魔王城でおやすみなさい―MASEX!― 作:( ˘ω˘)スヤァーリンおじさん
「うあぁぁぁ……」
魔王城内の廊下を、一匹のゾンビが徘徊している。
否、それはゾンビではなくエリート淫魔のまーくんだった。
その瞳は絶望で光を失い、顔色は血の気の失せた土気色になっている。
可憐な美少女顔も今は色褪せ、アンデッド族の魔物と間違われても不思議ではないほどに、まーくんは生きる気力を失っていた。
だが身体の奥底にはかつてないほどの生気が渦巻いており、その事実がよりいっそう少年に罪悪感を与えている。
(僕は……僕は、なんてことをっ!)
淫魔としての欲望に負け、大切な人質の姫様に手を出してしまった。
自分勝手な欲望を撒き散らし、姫の処女を奪った挙句、その尊厳を散々に辱めたのだ。
次代の王を育む為にある姫の子宮に、淫魔の精を何度も大量に注ぎ込み、本来なら伴侶しか触れる事を許されない白磁の肌を、少年の雄臭いザーメンで塗りたくって凌辱した。
そして淫魔チンポの味を膣の隅々まで教え込み、姫の脳味噌に二度と消えない快楽の記憶を刻み付けてしまった。
さらには嫌がる姫のコンプレックスなどお構いなしに、その無垢な唇を穢し、王家の誇り(パンツ)をゴミのように放り捨てた。
なんという鬼畜の所業。
まさに淫魔の鑑だった。(褒めてない)
そして何よりも度し難い事は、姫との情事を思い出すだけで、未だにまーくんのチンポが疼いてしまう事だろう。
姫を犯してからというもの、淫魔の本能が一向に治まらない。
あの美味なる生気を、至上の贄を、高貴な性器をオナホにして、姫の尊い子宮を魔族の精で孕ませろ。
そう淫魔の睾丸がぐつぐつと滾ってしまい、あれほど犯したというのにまだ足りないとチンポを震わせている。
少年の心は罪悪感で死にそうなのに、淫魔の身体はこれ以上なく興奮しているのが、いっそ喜劇的ですらあった。
「僕は、最低だ……っ」
かつてここまで、自分を嫌いになった事などなかった。
自分が淫魔であることを呪うなど、生まれて初めての経験だった。
まーくんは淫魔である事を誇りに思っていた。
善悪を超越した部分で、魔界になくてはならない種族であり、今の魔物達の繁栄があるのは、良くも悪くも淫魔達の功績だと理解していたからだ。
それに古くオラついた旧世代の淫魔達とは違い、まーくんは紳士的でスタイリッシュな新時代の淫魔を目指していた。
女性に優しく、決して無理強いはせず、相手を尊重して気持ち良くなって貰う。
そんなお互いにWin-Winな関係を築く事こそが、まーくんの理想的淫魔像だった。
だが姫様相手に仕出かした事はその真逆、雄の独占欲剥き出しで嫌がる姫様の尊厳を徹底的に貶め、軽蔑すらしていた孕めオラオラ淫魔そのものなケダモノ交尾をしてしまったのだ。
なにが淫欲を制する魔物だ。
淫欲に狂う獣――それこそが淫魔の本質ではないか。
そして何より一番の問題は、魔王様の尊い大望を知りながら、その計画に致命的な傷を付けてしまった事だ。
人と魔の争いを終結させる為には姫の身の安全が絶対条件。
もしも勇者と魔王、人界と魔界の代表者同士の勝負に決着が付いたとしても、姫の身が魔族によって穢されていたと知られれば、人間達の怒りは、憎悪は、収まるどころか更に燃え上がる事だろう。
そこに魔王様が望んだ平和な時代の姿はなく、今度こそ互いの種族全てを滅ぼすまで終わらない暗黒の時代が訪れてしまう。
「ぅぁぁっ! ふぐぅぅっ……ぼ、僕はぁ……っ!」
魔王様からの信頼を裏切ってしまった事に、まーくんの目尻から悔し涙が溢れる。
心底自分が情けなかった。
魔王様は淫魔だからと色眼鏡で見ず、まーくん自身の人柄を信じてくれたというのに。
その結果が姫とのドスケベ交尾である。
あれは人と人が行うセックスではなかった。
オスが孕ませたいメスを犯す、獣の交尾だった。
こんなザマでは魔王様に顔向けできない。
恥知らずにどんな顔を晒せばいいというのか。
あの大惨事の現場、姫牢での後始末を諸々終えると、まーくんはふらつく足取りで自室へと向かっていた。
様々な液体でダメになったシーツを取り換え、魔法で乾かし、気絶して眠る姫様の身体を清め、一見すると何事もなかったかのように後処理をした。
けれど姫は処女ではなくなったし、その子宮の奥にはまーくんの精が拭き取れないほど大量にこびり付いている。
避妊魔法がなかったら確実に孕んでいただろう。
姫様を妊娠させたともなれば、殺されても文句は言えまい。
それが魔王様か他の誰かかは不明だが、そうなれば誰に殺されても不思議ではなかった。
それほど姫様はこの世界の中心にいるし、まーくんとは立場が違い過ぎている。
幸い……と言って良いものか、少年が姫を犯した事実を知る者は、その当事者である二人以外には存在しなかった。
防音も防諜もバッチリである姫牢は、内部で行われた情交を完全に秘匿している。
(今は少しでも、考える時間を……)
それは決して責任逃れの為ではない。
まーくんの首一つで済むなら、さっさと魔王様の元へと向かっている。
だが死んで終わりというのは、あまりにも無責任すぎる。
今の冷静でない状態のまーくんが何かしても、それはより事態を悪化させるだけであり、何一つとして周りの為にならないだろう。
やってしまった事は変えられないが、いますぐどうこうなる状況でもない。
ならば今は少しでも休んで、冷静になった頭で今後の事を考えたかった。
「……ただいま」
淫魔の部屋に戻ったまーくんは、部屋の奥からさっきゅんの気配を感じ取った。
そうなると、どうしてもさっきゅんの今後の事が気になってしまう。
(さっきゅんには絶対、責任がいかないようにしないと……)
まーくんにとって、さっきゅんは可愛い妹分だ。
本当の家族を知らないまーくんだったが、本物の妹に負けないくらい、さっきゅんの事を愛している。
そして義理とはいえ、まーくんとさっきゅんが兄妹の関係である事を、知る者は知っていた。
今更無関係と言っても通じないだろうが、どうにか罪の連座は避けたい所だった。
あるいは今からでも遠ざけて、無関係を周知した後で裁かれれば……と少年は後ろ向きな考えを巡らせる。
さっきゅんの素直な明るさに、これまで随分と救われてきたのだと、まーくんはこんな状況になって初めて気付いた。
(本当に僕って、ダメなお兄ちゃんだな……)
パタパタと、さっきゅんの足音が聞こえる。
どうやら出迎えてくれるらしい。
残り僅かかも知れない、妹との大切な時間を噛みしめるように。
まーくんはさっきゅんの姿を、その視界に収める。
「おかえりっ、お兄ちゃん!」
そこには裸エプロン姿の
ひらひらしたピンク色のエプロンを素肌の上に纏い、料理もしないのに手にはお玉を持っている。
そしてぎこちないウィンクをしながら腰を突き出して、ぷりぷりしたお尻と淫魔特有の♡型尻尾をくねらせていた。
「ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ♡た♡し♡」
「ぶほっ!?!?」
まーくんは思わず吹き出した。
あまりの衝撃に頭が真っ白になってしまう。
妹淫魔の突然の奇行、それは凄まじいインパクトだった。
うじうじした悩みとか、全部吹っ飛ぶくらいに。
12/22は姫様の誕生日。
そして明日12/23はさっきゅんの誕生日なんだなぁ。(しみじみ)