「駆逐艦島風です」
天龍は知らないが、大体の島風型はこのあとに島風自身の性能について言及し始める。が、この島風は違った。
「着任を許可するぜ。とりあえず一人部屋でいいよな?」
「はい、助かります」
島風としては口数は少なく、声に籠る感情も平坦さが強い。
「いちおう、話は聞いてる。一人でどうにもならなくなったら、オレのとこ来い」
懐疑をはらんだ視線が刺さる。少し早すぎたか?と天龍は思うが、
「あー、気持ちは分からんでもないが、一応ここ、お前以外はみんな女だ。あと、襲うのも困るが襲われる可能性もゼロじゃないから、ともかくなんかあったらオレか憲兵やってるあきつ丸に言え」
「え、襲われる?」
「お前自分が駆逐艦級だって理解してるか?艤装のありなしとか条件色々あるけどな、パワー面ではオレでも押さえ込めるんだぞ。まして、空母・戦艦級がここにはいる」
途端に青い顔になる島風に、
「まあいきなりそういうことはしないとは思うが・・・なんだかんだで男なんぞ見たくもないって奴いるにはいるしな」
「いじめられる?」
「だからそういうことあったらオレかあきつ丸に言えって。そいつとっちめるから」
「・・・」
「前のとこみたいに強制的に相手させられるとかないから、その点については安心しろってことだ。あと、お前の艤装もちゃんと届いてるからな、この後工廠行って確認しろよ」
そう告げながら手元のインターホンで工廠に繋ぐ。
『はい、第一工廠、明石です』
「天龍だ。島風が着任したところだが、艤装の方は大丈夫か?」
『チェック上は問題なし、あとは実働テストだけですよ』
「ふむ。んで、島風をお前のとこ行かせて大丈夫か?」
『・・・我慢します』
「見た感じ、言われなきゃ分からねえレベルだけどな」
下半身の衣装の組み合わせが、スカート+スパッツになっているくらいである。受話器は沈黙したままだが。
「…オレも付き添う、それでいいか?」
『…はい』
受話器を置いて天龍は少しため息をつくと、席を立つ。
「悪いな、オレも行くことになった」
直立したまま動かない島風に、手で付いてくるよう促す。暑さで開放状態の扉から踏み出したところでいきなり背から抱きつかれて、天龍は思考が停止した。
「・・・あの、次は如何しますか」
あ、これ相当やばい奴だ、と天龍は思考を再開した。一部のジェスチャーでベッドの上のお作法で動き始めるとか、付き添いの龍田が逃げるように帰ったのも頷ける。
「すまん、今のは付いてこいって意味だ」
だから放してくれ、と言うと島風は素直に離れる。先を歩いて工廠まで案内する旨を伝えると、彼は素直に付いてきた。本棟を出た辺りでも無言なままで、間をもたせるつもりで彼女は口を開く。
「島風って陸(おか)でも速いって聞いたんだが、それなら逃げるのは何とかなりそうじゃね?」
「・・・試したことないので」
想像以上に地雷である。演習にさえ出た記録がない、つまり能力テストさえしたことがないのか、と天龍は思った。
「ま、まあ、これから試していきゃいいんじゃね?」
適当な言葉で誤魔化して、未整備の地面を歩く。程なく工廠の、開放状態の大型搬入口につく。ちょうど明石が上げたシャッターにさらに金属製のつっかい棒をしているところだった。
「よう」
「・・・こんにちわ」
「あ、ども」
振り向いた明石がまじまじと島風を見た。無遠慮な視線に、島風が天龍の背に隠れる。
「おい、怖がらせんなよ」
「あー、すみません。想像以上に島風ちゃんだったもので。必要以上に怖がってました」
「そうなのか?いまいち分からねえんだけどな」
「あと天龍さん、もう懐かれてません?」
あん、と自分の後ろに隠れた島風を見る。彼はブレザーの裾を指で摘まんでいた。
「見ててやるから、艤装の確認を早いとこ片付けようぜ」
「こちらです」
「なんだこりゃ?」
「なんです、これ」
水上走行靴、島風の背部艤装ユニット及び取り付け済みの四連装装甲魚雷発射管、水上電探、それに特徴的な「連装砲ちゃん」である。
「・・・あの、この子、専用艤装ですから、島風ちゃん、くん?は見て分かると思ったんですが」
「てっきりゆるキャラの類かと思ったぜ」
「長時間移動の際は抱えたり曳航したりするそうですが、戦闘時には島風ちゃんと同等の速度で移動・砲撃のできる優れものですよ、この子」
「水上用ビットでオールレンジ攻撃か、そいつはすげえな」
「ビット?」
「…そういやこっちにゃなかったか。母機と無人子機で戦闘単位を構成したうちの子機の呼称のひとつだ。まあ、架空の兵器の話だが」
「それ、面白そうですね」
「そいつはいいから早いとこチェックをしようぜ」
「はいはいただいまー」
装甲化されたハイヒールのような、水上装甲靴を島風に履くように指示すると、彼が履き終えてから、明石は武装済み艤装ユニットを抱え背後から島風に近付いた。少しおかしな笑みを浮かべた様子につい前に数歩、島風が逃げてしまい、明石が固まる。
「どうしましょう」
「島風、無理そうか?」
視線を数度、二人の間でさ迷わせると、彼は天龍の顔を見て口を開く。
「たのんで、いいですか」
オレ?と意外そうな表情で聞き返せば、島風が頷くので、天龍は装備を受けとると島風の背後に立つ。島風は少しだけ動きを止めると、右腕、左腕の順で肩部ハーネスに腕を通し、最後に左右に垂れていた腰部ハーネスのバックルを腹の前で留めた。なお、魚雷はまだ装填されていない。
「連装砲ちゃんを抱えたりしますから、電探は太ももにつけた方がいいですよ」
明石の言葉に、島風が振り返ってまた天龍を見る。仕方なく彼女は彼の左側に立て膝でしゃがむと、電探ユニットの取り付けを行った。
「次からは一人でもやれるようにしろよ。ぴちぴちの柔肌とか間近で見せられるのも、結構きついんだからな」
スパッツは太ももの中程までしかなく、縞々ソックスとスパッツの間の素肌がかえって艶かしい。また安全装置のかかった「彼」の大きな盛り上がりも、真横でしゃがめば丸見えである。言外に込めた指摘に、びくりと島風が震えたが、やはり彼は逃げる素振りを見せない。そんな様子を見ていた明石が不満そうに唸った。
「やっぱり懐かれてるじゃないですかー。先に手、出してません?」
「んな訳ねえだろ」
「あやしいですねえ。まあ、それは置いておいて、動作確認お願いしますねー」
明石の言葉で島風が背部、脚部の順で各装備のターレット部を回す。
「問題なさそうですね」
無造作に左を向いた発射管がカチンと音を響かせたため、天龍がやや強い語気で注意する。
「発射動作を味方に向けて行うな!」
「あっ」
指摘された島風がすぐに振り返ると、真っ青な顔でしゃがみ込み、彼女の脚に縋ると震えた声で謝る。
「ごめんなさい、すみません、もうしませんので、おゆるっ」
言葉の途中で天龍がしゃがむ島風の両方の上腕を掴むと、引き上げて立たせた。
「一応未装填、オレも不用意にお前の武装の可動範囲に立っていたしな、「申し訳ありませんでした」でいい。オレと軍部がお前に求めているのは、兵隊であることだ。命乞い手前で許しを乞うのは違うな。復唱!」
「・・・もうしわけ、ありませんでした」
「声が小さい、もう一度だ」
「申し訳ありませんでした!」
「よろしい。お前自身の状況を鑑みて、今日はここまでとする。お前の考えるような罰はないことは先に言っておく。ただし、これから執務室に戻って始末書の書き方を教える」
「連装砲ちゃんが残ってるんですが」
「最低限の教育がなかったのか、頭から吹っ飛んでるかだ。自律砲台なんて危なっかしくて渡せねえだろ」
「そうするとこの子の自衛力、ほぼゼロですよ?怒鳴られる程でもない注意でこれだと」
迫れば簡単にヤれる、という指摘に天龍は顔を歪めた。
「こいつはどう動く?」
「燃料入れておけば後は島風ちゃんの指示なしでも、ある程度守ってくれますよ、仕様上は」
「弾薬なしで起動してくれ。その前に艤装、魚雷と電探外すわ」
意識せずに島風がしゃがんだため、外見的に破損はないものの、発射管先端部や電探外縁がコンクリートの床にぶつかったのは天龍から視認出来ていた。先に背面の艤装・発射管を外させて、島風から受け取ると、天龍は工廠奥の作業台に持って行く。再び搬入口側に戻ると、島風は緊張した面持ちで直立したままだった。仕方なく彼女は島風の前にしゃがむと、電探の取り付けベルトを外しにかかる。なお、彼女からは見えていないが、この間、島風は顔を赤らめていた。努めて視線をずらさないように作業を終えると、天龍は電探を明石に渡すのだが、明石はにんまりと変な笑みを浮かべていた。
「なんだよ」
「ほんと天龍さんって、罪作りな人ですよね」
「こんな雑な奴相手に何言ってんだよ」
「でも島風ちゃん、真っ赤ですよ」
その言葉に上体だけで島風の方を向く天龍。明石の言葉の正しさに姿勢を戻すと乱暴に自分の髪をかき乱す。
「ちょっと天龍さん、綺麗な髪が台無しじゃないですかー」
「馬鹿言ってんじゃねえよ、連装砲はどうした?」
「もう、あとは島風ちゃんが起動させるだけです」
「島風、動かせ」
島風自身よく分かっていないが、天龍の指示に運搬台上の連装砲ちゃんに手で触れる。旧式のブラウン管の様な音を立ててから連装砲ちゃんは彼を見上げた。
「大丈夫そうだな」
明石からバインダーに留めた書類を受け取ると所見を書き込みつつ、サインする。
「訓練後、再度チェックが必要だが、まあ今は艦娘としてやってく目処が立ったから善しとするか。弾薬は未装填だな?」
「ええ、初めて扱いましたし。あと、「艦息子」じゃないですか?立つといいですね」
ばん、と天龍がバインダーで明石を叩く。あいた、とさして堪えてもいないような声を出す明石に、彼女は畳み掛けた。
「お前、欲求不満か?いちいち混ぜっ返すような事口にすんじゃねえよ」
頭上に出されたままのバインダーを明石が取る。
「聞いてた話よりずっと可愛い子だったんで、そりゃ期待の一つや二つ、持ちますよ」
「無理矢理とか駄目だぞ」
「分かってますって」
明石も作業責任者の欄を再度チェックすると、天龍にそれを再度渡した。行くぞ、と島風に声をかけると、連装砲ちゃんを抱える島風を連れて、天龍は工廠を後にする。途中、書類以外もバインダーに留められているのを見て、軽く舌打ちをする。そのせいで後ろで足音が止まってしまったのに気付くと、振り向いて声をかけた。
「悪い、怖がらせちまったか。大した事でもないのに、大人気ない態度を取っちまった」
「何か、ありました?」
「ただのお誘いのメモさ。ああもからかわれるとな、悪態の一つもつきたくなる」
執務室において島風に始末書を書かせながら、彼の教育プランを考える。かかる負荷を考えて真っ先にもう一人の天龍は外す。次にやはり負荷と存在の特殊さから、赤城を外す。島風が男なので、鳳翔も外す、などやっていくと、結局自分が残った。サボり気味の訓練と一緒にやるか、と結論を出す。
「できた」
ん?と顔を上げて右隣の秘書艦用の事務机側で座る島風を見る。椅子から立つと島風の左側から背もたれの端を右手で掴み、覗き込むように左手を机について、始末書をざっと眺める。
「ん、オッケーだ」
そう言うと彼女は机上に放置されたボールペンで、受理欄に自分の名をサインし、その上で書類上部の余白に「研修用」と書き、備考欄にも研修、処罰なしとわざわざ書き込む。
「これでよし、と」
「・・・いいの?」
「ほぼ未訓練の奴にいきなり艤装を背負わせたのはこっちのミスだからな。あと、しばらくオレがお前の訓練に付き合う。おそらく間隔が不定期になるけどな」
「すみません」
「こっちもデスクワークばかりで訓練不足でな。運動不足の解消には丁度いい」
しばらくは朝食後に執務室に出頭するように伝えると、天龍は部屋に戻るように島風に言った。
「ここにいちゃだめですか?」
執務作業に戻り、自分用の始末書(監督不行き届き+アルファ)を作成し始めた彼女は、島風の言葉に再び顔を上げる。
「ここにって言っても、退屈じゃね?」
「部屋も、いっしょです」
「来たばかりなら、まあそうなるにしても、そいつの相手もあるだろ?」
天龍がペンで、応接用ソファにちょこんと座る連装砲ちゃんを指し示す。島風はというと、ソファから彼を抱え上げて、膝の上に乗せてまた秘書艦用の椅子に座った。
「まあ、好きにしな」
結局島風は終業まで居座り、夕飯などにも連れて行った後に部屋に帰した。ただし、
「やべ、風呂の件伝えてねえや」
となって午後8時近くに再度彼の部屋を訪れる羽目になる。
「・・・今夜から、ですか」
「そう言うのはねーって言っただろ!風呂の件伝え忘れたから来ただけだっての!」
時間が時間だけに誤解を招いた上に、施設整備でトイレを優先してシャワー室が間に合わなかったため、案内した先が結局提督用のシャワー室でまた勘違いが重なる。天龍としては踏んだり蹴ったりの1日となった。
翌朝、食堂にちゃんと島風が来ているのを確認すると、天龍はあえて傍に寄らずに一人で蕎麦をたぐっていた。何となく見ているとにんじんを、机から頭だけ出た連装砲ちゃんに与えているのが見えて思わず咳き込む。
「大丈夫かね?」
ことりと目前にペットボトルの野菜ジュースが置かれる。赤城─衛宮である、視覚的に思考がバグるので普段は赤城と呼んでいるが。
「艤装の一部が食い物まで食うんでびっくりしただけだ。あと、島風の奴、にんじん嫌いかも」
「・・・男性艦娘で良かったと考えるのは、おかしいだろうか?」
薄着のひどさを赤城が指摘する。
「おかしくもねえだろ。あれでも上着をなんか着せるべきかって思うし」
スカートの下がスパッツでも大差ない、と天龍は白状した。
「それで、どうかね?」
「未訓練、しかも自分の艤装さえまともに認識してなかった。訓練不足解消ついでに面倒見るわ。ところでこれは?」
「このところ手軽に済ませ過ぎだろう、君は。少しはバランスを考えたまえ」
「それじゃ執務中にでも頂くとするか」
手早く書類を片付けると、空き時間を使ってまずは座学で島風に基本部分を教えていく。特に撃つべき時以外は暴発対策を徹底するように、だ。任務中は武装の方角自体、味方の方を向いてしまうことも多々あるので、砲塔の向きを僅かにずらす、砲身を下げる(または上げる)などの方法を教えていく。
午後には演習用エリアで機動訓練。島風は水上装甲靴と、発射管未装備の艤装ユニットのみを身に付け、連装砲ちゃんを連れている。背中から見ると厚めの金属製円盤のようなユニットが目立つ。後付けなのに一体化したような変な違和感を覚えるのは、妖精さんの不思議テクノロジーのなせる技か。
「どうだ?」
フル装備の天龍に続いて、水の上に立つ島風。彼がもう一歩を踏み出す前に、連装砲ちゃんが隣を通過した。それに付いて行こうした瞬間に島風は意図せずに海上を滑り出していた。
「わ、うわ、や!」
止まる、ではなくバランスを取ることを考え続けたため、そのまま進み続けてしまう。そうして正面に見えた黒っぽいものに衝突─いや、受け止められた。
「まだコントロールに難はあるが、海上移動は可能と」
走行を止められていない島風に押され、天龍は後ろに進み続けている。島風も受け止められた事を理解すると、「止まる」と意思を込める。程なくして、二人は海上で停止、連装砲ちゃんも追随して島風の横で停止した。
「止まれたな。それじゃ、離れるぞ」
何の予備動作もなく天龍が目の前から離れ、思わず目を丸く開く島風。
「ゆっくりやるからな、出来る限りでいいから付いてこい」
言葉に従って、前に出る、と思うと今度はもっと安定して体が滑り出した。島風の視界で意外に早く天龍の背─艤装が近付き、慌てて「ゆっくり!」と思考を切り換える。安定して天龍を追えるようになったところで、こちらに首を向けた天龍が、彼女の艤装から顔を出した妖精さんと共に、島風の後方を指差した。
「え?」
見れば、連装砲ちゃんが大分後方で止まっていた。二人が停止すると、彼(彼女?)は前進と停止を繰り返して近付いてくる。
「訓練中止!何らかの機関故障だろう」
「あ、はい」
島風が抱え上げると、異音混じりのスクリュー音をさせて、連装砲ちゃんが小さい腕で×を作る。演習エリアから岸に上がりそのまま工廠に戻った。
「おや、お早いお帰りで」
「マシントラブルだ。ちっこいのの機関の調子がおかしい」
「あら、ちょっと貸してください」
明石は島風から連装砲ちゃんを受け取ると、きゅるきゅると異音を立てるスクリュー音を確認する。
「んー?まさかね」
「どうだ」
「もしかして、この子、慣らしもしないまま放置されてたかも。機関部開いて、パーツの合いとか確認します」
「もしかして、島風の艤装もか?」
「可能性ありますね。直近の分解整備履歴で油断してました。再整備したら、慣らしからやり直しだと思います」
「島風もその状態だしな。ゆっくりやるさ」
「島風ちゃん、艤装全部こっちにください」
「はい」
その後、明石の報告によればシャフトと軸受けの一部がぎりぎりの組み合わせで、全力運転の摩擦熱により膨張、異常負荷となって動力カットと再接続を繰り返したと判明。工廠で擦り合わせと慣らしをある程度行い、二日後に訓練再開となった。
島風にとって、世界はとても狭かった。彼にとってはあまり分からない宝飾品で飾られた部屋。大きなベッド。備え付けられたバスルーム、etc。普通の島風の服は、彼の一部には小さすぎた。それ以外にしても、頼りない薄衣─ネグリジェにショーツ、レースの長手袋にストッキングとやっぱり部分的に小さく、なんら身を守るものではなかった。建造からすぐ艤装から離されたため、知識も非常に曖昧になった。古い知識とはいえ、乗組員達の記憶は、世間を歩く上での最低限を保証するはずだった。機関に火を入れる者もおらず、舵を操る誰かもなく、身を守る砲も認識しないまま、彼は無垢な子どもとして肉で出来た船体で、シーツの上に座礁していた。
彼の「存在」に対する「解体」はほぼ毎日行われた。見たこともない老婆は日々会う「提督」とやらであり、未知の感覚が既知の快楽に変わり行く日々。「戦え!」とがなり立てる何かは続く解体作業―性交でどんどん遠ざかっていく。やがて闘争を意識出来なくなると、唯一備え付けられた砲も機能しなくなった。心のどこかで終わりだと思ったが、腕にわずかな痛みを覚えた日には、いきなり耳許にあの声が戻って来た。行為は声の望みとは全く違ったが。
そんな日々は、唐突に終わった。老婆とは違う「提督」を名乗る者がやってきて、久々に、忘れかけていた「島風」の名を呼ばれた。あっちの「提督」に何度呼ばれても、自分の事とは思えなかったのに、この人に呼ばれると、はっきりとわたしが「島風」だと思える。だから聞いた。
「わたしを、あなたのものにしてもらえますか?」
残念ながら、「提督」は首を振った。代わりに、
「お前はこれから他の場所へ送られる。もし、まだ望むなら、お前は戦えるようになるだろう」
そうして、全く違う部屋でわたしは外に出たり、海を走ったり、戦い方を覚えている最中だ。「島風」になるために。それが中断されると、わたしは毎晩この部屋に戻って、一人で寝る。これが寝る―眠るということらしい。「チャント寝ロヨ」と、乗組員も言ってたし。ここには「艦娘」―わたしの同類しかいないそうだけど、その点には少しだけ疑問を覚えた。やっぱり乗組員が同意してくれた、「提督、イルゼ」って。誰が「提督」か分からないけど、本物ならわたしは声の通りに戦えるって。声はもう聞こえないけど。だってあれは、
「わたしの―「島風」の声だから!」
うん、本物の「提督」の言ってた通りだ。わたしは戦えるようになってる。天龍さんが、教えてくれるし。ただ、困ったことが。
「これ、どうしようか」
使い道のない大砲もどきが、このところ勝手に稼働してる。停止するまで待つんだけど、すっごい邪魔。
「天龍二聞ケ。多分知ッテル」
乗組員がそう言うから、その日のうちに聞いたんだ。
「少し、待ってくれ」
そう言うと天龍さん、いきなり頭を机にぶつけてた。
「すまん、もう一回言ってくれ」
「これ、とても邪魔だから、何とか出来ませんか」
「そっちの知識がないってどういう事だ」
「分カンネエ。ソノ部分ダケ共有出来ナクナッテル」
なんか乗組員と話してる。天龍さんがこっちを見た。
「あー、島風、一応やり方は知ってる。ただ、お前が嫌いな事かもしれんし、あくまで一時的なものだ。あと、邪魔とか言うな。それは大事な、お前の体の一部だ」
「それじゃ、お願いします」
そう言ったら、天龍さん、顔を押さえてた。
「やばすぎる」
「ガタガタ言ッテネエデトットトヤレヨ」
「オレが血迷ったら止めろよ」
「喰ッチマッテイイッテ。マトモナ女クライ抱カセテヤリテエ」
「だったら尚更だろ。島風、今夜、お前の部屋に行った方がいいか。それとも、オレの部屋に来るか?」
部屋に来る、ですごくいやな感じになったけど、
「部屋、行って、いいですか」
天龍さんのお部屋に、ですごく行きたくなっちゃった。
「・・・分かった。来たらやり方は教えてやる。そっから先はお前がしたいかどうかだ」
それで夜、大きらいだった事をしに、天龍さんのお部屋に行ったんだ。寝る時の服で行って、部屋に入る前は「ノック」をして、中の人が返事するのを待て、って乗組員に言われた通りに待ってたら、すぐにドアが内側に開いて、昼間と同じ天龍さんが出てきた。少しだけ天龍さん、動かなくなったけど、急に引っ張られて中に入った。
「お前、なんて格好で来てるんだ」
「寝るときは、こうだよね?」
間違えたかな、と思って聞いたら、
「間違っちゃいねえけど、廊下はお前だけが歩く訳じゃないから、もう一枚、上に何か来た方がいい」
そう言われたあと、天龍さんのベッドの縁に座らされた。天龍さんも着てた服をどんどん脱いでおんなじくらい薄着になると、わたしの隣に座った。いやな事をしに来たのに、いやじゃなくて、すごく変。
「で、お前の体に触れないといけないんだが、いいか?」
頷いた。そしたら、横から抱きつかれて、天龍さんが右手でネグリジェを少しまくると、ショーツをずらしてきたんだ。そのまま大砲もどきを触って、
「いいか、お前のこれが、おちんちんって奴だ。他にも呼び方はあるけどな、男の子にとっては大事な物だ、邪魔とか言うなよ」
「おちんちん」
「で、こっちがきんたまだ、こっちもセットで大事だからな。ぶつけたりすると痛いからな、大事に扱え」
「きんたま」
「お前の顔で口に出されると破壊力すげえな。我慢するのが一苦労だ」
「天龍さんは?」
天龍さんのショーツは、なんかわたしと違ってすっきりした形に納まってて、なんかあいつと同じでのっぺりしてるのが、少しいやだった。ちょっと上を見たら、いやな─あいつはもうあいつでいいや─あいつとは何か違って、着けてるのは似たような感じだけど、肉の盛り上りが凄くていやな感じはしない。
「でけえ」
天龍さんの目が、わたしのおちんちんを見てた。なんか、腕が少し痛い日みたいに、おちんちんは大きくなってた。
「オレのはあとで見せてやるからな、今はこれを落ち着けようか」
触るぞ、って言って、天龍さんはとても弱い力で、おちんちんを握って、ゆっくり動かして、いやだったのに、いやじゃない。
「これ、へん。いやだったのに、いやじゃない」
でも、これすぐ終わるよね。この後は天龍さんがわたしの上に乗るのかな?あれ?
「天龍さん、乗らないの?」
「おまっ、まずは一人でのやり方、教えるって言ったろ。そりゃ二人でのやり方だ」
あ、そういうことなんだ。
「んっ」
ほんとうに、気持ちよくて、つい目をつぶってしまう。訳の分からない内に、疲れ果てていたあれとは大違いで、何でこんなに違うのか、分からない。それなのに、急に手が止まってしまって、天龍さんを見た。
「ああ、その、感じてくれてるのは分かるけど、目をつぶられちまうと教えるって大義名分がなくなっちまう」
「あ、はい」
「それじゃ、続きで。今握ってるのが陰茎って部分だ。こうやって握り込んで手を動かすと、そこそこ気持ちいい」
「ふぁあ」
変な声でちゃう。
「・・・で、こっちの太く膨らんだ頭が亀頭で、敏感だし、表面がやわだから乱暴なのは駄目だぞ。見た目が亀の頭っぽいからってことだ」
さわさわ撫でられてなんか全身びっくりしちゃった。あいつはいきなり掴んできたりして乱暴だったんだ。
「亀頭の根元側がカリとかかさとか言われたりして、ここだけ指で撫でるのでも、確か、結構気持ちいい」
「うっうん!」
頷いたのか声がでちゃったのかよく分かんない。
「先っぽの穴、続く割れ目が鈴口、鈴に似てるだろ?」
「うん」
今度は見せてくるだけで触ってくれない。
「ここも、色々あるけどな、おしっこが出る部分てのもあって、いじりすぎは良くないんだ」
「きもちいい?」
「見てわかる通り、おしっこみたいなのがもう出始めてるだろ?こうするとだな」
鈴口、の割れ目の下側から上へ、ぬるぬるした指先でなぞられて、口の部分をちょんちょんと押された。
「頭の部分は乾いたままだと、痛いからな」
ぞくぞくして、声もでない。
「じゃ、練習な」
「え?」
天龍さんがおちんちんから手を離しちゃって、気持ちよくてあったかいのがなくなっちゃった。
「練習?」
「・・・そのすべすべの可愛いおててが二つもあるだろう」
そういうと天龍さんがわたしの手を取って、手袋を両方とも外しちゃった。少しだけわたしの右手を握ったりしてから、見せ付けるようにわたしの手を突き付けてくる。細くてちっさい手を見て、やわらかくておっきい天龍さんの手を見る。
「天龍さんの方がやわらかいよ」
天龍さんがじっと自分の手を見て、首をかしげてる。
「結構ごつくなってるんだけどなあ」
比べる相手が違いすぎたかな。
じっと見てもしてくれないから、仕方なく自分で触ったんだけど。
「なにこれぇ」
わたしの手、指とか細くてやな感じに思ってたけど、全然違った。右手で握って陰茎っていわれた部分で動かすだけで、さっきと同じくらい気持ちいい。カリってとこに人差し指と親指が当たると、そのたんびに腰の後ろゾクゾクする。さっきからぬるぬるしたおしっこで、つい亀頭の方に手が滑っても痛くないし。あいつの手がおかしかったんだ、骨みたいでしわくちゃだったし。もっと気持ちよくなりたくて、左手もそえて、指で鈴口の下側も撫でる。
「ほぼ女の手だから肌触りいいわな」
「あ、おしっこ、でそう」
つい手を止めて我慢したら、急に天龍さんが真顔になってた。
「おい、今までどこに出してた?」
「なにを?」
「婆さんに上に乗られて、出させられたんだろ」
「よく、わかんない」
そう答えたら、天龍さんが急にわたしの前の床に座った。上に着けてた─ブラってのを外して、おっぱいがきれいで、
「ちょいと邪魔するぜ」
わたしの膝に手を掛けると、左右に広げて間に入ってきた。手を放しちゃったおちんちんは、少し亀頭の重さで下がっちゃったんだけど、わたしの太ももに挟まれてみっちりした感じの天龍さんのおっぱいに当たって、また上を向き始めた。
「ここに出しちまえ」
天龍さんが大きな胸を指して言うんだけど、つい反論しちゃう。
「ええ!汚いってば」
「そいつはおしっこじゃねえし、汚いってんならそれを触った時点で一緒だろ」
少し躊躇ったけど、言われた通りにまたおちんちんを右手で握った。またすぐに出そうになって、
「ほら、この辺に向けな」
って言われたけど余裕とかなくて!でちゃう、てなってなんか連続して飛んで、天龍さんの顔とかおっぱいに、なんか白いものがかかった。気持ちよくておちんちんがびくってする度に、もう少し漏れる感じで白っぽいのが出る。
「なに、これ」
出たら急に冷静になってきた。なんだ、この白いの。
「気持ちいいのが初めてってレベルならこうなるか」
やっぱ冗談じゃねえな、て天龍さんは呟くと、わたしの下で、頬にかかっちゃったのを指で拭うと、その指を舐めて─な、なめっ!
「て、てんりゅ、てんりゅうさん?!」
汚いとかそういうのじゃなくて、なんか知らないけどすごい恥ずかしくて!どきどきして!
「白いおしっこって、かまととぶった言い方もするが、精液ってやつだ」
「せい、えき?」
「平たくいや、赤ちゃんの基の片方だな」
「あかちゃんの、もと?」
「ああ。オレの─女の腹の中にも、もう片方の基があって、二つ合わせりゃ子どもが出きる」
「・・・だから、たべたの?」
「口からじゃ無理だって」
天龍さんは、おっぱいとか「精液」で汚れたまま立ち上がった。真っ白いお腹が目に入ったと思ったら、急に屈んで頭がわたしの顔のすぐそばまで来て、それがすぐに離れたら、ショーツも脱いで裸になった。右手で股のところを指して、説明し始めたんだ。
「ここ、割れ目になってるだろ?この中に穴があってな、そこにおちんちんを入れるんだ。例えばの話だが、お前の分を貰えば、オレの分と合わせて、子どもが出きるってわけ」
「天龍さん、と?」
「例えばの話だ」
「あ」
あいつ。
「こども、わたしの、こ」
そうか、そういうことか。
「っ島風!」
「あいつ、こども、とった!」
「わたしから、ぬすんでた!まいにち、ずっと!」
あたたかい感触が包んできて、身をよじって抜けようとしたら、天龍さんの声が聞こえた。
「子どもが出来りゃ、その分腹がでかくなる。毎日来たってことは、盗めなかったってことだ。大丈夫だ、お前の子は、まだどこにもいない」
声の方を向いたら、天龍さんの顔がすぐそばだった。
「どこにもいないの?」
「そもそも簡単には出来ねえからな」
「でもこれ、邪魔になるくらい固くなっちゃうよ?無駄になっちゃう」
「世の男どもはな、そりゃ無駄撃ちばっかりよ。あとまじで今のやめて。オレに効きすぎる」
「?」
「わりい、ちょっとした未練だな。あと女の方も気付かないだけで、大体毎月無駄撃ちになる。しかも歳いっちまうと大体打ち止めだ」
「天龍さん」
「なんだ?」
「こども、つくろ?」
がしってわたしを抱きしめる力が強くなったけど、すぐに天龍さんが飛びのくように床に転がり落ちた。すっごく激しく息をしてる。
「おまっお前!なんてやべえ、誘い方をっ」
「?」
「くそ、あのエセ提督が、なんつー危険物造り上げやがった。しがらみとかなきゃ首を縦に振っちまってるところだ」
おまけに腰まで振ることになるし、てなんか天龍さんが笑ってる。
「あー駄目だ。独り遊びの分で終わらせるだけだったのに、一言でやられたわ。島風」
「はい」
「子作りの相手してやるわ」
「ほんと?!」
「ただし、オレの方は薬で一時的に子供が出来ないようにしてある」
「え」
「ただしやることは同じだし、お前が思ったように、嫌がる相手にはしちゃいけない事だ。分かるな」
ああ、そっか。わたしでも、わたしでなくても嫌だったらすっごく気持ち悪いんだ。
「うん、嫌な時は、すごく気持ち悪いね」
「あとただ子供のためにするだけじゃないからな。お互いに好きだからする、てのが世間だからな」
「嫌いな奴とはしないってことだね。分かった、あいつのこと大っ嫌いだったんだ」
「ああ、うん」
「天龍さんは大好き!」
「判断が早すぎる!他にも好きになるかもしれないんだから、簡単に決めるな」
ああ、もういちいち心臓に悪い、て言いながらおっぱい押さえてる。すごいやわらかそう。そのやわらかそうなのが揺れながら寄ってきて、目、離せないや。
「色々と手順を踏むところなんだが、もう限界だわ」
そういって、なんか枕を体の下に置いてベッドで横になったんだけど、あれ?
「天龍さん?」
「こっちにきな。普通はお前の方が上なんだ。ほら、ここだよ」
なんか不格好に脚を開いて、さっき言ってた、割れ目の奧の穴を見せてくれる。ベッドの縁から犬みたいにあわてて近づいた。
「ほら、ここにおちんちんの頭を合わせてな、腰の動きで少しっ」
言われた通りに、ぬるぬるする穴に、ぬるぬるしてるおちんちんを押し付けると、そのまま頭がずぷって音を立てて入っちゃった。
「あん」
「それ、オレが出す声じゃね?」
気持ちよくて声が出たら、そんな事を言われた。
「じゃ、ゆっくり押し込んでくれよ。お前のおちんちん、大きくてけっこう、あ、ちょいまっ」
言われた通りにもう少し前に出るんだけど、べったり座っててちょっと前に出にくい。天龍さん、急にまたはあはあ言い始めちゃってるし。
「どうしよ。なんかやりにくい」
「手を、オレの腹のよこに、ついて、姿勢変えろ。脚のばして、オレにうえに」
抜けちゃうと嫌だから、慎重に動いてちょっと変な姿勢なっちゃった。でもこの姿勢って、
「あ、腕立て伏せって、役に立つんだ」
訓練中に基礎でやったの、背中に載せた重しが大変だったけど、これならもっと頑張ろう。ゆっくり、天龍さんの体の上に伏せて首のところから顔を見る。やっぱりすごくやわらかくて、あったかい。
「もう少し、入れていい?」
ちょっとおちんちんの付け根の方が、入ってないけど、ずっとはあはあ苦しそうで、もしかして嫌なんじゃと聞く。
「ああ、うん」
「だいじょうぶ?」
「まだ、だいじょうぶ、だとおもう」
ずっ、て感触なのか音なのかわからない感じで、やわらかいこの人の上でずれたら、うん、全部入った。
「ぜんぶ、はいったよ。すごいあったかい」
「おまえも」
「ほんとにだいじょうぶ?すごい苦しそうだよ」
「お前の、おおきくて。入ったことのないとこまできてる」
ちょっと何を言われたのかよくわからない。
「ちょっと、わりい」
天龍さんがわたしを抱きしめて、ううん、脚も太ももとかにからんできて、動けなくなる。
「ごめんな。今動かれるとつらいんで、少し、止めさせてもらうわ」
「あ、天龍さんが言ってた危ないって、こういうこと?」
わたしの力程度じゃ、本当に動けなくされちゃうんだ。
「そういうこと」
そしたら、なんかうねうねっておちんちんにきて、
「こ、これ」
「動かなくても、けっこういけるだろぉ?」
「うん」
「おまえの、さ、おおきっいかっら」
ぎゅってされて、なんか天龍さんの体に埋まるみたいに密着したと思ったら、中でおちんちんもぎゅってされて、
「出そうで出せない感じなんだけど」
「しめすぎたか」
なんか深呼吸してると思ったら、締め付けられてたのが弱くなった。
「他の子とする時は、怪我させないように気を付けるんだぞ」
「けが?」
「裂けたりとかな」
「さけっ?!」
想像して腰を引こうとしちゃて、引けなくても動いたから天龍さんも動いちゃう。そしたらまたがっちり固められちゃった。はあはあすごい苦しそうで、
「やめよっか?」
「馬鹿言うなよ」
急に脚だけ開放されて、
「その、さ。オレ、重くて腕、しびれるか知れねえけど、背中抱いてくれないか?」
両手を差し込むと、背中もやっぱりやわらかくて、つい撫でたり、揉んでみたりする。背骨のとこは流石に硬いけど。
「・・・だして」
「天龍さん?」
「やっぱ、そろそろ、だめ。なかに」
中に精液を出して、て事だと思うけど、お互い腕で抱きしめちゃってるから動きにくい。でも、腰をすこし引いたら、ちょっとだけおちんちんが抜けるし、天龍さんの穴と中で握られてるから、手と同じように出来ると思って腰を動かした。出ないうちに強く抱きしめられて、中もぎゅっとされて動きにくくなったあと、天龍さんの腕も中もゆるんで、動きやすくなる。そのまま動いたら、さっきの感覚がきて、今度はわたしが天龍さんを抱きしめた。いち、にー、にー、さんて感じに多分いま、中に精液を出してる。はー、と息を吐いて、急にすごい疲れたように思った。
「天龍さん」
返事がなくて、ちょっと天龍さんの首許から顔を上げる。また、はあはあと荒い息をしてて目が合った。
「ごめん、よゆう、ないわ」
ちょっと悪そうな兵隊さんみたいな人が、よだれまでたらして物凄くおかしくなってて、またどきどきした。そしたら、またおっきくなっちゃって。
「すきに、うごいていいぞ。こっちはどうせ、うごけないし」
「天龍さん、苦しいんだよね?」
「くるしいだけでこうなるかよ。きもひよすぎてなってる」
「それじゃ、もう一回動くね」
多分、速く動いちゃうと苦しいだけじゃなくてけがとかあるんだと思って、そーっとおちんちんを中から抜く。頭の部分だけ入ってる状態で少し止まると、今度は奧までゆっくり押し込む。さっきまでゆるんでたのに、途中から中でぎゅっとされて、それだけで出しそうになる。抜いて、入れて、ただそれだけでぞくぞくし続けて、気付けばもう一回、天龍さんに出してた。
「あー、どうだぁ」
「ちゃんと、すると、こんなにすごいんだね」
「ああ、そうだな。ありがと」
「それ、わたしがいうところじゃない?」
「オレも、ちゃんとしたセックスは、2回めくらいなんだわ」
「せっくす?」
「いまやってることだよ」
「ふーん、2回目なんだ。3回目からずっと、わたしでいい?」
「ちょっとだめだな。順番は待てよ」
「順番なんだ。天龍さんとの子作りって」
「他は女ばっかりだぜ」
「ふうん。おくすり、どれくらい効くの?」
「なんだよ」
「いっぱい出したら、おくすりの方が先にきれるよね?」
「オレみたいな使い古し、やめろよ。いちいち子宮に響くこと言いやがって」
「わたしだって使い古しじゃん」
「おちんちんはな、その方が強いってことになってんの」
「もっかい、でそう」
「出しちまいな」
ぐぷ、ごぷって変な音が聞こえた。
「なんだろ、いまの」
「あふれただけだ。け、お尻の方まで垂れてきてる」
「ふかなきゃ」
「朝でいい。このまま、抱いててくれね?」
「入れたまま?」
「ああ、孕ませたいんだろ?」
「はらませ、なに」
「子供、つくりたいんだろ。オレの腹で」
「できる?」
「一応、無理だな。とても運が良ければ、出来ちゃうかもな」
「できたら、どうなるの」
「戦争じゃなけりゃな、どっかに引っ込んで、産んで、暮らすんだろうな」
そっか、どっちにせよ、出来ないんだ。
「戦争終わったら、わたしの子、つくってくれる?」
「生き残れたら、それからの話だな」
ぎゅっとまた天龍さんが抱きしめてきた。やっぱり疲れるんだって思って、そのまま眠っちゃった。
「てーんーりゅーうーさーん?」
「ほうしょう?」
「ずいぶんと御大層なお布団でお休みでしたね?」
「ん?」
本当にあのまま眠ってしまったようだ。お互いに離すまいと、抱きしめ合っている。おまけに、朝だ。島風の「魚雷」は装填済みで、さらにもう一回と言ったところだ。
「ああ、そうだな。すげえ高級布団だわ」
「え?」
嫌味のつもりが本気ととれる言葉を返されて、鳳翔がうろたえる。
「あの、私」
「離す気はねえって。ただこいつがな、オレを孕ませてえって言い出してな」
「あらまあ」
「頑張って他の奴も相手してくれるんなら、それもいいかなって」
「欲張りですね」
「欲張ってもいいだろ」
「気軽に体を許すのも、どうかと思いますよ?」
「言いたかないけどな、勿体ぶるような体じゃないだろ」
「まあ、ひどい人」
他人と寝る言い訳に使うのはずるい、と鳳翔は思った。
「キスしてくれねえ?」
「島風ちゃんはほっといていいんですか?」
「現在進行形で相手してやってるって」
「え゛」
まさか天龍が致したまま眠っているとまでは、鳳翔も思っていなかった。そばに寄ってもそこまで見てはいない。
「このまんまだと今日にもこいつの女になっちまおうかってくらいに腹に効くんで、キスで引き戻してくれ」
「本当、ずるいですね」
少し身を起こした天龍に、求め通り鳳翔は接吻する。部屋に入った時もだが、天龍から香るより強い交情後の匂いに、鳳翔はくらくらと目眩を覚える。軽い口付けなのに、そのまま寝台に上がりたくなった。
「天龍、さん?」
「おはよう、島風」
「おはようございます、島風ちゃん」
「なんで?」
「前からこうだぜ?」
「じゃ、わたしは?」
自分はどこに身を置けばいいのかと島風はすねる。
「あー、そうだな。言ってみりゃ、お前も仲間にならないか?って感じだ」
「わたしだけ、じゃだめ?」
「わるい、鳳翔さんも他の奴も、好きだし見捨てられねえ。嫌な奴の相手させられた子ばかりでさ」
「ああ、そうなんだ。じゃ、鳳翔さんとも?」
「お互い、嫌じゃなければな」
ガタッと鳳翔がベッドから後ずさる。
「む、む、むりです。島風ちゃんは、可愛いですけど、まだ、むりです!」
「じゃ、セックスなら天龍さんは独り占めだね」
「男女でならな。女同士ってのもあるんだぜ」
「えー」
「それはそうと、起き抜け一発だな」
島風の尻を天龍の脚が押さえつける。
「え、うそ!」
「男の子ってのはなぁ、朝立ちってもんがあるんだわ」
今さら自分の分身が屹立していることに島風が気付いたところを、当然の現象と告げられた上にそのまま天龍に行為に持ち込まれてしまう。
「ただ立ってただけならともかく、中じゃあな、オレとしても一回してもらわねえとおさまんねえって」
抱え込んだ挙げ句適度に弛めて、島風が逃げようとしたところでまた咥え込みなおすなど、無駄に手の込んだ動きをしている。
「まって」
天龍はぴたりと動きを止めた。
「天龍さん、そんなにつらい?」
「そりゃ、昨晩さんざん掻き回してくれたのがまた中で元気になってるんだぜ。もう一回鳴かせてくれなきゃ、一日中腹が欲しがっちまってなにも出来ねえよ」
「その割には饒舌ですねえ」
鳳翔の指摘に、自嘲気味に天龍が答える。
「面を見てくれよ、どうしようもなくひどくなってるだろ」
「確かに、またキスしたいくらいに蕩けてますね」
「ちょっと腰つらいけど、本気でしちゃっていい?」
昨晩複数回して消耗しているわけで、島風としても加減をしながらするのはもう難しい。
「・・・いいぜ」
ずりゅ、と一度抜ける直前まで陰茎が抜けると、どろどろと精液が漏れ、鳳翔が濃密な臭気にうぷ、と口を押さえる。天龍の方も手足も実はほぼ力を出しにくい程度に脱力していたので解いて、島風に身を任せた。最後までは抜かれず中にとどまった亀頭が、ずぷぷとひどく音を立てて奧へ再度突き込まれ、あとは抽送の繰り返しである。注ぎ込んだ精液を自ら掻き出しながら、きつすぎない程度にこなれた膣内を、島風は蹂躙する。噛み殺す余裕も無く声を上げ続ける天龍に、場の空気に当てられた鳳翔がまた近寄るとその口を塞いだ。それで天龍は余裕を削られてしまい、島風の射精を待つことなく膣を締め付け、背を反らせて腰を浮かせるなど、体の内外に絶頂した事を知らせてくる。
「ごめ、まだ!」
島風はまだ果てず、その逸物で弛んだばかりの肉壁をえぐるように突く。イッたばかりで過敏になっていた内部がまた彼の巨根を締め上げ、それでも奧に突き込んだ亀頭の先端から精液が吹き出す。昨晩から何度目か射精の快感に、島風は天龍のボリュームのある肢体にしがみつき、腰を押し付けたまま動きを止めた。彼の感覚でビュービューと出す度に天龍の体も震え、やがて互いにぐったりと脱力する。鳳翔が対抗するようにじゅうと天龍の唇を吸ってから離れるのと島風の竿が萎れた事で、脱力した上に隙間の空いた天龍の陰部から、じゅぷじゅぷと色々混ざった液体がこぼれる。
「まあ、天龍さんったら」
下手人の一人であることを鳳翔は棚に上げ、半開きの目の端と口の端から液体を流し続ける天龍をはしたないと、建前を口にする。直後にまた唇を寄せて舌で涙とよだれを舐めとるなど、所詮建前、自分の前では幾らでもはしたなくて良い、というのが本音なのは明らかだが。
「あの、立てないです」
島風が力が入らないと申告する。
「あら、腰、抜けてしまいました?」
「たぶん」
んー、どうしましょう、と呟きつつ、鳳翔は部屋の冷蔵庫から飲料水を取り出すと一本を島風に渡す。
「とりあえず飲みましょうね」
島風はそれに従うと、腰は立たないながらも体を起こしてべたりと女の子座りになる。当然入れっぱなしだったちんこもずるりと抜けて、ぐぷぐぷと変な音を立てて天龍がさらにお漏らしのように注ぎ込まれたものを漏らす。動きようもないにしても、自分でぐちゃぐちゃにするまで責めた情交の相手を眺めて一杯やるような構図になって、島風は変な興奮を覚えた。
「天龍さん、聞こえてます?」
鳳翔の呼び掛けに右目が鳳翔を見るように動くと、彼女はベッドに上がって天龍の頭から上体を膝枕のように抱えた。
「お水、飲みましょうね」
天龍は当てられた飲み口に逆らうことなくぐびぐびと飲み続け、瞬く間にペットボトルを空にする。
「ずいぶんお楽しみでしたね」
「・・・まともにされるのは数ヶ月ぶりだしな。お互い反応が分かってるのも好きだけどな、明確に違う相手と、てのは色々あるわ」
「それはそうとして、シャワーに行くにしてもその前にやることが多いな」
「お二人が良ければ、シーツごと運びますよ?天龍さんも立てないんじゃありません?」
「あー、まじだ。腰がいうこときかねえ」
「まとめて運んで洗って差し上げます」
「ついでに鳴かされそう」
「中も洗いますし」
「帰りも運ばれそうだ」
「天龍さんがよろしければ、私の部屋までお運びします」
「わたしはー?」
「たっぷり見せ付けられましたので、見てていただきます」
「?」
あまり言われていることが分からないのか、島風は首を傾げる。
「まるごと包んで頼むわ」
「はい」
鳳翔はベッドの端でシーツを掴むと、そのままひっぺがしにかかる。追い立てられた島風は、一瞬躊躇するが、結局天龍に引っ張られて頭を胸に埋めるように抱き留められる。
「わぷ」
「次の時はこっちも楽しませてやるからな」
「もう、私の上で盛らないでくださいよ?」
担ぎ上げた鳳翔が文句を言うが、
「このあとは鳳翔がたっぷり遊ぶんだろ?だから見学させてやれ」
島風の前で思いっきり弄んでほしい、との要望である。鎮守府内を普段走らない彼女が、ダッシュで移動する程には効果があった。ほぼ支度は終わったとはいえ、なかなか厨房に戻らない鳳翔に赤城が様子を見にきたところでそれを目撃する。
「ふむ、まあ仕方ないか」
赤城─衛宮は預かり知らぬことだが、「鳳翔」というタイプは物事をないがしろにするものではない。が、艦娘でも例外はあるものだし、そもそも「年頃の娘」だろう、と考えてしまう彼(彼女)なので、フォローするべく厨房に引き返した。
「わりいな」
その日は半分使い物になっていない天龍とともに、赤城も執務を担当した。
「ずいぶんと厄介なのを抱え込んだようだが?」
「覚えたての男子学生さん、てとこだな」
「ああ、うん」
言われたことに問題はあるのだが、内容的に文句も言いづらい。
「次はもうちょっと無駄撃ちさせるわ」
「次があること自体不味いのではないか?」
「そんなこと分かり切ってるけどよ、一言で女の部分をやられちまってな」
「意味が分からないな」
「無垢な非童貞て意味不明なガキによ、行為の意味を教えたら「産んで」だぜ。この熱がおさまるまではオレの方も無理だ」
「そういう話となると、踏み込めんな。その後はどうする?」
多少は体の影響を受けていても意識そのものに変化のない赤城では、どっぷり女に浸かってしまった天龍の感覚と心情に踏み込むのは躊躇する。
「戦争に片がついてもオレに飽きてなきゃ、それもいいかもな。ただしオレ以外も相手してもらうけど」
「今日は休みにした方がいいのではないかね?今の君は、目の毒だ」
天龍のまだ蕩けたような表情を赤城は指摘した。
「そんなにひどい顔してるか」
「花嫁衣装を着ててもいいくらいにはな」
「はなっっっ、ばっ」
幸せな女の顔だ、との追加の指摘に、天龍は口をぱくぱくさせて言葉が出ない。普段の彼女なら馬鹿を言うなで一蹴するところだが、女の部分が強く出すぎているようで、そのまま机に突っ伏した。
「だから休めと言ったのだ」
本当にそれで陸に引っ込んだなら私もお役御免なのだろうな、と赤城―衛宮は思ったが、口にはしないで書類を片付け続けた。
非童貞で無知ックスとか拗らせたもん書いてる。あと「精神的解体」とかおかしな概念が出てきて、でもこれガチで解体一歩手前じゃね?ってシチュになってた。島風囲ってた婆さんも背景考えてないのに楽しんでヤってる類じゃねー病みキャラに仕上がってるわ。追加キャラが出てくると流血沙汰になりそうだけど、タイトル的は問題ないので、島風もこれでいいかな。
マシントラブル関係は適当。あと明石がそこそこ遊びたい盛りなキャラになったな、これ。まだ書いてないにしても、天龍に遊んでもらってる形なんで、行為自体への忌避は無くなってる。天龍がみんなの相手をしてるのはそれが目的ってのは前の話でも書いたけど。