まつろわぬ神が性に忠実に生きるのは自然 作:一休
雷鳴が轟き、風が吹いた。
尋常のものではない。
魔風か神風か。いずれにしてもそれは人の叡智など木っ端のように吹き散らす猛威そのものであった。
まさしく神威。
神の誕生を下々に知らしめる超常の暴風。
その中に実体を得たばかりの彼はいた。
黄金の鎧と白銀のマント。雷光を背負い、吹き渡る風を手足に纏う威風堂々とした青年である。
『まつろわぬ神』と人は呼ぶ。
神話の世界から抜け出してきた、正真正銘の神。しかし、それは地上に降臨した時点で、どこか神話と異なる言動をするよう歪んでしまう。故に、善なる神でも災厄の化身ともなり得る。
今、人の目の届かぬ空の上で、一柱の『まつろわぬ神』が降臨した。
「なんだ、こりゃ」
神は、そうとは思えない人間らしい表情で、困惑を口にする。
「なんで、俺は」
バグというものは何事にも発生し得る。
『まつろわぬ神』の発生原因など、誰にも分からない。発生過程も同じ。当人である神々ですら分からないことなのである。
ならば、バグが生じたとしても、その要因など理解できるはずもない。
ただ、ありえないものがありえてしまっただけのこと。
『まつろわぬ神』の降臨に巻き込まれた人間を核にした、異質な降臨というのは、人類の歴史上類を見ないことは確かであろう。
とはいえ、異質な降臨であっても神は神。ただの人間の人格など消し飛んでしまう。
「ずいぶんと、珍妙な降臨だったな。うん。まあ、俺がどうなるわけでもないし、気侭にやればいいだろう」
彼は自分が神であるということを正しく自認していた。
力の使い方も、神としての来歴も。
「ゼウスね。それはまたビッグネームだ」
しかし、消滅した人間の思考性だけは僅かに残っていたらしい。
『まつろわぬ神』でありながら、趣味思考は人間のそれに似る。
人を歯牙にもかけないどころか視界にすら入れない『まつろわぬ神』の中でも唯一、彼だけが人の社会を正面から見据えていた。
神としての認識と人としての思考性。
この矛盾する二つを有するが故に、ゼウスは時折激しい頭痛に襲われる。
『まつろわぬ神』は性に従うもの。
逆らうなどありえない。
かといって、好き好んで人間社会を崩壊させるようなこともしたくはない。
困ったことだ。
大洪水を神話の中で起こしたゼウスは人間に対して容赦することはないのだが、その一方で今の人間社会への愛着を感じている。
人に扮して下界に下りて、街中で遊びまわったこともある。人の思考性が核に混じったためか、予想以上に楽しめた。
故に壊すに忍びず悶々とした日々を過ごしていたのである。
フラストレーションが溜まっている。
間違いなく。
神として振る舞いたいけれどそうすると人間が~などと細かいことを考えているからだ。最源流の《鋼》であり、世界最大の征服神。インドから始まり北欧にまで行き着く『天』の象徴たるゼウスにあるまじき思考。
「うおおおおおおおおおお、吹き飛べ! ファイアー!」
イライラ解消運動その一。海に向かって
濛々と立ち上がる雲はまるできのこ雲。
途方もない威力だが、ギリシャ神話最強の一撃の一つであるので、こうなるのは当然である。
海水は一瞬にして蒸発し、空に上がった水が冷やされて地上に降り注いだ。
「はあー、ダメだ。これはダメだ。さっぱりダメだ」
ゼウスはぶつくさ言いながら雷撃を飛ばしまくった。
なんど海水を蒸発させてもまったくイライラが収まらないのである。
そうこうしている内に神力を放散し、放散した神力が人ならざる者を呼び寄せるに至って、ゼウスは己の衝動の正体を理解したのである。
「ゼウスゥゥゥ! 見ィつけたァ!」
空が闇に覆われた。
ゾクリとする、声。どことなく、聞き覚えがある。
振り向いて、声の主を見た。
小柄な少女である。当世風の衣装を着た、闇色の瞳の少女。髪は白銀。肌は白魚のように白い。猫耳ニット帽にニーソックス。ベリーグッドである。まずもって銀髪少女というのがすばらしい。あえて幼女とは言うまい。不死の神なのだから。
「お前は、メティスか」
突如頭に浮かんでくる名前。
ゼウスの知恵の神としてのそれが彼女の名前と来歴を教えてくれる。もっとも、その必要はなかったかもしれない。なぜなら、ゼウスの知恵の権能は、メティスを飲み込むことで得た力だからだ。
メティス。ゼウスと同じ『まつろわぬ神』。
メティスはその顔を激しい憎悪に歪ませてゼウスゼウスと彼の名を呼んだ。まるで、愛しい男を呼ぶように。何度も何度も呼びながら、漆黒の鎌を肩に担ぐ。
「アハッ」
狂気を孕んだ顔は、ゼウスをして後退させるに足る迫力である。
「わたしのこと、ちゃんと覚えててくれたんだ」
あれは、まずい。
狂気に侵されている。
「なら、これからわたしが何をするか予想がつくでしょ」
鎌をこちらに向けてくる。
そして、爆発的な加速で以てゼウスに斬りかかってきた。
「あぶなっ」
慌てて、ゼウスは横に飛んで避けた。
「これは、復讐なのよ!」
鎌に斬り付けられた地面が腐臭を発する。
メティスは地母神。当然に死の権能を有している。
「復讐って言われてもな」
鎌を振り回すメティスに対して、ゼウスは雷の槍で対抗する。激しく火花を散らす両者。
「わたしを捨てたでしょう! どうして、わたしを捨てたの! なんでわたしを飲み込んだの!」
そう言われてもゼウスは困惑するしかない。確かに神話上のゼウスはメティスが生みだす王権簒奪能力を持つ息子を恐れて彼女を飲み込んだ。けれど、今のゼウスからすれば、それは神話の話だ。人の思考性を持つ彼は、ゼウスであってゼウスではない。当事者意識に欠けるところがあった。
「俺がお前を飲んだことを恨みに思っているのか。それは、あれだな。悪かった」
キッ、とメティスはゼウスを睨み付けた。
「悪かった、で済むかっ!」
黒刃が死を振りまく。
直撃すれば、かなりまずいことになる。なんとなく、直感する。
だが、それすらも、今のゼウスにはどうでもよくなっていた。メティスは武神ではないので、武に於いて全知全能たるゼウスに劣る。
なによりも神話上でゼウスに飲まれたメティスは『まつろわぬ神』となって復讐を誓ったところでゼウスには不利なのである。
「ああああああああああああっ!」
慟哭の叫び。
振り下ろされる鎌をゼウスは
敵は感情を露にしてゼウスを責める。だが、ゼウスは気にも留めなかった。それ以上に、彼のゼウスとしての性が激しく鎌首を擡げていた。
降臨して以来溜まりに溜まっていたフラストレーション。
それが、今まさに解放されつつあったのだ。
「あなたはわたしを犯して捨てた。愛さなかった! だから、あなたを殺す! 天を滅ぼして、我が身に取り込んでやる! かつて、あなたがしたように!」
メティスの鎌をまたかわす。
「ああ、なるほど」
ゼウスの右手に風が集まった。
「要するにお前は俺に愛されたいのか」
「なっ」
メティスの動きがわずかに鈍った。
「アイギス」
風を呼び、メティスの身体に叩き込んだ。
小さな身体が思い切り飛ばされる。まあ、風になでられた程度だ。死ぬことはありえない。
メティスが転がっていく。
心の中に、さらに欲求が溜まっていく。
目の前の《蛇》を征服したい。
屈服させ、支配下に置きたい。
その肢体の隅々まで味わい、蹂躙したい。
そう、ゼウスは征服神であり、ギリシャ神話上でもっとも多くの女神に手を出した男なのだから女神を前にして欲望が表出するのは当たり前のことである。
「だ、だれが、あなたになんか」
「嫌よ嫌よも好きのうちか。いいぞ、それはそれで楽しみが増える」
バリ、という音。
メティスが放った死の呪詛が、尽く焼き払われた。
「くっ」
「無駄だ。メティス。お前では俺には勝てんよ。今度こそ、お前をきちんと愛してやる」
「信じられない。そんなこと、信じられるかーっ!」
メティスが力を振り絞って跳躍する。愛憎を向ける相手に、鎌を振り下ろすために一直線に向かっていく。
「信じてくれとは言わん。ただ、信じさせてやるだけだ。まあ、まずは主神に逆らった可愛い女神に、軽く神罰だけどな」
メティスに右手を向ける。
彼女は、目を大きく見開いて、雷光に飲み込まれた。
そして、神話ぶりにメティスを捕らえたゼウスは、気絶したメティスを結界に閉ざされた神殿に連れ帰った。
位相を異にする神殿は、最上位の呪術師でも侵入することができない。
そこは閉ざされた牢獄であり、楽園なのである。
黄金に彩られたベッドの上で、メティスは目を覚ました。
「ここは……」
見覚えのない部屋。黄金と宝石に彩られた王の間というべき場所。
部屋中のいたるところから、ゼウスの神気を感じる。
「ああ、目を覚ましたか。メティス」
傍らに、ゼウスがいた。
そこで、思い出した。
メティスは憎悪のままにゼウスに挑み、そして、敗れた。
「なぜ、わたしをこんなところに運んだ?」
「それは俺がゼウスだからだ。女をベッドに連れてきたんだぞ。目的など知れているだろう」
「ッ」
そうだ。
ゼウスはこういう神だった。気に入った女がいれば、神か人かによらず交わろうとする。そういう最低最悪の神だ。
そんなゼウスに泣かされた女神の、一番最初がメティスなのだ。
ゆえに、そんなゼウスに易々と身体を許したりはしない。
右手に闇を呼び寄せ、ゼウスに叩きつけようとする。だが、その前に右手をゼウスに押さえ込まれた。
「危ないな。人の家の中で呪詛なんぞ使うな」
「あなたには、屈しない。神代の復讐は、必ず果たす」
「勇ましいのはいいけどな。できるのか」
ゼウスはメティスのニット帽を取り上げた。さらりと銀糸がこぼれる。
「大人しく、俺に組み伏せられていろ。お前を捨てることはない。ちゃんと愛してやる」
メティスに囁きかける。
「っあ……」
メティスの頬に朱が差した。信じられない。何人も裏切られた女神がいる。
「俺もお前も、すでに『まつろわぬ神』だ。神話から抜け出した俺たちが神話に縛られる必要はない。俺とお前の関係を、もう一度地上で作り直すのもいいと思うがね」
そう言いながら、ゼウスはメティスの唇を奪った。
「あ、ふむ」
メティスは唇を引き結んで、口付けを拒否するように首を振ろうとする。そのメティスの顔を、ゼウスは両手で押さえ込み、唇をさらに強く押し付けた。
そのまま、ゼウスは片手を下へ持って行き、メティスの太ももを摩った。短いスカートに隠れた素肌を、優しく愛撫する。
「ふ、むちゅ、んんっ」
メティスは必死に、ゼウスの侵入を拒否する。
そんなメティスの反応を楽しみつつも、ゼウスは先に進めようと太ももを責めていた手を上にずらした。メティスの下着の中に手を入れて、暖かく湿ったそこに指を走らせた。
「ふふぁあ、あ――――ちゅる、んちゅあ、あふ、むあっ」
秘所に入り込んだ指の感覚に驚いたメティスは、驚いて口を開き、ゼウスの舌の侵入を許してしまった。
後はもう、ゼウスの独擅場である。
「ふぅぅ――――ん、ちゅ、あ、あふ、れう、んむっ」
舌が別の生物のようにメティスの口内を犯している。舌を絡められ、逃れようとしても意味がなく、裏をなぞり上げられる。舌とともに唾液を吸われ、そうかと思えば逆に唾液を流し込まれる。ついつい、それを嚥下してしまい、そのたびに身体の奥底がむずむずと疼いた。
「最初の意気はどうしたメティス。すっかりトロトロになっているじゃないか」
ゼウスが唇を離して、メティスに言った。
すでに、この時点でメティスの頭はぼんやりとしていた。口を大きく開けて、空気を求めるのも、どこか淫靡で、さらなる口付けを求めているかのようである。
それでも、なけなしの理性で、メティスは反論した。
「ら、られが、あなたになんか――――はあ、あっ」
ゼウスが、秘所を責めている指先に力を入れると、堪らずメティスの身体はピクリと跳ねた。
憎らしい男に好きなようにされて、感じている身体が憎らしい。
けれど、ぞくぞくしてしまう。
次が、欲しい。
「ん、んう」
メティスは歯を食いしばって、声を堪えた。唇を噛み、じわりじわりと股から這い上がってくる甘い刺激に懸命に耐えた。
「早く素直になって」
ゼウスがメティスの耳を舐めた。
「ひ、ひあっ。あ、やめっ」
感じている。どうしようもなく感じている。
「ゼウス。いい加減に、して。こんなの、ダメ」
「なんで」
ゼウスは、メティスのクリトリスを弾いた。それこそ、弦楽器を弾くように。
「ひ、ひあっ」
何度も繰り返し、同じところを責め立てられた。責められるたびに、メティスはぴくぴくと身体を震わせて声を漏らす。背中をゼウスに向けて丸まるように四肢を引き寄せる。結果として、両足の付け根でゼウスの手を固定することになってしまったのだが、メティスにはそれを考えている余裕がなかった。ゼウスに負けまいと、懸命に快楽を堪えている反面、すでに降伏を認めている部分もある。ゼウスが刺激してくるたびに、メティスの中の女が鎌首を擡げてくるのだ。
「だ、めえ。ひう、あ、うむ、ん、ゼウスは、ダメなのにぃっ」
ゼウスは憎い敵。
倒さねばならない復讐の対象。
なのに、身体が止まらない。
ゼウスに弄られる股からは、止めどなく愛液が溢れ出し、太ももやシーツを濡らしている。メティスの意思に関わりないところで、腹の奥がゼウスを求めてきゅうきゅうと切なく収縮する。
いつの間にか、自分の胸を揉みしだいていた。ゼウスが手を出していないところからも、快楽を得ようとしていたのだ。
心はどうあれ、すでに身体は征服されていた。
それを、自覚した瞬間、目の前に弾けるような閃光を幻視した。
ゼウスが微弱な電流をメティスの中に送り込んだのである。
あ、――――終わった、と思った。
「うあ――――らめ、らめえっ! あっ。ひぐ、ひぐうううぅぅぅぅっ!」
メティスは押し寄せる快楽の波に脳を焼かれ、思い切り背を逸らして絶叫して果てた。
ダメだった。
耐えられる筈がなかった。
メティスはゼウスの最初の妻。ゼウスとのまぐわり、アテナを孕んでいる。犯されただけという話もあるが、結局メティスは神話の中でゼウスに身体を許している。どうにもならない。どこが感じるか、などということは、ゼウスにとっては探るまでもなく分かっていることだった。
「あ゛、あ゛あ」
メティスは、だらしなく舌を突き出して喘ぐように、絶頂の余韻に浸っていた。
そのメティスの下着を、ゼウスは強引に剥ぎ取った。
「んぅ……な、に」
絶頂の快楽に思考が押し流されていたメティスだが、さすがにゼウスが肉棒を取り出すに及んで我が身の危うさを察した。
「じゃあ、力を抜け。メティス」
力を抜けも何も、力など入らない。
ゼウスがメティスに圧し掛かってきても、それを拒否するだけの抵抗力は失われていた。
これから、あの肉棒で犯されるのだと分かっているのに、呪力を練る気にもならない。危機感は感じても、それから逃れるという行動に結びつかなくなっているのである。
それでも、アレに貫かれれば、もう取り返しがつかないことは理解していた。メティスの中の女がどうしようもないくらいに反応しているのだ。
「待って。今、イッたばかりなの……だから」
メティスの懇願に、ゼウスはまったく聞く耳を持たなかった。
ズチュ、といともあっさりとゼウスはメティスの中に侵入してしまった。
「ふぐうぅぅぅっ」
喉奥から競りあがる嬌声を、メティスは手で口を塞いで堪えた。
「ふう、んう、ふぐふうっ。――――んあ、くう」
ギシギシとベッドが軋む。
ゼウスが腰を動かし、メティスの膣内を刺激する。
白い肌は桜色に染まり、男を誘う女の匂いが身体から漂っている。結合部からは、身体の悦びを示すかのように愛液が零れ落ちる。
それでも、メティスは声を荒げてゼウスを求めようとはしなかった。
屈服してはならないと、何度も自分に言い聞かせて、快楽に耐える。
でも、気持ちいい。
ゼウスは神話で自分を害した。
けれど、それは神話の話。今は互いにまつろわぬ身。
「ぐ、ううううっ」
メティスの葛藤を見透かしたのかゼウスは腰を止め、肉棒を半ばまで引き抜いていた。
「う、う、ゼウス、何を……?」
「いや、何、苦しそうだからな。少しばかり休憩だ」
「休憩――――そんな」
すぐに口を噤む。
与えられ続けた快楽が消えた途端に、身体はじくじくと熱を帯びてくる。半ば繋がったままの肉棒の存在が、メティスに思考する隙を与えない。
「あ、ああ」
欲しい。
気持ちいいのが欲しい。
今、この腰を動かしてゼウスの半身を膣の奥底にまで飲み込んでしまい。
「んくぅ……」
甘い誘惑が胸を締め付け、子宮が疼く。
今、こうしている間にも、ゼウスの肉棒を奥へ誘導しようとメティスの膣は意思に反して蠢き、きゅうきゅうと収縮していた。
まるで、餓えた獣のように、涎を垂れ流して男による蹂躙を期待している。
「どうした。メティス。苦しそうだな」
分かっていて、聞いてくる。
「なん、で」
涙が溢れてくる。
「なんで、動いてくれないの……?」
胸が熱い。膣内が切ない。喉が渇く。もう、どうにもならない。
「動いて。……動いてよう。ゼウス。はやく……はやくはやくはやくうぅぅぅぅっ!」
そして、ゼウスは嗜虐的な笑みを浮かべて――――肉棒を引き抜いた。
「え……?」
あまりのことにポカンとする。
瞬間、とてつもない絶望がメティスを襲った。
「どうして? どうして抜くの!? 今になってェ!?」
狂ったようにメティスは叫んだ。
雌としての本能をさらけ出してまで、頼んだというのに。どうして望みを叶えてくれないのか。
「当然だ。メティス。お前は俺の命を狙ったじゃないか。俺の命を狙った者の望みを叶えてやるものか。これはお前への罰なんだから、甘んじて受けてくれないとね」
「そ、そんな……」
メティスは絶句する。
命を狙ったことは事実だ。しかし、それはゼウスが悪いからで、メティスに非はないはずだ。
「ごめんなさい」
けれど、メティスにはどうでもよかった。自分の恨みやプライドなどよりも、身体の火照りのほうが問題だった。
「全部、全部謝るから。お願い……! なんでも言うこと聞くから」
もはや懇願である。
地母神としての在り方など、肉欲の前にはゴミ屑に等しかった。
「まあ、いいか。条件がある」
「な、何?」
「お前が、きっちりと俺を受け止められることだ」
メリメリと、メティスの目の前でゼウスの肉棒が膨れ上がった。尋常の大きさではない。三倍。いや、もっと大きいか。黒々とした猛々しいソレは、痛々しいまでに膨れて、女を求めていた。
すごい、臭いだ。
男の獣欲が、そのままメティスの鼻腔をくすぐった。
それだけで、頭が蕩けそうになった。
これが中に入ったら、きっと最高に気持ちがいい。
メティスは思わず唾を飲んだ。
「メティス。開け」
「はい」
メティスは二の句なく従う。
股を開いて、両手で秘所を広げて隠すべき場所をあれらもなくさらけ出した。
ゼウスは、己の分身をメティスの秘所に宛がい、力任せに捻じ込んだ。
「 ッ」
メティスは喉を引き裂くような声で鳴いた。
あまりにも大きなソレを受け入れるのに、メティスの膣は狭すぎた。内臓を抉るように押し入ってくる肉棒は、文字通りメティスを串刺しにしたのである。
おなかの中で、何かが爆発したかのようだった。
「おご、うおあ……」
喉を反らし、空気を求めるように喘いだ。
「ぎ、ぎもちぃぃ」
閾値を上回る快楽は、メティスの理解を越えていた。
ゼウスはメティスの身体を抱き上げる。より深く、メティスの中を抉れるように。
「ひぎいいいいいいいいいいいいいいいっ」
メティスは絶叫した。
「ひあ、ああ、いい、すごい、すごくいいっ!」
本能をむき出しにして、快楽に酔う。
ゼウスの首に抱きついて、両足でしっかりとゼウスの腰を挟み込む。
「もっとぉ、もっと深く突いてぇ! すごいのぉ。ゼウスすごいのぉぉぉ!」
「そんなにいいのか」
「うん、気持ちいい! さいっこうなのお! あははっ! ゼウスは? ゼウスは気持ちいい?」
思考を快楽に流されながらも、ゼウスを思うメティスが愛おしい。
「ああ、俺も気持ちがいいよ。だから、もっと気持ちよくしてくれ」
メティスの尻を掴んだゼウスは後ろから押しこむようにメティスの身体に肉棒を押し込んだ。
「おふっ!? んおおおおおおおおっ!?」
メティスはゼウスという大風に玩ばれる木の葉のように為す統べなく、ゼウスの腰の上で踊った。
髪を振り乱し、唾液をだらしなく垂らして、快楽に咽びなく。
美しい女神の痴態に、ゼウスも射精感が高まってきた。
「あああああ、もうダメぇっ」
「ふん」
最後に思い切り一突きし、盛大に精を吐き出した。
「ああああああああああああああああっ!」
一際高い嬌声を上げて、メティスは達した。
「ん、なんだ気絶したのか。メティス」
ベッドの上には、白目を剥いて小刻みな痙攣を繰り返す女神の姿があった。股の間から白濁液を垂らし、獣のように狂い、そして体力と呪力のすべてを消耗したのである。彼女はすっかりまつろわされてしまった。二度とゼウスには逆らえまい。
女神を犯しつくしたゼウスは、積もりに積もった苛立ちが、すっきりと解消されていることに気がついた。
「なるほど、性に従うというのはこういうことか」
そして、納得した。
地母神を討ち、女として侍らせることが、まつろわぬゼウスの生き方なのだと。