※この作品はR-18です。

トライアングルプリキュア!   作:鳳凰009

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最終話:光と闇

                  最終話:光と闇

 

1、メシア

 

 世界に吹き荒れる天変地異の凄まじき力・・・

 

 世界に響き渡るオロチの不気味な声・・・

 

 自身の意思で世界を思うように弄ぶオロチの前に、力を封じられた三人の女神と、三人のプリキュア達は、最早為す術のない状態だった・・・

 

 

 戒めの祠内部・・・

 

「な、何!?この禍々しい力は?」

 

 この地に送られてきた人々を見守っていたスワン、クロウ、そして、瀕死の羅蛇にも、世界の更なる異変は感じられていた。スワンは、オロチ復活の時以上の恐怖に、思わずポツリと呟く、

 

「俺には分かる・・・オロチは、この星その者と化したのだろう・・・女神達は敗れ去ったようだ」

 

「そ、そんな・・・お父様、じゃあ天女達も?」

 

「俺にも分からん・・・済まぬ、何度詫びても許される事ではない。だが、俺の浅はかな考えが、世界を、地球を滅ぼした!!天満、天女の二人ならば、荒ぶる神の残した聖剣を扱えると過信した・・・俺の、俺の浅はかな考えが、世界を・・・」

 

 項垂れる羅蛇に、悲しげな視線を送るスワンとクロウ、羅蛇はオロチを倒す為に、この世界の為を考え、敢えて嘗ての同胞達の下に戻り、密かに計画を実行してきた。この世界を救おうとし、結果、逆に滅ぼす切っ掛けを作ってしまった羅蛇の心中を察すると、二人は言葉を発する事が出来なかった。

 

「いいえ、羅蛇様!あなたの考えは間違ってはいなかった!!光と闇の女王が作りし聖剣・・・その名をカオスフレア!!嘗て、この剣を使いし、光と闇の女王二人の弟、スサノオウにちなみ、この世界ではスサノオウの剣と呼ばれし聖剣・・・羅蛇様が仰(おっしゃ)るように、この剣は、光と闇の申し子ならば扱える事が出来るのです!!」

 

 ゆっくり戒めの祠内部に現われた少女、ピンク色の髪を靡かせ、姿を現わしたのはラミアだった。邪神復活に呼応したように、彼女は再びこの世界に甦って居た。

 

 プリキュアの力を受けていたラミアに、女神達は邂逅し、天女達の危機を知らせると、ラミアはウロボロスと共に、天女達の危機を救うと、もう一つの自分の使命を果たす為、戒めの祠に現われたのだった・・・

 

「ラミア!?そうか、オロチ復活はお前にも影響を与えていたのか?正気を保っているのを見ると、彼女達がプリキュアの力をお前に分け与えたのは、間違いではなかったようだな・・・だが、ラミアよ!俺の考えが間違っていなかったとはどういう事だ?現に天満も天女も、俺と天音、光と闇の血を引く者でも、聖剣は引き抜けなかったのだぞ!?」

 

 羅蛇の問いただしに頷きながらも、ラミアはゆっくり聖剣スサノオウの剣に近づくと、徐に剣の柄を右手で握ると、対して力も入れていないに、剣はスッとその光輝く刀身を一同の前に現わした・・・

 

「ラミア!?私や天女があれ程引き抜こうとした剣を・・・」

 

「彼女が真の剣の使い手という事なの?」

 

 クロウも、スワンも、聖剣スサノオウを握るラミアの姿を、呆然と見つめ呟いた。羅蛇もまた呆然とラミアを眺めていると、ラミアは一同に微笑み、

 

「羅蛇様、確かに天満、天女は、闇の力とプリキュアの加護を受けて居ました。ですが、この世界に置いて、光の戦士とは天空、大地、海洋の力を併せ持つ者、天満と天女は、天空の加護しか受けては居なかった!私もこの力の事は、知りませんでした・・・甦った私の心の奥底に、話し掛けてきた者が居ました・・・光の女王です!!」

 

 ラミアはそう言うと、光の女王が自分に話し掛けた事を三人に話し始めた。

 

 天空、大地、海洋の力を分け与えられていたラミアに、光の女王は、この世界の最大の魔、邪神八岐大蛇が圧倒的負の力を身に付けたのは、光の女王と闇の女王が居る世界が、一度完全に闇に覆われた事が、少なからず影響を与えた事を知らせた。向こうの世界に居るプリキュア達が力を結集させ、再び闇から解放されたものの、負の力の強大なエネルギーは、こちらの世界にも影響を与えてしまい、その結果パワーバランスは崩壊し、この世界は壊滅的危機に陥るだろうと・・・

 

 光の女王は、三人の女神並びに、こちらの世界のプリキュアの力を結集し、闇を晴らして欲しい事をラミアに伝えていた・・・

 

「そしてこれが、私が光の女王と闇の女王から授けられた力・・・デュアルレインボーシャワー!!」

 

 ハート形のブローチを胸に付けたラミアが、右手を高々と掲げると、ハート形のブローチが輝き、上空に照射された光が、虹色のシャワーとなってラミアの身体を包み込んでいった。ラミアのピンク色の髪がツインテールになっていく、身体を光のミニドレスが包み込み、縁(ふち)に浮かぶ黒きラインが存在感を際立たせる。背中には白い天使の翼を生やし、黒いブーツと黒きストッキングがラミアの色気を際立たせた。変身を終えたラミアが目を開くと、

 

「光と闇の使者・キュアメシア!・・・降臨!!」

 

 剣を握ったまま、まるで誰かに祈るように胸の前で両手を組みポーズを決めた!新たなる戦士、キュアメシアの出現に一同は驚愕した。

 

「それが・・・光と闇の戦士か?」

 

「はい、本来存在してはいけないプリキュア・・・キュアメシアは、破壊と再生をも担わなければならない!今のオロチに支配された地球が、他の時空に悪影響を与えるのならば・・・私は、この星を無に帰す!!」

 

 凜とした表情を浮かべながらも、メシアの驚愕する言葉を聞き、羅蛇も、スワンとクロウも、スアロ、カァクも、その発言に驚きを隠しきれなかった・・・

 

「この星を無に返すだと!?・・・だが、この状況ならばそれも止むを得ぬか・・・」

 

「羅蛇、そんな・・・まだ、天女達も、女神様達も完全に負けた訳では・・・」

 

 羅蛇の言葉に、慌ててスワンが、まだ完全に望みが絶たれた訳では無い事を必死に伝える。羅蛇は頷き、スワン、そして、クロウの肩に手を置き頷くと、

 

「ああ、そうだな・・・地上では俺達の娘が、女神や戦士達が戦っている!俺も、自分の出来る事をしよう・・・行こう、地上へ!!」

 

 羅蛇の言葉に頷く二人は、羅蛇に肩を貸し、共に地上へと向かうと、二人の妖精、スアロ、カァクもその後を追った・・・

 

(羅蛇様は・・・自らを犠牲にし、オロチと・・・私も・・・この世界が好き!滅ぼしたく・・・無い!!この世界を、みんなと一緒に・・・救いたい!!)

 

 羅蛇の後ろ姿を見つめたメシアには、羅蛇の心が読み取れ涙を流した。メシアはキッと表情を引き締めると、プリキュア達と共に戦いこの世界を守る事を心の中で誓った・・・

 

 

 地球と同化を果たしたオロチの前に女神達は力を封じられ、その女神目掛け魔の群れが襲いかかるのを、三人のプリキュアが必死に守り続けて居た。

 

「あ、あんた達、あたし達の事はいい・・・お逃げ!」

 

「いいえ・・・ディオーネ様が、ガイア様が、ティティス様が居られなければ、私達三人は、魔の群れに何をされていたか・・・今度は私達がお三方をお守り致します!!」

 

 逃げろというディオーネの言葉に、フェニックスは三人を守ると誓うと、アース、オーシャンも頷き、フェニックスはファイアーソードを、アースはサンダースピアを、オーシャンはアイスアロウを手に持ち、近寄る魔に攻撃を放ち続けた。

 

「調子に乗るなよ!小娘共!!」

 

 不気味な声が響き渡ると、強風が、雷が、自然の猛威がプリキュア達に降り注ぐ、周囲にいる魔も巻き込まれ、辺りに悲鳴が響き渡る。オロチは巨大な竜巻を発生させ、一同を飲み込むと、一同はその凄まじき強さに翻弄され、地上へと叩き付けられた。

 

 オロチが繰り出す自然の猛威の前に、一同は弄ばれるようにダメージを受け苦痛に歪むと、地上に居た魔の群れが群がってくる。ウロボロスと妖精達が駆けつけ援護するも、魔の群れと、自然の猛威の前に翻弄され、ダメージを受けその場に倒れ込む。

 

「クッ・・・このままじゃ」

 

 フェニックスに焦りが生まれる。

 

 だが・・・

 

 

「羽ばたけ翼よ!プリキュア!トルネードウイング」

 

 スワンの翼が羽ばたくと、前方に風が生じ、その風を両手で円を描くように回転させると、風は竜巻を起こし、魔の群れを飲み込んでいく。

 

「闇に舞え!プリキュア・シャドウウイング!!」

 

 クロウの瞳が金色に輝くと、クロウは黒き翼を纏い、魔の群れに突進し薙ぎ倒していく。

 

「お母様!お姉様!それに、お父様まで・・・」

 

「天女、私達も戦うわ!邪神相手では役には立たないかも知れない・・・」

 

「私も、お母様もプリキュアとして・・・あなた達と共に!!」

 

 スワン、クロウも加わり、五人のプリキュアが女神に群がろうとする魔を駆逐していく。

 

「全く・・・天音ちゃんや天満ちゃんまで来るとは・・・どうなっても知らないよ!」

 

 そうは言いながらも、ディオーネの口元が微かに笑む、

 

「貴様ら・・・道を空けろ!!」

 

 周囲の魔に凄まじい気をぶつけ怯えさせると、羅蛇がゆっくり一同に近づいて来る。羅蛇は二人の娘、天満と天女の顔をジっと見つめると、二人を抱きしめる。

 

「お前達には・・・父親らしい事を何一つしてやれなかったな・・・天満、天女、天音や辰馬殿を頼むぞ!天音、お前にも苦労を掛けた・・・束の間だったが、再びお前と暮らせた事は・・・心から嬉しかったぞ!天満、天女を頼む!!」

 

 そう言うと、羅蛇はその場を離れる。スワン、クロウ、そして、フェニックス、三人が羅蛇の様子が変な事に戸惑う、

 

「お父様・・・一体何を!?」

 

 フェニックスの言葉に、振り向いた羅蛇が微かに微笑んだ・・・

 

 羅蛇の側に、三つの小さな黒い球体が飛翔してくると、羅蛇はその球体を微笑みながら手の上に乗せた。

 

「アナコンダ、コブラ、ウワバミ、そうか・・・お前達も俺に力を貸してくれるのか・・・感謝する!さあ、帰ろう・・・俺達が生まれた場所に!!」

 

 羅蛇が地面に手を置き、念を込めると、羅蛇の身体が段々半透明体になっていった・・・

 

「お父様、何を・・・お父様ぁぁ!!」

 

「羅蛇!?馬鹿・・・これじゃ私は、また見ている事しか出来ない・・・」

 

 フェニックス、クロウ、そして、スワンの三人は、消えようとしている羅蛇の姿を沈痛な表情で見つめていた。

 

「羅蛇様は・・・オロチ様と再び一つになろうとしているの!オロチ様の動きを止め、三人の女神を今一度動けるようにする唯一の方法をね」

 

 現われたメシアが、柳生家三人の疑問に答える。突然現われたメシアを見た、アース、オーシャンの顔は驚愕し、涙を流し喜びメシアの下に駆け寄った。

 

「ラミア!あんた・・・良かった、良かったよぉぉ!!」

 

「ラミアさん・・・でも、その姿は!?」

 

「今の私は・・・光と闇の使者・キュアメシア!」

 

 ラミアが再び生を受けた事に喜ぶアースとオーシャンだったが、ラミアの姿に戸惑う、キュアメシアと名乗るメシアに、三人の女神達も驚きを隠せなかった。

 

「ラミア・・・あんた、その力をどうやって?」

 

「あたし達は、確かにあんたを認めては居るが・・・」

 

「私達も知らないその力・・・一体どうやって?」

 

 ディオーネが、ガイアが、ティティスが、自分達の知らないプリキュアとして現われたメシアに問いただすと、

 

「無理もありません!この力は・・・あなた方をお作りになった光の女王、そして、闇の女王から授かりました!この世界に闇の影響を与えてしまった代償として・・・」

 

「あんた、お会いしたのかい?あたし達ですら・・・それに、この世界に闇の影響を与えたっていうのは・・・何だい?」

 

「いえ、お声を聞いただけです・・・全ての無のはじまりであるカオスに、光の女王達の居る世界は飲み込まれたそうです。その世界のプリキュア達の活躍で、カオスは再び眠りに付いたそうですが、その影響はさまざまな場所に起こり、目覚めた闇の女王は、歪みを修整する為に、様々な時空に赴いているそうです。私達の居るこの世界もその影響下にある一つ!」

 

「フ~ン・・・それでオロチが力を付けたという事か・・・」

 

 メシアと、三人の女神達の会話に付いていけない他のプリキュア達は、皆何の事か理解出来ず目を点にしていた。

 

「女神達よ、これが俺に出来る唯一の償い、アナコンダ、コブラ、ウワバミも、俺に力を貸してくれた・・・だが、オロチの動きを止められるのは、五分が限界だろう!それまでに・・・決着を付けてくれ!!」

 

「羅蛇殿!それならば、それがしも・・・」

 

「いやウロボロスよ、お前は元々俺達とは違い、天満や天女と同じように、オロチ八人衆と人が混じり合い生まれた人間・・・お前は再び人として生きるが良い!出来るならば、俺の代わりに娘達を・・・頼む!!」

 

 ウロボロスの目には、羅蛇の側でこちらを見るアナコンダ、コブラ、ウワバミの姿が見えていた。ウロボロスの目から大粒の涙が零れ続けた。

 

「「お父様!」」

 

「羅蛇・・・」

 

「さらばだ!愛する者達よ・・・お前達なら、世界は必ず救えるぞ!!!」

 

 スワン、クロウ、フェニックスの泣き声が響く中、羅蛇はその姿を消滅させた。

 

 大地が震えた瞬間、羅蛇の言葉通り、オロチの思考が停止した・・・

 

 

 オロチの力が止まった事で、女神達に再び力が沸き上がる。三人の女神達は頷き合い、涙に暮れる三人の天空のプリキュア達を見ると、

 

「泣くのは後にしな、羅蛇達が作ってくれたこの好機、逃すんじゃないよ!!」

 

「涙を拭いな!あたしと姉様、ティティスで、この地球にデルタトライアングルを仕掛ける!」

 

「決着をあなた達プリキュアに託します!キュアメシア、その聖なる剣にプリキュアの力を結集させ、オロチを・・・」

 

「「「オロチを倒して!!!」」」

 

 オロチの支配から逃れた三人の女神、ディオーネが、ガイアが、ティティスが、一同に檄を飛ばし、三人の女神が姿を消すと全ての力を解放し、地球さえも見下す巨大さになると、地球と一体化したオロチに対し、デルタトライアングルを繰り出した。

 

 地球は三重のトライアングルに包まれた・・・

 

 

2、決着の刻

 

 三人の女神が繰り出したデルタトライアングルは、プリキュア達とは比べものにならない程の威力を持っていた。オロチの巨大な八つの光の首が、デルタトライアングルによって圧縮され、地球の内部へと押し込まれていった・・・

 

「女神達がオロチを抑えてくれている。私達も急ぎましょう・・・」

 

 メシアの言葉に頷く一同であったが、オロチの危機を本能で知ってか、魔の集団が身を挺してプリキュア達に襲いかかり時間を稼ぐ、魔の群れを薙ぎ払っていくプリキュア達だったが、オロチが再び動き出し、その首の一つがプリキュア達へと迫ってくる。

 

「オロチ・・・デルタトライアングルを食らいながらまだ動けるとは・・・」

 

「姉様、不味いよ・・・」

 

 再び活動を始めたオロチに、ディオーネが、ガイアが顔を顰(しか)めるも、

 

「お姉様方・・・信じましょう、彼女達を・・・プリキュア達を・・・私達はデルタトライアングルで、出来る限りオロチの力を抑えましょう!!」

 

 ティティスが姉達に笑み、プリキュアを信じようと話し掛けると、ディオーネ、ガイアも頷き、女神達は一層力を込めた・・・

 

「小娘共!女神の前に、貴様らから葬ってやる!!」

 

 力を抑えられたオロチが、自らプリキュア達へと攻撃を仕掛ける。

 

 大きく口を開けたオロチの首の一つから、稲光を纏った強力なエネルギー波が繰り出される。

 

 スサノオウの剣を地面に突き刺したメシアは、険しい表情になり両手を真横に広げると、

 

「みんなに・・・手出しはさせない!輝け!光と闇の守りの力・・・プリキュア!フローレス・ディフェンス!!」

 

 メシアの右手に光が、左手に闇の力が集まってくる。闇のバリアーが外側に、光のバリアーが内側に張られ、プリキュア達と妖精達、ウロボロスを庇い続ける。オロチの強大な攻撃さえも完全に防ぎきるメシアの力に、一同を驚愕した。

 

「プリキュアとはいえ、人間風情が我の攻撃を防ぐだと!?」

 

 オロチも、メシアのこの力は予期せぬ出来事だった・・・

 

 オロチに微かに動揺が走る。だが、仮にも神を名乗るオロチの攻撃を防ぎ続けるのは、いかにメシアといえど苦痛だった・・・

 

 メシアの身を心配する一同、フェニックスは、このままでは何時かメシアの力が尽きるのではと不安がり、

 

「メ、メシア!だ、駄目よ、あなたしかこの剣を扱える者は居ないのよ?」

 

 フェニックスの言葉に、ゆっくり頭を振ったメシアは、フェニックス、アース、オーシャンを見て微笑み、

 

「あなた達は、三人の女神の力を得たようだわ!キュアフェニックス・・・今のあなたなら、スサノオウの剣を扱える!私がオロチ様を抑える間に・・・プリキュアの力で決着を!!」

 

「そうはさせんぞ!!」

 

 メシアの言葉を聞き、顔色を変えたオロチの首が、四方八方から現われる。オロチの八つの首がプリキュア達を包囲する。

 

 最早一刻の猶予も無かった・・・

 

「例えこの身が朽ちるとも・・・みんなは守ってみせる!!」

 

 オロチの八つの首が同時に咆哮し、強烈な連続攻撃をバリアーに浴びせ続ける。その強大な力を受け、思わずメシアは血を吐き出す、それを見たフェニックスが覚悟を決めると、

 

(私に力があるのなら・・・)

 

「聖なる剣よ、私達に力を貸してぇぇ!!」

 

 フェニックスが剣を抜き上空に構えた時、剣が光を放つ、

 

「アース、オーシャン、お母様、お姉様・・・プリキュアの力の全てをこの一撃に貸して!!」

 

「フェニックス、あたしの力を!」

 

「私の力を!」

 

「天女・・・お父様の、メシアの行為を無駄にさせぬ為にも・・・」

 

「プリキュアの力の全てを聖なる剣に授ける!!」

 

「僕達の力も使うピピ!」

 

 アースが、オーシャンが、クロウが、スワンが、そして五人の妖精達が、力を解放する。

 

「「「「「ハァァァァァ!!!!!」」」」」

 

 五人のプリキュアの力が、妖精達の力が、聖剣スサノオウの剣に吸収されていくと、光の剣は凄まじい速さで天に伸び、女神達の下までその光は見えていた。

 

「これは・・・あの時、スサノオウが放った一撃!?」

 

「いえ、あの時以上ですわ!!」

 

「あの娘達・・・プリキュアの力だけでなく、自らの命までこの一撃に賭けたっていうのかい・・・」

 

 ガイアが、ティティスが、ディオーネが、聖なる光の剣に驚愕する。

 

「ウゥゥオオ!止めろぉぉ!!そのままでは、お前達とて無事では済まぬぞぉぉ!!!」

 

 オロチの八つの首が激しく動揺する・・・

 

 嘗てスサノオウによって、肉体と精神を分離され、封印された時の事を思い出す。キュアフェニックスは、何かを悟ったようにオロチを見て微笑むと、

 

「オロチ・・・私とお姉様の中には、あなたの血が流れている!今ならあなたの心が私にも分かる・・・あなたは邪神何かじゃない!あなたも、三人の女神様達同様、この星が好きなのね・・・あなたがその気になれば、地球はとうに滅んでいたでしょう!でも、あなたはそれをしなかった・・・」

 

「何だと!?我の心の内が分かるだと?・・・そうか、貴様ら、羅蛇の・・・ならば何故我に逆らう!?魔の血を引きし者よ、今からでも遅くはない、我に従え!!」

 

 フェニックスとクロウが、羅蛇の血を引きし者だと知り、二人に魔の力に従えと言うオロチに、フェニックスも、クロウも悲しげな視線を向けると、

 

「オロチ、私は嘗て、父に付き従いオロチ八人衆と行動を共にした。あなたが、人間を憎む気持ちも分からぬ話では無い・・・嘗て人々は、あなたを神と敬い、国の繁栄を願った。あなたはその願いを聞き入れ、人々に知恵と富を授けた。人々はそれに感謝し、供え物をあなたに捧げた・・・だが、人には欲深し心があった!我こそはと富を得る為に競い合った人々は、遂には己が娘までも人身御供として差し出した。あなたは、娘達を哀れみ、結ばれる中で、魔と呼ばれる異形の者が生まれた。人々は、異形の者を恐れ、あなたを邪神と呼び、忌み恐れるようになった・・・」

 

 クロウの言葉を聞くオロチの動きが止まる・・・

 

 嘗ての出来事を思い出したのか、低く呻き出す。

 

「そうだ!人間は己の欲望の為、我を欺き、魔の者共を迫害するようになった。我は魔の者を次元の狭間に匿い、身の程知らぬ人間共に罰を与える為、邪神八岐大蛇と名乗り、この世界を粛正した。我の心が分かるなら・・・羅蛇の娘達よ、我に従え!人の世界は滅びた!!共に魔の世界を!!!」

 

 フェニックスとクロウ、共に頭を振ると、

 

「いいえ、人の世界は・・・まだ滅びた訳では無いわ!あなたが人を憎む心も、分かる気はする・・・でも、全ての人があなたの考える人では無いわ!あなたは、そんな人々さえ葬った・・・あなたが永きに渡ってしてきた行ないを、許す訳には行かない。光と闇の使者・プリキュア!この一撃で、邪神としてのあなたを葬ります・・・」

 

 フェニックスの言葉を合図にしたように、

 

「「天空の力よ」」

 

 スワン、クロウが・・・

 

「大地の力よ」

 

 アースが・・・

 

「海洋の力よ」

 

 オーシャンが・・・

 

「光と闇の力よ」

 

 メシアが・・・

 

 そして・・・

 

「プリキュアの力を一つに合わせ!!プリキュア!シャイニング・ソード・・・ソウル!!」

 

 フェニックスが巨大な光の聖剣を振り下ろすと、地球に光の亀裂が走り、そして、光輝いた・・・

 

 オロチは、振り下ろされる光の剣の背後に、スサノオウの幻影を見た・・・

 

 

 地球は無の静寂に包まれていた・・・

 

 魔の集団の声も、不気味なオロチの声も今はもう聞こえない・・・

 

 地上に降り立った三人の女神、ディオーネ、ガイア、ティティスは、力を解放して使い果たし、今は人間と同じ大きさになっていた。その女神達の目の前には、全ての力を使い果たした六人の女性達が、一糸纏わぬ姿で横たわっていた・・・

 

 五人のシャイニークリスタルは砕け散り、欠片が辺りに散らばっていた。ラミアのハート形のブローチも消え去り、一同は、柳生天音、柳生天満、柳生天女、大地かなめ、海堂なみ、ラミアの姿のまま、穏やかな表情で眠っているように横たわっていた。その側には、五人の妖精が互いのパートナーの側で泣きじゃくる。

 

 聖剣スサノオウの剣は、剣先の輝きが失せ、柄だけがその場に横たわる。だが、その側には、黒い長髪をした男の光のシルエットが佇んでいた。プリキュアの力が、剣の中で眠りに付いていたスサノオウの魂を目覚めさせた!!

 

 三人の女神、そして、スサノオウの視線が六人の女性達に注がれる。

 

「馬鹿な娘達だよ・・・自分の命まで賭ける何て・・・」

 

「天空、大地、海洋は、あたし達の力である程度は元の状態には出来るけど・・・」

 

「私達の力では、彼女達を生き返らせる事は・・・出来ない!!」

 

 三人の女神達は頭を垂れた・・・

 

「女神達よ、済まぬ・・・今の俺にも彼女達を救う手立ては無い・・・だが、姉上達ならば!!」

 

「スサノオウ!それは本当かい?」

 

 ディオーネにスサノオウが頷く、スサノオウは六人の女性達を眺め、

 

「彼女達が居なければ、この世界は滅んでいた・・・俺も、彼女達を救いたい!!」

 

 スサノオウのシルエットが、聖剣の前にしゃがみ込み念を込めると、辺り一帯に神々しい声が聞こえてくる。

 

「三人の女神、ディオーネ、ガイア、ティティス・・・そして、スサノオウ!あなた方の思いを継ぎし、プリキュア達がこの世界を救ってくれたのですね・・・闇の女王の分も、私からお礼申し上げます!!」

 

「いえ、全てはこの娘達のお陰・・・光の女王よ!我らの願いを聞いて欲しい!私達はこの娘達を・・・死なせたくない!!」

 

「あたし達の命を、代わりに差し出しても構わない!」

 

「私達三人の女神の願い・・・」

 

「「「叶えたまえ!!!」」」

 

「姉上!俺からも頼む!!」

 

 三人の女神達が、スサノオウが、光の女王に六人の女性達を生き返らせて欲しいと必死に頼み込む。

 

 だが・・・

 

「三人の女神よ、スサノオウよ、その願いは聞けません!!」

 

「!!?」

 

 一同に動揺が走りざわめく中、光の女王が言葉を続けた。

 

「私は、時空を超えそちらに行く事は出来ない・・・まだ、わたしの居る世界も、完全には安定しては居ない・・・私がそちらの世界に行けば、数百年は戻って来れなくなる。それは避けねばなりません・・・ですが、安心しなさい!あなた方と同じ考えを持つ者が、そちらの世界にも居るではないですか!!」

 

 光の女王の言葉に、一同は考え込んだ。自分達と同じように、彼女達を生き返らせたいと思う者が居るとは、誰の事なのか・・・

 

 その時、ズルズルっと不気味に何かが這う音が、女神達と妖精達に聞こえて来る。

 

 音は見る見る大きくなり、ディオーネが、ガイアが、ティティスが、スサノオウが、そして妖精達が、驚愕の表情を浮かべ呆然とする。

 

 オロチは生きていた!

 

 数メートルの大きさまで大幅に縮小しては居るが、オロチは確かに生きていた。

 

「何だと!?」

 

「オロチ・・・あれ程の攻撃を受けながら・・・」

 

「彼女達の亡骸には・・・手出しさせない!」

 

 スサノオウが驚愕し、ディオーネが、ガイアが、自分達にももうほとんど力は残っていなかったが、オロチを鋭い視線で睨み付けるも、

 

「待って、お姉様方!スサノオウ!オロチは・・・妖精達よ、オロチに道を譲りこちらに!」

 

 ティティスに止められたディオーネとガイア、道を空けるように言われた妖精達が、訝かりながらも言われた通りにすると、オロチはズルズルプリキュア達の側に近寄ると、八つの首が、横たわる六人を交互に見つめていく。

 

「こんな小娘共に、我が敗れるとはなぁ・・・キュアフェニックスと言ったか?奴の言葉通り、我の女神達や、人間共への憎しみの心だけを消し去るとは・・・」

 

 オロチの八つの首の内、六つが消え失せると、光のシルエットとなって六人の人物が浮かび上がる。羅蛇、アナコンダ、コブラ、ウワバミ、何処か自分に似た人物を見たウロボロスは、

 

「馬鹿な・・・あなたは、親父殿か!?」

 

 短髪ながら赤い髪をした大男が、ウロボロスを見て笑む、嘗てキュアスワンと戦い散った先代のウロボロスである。そして、ラミアの前に佇む人物を見て、ティティが驚きの声を上げた。

 

「あれは・・・魔蛇月!何で奴まで居るティティ?」

 

 天音の前に羅蛇が・・・

 

 天満の前にウロボロスの父が・・・

 

 天女の前にウワバミが・・・

 

 かなめの前にコブラが・・・

 

 なみの前にアナコンダが・・・

 

 そして、ラミアの前に魔蛇月が立つと、皆穏やかな視線を横たわる六人の女性達に向けた。呆然としながらその行為を見守り続ける三人の女神と妖精達だった。

 

 双蛇となったオロチが、横たわる女性達を見ると、

 

「小娘共よ、お前達の命懸けの思いが、我にも伝わった・・・お前達に免じ、今一度だけこの世界を人間共に預けよう・・・女神共、並びにスサノオウよ、嘗て神と呼ばれた我の心を取り戻させし、この娘達に、我の六つの命を捧げよう!!」

 

 六人がしゃがみ込み、天女達に触れると、光と共に一同は彼女達に溶け込み消えた。それと合わせるように、ドクンドクンと、彼女達六人の鼓動が動き始める。目覚めた彼女達は、一瞬何事が起きたのか理解出来ぬようだったが、飛びついて喜ぶそれぞれのパートナー妖精、三人の女神達を見ると、嬉しそうに微笑んだ・・・

 

「まさか、オロチに命を救われる何てね・・・」

 

「そういえば、アナコンダさんが私に何か話していたような気がしますわ」

 

「私にも聞こえたわ」

 

 かなめ、なみ、天女が見つめ合い語る。不意に泣き声が聞こえだし、そちらを向いた三人の視線の先には、顔を押さえ泣きじゃくるラミアの姿があった。

 

「魔蛇月様が・・・私を娘と・・・言ってくれた・・・」

 

 ラミアが嬉し泣きする姿に、三人の少女達も近づき、肩に手を置いて微笑み掛けた。

 

(ウロボロスを頼むって・・・べ、別に私達、付き合ってる訳でも無いのに・・・)

 

 チラチラっと、ウロボロスの顔を見て頬を染める天満だった。

 

(羅蛇・・・ありがとう!あなたに、オロチに貰った命・・・無駄にはしない!!)

 

 天音はそう心の中で思うと、そっと自分のお腹を優しく撫でた・・・

 

「女神達、スサノオウ、並びにプリキュア共よ!今一度この世界を貴様らに返そう・・・もう一度だけ、人の心とやらを信じよう・・・だが、忘れるな!人がこの世界を汚し時、我は再び降臨し、この世界を我ら魔の世界へと変える!!」

 

 二つ首となった双蛇のオロチは、その言葉を残し、次元の狭間へとその姿を消していった。

 

 その姿を見届けた一同の心は複雑であった・・・

 

 

「フッ、まさかオロチが彼女達を救うとはな・・・姉上はこの事をおっしゃっておられたのか?だが、その姿のままではお前達も恥ずかしいだろう?」

 

 少し意地悪そうな笑みを浮かべながら、スサノオウは六人の女性達に話し掛ける。女性達は、自分達が裸で居る事に羞恥心がわき起こる。その姿を見て、笑うスサノオウから、彼女達に女神達と同じ光の衣装が授けられた。スサノオウは彼女達にウインクすると、

 

「プリキュア達よ、見事だった!私は再び剣と共に眠りにつこう・・・一同の者、さらばだ!!」

 

 スサノオウのシルエットは、聖剣に吸収されるように消えていった・・・

 

 

 プリキュア達の戦いはこうして幕を下ろした・・・

 

 だがこの戦いの代償は、全世界に対し、嘗て無い未曾有の災禍をもたらした・・・

 

 死者、数億人という、前代未聞の大災禍となった・・・

 

 結果だけを見れば、これは女神達とプリキュア達の敗北とも取れるだろう・・・

 

 だが、この大災禍は人の心を強く、清く輝かせると信じる・・・

 

 

 女神達は、関係者以外の生き延びた人々の記憶から、八岐大蛇率いる魔の軍勢の記憶を消し、世界は前代未聞の大災害を受け、壊滅的被害を受けたと刷り込ませる。この配慮は、魔から人へと戻れた者への配慮でもあった。

 

 世界は、復興への第一歩を歩み出した・・・

 

 

                   エピローグ

 

 邪神八岐大蛇との決戦から七ヶ月が過ぎた・・・

 

 季節は三月・・・

 

 この日、柳生天女は武道学園中等部を卒業した・・・

 

 

「天音ちゃんのお腹も、大分大きくなったわねぇ・・・その分じゃ、双子だったりするかも!?」

 

「そうかしら?でも、無事に生まれてきてくれれば、それで良いわ・・・最近よくお腹の中で蹴飛ばしているようで、天満も天女も嬉しそうにお腹を触ってるわ」

 

 卒業式から戻り、美里が本日貸し切りの張り紙を餡庵の入り口に張り、準備を始めながら、お腹の大きい天音との会話を楽しんでいた。天満とウロボロスも餡庵を手伝い、主役の天女と総司の帰りを待ちわびて居た。

 

 天満は戦いの後、武道学園高等部二年に編入され、10年ぶりの学生生活を送っていた。一方ウロボロスは、人間世界での名、鬼塚剣人に戻り、柳生家に住み込み、辰馬の下で修行の日々を送る。

 

 天満と剣人、二人の間にほのかな恋心が湧いていた・・・

 

「早く天女達帰ってこないかな・・・久しぶりだから早く会いたいピピ」

 

 ピッピ、カァク、スアロ、チュッチ、ティティ達は、自分達の住む神殿へと戻っていたが、今回、天女の卒業祝いという事で、久しぶりに四人は文武町に来ていた。スアロは正式に天空の長老となり、天空の神殿の復興にあたっていて、今回来る事が出来なかった。

 

「いやぁ、宴会はまだ始まらないの?」

 

「あたし達、もうお腹ペコペコ何だけど?」

 

「お姉様達・・・少しは女神として自覚を・・・私、恥ずかしいですわ」

 

 力を使い果たした三人の女神、ディオーネ、ガイア、ティティスの三人は、力が回復するまでの間、柳生家で居候していた。女神を居候させる事を申し訳なく思っていた天音、天満、天女だったが、彼女達はこの世界を気に入り、すっかり満喫して過ごしていた。

 

「早いもんだねぇ・・・あれからもう七ヶ月か」

 

「そうですね・・・」

 

 ディオーネの言葉に頷いた天音だったが、ディオーネは意地悪そうな視線を天音に浴びせながら、

 

「ん!?あたしが言ったのは、天音ちゃんが羅蛇の子供を仕込んでから七ヶ月かって意味だけど?あんた達、燃え上がったようだしね・・・」

 

「ディ・・・ディオーネ様!!」

 

 ディオーネにからかわれた天音が、思わず顔を赤らめた。ガイア、ティティスも愉快そうにそんな二人を眺める。真顔になった二人もこの七ヶ月を振り返ると、

 

「あれから、七ヶ月か・・・人の力は、我々が感心する程の事をするものだな」

 

「ええ、人の力は繋がりを持ち・・・この世界を急速に復興させました!人は我らに頼らず、再び自分の力で歩み出したんですわ」

 

「そうだね・・・天音ちゃん、天満ちゃん、あんた達が守り通したこの世界は、価値があったって事だね・・・」

 

 オロチの呪縛から解放されたこの世界を、三人の女神達は干渉するのを止め、見届ける事にしようと考えていた。もう人々は、自分の力で歩み出したのだからと・・・

 

 

 そして、あの四人は・・・

 

「総司・・・話って何!?」

 

「お、おう・・・」

 

 卒業式後、天女は総司に呼び出され、学校の屋上に居た・・・

 

 総司は、以前天女達と海に行った時、天女に告白しようと心に誓ったものの、今だにそれを実現できず、今度こそはと天女を屋上に呼び出したが、どう話し出そうかと思案していた・・・

 

「ダァァ!もう、焦れったいなぁ・・・」

 

「かなめ、前にも言ったけど、覗き見は駄目だよ!」

 

「そう言うなみも・・・身を乗り出してるけど?」

 

「エへ!」

 

 屋上に上がった天女と総司を、かなめとなみはこっそり後を付け、二人から見えない位置に陣取り、二人を覗き見て居た。

 

「かなめ、なみ、二人共こんな所で何してるの?」

 

 そう言って現われたのはラミア・・・

 

 ラミアはあの戦いの後、柳生家に引き取られ、天女、天満と三姉妹のように過ごしていた・・・

 

 かなめとなみは、ラミアにシィとジェスチャーすると、ラミアは不思議そうに小首を傾げ、二人が天女と総司を見ている事に気付き、

 

「あれぇ!?天女姉さんだわ・・・天女姉さぁぁん!!」

 

 手を振りながら天女に近付いたラミアを、慌てて止めようとしたかなめとなみだったが、二人の姿も天女と総司に発見されてしまう。

 

「ラミア!かなめちゃんとなみちゃんも、どうしたの?」

 

「チッ・・・天女!悪ぃ、話はまた今度な!」

 

 バツが悪そうに、逃げるように立ち去る総司、それを見たかなめとなみは、

 

「松田先輩・・・格好悪ぅぅい!!」

 

「先輩、ファイトですよ!!」

 

「・・・・・・・」

 

 二人にからかわれている総司を見た天女は、思わずクスリとするも、その背後に向かい、

 

「総司!!」

 

「ン!?」

 

「責任・・・取ってよね?」

 

「エッ!?」

 

「「ヒュゥヒュゥ」」

 

「大地!海堂!バ、バカ、からかうんじゃねぇよ!天女、ラミア、先に餡庵に行ってるぞ!!」

 

 天女も自分に脈があると気付いた総司は、顔を真っ赤にしながらその場を去った。

 

 かなめとなみは、改めて天女の前で頭を下げると、

 

「天女さん、卒業おめでとうございます!」

 

「中等部でお会い出来なくなるのは残念ですが、高等部に行っても頑張って下さい!!」

 

「かなめ、なみ、別に天女姉さんと会えなくなる訳じゃないのに・・・変な挨拶?」

 

「ラミア・・・これは気持ちの問題なの!」

 

「そうそう」

 

 三人のやり取りを微笑ましく見ていた天女だったが、

 

「三人共、ありがとう!!あれから、七ヶ月か・・・プリキュアとして過ごした日々は短いけれど、私達は、あの時の誓いを、後世の人々にも伝えていかなければ・・・オロチは、私達にこの世界を託したんだから!!」

 

 武道学園を出て餡庵に向かう天女、かなめ、なみ、ラミアの四人は、この七ヶ月間の事を振り返る。

 

 オロチが託したこの世界を、再び魔に汚させないように・・・

 

 未曾有の大災害で、培った人の心の温かさを忘れぬように・・・

 

 

 こうして、少女達のプリキュアとしての物語は終わりを告げた・・・

 

               トライアングルプリキュア!

                    完結

 




 トライアングルプリキュア!如何だったでしょうか?
 この作品を書いたのは、2011年・・・東日本大震災の年でした!
 大災禍から人々は立ち直るだろうとこのようなラストにしたものでした・・・

 Pixivで投稿した時(現在は消去済み)は、終盤駆け足になってしまったので、今回再投稿に辺り、カットしたシーンも加えました。

 読んで下さった方々、お気に入りにしてくれた方々、ありがとうございました!!
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