義弟に悪戯をした日から一週間が経った。
私は現在、次のターゲット選定と経過観察を目的に、元実家を訪れている。
先日から夏休みに入ったせいか、義弟と義兄は家にいる時間が多くなった。
ここで暮らしていた時代と違って、ここにきている理由が違うからだろうか。
私の彼らを見る目が変化していることに自分でも気づいた。
以前は、彼らから自分を隠すようにしながらこの家にいた。
けれど今は、彼らの観察を目的としてここにいる。
それによって、彼らの一日の生活リズムや趣味などが分かるようになった。
本来なら、もっと別の形でそういうことが分かるべきなのだろう。
そこから家族と話がはずんで、団らんに繋がるのが普通なのかもしれない。
けれど、私はその普通を実家で得ることは叶わなかった。
ここで得ている情報のすべては、元家族たちへの報復に用いるのだ。
この数日で得られた情報として、元家族たちの日常が崩れ始めている。
目立った変化こそないものの、母と義弟の様子には変化が生じていたのだ。
それは皮肉にも、共に暮らしていた時代があったから気づいた変化でもあった。
お風呂場で義弟に悪戯をした日を境に、母は義弟に対してよそよそしい場面が増えた。
特に二人きりになった時が顕著で、あの時のことが脳裏をよぎっているのだと思う。
お互いに目を合わせないようにしたり、会話もどこかぎこちなさがある。
そのためか、母は義弟との会話を減らし、代わりに義兄と父との会話を増やした。
義弟は食事中、自分から話をすることが少なくなっていた。
疎外感で居心地悪そうな表情をする義弟の様子に、義父と義兄は気づいていない。
改めて、この一家の家人に対する態度が見えたと思う。
決められた道から少しでも外れた人間は、即座に切り捨てるのが彼らのやり方のようだ。
私は最初から二葉家の決めた道から外れていた。
当時、彼らから味わった屈辱と疎外感、鬱屈とした日々の繰り返しによる精神負担。
私は決して忘れないし、それを私に強いた彼らを許しはしない。
だからこその悪戯、だからこその報復。
私のそれは、まだまだ始まったばかりなのだ。
私が元実家で観察を行っているのは日中のみ。
みかづき荘との往復時間も考えると長くいることはできない。
日が沈む前にみかづき荘に戻らければ、みんなに心配をかけてしまう。
だからこそ日数もかかったが、必要な情報は集まった。
頃合いと見て私は次の悪戯を実行に移すことにした。
ターゲットは義兄だ。