○学校も普通の進学校で、E組は隔離校舎ではありません。
○「そんなのあり得ね~!」ことが起きますが、ここは創作の世界。主人公になりきって思い切りイチャラブをお楽しみください。
キキキーッッ!!!
「あッ!危ねえっ!!」
バッ…!ドサドサッ…!
「はー…びっくりした、だ、大丈夫か?おじいさん」
「お、おお…、わしは大丈夫じゃ、すまんなぁ若者よ」
信号無視で横断歩道に突っ込んできたトラックに危うく轢かれそうになったじいさん。助け起こすとなぜか俺の顔をじーっと見た。
「…おぬし、たまに見る顔じゃのう」
「じいさんこそ、駅前によくいるよな」
「そうそう、これからちょうど店開きに行くところだったんじゃ」
じいさんは駅前商店街によく座っている易者、要するに占い師だ。
「じゃあ俺行くから、クルマに気をつけてな」
「あ、待ちなされ、若者よ」
じいさんは着物の懐から小さな革袋を取り出して俺に手渡した。
「命を救ってもらったお礼に、これをやろう」
「なんだよお礼って、そんな大げさな」
「まあそう言わずにもらっときなさい。これはおぬしの願いを一つだけかなえてくれるありがたい御守りじゃでな、せいぜい大事に使うといい」
「…ふーん、じゃあまあ、遠慮なくもらっとくわ」
もちろん俺はそんな言葉を真に受けるはずもなく、ポケットにポイッと放り込んでそのまま学校に向かった。
ところで俺の名前は海野爽太、椚ヶ丘○学校に通うごく普通の男子生徒だ。
「おはよ、海野」
「おう、おはよう」
艶のあるオレンジの髪を二つに括ったコイツの名は速水凛香。
「なあ速水、生徒会便りの印刷って今日だよな」
「え…」
「…お前なぁ、自分だけで何とかしようとするの、ほんとダメだぞ。ちゃんと周りを頼れって」
「う、うん…」
速水は俺と同じ生徒会の書記なんだけど、ほっとくと自分だけで仕事を背負い込む悪いクセがある。
「じゃ放課後、一緒に作業しような」
「…あ、ありがと」
ガラリ…
「おはよう渚」
「あ、おはよう海野くん」
いつものクラスE組に入り、自分の席につくと前の席の岡島大河がニヤニヤしながら振り返った。
「おい海野ぉ~」
「なんだ」
「お前さ、速水とほんと仲良いよな~」
「まあ、保育園から一緒だしな」
野球部でもないのに丸坊主のこいつは、最近速水のことがどうもお気に入りのようだ。
「やっぱ幼なじみは強ええなぁ、それよりさ、あいつ昨日バスケ部の有田に告られてるとこ、俺見ちゃったんだよなぁ」
「え…?」
「ざまあみろだぜ、有田のやつ速水に即答でフられてやんのw」
「マジか…」
…正直ホッとした。朝から心臓に悪いな。
バスケ部の有田は学年で1、2を争うモテ男だけど、速水は基本「一見さんお断り」だから、いきなりアタックしても玉砕するのは当たり前だ。
…しかし速水って、モテるんだな。
たしかにあいつは保育園の頃からとてもかわいかった。家が近所なのでよく遊んだし、俺のことを兄貴みたいに慕ってくれてたのが懐かしい。
この学校に入った頃から少し距離ができて、お互いのことを名字で呼ぶようになったけど、今も二人きりのときはたまに「凛香」「爽太」と呼び合うことがある。
「ねえソータ、昨日の世界選手権、見た?」
岡島と話していると別の女子が話しかけてきた。そうそう、俺のことを下の名前で呼んでくれる数少ない子だ。
「おう、見たぞ。やっぱカイルはすげえよな!」
「ほんと努力家だよね、決勝見ててわたし涙出ちゃった。今年こそうちの部も頑張ろうね!」
「ああ、もちろん負けらんねえな」
声をかけてきたのは俺と同じ水泳部の矢田桃花。男子生徒からめちゃくちゃ人気のある女の子だ。相変わらずいろいろと発育がいい。「ポニーテールと乳」のあだ名はダテじゃない。
あいつが副部長で俺が部長。といっても三年生は男女合わせてわずか5人、お互いじゃんけんで決まった役だ。
「うへへ、いいよなあ~矢田、最高だぜあのカラダ」
「お前、速水が気になるんじゃあなかったのか?」
「いやいやうちのクラスがヤバすぎるんだよ。だれだ、こんな美人だらけのクラスにしたのは!」
「たしかにな…」
岡島の言う通り、うちのクラスはわざとかき集めたのかと思うくらい女子のビジュアルレベルが高い。
その中でも筆頭格はやはり神崎有希子さんだろう。学園一のマドンナと言われている彼女は、俺の初恋相手でもある。ストレートロングの黒髪と優しい瞳に心を奪われない男子はいない。
その神崎さん、茅野さんや原さんたちと楽しそうに笑っている。はー…今日もかわいいなあ。
速水に、桃花に、神崎さん。
この三人それぞれが魅力的なんだけど、肝心のこの俺はというと普通すぎる自分の見た目に自信が持てなくて、彼女になってほしいだなんて口が裂けても言う度胸はない。
…あ、そうだ。
俺はじいさんからもらった革の小袋をポケットから取り出した。中にずっしりと重いきれいな水晶玉が入っている。
…たしか、一つだけ願いがかなうって言ってたよな。
だったらあの3人と一度にお付き合いをしてみたいって、そう願ったらどうなるんだろう。
…水晶さま、あの3人とのハーレム生活をぜひとも実現させてください!よろしくお願いしまーす!
…なーんてな。はー、バカバカしい。
「ねえソータ、放課後ちょっとお願いがあるんだけど」
桃花がまた俺の席にやって来た。
「なんだ、俺は生徒会の用事があるぞ。明日じゃダメなのか?」
「そんなこと言わないで、ちょっとだけでいいからさ、ね…?お、ね、が、い♥️」
う…!か、かわいい…!!
「わかった、じゃ、少しだけな」
「やったぁ!ありがとう」
なんだ?お願いって…
***
キーンコーン、カーンコーン…
「いこ、海野」
「あーだめだめ、ソータはわたしと用事があるの」
放課後、速水が俺のところに来た瞬間、横から桃花が俺の腕をつかんだ。
「え…どういうこと?」
「す、すまん速水、後ですぐ行く」
「ごめんね凛香、そーいうことだから」
「むー…」
速水の頬が大きく膨らんだ。
「…お、おい、どこ連れて行くんだ?」
「えへへ、まあついてきて」
桃花に腕を掴まれたまま階段を上がると、普段は施錠している扉を開けて屋上に出た。ふいに気持ちのいい風が頬をなでる。
「おー、空がでかいな」
「ほんとだね!」
う…、でかいのは空だけじゃなかった。俺は大きく伸びをする桃花の、とある部分に目を奪われた。
しばらく晴天の下、気持ちよさそうにしている彼女の風で揺れるポニーテールを俺はぼんやりと眺めた。
しかし、かわいいよなあ…桃花のやつ。
この俺に何の用事なんだろう。もしかして付き合ってくださいとか?…んなわけないな。勘違いしちゃいけない。あいつと俺とは不釣り合いだ。ふと我に返った。
「で、用事ってなんだ?」
「…あ、ああー!そ、そうだよね…」
「?」
「そ、その、えーっと…」
「?」
「そ、その…、ソータってさ、す、好きな人とかって、い、いるの…?」
「は…?」
「も、もし他に好きな人とか、いないんだったら…」
「え…」
ゴクリ…俺は唾を呑んだ。
「こ、このわたしとか、ど、どうかな、とか思って…」
「…お、おい、…そ、それってもしかして」
ギュウウウッ…!
「痛ってえええええええッッ…!!」
突然誰かに耳たぶを引っ張られた俺は、そのまま階段へとズルズルと引きずられていく。
「や、やめろ速水!み、耳が千切れるぅぅっっ!!」
「いいから、さっさとこっちきなさい!」
バシンッ…!ガチャ!
…お、おい、鍵までかけたらさすがにマズいだろ。ていうかこんな強引なこと、お前らしくないぞ。
「ねえ、爽太…」
「…な、なんだよ」
「キスして」
「…は?」
な、なんだって…?お、俺の聞き間違いか?
「何度も言わせないで。はやくキスして」
「お、おい…」
ウソだろ……あの速水がぎゅっと目をつむり、この俺がするのをじっと待っている。
ドンドンッ…!
『ちょっと凛香!?ここ開けてよ!!開けなさいってば!』
こ、この状況はヤバい…!
速水は普段とてもクールで自己主張の少ない子だ。その彼女が突然この俺にキスをしろと言う。
ほんとにいいのか…?た、たぶんこれは、お前にとってのファーストキス、だよな?
い、いや、まあこれは俺にとってもそうなんだけどって、そんなことはどうでもいい!…ち、ちょっとよく考えてみてくれ、こんなどこにでもいる普通の俺でほんとにいいのか…!?
してはいけない…。俺は彼女の肩に手を置きかけてピタリと止めた。こんな勢いだけでキスをするとか、そんなの絶対によくないことだ。
(あ…)
そのとき速水の目尻に、うっすらと涙が滲んでいるのが見えた。
考えろ俺…もし今キスを断ったとしたら、物凄く彼女のプライドを傷付けることになる。それは間違いない。
速水は大事な幼なじみだ、断るなんてできない。仕方なく意を決して俺は彼女の唇に軽く触れることにした。
ドクン、ドクン、ドクン…
ヤバいくらい心臓がドキドキする。あ…、あ…、唇同士が、ふ、触れる…
チュッ……
ふわわ…すげえいい匂い。それに速水の唇、めちゃめちゃ柔らけえ…
俺とキスしながらプルプルと震えているコイツ、いままで身近すぎてあまり意識したことがなかったけど、こうして間近で見ると、こんなにもかわいいやつだったんだ…。
ガチャ…!
(やべっ…!)
速水が後ろ手で鍵を開けた瞬間、とっさに俺は唇を離した。
「あーッ!ち、ちょっと!…い、いま二人で何してたの…!?」
「さあねー、なんのことかしら」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ…!り、凛香ぁぁっっ!!」
桃花がギリギリと歯噛みしている。
「さー、作業いこ、爽太」
***
───翌朝、校舎裏。
「…う、海野くん、お願い、わ、わたしとお付き合いしてください…!」
「…は、はいいいっ…!?」
登校してすぐに俺は、学校一の美女神崎有希子さんに校舎裏に連れていかれて…こ、告られた。
「ど、どうかな、海野くん…」
「は、はあ…」
俺は気が動転して頭がぼーっとして、何が何だか訳がわからなくなってしまった。
神崎さんは俺の初恋の人、もちろん今でもとても気になる相手だ。その神崎さんが、こ、この冴えない俺に、告、告、告白ぅッッ…!?
「ご、ごめんね、突然だったからびっくりさせちゃったかな…」
「い、いや、そ、その…」
そのとき俺の頭に速水と桃花の顔が思い浮かんだ。
…な、なんか変だな。昨日からおかしいことばかり起こっている。鈍い俺でもさすがにおかしいと気づくぞ?
もしかして、俺ははめられてるのか…?
カルマとか前原あたりが俺を騙そうとして、みんなで芝居をしてるとか…?突然三村がカメラを持って現れて、すまんドッキリだったよ、ごめんな!…とか。
…いや、それはないな、真面目な速水や桃花がこんなイタズラに乗る訳がないし、そもそも優等生の神崎さんがこんな小芝居をするとも思えない。
…てことは三人とも、やっぱり本気なのか…!?!?
キーンコーン、カーンコーン…
「あ、もう始業だね…」
「え、あ、そ、そうだな…」
「また返事をしてね、海野くん。わたし本気だから」
「は、はいい…」
……。
「ぐうう~」
「朝から何か変だな、どうかしたのか?海野」
放課後になったものの、俺は立ち上がる元気もなくて机に突っ伏していると、イケメン生徒会長の磯貝悠馬が俺に話しかけてきた。
「い、いや、何でもない…」
磯貝は俺の親友。普段なら何でも話せる相手だが、こればかりはさすがにマズい。
「なーんだ、水くさいな。正直に話してみろよ、ちゃんと聞くからさ」
「ちょ、ちょっと、磯貝くん…」
副生徒会長の片岡メグが磯貝の袖を引っ張って、あっちに連れて行った。な、なんなんだ…?
う…、女子たちの視線が俺に集中している。もしかして俺、ウワサの的になってるのか…?
心当たりは…大いにある。朝から速水と桃花の仲がピリピリしてるし…もしかしたら神崎さんが今朝俺に告ったことも女子の中で広まっていたとして不思議はない。
や、ヤバいな…。
追い詰められた俺は仮病を理由に珍しく部活をサボり、逃げるようにして学校を出た。
やれやれ、これからどうしよう…。
俺にとって幼なじみの速水のことも、水泳部で一緒の桃花のことも、初恋の神崎さんのことも、みんなそれぞれ大事で、いいかげんにできない相手ばかりだ。
こ、困ったな…。ま、まさか、この水晶に願い事をしたせいか…?
い、いや、そんな非科学的なことがあるわけがない。たまたま偶然起きたに違いない。た、たまたま…?
たまたま桃花に告られて、たまたま速水にキスをせがまれて、あげくにたまたま翌朝神崎さんに告られるとか、そんなの宝くじで1等が当たるより絶対確率少ないだろ…!?!?
はー…俺はこれからどうしたらいいんだああっっ!?
自宅近くの公園のベンチで、盛大にため息をついたその時だった。
「おや、おぬしは昨日の少年じゃな?」
「あ…!おじいさん」
「なんじゃ、その浮かない顔は」
「ちょっ…、あんたのくれた水晶で大変なことになっちまったんだよ!」
「なんじゃて?…ほう、ほう、ふーむ、なるほどな」
「…まだ何も言ってねえぞ、じいさん」
「ジョークじゃ。どうせ若いお前さんのこと、無茶な願い事をして困っとるんじゃろ?」
「そ、そうなんだ、けど…」
すっかり見透かされた俺は、昨日から起きたことを正直に話した。
「…まあ、自業自得といえば自業自得じゃな。人間欲張ると何も良いことはない」
「そんなこと言わないで何とかしてくれよ!このままだと俺はクラスの嫌われ者になっちまう!」
「仕方ないのう、ならばもうひとつだけ水晶をやろう」
「え…!?いいのか!?」
「その代わり条件があるぞ」
「な、なんだ?」
「おぬしの顔はもともと女難の相だからどうしても女の子とトラブルになる
「そ、そうなのか…?」
「今から言うルールを必ず守ること。破ればこの水晶の効果は無くなるから心して守るんじゃぞ?」
「あ、ああ…」
「ひとつ、その3人の女の子がおぬしを好いた理由をきちんと聞くこと」
「はあ…」
「もうひとつ、どんなことがあってもその3人を大事にすること、ひとりとして粗雑に扱ってはならん。わかったな?」
「お、おう…」
「ではこれを預けるが、おぬしは何を願う?」
「そ、そうだな…クラスの迷惑にならない範囲であの3人と仲良くしたい、それじゃだめか?」
「ふむ、それでよい。では少年がんばれよ、また会おう」
「お、おう…」
じいさんはクルリと向きを変えて帰っていった。
新しい水晶を預かった俺は、どこか釈然としない気持ちのまま、自分の家へと向かった。
おや、あれは…?
うちのマンションの玄関に、見慣れた後ろ姿が立っている。
なにやってんだあいつ、小声で何かブツブツ言ってるし。
面白そうだから少し様子を見るとするか。しかし速水って、何気にスタイルいいよなぁ…。
お、中に入ったぞ。エレベーターを使わず階段で上がるのがいかにもあいつらしい。
気付かれないように足音を抑えて後をつけると、予想通り俺の部屋のある3階に上がって、表札を探している。
速水が一番奥の呼び鈴を押そうとした瞬間、俺はわざと背後から声をかけた。
「おい、何か用か?」
「きゃっ…!?」
「こんなとこでなにやってんだ?」
「…な、なにって、あんたが体調よくないって聞いたから、そ、その…」
「見舞いに来てくれたのか?」
「う、うん…、そう、だけど」
「すまんな、ありがとう。中に入るか?」
「え、いいの…?それより体は大丈夫?」
「あー、まあ、もう元気」
「ほんとに?」
「まあ上がって」
「お、お邪魔しまーす…」
とりあえず居間に案内して座布団に座らせると、俺は冷蔵庫からお茶を取り出した。
「そういえばお前、ここ来るの久しぶりだよな」
「うん、小学校以来かな。今日もご両親遅いの?」
「ああ、帰りはいつも9時過ぎだ」
なんだか速水の表情が硬い。少し緊張してるみたいだ。落ち着きなく辺りをキョロキョロしている。
「去年リフォームしたんだ、見るか?」
「うん、そう言われたら確かに変わってるね」
まず両親の部屋とトイレと納戸を案内して、脱衣場を案内した。
「ユニットになってよくなっただろ?」
「そうね、とっても使い勝手がよさそう」
「なんならお風呂入ってくか」
「えっ…?」
あ、しまった、小学校の頃を思い出してつい余計なことを…。
や、やべ、機嫌が悪くなっちまった…
でも、ちっちゃい時はよく一緒に入ったよな…、あの頃俺も速水も幼かった。
でも今の速水はすっかり色っぽくなっちまって…バスケ部の有田ともし付き合ったとしたら、今ごろあいつに抱かれたりとか、してるのかな…
「こら、いま変なこと考えたでしょ」
ギ、ギクッ…!
「そ、それより俺の部屋…」
「あ、ごまかしてる」
6畳半ほどの空間に、勉強机とベッドと本棚だけの俺の部屋。
「懐かしいね、あんまり雰囲気変わってない」
「変えたのは壁紙だけだからな」
「座っていい?」
「ああ」
速水が勉強机の椅子に腰かけた。
「そういえば速水は算数がちょっと苦手だったよな」
「そういうあんたは漢字が苦手だったでしょ」
「今はどうなんだ?」
「あいかわらず。またちゃんと教えてよ」
「おう、俺にも古文教えてくれよな」
「オッケー」
会話が途切れた瞬間、俺はあのじいさんとの約束を突然思い出した。
「ところでな、速水」
「なに?」
「昨日さ、なんで俺にキスしてくれだなんて言ったんだ?」
「…それ聞く?普通」
「ダメか?聞いたら」
「ダメじゃないけど…」
速水はゆっくりと立ち上がり、ベッドに腰かけた俺の足元に座った。
「爽太はさ、ずっと私だけの存在だと思ってたの」
「え…」
「あんた、あんまり目立たないほうだから心配してなかったんだけど、他にもあんたのことが気になる子がいたんでびっくりしたのよね…」
桃花のことだ…
「それに今朝あんた神崎から告られたんだって?よりによって初恋の相手から…」
「え…!?知ってたのか!?」
「小学校を卒業するちょっと前だったよね。いつもそばにいたからわかるよ」
「……」
「あの時はショックだった。だからあんたと少し距離を置いたの。神崎とうまく行くといいなって、ほんとにそう思ってた、その時はね…」
「え…」
そ、そうだったのか…
「ねえ、お願いがあるんだけど…」
「な、なんだ?」
「…私の初めてはあんたがいいって、そう決めてるの。さっきお風呂で考えたこと、今ここで私にしてくれない?」
「えええっ…!?」
ま、マジなのか、は、速水…!?!?