まつろわぬ神が性に忠実に生きるのは自然 作:一休
世界の裏側、呪術の世界に於いて、最も代表的な神々の分類に《鋼》と《蛇》の属性がある。
《蛇》は主として地母神に与えられる属性で、大地や水、不死、死などと関わりが深く神話上で討伐される対象として描かれることが多い。そのため、神話上の悪の化身、『竜』の姿を持つものが多い。
《鋼》は討伐する者。《蛇》の天敵であり、簒奪者である。存在そのものが『剣』を暗示しており、水や火と関わりを持つ。軍神の中でも、とりわけ好戦的で《蛇》を討伐する伝承を持つ者はその多くが《鋼》の属性を持つ。ギリシャ神話ではゼウスやペルセウス、アレースやヘラクレスと言った征服者が《鋼》であり、日本にもスサノオやヤマトタケル、不動明王やタケミカヅチと言った剣の神が存在している。
そして、《鋼》と《蛇》の関係を表す神話類型として取り上げられるのが、『ペルセウス・アンドロメダ型神話』である。
これは、《鋼》のペルセウスが《蛇》の海獣を討伐し、その海獣の零落した姿であるアンドロメダを娶るという形で征服を描いている。スサノオがヤマタノオロチを討ち果たし、クシナダビメを娶る形が日本にあるように、世界各国に散見されるが故に、神話類型として成立する。
このような流れを見ていると、《鋼》の軍神は基本的に男で構成されるグループだということがわかる。
女神でありながら《鋼》とは、いったい如何なる事情であろうか。
ランスロット・デュ・ラック。
ベッドに寝かされた彼女は、呪力の消耗が著しいために未だ、意識を回復するに至っていない。
いや、そもそも存在そのものが怪しい。
おそらくは、彼女に施された呪術の所為だろう。
通常、神が現世に降臨する際、何かしらの歪みが生じ『まつろわぬ神』に変貌する。それを防ぐには、幽界に隠居するか、死を得て神話の世界に戻るしかない。だが、彼女はそうならないような細工をされているようだ。
おそらくは共にいた神祖グィネヴィアによるものだろう。
そのため、ランスロットは本来の戦闘能力を発揮することができず、ゼウスの圧倒されてしまったわけだ。
「難儀なヤツよ」
今、アテナとメティスはこの空間にはいない。二柱は《蛇》の女神であるため、《鋼》のランスロットの戦闘能力を底上げしてしまう恐れがあったからである。
「なんにせよ、俺が征服することには変わらぬがな」
ゼウスはランスロットの頬をなでる。すべすべとした肌理の細かい肌だ。犯し甲斐がありそうではないか。
「ともあれ、元々は
くく、とゼウスは笑う。
ランスロットの正体は、すでに見えた。鎧を纏った状態では霊視も困難であるが、素顔を見た今はそうでもない。アテナたち知恵の女神もいるこの状況で、素状を隠すことなど不可能である。
ランスロットが何故女神なのか。それは、ランスロットはとはそもそもどのような神なのかという命題に突き当たる問いである。
ランスロット・デュ・ラック。
アーサー王伝説に登場する騎士であり、円卓の騎士を二分しブリテンの崩壊を招く要因を作り出す人物である。高潔な騎士でありながら、王の后であるグィネヴィアと不倫関係にあり、それによって栄華を極めたアーサー王伝説は終焉に向かっていく……。
アーサー王伝説の中では紛れもなく中心人物である。
「だが、ランスロットという騎士は、他の騎士と異なり起源が存在しない」
アーサー王のモデルは実在の人物とされている。といっても、五世紀ごろのブリテンはローマの属州であり王たりえない。事実十世紀の書物『カンブリア年代記』ではアーサーは一武将というものでしかない。
それが急速に形を変えたのは、一一三六年、ジェフリー・オブ・モンマスが記した偽書『ブリタニア列王記』が切っ掛けであろう。
それによると、トロイア戦争を生き抜き、イタリアでローマを建国したアイネイアースを祖とするブルータスが後に自らの名をとってブリテンと名付けられる島で初代の王となる。時代は、旧約聖書に見える契約の箱が失われた頃だという。そして混沌とした時代がその後続き、五世紀ごろに現れたアーサー王によって、やっとブリテンは統一される。この『ブリタニア列王記』がアーサー王を大陸にまで広げた要因となったことは確かであり、それによってアーサー王は文学作品の題材になっていくこととなる。
『ブリタニア列王記』でアーサーは初めて王として描かれ、選定の剣を抜き、マーリンと共演し、死後、アヴァロンで眠るのである。
始まりが偽書ならば、その後の展開は文学である。しかし、アーサー王には《鋼》の特徴が存在している。スキタイから広まった『大地に突き立つ剣』や、魔法の鞘による『戦場に於ける不死』などである。尤も、アーサー王のモトネタが魔王殺しの権能を有する最強の《鋼》なのだから当然とも言えるが。
そして、アーサー王に従う騎士たち。彼らにもモトネタがある。ケイ卿は川の神カイ、ガウェイン卿は軍神グワルフマイ、べディヴィエール卿は隻腕の軍神ベドウィールなどである。
が、しかし、ランスロットにはそれがない。
初出はクレチアン・ド・トロワの『ランスロまたは荷車の騎士』。
フランスにアーサー王文学が輸出されてからの登場である。それだけを見れば、フランスの吟遊詩人が適当に捜索したキャラクターにも見えるが、彼の別名は『湖の騎士』。育ての親は『湖の貴婦人』。竜殺しまでやっている。つまり《鋼》だ。
結論を言おう。ランスロットは、神祖グィネヴィアによって創作された神である。
目的は、アーサー王伝説を普及することで、彼女の主である『アーサー』を招来することである。
だが、それだけではランスロットが女神である理由にはならない。アーサー王伝説を下地にしてランスロットが降臨するのであれば、それは男の軍神となるはずである。
しかし、この女神を基にしてランスロットの伝説を構成すれば話は変わる。
このランスロットは十二世紀の時点ですでに自らを崇める民族を失っていたのだ。神話の消滅ともに『まつろわぬ神』は己の名を失う。世界を放浪する中で、新たな名を獲得することもあるだろう。彼女が、グィネヴィアの元となった女神と最強の《鋼》に出会ったのは、そんな折だったのだ。五世紀のブリテンで、三柱は手を取り合い魔王殺しに明け暮れた。その果てに、最強の《鋼》は眠りに就き、グィネヴィアの元となる女神は自らの命を糧に聖杯を生成、神祖へ墜ちた。そして、槍の女神は、神祖となったグィネヴィアに縛られて彼女を護衛する任を負った。
「そして歴史が流れて十二世紀。アーサー王文学を広めるに当たって、ランスロットの名を得た。実に面白い、数奇な運命ではないか」
そして、彼女の源流は、アマゾネスであろう。ギリシャ神話にも登場する女だけの部族。《鋼》の軍神アレースと水のニンフを祖とする強力な部族であり、後にスキタイと混血してさらに強大な騎馬民族サウロマタイへと変貌する。ランスロットはアマゾネスの女王ヒュッポリュテを原形として騎馬民族の中で発展した、戦いの女神なのだ。
「サウロマタイも紀元前の内にサルマタイへ吸収される。そして、弓を主武装とするスキタイを全身を武装して長剣を振り回す圧倒的な打撃力で撃破した。お前が弓の神ではなく槍の神として顕現した理由だな」
彼女はその時代に崇められた戦女神なのだろう。そして、こうした遊牧騎馬民族の栄枯盛衰は数百年おきに繰り返される。
サルマタイもフン族によって駆逐され、アラン族などに分裂して消滅する。五世紀中頃に登場したフン族のカリスマ、アッティラの頃には、すでにサルマタイは従属化に置かれていた。ランスロットが名を失ったのもこの頃であろう。
ランスロットが女神である理由は知れた。暇つぶしにはなったか。何れにせよ、《鋼》の女神などそういるものではない。ここで味わっておかなければならない。
「ぐ、ぬ……卿は……なぜ、余を生かす」
ちょうどよく気がついたランスロットが、ゼウスに尋ねた。
「目覚めた直後に状況を理解するとは、さすがだな槍の神」
「なるほど。余の来歴を視たか」
「最強の《鋼》に従う《鋼》の軍女神。実に興味深い」
ランスロットは眉根を寄せる。
「ランスロットよ、俺の女になれ」
「何を言っている。卿は、《鋼》の軍神ではないか。まつろわせるのは《蛇》の女神だろう」
「《鋼》としてはな。だが、俺はゼウスだ。女をまつろわせるのが俺の性でな」
驚愕するランスロットにゼウスは己の性を語る。
「こう言い換えよう。お前は俺の戦利品だ。俺との戦いに敗れ、まつろわされたのだ。ゆえにその身体は俺のモノだ」
「……っ。なるほど、そうくるか」
「何なら、お前のまつろわぬ性を縛り付けている呪縛を解いてやってもいいぞ。尤も、その時には代わりに俺がお前を呪縛するがな。だが、貴様の戦人としての性までは封じないと誓おう。そう、お前の原典であるサルマタイの女のように、戦を仕事としても構わんぞ」
ゼウスの言葉そのものに呪力が備わっているのか。ランスロットの心は揺れ始めていた。もとより、今の生活に不満がないわけではなかった。美しい少女を守るのは、問題ない。だが、性を封じられたために全力で戦うことができず、激烈な戦いが失われてしまった。それが実に八百年も続いている。性を封じる呪縛が緩み始めていることもあり、近年のランスロットは実に欲求不満であった。
「サウロマタイでは、男を殺したことがない女は嫁にいけないらしいな。お前は何人殺している? そろそろ身を固めてもよかろう」
「そのような理由で、余が身体を売るとでも思っているのか」
「ハハハ。ならば、取引といこう。お前が八百年、いや、今のグィネヴィアはまだ百年と経っていないらしいが、それほどの長きに渡って守ってきたあの娘。次に俺に突っかかってきたとしても酷い目にはあわせないと誓おう」
「愛し子を質にするか」
ランスロットは忌々しそうな顔をする。
どうあっても、ランスロットに逃げ場はない。まともに戦えば死ぬのは道理。『まつろわぬ神』ではないランスロットは全力を出すことができず、しかも長期戦も不可能という欠陥を抱えている。その反面、ゼウスは最強クラスのまつろわぬ神。実際に撃墜され、ランスロットの呪力は未だに回復していない。全回復にも数日、いや、もっとかかるはずだ。
「なるほど。余に拒否権はないらしい……だがな、ゼウスよ。卿に容易く従う余ではないぞ。逆に、余が卿をまつろわせてくれよう」
不敵な笑みを浮かべて、ランスロットは笑った。
□
そして、ベッドには裸に剥かれたランスロットが仰向けに寝そべっていた。
白い肌に蜂蜜色の短い髪。確かに《鋼》の気配を感じるものの、女の色気がすばらしい。大きな胸にくびれた腰。整った顔立ち。強気な表情の裏に、かすかに不安が見て取れる。
「ゲームのルールは負けを認めたほうが負け、か。なるほど、《鋼》の余たちには都合のよいルールだな」
「これは男と女の勝負だ。俺はこれからお前を女にしてやる。だが、それでお前が満足できず、且つ俺を満足させてしまえばお前の勝ちとなるだろうな」
「ふ、ふふ。いいだろう。かかってくるがいい。《鋼》の軍神たる余は、そう易々と降伏はせぬぞ」
ランスロットは股を広げてゼウスを誘う。挑まれた勝負を買わずに逃げるなどありえない。まして、今のランスロットは囚われの身だ。勝負をすると言うこと事態がゼウスからの慈悲であり、そしてランスロットを確実に支配下に置く儀式であると承知している。だからこそ、面白い。ランスロットには性交渉の経験はない。未知の勝負ゆえに結果がどうなるか分からないのである。
しかし、それが勝負事であれば、勝利する自身があった。
「では、いくぞ」
そして、ゼウスはランスロットの肌を嬲り始めた。
「何をしている」
「なんだ、お前。まさか性に関する知識がないとか言わんだろうな?」
「知っている。だが、卿のそれは……ん」
ゼウスがランスロットの乳首を摘む。すると、甘い刺激がランスロットの身体に走ったのだ。
「なるほど、子作りのなんたるかは知っているが、その過程を知らんと言うことか。《鋼》の神ゆえ仕方ないか」
戦いに生きた彼女には、地母神のような母としての側面がない。ゆえにそちら方面の知識がないのであろう。なによりも、こうして男に身体を見せる機会が今までになかったのだから当然か。
「ならば、教えてやろう」
ゼウスは豊満な乳房を鷲掴みにして揉む。柔らかく弾力のあるそれは、メティスやアテナにはないものである。尤も、ゼウスにとってそれを玩ぶことなど造作もない。
(なんだ、これは)
普段、鎧に守られた胸を揉まれる。それは奇妙な感覚であったが、何よりもそこから脳に響く刺激がなんとも甘美だった。
ゼウスは力任せに胸を揉むのではなくリズムをつけて、ランスロットの身体と会話をするように手を動かしている。
戦の興奮とは異なる、悦の感情が無理矢理表出されているかのようだ。
乳房だけではない。乳首の先を指先で擦られると、むずむずとした感覚を覚えて腰を浮かせてしまった。腹部を撫でられたときのくすぐったさにすらゾクリとする。
(なるほど。これが、所謂前戯というものなのか)
ランスロットは自らの体温と心拍の上昇を冷静に感じ取っていた。呼吸も徐々に荒くなってきている。他人が身体に触れていながら、心地よいと思ってしまう。あらゆる女を魅了する技に、ランスロットも捕らえられ始めていた。
だが、戦女神であるランスロットは、この勝負には負けられない。このままではまずいということが分かった以上、抵抗はする。
「待て、ゼウス。卿は卑怯な振る舞いをしているぞ」
「なんだ」
「今のままでは、一方的に余が攻められているだけではないか。これでは勝負とは言わぬ」
「要するに、お前も責めさせろと?」
「うむ。その通りだ」
ランスロットは頷いた。これが勝負事であるからには、ランスロットとゼウスの双方に攻撃権がなければならない。
「だが、お前、責めるにしてもやり方わかるのか?」
「……」
ランスロットは口篭った。
知るはずがない。槍を振るい、剣を振るい、戦場を駆けるだけの一五〇〇年である。男の悦ばせ方など、学ぶ機会があるはずがなかった。そういう意味でも、この勝負はゼウスが圧倒的優位に立っている。
「ふむ。では、こうしよう」
ゼウスはランスロットとは枕の向きを逆にしてベッドに寝そべった。
「ランスロットよ、ハンデを与えてやるぞ。一つ性技を教えてやろう。尻を俺の顔の上に乗せ、お前の顔を俺の脚のほうに向けるのだ。ああ、うつ伏せでな」
ランスロットはいぶかしみながらも言われたとおりにする。ゼウスの顔を跨ぐようにする。すると、自分の秘所がゼウスに丸見えになってしまうではないか。さすがに、これにはランスロットも羞恥を覚える。
「こ、この体勢に意味はあるのか」
「ああ、あるとも。お互いに責められるだろう」
ランスロットの目前に、そそり立つ大樹がある。互いに、性器を露にしているのである。
「しかし、驚いたな。すっかり出来上がっているようじゃないか」
ゼウスはランスロットの秘所を指で穿った。
「う、あ!?」
びくん、とランスロットの腰が跳ねた。
今までにない激しい刺激だった。直接、弄られるのがこれほどの衝撃だとは。
「まさか、降参か?」
「そんなはずがないだろう」
強気にランスロットは言い返す。
「よかろう、俺の肉棒をしゃぶれ」
「な、これをか」
グロテスクな形をした性器。自分にはない器官であるが故に興味あるが、しかし。
(凄まじい臭いだな。こんなにも大きく、太くなるものなのか)
眼前に聳える肉棒の大きさに唖然としつつも、ゼウスに言われたとおりランスロットは肉棒を咥えた。
口の中に広がる苦味に顔を顰めつつ、ランスロットは次の指示を待った。不思議なことに、口に咥えていると涎が溢れてくる。決して美味いわけではないのに、熱と臭気と苦味がランスロットの何かを刺激している。
「では、俺の動きを真似るのだ」
ゼウスはそういうと、ランスロットの秘所に舌を差し入れた。
「ふうっ!?」
ぴく、とランスロットはそれに反応してしまう。
自分の中を舐められている。びちゃびちゃと水音が聞こえてくる。気持ちが悪いのに、気持ちがいい。秘所から愛液が溢れ出て、太ももを伝い落ちていく。
「ん、ああ。む、ふうう」
ゼウスの舌がランスロットの膣内を味わっている。襞を押し広げ、愛液を啜り、クリトリスを捏ね繰り回す。
思考が熱を帯び、ぼう、としてきてしまう。このままでは押し切られる。
「ん、ん、んう。じゅるるる、じゅる、じゅぼっ」
ランスロットは負けじとゼウスの肉棒を啜る。だが、その技は口に咥えて吸うだけだ。ランスロットほどの絶世の美女がそうしているというだけでも射精モノであるが、ゼウスからすればそれだけでは足りない。
「なんだ、まったくダメではないか。ランスロット。攻めが甘いぞ」
そう言って、ゼウスはランスロットの尻を掴み、思い切り秘所に口付ける。そして、じゅるじゅるとランスロットの秘所を吸う。
「んひいっ!」
ぷしゅ、とランスロットが潮を噴いた。ゼウスの顔が愛液に濡れる。
「なんだ、イッのか。では、この戦い、俺の勝ちだな」
ランスロットはくて、とゼウスの股に顔を埋め、荒く息を吐く。肉棒は相変わらず天を向いている。
全身で感じるゼウスの体温。数ミリ先にある肉棒から漂う淫らな臭気。それらが、ランスロットに安らぎと興奮を与えてくれる。これに身を委ねたら、間違いなく帰ってくることができないと理解させられる。
ランスロットはゼウスの肉棒の側面にキスをする。
「あ、甘いぞ、ゼウス。余は、まだ負けていない」
肉棒をがっしりと鷲掴みにする。
「ふふふ、まだだ。勝敗を別つのは、負けを認めることだったはず。余は、まだ認めていない……」
「なるほど、では頑張ってみるのだな」
ゼウスはランスロットの膣口を両手の親指で広げる。
「くく、ランスロット。お前のここは、蜜を滴らせてだらしがないな」
「ひ、広げるなゼウス。そのようなところ……」
「今さらだろうが。さっきから、俺はお前のここを味わっているのだぞ」
じゅじゅじゅじゅと、ゼウスはランスロットの愛液を啜る。
「むぐう、ぐうううううっ」
ランスロットは唇を引き結び、片手で抑えて嬌声を堪える。声を上げるのは、相手に媚びている証拠である。
「つ、次に果てるのは卿のほうだぞ」
ランスロットは、ゼウスの責めから学ぶ。ただ吸うだけではだめだ。如何に刺激するかがポイントとなるのだと。どこが気持ちよくて、どのように責めれば陥落するのか。それは城攻めによく似ている。なるほど、そう考えれば、創意工夫次第でどうとでもなるような気がする。
そして、ランスロットは責め方を変えた。まず、弱所を探る。舌先で肉棒をつつき、指先で亀頭を捏ねる。カリ首をなぞるように舌を這わせると、ゼウスの肉棒が震え、じわりと先端から透明な液体が滲み出てきた。
ランスロットは目を見張り、そして相好を崩した。
「ふふふ、ようやく掴めてきたぞ。これが、先走りというヤツだな。……ぺろ」
ランスロットは舌を伸ばして、先走り汁を掬い取る。
「苦いな。美味とはとても言えぬ。が、不思議と癖になるな」
ランスロットはスンスンと臭いを嗅ぎ、甘い吐息を漏らした。
「ここからが、本番だ」
そして、ランスロットは口を大きく開けて肉棒を咥え込んだ。
「む、う」
ゼウスが呻く。その声にランスロットは勝利を確信する。
「んぐ、ぶじゅ、れる。……じゅぶ、じゅぶ。れろ、じゅるる、れろ、んぷ」
ランスロットは激しく頭を上下に動かした。唇を窄めて棹をこそぎ、先端から溢れてくる苦い液体を吸い上げる。ちろちろと、口の中で舌を動かして亀頭を刺激すると、先走り汁の量が増した。
じゅぽ、と口から肉棒を引き抜く。
口の周りは唾液と先走り汁で濡れており、肉棒もテラテラと妖しく光っている。
「どうした、休憩か。なら、こっちからいくぞ」
ゼウスの攻撃が再開した。
「んんーーーーっ! くは、くひっ……く、ま、だだ」
ランスロットは慌てて肉棒を舐め回す。
はあはあ、と息を荒げながらも唾液を塗り付けていく。
(まだか、まだ攻めが足りんのか)
いいところまでは行っている筈なのだ。肉棒は快楽に打ち震えている。隠し様のない信号を送ってきている。陥落間際でないなら何なのだ。
(く、……このままでは、また)
イカされてしまう。という言葉を飲み込んで、ランスロットは肉棒を舐める。
「なかなかいいではないか。ランスロット。ならば、こちらも攻め手を変えるとしよう」
何、とランスロットが耳を疑い、そして、
「んきううっ」
肛門に押し込まれた異物に、悲鳴を漏らした。
「な、……かはっ……なん、てことを……そ、こは」
「くく、ここも性感帯なのだよ。いつでも降参承ります」
そうしてゼウスはランスロットの腸内に指を突き込んでいく。
「ひ、はっ……ふぐっ……あ、が」
ランスロットは空気を求めるように口をパクパクとする。涎が口の端から零れ落ちた。そうしている間にも、ゼウスの指は本数を増やしていく。一本から二本になり、今では三本目が挿入されてしまった。
「弄られて嬉しそうだなランスロット。汁が溢れてくるぞ」
「ば、バカな。そんな、こと、んああっ」
ぐちゅぐちゅと音に合わせて快感が背中を這い、脳に届く。
「じゅぐぐぐっ」
ゼウスが指を動かしながら、膣内に舌を差し込んだ。
「ひいいいいいいいいっ」
ランスロットは悲鳴を上げながら、必死になって快楽に流される身体を御する。
(だ、だめだ。二つ一度にされるのは、だめだぁ。まずい、まずいまずい。このままでは、墜とされる)
ぞわりとした恐怖がランスロットの身体を駆け抜ける。未知への恐怖であり、支配されることへの恐怖である。この戦いに敗れることは、それまでのランスロットを捨てることになるのだ。ただのゲームではない。最高神との契約に基づいた戦いなのだ。おそらく、強制力すらあるだろう。
「んぐ、じゅる、れろれろ、じゅるり、ちゅぷ。くちゅ……ぐぽ。んぐ、じゅう」
ランスロットは激しく攻め立てた。急きたてられるような攻撃。無我夢中の進撃は、文字通り死兵になった兵卒のそれである。
そして――――どぱっ。
「ふぐ、むううっ。ん、ふ、ふう!?」
ランスロットの口の中に、突然苦味が広がった。それまでのものとは比べ物にならない量と濃さ。ランスロットは咥えたまま驚愕で固まった。
(まさか、これが、精液なのか)
口の中で舌を動かす。肉棒を嘗め回し、その周りに零れる粘液と唾液を混ぜる。
(苦い……どうすれば、いい)
いつまでも口内にコレを留めておくわけにもいかない。次第に唾液が溢れ出てきて、どんどん精液が唾液に溶け込んでくる。その内、口に収まりきらなくなってしまうんではないか。
さらに、そうしている内に、ゼウスの肉棒は二度目の射精を行った。追加される精液。味と臭いでわけがわからなくなる。
(ゼウスは、余のものを味わったのだ。余も、ゼウスのものを飲まねばなるまい)
そう結論を下し、零れないようにゆっくりと肉棒から口を離す。
手で口を塞ぎ、吐き出さないようにして、少しずつ精液を飲んでいった。
「んく、んぐ、……ぐ、ふう……ふうー、ふうー……はあ……喉に、絡まる」
粘つく精液を飲み込むのは一苦労だった。口の中にあるものを飲み干すと、どっと疲労感が押し寄せてくる。
「ふふふ、どうだゼウス。この一戦、余の勝利に相違ないだろう」
口を拭って、得意げに、ランスロットは宣言する。
「俺が敗北を宣言したか。これは、あくまでも互いに責め合う第一段階。次が本番なのだよ」
「何?」
「では、最終決戦だ、ランスロット」
ランスロットは再び仰向けに寝かされていた。
その上にゼウスが圧し掛かっている。
男に押し倒されることに、奇妙な安らぎを感じながら、ランスロットはゼウスを睨み付けた。
「望むところだ。まつろわぬゼウス。余が、卿からすべて搾り取ってやろうぞ」
「くくく、その強気がいつまで持つか楽しみだぞ」
ランスロットは生唾を飲んだ。
ゼウスが己の肉棒に手を伸ばし、ランスロットが開いた股に亀頭を宛がう。
「力を抜け」
ゼウスがそう命じた瞬間、じゅぷ、とゼウスの肉棒がランスロットの中に挿入された。
「んぎあああっ。ぐうっ」
破瓜の痛みがランスロットを襲った。ランスロットは涙を目尻に溜めつつ、精神を集中して痛みを打ち消した。軍神が痛み程度で音を上げることはない。
「思いのほかあっさりと挿入ったな」
すっかり濡れているランスロットの膣内は初めてとは思えないほど簡単にゼウスを受け入れた。
膣内は初めての男に狂喜乱舞しているように激しく蠢いている。ランスロットが微動だにしていないにもかかわらず、肉棒を締め上げ、掴んで放さない。
「どうやら、お前は自分で思っている以上に男に餓えていたらしいな」
「何を馬鹿なことを、ひいっ」
ゼウスが腰を浮かせた。それだけで、ランスロットは嬌声を上げかけた。
「搾り取って見せろ、ランスロット・デュ・ラック!」
じゅぐじゅぐ、じゅぷ
「あ、あああああ」
ゼウスが腰を動かし始めると、ランスロットは下腹部の熱が炸裂する錯覚に襲われた。乳房が揺さぶられ、目の前がチカチカと光る。固い肉棒が、ランスロットの柔らかい身体を貫き、蹂躙している。
「くひ、あ、あ、ああ、くあ、うう、むぐうううう……んあああ!?」
知らない快楽が襲い掛かってくる。
今まで膣口とその内側だけを舐られていたわけだが、ゼウスの肉棒は奥の奥まで届く。ランスロットは、身体の火照りと餓えの正体を知った。奥まで欲しかったのだ。入口だけでなく、深く深く掘り返して欲しかったのである。
「あ、お、おぐあ、奥はあ……」
「ん? 奥がいいのか」
ゼウスはランスロットの両足を抱えて腰を浮かせ、一気に肉棒を差し入れた。子宮まで刺し貫く一撃だ。
「だああああああっ、あ、ああああっ」
ランスロットは二度目の潮を噴いた。
(こ、これが、絶頂……なんて、気持ちいいのだ……このようなもの、知らなかった……)
忘我したランスロットの唇をゼウスは奪った。
「ん、ちゅっ……ん、ふう、んあ……れる」
唇を嬲られ、気付けば口内に舌が侵入していた。それをランスロットは嫌うどころか、自らの舌をおずおずと絡め、唇を窄めて吸った。
そして、ゼウスの腰が再び動き出す。
「ふぐ、れる、ちゅる、んあっ、あ、はあん、ふああ……あ、ああ……んんーーーーーーーー!」
三度目の絶頂。ランスロットは反射的にゼウスの身体を足で挟み込んだ。結果、さらに深く肉棒が食い込んでいく。
「お、おおおお……」
「すっかり女の顔だな。どうだ、俺の騎士になるか?」
問われたランスロットは、蕩けた顔のまま断る。
「まだだ、まだまへてない……よは……まだ……」
「そうか」
じゅぐじゅぐじゅぐ、
「んああああっ。また、入ってきたあっ!?」
ランスロットはゼウスの首に両手を回して身体を支える。
「んあーーー、んあーーー、あ、はあんっ」
「どうだ。気持ちいいか、ランスロット」
「あ、あああ、気持ちい、んっ」
ランスロットは肯定しかけた口を手で塞いだ。
「くく、可愛いではないか」
「かわいい、あ、あお、そんなこと、言う、な。んくうふんっ」
突かれるたびに意図せず声が漏れる。男に媚を売る女の声が出てしまう。口を塞ごうをするランスロットの手を、ゼウスは押さえつけた。
「お、あ、あ、あ、あっ」
ゼウスの勝ち誇る顔を認識する。
(余はまだ負けていない。負けていないぞ)
揺さぶられる視界。熱を帯びる身体。快楽に犯される脳。それでも、ランスロットは心の中でそれだけを呟いていた。
ゼウスが舌を出した。たらり、と舌を伝って唾液が滴り落ちてくる。
「んあ……」
ランスロットは、口を開けてその唾液を受け止めた。
(何をしているのだ。余は……)
舌を出して、ゼウスの舌先を突く。
「はああ、はああ、れろ、れろっ、ちゅぷっ。んああ」
舌が気持ちいい。ゼウスに舐められて、感じている。
「もう強がる必要はないぞ、ランスロット」
「気持ちよくなど、なっていない!」
噛み付くように、ランスロットは言う。だが、ゼウスの腰がぱあんと打ち付けられると潮を吹き出して絶叫してしまう。
「あ、ああ、違う、これは違う……余は」
ランスロットは耐えかねて顔を手の平で隠した。
「なるほど、強情だ。では、膣内に注がれればどうだ」
「な、に」
ビクビク、とランスロットは自分の膣内で振るえ、大きく膨らむ肉棒を感じた。
「ああああ、待て、待ってくれ! それは、ダメだ!」
ランスロットは根源的な恐怖すらも感じて懇願する。
「無理」
が、無情にもゼウスはランスロットの膣内に射精した。想像を絶する熱に、ランスロットは背を反らして鳴いた。
「ひいいいいいんっ。ふ、あああああああああっ」
さらにゼウスはランスロットの乳首を吸い、豊満な乳房を揉む。異なる箇所から叩き込まれた快感が、ランスロットの頭に鈍器で叩いたかのような衝撃を走らせる。
「か――――――――」
そして、盛大に達した。
「あ……あが……あああ……ああ…………はぁあん」
ひくひくと痙攣する身体。もはや、自分がどうなってしまったのか把握することも困難だった。ただ、このままでは自分が壊れてしまうことだけは明白であった。
「きゅ、休憩……」
「ならぬ」
ゼウスはここが責め時と、めりめりと肉棒を膨らませてランスロットに叩き込む。
「あひいいいいいっ。ちょ、だ、め、今はぁ……くひいい。こ、壊れる。余が壊れるぅぅぅあっ」
「壊れてしまえランスロット。最後の王などではなく、俺にこそ忠誠を誓うのだ」
「あ、い。ちゅ、忠誠……い、あ、……」
ぐるぐると言葉が巡る。そもそも、何故、このような快楽地獄に陥ったのか。
「ふん」
「ひぎいいいっ」
ゼウスの一突き一突きがランスロットを削っていく。
「そもそも、お前は俺の土俵の上なのだ」
ゼウスはランスロットの顔を手で押さえ、目を見て語りかける。
「俺は神話上で数多の女を落としてきた《鋼》。武勇のみならずこちらでも敵を陥落させる技を持っているのだ」
ゼウスは語りながらランスロットの形のよい唇を舌でなぞる。
「俺は絶倫だ。権能でな。つまり、果てることがない。お前に勝機は端からないぞ」
「そ、そんな、バカな。では……ひいっ、あ」
初めから敗北が確定していたゲームだった。ゼウスが満足してランスロットに負けを認める可能性はない。あるのは飽きるまで犯され続ける未来のみだ。この戦いに望んだその時から、ランスロットは詰んでいた。
強制的に犯すよりも、ゼウスはランスロットを仲間に組み込むほうを選んだ。彼女にかけられた呪縛を書き換え、主替えをさせるために。このゲームは、そういう趣旨のものだったのだ。
生まれてこの方感じたことの無い絶望感がランスロットの胸に忍び寄る。
「我慢することに意味はない。お前の戦いは終わっているのだ」
「そ、そんあ、ことがああああああっ」
ぐちゅぐちゅ、ずん、じゅぽ。
一層増して愛液が溢れ出て、水音を高まらせる。ランスロットの身体と心が、ゼウスの屈服していく。
「違う、違う、違うのだ! 余はぁ、余は……あああああ、こんな、ことが」
否定する口。肯定する身体。もはや、これ以上付き合っていられないと、ゼウスの身体を押し退けようとするが、ランスロットの腕は意図せずゼウスの身体を抱き寄せてしまう。
(嘘だ。……何故……)
「ほう、そんなに欲しいか。俺の精が」
ゼウスの言葉が胸に染み渡り、期待に心臓が高鳴る。信じられないことだ。身体も心も、ゼウスに犯されて歓喜している。
「女として騎士として、この俺に侍ることを誓え」
それは言霊である。耳から脳に入り込み、魂に刻まれる契約の言葉。
「あ、あああああああ」
ランスロットは己を止めることができない。口を塞ごうにも自由意志を失っている。いや、違う。理性とは異なる、根源の部分が肥大化し、ランスロットの思考を追い落としているのだ。故に、これは本当の言葉。ランスロットの本音。
「ち、誓う……から。余は、忘れる。かつての誓いを捨てるぅ! 卿に仕える……卿の、ものになる!」
だから、助けてくれ。もう終わりにしてくれ。
「だから、卿の精を、余に注いでくれぇぇぇっ!」
「くく、よかろう」
ゼウスが歓喜の笑みを浮かべる。ランスロットは自らの誇りと誓いを自分の手で溝に捨てたことを今さらながらに自覚し、絶望し、そして、新たな契約が全身に快楽と共に入り込んでくるのを感じていた。
「ああああああ、すまぬ。愛し子ぉ! 主ぃ! 気持ちいいっ! 気持ちいいのだぁ!」
どぴゅどぴゅっどぱっ。
「くはあああああああああああああああああああああああん!!」
壮絶な快感と熱。注ぎ込まれる精液は、それだけでランスロットの子宮を満たし、肉棒が引き抜かれ後で逆流し、膣外まで流れ出るほどだった。人間であれば、確実に妊娠するだろう。
「ランスロット」
ゼウスは放心しているランスロットの名を呼び、頬をなでる。
「あ、主……」
ランスロットはゼウスに主替えをした。身も心も、ゼウスのものとなったのだ。
「ん、ちゅ」
甘えるような仕草をするランスロットの唇をゼウスは吸い、舌を絡めた。
ランスロットがアマゾネス由来とか原作で読んだときははあ? って感じでした。神話を失った後で新しく神話を捏造し、新しい名前を得るとか反則でしょうと。
ヘロドトス曰く、アマゾン+スキタイの一部=サウロマタイ。紀元前七世紀から紀元前四世紀まで活躍。紀元前四世紀から四世紀まではサルマタイの時代。サルマタイはアーサー王伝説の元になったとも言われ、騎士道をヨーロッパに齎すことになるが、後半はフン族に取って代わられ消滅。
三世紀後半から四世紀前半に登場するのがウルディン。歴史上はフン族の族長。カンピオーネ世界では古代の魔王その人と思われる。史実の人を神殺しのモトネタにしてしまう原作者さんぱねえっす。
そして、原作だと最強の《鋼》の登場が四五八年。フン族最強のアッティラさんは四五三年に死亡しており、大帝国はその翌年崩壊している。アッティラを裏で操っていた魔王ウルディンが殺されるのはフン族帝国崩壊の四年後ということで時期的に合う、ということに気がついた。そして、ランスロットがこの頃に名前を失いつつあったということはサルマタイがフン族に飲まれ、フン族も消滅しかかっていた時期なので合致。
サウロマタイの女は男を殺さないと嫁にいけなかったそうな。