幻想入りしたオタクは理想の2次嫁にお仕えしたい 作:トテツクlv0,01
あんまり納得いってないのでそのうち手直しするかも
「というわけでお腹空き始めたんですけどこれどうなってるんですか?パチュリー様。
薬の効き目って三年ぐらいって話じゃありませんでしたっけ?まだ一年もたってないんですけど。」
「思い当たる節はいくつかあるわね。」
怒れるお嬢様を必死に宥めた翌日、久しぶりに感じた空腹感をぱっちぇさんに相談した。
ああちなみに一晩寝たら顔面は元通りに戻ったよ。髪の毛も無事でホッとした。
それはいいんだけどお腹がさ、これ普通に物を食べても全く解決しないんだ。
何食べても味しないのは残ってる上に、お腹減ってる感覚はあるくせして食べても食べても一向に膨らまない。一体どうなってるのかさっぱりわからない。今回は自身で作った魔法薬に関わって来る事だからか、珍しく面倒臭がらずに相談にのってもらえた。
「まず一つ目、これは貴方がレミィの眷属になったからね。あの薬はあくまで人間用に作った物。吸血鬼には毒にも薬にも耐性があるせいで効き目が早めに切れてきた、とも考えられるわ。」
ふむふむ…それじゃあ三年の効果時間を信用しすぎるのは良くないと。
ざっととか言ってたしな。真人間のままでも多少のずれはありそうだ。
しかし三年予定が半年と少しってカット率高くね?6分の1とかだろ?耐性えぐい。
「二つ目、その空腹感が単なる食欲とは違うものだという可能性。これもレミィに噛まれた事に関わってくるんだけど、貴方ちゃんと血は飲んでる?」
「飲んでないです、全く。」
どうせ飲んでも味しないだろうしって全く手付けてなかった。
最初の一口にするのはお嬢様の血にしたかったし。今まで飲まなくてもへっちゃらだったし。
「吸血欲求が飢餓感を感じるものだって話もあるし、それを今までは薬が無理やり作用して抑えてた。けれどそれも一つ目の理由で話した通り、それが弱まってきたのだとしたら?薬で抑え込んでいた飢餓感が逆に押し負けるようになって表に顔を出し始めた、こんな所じゃない?」
喉の渇きなら割とありそうだが飢餓感ねぇ…そっちに繋がるパターンもあるのか。
やっぱり血は吸血鬼にとって、それだけなくてはならないものって事か。
「味がしないのが残ってるって事は薬はまだ完全には切れてないって見方でいいんですかね?」
「多分そうだと思う。」
「これがもし薬の効果が切れちゃったらどうなります?」
「効果中でもその上から空腹感を感じる程だもの、何もしないなら切れた瞬間動けなくなって、最悪そのまま餓死したっておかしくないわよ。だからとっとと人間の血を飲んでおきなさい。そうすれば多分治るから。」
つまりお嬢様の血を最初の一口にしたければ薬の効果時間中がタイムリミットって事かな。
この推論が正しいものだとするならば、吸血欲求、及び衝動も、薬の弱体化に伴い強くなってきている可能性が高い。
お嬢様のうなじは今は見ない方が良さそうだ。
ぱっちぇさんの推論が、おおよそ間違ってないものだという事はすぐに分かった。
強くなってきた衝動はすぐに俺に対して牙を剥いた。
お嬢様との週に一度の吸血の日。
うなじどころかお嬢様そのものを、もうまともに見る事が出来なくなってきていた。
その柔肌に喰らいつけと本能が囁いてくる。五月蠅いマジで黙ってろ。
近づかれただけで、お嬢様そのものを傷つけてしまいかねなかった。
だから自分から提案したんだ。
「しばらくの間、俺の血を吸うのを止めにしませんか?」
「…何で?嫌よ、どうしてそんな事を言うの?」
「いえあの…最近はあまり変化もありませんし、少し時間を置くことも必要かなって。それにほら、飽きるでしょう?ずっと同じ味は。」
本当の事は言えなかった。
直接の吸血は絶対に許さないと言われている以上、愚を犯す事は避けたかった。
お嬢様にもし危害を加えてしまっては、セクハラとは訳が違う罰がくだるだろう。
楽しみで楽しみで仕方なかった二人きりのこの時間が、今は何よりも一番危険だった。
「そんな事ないわ。貴方の血は美味しいもの。」
「妹様は微妙だって前に仰ってましたし、お嬢様も飲みやすいだけで味はそれ程じゃないって評価じゃありませんでしたっけ?」
「眷属化が進んで味も変わってきてるの。それはそれとして今何で私よりフランが先に来たの?」
「単純に言われた順番なだけですけど、なにか不味かったですか?」
「ならいいんだけど…とにかく、中止にはしないわよ。認めない。」
血の味が変わってくるなんて事があるのだろうか?
半
あっちは血ではなく肉の話だけど。
俺も似たような事になってるのかもしれない。美味しくなってるって事ならそれに越したことはないんだが。
訴えは認められなかったので、諦めていつもの様に肩を出す。
そしていつもの様にお嬢様がそこに牙を突き立てる。
だが流石にハグまではできなかった。
今の状態はまんま飢えた獣の前に霜降り肉を吊り下げてるようなもんだ。
その匂いだけでも今の俺には毒だった。
理性で自身にお預けをかけ、目を瞑って拳を握り、歯を食いしばって必死に耐えた。
癒しの吸血タイムの筈がまさか逆に早く終われと願う事になるとは…。
なんとかその場はやり過ごせたが想像以上にキツイ。精神がすり減る。
ギリギリまで人間の血を飲むのは我慢しようと甘く考えていたが、これはとっとと諦めて飲んじゃった方がいいかもしれない。
実際その方が良かった。
ここでそうするべきだった。
日数が更に立ち、次に衝動を感じるようになってしまったのは妹様に対してだった。
ただお嬢様に対してのものに比べればまだ全然我慢できる範囲ではあった。
だがもしもがあってはいけないので、お付きの仕事を暫く休止させて貰えないかと頼んだのだがやはりそれは認められなかった。
「納得できない。どういう事かちゃんと教えてよ!」と妹様にぎっと睨みつけられる。
確かによく考えてみれば、隠し事をしたまま無理を通そうとするのはフェアじゃないか。
洗いざらい理由を話すと「じゃあ私の血を飲んでいいよ?」と至極あっさりと許可がでる。
だけどそれはこちらから断った。
俺が欲しいのはお嬢様の血であって妹様の血ではない。
真祖の血を飲めば解決するのかもしれないが、もし食事以上の意味合いがあるとするならば、やはりお嬢様に対して以外はしたくなかった。
「なんでうまくいかないかなぁ。」と妹様は不満そうだったが、渋々ながらも受け入れて貰えた。
次の日、加速度的に状況は悪化し、咲夜さんに対してまで噛みつきたくなる気持ちが出てきてしまう。だが咲夜さんからしても俺から噛まれるなんて真っ平御免だろう。
噛まれるならお嬢様からの方がいいに決まっている。それすらもこの人は断っているのだから。
一緒に仕事をする時間をずらし、人間達の分の食事は一人で用意する事にした。
つまみ食いなんかもしてみたがやっぱり味はしないし、満腹度も満たされなかった。胃下垂状態かっての。
そのご飯を貯蔵庫の中に持っていく時が最悪だった。
数だけは無駄にいるせいで欲求もその分大きくなる。
だけどこいつらに噛みつくなんて死んでも御免だ。俺は眷属を作りたい訳でもない。
結局一度で懲り、作るだけ作って食事を運ぶのは改善するまでまた咲夜さんに頼む事になった。
お嬢様の為にもっと働いて俺の有用性を示さねば、いつまでたっても血は貰えないというのに…それとは逆にどんどん出来ていた事が出来なくなっていく。足を引っ張っている。情けない話だ。
目が回ってきた。
流石にそろそろ限界かと、結局そこでお嬢様の血を最初の一口にするのは諦めた。
初めて欲求を認識した日からそれを抑える為に時折自分の腕をかじかじはしてた。
それに効果があったかはわからないが。
今回はそれだけで済まさずにガッツリ噛みついて血を飲んでみた。だけどやっぱり味もしなかったし空腹感も紛れなかった。自分の血じゃ駄目って事か。
くうくうおなかがなりました。
仕舞いには今一緒に掃除してる妖精メイド達でもいいんじゃないかなんて思い始めてきてた。もう末期だ。でもこいつら体に血なんか通ってないんじゃないか?
弾と相殺した時もその場で消滅するような感じで血しぶきも何もなかったし。
いやいや一体何を馬鹿な事考えてんだと頭を振り払い仕事を進める。
部屋の掃除が粗方終わり、一息ついた所で食糧庫に向けて歩き出した。
あそこのワインセラーになら人の血の取り置きがある筈だ。
それなら直接噛まなくても血を取り込む事は出来る。輸血パックみたいなもんだ。
お嬢様達のお茶に使う分を勝手に拝借する事になるがもう仕方ない。後で謝って許してもらおう。
その筈だったがちょっと判断が遅すぎた。我慢をし過ぎた。またアホな事をした。
そこにたどり着く前に俺は倒れて意識を失った。
目が覚めた場所は自分の部屋のベッドの上だった。体を起こそうとしてみたがまともに動かない。
そんな俺を見下ろすようにお嬢様がそこに立っていた。
「何でお嬢様がここに…?まだ吸血の日でもないんじゃ…。」
「貴方の様子がおかしすぎたから後ろから見てたのよ。事情はパチェから聞いてるわ。」
動かない体が今は逆に有難かった。これなら間違っても襲ったりはしなくて済む。
「貴方ねぇ…私の為に私の為にって、それで私に世話かけてたら意味ないでしょうが。」
「仰る通りで…すみません。」
「その様子だとどうせ血、まだ飲んでないんでしょ?何で飲まなかったのよ?」
「これから飲むつもりではあったんです…。ただ初めはお嬢様のがいいなって、我慢しすぎて失敗しただけで…。妹様はいいよって言って下さったんですけど…それは断りました。」
「何で私には隠しててフランには話してんのよっ!?」
「まだ貰えないだろうってのもありましたし…お嬢様を傷つけそうな危険人物って知られたら、捨てられそうで…怖かったんです。妹様には……あれ、何で俺…話したんだろう……。」
分からない。理由を話せと言われて、あの時はただそうするべきだと感じたんだ。
「さてはあの子またっ!はぁ…それについてはもういいわ。なんとなく分かったから。」
お嬢様は頭をガシガシと掻きながら深くため息をついた。こうなったら私も…とかブツブツ言ってた。そしてしばらくの間考えこんだ後、自身の人差し指を爪でピッと切り裂き、深い傷を作った。
「いい?貴方にあげるのはこれだけよ?それ以上は許さないから。」
そうお嬢様は俺に告げると、傷を作ったその指を、俺の口の中に突き入れた。
ぽたり、ぽたりと舌の上に雫が落ちる。それをゴクリと飲み込むと随分と久しぶりに味を感じた。
薬の効果がもう切れていたのか、それともお嬢様の血だからそうなったのかはわからない。
わからないが…ずっと求め続けたその血の味は、まるで蜜のように甘く…自分の血とは訳が違うものだった。
キンキンに冷えたビールだとかキリマンジャロの雪解け水なんて生易しいもんじゃない。
いうならばこれは
味だけでなく治癒効果も凄まじい。たった数滴の、ごく少量の筈なのに体にめきめきと活力が漲ってくるのも感じる。
もっとだ、もっと飲みたい。これだけじゃ全然足りない。
その事しか考えられなくなった。
口の中にあるその指にちゅうちゅうと吸い付き、それを丹念に舌でねぶりまわす。
だがもう再生してしまったのか傷はすぐになくなってしまった。
幾ら指を吸っても舐めても血はもう流れてこなかった。
だから俺は何の躊躇いもなく、その指に噛みついた。全力で。
「ッ!?ダメッ!!!」
直ぐに口から指は引き抜かれる。
それと同時に発されたお嬢様の静止の声で、はっと正気を取り戻した。
俺は今……何をした?
「…こういうのを飼い犬に手を噛まれるって言うのかしらね。いえ、この場合は指を、かしら。」
お嬢様のその指には、食い千切るまではいかなかったものの、俺の牙のつけた跡がまだしっかりと残っていた。事前に警告を受けたにもかかわらず、それを無視して欲にとらわれ、最愛のお嬢様に対し危害を加えた。他ならぬ俺自身が。
「もっ…申し訳ありません!!!」
取り返しがつかない事をした。傷はすぐに再生された様だがそんな事は関係ない。
俺は何をもってこの失態を詫びれば良いのだろう。失敗した失敗した失敗した。
「…別に怒ってるわけじゃないからそんなに怯えなくてもいいわ、私も迂闊だったし。
血をあげるだけなら直接じゃなく、器に入れて渡せば良かった話だものね。」
「でもお嬢様が絶対許さないって言ってた事を俺は…!」
「それについてももういいの。でもそうね…それじゃ納得いかなそうだし、罰として3つ私に約束しなさい。」
激怒されているものかとばかり思っていたがそんな様子はまるでなく、意外にもお嬢様は呆れ顔といった所だった。仕方ないわねって感じの。
あれ…?とんでもない事を仕出かしてしまったと感じていたが、案外大した事じゃないのか?
いやでも頑なにするなって言われてたし…どういう事だ?
「まず一つ目、今後ちゃんと人間の血は飲みなさい。貴方が幾ら人間を嫌がってるか知らないけどそれは私達の大切なご飯なんだから。血には敬意を払いなさい、それは吸血鬼としての矜持よ。
いい?わかった?」
いやもう人間は嫌ってはいません。心底どうでもいいとは思ってますが。
なんだか誤解されてるっぽいが今回こうなっちゃったのは、人の血を飲むのが嫌だったわけじゃなく、お嬢様の血を飲みたくて仕方なかったからで…。まぁまた倒れたくはないし約束しよう。
ゲロまずだったらどうしよう。
「二つ目、私の血を飲むことは禁止。許すのは今回限りだからね。」
「そう言われるって事はやっぱり俺お嬢様にとってかなり不味い事したんじゃ…。」
「ああ違うのよ。私としてはもう貴方に飲ませてあげてもいいんだけど、貴方は飲まない方がいいの。いつか分かる時が来るわ。」
なんだそりゃ?矛盾してない?
お嬢様側がOKなら負担にならない程度にゴクゴクいきたいんだけど。滅茶苦茶美味しかったし。
美味過ぎて癖になっちゃうからダメとかそういうの?共吸いとかもしてみたかったんだけどな。
理由が気になったがそれについては断固として教えて貰えなかった。
「三つ目、今後吸血及び吸血鬼について調べる事を全て禁止するわ。」
「よく意図が掴めませんが…教えて貰えない理由について図書館で探るな、と捉えていいですか?」
「そんなところね、今貴方が知るべき事じゃないのよ。本には載ってないだろうけど一応ね。」
「ならいつかは教えて頂けるんですか?」
「いつかね、いつか。」
こりゃあまともに理由を教えてもらえたりはしなさそうだなぁ。
すこぶる気になるが…その疑問を飲み込むだけで許して貰えるならそうしよう。
「でもそれだけで本当にいいんですか?」
「いいえ、私を噛んじゃったんだからそれだけじゃ全然足りないわよ?足りない分は…一生尽くして払いなさい。もう逃がしてなんてあげないから精々覚悟しておくことね。」
そんな事言われなくとも一生尽くすつもりではいますとも。
お嬢様の前から逃げるなんて事はそんなに…多分…うん。ないといいな。
今回特に話の無理やり感が凄い…もうちょっと練るべきだったかも
どうも〆が雑になる傾向があるな…
とりあえずここででれみりあ編は終了です
吸われちゃった事で踏ん切りがついて大胆になり、次回からようやくR-18展開に入ってきます。
導入ばかりが長くなってすみませんでした。
こういう説明無しで本文だけで分かるように匂わせたい…難しい