幻想入りしたオタクは理想の2次嫁にお仕えしたい 作:トテツクlv0,01
夫の私物を勝手に捨てる妻がいるという話がある。
曰く場所を取って邪魔だったとか、なぜそんな物を集めているのかわからないとか。
コレクションとはコレクター本人にとっては宝の山だが他人から見ればゴミともとれる。
えてしてそんなものだろう。理屈としてはわかる。
だが果たして捨てられた当人はそれで納得出来るのだろうか?
俺は断じて否であると考える。相応の代金程度の提示ではお話にならない。
例え愛する人が相手だとしても許されるはずがない、文字通りの悪魔の所業だ。
その程度で怒るなら本気で愛してなかっただけじゃないの?という声も勿論あるだろう。
それに対して俺の意見を言うならば捨てる前に事前に相談ぐらいしろである。
親しき中にも礼儀ありっていうじゃないか。まだ今回の場合は親しくもなれてないわけだが。
だとしてもだ。
戦争だろうが....。いくらお嬢様が相手でも、それをやっちまったら......戦争だろうがっ......!
人間にだって踏み込んではならない領域、つまり逆鱗は存在するのだ。
「なんばしてくれよっとるとですかお嬢様ぁああぁぁ!???」
「はぁ!?こっちの台詞なんだけど!?あんたなんて物見せてくれるのよ覚悟はできてるんでしょうね!?ちょっ、こっちくんな!」
さっきまでの土下座ポイントからずかずかと距離をつめる。
はぁ~~???
いつ?
俺が?
お嬢様に?
見せたって?
本おっぴろげたまま目の前で踊って「嫌なら見るな!嫌なら見るな!」とでもしたってか?
「どこをどう考えてもそっちが強奪してって勝手に見ただけでしょうがあああ!?こっちに見せるつもりなんて一切なかったわ!ふざけんな!」
「うるさいうるさい!だとしてもあんなの持ってる時点で有罪よ!ぶち殺してやる!」
「おおおやってみぃや!?こちとらあの一冊の為に既に命張ってんじゃい!その代わり死ぬ前にそのおっぱい揉んでトラウマ与えてやっからな!?」
最早自分でも何言っちゃってんの状態。
手をわきわきと構えてやると「ピィッ!?」とかいう奇声だして物凄い勢いでメイドの後ろに隠れた。
…おい戦闘力5の俺があの暴力の権化撃退しちゃったぞ。火事場のエロ力すげぇな?
しかしまずは咲夜さんが相手か…元より勝ち目はない戦いだったが冥途の土産にれみぱいぐらい揉みしだいておきたかった。
…と思っていたんだがなんだか様子がおかしい。
後ろからがっつりお嬢様にしがみつかれてるからかメイドとしてしちゃいけない顔してる。
おいさっきまでのクール系美人どこいった。
お嬢様本人にさえバレなきゃいいってか。
擬音つけるならニチャアだぞこれ。
確信した。
ここの咲夜さんダメイドだわ。
中身は俺と同等、もしくは上回るおぜうスキーとみた。
だって俺を始末しにくる様子全然ねぇんだもん。
そんな事より後ろからの感触を堪能するのに忙しいみたい。
ンフゥとか言ってるぞ、バレるだろそれ。
「レミィ、今のは流石に貴方が悪いわよ?」
「パチェ!?」
ここで援護射撃は助かるパッチェさん。
いいぞいいぞもっと言ってやれ。
「本まで処分するのはやりすぎよ。いくら中身は低俗なものだったとしてもね。私だって魔術の本を害されたら相手がレミィだって怒るわよ?」
「でもパチェ!?知ってたなら教えなさいよ!?だったらあんなの見なくて済んだのに!」
「卑猥な内容だって事を?教えるわけないじゃない、そうしたら本当に読まなくなりそうだし。
あの場合見せた方が面白くなりそうだからああやって煽っただけなんだから。」
「パチェェェエェッッ!???」
前言撤回、援護射撃じゃなくてフレンドリファイアだったわ。
つまりパッチェさんは元より止めるつもりなんてさらさらなかったって事だ。
そうだよな止めるなんて言ってないもんな。少し協力してあげる、だもんな。
嵌められた…残ったのは実験台の契約のみか。くすくすと笑ってやがる。
流石は魔女で悪魔の親友なだけはある、イイ性格してらっしゃるわほんと。
頭も冷えてきたしお嬢様はもう泣きそうだしで両手あげて降参しておく。
「あ~……おっぱい揉むは流石にちょっと言いすぎました。ごめんなさい。だから、ね?そろそろ出てきて下さいお嬢様」
そう声をかけてもイヤイヤと首を振るだけで咲夜さんの後ろからは離れない。
もうがっしりしがみついてる。
しまったやりすぎた……。
「はぁ………一番楽しみにしてた奴だったのに……。」
「不潔。最っ低。気色悪い…。」
一応会話は再開したが距離はさっきまでより離れている。
物理的にも心理的にも…。
「レミィ、人間には三大欲求というものがあるの。食欲性欲睡眠欲ね。年頃の男性なら春画の一つや二つ誰でも持ってると思うわよ。流石に題材がレミィっていうのは驚いたけど…貴方小児性愛者?」
「失礼な。お嬢様が特別なだけです。小さい子が好きなんじゃなくて好きになった人がたまたま小さかっただけです。俺はたとえお嬢様が大きくなったとしても変わらず愛します。しいて言うならロリコンじゃなくてレミコンです。」
「こっち見んな変態。」
「言っておきますけど妖怪はどうだか知りませんが女性にだって性欲ぐらいありますからね?そこの咲夜さんだって……」
「う、嘘よッそんなの!?ねぇ違うわよね!?咲夜ッ!?」
最後の希望に縋る目でスカートをぐいぐい引っ張るお嬢様。
「勿論そんな事はありませんよ」とにっこり笑って諭してはいるが俺は敢えて言ってやろう。
―――嘘である、と。
その仮面の下は鼻から忠誠心噴き出すまいと必死であると。
「とりあえず返して下さい全部、あれでも俺にとっては大事なものなんです。」
「嫌よ」
「は?」
「変態の元にあんなのがあるってだけで虫唾が走るわ!処分がどうしてもダメってのなら没収よ没収!」
ちなみにあんなのの中には本以外も含まれる。
つまりはポスターやら抱き枕カバーに至っても全部、バレた。
「言っておくけど図書館にあんなもの並べさせないわよ。」
「分かってるわよパチェには頼まない。咲夜に誰にも触らせない場所に保管させればいいでしょ。」
それ問題しかねぇぞ。
明らかに一人だけ勝ち組じゃねーか。
ほらお嬢様!前にいるメイド見てみろって!『計画通り』みたいな顔してるって!?
「そんなんずるい、理不尽なんてもんじゃないぞ!?」
「変態は黙ってなさい!明日まで殺せないからって調子に乗って…咲夜!こいつの部屋は私から一番遠い場所にしておいて!」
こうして俺は一晩の宿と引き換えにお宝全てと尊厳とお嬢様からの好感度を失った。
枕を涙で濡らしたのは言うまでもない。
つんでれみりあようやく始動