中の“盾の騎士の力”による無意識な自己防衛的な反応によるものらしい」

 

「「自己防衛?」」

 

「そ♪ 確かにマシュは“あの戦い”を経て人間としての身体と寿命を得て、その肉体からギャラハッドは退去した。しかし、異聞帯ブリテンでの出来事から分かるように、その繋がりは失われていなかった」

 

「今回、その繋がりが起こした事象とでも言うのかな。マシュの受精卵を“守りの力の膜”が覆って着床を防いでいるんだよね」

 

 ロリンチちゃんの説明に続けながらダ・ヴィンチちゃんが次の写真を用意する。

 

 魔力を可視化したその写真には、優しく高潔な気配を感じる魔力が、マシュの受精卵を綺麗に覆っていた。

 

「我々の戦いはまだ終わっていないからね。どうやら今回の件は、そもそもそんな危険に身重の身体で対峙する事態が起きないように事前に守る、本能的に張られたバリアみたいなものさ」

 

「中身の時間は固定されてるみたいで、今は魔術で万全のケアを施したうえでちゃんと然るべき設備に保存してあるから安心してね」

 

「と言うことは…………」

 

 説明を聞いてマシュの表情に希望が戻る。

 同じく先への展望、未来を目指す更なる理由を得て明るい表情を浮かべるマスターを見て、二人の天才は同意するように頷いた。

 

「そ。マシュの女性としての機能に問題は無し。赤ちゃんが産まれる事に付随してくる他の問題も発生しない。安心してこれからも活動出来るし、いっぱいセックス出来ちゃうぜ!」

 

「デキたタマゴは違うところに保存しておけるし、一件落着と言うわけだね」

 

「良かったぁ…………!」

 

「イェイ、マシュ! ハイターッチ!」

 

 パンっ、と仲良く手を打つ二人。

 その光景にダ・ヴィンチちゃんたちもようやく二人が結ばれた実感に穏やかに微笑み、説明のためにかけていた眼鏡を下ろす。

 

「こちらとしても対策は用意してたんだ。生身の人物が孕む事による戦力低下、及び問題の増加はカルデア的にも無視出来ないしね。」

 

「魔術で本物の子宮と、サーヴァントと同じエーテル体の疑似子宮を別の位相と重ねる事で、普段はサーヴァントと同じ出産形式になれる仕組みって奴。これならマシュも出産出来ると思うけど……やる?」

 

「やります! たくさん練習しておきたいです!!」

 

「即決!!?」

 

 善意ゆえに発生した行き違い。

 

 長らく続いたそれはようやく終着を迎え、一同は和気あいあいとこれまでのすれ違いをネタに、マスターの的外れな考え、失態を掘り返して笑い合う。

 

 より確かで強固に繋がりを増したカルデアは、更なる発展を遂げていく事だろう。

 

 

────……

 

 

「いやー……そりゃ悪いとは思ってるけどさ……あんな笑わなくても……」

 

「ふふふ……でも嬉しいです、先輩。私の一人相撲だっただけで、先輩も私の事を想ってくれていたなんて」

 

 談笑を終えて懸念を解消し、マスターとマシュの二人は肩を並べてマイルームに帰ろうと通路を歩いていた。

 

 そこに以前までのぎこちなさや妙な遠慮を含んだ不和は感じられず、その距離感は立派な男と女のそれ。

 

 以前よりも距離は近く、ぴったりマスターの肩にくっつくようにマシュはその場所から離れない。

 

「今さらだけど、初めてはどうだった? 気持ちよく出来たかなって思うけど」

 

「はい、とても! …………そ、それで……ですね……その……ぁの……♡ 今回は先輩にリードされっぱなしでしたが……私から先輩にシてあげたい事や……その……他にもシて欲しい……事、が……♡」

 

「……ふふ……良いよ。次はどういう風にして欲しい?」 

 

「ぇと……その…………♡♡」

 

 歩みは止めず、ふたり寄り添って進みながら、マスターは自分から発案きてくるマシュの姿に積極性の進化を見て嬉しく思いながら、隣の顔を赤くする後輩を見下ろす。

 

 殻を破りパートナーとして更なる一歩を踏み出した後輩は、未だ恥じらいを勝らせながらも己の欲求を素直に先輩へと告げるのだった。

 

 

「……っ……スカサハさんや……モードレッドさんにするみたいに……♡♡ と……とびっきりハードで……ドスケベなので…………お願いします…………♡♡♡」

 

 

 

────……




大変お待たせいたしました。
遂にマシュです。
今まで伸ばした事のないスキルツリーを使うお話だったので書き上げるのに2か月もかかってしまいました。

しかしコレでようやくマシュも出そうと思えば出せるようになりましたね

楽しんで頂けたら幸いです。

私のツイッター(twitter/boro_soboro)のお題箱にボンボン性癖を投げつけてくれて心より感謝を。
感想、性癖、要望、何かございましたらどうぞお好きに
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