第十話:死闘!魔蛇月VSプリキュア
1、束の間の休息
天空の神殿において、亡くなった長老を手厚く葬った一同、各神殿の被害状況は尋常ではなかった。だが、今は神殿の修復よりも、魔蛇月が邪神を復活させるのを阻止する事を最優先とし、天空の長老代理スアロも、大地、海洋、両長老と話し合った結果、一同と共に下界に向かった・・・
魔獣との死闘から三日が過ぎた・・・
この日も8月らしく、文武町も猛暑日になると予報されていた・・・
かなめの家、朝・・・
朝食も済み、片付けを始めようとしたかなめの従姉加代は、せっせと茶碗を回収し、流し台に持ってくるかなめを見ると、
「かなめ、私も夏休みで仕事休み何だからいいよ」
「うん、でも、ちょっとね・・・ねぇ、加代姉・・・生活キツイかも知れないのに、あたしを養ってくれて・・・ありがとう!」
「ハァ?かなめ、あんた何言ってんの!?あんた一人くらい養う何て、訳無いわよ!子供は妙な事気にしない・・・」
突然のかなめの言葉に、加代は妙な胸騒ぎを覚える。ジッと加代を見つめるかなめの目が、うっすら涙目になると、かなめはゴシゴシ手で擦り、
「うん、何でもない!ゴメンね、変な事言って」
「全くだよ・・・あんた、今日は友達と海に行くんだろう!?準備は済んでるの?」
「アッ!」
「全く・・・此処はいいから、早く支度しておいで!」
かなめはコツンと自分の頭を叩くと、部屋に戻る。かなめが持ってきていた朝食のパンを頬張っていたチュッチは、ドアを閉めた後、涙を流すかなめに気付く、
「か、かなめ、どうしたチュチュ?」
「ねぇ、チュッチ・・・もう、こんな生活も送れなくなるのかなぁ?」
「・・・敵の羅蛇の言葉を信じるのは、イマイチ釈然としないチュチュ!でも、今はあいつの言葉を信じるチュチュ!!かなめがしっかりしないでどうするチュチュ!!」
チュッチの叱咤激励に、何度も頷くかなめだったが、かなめの心は不安で一杯だった。デーモンストーンを奪われ、何時オロチが復活するのか?
この世界はどうなるのか?
「プリキュアの力を信じるチュチュ!かなめは一人じゃ無いチュチュ・・・チュッチだって付いてるチュチュ!!」
かなめは、泣き笑いを浮かべ頷いた・・・
海堂家・・・
本来なら、この時期は家族で海外旅行を行うのが恒例だったが、なみは断り、両親は今まさに荷物を積み、海外へと出掛けようとしていた。
「なみ、本当に良いのかい?」
「はい、お父様!今日はお友達みんなで海に行く約束何です」
「そう、なみさん、気をつけて行ってらっしゃい」
「はい、お母様!お二人とも・・・お気をつけて!!」
車のドアを閉め発進した後も、なみは車が見えなくなるまで見送った。
「お嬢様、朝とはいえお熱ぅございます!もう、中に入られては?」
「ありがとう、笹山さん」
家政婦の一人笹山に促され、なみは自分の部屋へと戻った。部屋の窓からなみの様子を見ていたティティは、なみが無理をしてるんじゃないかと思うと、
「なみ・・・ゴメンティティ!本当は、なみだって一緒に行きたかったティティ?」
「ううん、良いのよ!それに、そんな気分にはとても慣れなかったし・・・プリキュアのみんなと過ごした方が、私の不安も解消されるわ!」
なみの脳裏に、三日前のスワンの言葉が思い出される・・・
羅蛇の言葉を信じるなら、真の決戦は、魔蛇月が戒めの祠に現われるその時だと・・・
「さあ、支度をして天女さんの所に行きましょう!!」
なみはそう言うと着替え始めた・・・
柳生邸・・・
「おはようございます!」
「おお!総司か・・・おい、天満、天女、支度はもう終わったのか?総司が来たぞ!!そうそう、お前達の水着は、わしが用意しておいたからな!!水着は持って行かなくてもよいぞ?」
「「?????」」
朝から張り切る二人の祖父辰馬の姿に、天女は深い溜息を付いた。天満が戻って来た事で、一緒に海に行けると大喜びした辰馬は、昨日の内に二人の水着を買いに行っていた。天女の脳裏に嫌な予感が漂うも、祖父の行為を無にする訳にも行かず、昨年買っていた水着を引き出しにしまった。天女に水着を借りに来ていた天満も、総司という名を聞き、総司の事は薄々覚えて居るようで、
「総司か・・・よくお前に泣かされていたっけ?」
「もう・・・お姉様!そんな昔の事は忘れました!!」
天満にからかわれ、天女が頬を膨らませる。母天音に勧められ、天女は、総司も海に行くか誘ってみると、総司は二つ返事でOKした。もちろん、気がある天女からの誘いだからは言うまでもないが・・・
「ところで、お爺様はやけに海に行く事を張り切っているのだな?」
「ええ、毎年の事です・・・水着の女性を直に見れるのが、さぞ嬉しいのでしょう」
天女の言葉に、そういえばと古い記憶を手繰る天満は、辰馬が水着の女性を観察し、天音に説教されていたようなと思いだし、苦笑を浮かべた。
「今まではお母様が一緒でしたから、お爺様を窘めてましたが、今年は、お母様はお父様の看病で残られる。私達でお爺さまを監視しなければ・・・厄介なのも居ますし・・・」
天女の視線が、サングラスをしてソワソワしているピッピに向けられる。思わずハァと溜息を付く天女の姿に、天満も苦笑を浮かべる。天満の視線が、木陰で涼むカァクに向けられると、
「カァク、お前も一緒に来い!ピッピの監視を任せたぞ!!」
「エエッ!?熱いのは苦手カァ!」
「そう言うな!もし、海で異変が合った時、お前の力も必要になるかも知れんのだ」
そう天満に言われては、断る事も出来ず、渋々頷き同行させられるカァク、そしてもう一人・・・
「師匠、何故拙者まで海などに!?拙者、此処で剣の修行を致したく存ずるが?」
「馬鹿者!ウロボロスよ、お前は知らんだろうが、海は非常に訓練に最適なのじゃ」
「そうなのでござるか?」
「うむ!ほれ、お前もわしに続け!!」
匍匐前進(ほふくぜんしん)して進む二人の姿に、天女、天満、そして総司が呆気に取られていると、
「天満!天女!木刀でも持っていて、もし海であんな行動取ったら、構いませんから、あの二人の尻を思い切り叩いてらっしゃい!」
表情を曇らせた天音は、辰馬とウロボロスを見て呆れたようで、天女と天馬に言葉を掛けると、天女は困惑気味に、
「お母様、それでは私達が補導されてしまいます!私達は海に行くんですから、木刀何て要りません・・・」
ハァと溜息を付く天女を見た総司は、
「そうだな!天女なら、木刀何かなくても、その逞しい大木の腕があるもんなぁ?」
「総司!何ですってぇぇ!?」
頬を膨らませた天女が、総司を追いかけ回した。それを見て苦笑する天満、二人を見た白いTシャツにジーンズ姿の天音は、表情が引き締まると、
「二人共・・・戦いの事は忘れて、楽しんでらっしゃい・・・」
「「はい、お母様」」
(戦い!?)
天音の言葉を聞いた総司は、天女を見て一抹の不安を覚えるのだった。
かなめとなみも合流し、一同は海へと向かった・・・
天音は一同を見送ると、羅蛇が静養する天音の部屋に戻る。襖を開けて部屋の中に入った天音は、母から妻の顔に変わる。
「相変わらず賑やかなお方だな、お前の父は?」
「まぁ!?あなたの父でもあるのよ?ウフフフ」
「フッ、そうだったな!だが、飄々としていると思えば、心はしっかりしておられる。食えぬお方よ・・・ところで魔蛇月の事だが、恐らく今日迄は、魔蛇月も行動を起こすまい、奴も戒めの祠を見付けるには、数日は掛かるだろうからなぁ・・・俺の読み通りならば・・・決戦は明日だ!!」
作務衣姿で寛ぐ羅蛇の言葉に頷く天音が、羅蛇にもたれ掛かる。少し動揺する羅蛇だったが、天音の身体を引き寄せると、唇を重ね合う二人、羅蛇の右手が天音の白いTシャツを捲ると、薄いブルーのブラに覆われた豊満な胸が、今にも零れ落ちそうにブルルンと揺れた、羅蛇が指でブラを弾くと、天音の胸は弾け、羅蛇の前に、熟れた巨乳を露わにした。羅蛇が指で天音の乳首を愛撫すると、
「アァァン・・・羅蛇ぁぁ」
潤んだ瞳で羅蛇を見つめる天音を見て、羅蛇は愛しそうに天音の髪を撫で、その場に天音を押し倒し、天音の胸に顔を埋めた・・・
「アァァ、羅蛇ぁぁ!アァァン!!」
日頃の清楚さも成りを潜め、天音は、十年ぶりに羅蛇に甘え、その身を羅蛇に捧げた・・・
羅蛇にジーンズを脱がされ、ブルーのショーツを露わにされると、天音は、ショーツ一枚の姿で、羅蛇に魅惑な眼差しを送る。羅蛇は、天音の反応を確かめるように、ショーツの上から、天音の割れ目を指でなぞると、天音のショーツはビッショリ濡れており、身体はビクッと動き、天音の口から吐息が漏れた。
天音の身体は、羅蛇を求めていると確信した羅蛇は、天音の最後の衣服である、ショーツに手を掛けようとしたその時、咄嗟に何かの気配に気付いた二人は、慌てて飛び退き、シーツで身体を隠した天音が、襖を思いっきり全快に開くと、父辰馬が腹ばいになりながら覗いていた。
ワナワナ震えた天音は、
「お父様・・・引率はどうしたのですか?・・・・・・さっさと行かんかぁぁ!このスケベ爺ぃぃぃ!!」
天音に怒鳴られ、慌てて子供達の下に駆け去る辰馬の姿に、天音は深い溜息を付くと、ゆっくり襖を閉め直し、
「全く、いい年をして・・・困ったものねぇ」
「ハハハ、元気な証拠・・・10年前と変わらないなぁ・・・そしてお前も、10年前と変わらず・・・美しい!」
「もう、からかわないで・・・」
再び羅蛇に甘える天音を、愛しそうに抱きしめ口づけをした羅蛇は、自ら作務衣を脱ぎ、一糸纏わぬ姿になると、細身ながら、逞しい肉体が露わになる。羅蛇は、天音を押し倒すと、再び天音の下腹部を指で愛撫し、濡れたショーツをゆっくり脱がし始めた。天音は身悶え、恥ずかしそうにしながらも、羅蛇に恥毛を掻き回され、頬が上気する。
「アァァン・・・羅蛇ったらぁ」
ショーツを脱がされた天音、二人は互いの裸身を久方ぶりに見て、更に感情が高ぶっていった・・・
羅蛇の愛撫で悶える天音の吐息が、天音の艶やかな裸体を見た羅蛇の息遣いが、部屋に響き渡る。天音は無意識の内に、羅蛇の前で観音開きをすると、羅蛇が天音の股間に顔を埋め、蛇のような舌先で、チロチロ恥毛から女性器に掛けて刺激すると、
「アァァン、羅蛇・・・アアァァ!」
その心地良い快楽に、天音は身をくねらせながら悶え、羅蛇は更に天音のクリトリスを舌で刺激し、更に指で女性器を刺激すると、
「アァァン、イイ!それ、イイのぉぉぉ!!」
天音の大事な場所から、ジワジワ滲んでくる愛蜜を、羅蛇は舌先で味わい続けた。天音は荒い呼吸を繰り返しながら、
「ハァ、ハァ、ハァ・・・もう、駄目!羅蛇、お願い・・・してぇぇ!」
「良いのか?・・・・入れるぞ!!」
天音は無言でコックリ頷くと、羅蛇のそそり立った逞しい一物が、天音の膣を刺激する。羅蛇の首に手を回した天音は、潤んだ瞳で入れてと催促すると、羅蛇は、少し天音の膣を刺激し、一気に天音の体内へと突き入れた・・・
パンパンパンと響き渡る音、それに合わせるかのように、天音の口からは、快楽の声が響き渡り、
「アァァ!アッ、アッ、アッ・・・アァァン!!」
二人は、10年振りの夫婦の営みに、燃え上がった・・・
天空の神殿、長老代理となったスアロは、木の上で、恥ずかしそうにしながら、二人の快楽の声を聞いていた・・・
一方、海に向かった一同は、こぢんまりした海水浴場に到着し、二軒しかない海の家の一つに入ると、水着に着替え始めた・・・
「てっきり、湘南でも行くかと思ったら、三浦半島とは・・・でも、良い所だね!」
「うん!あまり人も居ないし・・・でも、三浦半島も海水浴客で結構賑わってると思ってたけど?」
かなめとなみの疑問に、天女が答えるように、
「私も此処に来たのは今回が初めてなの!お母様が調べて下さったのよ!私達がプリキュアになった事もあり、もしもに備え、なるべく人が多い場所は、避けた方が良いんじゃないかと思ったそうよ!」
「成る程・・・それでお爺様とピッピはガックリしていた訳か・・・」
天満は、水着の女性の少ない事で、呆然としていた辰馬とピッピを思い出し、思わずクスリとした。
そんな会話をしながら、一同は着て来た服を脱ぐも、
「な、何なの!?この水着はぁぁ?」
「お爺様は・・・私達にこのような破廉恥な水着を着ろと言うのか?」
天女は赤いビキニを、天満は色違いの黒ビキニを手に持ち困惑していた。明らかに布の面積は少なく、上ビキニは、首から掛け背中で縛るタイプで、下は、両側を紐で縛るタイプ、紐が解けたら、どうするんだろうかと思うと、天女も天満も思わず躊躇し、それを見たかなめとなみは目を点にする。
「お姉さま・・・どうしましょう?」
「ウゥゥン・・・せっかくのお爺様の行為を、無にする訳にもいかないし・・・天女、恥を承知で、お爺様の行為を受け入れよう!」
「ハァ・・・全く、お爺様ったら!孫娘に何て水着買ってくるのよ!!」
ブツブツ文句を言いながらも、天女は赤いビキニを着け、天満は黒いビキニを着けた。布の面積は想像通り少なく、二人の乳房が水着からはみ出し、少し運動すると、乳首が露わになるのではと不安がった。更に下側も、何とか恥毛は隠せたものの、お尻の肉が少しはみ出て居た。
二人の天音譲りなプロポーションを見て、かなめとなみは、更に羨ましげな視線を二人に送る。天女と天満は、そんな二人の視線に気付くと小首を傾げ、
「どうしたの、二人共?」
「何か変か?」
「天女さん、天満さん・・・」
「お二人共・・・スタイルが良くて羨ましい・・・」
そう言うかなめの水着は・・・学校のスクール水着のような紺色のワンピース、なみは、花柄のワンピースで、腰にパレオを巻いていた。
「二人共、可愛いわよ!ねぇ、お姉様?」
「ああ、似合ってるぞ!」
天女と天満に褒められるも、何処か素直に喜べないかなめとなみだった・・・
先に外に居た総司とウロボロスは、コーラを飲みながら天女達を待っていると、女子更衣室から出てきた、天女と天満の大胆な水着を見て、思わずブゥゥゥとコーラを吹き出し、互いに咽せ、ゴホゴホ咳き込んだ。辰馬は、ちゃんと孫娘達が着てくれた事が嬉しかったようで、ニコニコしながら、
「ほほう・・・天満、天女、中々似合って居るぞ!!」
「ピピィィ!ピピィィ!!」
純情な総司やウロボロスと違い、辰馬とピッピは、二人の水着姿をスケベ顔で見つめた。
「な、何だ!?天女の奴・・・あんな水着持ってるのか?」
「これは驚き申した・・・」
総司は恥ずかしそうにチラチラ天女と天満を見つめ、ウロボロスも呆気に取られて二人を見ていた。
後から出てきたかなめとなみは、何処か冴えない表情を浮かべると、
「私達・・・天女さんと天満さんの引き立て役になってない?」
「ちょっと、二人と一緒に居づらいよねぇ・・・」
まだ成長途中の二人が少し落ち込んでいると、そんな二人に気付いた総司が、慌てて二人をフォローし、
「そ、そんな事ねぇよ!大地、海堂、お前達の水着も十分可愛いって!!それに比べて・・・天女!お前、何時から露出狂になったんだ?」
「なってないわよ!バカ総司!!」
総司が褒めてくれると思いきや、貶された事で、今度は天女が不機嫌になる。そんな天女と天満の水着姿を見て壊れたピッピは、二人の水着をもっと近くで見ようと、二人の周囲を飛び回り、二人の下ビキニの紐を、翼に引っかけている事に気付かず、哀れ天女と天満は、下のビキニを剥ぎ取られ、体勢を崩した拍子に、側に居た総司とウロボロスの二人に、恥毛はおろか、純潔を守り通している女性器を見られてしまう・・・
「「キャァァァァァ!!!!」」
悲鳴を上げた天女と天満は、真っ赤になりながらしゃがみ込み、今にも泣きそうな表情になる。目を点にしていたかなめとなみの二人も、慌てて我に返ると、バスタオルで二人の身体を隠し、総司とウロボロスは、鼻血を出してそのまま倒れ込んだ・・・
「ピッピ、何て事するティティ!」
「このスケベ鳥!!」
「反省するカァ!!」
ティティ、チュッチ、カァクの三人にフルボッコにされ、ピッピもまた気絶する・・・
ピッピから下ビキニを取返した三人の妖精から、水着を受け取り、慌てて付け直した天女と天満だったが、互いに見つめ合うと、
「お、お姉様ぁぁ!総司に、み、見られちゃいましたぁぁ・・・もう私、お嫁に行けない・・・アァァン!!」
「な、泣くな天女・・・私だって泣きたいんだ・・・」
互いに労り合う姉妹の姿だったが、かなめとなみは、ピッピが悪いのは当然ながら、あんな格好をしていた二人も悪いのでは?と心の中で思うのだった・・・
総司とウロボロスの二人は、辰馬から、孫娘の大事な場所を見たからには、お主ら責任を取れと責められ、困惑していた。
ウロボロスは天満を誘い、総司は天女を誘い散歩へと出掛けていた・・・
「て、天満殿、先程はその・・・」
「・・・・・・・・」
思わず顔を赤らめた天満は無言で俯いた。ウロボロスはどうしたものかと思案すると、ポンと手を叩き、
「お詫びに・・・それがしも全てを貴殿に再び晒そう!!」
「エッ!?ウロボロス、何を!?」
立ち止まったウロボロスは、海パンを一気に脱ぎ、天満に逞しい股間を晒すと、益々顔を赤らめた天満は、
「バ、バカァァ!は、早く履け!!誰かに見られたらどうするの?」
慌てふためく天満を、宙に浮かびながら見物していたカァクは、大笑いして天満に見つかり、追い回された・・・
「て、天女、さっきは・・・そのぉ・・・悪かったな?」
「ウウン・・・総司のせいじゃないし・・・」
天女の事を好きな総司は、ここで男を見せねばと奮い立ち、天女を散歩に誘った。何時打ち明けようかと思案していた総司だったが、天女は人影が無いのを確認すると、
「総司には・・・大事な場所も見られちゃったし、いっその事、全てを打ち明けようと思うの!」
「エッ!?」
動揺する総司に、先程の辰馬の言葉が響いてくる・・・
お主も男なら、責任を取れと・・・
男の責任を考えた総司は、天女に好きだと打ち明け、この場で天女と結ばれるのも一つの男らしさでは無いか?さき程、天女の下半身を見て混乱した総司の思考は、少し暴走していたのだが、逆に天女が自分に打ち明けたい事があるという・・・
「な、何だよ?」
「私ね・・・私・・・実は、プリキュアなの!私のもう一つの名前は・・・キュアフェニックス!!」
そう言うと、上空からボコボコ顔のピッピから、プリキュアの力が天女のシャイニークリスタルに照射された。シャイニークリスタルが虹色に輝いた時、天女が叫ぶ、
「プリキュア!デルタフラッシュ!!」
総司は呆然とした・・・
目の前で変身した天女はもちろんだが、総司はその姿に見覚えがあった・・・
嘗て、化け物となった自分を救ってくれた少女・・・
夢だと思って居た少女が、目の前に現われたのだから・・・
「その姿・・・見覚えがある!じゃあ、じゃあ、俺が化け物になったのは本当の事で、俺を助けてくれたのは、天女!?」
「ええ・・・私達は、邪神の復活を阻むため、プリキュアとして戦ってきたの!お母様も、お姉様も、かなめちゃん、なみちゃんもそう・・・」
「お前達が・・・プリキュア!?」
「うん!」
総司も、プリキュアの事は知っていた・・・
総司の母美里から、プリキュアについては聞かされて居た・・・
「驚いたよね?私達は明日・・・決戦に赴かなければならない!これがあなたとの最後の思い出になるかも知れない・・・最も、あんな思い出になるとは思わなかったけどね?」
そう言うと、上空にいるピッピをキッと睨み付けた。ピッピは、ビクッとすると、逃げるようにその場を後にした。
「最後!?・・・最後って何だよ?帰って来ないような口ぶりは止めろ!!」
そう言うと、フェニックスを力強く抱きしめた総司は、
「必ず生きて帰って来い!お前らしくないぞ?お前達が無事に帰ってくるまで・・・それまで、お前に言う言葉はお預けだ!!」
「うん・・・何の事かは分からないけど・・・」
胸の閊えが取れたフェニックスの口元は、自然と笑みを浮かべていた・・・
「かなめ、覗き見何てもう止めようよ?」
「シッ!今良いところ何だから・・・」
「ウム!お前さん達、中々健康的な身体をしておるのぉ?」
「「エッ!?」」
そんな天女と総司を、浜辺でうつ伏せになりながら覗いていたかなめとなみであったが、突然声が聞こえ、動揺した二人がチラリと背後を振り向くと、二人の水着姿を堪能する辰馬を見付け、
「「キャァァァァ!!」」
「何じゃ、逃げんでも良いでは無いか?」
慌てて逃亡するかなめとなみを、辰馬が追い回す。騒動に気付いたフェニックスは、ハァと溜息を付くと、変身を解き、
「総司、戻りましょう!全く、お爺様ったら・・・お爺様!帰ったらお母様に言いつけますよ!!お爺様ぁぁぁ!!!」
(全く・・・お前は凄い奴だよ・・・必ず帰って来いよ!天女!!)
こうして、一同の束の間の休日は終りを告げた・・・
2、戒めの祠・・・決戦!そして・・・
翌日・・・
羅蛇から招集を受けたかなめとなみは、固い決意の下、柳生家にやって来た。
「デーモンディテクションの反応があった・・・魔蛇月が遂に、戒めの祠を見付けたようだ」
「いよいよ、決戦って訳ね・・・終わらせよう!」
「ええ、邪神を復活何て・・・させない!」
「その通りよ!決着をつけましょう!!」
かなめ、なみ、天女が決意を述べる。天音と天満も頷き、五人はそれぞれの妖精からプリキュアの力を授かると、五人のシャイニークリスタルが虹色に輝く、
「「「「「プリキュア!デルタフラッシュ!!」」」」」
五人の姿をプリキュアへと変えていく・・・
「天空の使者!キュアスワン・・・推参!!」
「天空の使者!キュアクロウ・・・推参!!」
「天空の使者!キュアフェニックス・・・推参!!」
「大地の使者!キュアアース・・・参上!!」
「海洋の使者!キュアオーシャン・・・見参!!」
五人のプリキュアが手を重ね合い、頷き合うと、
「行きましょう!決戦の地、戒めの祠に!!」
スワンの言葉に頷く一同、五人のプリキュアと妖精達、そして、羅蛇が戒めの祠へと向かった・・・
その姿を、辰馬、ウロボロス、総司と美里が見送った・・・
必ず無事で帰って来るように祈りながら・・・
戒めの祠・・・
そこは嘗てピッピが、コブラにマケンナーにされた、古びた神社の一角にあった。三人の女神、そして荒ぶる神の強力な結界が、デーモンストーンによって開かれていく・・・
祠の扉の先には、魔空間とは違う、荒れ果てたような岩場の広大な地の中に、巨大な柱が一本聳(そび)え立っていた。何処か神聖さと不気味さを併せ持つ、次元の狭間へと繋がっていた。
魔蛇月も初めて見る筈だが、辺りをキョロキョロする魔蛇月は、何処か懐かしさすら覚えてくる。巨大な柱を見た時、魔蛇月の心は歓喜に震え出す・・・
「此処に、此処にオロチ様の魂が眠っているのか・・・オロチ様、今その封印を解いて差し上げます!!」
魔蛇月の視線が、オロチの封じられし巨大な柱を凝視する。口元に笑みを浮かべた魔蛇月が、もうすぐ宿願が果たされる。そう確信したその時、
「そうは行かないわ!」
「何!?」
振り向いた魔蛇月は、居並ぶ五人のプリキュアと妖精達、そして、羅蛇を見て顔色を変える。
「お前達、どうして此処が?そうか・・・羅蛇、貴様の仕業か?フン、まあいい・・・オロチ様の生け贄に、プリキュア共を備えてくれる!!」
「魔蛇月、お前の好きにはさせん!!・・・天満!天女!」
羅蛇に名前を呼ばれたフェニックスとクロウが、戒めの祠の内部に突入する。
「何のまねだ!?俺の邪魔はさせんぞ!」
二人を追おうとする魔蛇月に、スワンが、神獣を纏ったアースとオーシャンが立ち塞がり攻撃を開始する。邪魔だとばかり、魔蛇月の目が金色に輝き、プリキュア達に攻撃を始める。
遂に魔蛇月との決戦が幕を開けた・・・
フェニックスとクロウは、内部を調べていると、巨大な柱のとある一角に、確かに羅蛇が語っていたように、地表に突き刺さる剣を発見する。
「お父様、ありました!」
「そうか!!よし、天満、天女、その剣を抜き、まだ完全に目覚めていないオロチを・・・倒せ!!!」
フェニックスの言葉に頷いた羅蛇は、フェニックス、クロウに、剣を引き抜き、まだ完全に目覚めていないオロチを倒せと命じた。
「何だと?あの剣はまさか!?羅蛇、貴様ぁぁ!!」
魔蛇月の憎しみの籠もった目が、羅蛇に向けられる。共にオロチの分身として生まれながら、オロチを滅ぼそうとする羅蛇の行為に、魔蛇月は憎悪を募らせる。
「俺とて、元々オロチ復活を宿願として、長きに渡り行動を起こしてきた。だが、長きに渡るプリキュアとの戦い、そして20年前、天音と戦っていた時、心の中に疑問が沸いてきていた。それを確かめる為、天音の下、地上で暮らした俺は、天音と恋に落ち、娘を得、父となった時、自分の間違いに気付いた・・・この世界は生きている!オロチ復活によって、魔が跋扈(ばっこ)する世界・・・そんな世界に変えるわけには行かない!!何れオロチの力は、デーモンストーンといえど、抑えきる事は出来なくなるだろうと考えた俺は、色々調べ上げ、そして、ある結論に達した・・・光と闇の力を受け継ぐ者ならば、オロチと共に封印されたる伝説の聖剣を引き抜き、オロチを滅す事が出来ると!!」
羅蛇の視線が、剣を掴む二人の娘達に注がれる。魔蛇月は忌々しそうに舌打ちすると、
「チッ!女の色香に誑(たぶら)かされやがって・・・キュアスワン!その身体を使って、羅蛇を籠絡したのか?」
「失礼な事言わないで!羅蛇はあなたとは違う!!天満、天女、急いで!!」
魔蛇月に、色気で羅蛇を誑かしたと言われたスワンは、ムッとしながら否定し、娘達に急ぐよう指示をする。
だが・・・
「お父様、お母様、それが・・・さっきから二人で力を合わせて、何度も引き抜こうとしているのですが」
「全くビクともしないのです!」
力を込め、何度も引き抜こうと試みる二人であったが、剣はビクともしなかった。二人のプリキュアに焦りの色が浮かんだ。
「何だと!?馬鹿な・・・光と闇の血を引きし天満と天女が、何故引き抜けないというのだ?」
フェニックス、クロウの言葉に、羅蛇は困惑した。
こんな筈では無かった・・・
光と闇の申し子とも呼べる、天満と天女ならば、聖剣を引き抜ける筈だった。どこで間違っていたのか、羅蛇は呆然とする。
「フハハハハ!脅かせやがって・・・残念だったな、羅蛇!これもオロチ様のお導き・・・さあ、絶望の闇に沈め、プリキュア!」
魔蛇月は、動揺していたスワン、アース、オーシャンを蹴り飛ばし、一同に嘲笑を浴びせた。魔蛇月を見つめるフェニックス、クロウの目が険しくなると、
「だったら、あなたを倒せば済む事・・・お姉様!」
「ああ、魔蛇月、覚悟しろ!!」
神獣フェニックスを纏ったフェニックス、目を金色に光らせたクロウ、二人が魔蛇月との戦いに加わる。五人のプリキュアが相手では、流石の魔蛇月にも勝ち目は無い筈だった・・・
「奢るなよ、プリキュア共!!フェニックス、アース、オーシャン、貴様らは神獣を纏っているのだったな・・・だったら、こちらも纏わせて貰おう!!」
距離を取った魔蛇月から、禍々しい気が膨れあがり、次元の狭間から何かを呼び寄せると、魔蛇月の気が一気に膨れあがった。見る見るその姿を変えていく魔蛇月、背中に黒き巨大な翼が、身体全体に青色の鱗が、身体が数倍に巨大化した。
「な、何!?あれは?」
呆然と見つめ、思わず声を出すアース、魔蛇月の変貌振りを見た羅蛇は、
「奴め、まさか、魔獣の魂を纏ったとでもいうのか?」
「その通りだ!貴様らは一体の神獣を纏うのみだが、俺は違う!三匹の魔獣を取り込んだ俺の前では、最早貴様ら如き、相手にならん!!」
嘗て、ベヒーモスが使った爆発波を使い、一同を吹き飛ばす魔蛇月、プリキュア達は岩場に激突し、皆悲痛な声を上げる。体勢を整えた三人の天空のプリキュアが、上空より攻撃を仕掛けるも、巨大な翼を羽ばたかせ、突風を食らい、体勢を崩した三人のプリキュアに、竜巻を浴びせて吹き飛ばし地上に激突させた。
「フハハハ、弱い、弱いぞ、プリキュア共!!」
「んだとぉぉ!!ダァァァァ!!」
突進したアースが、魔蛇月に肉弾戦を仕掛けると、魔蛇月は反撃せずアースのパンチ、キックの怒濤の連続攻撃を受け続けた。アースの連続攻撃が収まった時、魔蛇月は口元に笑みを浮かべ、首を前後左右に動かしながら、
「もう終わりか?では、こちらから行くぞ!!」
魔蛇月の激しい攻撃が、連打でアースに浴びせられる。防戦一方で殴られ続けるアースを見たオーシャンは、
「アース!守れ、水の激流!プリキュア!ウォーターウォール!!」
アースを守るべく、ウォーターウォールを放ったオーシャンだったが、魔蛇月の攻撃の前に呆気なく破られ、アース共々吹き飛ばされるオーシャン・・・
ダメージを受けヨロヨロ立ち上がる五人のプリキュア達を見て、羅蛇の表情が険しくなる。
(済まぬ・・・俺の浅はかな計画が、お前達を苦しませる事になるとは・・・)
「だ、大丈夫ですわ!私達プリキュア五人も居るんですもの・・・きっと勝てますわ」
蹌踉(よろ)めきながら羅蛇に微笑むオーシャン、
「そうそう、デーモンストーンを全て奪われたあの時、あんたの言葉が無かったら、あたしは戦う気力を失ったかも知れない・・・でも、今は違う!!」
アースとオーシャンが手を繋ぎニッコリ微笑むと、
「大地の力よ!」
「海洋の力よ!」
「今、二人のプリキュアと!」
「今、二つの神獣と共に!」
「「奇跡の力を解き放て!!プリキュア!シャイニングフレア!!」」
二人の必殺技、アースとオーシャンから放たれた光のエネルギー波が、魔蛇月目掛け突き進む、魔蛇月は両腕を突き出し二人の攻撃を防ぎきると、
「無駄だと言うのが分からんか?」
「エエ、分からないわよ!」
上空に舞った三人の天空のプリキュアの翼が、真紅に、漆黒に、光に、輝きを始めると、
「「「天空の力を、一つに合わせ!プリキュア!ウイングポリマー!!」」」
天空の力を結集した聖なる翼が、魔蛇月の黒き翼を片方破壊する。
「グゥゥ、しぶとい奴らめぇ!!」
何度も食い下がるプリキュア達の姿に、更に怒りの咆哮を上げた魔蛇月が、上空に巨大な漆黒の球体を作り上げる。負のエネルギーを力に変えた強力な技が、今プリキュアに向けられようとしていた・・・
「クッ!魔蛇月ぃぃぃ!!」
あの攻撃をまともに食らえば、プリキュアといえど只では済まないだろうと感じた羅蛇は、魔蛇月に向かっていくと、魔蛇月を羽交い締めにする。
「おのれ、羅蛇!貴様の力如きで・・・」
「や、やれぇぇ!俺事・・・魔蛇月を打ち倒せ!!」
渾身の力を振り絞り、魔蛇月を押さえ込む羅蛇、魔獣の力を得た魔蛇月を羽交い締めにするのにも限度がある。羅蛇は絶叫し、俺事倒せとプリキュア達に訴える。その姿に三人の天空のプリキュアは激しく動揺する。
「そ、そんな・・・お父様事・・・」
「出来ません!!」
「羅蛇・・・折角また一緒に暮らせたのに・・・出来る訳無いわ!!」
フェニックスが、クロウが、スワンが、沈痛な表情を浮かべながら首を振る。
「今のお前達の姿は何だ!プリキュアなら、個人の感情は捨てろ!!もう一度プリキュアの使命を思い出せ!!!」
羅蛇の叱咤激励が、プリキュア達に飛んだ。アース、オーシャンも戸惑いを隠せなかったが、目を瞑ったスワンが両目を見開くと、
「羅蛇・・・天満!クリスタルトライアングル・・・仕掛けるわよ!!天女、アース、オーシャン、その隙にデルタトライアングルを・・・」
「「お母様!?」」
拳を振るわせながらも、プリキュアとしての決断を下したスワンから、一同に指示が飛ぶ、戸惑うフェニックス、クロウの二人も、アースもオーシャンも、羅蛇の表情を見ると、皆、戦士の表情になる。五人の妖精達は、そんな沈痛なプリキュア達を痛ましそうに見ていた。
「クッ、邪魔するな!!羅蛇!!!」
羅蛇に対し、魔蛇月は自身を中心に再び爆発波を放つも、血塗れになりながらも、羅蛇は何とか堪え、魔蛇月を尚も羽交い締めにし続けた。
「は、早くしろ・・・もう・・・持たんぞ」
弱々しくなってきた羅蛇の声に、スワン、クロウが涙混じりの声で、クリスタルトライアングルを放った。それを合図にしたように、三人の天空の妖精ピッピ、カァク、スアロが、物凄い勢いで急降下してくると、羅蛇に体当たりをして魔蛇月から引き離し、チュッチ、ティティが羅蛇を受け止め慌てて側から離れる。その直ぐ後で、クリスタルトライアングルは魔蛇月を捕らえた。
「あんた達、出かした!!」
妖精達に笑顔で親指を掲げ合図を送るアース、フェニックスとオーシャンも笑顔を向けると、三人が三方に散り、
「三つの心を!」
フェニックスが叫び、
「三つの希望を!」
オーシャンが叫び、
「三つの思いを!」
アースが叫び、
「「「一つにして!プリキュア!デルタトライアングル!!」」」
三人のシャイニークリスタルから、三角形の虹の光が、魔蛇月目掛け照射される。虹の結界は三重に連なり、魔蛇月の動きを押さえ込む。
「チッ・・・まだまだ!!」
「「「ハァァァ」」」
プリキュアの掛け声と共に、徐々に圧縮していく三角形の虹の結晶に耐える魔蛇月が、雄叫びを上げながら圧縮を押し返すと、必死の形相のフェニックス、アース、オーシャンの三人は、
「このチャンス、無駄にはしない!」
「みんなの思い・・・この一撃に賭ける!!」
「あたし達は・・・負けない!!」
フェニックス、オーシャン、アースが更に気合いを込めると、再び圧縮を始める虹の光が、魔蛇月の動きを完全に封じ込める。
「クソォォ!!俺が、この俺がぁぁ!!!」
「「「魔よ!光になれ!!」」」
虹の三角形の結晶が、光と共に爆発を起こした・・・
デルタトライアングルは、遂に魔蛇月を捕らえた。
だが・・・
爆風が晴れた時、一同は驚愕する。ボロボロになりながらも、魔蛇月は生きていた!ヨロヨロ蹌踉(よろ)めきながらも、確かに生きていた!!・・・
「そんな!?デルタトライアングルに・・・」
「耐えたって言うの?」
アース、オーシャンが呆然としながら魔蛇月を見る。蹌踉めきながらも、魔蛇月は口元に笑みを浮かべていた。
「プ・・・プリキュア共・・・俺は・・・俺は、お前達の技では死なんぞ!!オ、オロチ様・・・この身を、この血を、今・・・あなたの下にぃぃぃ!!!」
蹌踉めいた魔蛇月が、巨大な柱に触れた時、辺りを嘗て無い悪寒が覆い尽くした・・・
「プリキュア・・・共・・・俺の、勝ちだ!!」
まるで、巨大な柱に全てを吸い尽くされたように、魔蛇月の身体が急速に萎(しぼ)み、そして、消滅した。
「な、何!?」
「何ですの?この嘗て無い嫌な悪寒は!?・・・」
アースが、オーシャンが、これから始まる何かの気配に、心の底から震えが襲ってくる。
「クッ!俺達の・・・負けだ!!オロチが・・・復活する!!!」
羅蛇の言葉に、その場に居た一同が凍り付く・・・
それを合図に、巨大な柱の中から轟音が聞こえて来た瞬間、一同の身体を圧倒的恐怖が通り過ぎていく・・・
五人のプリキュアが、五人の妖精が、思わずその場にへたり込むと、身体中から震えが止まらなかった・・・
3、邪神復活
地上に出た禍々しい気は、文武町上空に浮かび上がり、徐々に広まっていく。それに呼応するように、文武町上空に巨大な次元の亀裂が現われると、巨大な金色の目がギョロリと動く、亀裂は広がり、日本中、いや、世界中にまで広がろうとしていた・・・
亀裂が世界の空を砕いた時、巨大なる八つの首のビジョンが浮かび上がり、それは蠢きながら世界を威嚇する。人々の目にも、巨大なその姿が目に入ってくる。それを見た人々は驚き、絶望し、恐怖した・・・
邪神八岐大蛇が、遂に完全に地上へと復活を遂げた・・・
柳生邸・・・
「し、師匠・・・この禍々しい気は、拙者の心を再び・・・」
邪神復活は、ウロボロスの心を再び魔に支配しようと試むも、
「喝!しっかりせぇい!!お主ならそんな事に屈しはせぬ!!」
辰馬の叱咤激励が、ウロボロスの心を奮い立たせる。
「ウム・・・負けぬ!拙者は負けぬぞ!!」
邪神の発する負の力に耐え続けるウロボロス、ウロボロスを叱咤激励する辰馬の二人、だが、二人は気付かなかった・・・
屋敷内で安置されていたラミアが、邪神復活に呼応したように、ラミアの心臓が再び鼓動を始めた事に・・・
砕けた空からは、邪神によって解放された無数の魔が降り注ぎ、世界の機能は完全に麻痺をした・・・
動物、昆虫、植物、妖怪のような異形な者、それらに人が合わさったような、不気味な魔の集団が無数に現われる。世界中の警察も、軍隊も、政治家も、魔の襲撃の前には、何の役にも経つ事は無かった・・・
絶望に支配された時、人々の身体に異変が生じる・・・
ある者は、自ら常軌を逸し魔へと変化し、またある者は、恐怖の心を魔に支配され、魔へと変貌する。マケンナー、スゴイナーのように、札や種に封じた魔が取り憑くのではなく、直に魔が人間に取り憑く、または自ら魔になった者は、最早人として戻る事は不可能だった・・・
人の感情を忘れた魔は、雄叫びを上げながら欲望の赴くまま動き始めた・・・
人の姿を保った者には、魔の恐怖が襲ってくる・・・
女は・・・
幼女、少女、成人女性問わず、魔の欲望の捌け口として襲われ、捕まった者は、魔の集団に陵辱され続け、逆らう者は容赦なく殺された。捕まった女は、魔を受け入れるしか、生き残る術は無かった・・・
世界中に魔に捕まり、犯される女性の悲鳴が溢れ、男は魔の食料とされ狩られ、断末魔の悲鳴が上がっていった・・・
地獄絵のような世界の姿・・・
邪神復活から30分持たず、世界は、魔が支配する地へと変貌を遂げていった・・・
戒めの祠で呆然とする一同の下に、クリスタルフィオーレを通じ、天空、大地、海洋、それぞれの神殿から、世界の終焉の光景が報告されてくる。
だが、それぞれの神殿に住む者達は、この時気付いていなかった。各神殿の女神の間、そこに飾られている女神像から、邪神復活に反応したように、光の点滅が繰り返されていたことに・・・
「イヤァァ!イヤァァ!!」
まるで、自身も陵辱されているように、オーシャンが身を丸くし、震え出すと、
「い、いかん!海洋のプリキュア・・・よ、心を覗くな!お前の、精神が、崩壊する!!」
瀕死の羅蛇が、オーシャンの身を案じ、声を掛けると、アース、フェニックスは、オーシャンの手を握り、必死にオーシャンに呼びかけ我に返した。
「お父様!もう、もう、どうする事も・・・どうする事も出来ないのですか?」
フェニックスの問い掛けに、羅蛇は首を振り、
「無駄だ・・・完全に甦ったオロチの前では、お前達五人の力を結集させたとしても、到底適うまい・・・まして、この世界に溢れる魔を倒そうとも、邪神の影響下では、無限の魔を相手にするようなもの・・・何れは力尽きる!!」
「じゃあ、どうするのよ!このままじゃ、世界が!みんなが!・・・あたし達に、ただ、此処で黙って見てろって言うの?嫌だ、あたし、嫌だ!!」
羅蛇の言葉を否定するように、涙を浮かべながらも拳を振るわせるアース、
「その通りよ!例え死ぬなら・・・後悔しない死を私は望む!!お父様、私は、邪神と戦います!!」
フェニックスは立ち上がり、キッとした目で羅蛇に自身の覚悟を打ち明ける。それに呼応するように、アースが、オーシャンが、ピッピ、チュッチ、ティティが立ち上がる。
「そうか・・・何も言うまい!天女、アース、オーシャン、無駄死にはするなよ!!」
羅蛇の言葉に頷いた三人が、地上へと戻っていく。
絶望的な戦いが待つ地上へと・・・
地上に戻った三人のプリキュアと三人の妖精達は、変わり果てた文武町、そして空を覆い尽くす魔の空を見上げ呆然とする。その中に蠢く巨大な物体、邪神八岐大蛇から発せられる圧倒的恐怖に飲み込まれそうになる。
三人は手を握り合い見つめ合うと、
「私達の攻撃が通用するとはとても思えない・・・デルタトライアングル以外はね!」
フェニックスの言葉に頷いたアース、オーシャン、フェニックスは無数の魔をフャイアーショットで威嚇しながら進路を作ると、上空に飛翔する。アース、オーシャンも近くに居る魔を退けると、
「三つの心を!」
フェニックスが叫び、
「三つの希望を!」
オーシャンが叫び、
「三つの思いを!」
アースが叫び、
「「「一つにして!プリキュア!デルタトライアングル!!」」」
三人のシャイニークリスタルから、三角形の虹の光が、邪神八岐大蛇目掛け照射される。虹の結界は三重に連なり、八岐大蛇を封じに掛かる。だが、オロチの首が動いた瞬間、プリキュア最強の技、デルタトライアングルは、呆気なく破られ、プリキュア達は呆然とする。
八岐大蛇の首の一つが、ギロリとフェニックスを見つめると、フェニックスは自らの恐怖を払拭するように、キッと睨み返す、八岐大蛇は雄叫びを上げると、首を前後左右に揺らすと、フェニックスを激しく首で叩き付ける。その衝撃に為す術もなく、フェニックスが地上に落下していくのを、空中高くジャンプしたアース、オーシャンが何とか受け止める。
「あ、ありがとう!二人共!!」
「いえ・・・エッ!?」
フェニックスの礼に応えようとしたアースの表情が凍り付く、大きく口を開いた大蛇の首の一つから、三人のプリキュア目掛け、強烈なエネルギー波が照射される。三人で手を繋ぎ合いバリアーを張るも、呆気なく破られ、三人の意識が遠のいていく・・・
攻撃を受けた三人のシャイニークリスタルに亀裂が走った時、三人のプリキュアの変身は解除され、少女の姿へと戻った。意識を失った少女達は、全ての力を八岐大蛇に奪われたかのように、一糸纏わぬ全裸姿で、魔が支配する地上へと落下していった。
邪神八岐大蛇復活を祝う、魔が蠢く真っ直中、少女達は、魔への生け贄のように、地上へ堕ちていった・・・
第十話:死闘!魔蛇月VSプリキュア
完