まつろわぬ神が性に忠実に生きるのは自然 作:一休
五世紀に来たのであれば、こうした出会いもあるのか。
見知った顔、見知った力。しかし、それは一方的なものでしかなく、相手からすれば初対面。
数百年の月日を重ねたのなら、新たな名を獲得していたであろう女騎士も、この時代では名を失いかけた一柱の『まつろわぬ神』でしかない。
行く当てもなく、気侭な旅を続けていた折、不意に出会った《鋼》の嵐神との戦いに敗れて地に墜ちた。
白く輝く竜殺しの騎士が、今は薄いグレーの外套に身を包んだ状態で地下牢に押し込まれている。
「なるほど、このような扱いを受けるのは始めてだ」
女騎士にして槍の神――――ランシアは薄暗い教会の地下に閉じ込められていながら、その美しさを微塵も損なっていない。精悍な顔立ちは凛々しく遠目から見れば美形の少年にも見えなくもないが、その胸の慎ましさを知らないとでも言うような膨らみはまさしく女性の象徴である。ほっそりした身体つきながら出るところは出ている魅惑の肉体美である。
「お姫様として扱われたほうがよかったか」
どこからともなく――――何の比喩でもなく、ランシアを閉じ込めている牢の中に現れた一柱の男神が現れたのである。
「まつろわぬゼウスか」
「如何にも、その通り。まさかこのような形で出会えるとは思っていなかったぞ」
「偉大なる天空神に拝謁したのは僥倖だったな。まあ、討ち取るでもなく虜囚の憂き目を味わうのは聊か気分が悪いが」
ランシアは閉じ込められてはいるが決して五体の自由を奪われているわけではない。本来であれば、このような人間が構築しただけの地下牢など軽く破壊して飛び出せるのである。しかし、それをせず囚われの身になっているのは、彼女の手首に巻かれたブレスレットによるところが大きい。
小さなブレスレットはゼウスが自ら考案した権能殺しの神具である。
未来の世界で格闘能力に秀でた女魔王を拘束するときに用いた神具の改良版であり、これ取り付けられた女は一様に人間レベルにまでその能力を低下させるというびっくり仕様。ランシアが如何に膂力に優れていようが、今は岩壁どころか牢を破ることすらも不可能なのだ。
「余を殺すことなく、このような場所に閉じ込めた理由を聞いてもいいかな?」
力を奪われながら、彼女は真っ直ぐゼウスを見ている。
気が強いのは千五百年経っても変わらぬところか。
「すでに察しはついているだろう。敗軍の女が辿る末路をお前も辿るのだ」
「……やはり、か。いや、それは仕方のないことだ。余も覚悟はしている」
ランシアはこの絶望的な状況にあっても不敵に笑った。
「余は《鋼》の軍神だ。ゼウスよ。希代の女好きであろうとも、地母神共とは勝手が違うぞ」
《蛇》をまつろわす軍神に女性は珍しい。
母なる大地の神ではなく竜を殺すという点からしても、ランシアの性質は稀有だ。そして、同族とも言うべきゼウスの力は本来《蛇》に向けられるべきもの。《蛇》を屈服させることはできても《鋼》はそうもいかないだろう、とランシアは挑発気味に言ったのである。
「相変わらずの反骨精神だな。だが、安心しろ。俺は博愛主義だ。今更《蛇》だの《鋼》だの細かいことは気にしない。それに、お前を征服するのは比較的簡単だぞ?」
「ほう……」
ランシアはゼウスの発言が気に触ったのか美しい柳眉を吊り上げる。
「この余を征服するのが容易いと? 放言は高くつくぞ?」
「それこそ杞憂だ。お前は自分の女をまったく知らないからな。生娘に快楽を教え込むくらい、造作もないことだ」
パチン、とゼウスは指を鳴らと、ゼウスの足元から黄金の液体を立ち上ったではないか。
うねうねと動く五本の触手はランシアが反応するよりも速く動き、その身体に巻きついていく。
「く、なんだ、これは!?」
ランシアの身体に絡みついた触手はまずその手足を拘束すると、嘗め回すように白い肌の上を這いずり回る。
人間レベルの筋力しかないランシアでは到底振り払えるものではなく、ギリギリとした締め付けにより彼女は空中に大の字に磔にされた。
「ぬ、う……卑怯な」
「自分の権能を使って相手を屈服させる。何も卑怯ではあるまい。お前とて、竜の類と戦うとなると力が湧くだろう。俺も同じ。お前の不運は自分が女だったことであり、そしてそれはお前にとって最高の幸運となるのだ」
黄金に輝く触手はスライム状で弾力があり、ランシアの肌に吸い付くように這っている。人肌に生暖かいのも君が悪い。
尤も、数多の戦いを潜り抜けてきたランシアにとってはこの程度の触手は何と言うこともない。不快感を覚えるというだけで、それ以上ではない。
「ここからどうするつもりだ、ゼウス。まさか、余を磔にして終わりではあるまいな」
「案ずるな。これから、お前は己の弱さを実感することになるだろう。そのスライムだけでな」
ほくそ笑むゼウスは、そのままランシアを眺めるためか座り込んだ。ゼウス自身がランシアに手を下すつもりはまったくないらしい。
ランシアの外套はいつの間にか溶けて消えている。
このスライムが布地をすべて消化してしまったからである。隠れていた部分までがまっさらな状態で露になる。豊満な胸も、くびれた腰、そして隠すべき恥部、乙女以外の何物でもない一糸纏わぬ姿にされたランシアは、それでも来るなら来いとゼウスを睨みつけていただけに拍子抜けした。これならば、本当にただ磔にされているのと変わらない。
手足に巻きつくスライムだけは気味が悪いがそれでも我慢できないほどではない。
「ん……?」
その時、ランシアは身体の異常を認めた。
筋肉の硬直と奇妙な発熱を感じたのである。これは、竜や強大な戦士と相対した時に感じるものに似ているが、それとは異なる熱であると瞬時に悟る。
「こ、れは……」
何かが黄金のスライムから流れ込んでいる。肌の隙間からランシアの中に溶け込んでいるのである。
「ゼウス、何を……!」
手足の先から熱が広がっている。
スライムがじりじりと動く、その刺激だけで熱が増幅されているように感じる。
「言っただろう。お前はお前が思っているほど強くはないと。お前の身体のことを俺はお前以上に知っているんだからな」
「な、何を言って、んん!?」
ランシアはぴくり、と身体を震わせた。思わず唇を噛み、声を封じたのは、未知の刺激に驚いただけであり、決してゼウスの思い通りにはなっていないのだという咄嗟の反抗である。
「ふふ、効いてきたな。そのスライムはランシア、お前用に調合した媚薬がたっぷりと練りこまれている。肌からでも存分に効果があるからな。精々楽しむがいい」
ゼウスが乙女を堕とす手法は多種多様。時には神にすら効果を発揮する薬を盛ることもある。かつて、二十一世紀で篭絡したランスロットとキメセクをしている中で彼女に相応しい薬物を調合していた。トライ&エラーの積み重ねから生まれた特製の媚薬は、ランスロットの過去の姿でもあるランシアにも効果がある。
「服用するか注射すれば悶え死ぬほど吹っ飛べる代物だ。肌からならば効き目は大人しいからな、初心者でも安心だぞ」
「卑劣な、ことを……! 軍神ならば、己が身で勝負するものではないか!」
「俺は軍神ではあるが女を犯す神でもある。お前は女である時点で、この俺の征服対象だ。それにさっきも言ったが、これが俺の能力でもある。卑劣と言われる筋合いはないぞ。何なら抵抗してくれても構わんしな」
「言われずともこの拘束から抜け出し、卿を討ち取ってくれる」
ランシアは手足に力を込めてスライムの拘束から逃れようとする。ああ、だが悲しいかな。今の彼女にスライムから逃れる術は皆無なのだ。力なき者は力ある者に蹂躙される定めである。抵抗は無意味で、こうしている間にもランシアの肉体に媚薬が染み込んでいる。
「く、う……ぅ」
悔しげにランシアはゼウスをにらみつけた。
抵抗の意思は折れていないし、何とかして抜け出そうと四肢に力を込めているのも分かる。が、ゼウスが調合した専用の媚薬の効果でその顔は上気しており、じっとりと汗をかき始めている。
「さて、お前が降参するのをゆっくりと待たせてもらおう。ではな」
ゼウスは薄らと笑みを浮かべて牢から姿を消す。
残されたのは白き女神とその身体に纏わりつく黄金のスライムだけである。
「万全でさえあれば……!」
ギリ、とランシアは奥歯を噛み締める。
権能さえ取り戻せれば、この気色の悪いスライムを消し飛ばせただろうに。
スライムは見た目からは信じられないほどの強い力でランシアを拘束しており、しかも表面が流動している。それによって、ランシアの肌は常に微弱な刺激を受け続けている。普段であれば大して気にも留めない刺激だが、今はゼウスの媚薬効果で全身が敏感になっている。スライムが動く度に甘いくすぐったさに思わず声を漏らしそうになる。
「何という、悪辣な……く、はあ、く……」
ランシアの額に汗の粒が光るゼウスが去ってから一時間ほどが流れた。
ランシアが呟いたとおり悪辣なゼウスの玩具は、一秒も休むことなく彼女の身体を舐っている。しかも、彼女の性感帯には、まったく触れもしない。スライムが蠢くのは四肢と腹部と首の辺りまで。薄く膜状に広がって身体を包み込んでいる。
「く、ふぅ……ふぅ……はぁ……うあ……ん、く……」
じわりじわりと熱が身体の芯を侵す。
明確に自分の身体を変わっていくのを自覚してしまう。
ランシアは口を開いて、荒く吐息を漏らしている。喉が渇き、だ液が粘つく。汗に濡れた髪が美しい肌に張り付いて、鬱陶しい。
(余の身体を、嘗め回すように、動くか……)
肩に纏わりついていたスライムの膜の一部が盛り上がり、ランシアの頬の触手を伸ばす。ランシアは顔を背けて触手から遠ざかろうとしたが、それで逃れられるわけでもなく頬の辿り着いたスライムはさらに頬を包み込むように面積を広げていく。
「う、ぐ、ぅぅ……」
左頬が熱い。
スライムに触れた箇所が媚薬に汚染されている。弾き返すにも呪力が必要だが、ランシアは非力に過ぎる。ただ、心を折られぬように気をしっかりと持つことしかできない。
「はあ、ふはぁ……ん、はあ……く……んぐ」
スライムに形のよい尻肉やむっちりとした太ももを揉み解され、首回りや耳たぶを嘗め回されている。汗が啜られ、変わりに媚薬が滲み出てきてランシアの肌から体内に染み入ってくる。
だというのに、スライムは決してランシアを犯さない。
穴という穴は未だに不通のまま放置されている。
ピンと立った乳首は、強められた性感を如実に表現しており、まっとうな男ならば吸い付きたくなるほどに見事であったが、これも無視されている。それどころか豊満な乳房そのものがまだスライムの猛威に曝されていないのである。
「く、……焦らして、いるのだな。余が自ら求める、ようにと!」
その意図をランシアは読み取った。
弄られれば、最も激しく感じるであろう部位をあえて放置する理由はほかに考えられない。
「だが、な。余は屈せぬ、ぞ。く、ん、この、程度のぉ、責め苦……ん!」
スライムが乳房の根元に絡みついた。優しく乳房に触れるスライムに、思わずランシアは反応してしまう。
「はあぁ……ん、この程度……!」
頭が熱に浮かされつつある中で、ランシアは呪文のように屈しないと呟き続ける。そうして気付けをして、ともすれば流されそうになる意識を繋ぎ止めるのである。
ゼウスが地下牢に戻ったのはランシアにスライムを取り付けてから三日後のことであった。
人間であればもう少しまめに見てやらなければ餓死するかもしれないが、ランシアは『まつろわぬ神』だ。放っておいても死にはしない。千五百年を生き抜いた実績もあるのだし、問題ない。
そして、地下牢にやって来たゼウスは鼻を突く女の匂いにくらくらするような気分になった。
「はぁーー、はぁーー、ん、くぅぅ……んああ……あくぅ……うああ……」
そこには足元に水溜りを作り、口から涎を垂れ流すランシアの姿があった。
汗と愛液の匂いが混ざった臭気に包まれたランシアはスライムに吊り下げられた姿勢のまま気だるげに俯いている。
「三日間の媚薬責めはさすがに堪えたか、ランシア」
ゼウスに問われたランシアはゆっくりとゼウスを見上げる。
顔は真っ赤に染まり汗と情欲に塗れている。
「ゼウス、か……はふ、はぁ……余は、まだ屈してなど、おらぬ、ぞ」
呟くランシアにゼウスは笑みを漏らした。
「身体は正直だぞ。地下牢中がお前の垂れ流したブツの匂いでぷんぷんしている。気付かないか?」
「嘘、を言うな。余は、そのような、ものは……」
そう言ったランシアの秘所にゼウスは不意に指を捻じ込んだ。
「んあーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
ランシアはここで初めて嬌声を上げた。
一瞬にして昇りつめたランシアは激しく潮を噴き出す。無理もない。三日も媚薬に漬け込まれていながら自慰すら許されず、秘所はずっと放置されていたのだ。本人がどう言い繕おうとも、ここが男を欲しているのは火を見るよりも明らかだった。
「あ゛あ゛ッ、あ、あ、あああああああああ!?」
自分の身体のことが分からないのか、ランシアは目を白黒させながら腰をびくんびくんと痙攣させる。不随意の動きがゼウスの指を後押しし、さらにランシアの膣内を刺激する。
「はひぃ! あ、か、んあああ!?」
盛大に絶頂した後、ランシアはぐったりと脱力した。
ゼウスはランシアの膣内から指を引き抜き、彼女の目の前に曝した。
「見てみろランシアの神。お前の女はこんなに悦んでいるじゃないか」
「あ、く……」
悔しそうにランシアはゼウスから視線を逸らした。
ぐちょぐちょに濡れた女陰は、ゼウスの指での刺激が忘れられないとでも言うように蠢いている。
「くぅぅ……」
ランシアは唇を噛んで屈辱を耐え忍ぶ。
身体の熱さはもはや筆舌に尽くしがたいほどで、今のゼウスの攻撃によって崩壊寸前のダムのようになってしまったことは否めない。
――――何故、もっと弄ってくれないのだ。
不意に頭を過ぎった考えにランシアは愕然とする。
(余は、何を考えて……)
「んぎぃいい!」
思考は新たな刺激に中断される。
スライムが形を変えてランシアの尻穴の中に潜り込みはじめたのである。
「な、何を、何をしているのだ!? こ、これはぁ!?」
まだ入口だけであるが、スライムはバットほどの太さの棒状となり、ランシアの腸内への入口を開いている。
「お前の中に入りたいそうだ。まあ、入っていいかどうかはお前が決めることだがな」
「な、余が、決める?」
「そうだ。お前が犯して欲しいのならば、そのスライムどもはお前を精一杯犯すだろう。今までにない至高の快楽を届けてくれる。だが、お前が望まなければそいつらは今まで通りお前の身体の表面を舐めているだけだ」
「なに……」
とくん、とくんと心臓が脈打っている。
このまま何もしなければ、今までと変わらずスライムに拘束されじわじわと媚薬を塗られることになる。――――ああ、それはダメだ。ランシアの身体はゼウスに止めを刺されたも同然だった。すでに死に体。その全員はすでに性感帯に調教されてしまっている。
「一言で終わるぞ。ん?」
ゼウスはランシアの目の前まで歩み寄り、指先で乳首を弾いた。
「はぁん!?」
電流が乳首から脳までを一直線で駆け抜けた。ほんの一瞬の閃光。しかし、それは花火のように巨大に咲き誇り、ランシアを痺れさせる。
「もう、我慢できまい。いっそ、素直になるんだな」
ゼウスはランシアの耳たぶを抓り、首筋をくすぐる。
全身が性感帯になってしまったランシアにとってはこれだけでも拷問である。
「く、かは……ふはぁ、は、あ、……ん、くふぅ……」
「そんなもの欲しそうな顔をして、情けない女神だ。ほれ、一言言ってみろ。気持ちよくしてくださいとな」
にやにやしながら、ゼウスはランシアの二つの乳首を抓る。
「ふぅうああッ。よ、せ。触るな、あ、はッ、んくぅ……」
ランシアは無意識のうちに舌先を口からだして犬のように吐息を漏らす。
もう、心も限界に達しているのだろう。
ここまでくれば、もうゼウスが一撃を加えれば墜ちるだろう。だが、それでは面白みがない。ゼウスはスライムに命じて、ランシアを解放させた。
「な、あ……?」
三日ぶりの解放。
ランシアは乱暴に床に落下した。受身すら取れず、自らが垂れ流した愛液の水溜りに落ちる。
「はあ、かは……あ、はあ……」
ランシアはすぐに起き上がれず、悶えている。落下の衝撃で軽くイッたのだろうか。
「ふ、はっ、あ……!」
ランシアは痙攣したのか、目を見開いてピクピクと震えている。
「『まつろわぬ神』もこうなってしまっては形無しだな」
ゼウスはスライムに呪力を送り込み、その形状を変化させていく。
蠢くスライムの塊から伸びた触手が、リアルな肉棒を再現する。
「あ……」
それを見たランシアは視線が釘付けになってしまう。
火照った身体は際限なく性欲を求めている。認めざるを得ないその事実に打ちのめされながら、ランシアは理性と本能の狭間で懊悩する。
身体が訴える肉欲に一度でも従ってしまえば、ランシアは敗北することとなる。
ゼウスの思うがままに支配される未来が容易に想像できるのだ。
(なぜ、それを甘美などと感じている……)
支配される――――被虐的な想像に胸が高鳴る自分がいる。
「あ、あ、く……はっ、はっ……あ、ああ……」
ランシアは自分の指を股の間に差し入れる。床に広がる自分の愛液のスープの中で、身もだえしながら自慰を始める。ゼウスが生成したスライムの肉棒をうっとりと眺めながら淫音を響かせ始めたのである。
「ん、んん、く……な、んだ。余は、何をして……!」
はっと、ランシアは自分の指を止める。
どうやら無意識だったらしい。身体に走った快感が、彼女を正気に戻したのであろう。
「どうした? 続けんのか、ランシア?」
「あ、く、み、見るな、ゼウス……余の、このような姿を……」
「お前が俺に見せ付けてくるんだろう。で、止めてしまって大丈夫か?」
ランシアの身体を蝕む媚薬の効果はまだ続いているし、これからも続く。不用意に自らの秘所を――――それも三日間の間にまともに触れられず極限まで感度を高めているそこに触れたのだ。迸った快感はランシアの感じたことのないレベルだった。
「く、ぐ、ぅ、くぅぅ……!」
悔しげに顔を歪めながらランシアは自慰を再開した。
自分の膝を擦り合わせるようにもじもじとしながら、太ももの付け根で右手を挟み込み、腰を震わせている。股の間からは、絶え間なくちゅくちゅくと音が聞こえる。
「んは、んん、ふ、は……ああ、んん、くふぅ……くひぁ……あああ、んああ」
ランシアは自由になったにも拘らず、ゼウスに抵抗することもなく自慰にふける。その顔は困惑しながらも、隠しきれぬ情欲を映し出していた。
「な、ぜ。なぜ、余は、はぁ! く、むぅぅ、う、うあぁ……指が、止まらぬ。なぜ、だぁ、あ、はあっ、んあ、こんな、感じて、余、は……ここっ! ん、くはぁっ!」
愛液の水溜りにさらに愛液を追加する。
大洪水となった秘所は止めどなく汁を垂れ流し、彼女の股の周辺を濡らしている。
言葉とは裏腹に、ランシアの痴態はさらに激しくなっている。
蜜壷をかき回す指は三本に増えていて、内側から愛液を掻き出すようにして肉壁を苛めている。
「ふはー、ふはー。はああああ……あ、こ、れ、んふぅぅぅぅ!」
ランシアの腰が跳ねたかと思うと、すぐに脱力する。どうやら、自慰で達したらしい。口を押さえて叫ばないようにしたのは最後の抵抗だろうが無駄な足掻きだ。
「どうやら、ずいぶんと淫乱な身体になったらしいな」
ゼウスはほくそ笑みながらランシアの傍にしゃがみこんで、彼女の顔を覗きこむ。
「直接性感帯を弄るのはさぞ気持ちがよかっただろう。だがな、ランシア。お前はまだこれから先の天国を知らぬ。まずは、その身体を完全に作り変えてやろう」
ゼウスがそういうと、待機していたスライムが触手を一斉にランシアに伸ばした。
「あ、な! 何をする! んはあっ!?」
困惑するランシアを触手は絡み取ると、大きな膜状に広がってその身体を丸々飲み込んだ。
黄金色のスライムの球体にランシアが浮かんでいる。
(ぜ、ゼウスの薬が、全身に!?)
再び始める陵辱劇にランシアは身を縮まらせる。この三日間、スライムが攻めていたのは四肢を初めとする末端と上体の一部のみだ。それが今度は全身、それも顔まで覆い尽くされた状態である。『まつろわぬ神』なので窒息することはないが、この時点でランシアの身体は外からしみこんでくる媚薬に悦びの悲鳴を上げている。
爪の先から毛髪の一本一本に至るまでがスライムの飲み込まれている。逃れようもなく、僅かの隙間もなく、媚薬に包み込まれたも同然だ。
「おごッ!?」
ランシアがスライムの中で唐突に口を開いた。
もちろん、本人の意思ではない。
スライムが形を変えて、彼女の口内に押し入ったのである。外から見ていると、黄金のスライムの中でランシアが口を開いているようにしか見えないが、半透明なスライムは確実にランシアの喉奥にまで侵入を始めている。
「――――――――――――!?」
声ならぬ悲鳴は、音にもならない。
喉が震え、ランシアは顔を上に向けさせられる。スライムの中では姿勢すらも自由にならないのだ。顔が上に向いたことで喉が開き、スライムはずるりと体内に侵入を果たした。
(くる、しい。このような、責めを受けたことはない! 喉の奥、腹の中にまで、敵が入ってくるなど!)
体内で暴れまわるスライムは胃を通過して腸にまで入り込む。
(あ、が……なん、これ――――気持ちイイ!? な、何故だ!? 気持ちイイだと……喉が、口が、腹が、媚薬に反応している!?)
驚愕に染まるランシアの心。
ゼウスの媚薬が体内からランシアの肉体を汚染しているのだ。その効き目は表皮から取り込んだ場合に数十倍にもなる。
無意識のうちにランシアの口内に涎が染み出てくる。それはスライムに啜り取られるが、次から次ぎへと出てくる涎が彼女の肉体の変化を如実に表している。舌が震えて、スライムを求めている。
(ああ、何という甘美な味わい、だ……もっと、味わわせて……)
知らないうちにランシアは笑みを零していた。
喉が開かれ、顎は外れそう。食道だけでなく気道にまで入り込んだスライムは肺にまで達し、隅々まで満たしている。
(ぐ、ぅぅぅぅぅ!?)
声ならぬ悲鳴を上げる。
スライムは菊穴と蜜壷を同時に犯し始めたのである。口と尻穴と蜜壷の三点に同時に入り込んだスライムは、引くことを知らずランシアの体内を突き進んでくる。
(が、ぐごお、んごあああ!? 身体が、おかしくなる! 墜ちてしまう! このように、責められたらぁ! んああああああああ、ダメだ、もうイク、またイッてしまう!? ――――ん、ぎぃ、ひいいいいいいいいいいいいいッ!?)
真白になる頭。
ゼウスのスライムはランシアの肉体を犯しているだけではない。その体内に侵入し、細胞の一つひとつに取り付いて肉体改造を施している。細胞レベルで発情させられたランシアは存在そのものが性感帯にされたようなもので、それを内も外も刺激され続けていれば思考が吹き飛ぶのも無理ないことであろう。
抵抗の意思はそぎ落とされた。
「おごぉ……くふぅぅ……」
スライムの中から上半身だけ外に出されたランシアは、ぐったりとして小さな呻き声しか上げていない。口の中から涎混じりのスライムのあまりが零れ落ちる。
まだ彼女の身体の中にはスライムがいて、絶えず刺激を与え続けていることだろう。
喉から先が、解放されたにすぎないのだ。
「あ゛、あ゛ぁぁ……」
力なく音を漏らすランシアは焦点の定まらない目でゼウスを捉えた。
ランシアは口角を上げて口を開き、舌を突き出した。まるで、ゼウスのモノを欲しがっているように。意思が失われ、ゼウスの一物を求めるだけの存在へと零落した女騎士の成れの果てであった。