まつろわぬ神が性に忠実に生きるのは自然 作:一休
「みほちゃんに飼われるに至った経緯について」と題しました。
薄暗い部屋に入ってくるのは月光と人々の営みから生まれる僅かな光のみ。それも、窓を覆うカーテンに遮られてしまい、部屋は漆黒の一歩手前に染まっている。
そこは、一般的な学生アパートの一室である。
学生生活など、ベッドと学習机があれば事足りる。その例に漏れず、室内の三分の一はベッドと机で占領されていた。
部屋の真ん中には座卓があり、枕元には重傷を負った熊のぬいぐるみが置いてある。ベッドは南側の窓の傍に置かれていて、東側の窓の下には薄型のテレビが設置されている。
部屋の主は、もうすぐ大学生になる少女である。名を西住みほといい、戦車道の名門に生まれ、彼女自身も戦車道を嗜んでいる。高校時代は紆余曲折あり、一時は戦車道を諦めたこともあったが、よき友人に恵まれ、弱小高を全国優勝に導くなどの活躍が評価され、姉と共に日本代表に選出された。
大学でも、姉と共に世界へ羽ばたく戦車道をするつもりである。
今室内には二つの人影がある。
真っ暗な中に粗い息遣いが響く。
それは異質な光景であった。
ベッドに横たえられた亜麻色の髪の少女――――みほは素肌を曝け出している。口には手ぬぐいのようなもので猿轡がされ、視覚はアイマスクで塞がれている。また、腕と足には荒縄がかけられていて、手は頭の上、足はM字開脚の姿勢で固定されていた。縄は頑丈で、みほがもがいても緩むことはない。
「ふー、ふー、ふぐっ」
みほは荒く息を吐く。
この姿勢になってどれくらい経っただろうか。目も口も塞がれ、動けなくなったみほには時間の感覚すらもない。
そのみほに覆いかぶさるようにしているのは、彼女の幼馴染の少年。一つ年上で同じ大学の二年生。整備士を志す男である。
彼は、みほの頭を愛おしそうに撫でた後、秘所を指先で擦った。
「う、ふぐっ」
みほは呻き、身を捩る。
だが、それすらも嗜虐を覚えた少年には愉悦に思えた。じっくりと嬲るようにみほの秘所に指を差し込む。初めに二本の指で刺激し、湿気を帯びてきたところで三本目を差し込んだ。結果は上々。みほが感じる場所は、すでに把握しているのである。そこを重点的に、執拗に、ねっとりと責め続ければ、彼女は善がり狂うのである。
すでに肉ひだはぷっくりと膨れて左右に開き、いつでも受け入れられる状態になっている。
人差し指で、そこを軽く引っ掻いてあげるとみほは背を反らして悦んだ。
「ふう、むう、うううううっ――――ふう、ぐうううううううっ」
くぐもった嬌声が猿轡越しに聞こえる。
びくびくとみほの腰が悦びに打ち震えている。
物欲しそうに腰を動かして、彼の指を奥のほうに飲み込もうとしているようだ。
暖かく湿ったみほの膣内を、探るように指を動かす。彼の指はすっかり根元まで入っている。その上で、愛液を掻き出すように膣内を引っ掻いた。
「ふぁう、あ、ふうー。ふううぅぅっ」
ぶんぶんと首を振るみほの乳首を軽く噛む。ここ数ヶ月での成長を感じる乳房を揉みしだき、膣内を指で押し広げる。すでに、みほの股は洪水のように愛液が溢れ出し、彼の右手を濡らしていた。
「みほ、すっかりびしょびしょだよ」
「んんー、ふううううんっ」
彼はみほの乳首を吸った。みほは口に食い込む布を噛み締めて耐える。
みほが身体を捻り、捩るたびに、ギシギシとベッドが軋んだ。
自分の身体が他人のものになったかのような感覚。男に為す術なく玩ばれる快感に、頭が酔い痴れる。
乳首を噛まれ、胸を揉まれ、アナルに性具を押し込められて、膣内をかき回される。およそ考えられる限りの性感帯を同時に責められて、みほは血が沸騰しそうな快楽を感じている。
「むうううう、ふうう、ふぐ、ふああああううううううっ」
背筋がぞくぞくと震える。イキそうだ。
「ふぅ?」
ところが、みほの限界を知ってか知らずか、責めの手が一気に緩んだ。
昇り詰めていた感覚が、急速に落ち着いてくる。
彼は、みほから手を離し、それから優しく愛撫を始めた。
力強く胸を揉んでいた指先は、肌を撫でるに止まり、膣内をぐちゃぐちゃに蹂躙していた右手は、入口を擦るだけ。
みほの身体は、まるで楽器だ。
みほの口から漏れ出る嬌声を、男が自在にコンロトールしている。
“うううう、ダメなのに。気持ちいいっ。でも、全然足りないぃぃぃぃっ”
散々に苛められたみほの身体はもはや優しいだけの愛撫では到底満足できなくなっていた。
その事実に、みほは愕然としつつ、その先を望んでしまう。
“どうして、さっきイカせてくれなかったの!? お腹の奥が熱いのにっ! もっと、奥がいいのっ! 入口はダメなのっ!”
彼の指が膣口を弄るたびに期待して、そして裏切られる。みほの膣内はすっかり餓えてしまっている。何もないのにきゅうきゅうと何かを吸い上げようとして悲鳴を上げている。
刺激が優しすぎて甘すぎる。とろとろに蕩けた身体には、地獄の責め苦に等しい。
「ふうううう、ふぉっふぉっ! ふおおう!」
みほは必死になって懇願する。
首を振り、腰を振り、可能な限りの方法で絶頂を求める。けれど、伝わらない。口を塞がれた今、みほの真意は相手に届かない。
ならば、自分でやるしかない。自分の指を股に持っていって、自分で自分を犯すしかない。
“なんで、なんで、なんで!”
みほの両手は固定されていて暴れても抜け出せないのである。どうやったところで、自慰などできるはずがない。
彼の手と舌による愛撫は、みほの表面をなぞるだけで、奥には届かない。確かにぞくぞくする。とても気持ちがいい。けれど、それが後一歩を突き抜けない。蓄積する快楽が途方もない飢餓感を生み出す。みほは喉を鳴らして唾を飲んだ。
優しさなんていらない。今のみほを思うなら、力ずくで犯しつくし、どうしようもないくらいに目茶苦茶にするべきだ。最大仰角にまでそそり立った主砲を、みほに容赦なく突き立てて、膣内を引き裂き、子宮の奥の奥まで刺し貫くべきなのだ。
ガンガンとみほは腕を暴れさせる。
「んー、ふうー、むぐうあうっ! うあうーっ!」
「おいおい、大丈夫かよ」
さすがに、みほの様子をおかしいと思ったのか、彼はみほの拘束を解いた。途端、みほはアイマスクと猿轡を乱暴に剥ぎ取って、本能の赴くままに彼を抱き寄せて、唇を咥え込むように口付けた。
「むう、んじゅう。んぐ、じゅうぅぅ、んじゅっ」
口付けというよりも吸引に近い。彼の口内の唾液をすべて吸いだして飲み干そうとしているかのように激しく、みほは求めた。
そして、口を離したみほは泣きそうな顔で彼を見る。
「早くぅ!」
みほは叫ぶように言った。
「早く、整備士さんの固いので撃ち抜いて! ぐちゃぐちゃに掻き回して! もう、我慢できないぃぃぃぃ!」
はあはあ、と荒く息を吐くみほは、自ら股を開き、彼を欲しがった。
「分かったから、落ち着けって」
彼は、みほの上に覆いかぶさり、亀頭を膣に当てた。
「ッ」
みほは身体を硬直させ、そして彼が腰を打ち付けるに及んで絶頂した。
「はうっ、いああああああああっ!」
一刺しで、みほは果てた。
「あかっ、あ、あ、あがっ。ふ。きううっ」
みほは空気を求めて喘いだ。絶頂していながら、餓えに餓えていた膣は彼の肉棒を締め上げている。みほの意思などもはや身体は考慮してくれない。ひたすら、性に溺れるだけだ。
「せ、びしさん。ちょっろ、まって。……いく、いくの、止まんないの……」
びくびくとみほは震えて絶頂の余韻を味わう。
とはいえ、男にとってこの状態を維持するのは拷問以外の何物でもない。みほの意思ではないだろうが、彼女の膣内はこうしている間にも彼の肉棒を奥へ奥へ飲み込もうと蠢いている。先端を吸い、裏筋を擦り上げ、愛液が全体を濡らす。
「み、みほ。すまん」
「ふえあっ!?」
彼は耐え切れず腰を動かす。みほの懇願など肉欲を前にすればないに等しかった。
「い、あ、ぐう、……ふぐっ、あぐぅ――――くあはっ!」
じゅぐじゅぐと卑猥な音を立ててみほの膣は肉棒を飲み込んでいく。
肉壁が震えて、子宮の入口が叩かれている。
「あ、はっ。固いぃ、すごひっ! らめぇ……こんなの、らめなのぉ……! 整備士さぁん! もっと、もっと!」
みほは、両足で彼の腰を押さえつけるように抱きついた。
「みほ……!」
「きす、きすして! んちゅっ、ん、ふう、んんーっ!」
肉棒を律動させながら、唇を重ねる。舌を絡めあい、唇を舐めあった。唾液がてらてらと口の周りを汚す。
「奥、奥来てる! あああぁぁぁ……!」
だらしない表情で、みほは快感を口にする。
みほの膣内の締め上げはどんどんと強くなり、もはや痛いくらいだ。それほどまでに、みほが欲してくれていると思うと嬉しくなる。
彼は腰の動きを変えて、「の」の字を描くように動かす。肉棒が膣内の側面を擦り、みほのポイントを刺激するのだ。
「あ、そ、そこいい。いいよぅ。気持ちいい……!」
みほの頬を唾液が滴り落ちていく。
「へあ、あへあ――――ふへああぁぁ、んあっ。ん、あ、またきちゃうっ」
昇ってくる刺激が脳に達する。
「みほ、もうっ」
「来てっ。膣内来てっ!」
彼は思い切り、最後の一突きをする。みほの全身がぎゅう、と収縮し、肉棒から精を搾り取ろうとする。
「あ、あ、あああああああああっ! 熱っ、あああ、だめへあああ!」
激しい絶頂とともに、膣内に精が放出された。
「あ、あっ……あへ、へ」
絶頂の余韻は続く。
子宮が熱い。
「あ、みほ。すまない」
「ううん。いいよ。整備士さんなら」
みほは薄らと微笑んだ。
「もう少し、このままでいて。暖かいの感じたいから」
みほは、そう言って彼の身体にしがみ付くように抱きついた。
翌朝、みほは不機嫌そうに彼を見ていた。
「すみませんでした。調子乗りました」
二人で並んでベッドに腰掛けている。
みほの白い肌には縄で擦った後がしっかりと刻まれていた。二、三日は消えそうにない。
「別に怒ってないけど、……でも、ちょっときつかったし」
「すみませんでした。って、でもこれはみほの発案じゃないか!?」
「そうだけど……」
そう、この緊縛プレイはみほから誘ったものだった。
「なんで、いきなりこんな」
そう言うと、みほは恥ずかしそうに俯いて、
「だって、沙織さんが、普通にしてるだけじゃマンネリになって飽きられるっていうから」
彼はため息をついた。
自称恋愛マスターの友人に、よからぬことを吹き込まれたのが原因らしい。
「アイツの言うことは、ときおり斜め上に行くからな」
「あはは……否定はできない」
とはいえ、いくらみほでも実行するのには勇気が必要だった。
もともと引っ込み思案なところがあるのだ。普通に誘うだけでも頭から血を吹きそうになるくらい恥ずかしいのだから、今回は非常に思い切ったことをした。
だが、それは必要なことだったのだ。
競争は激しい。
彼を狙っている敵はいくらでもいる。アドバイスをしてくれた沙織とて、以前は敵の一人だったのだ。
そして、無自覚ながらも最大級の敵が最も身近にいるとあっては、みほも心穏やかにはいられなかった。
斜め上だとしても、思い切る必要はあったのだ。
みほは、素肌の上からシャツに袖を通した。
「みほ、それ、俺の」
「知ってる」
みほは、ブカブカのシャツの袖を口下に持っていった。
「ふふ、整備士さんの匂いがするよ」
「ッ」
彼は顔を赤くしてそっぽを向いた。
破壊力が高すぎる。もう一戦できてしまうくらいに。
みほは彼に持たれかかるように彼の肩に頭を乗せた。
「ねえ、整備士さん。次、これしてみない?」
「これ? なにこれ?」
みほが彼に見せたのは、黒い革のリング。留め金がついている。
「これ、首輪。えへへ……」
首輪なのは分かるが。
「つけて」
「うん? ……え、俺が?」
みほはこくん、と頷いた。
「いやいや、待って、俺がこれをつけるの? なんか、おかしくない?」
「大丈夫。家の中だけでいいよ。ちょっとしたアクセサリーだと思って」
「そういう問題じゃなくてッ」
彼は抗議した。けれど、みほは真顔のまま、ふとあらぬほうを向いて呟く。
「今日、お姉ちゃんが来るんだよね」
「…………まほが来るのか」
「もう春だし、半そででもいいかな?」
みほは手首の痣を摩りながら言った。
そのとき、彼の背中を氷塊が滑り落ちた。
みほの手についている痣は明らかに転んでついたようなものではない。左右対称で両手についているし、場所によっては二の腕などにもある。半そでなど着られては、普通に見える。妹思いのまほが気付かないはずがない。
だらだらと汗が噴き出してくる。
「お願い、整備士さん」
みほは、彼の首に腕を回し顔を寄せて囁きかける。
「ね、……いいよね?」
そして、舌で彼の唇をなぞり、口付けをした。
彼は、まるで、蜘蛛の巣に囚われたような錯覚に陥った。囚われたら絶対に身動きの取れない、甘い罠に絡め取られた。
みほは、彼の膝の上に跨って向かい合い、首筋を舐める。
「ふふっ」
唾液に塗れた舌を出して、妖艶に微笑むみほは、かつてのおどおどとした様子など一切存在しない、魔女のような風格すらも湛えていた。