とりあえず、お試しにどうぞ。
むかしむかし──
「くうもんねぇんじゃーっ」
「家族でも蛆虫もくえるモンくえーーっ」
天地をひっくり返す禍により
大飢饉がおきました。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
廃屋に近い家で爺さんは凛とした
稀有の美貌を持つ性別不詳の浪人と
合体しておりました。脆美な身体を
妖艶にくねらせながら起き上がる浪人。
さらに端麗で大きな暗褐色の瞳にくっきりとした
二重、通った鼻筋の顔、、両胸にぶら下げた
肉丘などが爺さんの下半身を
さらに熱をおわせました。
「待っておれ、くいもんを探してきたるぞ」
「いってらしゃいませ」
爺さんは全裸で正座して見送る浪人のために
食料を探しにいきました。婆さんの頭に
振り下ろした杵をかついで歩き通します。
厚い澱んだ雲に覆い尽くされた空、木々すらも
枯れた荒地には骨ぐらいしかありません。
爺さんは腐敗した餓死体を何度も横切りますが
生きてる者には会いませんでした。
「要りません。おじいさまお食べください」
先日、腐った腕を浪人に食べさせようとしたら
丁寧に断れてしまいました。なので新鮮な人間を
爺さんは見つけなくてなりませんでした。
「お花~咲きましょ~」途方にくれる爺さんの前に
妙な歌を口ずさみながら、裾が短い桃色の着物に
身を包んだ少女が目に映りました。
綺麗に切り揃えられた赤茶おかっぱ、
赤褐色の目が整った美貌とは、裏腹に
灰を周囲にばらまく奇行をおこなっています。
爺さんは自らの欲望と浪人のために
背後から襲いました。
「はなして~」両脚を鋭い速さで動かす少女を
必死に抑えて家へ戻っていきます。戸を開けたとき、
「あっ、おきゃぁさん」爺さんの胸に〝MK-8ボウイナイフ〟が突き刺さりました。少女が『お母さん』と
呼ぶ相手こそ浪人です。赤い縁取りと灰色のつまみ部分が特徴的なコートを羽織っておりました。
「すずのすけ……ワシが死んだら食っておくれ」
「遠慮します」浪人ことすずのすけは
爺さんの言葉を断り、杵を顔面に振り下ろしました。
「どう? ほづみ」
「やわらくてゴムみたい」
「そっか……また外れか」
世界観を無視した会話を繰り返す二人。実は
血の繋がらない母娘だったすずのすけとほづみ。
家に火を放ち、またどこかへ向かいます。
「おじいちゃんと一日中、なにやってたの」
娘の問いに母は「いろいろ」洋式の
すぼんに着替えながらはぐらかしました。
ほづみが灰を蒔いた場所から
草原が荒廃した土地に広がりはじめていきます。
ですが二人は気に止めず、村から
立ち去っていきました。
MK-8ボウイナイフ- 8インチの手挽きと磨かれた
古風な長さ7.8インチ、ボウイスタイルの刃が特徴な
鞘付きナイフ。刃はニコロックス鋼製、黒檀の木製ハンドル、すずのすけは刃が折りたためる改造を施して
おります。