少々R-18な描写は少な目です!
執筆動機は………
随分後に出てくる子なので!
「北海道………、
「うんうん! 同じだよ。それにこの期間は久しぶりに
本当にたまたま北海道宿泊チケットが手に入った。
中々に有名な旅館で基本的に予約でいっぱいだから、本当についてる~~と言わざるを得ない。期間制限があるからもしも時間が合わない~のであれば、誰かに譲る事も考えているが……、その心配は杞憂だった。
「ええ勿論良いわ。私も仕事休みだし、仕事有ったとしても有給が大分余ってる。誠也と一緒に旅行なんて断る訳ないよ」
「やったっ! じゃなくて、良かったっ! 久しぶりの旅行ですね。向こうで沢山遊びましょう!」
潔子は2つ返事でOKをしてくれたから。
そんな彼女を満面の笑みでぎゅっ、と抱きしめる誠也。
勿論、断られる可能性だって捨てきれなかったわけで……、日時指定されているからどうしても、夫々の用事と言うモノはどうしようもないから。
でも、どちらかと言えば誠也の方が多忙だと言えるが。
今回の日時指定も、本当にたまたま練習も試合も無く、雑誌等の取材、TV・YouTube取材等の案件も全く無く久しぶりの完全オフ期間だったから。
潔子自身もその休みを有効利用したい、と考えていた矢先の国内旅行提案。
あまり表情に出てないのかもしれないが、当然ながら嬉しいし、何より―――。
「(普段誠也はほんと頑張ってるから。疲れた顔も見せず家ではいつも笑顔でいてくれるのも嬉しいけど、……私の前でこうやって甘えてくれるのがやっぱり嬉しいかな)」
潔子も自分がしてくれている様に、誠也の背に腕を回してギュっ、と抱き寄せる。
トップアスリートの1人として普段から鍛えに鍛えているその身体は本当に逞しく、何よりも優しいし頼りになる。本当に何の不満もない理想的な伴侶だと言えるが、今この瞬間だけ、自分にしか見せないその姿が潔子にとっては何よりも嬉しい。
誠也はこれまでに沢山メディア露出もしているし、週刊誌にデカデカと写真が載るし、何なら等身大パネルまで作られてる。近くのドラッグストアではその姿を拝見して苦笑いをした事も多々ある。
あのリオ・オリンピックで日本のヒーローな立ち位置になってる日本男子バレーボール界の選手たち。
特に誠也はその中で【
愛する人として、妻として夫が誇らしいのと同時に、誠也が何処か遠くに感じてしまう寂しさもあったのは1度や2度じゃない。
誠也自身も潔子と一緒にいられる時間をとても大事にしているし、夫婦の営みだって上々。愛し合っている事を幾度も身体を重ね合わせて確認している。
それでも、やっぱり色々と心配で不安な種は尽きない事は多い。
メディア出演をしている時なんかは、左右に非常に美麗な同じくアスリート、女子アスリートに囲まれて楽しそうにしている姿を見た時なんかは特にピクリと眉が動いた事だってある。 とは言っても、誠也は何も潔子の方からは言ってないのにも関わらず、愛しているのは潔子だけ、と言わんばかりに熱い抱擁を交わしてくれるので、しっかり公私を弁えてくれてるのは解る。
「はぁ~~……潔子さぁん、とても、とても癒されるよぉ……、ほんっと大変だったから……」
それに今もそう。自然な誠也の姿、世間では考えられない様な甘えている姿を自分の前だけ見せてくれる。
こんな極々ありふれた事柄ではあるが、自分だけに見せてくれる姿が何よりも嬉しいし心地良い。
「ふふっ。そう言えば高校生の時もそんな顔してたよね」
「へ? 高校の時にこんなに癒される~なんて事無かったと思うんだけど……」
清水潔子と火神誠也は、高校時代に結ばれた訳ではなく、バレー部OBとして練習を見に来てくれたり、公式戦では必ず顔を出してくれたり、とあったが、そこまでの関係だった筈。
もしも、高校生の時に付き合う様な関係性だったとしたら………現時間軸より強烈な血の雨、血の嵐が降りそうだ。
……でも、例え血の嵐が降った所で、清水の鶴の一声でモーゼの十戒の如き海割りで、ササぁぁ……っと、集まった者達が一瞬で左右に割れていくと思うが。
潔子は抱きしめた腕を少し緩めて丁度誠也と見つめ合う距離でその顔を覗き込み、人差し指を額に当てた。
「今の癒されてる顔じゃないよ。【大変だった】って言った時の顔。あの時の誠也……影山や日向、月島、田中に西谷……いつも本当に大変そうで、それでいて楽しそうな顔してた」
「………………ぁぁ」
少し気恥ずかしそうに誠也はそっぽ向く。
「今もそう。確かに大変だけど、遣り甲斐は間違いなくある。それに凄く楽しんでる。……そうでしょう?」
「あはは……やっぱり潔子さんには敵わないですね。はい。その通りです。物凄く、楽しいですよ」
高校時代。あの灼熱の時代。
今を差し置いて、最も熱く、最も光輝いていたと言って良い暑い暑い時代。
その時もいつも確かに大変だとか、大変だとか、大変だとか――――……etc 随分と誠也は言っていた筈だ、と覚えている。実際に彼を見てきた人達は、チーム内外問わず、県内外問わず同意する程のモノであり、大人側だって舌を巻いていたのだから事実と言えば間違いなくその通りだろう。
でも、実の所誠也自身のその本心はまた違っていたんだと言うのも潔子は覚えている。
何より他の誰よりも、当時の清水潔子はそれがしっかりと解っていたから。
解っていたからこそ、心にいつまでも残っているし、火神誠也の事がより眩しく、より温かく、より心地良く感じていたのだと言えるだろう。
「間違いなく遣り甲斐はあります。より一層力も入ります。今後とも全力で臨ませてもらいます。……負けれませんね」
力強く頷く誠也の瞳はいつも真っ直ぐで輝いている。
潔子はその瞳が大好きだ。……いや、誠也の全てが大好きで愛しているのは間違いないが、それでも特別に更に好きだと言っておこう。
その瞳のままきっと何処までも、何処までも高く飛んでいけるだろう。
そして、潔子はその隣で一生一緒に共に有れる事の幸せを心行くまでに堪能し続けたい。
そんな潔子の心情を解っていたかの様に、誠也は潔子に顔を近づけた。
「でも、今は俺には潔子さんしか、貴女しか映ってませんよ。俺にとって、それ以上は存在しえませんから」
「ん―――っ」
そう言うと、そっと彼女の唇に自身の唇を添える。
不意打ち気味ではあるが、潔子自身もそれを待っていた、いつも待ってて準備だって出来ている、と言わんばかりに一切の驚きも躊躇いも無く、その脳髄にまで響く甘美に身を委ね、誠也を求め続ける。
無論、唇と唇を合わせるだけで満足する筈も無く……次第に息遣いを荒くし、互いが互いを激しく欲して求め合う。
唇を求めた次は密着すれば必然的に押し付ける事になる乳房。それを求め欲する為に手を這わせて優しく包み込む。とんでもない柔らかさ、にも関わらず張りもあると言う矛盾。それらが導き出される答え? は間違いなく衣服の下には何も着けてない証だろう。
そして、唇を交わし、乳房を欲していれば当然
そしてそれは自分を欲し興奮している証である事も知っているので、途端に嬉しく愛おしくなる。気持ちは同じだから。下着を身に纏ってない為、視覚的にも直ぐに解ってしまうだろう。間違いなく濡れており、溢れ出ている。服が愛液でどんどん濡れて……
「きゃっ……!」
誠也は反射的に潔子を腕に抱いて持ち上げた。
腕の中にいる潔子……流石に持ち上げられるのは予期出来てなかった様で思わず小さく悲鳴をあげる潔子に対し、誠也は少々申し訳ないな、と言う気持ちとそれ以上に愛らしい、可愛らしい、と思ってしまい頬を更に赤く染めた。
所謂お姫様抱っこ、と言うヤツである。
潔子は求める事に集中していて気付いてなかった様だが、少し足が震えていた。誠也自身も彼女に無我夢中で、身体を重ね合わせ、求め合うのは幾度となくしてきた筈なのに、いつも心は初心のまま。潔子の身体に、愛に餓えて餓えて欲して欲して満たして……無我夢中だったけれど、ほんの一瞬彼女の下半身に目が行ったときに、その僅かに震えてる足が見えた。
本人にとっても無意識下だったかもしれない。潔子は元々スポーツ万能で運動神経も抜群だから立ったままでも何ら問題ないとは思うけれど、それでも行動に移した。
違いにお預け状態になってしまったのは生殺しな気持ちにならなくもないが、天国への扉は直ぐ目の前だ。ほんの少しくらい良い。
潔子も潔子で誠也の意図を瞬時に理解。
あまりの甘美な快楽の前に、意識が朦朧としかけていた自分も居たが、誠也の優しさに対しては潔子は敏感に反応し、察知できるから。その大きく逞しく大好きな腕に身を委ねる事にした。
「後は、ベッドで………」
「ん………」
旅行と言うスパイスを得た2人は、寝室、ベッドの中で再び激しく求め合い、心行くまでお互いに堪能するのだった。
そして、北海道旅行前日。
しっかりと入念に準備を整えてる最中、潔子はとある代物に目を向けると、小悪魔のような、悪戯っ娘のような顔をして誠也を見て言った。
「北海道に行く時も、一応……
「! 勿論です」
潔子の言うアレとは? 勿論誠也は考えるまでもない。視線を読む? のはある意味大得意だ。
潔子の視線と、その表情から考えて……解らない筈がない。
視線の先にあるソレ、ソレが収められている箱には【0.01 JUST FIT】と書かれている代物。
以前は、何も考えずにただただ快楽に身を委ねてソレを装着する事はしなかったけれど、冷静にしっかりと家族会議を潔子と交わしている。
潔子の負担にならない事を第一優先にして欲しい、と言う誠也の要望もあって、しっかりとソレを使って避妊をする様にしたのだ。……つまり、ソレとは
実は膣内射精は潔子にとっても幸せで満たしてくれるもので、冗談でも比喩でもなく頭の中でエンドルフィンが物凄く分泌されてるのが解る程に、多幸感でとんでもないヤミツキ状態になってる自分もいた。
……けど、子供に関してはそんな簡単に決めれないし、ただの欲を優先する訳にはいかない、と泣く泣く判断した。
勿論、誠也との子供だ。大歓迎だし、幸せを絵に描いた2人の子供がいる生活、夢見ていることでもある。
……でも、もう少し2人でラブラブいちゃいちゃしていたい、と言うのもあるから。
「1週間の旅行ですからね。……なので、3箱程でしょうか?」
「バカっ。多いでしょ。目的が変わっちゃってるよ」
「あ、あはは……。その、以前の旅行とか思い出しちゃって。現地で仕入れるって言うのも記念になって良いかもですね?」
「そんな記念は―――要らないかな。記念だから額に飾ったり、何処かに保存したりするの? アレを?」
避妊具が記念になる~とは正直思わないし思えない。
誠也なりのジョークだった、と言うのは解っているのだが、潔子は真顔で返した。すると途端に誠也は焦り出す。
「じょ、冗談ですからね?」
「そう? 本気に見えたけど。……だって誠也は、その、シてる時も……もんすたー、だし?」
「も、モンスターって、それは世間に変に言われてるだけですっ! オレ達の世代の選手頭角出し過ぎてて目立っちゃったんで仕方ないです! それだけの意味ですっ! なので、冗談なんです~~!」
わたわた、と慌てる誠也は更に続ける。
思いっきり否定するのも何か違うから。
「………そりゃ潔子さん相手なんですから、タガが外れちゃうのは自覚してますし、思い切り求めちゃいますけど、それも仕方ないですよ! 潔子さんが凄く綺麗で可愛らしい所もあって、物凄く興奮しちゃうんですから! 好き過ぎて、大変なんですからっ!」
そこまで言ってくれた所で、潔子はニコリよ笑って頬に、鼻に、唇に順番にキスをした。
それだけで良い。……揶揄われた、と理解できた。
誠也は、ぷくっ、と頬を膨らませて、それもまた自分にしか見せない一面だな、と潔子は笑いながらその頭を撫でながら……再び笑うのだった。
そして日々幸せな時間を過ごしつつ……楽しみにしていた北海道旅行 in札幌
札幌の前に新千歳空港に降り立ち、そこには美味しそうな美味しそうな食が沢山あって目移りし、誠也も潔子も思わず全件制覇しそうになったのはまた別の話だ。
何とか(ある程度で)我慢してレンタカーで札幌の地へと降り立った。
到着して直ぐに手に持つが沢山になってしまって思わず互いに笑い合ったりして、まったりと過ごしつつ―――直ぐに街中へとGO!
北海道グルメツアー、美味しい海の幸を食べ歩きをしよう!
と、意気揚々興味津々、そして歓喜弁部、喜色満面! と難しい言葉を並べたが兎に角手を繋ぎ、笑顔で街中へと繰り出して……驚いた。
「た………た……………!!」
「お? ……おおお??」
「田中センパイ!?」
「誠也ッ!??」
旅行の地にて、嘗ての……いや、現時点でも十分過ぎる程に尊敬すべき先輩がそこにいたのだ。何故
驚いたのは驚いたが、国内である分は、あの
でも、十分驚きはするが。
「ひっさしぶりだなぁ! 元気だったか? こいつめ~~! 試合見たぞ! 凄かったぞ!! 流石は、俺の自慢の後輩だな、おいっっ!!」
「あはははっ! 田中先輩も元気そうで何よりです! ビックリしました、まさか北海道でバッタリ出会うなんて。旅行ですか?」
田中は誠也に対して腕を回すと、ぐりぐり~~と乱暴に頭を撫でて脇腹に拳を当ててくるスキンシップ。そのやり取りも随分久しぶりだ、と誠也は目を細めて笑い、田中が何故ここにいるのかを訪ねてみた。
「俺は丁度オフだったので、纏まった休みで、その……
旅行ですか?? 」
「あーーー。えっと……その~~」
なんだか煮え切らない田中は初めてだな、と少々気になって小首を傾げた。それと同時に正直、出会えたのは幸運で嬉しい気持ちは当然あるんだけど、潔子と一緒に居る~と言うのはちょっぴり躊躇したりもする。
もう成人を過ぎた大人とはいえ、付き合い始めから考えだしたら、もう随分前とはいえ、清水と付き合い、
(勿論、最後は血涙を流しながら祝福をしてくれた。……横にいた清水のトンデモナイ圧が有無を言わせなかった、と言うのもあるが)
他校で言えば山本(音駒)も事実を知った途端に相当おかんむりだった。未だに思い出す事があるのか、同じDivision1 で所属している【VC神奈川】と対戦した時は、怒りパワーで大変な目にあってしまったのは記憶に新しい。
そして、言わずもがな清水潔子を崇めていた者達のトップを張っていた西谷派と言うと……。実は、卒業してから暫くして国外に飛び出していってたので発覚が遅れてしまい、衝撃の事実を知ったのは山本の襲撃? や田中の咆哮事件よりも随分と後になってしまったので割と最近な印象が強い。
そして目の前の田中も当然過激派が1人。
今でこそ懐かしみ、会えた事を喜び分かち合う~となっているが、いつスイッチが入るか……と、やや身構えていたのだけど、それは意味が無かった様だ。
「せいちゃん!」
田中が此処にいる理由を知ったから。
1人の女性の声、そしてその姿を拝見した瞬間に。
「あっ! 天内先輩!?」
「せいちゃん、久しぶりっ! スポーツニュースに出演して以来だね」
ニコニコ、と笑いながら手を振ってくれている女性。
その名は天内叶歌。日本女子バレーボールのスーパーエース。
他の国からも恐れられ、マークされる女子トップアスリートだ。
「わー! ほんとだ! 随分久しぶりです! ご無沙汰しております!」
「えへへ。凄い偶然だね~。どんな確率だろう? まさか知ってる人に会うなんて思っても無かったから」
天内は随分と身長が高く容姿も凄まじく美麗だ。
何処か幼さが入ってるので、どちらかと言えば可愛いと言える。そんな彼女と同じく高身長な誠也が楽しそうに笑っていると非常に絵になるのだが、それを許さないのが
「誠也……、随分と楽しそうね?」
凄まじい殺気を背に感じ、思わず背筋をピンっ! とさせる誠也。無論、その声の主は潔子だ。少々お花を摘みに離れていた所で今帰ってきたのである。
「叶歌~~たのしそーですね~~、ふーんっ!」
そして、盛大なヤキモチ妬きをしているのは田中。
普段の田中の姿とはかけ離れた光景に思わず吹き出してしまいそうだったが。
「何言ってるんですか」
「ふふふ。何言ってるの?」
2人は笑顔で夫々の最愛の人に言う。
「俺は潔子さんが一番ですよ」
「龍ちゃんと一緒に居るのが一番楽しいよ」
公衆の面前だと言うのに、小恥ずかしい事を臆面も無く言う2人に、思わず潔子は勿論な事、田中自身もこれまでにない勢いで顔を真っ赤にさせたのだった。
その後、田中が高校時代に患っていた
「そのぉぅ……、叶歌と新婚旅行? みたいな……」
「ええええ!!!?? た、田中先輩天内先輩と結婚していたんですか!? どうして式に呼んでくれなかったんです!? 水臭いですよ! 今からでもご祝儀包みますから!!」
「ちょ~~~、落ち着け落ち着け! 招待しねー訳ないだろ? 万札しまえしまえ!」
「せいちゃんせいちゃん、落ち着いて? まだ式は挙げてないんだ」
慌てて財布からお札を取り出そうとした誠也を止める天内———基、田中叶歌。
話を聞けばどうやら、婚前旅行らしい。
それに、よくよく考えたら、叶歌も全日本女子バレーのメンバーで、女子バレー界の
多忙極まりないのは誠也も知っていた筈だったが、ちょっぴりその辺りが失念していた様子。
「オリンピックで、天内さ……叶歌さんは凄く活躍してましたからね。メディア出演も凄くて、テレビでいつも見てましたよ」
「あ、あはは……恥ずかしいです……。やっぱり人見知りは中々治らなくて……、おっかなびっくり、って感じで」
「でも、誠也とは楽しそうに話してましたよね?」
「えええ! そ、それはせいちゃんは、中学の頃沢山話した事があったから……、そ、それにせいちゃんには龍ちゃんに告白する勇気も貰えて、龍ちゃんと一緒になれた恩人でもあって、その、えと―――」
「ふふふ。冗談よ。一緒にテレビ映ってて、ペアだった事もあって、ちょっぴり羨ましいって思っちゃったから」
「ぅ、ぅぅ……す、すみません……」
「いやいや、謝らなくても良いですって」
叶歌が好きなのは田中……龍之介である事くらい、潔子は解る。
龍之介自身も、昔こそはバカの1つ覚えの様に自分に迫ってきたようだが、流石に大人になったと言うべきだろうか、ちゃんとしている。
「立派になったね、田中」
「ぅ!!! あ、あざーーーす!!」
「その辺りは変わってない、かな。田中はいつも一直線でバカで、単細胞だったってずっと思ってたけど」
「流れる様な罵倒の嵐……ありがとうございます!」
「それは止めなさい」
潔子は過去の事を思い返した。
間違いなく田中と言う男はバレー部を支え続けた男の1人。烏野の復活になくてはならなかった男の1人だと胸を張って言える。
誇るべき後輩だ、と。
時折、昔のノリで変な事を言いだすが、そこは敢えて目を瞑ろうか。
「ずっと一直線で、真っ直ぐで、何処までも一途なヤツだって事も当時から解ってた。……だから、叶歌さんをその持ち前の真っ直ぐさで支えてあげなさいよ。先輩風吹かせるつもりは無かったけど、それだけ言いたかった」
「! …………ウス!! あざっした!!」
その後も少しの間だけ……、ほんの少しの間だけだが談笑し、美味しいモノを食べて、笑い合った。
本来ならお互い共が、2人だけの旅行で愛を育む為の旅行の筈。
過剰に行動を共にする、と言うのは野暮だと言う事だ。……精々昼時くらい……までにしよう。
「……え。今回の旅行で
「ぅ、は、はいぃ………、えと、私もいそがしかった、って言うのもあるけど、その……龍ちゃんがなかなか………」
そして、そんな短い時間の間に女子だけの女子の為の談義が行われた。
丁度、男性陣が離れている時に。
「や、龍ちゃんだけのせいじゃないです……。その、私もすっごくはずかしくて……なかなか、勇気が………。潔子さん、その……私はどうしたら良いと思いますか……?」
「……………」
潔子の方が経験豊富~とでも叶歌は思っている事だろう。
同姓の目から見ても、潔子は美人、美麗、容姿端麗、才色兼備~と色々と出てきて、何もかもが格上!! とさえ思っている。バレーと言う例外は当然除くかもしれないが、それでも女としては明らかに格上で天上人である! と叶歌は思っている。
だからこそ、相談をしてみたかったのだ。
正直、大人になっているのに……と恥ずかしくも思うが。
「私もね。誠也とその……
「えっっ!??」
「そんな意外です! ……みたいな顔しないで欲しいな。こう見えて、私は誠也しか知らないし、誠也以外は要らない。貴女がよく知る田中並に一途なつもりなんだよ?」
「あ、いえ、その……すみません!!」
叶歌は思わず謝った。
潔子の一途な想い、龍之介の並と言うその想いの強さを知ったからだ。かなり失礼案件だろう。
「ふふふ。田中の真っ直ぐな所は私もよく知ってるつもりだからよく解ってくれたみたいで嬉しいよ」
「はい。龍ちゃんは、子供の頃からずっと龍ちゃんなので……」
違いに照れる様に頬を仄かに染めながら口を緩める。
違いに想い合ってる人の姿を思い描きながら、頬を緩める。
「私に言える事は、きっと大事に、大切に想ってくれてる筈だから、正面からぶつかって見たら良い、って事かな。きっと、叶歌さんにとって、貴女にとって、世界のどんな強敵の一撃よりも厳しいって思っちゃうかもしれない。……でも、絶対に大丈夫だから」
あの田中龍之介ならば、絶対に悲しい想いはさせない筈だから。
潔子はそう言ってまた微笑んだ。
叶歌も同じくゆっくりと、そして大きく頷いた。
「わ、私———がんばってみますっ!!」
「うん。……がんばってね」