※この作品はR-18です。

幻想入りしたオタクは理想の2次嫁にお仕えしたい   作:トテツクlv0,01

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夢?幻?転生?

「貴方中々上手になったじゃない。」

 

とても珍しい主人からのお褒めの言葉に喜びを噛み締める。

こう言ってもらえるまでに一体どれだけかかったか、基本のきの字も知らない所から文字通り血のにじむような研鑽の果てにようやくここに至ったのだ。感無量というものである。

 

「それでもまだまだあの子の味には及ばないんだけど」

 

それは流石に比べる相手が悪すぎるでしょうと言うものの「あら?貴方の愛とやらはその程度の物だったのかしら」と返されては言葉もない。

 

「うぐぐぐ…いずれは越えてみせますのでもうちょっと待っててください」

 

がっくりと項垂れさせられるも悪戯が成功したようにフフッと微笑みかけられればそれでチャラどころかお釣りが来るのがズルイ。

でも有難うございます!有難うございます!

 

「貴方がここに来てから何年ぐらいだったかしらね…少し昔を思い出したわ」

そう呟いたお嬢様の瞳はどこか愁いを帯びていてここにいない誰かを見つめている気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

控えめに言って史上最高の夢だった。

何故俺は事前に明晰夢の方法をマスターしていなかったのだろうか。

全く理解に苦しむ、覚えていれば推しに触れることができたかもしれないのに一生の不覚である。

いっそそのまま目覚めなければ良かったのに…それでもいずれ覚めてしまうからこそ夢なのだろう、人の夢と書いて儚いとかアグさんはうまいこと言うもんだ。現実って辛い。

コミケ帰りの戦利品を枕にもう一度続きを見れないかと試してみるも寝なおす事は出来なかった。

今から寝ては降りる駅をまず過ぎてしまうのだが。

 

(永遠に覚めない夢は現実と同じ~だったっけか、ああ神様仏様エルレ〇ン様どうかこの俺に今夜夢の続きを!)

 

某ゲームの敵キャラの台詞を思い出しながら戦利品を手に電車を降りる。

それにしても今回は大漁だ。

目当てのサークルの新刊も無事にゲットできたし他にも推しキャラの本を出している所が多かった為予想以上の出費になってしまったがそれは嬉しい悲鳴というものである。

人気投票でいい順位につけたからか?いつもより1,5倍は出ていたような気がする。

 

とにかく推しの物であれば絵の上手い下手は問わず一般向け成年向けも関係なく買い漁っていた。

無論本だけでなくゲーム媒体も、ただしふたなり物テメーはダメだ。

 

(しかしなーんで生やされる事多いんだろうなぁ…どちらかというと攻めキャラだから?いやいや全然受けでもいけるだろjk普通突っ込まれるより突っ込みたいに決まってんだろって!)

 

性癖は十人十色、それは理解しているはずなのだがよりにもよって推しキャラが苦手ジャンルに採用される率が高いような気がする。

そんな至極どうでもいい事を考えながら帰り道を歩き、横断歩道が赤になったところで止まる。

そろそろ辺りも暗くなってきた。

明日からはまたバイトだ、今回使い込んだ分も取り戻しまた次のコミケに向けて貯蓄しなければ。

就職活動もそろそろ考え始めなければならないが…やめよう気が滅入ってきた。

そんな事より戦利品の中身に期待した方が建設的だ、ほら今回の表紙だって素晴らしい。

それにもしかしたら神様がお願いを聞いてくれてさっきの夢の続きだって見れるかもしれない。

そうして落ちかけていたテンションを戻し始めたそこに―――ドンッと何かに背中からぶつかられた。

 

(~~っ自転車!?ばっかやろ!スマホ見ながら運転とかしてんじゃねーよ!!って)

 

幸いリュックも背負っていたためか怪我はしなかったが、直前で手元に出した今回一番楽しみにしている新刊がその衝撃でぽーーんと空に舞うのがやけにゆっくりと見えた。

 

 

ーアカン

ーそれはアカン

ーいや他のならいいってわけじゃないけどそれだけはマジでアカン

 

 

「ふざっけんじゃNEEEEEEEEEEEEE!!!!」

 

 

いやね?お前馬鹿だろって言われてもしょうがないとは思いますよ?

同人誌一冊の為に車道に飛び出すとかさ。

でもその一冊の為にこちとら片道何時間もかけてるわけですよ。

こちとら帰ったらそれで楽しむ気満々だったわけですよ。

 

本なら車に多少踏まれたぐらい中身大丈夫だろって?でも大丈夫じゃないかもしれんよな?

それに中身は大丈夫かもしれんが表紙はそうもいかんでしょうよ

言ってみれば踏み絵ぞこれは。信ずる神の絵を他者が踏みつけて平気でいられる信者がいるかね?俺は無理だね。

 

つまるところ俺は新刊を救うためやけにスローモーションに感じる時間の中車道にダイビングキャッチを敢行したわけだ。

結果?本はキャッチできたよ車は避けられないコースだったけどな。

避けられないコースのはず…だったんだけどなぁ。

 

本をキャッチした瞬間謎の真っ白い光に包まれて…頭から突っ込むのは道路か車かどっちだろうなと思っていたが答えはどちらでもなく、そこにあるはずのない草原だった。

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