───翌朝、椚ヶ丘城「溜まりの間」。
チュンチュン、チュンチュン…
「…というのが、昨夜の事件のあらまし」
「そうか、お務めご苦労だな渚」
「やるじゃねえか、初日からお尋ね者を始末するなんてよ」
「町奉行として汗顔の至り。まあ、ありがたい話だけどな」
お城の広間に集まってぼくの報告を聞いているのは、町奉行の磯貝くんと前原くん、作事奉行の杉野友人くんに書物奉行の竹林孝太郎くん、そして寺社奉行の岡島大河くんだ。
いずれも城主カルマ様を支える若手出世頭たち。
「そういえば千葉と木村はどうした?」
「ああ、部下の指導で少し遅れるって、さっき伝言があったぞ」
千葉龍之介くんは普請奉行、木村正義くんは寄場奉行、ふたりとも剣術の名手だ。
「しかし最近なにかと物騒だよなあ」
「城下に辻斬りや強盗が入り込んでるからな。取締りに渚の力を借りたいぐらいだぜ」
「そんな、言うほどお役に立てないよ」
まだまだ明日のこともわからない戦乱の世とはいえ、赤羽家の領地は他国と比べればとても平和なほうだ。
長年続いた戦で疲弊していた城下もようやく賑わいが戻り、当たり前の平穏な日々が続いている。それを乱す者がいるなら、ぼくは断じて許すことができない。
「謙遜すんなって渚、お前は優秀だよ。まあ、親があんなことにならなければ今ごろお前も奉行だったわけだがな…」
「言うな前原、これからいくらでも出世できるさ、あのカルマ様がほっとくはずがないだろ?」
「そうだな、これからもよろしく頼むぜ」
「うん…!」
「それはそうと渚(クイッ)、なんで君たちが海賊なんか捕まえたんだい?」
「え…?あ、その、それは~…」
みんなにはまだ例の媚薬ペドナのことは話してない。カルマ様が秘密にしておけと言ってるからだ。
「竹林、渚の仕事は殿の直轄事項、機密なんだよ。べらべら話せるようなことじゃない、そうだよな?」
「…う、うん、秘密」
「ほらみろ」
ふう、杉野くんのおかげで助かった。
「それよりどうなんだ?くノ一連中は」
「どうって?」
岡島くんがズイッとぼくに近づいてきた。
「ごまかすなよ渚ぁ、あんな美女たちに毎日囲まれて天国だろぉ?さっそくムフフなことがあってるんじゃねえのかぁ~?」
うへえ、岡島くんの目が逆さまの三日月みたいになってるよ…
「毎日天国って、そんないい仕事じゃないよ」
「うそこけ、絶対おいしい目にあってるだろ!」
「こら岡島、そのくらいにしとけ。渚が困ってるじゃないか」
「へい、へい」
うーん、おいしいというと表現がアレだけど、実際のところまあ良い目にはあってる…よね。
(ドチュッ…ドチュッ…ドチュッ)
『どう…?気持ちいい?』
正常位で速水さんに挿入するぼく……
『な、なぎさ…、もっと、もっと強く突いて…』
『こう…?』
(ズンッ…!ズンッ!ズンッ!)
『あ、あ、あんッ!あんッ…!い、イクッ!イクッ…!』
顔を左右に振って快感に喘ぐ彼女……
今朝起きてからというもの、ぼくは昨夜のことを思い出しては胸が熱くなり、頭がぼーっとしている。
速水さんは美人で容姿端麗、愛撫の反応もすごくよくて、いろんな体位を試せたぼくはとても満足だった。
は~…もう一度したいなあ……
ハッ…!いかんいかん、勘違いしちゃダメだ。
あれはクスリのせいであって彼女の本心じゃない、たまたま偶然の出来事だ…
これ以上を望んだりしたら、そりゃあさすがにダメだよね…
──同じころ、「紅葉の間」。
「ねえねえ、凛香ぁ~…」
「はい、姫さま」
縁側に腰かけて、お女中兼護衛役に甘えた声を出しているのはカルマの妹、カエデ姫。
「行きたいいいいい、あそこ!」
「甘味処ですか?」
「なんでわかったの!?も、もしかして凛香って占い師?」
「違います…」
カエデが行きたいと言ってるのは、いま巷で話題の老舗菓子店のことだ。
「えへへ~、だめ?」
「どうでしょうね、上様の了解があれば」
「う…、そこが一番難関なんだよね」
「そうですね…」
ここ最近の城下の治安状況を考えると、速水は姫の御忍び外出に不安を感じてしまう。それは兄カルマも同じだろう。
「ならさー、凛香から頼んでみてよ」
「だ、だめですよ、私なんかがさすがにそれは…」
「むー…、もしだよ?兄がいいって言ったら…」
「言ったらなんですか?」
「渚も呼ぼうよ!そのほうが楽しいし」
「ごほっ…!?げほげほっ!」
「どうかしたの?大丈夫?」
「なんでも、あり…ません、ごほっ、げほっ」
「あー…渚に会いたいな~、よーし、がんばって兄を説得しよっと!」
「……。」
「なんで黙るの?」
「あ…いえいえ、せ、説得がんばってください…」
***
───翌週の午後、お庭番詰所の前庭。
ドスッ!ドカッ…!バキッ!
「ぐふっ…!げほッ!」
「おらぁぁッッ…!!」
ドボッッ…!!
「うッ…うげええッッ…!?!?(ゴボッ…)」
大門さやかの膝蹴りが、同僚くノ一のみぞおちに決まった。
「そこまでっ…!!」
神崎の鋭い静止で、さやかが次に繰り出そうとした踵落としが不発に終わる。
「ちぇ~、止めを刺したかったな~」
「ゲホッゲホッ…!オエエエッ…!」
ビチャ、ビチャビチャ…
「やだー、きったなぁい!キャハハハハッ!」
「さ、さやか、ダメだよそんなこと…」
そばで観戦していた間宮しおりが困惑してオロオロしている。
「さやかちゃん…」
「おやぁ?矢田先輩、どうしたんですか?こわーい顔してぇ」
「…いつも言ってるよね?仲間への敬意を失くしたら、わたし達くノ一はおしまいだって」
「そうでしたっけぇ?はいは~い、さやかはお説教は結構でぇ~す♥️」
「…口で言ってわからないなら、お望み通り相手をさせてもらうわ、覚悟しなさい!」
「こわ~い!じゃあこっちも本気でいっきますよぉ!」
パンッ!バシッ…!パシュッ!バキッ!
さすがというべきか、大門さやかは大口を叩くだけの力量はあるようだ。それでも桃花は彼女の拳を軽くいなし、パシンと蹴りをはらう。
「ほらよっと!」
さやかは桃花の腹に回し蹴りをしかけて弾かれると、地面に手をついてバック転、そのまま顎に目掛けて鋭い蹴りを繰り出した。
シュッ…パシンッ…!
それも見切られ手の甲で防がれると、すかさず桃花の女の急所を目掛けてエグい正面キック…!
ドスッッ…!!
「くっっ…!?」
ギリギリかわしてなんとか太もものあざで済んだが、まともにくらっていたら桃花はそのあとの踵落としでジ・エンドだっただろう。
「このッ…!!」
バキッッ…!
「げふっ…!」
お返しとばかりに掌底でさやかの顎を突き、流れるように背中から地面に叩き落とす。
ドカッ…!
「ひぎいッッ…!?」
バッッ…!!
痛みで一瞬目をつむったさやかの鼻先ギリギリに、桃花の拳がピタリと止まった。
「「「おおっ…!」」」
くノ一たちの歓声のどよめきと、屈辱で青ざめるさやかの顔…
「あっ…!ご、ごめんね…」
手加減するのを忘れてつい本気を出してしまった。
「あいた、た…」
起き上がろうとして顔をしかめ、腰をさするさやかを心配して近づく桃花。ところが彼女はなぜかぼんやりしている。
「だ、大丈夫…?さやかちゃん」
じーっとどこか一点を見つめる、さやかの視線。
「…先輩って、ほんとエッチなカラダしてますねぇ」
「えっ!?ちょっ…!どこ見てるのもう!!」
あわてて胸を隠す桃花。
「ふふふ、あれなら大丈夫そうね。さて、みんな集まって。明日の城下での護衛について説明します」
くノ一たちが神崎の周りに集まるなか、しおりはさやかのそばに来て手を貸した。
「やっぱり桃花先輩は強いね」
「ふん、ちょっと油断しただけよ。もし武器同士だったら絶対わたしが勝ってた、鎖鎌が使えてたらね」
「またそんな…」
そう、わたしは油断しただけだ…油断、油断?
さやかは自分の口から出た言葉を反芻し、突然パッと顔を上げた。
「いいこと思いついちゃったぁ♥️これで桃花先輩もおしまいね、フフフ…」
───翌日、城下の大通り。
「な~ぎさっ!(ガバッ)」
「うわ、びっくりしたぁ」
通りの角に立っていたぼくの腕に突然しがみついてきたのは町娘姿の矢田さん。
「えへへ、どう?この着物」
「へえーすごい。よく似合うなあ」
「呉服屋の看板娘ってかんじ、よく出てるでしょ?」
「うん(そ、それはいいんだけど…)」
思いっきり、む、胸がぼくの腕に当たってます…ハイ。それにとってもいい匂いがする…
「あ、きたきた」
老舗の菓子店「赤穂屋」の入り口に、地味だけど立派な作りの駕籠が停まった。中から現れたのは城主カルマ様の妹、カエデ姫。
うやうやしく
「ふふ、相変わらず姫は可愛らしいね。ね、なぎさ」
「そうだね」
せっかく身元がバレないように地味な着物を着ているのに、やっぱりどこか特別な雰囲気をまとってしまうのはひとえに彼女の魅力ゆえだろう。
もちろんお店の周りには奉行所から派遣された侍や、町娘のふりをしたぼくの配下のくノ一が辺りに厳しく目を光らせている。
「さーて、いきますか」
「うん!」
町人カップルを装うぼくらもまた、手筈どおりお客のふりをしてお店の暖簾をくぐり、トントンと二階へ上がった。
「わー!?なぎさ!久しぶり!!」
大喜びの姫に迎えられ、ぼくは強引に横に座らせられる。
「ねえ元気だった!?お庭番って大変な仕事なんでしょ!?ケガとかしてない!?」
「だ、大丈夫です」
「よかったぁ~!会えてうれしいいいいっっ!」
こんなに素直に喜びを表現されると、たとえ天と地ほど身分の違うこのぼくでも思わず勘違いしてしまいそうになる。少なくとも悪い気はしないよね。
「ねえ矢田」
「なに凛香」
「あんたさっき、必要以上に元締に抱きついてたけど、あれどういうことなの(ギロッ)」
「仕方ないじゃない、今日はそういう役柄なんだから(キッ)」
「そんなの絶対にウソ、あんたはいつもそうやって仕事に私情を挟んでくるよね」
「うるさいなぁ、人のすることにいちいち文句言わないでよ!」
「まあまあ…二人とも落ち着いて」
神崎さんがあいだに入って止めてくれたけど、この二人、ほんとよくケンカするなあ…
トントン、ガラ…
「おまちどおさまにございます。当店の名物、豆大福でございます」
お店の老主人が手をついてニコニコと頭を下げた。
「きゃあー!おいしそう!!ほらみんなもいただいて!さっそくいっただきまーす!!あむっ、あむっ…!」
夢中でほおばるカエデ姫。だ、大丈夫?そんなにあわてて…
「んごっ…!?ごほっ!げほっ!」
ほーら言わんこっちゃない!お茶お茶!
………
「なんだお前ら、ここは取り込み中だ。他を回れ」
「はあ?なんだあ?ここは天下の往来だぞぉ?」
「ひゃひゃひゃ、こんなところでなにやってんのぉ?お侍さん」
「ちっ…酔っ払いか、邪魔だ邪魔、あっちいけ!(シッシッ)」
店の裏口を警備している侍に絡んできたのは、年の頃なら三十くらいの男女二人組。いかにも浪人くずれの男の名はカブト、いちゃいちゃ寄り添う厚化粧の女の名はアヤメ。
「すいませんねえ、ならあっちにいきま~すって、そんなのウソに決まってんだろ!!」
ズババッッ…!
「なっ…ぐわあああッッ!!」
見事な袈裟斬りで肩から脇腹まで斬り裂かれる侍。
「なにっ!?き、貴様、ぐぼぉぉッッ…!?」
もう一人の侍も、アヤメに背後から釵(サイ)で心臓をひと突きされ、ドサリと血の海に沈んだ。
「ばーか、邪魔なのはお前らのほうだよ、きゃははははっっ!!」
「ピー…」
カブトの指笛に呼応して、路地を挟んだ塀から次々と見知らぬくノ一が顔を出した。
「派手に殺せ、カエデ姫を逃すなよ」
………
「……!」
突然姫を囲む三人(速水、矢田、神崎)が渚に目配せをして上の着物を脱ぎ、くノ一姿になった。
「なになに、どうかしたの?」
「姫はここにいてください、賊はぼくらが食い止めますから」
「えっ…!?…う、うん、気をつけてね…」
「神崎と私(凛香)はここに残る」
「わかった。元締、行きましょう!」
桃花は渚と廊下に出て、素早く階段に向かう。
有希子は紫の絹袋から二つに分かれた薙刀を取り出すと、クルクルと器用に回してそれをひとつに繋いだ。
「ゆ、有希子ちゃん…」
「ふふ、大丈夫ですよ。わたしたちが命にかけてお守りいたします」
二人が階下に降りるとそこはすでに血の海だった。
「ひいいっ!」「ぎゃあっ!」
店の手代と侍たちはすでに斬られて横たわり、その上を味方と敵のくノ一が入り乱れて戦っている。
襖や畳に血飛沫が飛び散り、断末魔の叫びが耳をつんざく。さながら地獄絵図だ。
「殺せ!殺せえッ…!ここにいる者全員だ!」
「お、お助け…」
「なんだじじい、お前ここの主か?さっさとあの世に行きなっ!」
シュッ…!ガキーンッ…!
「ぬおっ…!?」
アヤメの釵(サイ)を桃花の手裏剣が弾いた。
「あなたの相手はこのわたしよ」
「へえ~?だったらお前から先に殺してやるよ!」
アヤメは両手の釵を器用に回して桃花に飛びかかった。
そのころ渚は階段を上がろうとするカブトと向かい合っていた。
「邪魔だ小僧、死にたくなければあっちに行ってろ」
「え…こ、小僧?あの…ぼく大人ですけど、これでも…」
「はああ?なに言ってんだ?」
ガキンッ…!バシッッ!キーンッ!
「ほう、なかなかやるじゃねえかクソガキが」
「だからぁ!ぼくは大人なんだって!!」
ドドドッ…!
敵のくノ一が屋根伝いに二階に侵入してきた。
ズバッ…!ズブッ!
「うぎゃああっ…!げふっ…」
敵の腕を斬り落とし、胸に止めを刺す凛香。
ズバッ…!ザクッ!ズブッ!
「ぐえっ!?」「ぐはぁッ!」「ぎゃああッ…!」
廊下から侵入してきた敵も次々と有希子の薙刀の餌食となっていく。
「えいっ!やあっ…!」
「ぎゃッ…!」
一階の中庭で戦っている間宮しおりは、自分でも驚くほど敵のくノ一に善戦していた。
「このおッ…!なめやがって!」
「ひッ!?きゃあああッ…!!」
でっぷりと太ったくノ一が、油断したしおりに背後から斬りかかってきた。
シュッ…!ギリギリギリッ…!!
「げふっ…!?」
しおりの同僚大門さやかが放った鎖が敵の首に絡みつき、仰向けに転がったところを鎌で喉を切り裂く。
「ぎゃあああああッッ…!!」
「た、助かった…。ありがとうさやか」
「あんたがまだ生きてるとは意外ね」
ガキーンッ!バシッッ!シュパッ…!
広間では桃花と釵使いのアヤメの一騎討ちが続いていた。
ガチッ…!ギリギリ!
桃花の繰り出した刃をアヤメは釵の返しで受けとめると、もう片方の釵を刀身に叩きつけた。
バキンッッ…!シュルシュルッ…ズトッ!
「あっ…!」
桃花の刀は真ん中で折れ、先端が畳に突き刺さる。
「ひゃははははッ!死ねえッ…!」
ブンッ!ブンッ!ブンッ…!
素早く突き出す釵が桃花の首を掠めた瞬間、彼女は茶箪笥に置かれた花瓶をつかむと、お返しとばかりにアヤメの側頭部にしたたかに打ち付けた。
バキイイイッッ…!!
「ぐわあッ…!?」
ひるんだ隙に桃花は倒れている侍の刀を拾い、すくいあげるようにしてアヤメの首を一刀で刎ねる。
ズバッ…!!ブシュウウウウッッ!!
「アッ…アヤメッ…!?!?ウワアアアアアアッ…!!!」
渚と戦っていたカブトが突然悲愴な声をあげ、桃花に向かって飛びかかる。
「おのれぇッ!よくもおおおおッッ…!!」
身構える桃花を斬ろうとしたその瞬間、渚の素早い袈裟斬りがカブトの背中を切り割いた。
ザバァッッ…!!
「グアアアアアアッッ…!?!?」
ガクンと膝から折れ、カブトは糸が切れた操り人形のように崩れおちた。
「…だ、大丈夫?矢田さん」
「あ、ありがとう、なぎさ…」
「よし、かかれ!」
窓の外から町奉行の磯貝の指示が聞こえる。
「やっと加勢がきたみたいね」
「下も落ち着いたようだし、速水さんは先に姫とお城に戻って。わたしはみんなの様子を見てから帰ります」
「わかった、神崎も気をつけて」
「はあ…はあ…なんとか生き残れた、本当にありがとう」
しおりは肩で息をしながらさやかにお礼を言った。
「ふん、こんな相手大したことないわ」
「さっき助けてもらったお返し、必ずするから」
「じゃあさ、今からわたしが言うことをしてよ」
「え…?」
「簡単なことよ、○△□…*☆◇…」
「え…!?そ、そんなことして大丈夫なの…?」
「ちょっとしたイタズラよ。ふざけてやりました、ごめんなさいって言えばやさしい先輩なら笑って許してくれるでしょ、ちがう?」
「そ、そうかもしれない、けど…」
「忘れたの?わたしはあんたの命の恩人なんだけど」
「わ、わかったわよ…、すればいいんでしょすれば」
……
「桃花せんぱ~い、しおり知りませんかぁ?」
「え…?知らない、さやかちゃんといたんじゃないんだ」
闘いを終えて佇む桃花のもとに、部下の大門さやかが近づいてきた。
「困ったな~、あいつほんとドジだし。先輩、一緒に探してもらえませんかぁ?」
「わかった、どこから探す?」
「母屋は居ませんでしたから、外の蔵のほうですかね~」
「蔵ね、行ってみようか」
「あれ矢田さん、どこいくの?」
「しおりちゃんを探してるとこよ、なぎさ」
「ああ、言われてみれば見てないね、見つかったらまた報告して」
「はーい」
母屋を出て角を曲がると大きな蔵が並んでいる。まずは手前の一番大きな蔵をのぞいてみることにした。
「ここかな?」
ガラガラガラ…
「おーい、しおりちゃんいる?」
重くて大きな扉を開くと、中からムッとカビ臭い匂いがする。しばらく暗闇に目を凝らしていると、突然しおりの声が奥から聞こえてきた。
「…た、助けて、桃花先輩!足が引っかかって出られないんです!」
「しおりちゃん!?だ、大丈夫…!?」
「は、はい、それより暗いし怖くて…」
「わかった!そっち行くね」
真っ暗な蔵のなかには何があるのかさっぱりわからない。桃花は後ろにいるさやかを振り返った。
「さやかちゃん、ついてきてる?」
「はい、それより先輩は大丈夫ですか」
「ええ、よく見えないけどそろそろかな?しおりちゃーん、どこ?」
「ここですよ、ここ」
「ここ?このあたり?しおりちゃ…んッ!んぐっ…!?(し、しまった…)」
「ほーら油断は禁物ですよ?せんぱ~い♥️」
気がつくと桃花は、背後からさやかに例の媚薬ペドナをたっぷりと染み込ませた手拭いで鼻と口を押さえられていた。
「う…ぐっ…、ん…」
なんとかしばらく息を止めて体内への侵入を抑えようとしたが、最初の呼吸で肺まで吸い込んでいて、もう手遅れだった。
「ふふ、もう効いてきたわ、目がトロンとしてる」
さやかの腕をかろうじてつかんでいた桃花の手の力が抜け、ゆっくりと垂れ下がった。
力を失い倒れそうになる彼女をさやかは背後から支えると、脇から手をいれて桃花の胸に触れた。
「ん…、は、あ…!」
「フフン、ちょっと触れただけなのにもう感じてるの?淫乱ねえ」
「はあ…はあ…」
「あんたの弱点はやっぱりこのエッチなカラダってわけだ、キャハハハハッ!」
さやかは桃花の乳房を下から持ち上げるように揉み、そのむっちりとした豊かな感触を手のひら全体で味わった。
「んんっ…!や、やめて…」
「さ、さやか、なにしてるの?もうやめないと…」
「なに言ってんのしおり、先輩をだましたあんたももう同罪だっつーの」
「ど、同罪…!?」
「そんなことよりそこの明かり取りを開けてこれを見なよ、先輩のこの表情。すっかり雌の顔になってるでしょ?」
「ち、ちが…ひゃあっ!はあっ…!いやあッ…!」
必死に快感に耐えていた桃花だが、さやかの指先にレオタードの上から乳輪をロックオンされ、喘ぐ声がオクターブ上がった。
さやかはわざと先端に触れるのを避け、乳房の外側からじわじわと乳輪に向かって指を滑らせては戻す、を繰り返した。
「ふふ、いやらしいわ。レオタードの上からでもこんなに乳首が硬く尖っているのがわかるなんて」
「はあ…はあ…お、お願い、は、はや、く…いじって…」
「フフン、赤羽の三羽烏と言われたくノ一が部下におねだりとはねぇ。ククク、ほんとみじめね」
ピンッ、さやかの指が桃花の乳首をはじいた。
「ひゃああッッ…♥️」
「いい声、もっと聞きたいわ」
ピンッ!ピンッ!
「だ、だめえッ!ひゃあッ♥️そ、そんなことされたら、い、イクッ…!胸でイっちゃう…!!」
ビクッ!ビクッ…!ビクッ!
はじかれるたびに大きく跳ねる桃花の上半身、そして…
「あああッ…♥️も、もうだめえッ!い、イクッッ…!!」
「…フフン、このわたしが易々とあんたをイかせてあげると思う?」
さやかの手がピタリと止まった。
「…え!?そ、そん、な…」
「なんであんたにこのクスリを使ったのかわかるでしょ。理由は簡単よ、このわたしに恥をかかせたその罰よ…」
「…ば、罰」
「ここであんたはあと数分で肉欲にまみれて一人でみじめに狂い死ぬことになる。フフフ、お可哀想に」
「さ、さやか…」
「さあいくよ、しおり」
突然興味をなくしたようにさやかは手を放し、崩れるように桃花は床にへたりこんだ。
間宮しおりはちらりと桃花を振り返り、申し訳なさそうにしたがすぐにさやかの後を追った。
「し、しお…りちゃ…ん…」
「さあこれでお前もおしまい、せいぜい楽しんで死にな!キャーッハハハハッ!!」
ガラガラガラッ…!ガタンッ!
蔵の大きな扉が閉められ、閂がかけられた。
「だ、だれか、たすけ…ひゃあんッ!…ん、はぁッ♥️」
ほんの少し身体を動かしただけで、全身を爆発的な快感が襲う…
「お、お願、い、この、ままじゃあ、わた、し…、死んじゃ、う…」
矢田桃花、絶対絶命のピンチ…
つづく