シリーズ二発目の第一話目から過去の時間軸に当たる話って我ながら適当だなと思います。
ただどうしてもキアラさんとは別にもう一人、このカルデアに順応するようになった過程を書きたかったのだ。
スカサハ師匠大好きだし
前置きから濡れ場への繋ぎがどうしても思いつかなくてクッソ強引になっちゃったけど許して……。
スカサハ師匠″体験″クエストでチン負けさせて改めて召喚した時のお話
これは、影の国の女王、
まず最初に感じたのは、乾いた土の匂いと固い地面の感触。そして砂塵を微かに巻き込んで吹き抜けていくザラリとした風。
「う…………ん…………?」
人理継続保障機関フィニス・カルデア。
そこに所属する人類最後のマスターである青年は何もない荒涼とした荒れ地の丘で目を覚まし、仰向けに倒れたまま首を巡らして左右を確認する。
見る限りでは何も無い。
右側は地平線の果てまで荒れ地が続き、左側は遥か遠方に小さく山脈らしきものが見える程度。
両手で地を押して上体を起こし、改めて見渡せばそこは、昔教科書やインターネットの写真で目にした、アメリカの荒野によく似ていた。
「ここは……」
「目を覚ましたか」
背後から声を掛けられ、マスターは起き上がりながら声の主の方へと振り向いた。
そこにいたのは思わず息を呑むほどに美しい、黒百合のような絶世の美女。
スラリと長い手足にまず目が行った。足は流麗な脚線美を描き、腕部も同様。
首から下一面を覆う黒いタイツのような衣服を身に纏い、その上から黒い胸当てや金属製の肩当て、黒いヒールブーツ等を着用した低い露出度に反した扇情的な姿だった。
触れずとも素人目にも分かるほどに鍛えられた肉体はまるで肉食猛獣のようにしなやかで、それでいて雄の視線を引き付ける女性らしい肉付きまで備えている。
だらしのない贅肉は存在せず、なだらかな肩からググッとくぼんだ腰のくびれ。そして豊かに主張する尻のラインまで、細部に至るまで芸術品のような理想のプロポーション。
両腕で抱えるほどの豊満な胸はタイツの下からでも押し負けない程に威勢よく主張をしており、そこ以外にも衣服の締め付け部分からムチッと肌に食い込んでいる部分で、思わず抱き締めた時の柔らかさと肌のハリを連想させた。
「えっと、貴女は……というかここは…………俺は確かカルデアのベッドで寝ていた筈……」
「何、人類最後のマスターとして特異点を駆けるお主に興味が湧いてな。眠りに就いたお主の精神だけを、ルーンの力で私と夢を共有するという形でここに呼びつけた。故に安心するが良い。お主の肉体は今もカルデアとやらでグッスリ眠っておるよ。……名は…………」
そこまで言って彼女は考え込むように右腕で胸を抱き、左手を顎に添えて僅かに考え込む。
黄金比とも言える抜群のプロポーションにより寄せられた巨乳がより強調され、マスターを誘うかのようにフルリと揺れた。
「ふむ、どう言ったものかな。思えば改まって名を語るなど、そうなかったか」
見目麗しい彼女はただ少し考えるというだけの小さな所作ですら画になる。
伏し目がちに落とされた瞼に、長い睫毛の向こうに覗く深紅の瞳。
その瞬間だけを抜き取って絵画にすれば何かしらの美術品として成立しそうである。
「――――名はスカサハ。異境にして魔境たる影の国のあるじである」
――――……
「中々慣れているのだな」
「ん、何がですか?」
ケルト・アルスター伝説の戦士にして女王、スカサハがカルデアのマスターを呼び出した理由。
それは、人類最後のマスターである彼の実力を推し量るため。
彼が自身の力を貸すに値する勇士であるかを見定めるための、いわばテストのようなものである。
魔境、″影の国″の女王にして門番である彼女は、無双の槍術と神代の領域にまで踏み込んだ原初のルーンを用いる、正真正銘の″神殺し″。
誇り高く、何者にも屈さず、何者にも
「
「あー…………いやまぁ、鍛えてもらいましたからね。最初の方は散々醜態を晒してました」
彼らは現在、どことも知れない荒野を二人で歩き続けていた。
手荷物は無く、頼りになる後輩も傍にはいない。
水も食料も無い、あるのは己の身一つという状況でも慌てる事なく、平静を失ってスカサハにすがり付くという事もない。
女王であり戦士であり門番であり、そして同時に、その確かな鑑識眼を以て数多の英雄達を育て上げた師匠でもある彼女は、第一印象として″可″の判定を授けていた。
「なるほど。それなりに修羅場は潜っているらしい」
「サーヴァントやカルデアのみんなの助けありきですよ」
力を示し、認められればそれに見合う縁を紡げる。
二人の間の縁が強固であればある程、カルデアで彼女を呼び出せる可能性が高まる。
――極論彼女から認められなくともこうして言葉を交わし、同じ空間に存在し一時的に行動を共にしただけでも縁自体は繋がるのだが、当然それだけでは薄い。
加えて英霊召喚はそもそも召喚される側の英霊の同意が無ければ成り立たない。
絶大なる力を持つ彼女を味方に引き入れることが出来れば、間違いなく人理修復の大きな助けとなる。
そして、それとは別にこの見目麗しい女王を女として手に入れたいという思いも同時に抱いていた。
「……それでは早速敵も見えてきた事だし、改めて説明しておこう」
そして暫く進んで小高い丘を越えると、眼下には様々な種類の魔物が存在していた。
得物を手にした骸骨兵、魔獣にバイコーンにスプリガン。
それらの群れの最奥には巨大な龍種のエネミーまでおり、丘から見下ろすこちらに気付くなり一斉に敵意を向ける。
スカサハはマスターへと向き直り、どこからともなく取り出した朱槍を地に突き立て、大胆不敵にも敵の軍勢に背を向けたまま語り掛けた。
「――――私は強かれ弱かれ、勇気ある者を好む。これから数日私と行軍を共にし、見事私にお主を認めさせる事が出来ればこのスカサハ、必ずやお主の力となろう。良いな?」
あまりにも堂々としていて、あまりにも凛とした美しさすら感じる彼女の宣言に対し、マスターは望む所と言わんばかりに微笑んだ。
怯えるでもなく蛮勇に勇むでもなく、その宣言を受け取りより気合いを入れた様子のマスターにスカサハは満足げに口角を上げる。
そして振り向くと同時に彼女は朱槍を手に小高い丘から飛び出した。
マスターも遅れて丘の斜面を滑り降り始め、グランドオーダーで普段やっているのと同じように戦場へと飛び込むのだった。
――――……
「すっ……ご…………本当に強いな…………」
数分とせぬ内に魔物の軍勢は数を大きく減らしていた。
とてつもない速度、とてつもない技量、とてつもない力で並みいる魔物達を蹴散らして、次々に肉片へと変えていく。
骸骨兵など小型魔獣のような数の多い雑魚は朱槍の一薙ぎ、一刺し、または通り抜けた余波だけで粉々に吹き飛んでいき、殲滅とマスターの護りを同時にこなす。
正面から鋭く伸びた角を突き刺さんと突っ込んでくるバイコーンに対し、彼女は顎が地面に触れるほどに低い体勢で前に進み、真下からの刺突でその太い首を穿ち抜く。
「■■■■…………!!?」
バイコーンがダメージに呻いた時には既に彼女は足元にはいない。
残像すら残すほどの速度で次の魔物を屠っている。
更に頭上に召喚していた数本の朱槍が弾丸のような勢いで降り注ぎ、中型魔獣であるバイコーンは五秒と持つ事なく塵へと還った。
一刺一殺。
隙の無い体術に卓越した槍術。次から次にその手に持つ槍と同じものを召喚しては、手も触れずに操作して射出。蹴散らしていく。
マスターから見たその姿は、まるで鋭角に屈折する流星が地上を走り回っているようにも見えた。
無論、マスターもただそれを眺めているだけではない。
適時礼装によるサポートを行い魔術で援護し、そのタイミングに最も適した指示を下す。
(ふむ……中々どうして……。これはこれで戦いやすいな。検討違いな指示も無く、常に動き回り逃げ回る事で人間として出来る最低限の自衛もやっている。それに――――)
「おっ……と、ヤバっ……!!」
地中に潜んでいた魔獣がマスターの目の前から飛び出し、その脆弱な肉体を引き裂こうと爪を振り上げる。
しかしその直後にスカサハの操る朱槍が地面ごと魔獣を抉り飛ばした。
(逃げ回るコース取りも悪くは無い。私の視界の及ばぬ範囲の情報を常に観測し、何かあれば合図する。出過ぎず、逃げ過ぎず、及び腰でもない。しっかりと“補助”としての立ち回りを弁えている)
スカサハの放つ強烈な一撃に爆ぜ飛ぶ地面。立ち上る砂塵。それに紛れて飛散する無数の肉塊。
もうもうと立ち込める砂煙をボフッと引き裂いて飛び出した彼女は右手に持った槍を振りかぶり————
「ここだっ……!!!」
彼女の意図を読んだマスターはそこですかさず魔力を送り込み、彼女のやらんとする事に魔力のブーストで後押しする。
グンと体の内側から押されるような力の漲りに、彼女は小さく微笑んだ。
「うむ。粗削りではあるが及第点だ。人類最後のマスターよ」
魔力の後押しを受けてスカサハは全力で朱槍を投擲する。
それは赤い残光を引きながらレーザー兵器の様に一直線に突き進み、広大な範囲に広がる砂煙を貫いてその向こうにいる巨大な龍種の頭蓋を貫くのだった。
————……
パチッ、と目の前で弾ける焚火の薪。
あの局面を切り抜けた二人はそのまま進行を続け、太陽は回り月が昇って夜が来た。
現在二人は進行ルート上にあった森の中へ入り、本日の総括も兼ねて休息を取っていた。
「私が当初思っていた以上に、カルデアでは随分と揉まれているらしい」
「?」
焚き火の前に腰を下ろしているスカサハは、隣に座っているマスターへ向けてそう言った。意味が分かりかねたマスターは彼女の顔を見て首を傾げる。
「思いの外良い動きをしていた、という意味だ」
決して人の範疇を出ないあくまで凡人レベルの中での話ではあるが、まぁ良かった、と彼女は続ける。
下手に優秀で万能で何から何まで出来て、文句の付けようのないような可愛げの無い人物でなくて良かった、とも。
「はは、ありがとうございます師匠」
「……師匠は止めよ。儂はお前の師にはなれぬ」
「でも……少なくとも今の状況と関係性は割りと師と弟子ですよ」
「うむ……まぁ……それなら好きにせよ。弟子には……してやれんがな」
マスターはその言葉に苦笑しつつも礼を言いつつ、沸かした水を飲んで体を温める。
二人は夜の帳に包まれたまま会話を続けた。
スカサハが問い掛ける形でこれまでの旅路の軌跡を話したり、マスターが問い掛ける形で彼女の伝承やこれまでの経歴を改めて本人の口から語ってもらったりなど。
「ふむ……中々詳しいのだな、英霊の逸話に。私の伝承も知っているとは」
「えぇ、まぁ。直接関わるワケですから知らずにいるのも失礼かな、と。カルデアのライブラリで結構調べたりしてます」
また、彼女はカルデアの様子についても知りたがった。
マスターは変に警戒されないよう無難に性に関して若干乱れている事実は伏せつつ、知っている範囲内でなるべく興味を惹けるように話題を選んでいく。
そうした会話を挟みつつも、マスターの視線は彼女の蠱惑的な肉体へと向けられていた。
近くで見ればより分かる。
柔らかさとしなやかさを両立させた均整の取れた美しい肉体。豊かなバストにヒップ、掴みやすそうにくびれたウエスト。
どうにかこの肉体を味わいたい。どうにかそちらの色事方面へと進ませたい。この凛々しい武人の面持ちを淫蕩に染め上げたい。
涼やかでありつつも覇気のある身の引き締まるような美声を発する口に肉棒を咥えさせればいくらでも射精できそうである。
とてもあの剛力を生んでいるとは思えない美しい手指。ごうごうと嵐のように朱槍を振り回しているとは思えない汚れや傷一つない手のひら。この手で奉仕してもらえたらきっと気持ちいいだろう。
並大抵の生物では触れることすら叶わないその肢体。
何とか手に入れたい。何とかこちらに反感を覚えられる事なく円満にこちら側に加わってもらいたい。そんな思考でジッと見つめていると、
「フフ……」
「あいてっ」
ベシ、とデコピンによる軽い衝撃がマスターの額にぶつかった。
「随分と熱い視線を向けてくるではないか。アルスターの女は初めてか?」
バレた、と一瞬焦るものの、彼女の表情にも声音にも怒りや嫌悪の類の色は無く、むしろ楽しむような様子でクスクスと笑っていた。
「すいません。綺麗だなーって思いまして」
「はは、奥ゆかしいタイプかと思いきや意外と正直に言うタイプか。人は見た目によらんな」
二人の談笑は更に踏み込んで色事の域にまで突入する。
マスターからの質問に答えたり逆にスカサハから問い掛けてそれにマスターが答えたりなど形は様々。
そこから話は進み、その流れでマスターは彼女へ劣情を抱いている事まで告白した。
「うむ……そうか。まぁ…………お前は私の伝承にも詳しいようだが、それなら過去に多くの勇士と体を交えたという話も知っていよう。そのような熱い視線も、そのような誘いも初めてではない」
緩く拳に変えた右手を口元に添えて、少し考え込むような仕草を見せつつ彼女は視線をマスターから膨らんだ股間部分へ移す。
服に押さえつけられながらもそれでも外に出たいと言わんばかりにテントを張る彼の一物と彼の目の間を行ったり来たりさせつつ、どこか遠回しに思わせぶりな事を続けるスカサハを見て、マスターは”脈は少なくとも皆無では無さそうだし、多少強引にでも自分が『女』という事を、俺が『男』という事を意識してもらおう”と考えた。
武人、戦士、師匠としての彼女が意識の表層に出ている今、超然とした強者としての意識が全面に出ている今ではこちらのペースにも引き込みにくい。
「しかし……そうまでして私を求めるとは……。私の伝承を知っていても尚意見を曲げんあたり…………なんだ、そんなに抱きたいのか。儂を」
「駄目ですかね」
「駄目と言うか……ふむ……そうだな……」
茶化すでもなく笑って誤魔化すでもなく、あくまで真面目に自身を女として求めてくるマスターに対し、スカサハは少し困ったように、しかしそれでいて嫌悪の念ではないどちらかといえば”まさかここまでこ奴にストレートに求められるとは”という想定していなかった事態への困惑が混じっていた。
「これでもダメですかね?」
おもむろに立ち上がったマスターはカチャカチャとベルトを外し始め、隣に座っているスカサハへと陰茎を露出した。
ボロン、と彼女の顔面至近距離に露出されたマスターの反り返った陰茎は彼女の形の良い鼻に触れる寸前で止まり、その思いもよらぬ大きさに彼女は目を剥いた。
(な……、でっ…………か……、…………過去に身体を交えた勇士達にもここまでの者は稀……っ)
謎の引力でも発せられているかのように彼女の視線は触れる寸前の距離でそそり立つチンポに釘付けで、微かにマスターが腰をよじって左右に揺らせば面白いようにそれを目で追っていた。
「ふぅ……はー……、はぁ……っ♡」
(それに臭い……♡ なんと濃い雄の匂いだ……この香りはマズい……っ)
彼女が多淫であったという伝承は事実ではあるし、その経験も決して嘘ではない。
しかし彼女は数多くの神や魔獣を殺し、領域を超えて人ならざる者となってから、影の国で死ぬ事も出来ずに悠久の時を過ごしている。
気の遠くなるほどに、形あるものが朽ち果ててしまう程に長く、永い時をたった独りで。
そのため彼女の肉体を慰めるのはその細く美しい指だけで、絶大なる強さを誇る彼女を組み伏せられるような存在もない為、いつしかスカサハという存在の中にある”女”は影を潜め、神殺しの超越者としての超然とした面のみが残った。
早い話が、溜まっているのである。
時の流れと共に埋もれていく女の快感、その記憶。いつしか誰もいなくなった影の国にて自慰にふける事も忘れてしまい、自覚も無いままに飢え渇いたままそれを忘れて武人として在る事に。
そんな渇きに渇いた体でいるところに、唐突に鼻腔と視界に飛び込んできたマスターの”男”の象徴という情報は、彼女の”自分は女である”という自覚をガツンと叩き起こすに至った。
「スンスンっ……すぅ……♡ すぅ~~~っ……ふっ……ハァーーー……♡♡」
息を吐くことも忘れて彼女は一心不乱に目の前のチンポの匂いを嗅ぎ続け、肺の中に大量のすえた性臭を取り込んでは長い息を吐いてトロンと目を潤ませる。
正常な状態の彼女なら取り乱す事無くしまうよう促すか、“私を前に急所をさらけ出して仁王立つとは大した度胸だ”と笑っていた。
しかしまるで渇いたスポンジに水を浸したかのように、砂漠の地面に水を垂らした時のようにスカサハの身体に何百、何千年ぶりに嗅いだ雄の香りが染み込んでいき、正常な判断力は残っていなかった。
忘却の果てに在った彼女の中のメスが慣らされる事も無く急激に目覚めさせられ、身体が勝手に意識して求め始める。
急激に温められた氷がヒビ割れるように、彼女の落ち着き払った精神に乱れが生じた。
(何時ぶりだ……っ♡ 分からない……しっ、子宮が痛い程に疼く…………ッ♡♡♡ 唾液が溢れて……汗が止まらんっ……♡♡)
今現在スカサハの中にマスターに見られているという意識は無かった。ほぼ無意識な状態での行動だった。
ペニスを見せつけられ驚きに空いたままの口からは粘りのあるヨダレが垂れ落ちる。
その双眸にはペニスしか映っておらずハッ♡ ハッ♡ と犬のように口呼吸を繰り返し、右手は自分でも気付かない内に股間へと伸びていた。
タイツと下着の上から女陰に指を這わせればクチュリと水音が聞こえる。前後に何度か擦って指を離し、人差し指と中指を離せば見ずともその指の間に粘液の橋が架かっているのが分かる。
(ここまで飢えていたのか私の身体……♡♡ もし……もしコレを受け入れてしまったら私はどうなってしまうのだろう……♡♡)
開きっぱなしの口から彼女の桃色の舌が伸びる。
顎を突き出し、根元から舐りあげようと舌を出して微かに震えながらマスターの男根に触れようとしたその時。
「————師匠? 大丈夫ですか?」
「————っ。あ、あぁいや、何でもない」
ギリギリの所でかけられたマスターの声に、スカサハはようやく我に返ってマスターのペニスから顔を背ける事が出来た。
悟られぬようにと視線を外して垂れたヨダレを拭い、紅潮した頬を誤魔化せるよう焚き火の方へ顔を向けて。
「…………その……なんだ、そ、そんなに抱きたいのか」
「はい、抱かせてほしいです」
「……純朴そうな顔付きに反して、存外性には実直なのだな……」
スカサハは考え込む。先ほどの緩く握った拳を口元に添えて思案する理知的な姿とは程遠い、雌としての本能と導く者としての理性の狭間で揺れる女の姿で考え込む。
マスターは自身の熱意が通じたと見て露出した下半身をまたズボンの中にしまい込む。
脳裏に浮かんだあのペニスに自分が貫かれるビジョンはいくら振り払おうと別の事を考えても効果は出ず、集中しようと目を閉じればより鮮明にその光景が浮かぶなど完全に逆効果だった。
しかし超人的な精神力で寸での所で持ち応えた彼女は“いいだろう”と一つ前置きし、自身も立ち上がってマスターと目線を合わせ、右手で自身の胸元に触れてこう言い放った。
「よ、よかろう。しかし無条件でと言うワケにはいかぬ。知っての通り、私が好むのは強き弱きではなく勇気ある者だ。抱かせてほしくば、この私に抱かれても良いと思わせるような成果を見せろ、勇気を見せろ。そうすればこの影の国の女王の身体、神をも殺した戦士の肉体、褒美としてくれてやる。————いいな?」
ハッキリと、一見表面上は雄々しさすら感じる程に堂々と言い切った。しかしあくまでそれは表面上。
濃厚な“雄”という情報を唐突に、多大に与えられた身体は急激に雌として目覚めつつあり、頬に一筋の髪を貼り付かせて腰は至近距離で見なければ分からない程に小さく痙攣していた。
燃え上がる深紅の瞳の奥では悠久の時を経て蘇った情欲の焔が
子宮は先ほど目にしたペニスから子種が貰える事を期待してキュウキュウと疼き、鼓動が早まっているのを感じていた。
滲み出るメスの本能は隠し切れず、それを見抜いていたマスターはあえてそれを口に出さずニヤリと笑ってその言葉に応えた。
「分かりました。頑張ります」
————……
それから日中の行軍の効率は目に見えてよくなった。マスターが認められようとハリ切っているから、ではなくスカサハの方が調子が上がったからだ。
「ハッ!!!」
鋼鉄の硬度すらも上回る岩石の巨人、ゴーレムの胸を朱槍で突き刺せばバカッと面白いように真っ二つに砕け割れ、
「そぉうらッッ!!!」
漆黒の体色をした四足歩行の異形、ソウルイーターは正面から無数に迫るミサイルのような勢いの朱槍に為す術も無くズタボロになって消し飛んでいく。
「ルーンよ……!!」
虚空に描いたルーン文字が効力を発揮すれば眼前の地形が脈動し、巨大な火炎と氷雪が敵の軍勢を飲み込んでいき、
「終わりだッ!!」
彼女の投擲した朱槍が空中で独りでに何度も屈折しては赤い残光を引きながら引き裂いていく。さながら巨大なミキサーの内部のように、肉片となり、そして血の雨となって大地に降り注いだ。
ズンズンと先に進んでいく。マスター自身も一層やる気を出したのもあるが、何よりスカサハ本人がこの道程を巻きで進めているのが何よりも大きい。
このペースで進めば今回の目的地である、現在の進行方向の果てにある山の麓に想定していた以上の速さで辿り付くだろう。
何故ここに来てスカサハがペースを上げたのか、理由は簡単。早く終わらせて時間を作りたいからだ。
これがマスターの実力があまりにも情けない物だったらまだ冷静さを保てていたのかもしれない。
しかし実力的にマスターが百点満点とは言えずとも十分人類最後のマスターとして及第点以上の出来を出せていたのもあり、口には出さないものの既に内心では合格とみなしていた。
ここからよっぽどの見過ごせない綻びでも見せない限り、彼女の中の評価は落ちようがない。
それを狙っていたマスターも事が上手く進んでいる事に満足に思いつつ、油断する事無くマスターとしての役割を果たして行く。
そして、
————……
あれからこの夢の中での時間ではあるが、三日が経った。
マスターとスカサハの二人は目的地、彼女の定めたゴール地点でもある穏やかな森林の中にいた。
「————見事だ。お主は私に勇気を示した。異形に竦む事なく立ち向かい、私の力を活かし切り、何の援助も無いサバイバルを生き抜いた。私はお前を認めよう。お前は、私が力を貸すに値する勇士である」
カツン、と朱槍を地に突き立て、もう片方の手を腰に当てたスカサハは目の前のマスターにそう言った。
ありがとうございます、こちらも大変勉強になりました、とマスターは頭を深々と下げる。
「この
「いえいえ、その時は是非よろしくお願いします」
さて…………、とスカサハはらしくもなく歯切れの悪い様子でここからどう事を運んだものか、と思案しているようだった。
「…………お主がこの夢の世界から戻る方法についてだが……」
結果、彼女の切り出した話題は″本来の望み″から見れば非常に遠回しなものだった。
「ここは異世界などの類いではなくあくまで私とお主の夢の世界。故に、夢の主である私かお主がそう念じればカルデアに意識が戻るであろうよ。目を覚ませば消えるのが夢なのだから」
つまり、“そうしなければまだこの空間は続く。まだ時間はたっぷりある”、と彼女は言外に告げた。
それを聞いたマスターは年相応に眼を輝かせ、時間に追われることはないと喜んだ。
「ふむ……これ以上勿体ぶるのも酷と言うものか……。我が主となる資格を持つ勇士よ。先日告げたように、褒美としてこの魔境の主と交わることを赦そう」
喜びを隠そうともしないマスターの態度に、スカサハは微かに余裕を取り戻し、優しく微笑む。
(ふ……初めて自分の
「では師匠、よろしくお願いします」
「フフ…………まだ二十年も生きていないお主には荷が重いかもしれんが、どうか満足させてくれよ?
————……