まつろわぬ神が性に忠実に生きるのは自然 作:一休
「ん、ちゅっ……ん……れろ」
深夜、誰もいないはずの拝殿に水音が響く。
「ん……ぐぽ、ぴちゃ、じゅっ」
それは、人が何かをしゃぶる音だ。
拝殿の中には男と女がいる。
男の名はゼウス。ギリシャ神話の最高神であり、インドヨーロッパ語族系共通の天空神であるが故に、同一視される神格を含めれば世界最大の版図を有する《鋼》の軍神。特に『ゼウス』は最高神としては最大の知名度を誇り、何よりも、女性を誑かすことにかけては右に出る者はいない。
そのゼウスが人間のカテゴリに於いて特に目をかけているのが、今、彼の股に頭を埋めて肉棒をしゃぶる淫らな巫女、万理谷祐理であった。
ゼウスは胡坐をかき、座っている。祐理は、ゼウスの前に四つんばいになって、肉棒を頬張っているのだ。
「ふうむ、なかなか上手くなってきたな、万理谷祐理」
ゼウスは祐理の頭をなでて、その技術の向上を寿いだ。
「あ、ありがとうございます。ゼウス様」
祐理は唾液と先走り汁で汚れた顔を綻ばせる。愛しい男に悦んで貰えたことが、事の外嬉しいのである。
祐理の心は、すっかり、この最高神の所有物と化していた。
「さあ、続けよ」
「はい」
巫女服をはだけさせ、祐理は上半身を露にする。
形のよい乳房。黄色人種にしては白い肌。それらが艶めかしく、ゼウスの前に現れる。
「それでは、失礼します」
祐理は、自らの胸をゼウスの肉棒に押し当てた。
「熱い、です。ゼウス様の、お○んちん……はあ、すごい」
うっとりとした表情で、祐理は胸で肉棒を揉みしだきながら身体を上下に動かす。
「ん、あ……」
祐理は、唾液を亀頭に垂らす。ねっとりとした唾液が肉棒に絡み、妖しく光る。それから、祐理は舌先でちろちろと尿道を責める。
皆、ゼウスが教え込んだ性技である。祐理は、その一つひとつを実践し、身に着け、ゼウスに奉仕するのである。
「ああ、ゼウス様……苦いのが出て参りました……はぁはぁ……果ててしまわれるのですか?」
上目遣いに、ゼウスの様子を確認しながら、祐理は舌も胸も休めない。
「何を言っているのだ祐理。今までに、俺の愚息が果てて使えなくなったことはあったか?」
そう問われて、祐理は、あ、と声を漏らした
「申し訳ありません。ゼウス様」
そう、ゼウスの肉棒は決して果てない。枯れない。何度でも、女に精を注ぐことができるのである。
「ん!?」
祐理の口に、ゼウスの亀頭が侵入した。突然、ゼウスの肉棒が肥大、長大化したのである。姿容を自在に変えるゼウスにとっては造作もないこと。祐理はとろんとした目で、ゼウスを見る。
口の中に感じる熱。臭気。そのどれもが、祐理の女を刺激する。どろどろとした先走り汁が、唾液と混ざり合い、口の端から滴り落ちる。
祐理は、舌を動かして亀頭をなぞり、喉を鳴らして唾と混ざった先走り汁を飲む。
「ふうー。ふうー。ん、ちゃ、んぐ、ふう、れる……」
胸から手を離し、両手でゼウスの棹を摩る。
(なんて、逞しいのでしょう。このようなモノに貫かれたら、わたし……どうなってしまうのでしょう)
淡い期待に胸を高まらせ、祐理は肉棒をむしゃぶる。じゅるじゅると卑猥な音を立て、唾液を絡めて必死に吸う。
「ん……よし、飲め」
どぴゅどぴゅ!
「んぐ、んむううう、んご、ごく、んっ」
祐理は口の中で暴れる肉棒を舌で押さえつけながら、溢れる精液を飲み下していく。
癖になる苦味。
男が、喜びに打ち震えている。嬉しい。口から引き抜かれる肉棒は、いまだに大樹のようにそそり立っている。人間の男にはありえない逞しさ。多量の精液が、肉棒を伝っている。
「もったいない……」
祐理は棹に顔を寄せ、亀頭まで裏筋を舐め上げる。舌で精液をこそぎ落とし、飲む。尿道にたまった精液も、吸い出す。肉棒がぴくぴくと震えて、祐理の口内に二度目の射精を行った。
「はあ……」
精液を飲む干した祐理は、一息ついた。
「万理谷祐理。股を広げてみろ」
「は、い」
祐理は、おずおずとM字開脚をする。
「巫女ともあろう者が、しゃぶるだけですっかり濡らしているではないか」
緋袴が一部変色している。祐理の股から溢れた愛液が、濡らしているからだ。
「あ、ああ、見ないでください……これは……」
祐理は顔を両手で覆う。
「今さらであろうが、俺の肉棒を美味そうにしゃぶるお前が羞恥など感じてどうするのだ」
「う、うう……そ、それは」
「さて、肉棒が欲しいか、万理谷祐理」
ゼウスは祐理に問いかけた。
「う……はい、ゼウス様。お、お○んちん。欲しいです」
もじもじとしながら、祐理はねだる。
「よかろう。ただし、今宵の相手は俺ではない」
「え……?」
ゼウスが指を鳴らすと、そこに現れたのは一頭の大型犬であった。
「あ……え?」
「以前、俺とやったとき、お前は発情した雌犬だと言ったであろう。犬なら犬とするのが当然だ。違うか?」
犬なら犬と……つまり、自分はこれからこの大型犬に犯されるということなのか。
「そ、そんな! ぜ、ゼウス様!」
「ハハハ、心配するな。これは、俺の使い魔。本物の犬ではない。道具を使うモノと思え。肉棒が欲しいのだろう?」
ゼウスに問われて、祐理はうっかりその犬のモノに視線をやった。
だらりと垂れ下がった、犬の一物。
「う……あ」
じゅく、と秘所が濡れる。口の中が唾液で一杯になり、生唾を飲んだ。
「くく、すっかり雌犬ではないか。かの犬も我慢しきれぬ様子だ。さっさと緋袴を脱いで尻を出すのだ」
ゼウスは祐理を四つんばいにさせ、形のよい尻を露出させる。
「ぜ、ゼウス様……」
「万理谷祐理。お前、顔が期待で一杯という様子だぞ」
「そ、そのようなことは……」
「鏡で確かめてみよ」
ゼウスが祐理の前に鏡を置いた。そこに映っているのは、蕩けきった女の顔。いったい、これは誰だろう。だらしなく涎を垂らし、発情し、微笑んでいるではないか。
「これ、わたし……」
「そう、犬に犯されるのが楽しみで仕方がないという雌犬。万理谷祐理だ」
「あ、違います……これは……」
否定の言葉に力はなく、そして祐理の両手は自分の尻を鷲掴みにして秘所を広げている。言葉と行動が一致していないのである。
「身体は正直だな」
たらたらと愛液が糸を引いて零れ落ちる。
「ゼウス様。わたし、ゼウス様に……」
「やれ」
祐理の言葉が終わる前に、ゼウスは無情にも犬に命令を発した。
犬は、祐理の身体に覆い被さるとそそり立った一物をずぶり、と膣内に挿入した。
「あひいいいいいいいっ!」
祐理は舌を突き出して叫んだ。
「あ、かはっ……あ……」
犬に、犯された。ショックのあまりに言葉を失う。だが、そんな祐理に、犬の使い魔は容赦なく腰を打ちつけてくる。
「うあ、ひえあ、おおあっ、ダメ、です。こんな、はしたなっ……あああっ!」
犬の律動は、祐理の都合など一切考えていない。もとより獣。相手のことを慮る思考などありはしない。
「ひっひっひっ、ひぐっ。んあ……うあああっ。そんな、乱暴……奥、だめえええ」
祐理と犬の結合部からは、どちらのものとも分からない汁が滴り落ち、甘ったるい発情臭が拝殿に満ちる。
嬌声を上げてダメダメと首を振る祐理だが、実際のところ自分の尻を両手で揉み、さらに快感を得ようとしている。
「好きなのだろう。犬のように犯されるのが」
「ち、違いま、おほおお、えぐ、抉らないで、くださっ。ひいん、止め、あああ」
息も絶え絶え、胸が揺れ、言葉は続かない。犬の荒い吐息が、祐理の耳朶を打つ。犬も興奮しているのだ。自分の身体で。
だが、そこで、急に犬の律動が止まった。
「はえ……?」
どうしたのだろうか。祐理は疑問符を頭に浮かべる。
「コレを見ろ」
ゼウスは祐理の前に四角い小さな箱を置いた。
「これ、は……」
「その犬のコントローラーだ。今は見てのとおりスイッチが入っていない。ゆえに、ソイツは動かない」
祐理は、震える手でコントローラーを取った。
構造は簡単で、電源のオンオフと、強弱。これだけだ。強弱は三段階に分かれていて、弱、中、強から選べるらしい。
「今までのは弱だった」
「弱……」
今までのが、弱。信じられない。あれほど激しく腰を打ちつけてきたのに。あの太い肉棒で、あれほどまで強引に膣内を抉っていたのが、まだ弱だというのか。
「こ、これを、どうしろと……」
「お前に貸そう。やめるもよし、使うもよしだ」
「それ、は……」
今、止めてしまっても問題ないということである。
この肉棒を引き抜いて、身なりを整えてこの神社を辞してもいい。
今、祐理は重大な選択を迫られているように感じた。はしたない行いは、厳禁。いやらしいことをしてしまっていたが、それはゼウスに強要されたから。そう言い聞かせてきた。
「はぁ……はぁ……ん」
生唾を飲む。
一思いに、肉棒を抜いてしまえ。そうすれば、この快楽から解放される。だというのに、身体が動かない。
「ど、して……」
動きたくないのである。動かなければならないのに、動きたいと思えない。道理と我欲がせめぎ合っている。これまでの人生では、真面目に生きてきた。それは道理を我欲に優先させていたからだ。だが、ゼウスに出会い、快楽を教え込まれた祐理は、我欲が道理に勝り始めていた。優越など競うまでもないほどに。
息が、徐々に荒くなる。
酷い誘惑がある。膣内に取り残された肉棒を、身体が動かせと命令してくる。
「ああ、あああああ、なんでぇ……こんな、だめ、なのにぃ」
泣きそうな顔で、祐理はコントローラーのスイッチに指をかけた。
「くく、いいのか。万理谷祐理。お前は、今、自分の意思で快楽に墜ちようとしているのだぞ?」
ゼウスの問いかけに、祐理は思いとどまった。
(あ……わたし、何を)
ゼウスに言われたとおりだ。浅ましい思いに敗れて、快楽を求めようとしていた。これまではゼウスに求められたからという言い訳ができた。だが、これに負けることは、自分でその道を選んだことになる。
(で、でも……)
祐理は歯を食いしばる。汗が噴き出してくる。快楽に耐えることが、これほど苦痛を伴うことだとは思わなかった。
「そら、どうした。やめるならはやくしなさい」
ゼウスは犬の尻を叩く。すると、その振動が祐理の膣内にも伝わる。
「うあああっ」
ぶしゅ、と待ちかねたように愛液が噴き出した。
「あ、い、いま」
「なんだ、イッたのか」
イッた。まさか、たったこれだけで。驚愕しながらも、納得している自分がいる。今のは、気持ちがよかった。ならば、もっと、もっと抉ってもらえれば……。
再び祐理はスイッチに指をかけた。それは、半ば無意識の行動である。ゼウスはそんな祐理の顎に手をかけて、上を向かせた。
「万理谷祐理。お前の、心の赴くままに行動するのだ。ここには俺以外に誰もいない。誰が、お前を責めることがあるか。好きなように乱れ、堪能するのだ」
それは、甘い誘惑の肯定。祐理が我慢することの無意味さを説く言葉。誰もいないこの場でなら、どれだけ道理を無視したところで責められない。
心が、屈していた。
我慢なんて、できない。
逞しい肉棒で、奥の奥まで突いて欲しい。
「う、うああああああ!」
祐理は、負けを認めた。
カチ、と、自らスイッチを押した。途端に、律動を再開する犬の使い魔。
「おおう、おおおあ、あくうううっ。すごい、すごいですぅ。こんなぁ」
ガンガンと、犬は祐理を責め立てる。祐理は嬉しそうに鳴いている。
「あ、ああ、気持ちいい、です。もっと、もっとぉ!」
祐理自ら腰を振る。じゅぼじゅぼと、いやらしい音が響く。
そして、祐理は頬を床に擦りながら、コントローラーを見た。強度が弱になっている。迷わず、強を選択した。
瞬間、じゅぶり、と奥が抉られた。
「うぐ……!?」
さらに、肉棒がドリル回転を始めた。もはやそれは律動とは比べ物にならない多面的な攻撃。肉壁が押し広げられ、さらに抜き先が連続し、カリが襞を引っ掻く。
「あぎあああああああ、ぐあぎああああああ!!」
祐理は背中を反らして叫んだ。
「ひぎぎゃあ、な、あが、死、死んじゃ、うおおおおおおおおお」
あまりのことに、祐理は涙と涎を流して咽ぶ。
だが、その顔は、舌をだらりと垂らした笑顔であった。
「あへ、あへああ、ぎぼぢいいい。こんら、これ、しゅごいいいいいいいいっ」
その嬌声は拝殿の中に響き渡る。
お淑やかな大和撫子。学校ではそう評される美貌の少女は、いまや犬に犯されて快楽を叫ぶ雌犬に成り下がった。
「子宮、子宮がでちゃうううう、ああ、いい、いいですぅぅううう!」
祐理の意識が吹き飛ぶまで、獣姦は続いた。
すべてが終わった後、祐理は脱力して倒れていた。やっと意識が戻っても、体力までは戻らない。身体の火照りも、鎮まってはいなかった。
「万理谷祐理。どうだったかな。まあ、答えは言わずとも分かっているがな」
祐理は頬を紅潮させ、俯いた。
自分の痴態を思い出したのであろう。
ゼウスはそんな祐理の顔を上げさせ、口を吸った。じゅるじゅると唾液を吸い、送り込む。
「んあああ」
祐理の口の中を味わう。祐理はあっという間に女の顔になった。あれだけやったにもかかわらず、ずいぶんと淫らな女である。
「くく、一つ聞こう」
「はい」
「お前の知り合いに見目麗しい娘をいるか?」
祐理はそう尋ねられて思案した。考えるまでもない。自分以上のプロポーションを持つ媛巫女とは、幼馴染だ。
「はい、おります。しかし、それが」
「連れてくるのだ」
「え?」
彼女を――――友人を、ここに連れくるということが、どういうことになるのか。祐理は身をもって知っている。
「そ、れは……」
「もしも連れてきたのであれば、その時は、お前のことを目一杯可愛がってやろう」
そう言われて、祐理の心は高鳴った。それは、今回のように犬に犯されることもなく、ゼウスに愛されるということ。答えは実にあっさりと決まった。
「分かりました。すべては、ゼウス様の仰せのままに致します」
祐理は、ゼウスの愛のために友を売る決心をした。
□
祐理が獲物を連れてくるまでの間、ゼウスは暇を玩ぶことになった。
無論、アテナやメティスに奉仕させることもあろう。しかし、それも毎日では飽きてしまう。適当に街をうろついて、それとなく女を連れ込み、犯してみても、同じ人間でありながら祐理ほどの快感を得ることができない。やはり、女としても巫女としてもあの娘は一級品であった。アテナとメティスを嬲って楽しんだ後、賢者モードの頭で考える。
そろそろ、新いメスが欲しくなってきた頃である。祐理の友人も楽しみであるが、女神を犯してみたい。
そう思っていたときだった。
ゼウスの探知網に、強力な呪力の持ち主が入ってきた。
これは、《鋼》の気配。
どこぞの軍神と……神祖であろうか。
面白い。
しばらく運動していなかったこともある。一つ、遊んでみよう。
そう、ゼウスは暇を持て余していた。
らしくもなく、戦おうと思うくらいには。
「く、……まさか、卿ほどの神が巣食っているとは思わなかったぞ。まつろわぬゼウス!」
全身をプレートアーマーに包んだ軍神が歯噛みして槍を振るう。雷撃と風刃を弾き飛ばし、天かける馬を操る。
「ふん、ここは俺のお気に入りの国でね。あまり派手に暴れられるのは困るのだよ。まつろわぬランスロット」
バリ、とゼウスは雷撃を飛ばす。
「最強の征服神殿と刃を交えることができるとは、長く生きてみるものだ、な!」
ランスロットは馬に鞭を入れて加速する。雷を帯びた超加速はしかし、
「雷で俺に敵うとでも?」
雷神でもあるゼウスを前に通じることはない。ランスロットは一瞬にして加速力を奪い取られてつんのめる。
「なるほど。騎馬の神ゆえに雷を友とするのか。ああ、遊牧騎馬民族にとって、天を翔ける雷光を馬と同一視するのは無理のない話だ。お前が雷撃を放てるのもその観点だろう」
だが、とゼウスは笑みを作る。
「それは、すでにまつろわせた」
ゼウスが天に手を振り上げると雷鳴と共に天馬が舞い降りてくる。真っ白の馬は、雷光を伴って、真っ直ぐにランスロットに向かう。猛烈な雷撃を伴うタックル。
「ペガサス。俺の雷撃を運ぶ神獣だ。元は古代アナトリアにいたルウィ人の雷神だがね」
ペガサスの体当たりを、ランスロットは楯で受け止める。
「く……なんと重い」
「神祖を救うために俺を足止めしたのは誉めてやろう。そして、そのような中途半端な状態で互角に戦っていることもな。さすがは最源流の《鋼》だ」
ゼウスの目は、ランスロットが本調子ではないことを見抜いていた。奇妙な呪術によってまつろわぬ性を封じられている。おそらくは、あのグィネヴィアとかいう神祖がかけたのであろう。彼女を守護するように思考の一部を縛っている。
「まつろわぬ神として俺の前に立っていれば、もう少しは戦えただろうに」
ゼウスはシャマシュから簒奪した重力制御の権能でランスロットの身体に重圧をかける。
「ぬ、ぐ。これは……!」
「神殺しならばまだしも、一応神の手による権能だ。その身体で破れるものではないぞ」
重力の檻に囚われたランスロットは急速に減速する。それが、彼の意思によるものではないのは明らかであろう。
「では、さらばだ。男に興味はなくてな。さっさと権能だけ置いて不死の領域に還るといい」
ゼウスは死刑宣告を下し、今までで最も強大な雷撃の矛を生成、投撃した。
避けられた?
いや、呪力の拡散も炸裂も確実に敵の身体に直撃したことを物語っていた。ならば、防いだということか。まさか、重力の折を抜けることすらもできなかった身体で百パーセントのゼウスの雷撃を防ぎきれるはずがない。
「だが、権能が増えないところを見ると、やはり倒しきれてはいないらしい」
仇討ちに動かれても困る。神祖を負うべきか否か迷ったが後顧の憂いを取り去るほうが重要と考え、撃墜したランスロットを探した。
『まつろわぬ神』は呪力の塊。それも事象を書き換えることを可能とするほどのだ。ならば、捜索は容易い。
「さて、隠れる力すらないようだ。ああ、ついでにプレートアーマーの下も確認してやるか」
そう呟いて、ゼウスはランスロットが墜落した山の中に足を踏み入れた。
そして、蜂蜜色の髪をした女神が気絶しているところに行き会った。
「大丈夫かお嬢さん! 今助けるぞ!」
視認と同時に神速に突入。女神の傍らに跪き、抱きついてキスをした。
「は、俺としたことが、出会い頭に接吻とは迂闊」
あまりの美しさに我を失ってしまったが、落ち着いてみてみれば、彼女は火傷を負っているではないか。籠手や脛当の形状を見ても、間違いなく、
「ランスロットは女だったのか。危うく消し炭にしてしまうところだったぞ」
危ない危ないと、ゼウスは額に浮かんだ汗を拭った。
「さて、《鋼》の女神か。それはそれは、実に珍しい。これは、連れ帰らねばならないッ」
使命感に燃えて、ゼウスはランスロットを肩に担いだ。これは戦利品である。ランスロットを撃破したことで得たゼウスの所有物なのである。
そして、ゼウスはランスロットを立川の拠点に持ち帰った。