魔王城でおやすみなさい―MASEX!― 作:( ˘ω˘)スヤァーリンおじさん
魔王城内にある会議室。
幹部クラスが使用する機密エリアの一角には現在、強大な力を持つ魔物達が集結していた。
「――定刻だ。始めろ」
この魔王城の主である魔王タソガレ。
膨大な魔力を持つ彼の王には、最高幹部である十傑の
「それではこれより、十傑衆会議を始める!」
――レッドシベリアン・
魔王の忠臣にして忠犬。魔王の強大な魔力を受けて人型の獣人形態へと変わった元飼い犬(シベリアンハスキー的大型犬)という変わった経歴を持つ、魔王城の規律を守る番犬でもあった。
二メートルを超える巨体は周囲に威圧感を与え、もふもふとした胸毛の中にはいつも「魔王城法典」を忍ばせている。
「つっても、相変わらず欠席多いけどなー」
改の宣言に茶々を入れたのは海の神ポセイドン。
机に両足を乗せ、だらしなく椅子を傾けながら座っている青い肌の少年だった。
深海エリア「
「あら? これでも普段よりは集まっている方ではないかしら? ねぇ『かえんどくりゅう』さん?」
――ネオ=アルラウネ。
植物エリア『
体に張り付くような緑のドレスで成熟した肢体を包み込み、優しげな微笑みを浮かべたまま静かに上位魔物としての圧力を放っていた。
「ああ? 俺に聞くんじゃねぇよ」
――
炎エリア「
ドラゴン族と悪魔族のハーフであり、その筋骨隆々とした姿と赤い鱗は、暴力的な惨劇を見る者に予感させた。
『…………』
からくりエリア「
その人形からは沈黙のみが返され、それが破られた事は今までに一度もない。
「まぁまぁ、今日は代理とはいえ、淫獄エリアの方にも来ていただいたんですから。それだけ魔王軍にとって重要な会議ということですよ」
どこかいつもとは違う、ピリピリとした空気が漂う中、神官服を着た青年の声が場を落ち着かせる。その頭部からはヤギの角が生えていた。
――
「悪魔教会」のエリアボスを務める悪魔族の魔物であり、蘇生魔法の腕は城内でも一二を争うほどの実力を持っている。魔王城の生命線だ。
そしてその見た目とは裏腹に最古参の魔物であり、最近は腰痛に悩むお爺ちゃん悪魔だった。
「うむ。あくましゅうどうしの言う通り、今回の会議は極めて重要な内容であり、今後の戦略にも大きく関わるだろう」
その強大な力に反して、魔族としては未だ年若い青年魔王が重々しく頷く。
空席たる三つの席には本来、反乱者「ハデス」、前線へと向かった「サンドドラゴン」、そして失踪中の「第九傑」が座るはずだったが、あえなく欠席となっている。
そして魔王と幹部達は皆、残る最後の一席へと視線を向けた。
――十傑衆代理「えりーといんま」のまーくん。
他の十傑衆達ですらその存在を知らなかった、淫獄エリアに封印されし「幻の十人目」――その代理人だった。
執事服を着込んだ少年は、その美少女としか思えない可憐な顔を儚げに涙ぐませながら言う。
「あの……僕、帰ってもいいですか?」
「ダメだ」
残念ながら魔王からは逃げられない!
周囲から寄せられるプレッシャーに萎縮してしまう少年淫魔をよそに、魔王は重々しく告げる。
「本日の議題は人類王家誘拐計画――さらう姫君とその待遇についてだ」
ここに運命を分岐させる、十傑衆会議が始まった。
わりと偉かったまーくん。
えっちぃのはもうちょっと待っててね。