轟沈しましたが悪運はあったようです(大井になりました)・裏 作:Toygun
つぷ
そんな感じの音をさせて、きれいな、ついこの間純潔を失ったとは思えない程無垢な亀裂に、舌先を侵入させていく。厳密には膜を破っただけで、「乙女の証」はともかく、中というか腹、胎を嬲る器官を「失くした」わたしだと、電を女にしてやった、と勝ち誇るのはやや無理があるわけで。塩気とよく分からない雑味を感じながら、わたしは普通の舌でゆっくりと熱い柔肉をかき分けていく。まだ残る乙女の残滓のでこぼこが舌に触れ、ちらりと目だけで電の顔を見ようとする。あいにく、その視線は、セーラーの白い布地に遮られてしまうが。まだ痛いかもしれないので、反応を見たかったのだけど。
ベッドの上ではない。電は部屋にある木製の─どこの廃校から持ってきた、という感じの合板と金属パイプで作られた椅子に座っている。上はいつものセーラー、で、わたしの奉仕を受け入れるために、下は丸出しでおっぴろげである。視線を落とせば靴下に靴を履いたままと、誘いをかけた本人が言うことではないが、背徳感(+罪悪感)マシマシだ。机と椅子が2組、机が木製で椅子と仕様が違うので、別々の場所から運ばれて来たようだが、どちらも学校にありそうな代物だ。
わたしはというと、当然彼女の前に跪いて、座る彼女─その椅子の下の床に、脱いだスカート越しに手をついて、半端な姿勢を維持している。下は電同様脱いでいるのは、自分だけ着っぱなしだと性的いたずら感が強すぎる、という小心な理由と、濡れて洗濯の手間が増えるのが嫌だからだ。傍目から見ると「寄宿舎で上級生の愛撫を受け入れる少女」と、言葉にすれば尊い情景になる。脱いだわたしのショーツは先ほど持ってかれたので、多分台無しになっている筈。とすると、電の顔が見える角度だとしても、口元は見えないだろうから反応は分からないか。
発端は、椅子に座った彼女が雑誌を放り出して伸びをしたことだ。背もたれに寄っ掛かってやったせいで、白い生地越しにピンクの突起と、同位置に重ねたキスマークの赤が透けてしまったせいだ。
「ちょっと、ブラは普段はしなさいよ。透けてるわよ」
ここに来てから、天龍さんに口を酸っぱくして言われているが、ブラは着けろ、但しフロントホックはやめろということだ。ブラがないと擦れて痛い、余分に動いて痛いというのは分かるが、フロントホックは何故?と聞けば砲撃を真っ正面から喰ってホックもダメになるからだとか。んで、たった今次の理由─白系制服だとガチで透けるが私的に追加されたのだが。
「みたくなるからですか?」
薄目に半笑い、にまあ、と言うよりはより淫靡さ(と馬鹿が勝手にとりそうな)を増した顔をしたので、見ていたファッション誌を開いたまま置いて、ベッドの縁から立つ。
「当然じゃない」
出来るだけ真顔で座る電の前に立つ。背筋、右腕は指先までピンと伸ばし、左肘を曲げて腰に左手をやって、だ。突然に距離を詰められた電は、こちらの剣幕に椅子から横に逃げようとしたので、かがんで両肩を押さえて動きを封じる。少しだけ頭を下げて彼女の右上から、左耳に囁き声をかける。自然と下に傾く髪が彼女にも触れる。
「わたしは見たい、だから他の子もつい気になるでしょうねぇ」
「うぇ」
透けブラでもつい視線が動く人は多い。中身が透けたらそりゃ正気か?!という目線も増えるだろう。
「そうねえ、他の男どももつい見ちゃうでしょうねえ。わたしはそんなの、我慢できないわね」
こっちは心情的にはガチだ。わたしの中の男女どっちの感覚でも、その場で透けた部分を隠して引きずり去ると思う。ここ、軍隊よ?普段はほぼ目にしないけど、物資の搬入とかで補給部隊の男性とか、民間船の船員とか目にしてるし。人手不足の筈だから、よっぽどまずいレベルの奴じゃない限り選んでる余裕なんてないだろう。
「それに…せっかく選んでも着てもらえないのは、悲しいわね」
ちらりと視線を背のベッドの方にずらす。姿勢的にもうベッドの下側が見えるだけだが、運が良ければ電の片目くらいには、開いたページが入るかな?まあ、もういいけど。かわいいファッションを見てても何も文句を言われない環境と言うのは、結構楽しい。当然かわいいランジェリーも目にするわけで、電に着せたい→着せたら今度は脱がすだろ、常識的に考えて、と下世話な考えも出る。
ゆっくり顔の高さを合わせて、赤くなっている彼女と唇を軽く合わせる。良く動く舌が出てくる前にさらにかがむと、わたしは彼女の前に跪く様に腰を落とした。キスを途中で止めたせいで、困惑する彼女が見える。
「こんな風に危ない人が寄って来るわよ?」
電の腰の後ろに手をやってホックを外す。少し力を込めてスカートを足の方へ引き抜いてしまう。電もするとなればわたしに抗わないのだが、普段よりは動きの追い方がぎこちない。両腰に手を当てると、指をゴムの下に滑り込ませて広げ、ショーツも足先までずらして引き抜く様に脱がした。床に落とされたスカートにショーツも重ねてしまう。
「ほらほら、いやらしいお姉さんがいたずらしたくなって、電にこんなことしちゃったわよ?」
棒読みよりましな程度にわざとらしく言ってみたけど、なんか琴線に触れたのかわくわくした顔で、彼女がこちらを見ている。やっぱり例の病み顔(ハイライトなし)を除くと、ほとんど子どもの顔しか出来ないよね、電って(トロ顔も除く)。妖艶な幼女、は多分無理。
低い姿勢のまま彼女の前で腰を上げる。わたしのスカートもホックを外して床に落とすと、手早くショーツも脱ぎ去る。流石に片足ずつ上げないと無理だったので、体を支えるために、片手を電の座る椅子の空き部分につきながらだが。おかげで脱いだショーツを取られた。
「あんたねえ」
目の前に匂いの発生源がいるのに、わざわざそれから離れたものを嗅ぐか。
「わざわざ下だけなのです。口も鼻もさみしいのです」
確かに下だけ脱がしただけで止まったのだから、気付くか。早速丸めた布塊を、わざわざ両手で口元に当てる電にやや呆れる。それならばと、開き直って自分のリボンを取って、首元を弛める。左手で前の裾を引いて、襟前にぎちぎちだが谷間が見えるようにする。襟の前布がちょっと邪魔になるんだけど、この子の顔の前にかがんでやれば、そりゃ鼻先を突っ込んでくるわけで。あ、そういや風呂入ってない。
「やっぱり石鹸の匂いよりずっといいです」
少し嗅いで、また顔を離した電にいわせると、体臭>無臭>石鹸らしい。なおも匂いに執着する彼女を制すと、目の前で舌を出した。そのまま跪くように腰を落とす。途中、気がついてわたしのスカートを手元に寄せると、床に敷いて手をそこについた。後で指を使うかも知れないし、床面で指先を汚したくないから。かくして、えっちなお姉さんが少女に舌でいたずらしちゃうシチュエーションが出来上がった。
んん、ふう、んふーと鼻で息をしながら、電の膣を舌で刺激する。痛がる様子はないので、、でこぼこも舌で舐め回していく。少し下品につけた口で割れ目自体を吸うと、涌き出る液体を自分の唾液ごと嚥下してしまう。舌を電に入れっぱなしだから、少しやりにくかったが。ふぁさといった感じの音と共に、セーラーの裾が頭にかかった。裾を押さえる余裕がなくなったのか。声が漏れないということは、両手でわたしの残り香のする布で、口を塞いでると。
ずりゅ、と限界まで舌を伸ばして、以前、指で触れた辺りの膣壁に舌で触れていく。わざと左右、下と焦らしてから、少しだけ「空間」で待機すると、ゆっくり上─お腹側に触れた。きゅうと全体が締まった上に、足をガタガタ指せたのでやっぱり正解らしい。この間はまだ痛かったのと、指でもまだごついので効果が低かったのだろう。少し舌を離して、また触れる。今度はびくりと震えただけなので、そのままGスポットを舌で押した。視界に入る太ももが微動したので、足で力んで耐えたのかな?体が跳ねなかったのは助かる。視線を上に向けると、柔らかそうなお腹、この間のキスで大きく赤くなったままのおっぱい─ほぼ平坦でもおっぱいだ!─が見える。布越しに光が少し薄暗くて、秘密の遊び感が増して興奮が大きくなる。まあ、その遊びも、今日は大体終わりだが。下についていた手で強目に太ももを押さえると、わたしは舌に力を入れた。彼女のお腹が一気にうねり、そして脱力する。ぺしゃっと音がして何?と目を向けようとするが、太ももが邪魔で見えないので、名残惜しいがゆっくりと電の「中」から出ていく。かはっと口でも呼吸して、興奮でぼうっとした頭に活を入れた。電はというと、潤んだ目を虚空に向け、開けた口の端からよだれを垂らしている。両手もだらりと下げたままで、電自身が椅子におさまっているのは、わたしが押さえていたからではないかと思う。あれ?ショーツがない。
つい、と視線をさっきの音の方にずらせば、べしゃ、てくらいには濡れたショーツが床にあった。確かにGスポットかその辺を責めたけど、電の膣はろくに弄ってなかったけどな。未開発だと痛がったりするって聞いたし、
「いなづまー」
開いた上唇にキス、舌で垂れたよだれの跡の舐めとりと、二回戦目に入りそうな後始末をする。
「わたしのショーツがべちゃべちゃなんだけど、そんなにノーパンで夕食に行かせたかったの?」
「ち、ちがうのです」
どうにか戻ってきた彼女が慌てて否定する。
「それにしても勿体無いわねえ。もう一日履けたかもしれないのに」
洗濯行きのためリセットだ。デリケートな部分がかぶれたりとかは嫌なので、プレイに協力するにしても限度はあるが、それでも二日くらいは付き合っていいし。露骨に残念そうな顔をする彼女に、相変わらずだな、との感想を抱く。
「それじゃ、ショーツをべちゃべちゃにした罰ということで」
急にまた彼女の前に跪くと、
「まってなのです。まだ気をやったばかりなのです」
慌ててわたしの頭に手をやって、取り繕えずに古い言い回しでやめてと電が言ってくる。まあ、思う存分に嬲ってみたいことはある…ああ、無理、電とは甘酸っぱい何かの延長でしたいし。そもそもそういうのじゃないし。ぐいっと腕を掴んでのけると、顔を下げていく。上目遣いに彼女を見れば、口元がひきつっている。まあ、取り越し苦労なんだけどね。
割れ目より上に唇で触れると、びくっとまた電が震えた。そのまま舌も出さずに上に彼女の肌に滑らせていくと、手を解いて彼女の腕を解放した。逃がさないように腰に左腕を絡め、右手でセーラーの裾をまた上げると、お臍にキス。裾を頭に被って、電の匂いに包まれる。
「夕食まで、お腹借りるわね」
右腕も電の腰に回してがっちりホールド。少女の服に頭を突っ込んで正座で座ると言う、性別女性でも一発でお巡りさんを呼ばれる状況が出来上がる。やっぱ電のお腹はあったかくて心地いい。舌は無粋なので、ただただ顔や耳で彼女に触れる。『なお補導された少女は「ショーツをよだれだらけにされたので仕返しした」などと供述しており、被害少女との関係性について警察では事情をさらに…』と頭の中で架空の報道が流れているが、最初の胸透け→いたずらが抜けている辺り無能のキワミー、と意味不明の思考状態だ。酸素量が減るような状況ではないので、電の色香にやられているだけである、色香はないけど。
横顔で抱きついたりするとびくっと度々彼女が動く。刺激のせいではなく、耳が当たっているからと分かってる。
「あの、大井さん。ま、まだいっぱい、時間があるのです」
まだ3時半なのです、と焦ってるのがかわいい。
「うん、でもこの時間から二人でどろどろしちゃうのはだめかな」
「食堂で、お湯が使えるのです。お茶をするのも、いいのです」
うんうん、誘い方も分かってきたかな?女の子しかいないから、偏ってるかもしれないけど。
「ふーん、出撃停止で、みんなお茶してるところに連れ出したいんだ」
ちゃんと連れ出されて上げるけど、今のいちゃいちゃで、わたしは何もされていないのである。
「はう」
「慌ただしいご飯時の、注目されにくい時じゃなくて、みんな暇してるお茶のあとに、口直しでわたしが欲しいんだ、いなづまは」
あうあうと生地越しに粟喰っている声が聞こえる。ちゃんと口直し用に、拭きもせずに放置してるんだぞ。ここにもいる金剛さんの美味しい紅茶の後で、見掛けだけ紅茶っぽいものの跡を味わいたいのかな?美味しい紅茶を淹れられるってことは鼻も利くんだぞ、っと。
「このままだと聞かれてしまうのです!」
「うん、ちゃんと聞いて上げるから、聞かせて?」
いなづまのお腹の音。
ぽかぽかと生地越しに叩かれるが、甘噛みみたいなものだ。ちゃんと口直ししやすいように履かないっていってるのに、電は欲張りだなあ。なんならわたしのお腹の音も聞いていいのに。いじわる、いじわるとなじってくるが、どこ吹く風でお腹の肌触りを堪能する。
「いじわるな大井さんは、きらいです!」
フッフッフ、甘いぞいなずま。
「素でいじわるしてくる電もだいすきよ?」
あんなとこやこんなとこに鼻を突っ込んでくるのとか。嫌だけど興奮しちゃうんだよなぁ。
「そういうとこが、いじわるなのです」
観念したのか、裾を捲ってわたしの頭を抱える電。
「お腹、寒くない?」
「ここはあったかいですし、大井さんのお顔があったかいのです」
「それに、どうせ恥ずかしいなら、好きな人の顔を見てる方がいいのです」
そうそう、それ。好き、でプレッシャーかけて相手を動かさなきゃ。
「よくできました。今回は失敗だけど」
「ううう、採点がきびしいのです」
「あー、いじめっこども。今いいか」
突然の天龍さんの乱入に、電が暴れそうになる。
「おお、おおい、みられ、聞かれて!おおいさん!」
またぽかぽか叩かれるが、彼女のお腹で顔の向きをぐるんと変えて、ドアのところの天龍さんを見る。
「御用で?」
一応取り込み中、ということで言葉少なに。
「昨日の謝罪と、時間も開いたんで甘いもんでも食わねえか?ってお誘いにな。電の声でまずい事態も想定して入ったんだが、杞憂だったな」
「謝罪?」
「デリカシーなくお前を娼婦同然、て言った件だ。誘うのはそれなりに出来るつもりだったが、その辺ががさつなままらしくってな、すまん」
あ、うん。そっか、先日の記憶があいまいになったのはそれか。だって今、「電」から離れられなくなったのを感じる。今、天龍さんのその背景に、「こわいひとたち」の影を見てるんだ。
「甘いもの、悪くないけど、今一番あまいものを味わってるし」
「ああ、角砂糖食ってる気分だわ。ところでそいつ、大丈夫か?」
うん?と上を見ると、真っ赤なままでなんかの思考にはまっているようで、何事かうわごとを言い続けている。仕方がないので立つと、タオルを2枚用意してベッドに置く。まだ正気に戻らない電を持ち上げると、縁で彼女を膝枕で寝かせる。電には下に巻くように、わたしはお尻の下に敷いてだ。ろくに着ようとしないわたしらを見てか、天龍さんは向こうを向いてしまった。
「この期に及んで着ないとか勘弁してくれ。同じ顔で痴態を見せられると、色々つらい」
「正直言うと、天龍さんが怖いんで。求めたら、抱いてくれちゃうでしょう?」
その癖、拒絶やはしたない事に対しては、大体引いてくれる。まあ努力はしてる人だ。
「流石に数が多くてきついが、応援呼んでいいなら相手するぜ」
「わたしは電に、電はわたしに。それくらいじゃないと、ほんとにビッチになっちゃう」
「…そうやって線を引いてくれるならありがてえ」
「ただ、かわいい子は今でも抱きたいかも?」
ヤりたいってよりイチャイチャしたい感じ。
「心中されるだろうからやめとけ」
「で、暇してるのは分かるが、日も高いうちから乳繰り合ってた理由は?」
そこそこ常識的に見えたのに、なんか所々無茶苦茶やってるので気になるとか。胸透けからの下りを説明する。ブラの件とか、お茶会をだしに言葉責めにしたのとか。
「うん、経緯は分かった。あとお茶会は参加は止めねえが、大体参加してる榛名を刺激しないでくれればいいわ」
給湯設備は宿舎にもあるから、部屋でお茶会も出来なくはないぜと言われて、その手もあったかと頭の中で選択肢に加えておく。
「それじゃ、またな。その内に詫びの茶菓子でも持ってくるわ」
天龍さんが出ていったあとは?うん、この子には悪いけど、ベッドに寝かせて、お腹に縋ってました。だってまだこわいだもん。
「いじわるな癖に怖がりとかしょーがねーのです。電の腹貸してやるから甘えるのです」
いつの間にか復帰してた電に、撫でられました。
夕食、食堂にて。
「やあ」
「どうも、北上さん」
今度は短パン履いた方の北上さん(男)から、声をかけてきた。なんやかんやでまた一緒に食事することになり、席に座るのだが。
「最近はどう?」
「相変わらず出撃停止中ですよ」
正面に来るのはいいけど、何故か電がその隣に座った。うん?と北上さん(男)が電の動きに首を傾げるが、まいっかと気にせず許してしまう。電、北上さん(男)、北上さんと並んでいて、対面でわたしと「わたし」が座っている感じだ。多分トラブル回避のためかな、わたしら大井だと、北上さんの隣に行こうとするだろうし。おかげで向こう側に座った電が、何するか分からなくて怖い。
「「わたし」もそろそろ復帰できそうだし、まあ通常体制になるかな」
北上さん(通常)の件とか、遠征や、あとは大体日常会話を振ってくれて、当たり障りなく相槌程度で対処できるのが有難い。もしかして、話題を選んでくれてる?ちらと横の北上さん(通常)を見る。何故かすっと目を反らされた、なんで?んで、電の動きは見たくなかったけど、必然的に目に入って困った。アスパラのベーコン巻きを箸で掴むまではいいけど、舌でぐるんと巻いて口に納めたり、味噌汁もちゃんと飲んで空にするけど、最後の最後で底を北上さん側に向けて、そっちからは見辛くしたところで、縁に舌を這わせたりと、「この後鳴かせてやるからな」って圧力をこれっぽっちも隠していない。隣の「わたし」からも見えてそうで、減らしておいたご飯もなかなか進まないや。
「今日はなんか少なめだね。大井っちみたいにダイエットしてる?」
「ちょっと北上さん、ばらさないでくださいよ!」
先日の少な目ご飯も、やっぱりそっちの「わたし」の見栄か。
「そりゃまあ、食って寝てヤ…時折の能力確認くらいですから」
今北上さん'sの顔、僅かにひきつったよね。いやガチで言いかけて修正したけど。あと電、鼻の下伸びてるってあんな感じ?
「開店休業の電たちはともかく、戦闘部隊のお姉さまがたがダイエットはやめた方がいいのですよ、大井さん」
電がとなりの「わたし」をたしなめる。
「だよねー、大井っちはもうちょっと肉つけた方がいいよ」
北上さん(男)が電の言葉に同意する。
「いえ、ですが」
ダイエットというよりは、大食いの女の子ってどうなの?って思考かも。「わたし」はつい反論しそうになっている。
「駆逐、じゃなかった、電は随分食べるね」
北上さん(通常)が電に言及する。
「成長期らしいのです。同期っぽいのに身長で負けてますので、出来るだけ取り返すのです」
成長期?と北上さんと「わたし」が顔を見合わせる。
「あといじわるな大井さんは、電の腹時計をあてにしてきますので。女の子としては早々聞かれる訳にはいかないのです」
「「大井っちー」」
「ちょっとあなた何やってるのよ」
同時に詰められた。
「だってこの子、かわいいんですもの」
人差し指を口に立てて、そう嘯く。北上さん'sが変なものを見るような目線になる。
「とまあ、そういうわけなのです。それと北上さん、前はご迷惑をおかけしました」
「「うん?」」
「一人で突っ走ってすみません。天龍さんへの報告等、大分お手を煩わせたようですので」
「あ、うん、ああ。いいよ、ちゃんと帰って来るんならさ。あと、天龍にも言っときなよ」
「天龍さんにです?」
「あの時は面識、なかったよね?でも天龍、覚えてたんじゃないかな」
「そうでしたね。了解なのです」
ごちそうさまでした、と会話が終わった辺りで電も食べ終わる。なんともなしに、それじゃまた、とお開きになった。
夕食後なので、外はもう、やや暗い。今日はほぼ任務がなくなってるため、食堂でくつろいでいる子が多いが、わたしと電は早々に引き上げて来た。問題は先ほどまで背に引っ付いていた電が、何故かわたしの手を引いて先を歩いていることだ。
「大井さんは北上さんにも意地悪なのです。とんでもない言い間違いの振り、しましたね」
「いや振りじゃなくてほんとまずったんだって」
「天然ならもう素で悪女です」
「これでも女の子一年目なんだけど」
暗い中を、宿舎からずれて砂浜へ歩いていく。
「電も大概じゃない。そんなにお腹がすいてる?隣の「わたし」、目を丸くしてたんじゃない?」
舌を見せ付けるとか、ほんとにもうね。
「食い意地が張ってるのは大井さんでしょう。詰め込みすぎて吐いても知らないのです」
逃げてもいいんですよ?と電が立ち止まって振り返る。わたしは首を振る。
「少し前の物語だとね、手は離しちゃ駄目なの。自分の魂ごと離れてしまうから」
彼女はまじまじとわたしを見つめると、また歩き始めた。少しいらついたように、乱暴に手を引く。
「どいつもこいつも、こんなガキにすがって、馬鹿ばっかです。帰ってくりゃいいとか、普段うざがってる癖に」
「北上さん、ツンデレだし」
「会ってもいないのに覚えてたり」
「天龍さんって、マメね」
「勝手に盾になって、また同じことやった上に、こんなガキの女になるとか」
「ごめんね。重い女で」
あのベンチにまた辿り着く。
「謝らないでください。電が弱いのがいけないのです」
二人してベンチに座る。
「やっぱり、妬いてる?」
「当然なのです。平然と昔の相手と接吻とか。しかもそこまでしていおいて、新しい女に譲るとか、どうかしてます」
電はこちらを向くと、両手を広げる。それに答えて、わたしは唇を重ねた。しばし抱き合い、また離れる。
「小さな狼さん、わたしをどうしたい?」
挑発のようにわたしは問う。
「次は頭巾を被せるのです」
もちろん、狼さんはわたしをたっぷり味わった。
不意のノックに、酔った頭を振って、天龍は自室を訪ねてきた誰かを出迎えた。
「こんばんわであります」
「どうした?」
青葉だった。
「いい画が撮れましたので、ご報告に」
「まあ、入れ。確認はする」
「酔ってらっしゃいます?」
「お座敷で少しな」
青葉を椅子に座らせ、自分はベッドの上で胡座をかく。
「小さな狼さんが、赤ずきんを食べる前です」
渡された写真を一瞥すると、天龍はすぐに返した。
「『そして狼は赤ずきんを食べた』、か」
「はい?」
「そいつはオレの方では使わねえな。いつも通り、流出に気をつけて扱えとしか言えねえ」
天龍の様子におかしなものを感じ、青葉は問う。
「青葉、何か間違えちゃいました?」
「デバカメ自体が駄目だが、こういうのはまあ、後で思い出したくなる奴もいるだろうから、ばれねえように、騒ぎにならんようにやれとしかな」
「それで、何かありました?」
「お前の例えがちょっとな」
「お二人の会話が聞こえまして」
「あの馬鹿、縁起でもねえな」
「さっき呟いたのが、どの訳か覚えてねえけど赤ずきんの最後の一節だ。赤ずきんをモチーフに混ぜて、軍人もどきと敵対工作員の悲恋を描いた映画があってな」
「ほうほう」
「悲恋だからな、狼たる軍人は生き残る。赤ずきんを殺してな」
「ふむふむ」
「狼の裏切りにそなえていた群れの連中は、義務を果たした狼を見て牙を引くのさ。さっきの一節を口にしてな」
「なるほど、ありふれた悲劇、といったところで?」
「そんなとこか。で、お前、気付かれてねえ?」
「うぇ?!」
「抱き合う二人を群れの仲間が銃で狙ってたんだ。こいつらをレンズで狙ったろ?小さい狼に吹っ飛ばされる前に、大井に謝っとけ」
「あわわ、そういうレベルのやばい方々ですか」
「練度はオレ同様大したことないがな、勘違いされる程度には帰還時に戦果を上げてる。度胸はあるというか、開き直るとおっかねえタイプだ」
「了解であります!」
慌てて退出する青葉を見送ると、天龍はそのまま、倒れるように横になる。
「お前だって人間じゃねえか。艦娘の振りなんかやめちまえよ」
誰に向けたか分からない言葉は、ただ虚空に消えていく。酔いも残っていたのか、すぐに寝息だけが辺りを満たした。
16.3のノーパンお姫様抱っこ→不機嫌・ビッチ騒動からの持ち直しで、前半の濡れ場って具合で。
途中から18の間の時間が入ってるので時系列ごちゃごちゃ。青葉がオチ要員になってますが、変に人狼ネタがぶっこまれたのでオチが行方不明。あと、この鎮守府の青葉の守任務は外堀埋め。「お前らいい仲なんだろ?」とカップル成立させたり「ここまでヤって別れるとか正気か?」と痴話喧嘩の仲裁に使われます。守任務にさせとかないとお早うからお休みまで、あなたの青葉が見守りますって暴走する子。