幻想入りしたオタクは理想の2次嫁にお仕えしたい 作:トテツクlv0,01
以前「お嬢様にお茶を出したいからやり方教えて下さい。」と咲夜さんに頼んだところ
「貴方にはまだ百年早い。」と丁重にお断りされた事があったりする。
妹様のお願いもあり改めて事情を話し、なんとか時間を取ってもらえる事にはなったのだが…そこで少しばかり問題が発生した。
連れていかれた先は厨房というか調理場というかそんな場所だ。
そこにある扉、頑丈そうなというか物々しいというか武骨と言うか…とにかく不気味なその扉に俺の第六感が妙な反応を示していた。
これが仕事するって事は多分命の危険があるんだろうとは思うんだが今までとはちょっとばかり違うんだ。
今までのがピィーンとした張り詰めた感じだとするならば、今回のはどよーんとしたというか、おどろおどろしいというか…。これが何を示しているのかいまいちわからない。
「あの…メイド長、今回あの扉の先に行ったりします?出来れば行きたくないんですけど。」
「行くつもりだけど一応聞いておくわ、何故?」
「嫌な予感がビンビンしてですね…それだけといえばそうなんですがちょっと信憑性があるんですこの勘」
そして俺は自分の能力疑惑になっているこの虫の知らせについて話した。
世界を渡った際に習得したらしい事、そして反応した時の事も。
転移してきた時の森、美鈴さんの石パァン事件、グングニル装備お嬢様の威圧時、妖精メイドに弾撃たれた時、後は妹様との初対面時、多分これで全部だと思う。
でも今回のはそれらとは違う反応なのよね。ほんとなんなのこれ。
「それについてお嬢様にちゃんと話した?」
「そういえばまだ話してなかったですね…些細な事かなーと思って」
「…で、その勘とやらは今の私にも反応してるのかしら?」
いつの間にか眼前にナイフが突き出されていた。
ひっ。いきなりそんなおっそろしい事されりゃ当たり前だがビビる。
驚いて身を引くも、引いた分だけ咲夜さんの持つナイフも追いすがってくる。
目の前数センチって所だと思う。横に逃げても当然のようにホーミング。
地雷踏んだ!?不味い事でも言ったっけ!?何でいきなり殺されそうになってんの俺!?
「もう一度聞くわ、その勘は私に反応している?」
「……いえめちゃめちゃ怖いですけど勘は咲夜さんには多分働いてません。
相変わらず扉には反応してますけど。」
「そう、ならいいわ。」
聞きたい事は聞けたのか、ようやく引っ込めてもらえた。
本当かどうか試したとかですか…。所詮振りだから仕事しなかったと。
いやほんと心臓に悪いんでそういうのは勘弁して貰えませんかね。
事前に忠告したらテストにならないっていわれりゃそりゃそうなんだけどさ。
「出来ればこれっきりにして貰いたいです…。」
「今後妙な真似をしなければ、ね。」
つまり行動如何では冗談で済まなくなる可能性がある、と。
釘を刺された気がする。お嬢様攻略の際一番の障害になるのはやはり咲夜さんなのかも。
「でこの妙な反応なんだと思います?
メイド長が守って下さるなら勘自体働かないように思うんですけど。」
「身体的危機じゃなくて精神的危機とかじゃないの?
分かってると思うけどあの先が人間の貯蔵庫よ。」
扉の先で暴行を受けて死ぬとかじゃなくその光景に正気が耐えられないか。
あり得るような気がする。グロ耐性あんまりないんだ俺。
「それ聞いてなおの事行きたくなくなったんですが…」
「だから貴方には百年早いと言ったじゃない。仕方ないわね…本来なら血を抜く所から教えるつもりだったけど今回それは省くわ、少し待ってなさい。」
情けないと言われようが怖いもんは怖い。
そう言ってふっと姿を消す咲夜さん。
数分もたたないうちにいくつかのワイン瓶を手に戻ってきた。それに血が入ってるの?
「温度は人肌程度が理想。今回は搾りたてだから温めなくていいわ。
温めすぎには細心の注意を払う事。くれぐれも固まらないように」
搾りたて…いや牛乳みたいなもんと考えよう、うん。
嫌な想像はしないに限る。
「次にそれをどう美味しくするかだけど、答えだけなら簡単。混ぜるのよ。」
混ぜる?ブレンドですか?
「血の味そのものは人によって千差万別。男の味、女の味、若い味、老いた味、すべて違うわ。その中でも処女の血はより美味しく感じられるそうよ。後は…血液型によっても変わるわね。」
お嬢様はB型が好みだって話は知ってる。なんで俺はB型で生まれてこなかったんだ…。
処女の血が好まれるっていうのは吸血鬼作品では割とあるあるだな。
理由はなんでかはさっぱりだが。
逆に童貞の血はどうなのか気になったので聞いてみたが、珍しくもないし別に美味しくもなんともないんじゃないかとの事、ちくせう!
てかこれさり気なくどころかモロに貴方とは違うんですアピールじゃないの?
「ちなみにメイド長はお嬢様に自分の血を飲んでもらった事とかあったりします?」
「直接ではないけれどあるわよ。これを使ってね。」
手渡されたのは注射器。予備もあるとの事なのでいくつか貰っておく。
中の人からもこれで取ってんのかなぁ。
彼岸〇みたいな吸血装置とかじゃなければいいんだけども。
しかし原作同様直接吸血はやっぱNGなのかね咲夜さん的には。
俺としてはむしろばっち来いであるが。
いつか飲んでもらえる事を夢見て血には結構気を使ってたりもしたからな。
おぜうさまを知る以前は煙草吸ってた時期もあったが即座にやめた。血に悪いから。
ポケットの奥にライターが残ってたのはその時の名残だ。
それからはレバニラなんかは勿論の事青魚や緑黄色野菜もしっかり摂ってた。
人間ドックかなんかで見れば血液サラッサラな自信あるわ。
そうそうお嬢様の好きな納豆も血に良いんだぜアレ。
ねばねば成分のナットウキナーゼってのが血栓を溶かすんだってさ。
話が逸れすぎた、いかんいかん集中しないと。
「それだけ聞くと組み合わせが数万通りじゃきかない気がするんですが…メイド長秘伝の配合比とか教えてもらえたりは…」
「しないわよ?妹様のご注文は貴方が自分で淹れたお茶でしょう?」
ですよね~…。自分が有利に立てる武器の一つだもんなぁ。
そう簡単にはいかないか。
各種血は咲夜さんが時間停止させて悪くならないようにしてるらしい。
そこのワインセラーにある分は好きに使って良いとの事。
そういえば普通のワインなんかも時間を進めて作ってるんだっけ。
血とは別の所に置いてあるみたいだけど。
『空間拡張も維持する』『ワインも作る』
『各種血の時間も止めて保存する』『館のお仕事もする』
『全部』やらなくっちゃあならないってのが『メイド長』のつらいところだな。
いや覚悟決まりすぎだろ。ぶっ倒れるわこんなん。一人の負担が半端ない。
この人能力に対しての負荷とかないんだろうか?
そういえば永夜異変の時は妖魔チームだと幻想郷の夜の維持までしてたよな。
射程距離も幻想郷全域?一体どうなってんだ。
「後お茶請けに関してなんですが、普通の調理ぐらいならまだしも、お菓子作りは未経験でして。比較的簡単であろうクッキーなんかのレシピも知りたいんですけど…それにも血とか混ぜた方がいいんですかね?」
「お菓子に混ぜるのも若い女性の血の方がいいと思うわよ、甘味はそちらに感じるらしいから。
レシピも渡してあげてもいいのだけれど、ついでだから少し手伝いもして貰いましょうか」
次に取り出されたのはお肉。かなりの量がある。
小食のお嬢様じゃなくても食べきれないだろう。何人分になることやら。
てかちょっと待て……
「今日はハンバーグにでもしようかと思ってね。とりあえずこれ全部ミンチにして。」
封神〇戯じゃないんだぞ…?いやこれ死体損壊罪とかに問われるんじゃ…。
「何だか勘違いしているようだから言っておくけど、これは猪の肉だから。」
「ホントそういうドッキリやめて下さい…。」