ん…?あの二人、なにやってんの?
お店の前で神崎さんと立ち話をしていたぼくは、コソコソとどこかへ向かおうとしているさやかさんとしおりちゃんの後ろ姿に気がついた。
あれ…?
そういえばしおりちゃんを探してたはずの矢田さんはどうしたんだろう?
「…わたしあの二人を追います」
「え…?神崎さん」
「説明はあとで、それより元締は急いで矢田さんを探してください」
「わ、わかった…!」
神崎さんの表情に深刻なものを感じたぼくは、あわてて矢田さんを探し回った。
……
ザザッ…
「待ちなさい、ふたりとも」
「あっ…せ、先輩」
「チッ…」
「どこに行くの?それとも逃げるのかな?」
「え~?なんのことかわかんな~い」
「ふざけないで、例のクスリを使ったでしょ」
「…はぁ?クスリぃ~?なんのことかしら」
「しらばっくれても無駄よ、あなたたちが隠し持ってることはわかってるの」
有希子は本気だ。返答次第では刀を抜く覚悟もできている。
ドンッ…!
「ひゃあっ!」
さやかは突然しおりの身体を有希子に向かって突き飛ばすと、そばに積んであった消火用の手桶を派手にひっくり返し、勢いよく逃げだした。
「待ちなさい!」
有希子は急いで追いかけたが、さやかは停めてあった奉行所の馬に飛び乗り、器用に手綱を操ると通りを駆け抜けて逃げてしまった。
「く…!」
振り向くと、しおりの姿も消えている。
「…なんてばかなことを」
……
「いったいどこ行っちゃったんだ、矢田さん…」
ガラガラ…
もちろん店のなかに姿はなく、敷地の裏手にある小さな炭置小屋をのぞいてみたけど、ここにもいない。
もしかしてあの大きな蔵かな…?でもあんなにしっかり閂(かんぬき)がしてあるのに、まあでも念のため。
ガシャッ…ガラガラガラッ…
うへえ、真っ暗でおまけにカビ臭いし、こりゃあ弱ったな。…あ、そうだ、炭置小屋にカンテラ(灯り)が置いてあったから、あれを使おう。
「おーい、矢田さぁん」
灯りを照らして呼び掛けても返事がない。次の蔵を見てみようと思って、扉を閉めようとしたそのときだった。
「……な、なぎ、さ…」
え…?いま奥から声が聞こえた?
「…や、矢田さん!いるの!?」
「た、たす、け…て……」
急いで奥を照らすと、土壁にもたれるように彼女がへたりこんでいるのが見えた。
あわてて近寄ると矢田さんは華奢な肩で荒い息をしている。
「はあ…はあ…はあ…」
「だ、大丈夫?…うわっ!?」
ドサッ…
「ちょっ、ちょっと矢田さん!?!?」
う、うそ…ぼく、押し倒された。
「ど、どうしたの…?(ハッ)ま、まさか、例のクスリを嗅がされた…!?」
「(コ、コクッ)…な、なぎ、さ…」
チュッ…
ええええええっ…!?えっ!?えっ!?…や、矢田さんが、ぼくにキ、キス…?
「ん、んん…(ヌチュ)はむ…(レロッ)」
うわわわッ…!し、舌が絡んできて…すっごくエッチだ!
うっ…!そ、それより矢田さん、袴の上からそんなとこ触っちゃだめだよ…!そこぼくのヤバいとこだからっ!
「…ねえ、お願い、は、はやく…」
「えっ…?」
「なぎさのここ…ちょうだい…じゃないと、わ、わたし、し、死んじゃうから…」
そ、そうだった!ま、まずい…矢田さんとてもしんどそうだ、迷っている時間なんかない!
「わ、わかった…す、するよ?」
「うん…、き、きて…」
ぼくは急いで身体を起こし、袴を脱ぎ捨てて下半身裸になった。
ズルッ…
「あ…(す、すごい…)」
ビキッと音を立てそうなくらい、ぼくの分身は硬く勃起していた。これをいまから(ゴクンッ…)矢田さんに、そ、挿入する…
レオタードにぷっくりと浮かぶ彼女の乳首、荒い呼吸で上下する豊かな胸…
誤解を恐れずに言うと、いつも明るくてやさしい矢田さんのことがぼくはとても大好きだ。くノ一みんなのお姉さん、大事なまとめ役としていつもぼくを支えてくれる。
南国の果物みたいに丸くて張りのある彼女の胸を、レオタードの上から手のひらで包むように揉んでみる。
ううッ…柔らかくて弾むような力があって…すっごく触り心地がいい…!
「んんッ…!はあッ♥️」
こんなにも素敵な彼女もぼくにとっては大事な部下のひとり。決して性的な目で見ちゃいけないって、これまでは自分を戒めてきた。
「はぁ…♥️い、いい…♥️き、気持ちいい…」
…だけどこうしてふたりきりになって理性をはぎ取ると、こんなにも抱きたい気持ちでいっぱいになってしまう…
ビュクッ、ビュクンッ…!
はやく挿入したくてしたくて、痛いくらいに疼くぼくの肉棒。も、もう我慢の限界だよ…!
「ん、んん…(レロッ)」
舌を奥深く入れてキスをしながら、矢田さんのレオタードの股布をずらす。彼女も待っていたかのように膝を立て、ぼくの腰に両脚を絡ませてきた。
さあ…お互い準備完了だ。
「いい、挿れるよ…?」
「うん…(コクッ)」
しっとりと潤んだ矢田さんの瞳…なんて可愛い表情なんだ…!
ジュププ…
少しずつ探るように、彼女のなかに先端を沈ませる。うッ…!さっそく膣襞がぼくの肉棒に絡みついて、き、気持ちいい…!
ジュプッ…ジュプププッ!
「ひゃああっ…♥️あ、あんッ…!」
ググッと仰け反る矢田さん。…ちょ、ちょっと落ち着いてよ、ぼくも一呼吸置かないとヤバいんだ!
うッ…奥まで挿れただけで、もうイキそうになっちゃった…
「は、はやく…う、動いて…」
じゃ、じゃあ遠慮なくいくよ…!
ジュプッ!グプッ…!ヌプッ!
「あんんッ…!い、いいッ…!♥️はあッ!」
ズプッ!グプッ…!ジュプッ!グポッ…!
「あんッ!な、なぎ、さのお、ちん、ちん…す、すごく、き、気持ち、いい…♥️はあんッ…!」
切ない表情で必死に快感に耐えるレオタード姿の矢田さん。でもぼくはもっともっと乱れた彼女が見たくて、追い討ちのように挿入速度を速める。
ズチュッ…!グチュッ!チュブッ!グプッ…!ジュポッ!
「だ、だめえ!そ、そんな激し…あんんッ♥️」
突くたびに前後に大きく揺れる彼女の乳房が、ぼくの欲情をさらに煽りたてる。
しっかりと肉棒を包み込み、溢れ出る愛液で卑しめる彼女の蜜壺。あああ…温かくてすっごく気持ちいいッ!
パンッ…!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!
沸き起こる射精の兆しに耐えきれず、ぼくはラストスパートに入った。腰同士を激しくぶつけるたびにふたりの分泌液がとめどなく溢れ出し、互いの身体をじっとりと濡らしていく。
「あんッ♥️あんッ♥️…な、なぎさッ!わたしもうイキそう…!あああッ!い、イクッッ…!(ビクンッ!)」
だめだ…!ぼ、ぼくも、イクッッッ…!!!
ドピュッ…!ドピュドピュッ!ビュクンビュクンッ!ドプドプッ…!
あああッ…!気持ちいいッ…!!
速水さんとエッチしたあの時以来、ずっと貯めてきた白濁をぼくは彼女の
…いや、ま、まだ出るッ!
ビュプッ!ビクンビクンッ…ビュルビュルッ!
で、出た…す、すっごく出た…
「はあッ!はあッ…♥️(ピクッピクッ)き、気持ち、いい…(ビクン、ビクンッ)」
ぼくは矢田さんの絶頂を見守りながら、やさしく彼女の頭を撫でた。
「…あ、ありがと…なぎさ(ニコッ)」
「ふふ…(かわいいな…)」
「ね、ねえ…、もう一回、してくれる…?」
「え…!?い、いいの…!?ほんとに!?」
「お、お願い」
「わかった、次はもっと激しいよ?」
「う、うん…」
そりゃあこんなに気持ちいいエッチ、一回でおしまいだなんてありえないよ。ぼくは彼女の身体をゆっくりと抱き起こすと、その唇にやさしくキスをした。
「んん…(好きよ…なぎ…さ)」
あ~…こうして抱き合うと、あったかくてほんと気持ちいい…
「お~い!なぎさぁ!いるかあ?」
どひゃっ…!?
突然、明かり取りの向こうから蔵の外にいる前原くんの声がした。あ~…びっくりした。
「どこ行っちまったんだあいつ…」
「蔵の中かもしれないぞ」
「よし、探そう」
や、ヤバい…!ぼくらはあわてて身なりを整えると、先にぼくだけ蔵を出た。
「あ、いたいた渚」
「こんなとこにいたのか…」
「ご、ごめん磯貝くん、敵の侵入経路を考えてたんだ」
「そうか、それよりきてくれ」
「やつらの正体がわかったんだ」
「え…!?ほんとに?」
急いで中庭に駆けつけると、普請奉行の千葉龍之介くんが待っていた。
筵(むしろ)を被せた死体のひとつ、ぼくが倒したカブトと名乗っていた男。
「千葉が言うには、こいつは浅野家の家臣らしい」
「え…!?ほんとに?」
千葉くんがうんと頷いた。
「3年ほど前だが、国境の村で剣術の試合をしたことがある。なかなかの腕前だったからよく覚えてるんだ」
「なぜ浅野家の人間だと?」
「あの辺りには荒くれ者かセコい盗賊ぐらいしかいないはず。なのに奴の居合いは浅野家中枢の流派だった。おかしいだろ?」
「なるほど…」
千葉くんは烏間先生も認める剣術の達人、対戦すれば相手の素性までわかってしまう。
浅野家は我ら赤羽家と長年因縁関係にある隣の国。そのあるじである領主浅野学秀を、四人衆と呼ばれる若い重臣たちが支えている。
今回の一件はカルマ様の妹君を亡き者にし、赤羽家に痛撃を与えようとしたことに間違いないだろう。
カエデ姫がどこかに嫁ぎ、その国と赤羽家とが関係を深めることを怖れているのだ。
浅野家の仕業となれば、カルマ様のお怒りは相当なものになるだろう…くわばらくわばら。
───翌朝、お庭番詰所の前庭。
チュンチュン、チュンチュン…
「あれ?矢田さんはどこ?」
「あそこです、池のほとり」
あ、ほんと、あんなとこに座ってる。あれ…?なんだか暗い顔をしてる…なんで?
「昨日の一件で自信を失ってるみたいなんです…」
神崎さんが淋しそうにつぶやいた。き、昨日の一件…!?
ああ、しおりちゃんとさやかさんのことか…
「はい、元締からも慰めてあげてください」
「そうだね、わかった」
あの裏切りは、ぼくにとっても大きな痛手だった。なにしろしおりちゃんはぼくの幼なじみ、なんでこんなことになってしまったんだろう…
できるものなら本人に直接問い質したいぐらいだよ。
そう思いながら矢田さんのところに向かうと、速水さんが先に彼女に話しかけていた。ぼくは足を止め、神崎さんとそれを見守ることにした。
………
……
「なにしてんの、あんた」
「凛香か…なんでもないよ」
桃花は目尻を手の甲で拭いて立ち上がった。
「なんでもないなら普通泣いたりしないでしょ」
「よけいなお世話」
「ふん、あんたに預かり物があるんだけど」
「…預かり物?」
凛香は懐から手紙を取り出して手渡した。
「イリーナ先生から」
「し、師匠が…?」
「読んでみれば?」
ガサガサ…
『愛弟子桃花へ。つらいことがあったら、自分の信じる正義に従って行動しなさい。師イリーナより』
「…し、師匠…」
「あんたはさ、責任感が強すぎるのよ」
「…そ、そんなことないけど」
「そうに決まってるでしょ、だから裏切られて落ち込むんだし」
「じゃあ訊くけど、凛香。あんたにとって正義ってなに?なんなの?」
「…私が口下手なのわかってて訊くわけ?」
「教えて、どう思ってるのか知りたいの。純粋に」
凛香は腕を組むとため息をついた。
「はあ…私には正しいとか正しくないとか、そんなことは興味ないの。私の仕事は姫を守ること、任務に忠実であること、それだけよ」
「凛香らしいね…」
「私は自分しか信じないし、元々他人に期待してないからね。あんたと違って」
「……」
「あんたは人を信じる。だから人がついてくる、そこはあんたの強みかもね」
「り、凛香がわたしを褒めた…め、珍しい、今夜は嵐かな」
「うぬぼれないで、役割の違いよ」
「かわいくない」
「おたがいさま」
桃花はクスッと笑うと胸の前で指を組み、目を逸らした。
「ねえ、もうひとついい?」
「なに」
「な、なぎ…さのこと…だけど」
「それで?」
「わ、わたしね、そ、その…も、元締のことが…」
「あ、そうだ、これも預かったんだけど」
凛香はもうひとつ手紙を出してきた。
「なにそれ、まだあるの?」
「読んで」
「なんなのよ…」
ガサガサ…
『桃花へ。くノ一たるもの、ひとりの男に肩入れしないこと(エッチはオッケー)。』
「な、なっ…!?」
「なんであんたそこまで先生に行動を読まれてんの?ウケる」
「ぐぬ、ぬ…」
「こんなのもあるわ」
『甘いものを食べすぎないこと、あんたはちょっと油断するとすぐに太る体質よ』
『酒癖がよくないからあまり飲み過ぎないで、あとの面倒をみる人の身にもなりなさい』
『お部屋の片付けはマメにすること、少しは神崎を見習うように』
「…ちょっ、ちょっと!?なんであんたがそもそもこれを先生から預かってんの!?デ、デリカシーってもんがないの!?!?」
「はあ…?あんたのだらしないとこぐらい、みんなわかってることじゃない…」
「キイイイイイイイイッッ…!!!」
……
………
「またケンカしてるよ、あのふたり…」
「ふふふ、元気になった証拠ですよ」
「それならいいけど…」
「そ、それより元締にお話があります」
「なに?神崎さん」
「えっと…そ、その…」
「どうかしたの?」
「わ、わたしはクスリなどなくても、そ、その…夜伽のお相手なら、い、いつでもいたしますので…(ポッ)」
「かっ…!?神崎さん!?!?」
つづく