※この作品はR-18です。

5P erosuna4   作:夜叉五郎

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りせ回その1になります。
悠がりせの熱烈なファンだったら的なIFストーリーとして見て頂ければ幸いです。


第09章 恋愛(上)

<VELVET ROOM 2011年6月19日SUN 曇 --:-->

 

「お帰りなさいませ。んんっ」

 

バニーガール姿のマーガレットがもじもじとしている。

 

「主は大いにこの衣装が気に入られたご様子。はふぅ」

 

くるりと回って尻を突き出し、大胆に露出した背中と網タイツに包まれた美脚を見せつけるマーガレットバニー。

 

「新たな器具でついに私のアナルに手を付けられましたわね。あっあんっ」

 

フリフリと振られる尻の先端に付いているバニーの丸い尻尾が、ヴヴヴヴヴヴと細かい振動を続けていた。

 

「これから刺激を重ね、あっ、言葉で詰り、ううっ、ディルドーの振動を深めることで、おうっ、私のアナルは解れていくでしょう。あっ主、それ以上はっ、んんんーっ」

 

リモコンでバイヴの振動を強に上げられ、マーガレットバニーは悶絶した。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月19日SUN 曇 19:00>

 

リモコンでTVの音量を上げる。

 

「ば、ばかな!」

 

夕食中、俺はリモコン片手に呆然とTVを見ていた。

 

「どうしたのー?」

 

「ああ、これ?りせちゃんの引退会見、なのかしら?」

 

千枝と雪子が横で何か喋っているが、一切耳に入ってこなかった。

俺の意識は全てTVの画面の向こうの"りせちー"に持って行かれていた。

 

TVでは記者会見が生中継されている。

その中心には俺の心のアイドル久慈川りせが。

会見場には"久慈川りせ休業記者会見"というパネルが飾られている。

 

ま、まさかそんな・・・。

 

会見は質疑応答に移る。

いつもと違い元気の無さそうな"りせちー"。

インタビュアーの質問に淡々と答えていく。

 

<随分急な静養発表ですよね。ファンの方々も心配していると思います。体調面で何か問題でも?>

 

<いえ、別に躰は壊していません。至って健康です>

 

よ、よかった。

病気じゃないんだ。

 

<ではやっぱり精神的な部分で、ということでしょうか?>

 

<それは・・・、違います>

 

マ、マズゴミめー。

"りせちー"が困ってるじゃないか。

なぜそんなデリカシーのない質問をする!

 

<静養先は親族がいらっしゃる山梨県の稲羽市だそうですね>

 

<はい、その予定です>

 

「な、なにーっ!!」

 

<ドンッ>

 

「「きゃっ」」

 

思わず俺はテーブルを叩いて立ち上がってしまう。

"りせちー"がこの稲羽市に来るのか。

生りせちーに会えるかもしれない!

 

いや、これは喜ぶべきことではない。

"りせちー"が休業してしまったのは事実だ。

メディアを通して彼女の姿を見ることはしばらく無いだろう。

 

悲しみとやるせなさと、直接会えるかもしれないという僅かな希望。

それらが入り混じり、心の中が非常にモンモンとした状態となる。

 

<稲羽市って春先の宙吊り殺人事件で有名になった街ですよね。まだ未解決ですが不安はないんですか?事件について一言コメントを!>

 

<えー、以上で"久慈川りせ休業記者会見"は終わりです!はいそこっ、道を開けてください!>

 

あ、いつの間にか記者会見終わっちゃってる。

 

「悠って"りせちー"大好きだもんね」

 

「パソコンの中の画像、こっそり見たけど凄い量だったものね」

 

「えへへ。ちょっと今日は趣向を替えてみようよ。雪子は髪長いからそのままツインテールにしてー。アタシはウィッグ着けてさ」

 

「じゃあ、名付けて"ダブルりせちープレイ"ね!」

 

んん?

このお嬢さん方は何を言っているのだろう。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月19日SUN 曇 22:00>

 

"久慈川りせ休業記者会見"の衝撃冷めやらぬ中、千枝と雪子がそれぞれ"りせちー"に成りきって俺を誘ってきた。

 

他の女に見立てられて抱かれる。

普通なら女としての挟持を大いに傷つけられる行為だろう。

しかし千枝と雪子の二人は違うようだった。

喜んで俺に"りせちー"の格好で犯されようとする。

 

どうやら俺を慰め悦ばせることが彼女たちにとって何よりも大事らしい。

きちんと答えてあげないと。

俺はリミッターを解除し、本気のマーラ様の性能を二人に見せつけてやる。

 

ひぃひぃ言いながら「もう許してぇ」と懇願してくる千枝と雪子。

許さずイかせまくる。

俺の"りせちー愛"を甘く見た罰である。

まぁ二人の"りせちーコス"が可愛過ぎて暴走してしまったとも言う。

 

気絶しても許さず、交互に犯す。

二人共完全に腰が抜けてしまっている。

 

明日ちゃんと学校行けるかしら。

自分のしたことながら少し心配になる。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月20日MAN 曇 16:30>

 

なんとか学校に通学したものの、千枝と雪子は案の定グロッキー状態。

授業にも腰にも全然力が入らなかったようだ。

いつもなら学校帰りの買い出しに付いてくるはずだが、今日は先にマンションに戻ってしまう。

仕方なく俺一人でJUNESに来ていた。

 

世間の話題はりせちー休業で一色である。

学校でもその話題で持ちきりだった。

JUNESの屋上のフードコートを歩いていても、その話がアチコチから聞こえてくる。

 

あれだけ影響力のあるアイドルだ。

当然だろう。

 

ん?

あれは?

 

携帯電話が落ちている。

ピンク色のガラケーだ。

落し物か。

 

拾ってみると変な形のストラップがついている。

これは・・・がんもどき?

携帯のストラップにがんもどき?

なんて個性的な。

 

さっきまでこのテーブルに座っていた娘のものだろうか。

どこに行ったんだろう。

周りを見渡してみる。

 

すぐ近くにエレベーターホールに向かって歩いている女の子の姿があった。

 

「あ・・・」

 

思わず声が漏れてしまう。

 

あの胸、あの腰つき、ムダの無い曲線美・・・。

ま、まさか、"りせちー"!?

野暮ったいメガネで変装しているが、どこからどう見ても"りせちー"だっ。

 

彼女は混雑しているエレベーターを避けて階段を使うようだ。

後を追おう。

 

下の階に降りた彼女はそのまま売り場を足早に進んでいく。

 

ああどうしよう。

どう声をかけよう。

なにせ憧れの"りせちー"である。

なかなか声が出なかった。

 

すると"りせちー"は突如駆け出して階段でさらに下の階へ。

いけない!

とにかく携帯を返さなければ!

 

走って彼女を追う。

"りせちー"はエレベーターの中にいた。

扉が閉まる寸前に駆け込み、一言。

 

「こ、これ、君の、だよね?」

 

ああやっと言えた・・・。

 

「だったら、早くそう声掛けてくれればいいじゃない!」

 

あうっ。

どうやらこちらをストーカーと勘違いして怯えていたようだ。

反射的に謝ってしまう。

 

「ご、ごめん」

 

「もうっ。拾ってくれたの助かったけど」

 

エレベーターの中でりせちーと二人きりになっていた。

な、何か話題を続けないと。

ほら、何やってんだ俺。

憧れの"りせちー"が目の前にいるんだぞ!

何か喋れ!

 

「ありが「ス、ストラップ、とっても、変だね!」

 

0点。

レッドカードで退場モノの大ファール。

我ながら気が利かな過ぎ。

ほら、"りせちー"も困った表情を浮かべてるじゃないか!

 

エレベーターが1Fに到着し扉が開く。

 

「じゃ、じゃあ」

 

鳴上悠は"りせちー"の前から逃げ出した!

 

<ダダダダダッ>

 

りせちーは追ってこない!

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月21日TUE 雨 20:00>

 

食後にボーッとTVを見る。

昨日の記者会見の様子が再び放送されていた。

 

<稲羽市ではご親族が老舗の豆腐屋を経営されているとか?>

 

<え?あ・・・はい、そうです>

 

<静養ということですが、復帰は何時頃になるのでしょうか?>

 

<わかりません>

 

<あくまで"静養"であって"引退"ではないんですね?>

 

<・・・はい>

 

<静養先ではどのように過ごされるんでしょうか?お豆腐屋さんを手伝われるんですか?>

 

<まだ、何も・・・>

 

「はぁ〜」

 

記者会見している"りせちー"の姿を見ていると自然とため息が出てくる。

昼間の件がまだ後を引いていた。

 

<稲羽市って春先の宙吊り殺人事件で有名になった街ですよね。まだ未解決ですが不安はないんですか?事件について一言コメントを!>

 

<えー、以上で"久慈川りせ休業記者会見"は終わりです!はいそこっ、道を開けてください!>

 

<一旦CMです>

 

番組からCM枠に切り替わってもそこには"りせちー"の姿が。

さすが昨日まで飛ぶ鳥を落とす勢いだった売れっ子である。

ビジネススーツの"りせちー"が落ち込んでいる同僚を励ますシチュエーションの資格講座のCMだ。

パンツルックの"りせちー"も良い。

 

この娘とついさっき会話を交わしたんだよな。

どうしてもっと上手く立ち回れなかったんだろう・・・。

落ち込んでいると一緒にTVを見ていた雪子が何やら気になる発言をする。

 

「老舗のお豆腐屋さんって丸久さんのことかしら。うちの旅館で出すお豆腐はずっと昔から丸久さんのなのよ」

 

さらに千枝から追加情報が。

 

「丸久って・・・ここの商店街の?このマンションのすぐ近くじゃない」

 

ガタッ。

 

「本当か!?」

 

「う、うん。お豆腐買いに行ったら会えるかも」

 

一気にテンション上がってきたーーーッ!

 

「よしっ豆腐買ってくる!」

 

「ちょちょちょっと!もうこの時間だと閉まってるってば!」

 

千枝に止められてしまう。

くそう!

 

「それよりさ。思ったんだけど。もし今までの事件がTV繋がりだとすると、彼女も犯人に狙われちゃうんじゃない?」

 

な、なんだって?

いきなり千枝が不穏なことを言い出す。

 

「あ、私も気になって少し調べてみたんだけど、りせちゃん、山野アナと一二度同じ番組に出ているみたいなの」

 

雪子まで"りせちー"が襲われると思っていたようだ。

 

「待ってくれ。"りせちー"は昨日今日TVに出たわけじゃないだろ」

 

「今度の休養騒ぎであの娘、今この街で時の人よね。しかもここに引っ越して来ているんだよ。そして誰もが認める可愛さじゃん。アイドルなんだし」

 

千枝に見事に反論されてしまう。

"生りせちー"に夢中で気付かなかった。

確かに俺たちの推理どおりなら目を付けられるパターンだ。

 

山野アナと何らかの関係がある。

この街に居る。

TVで報道されたことがある。

若くて綺麗な女性である。

 

確かに全て当てはまっている。

大変だ。

"りせちー"は何が何でも守らないと!

犯人を絶対捕まえてやる。

 

「クッ。わかった。明日から彼女の動向を追おう」

 

「「うん」」

 

これで落ち込んでいる暇など無くなったわけだ。

りせちーが狙われる可能性が出てきたということはマヨナカテレビのチェックも欠かせないだろう。

まだ零時までには時間がある。

それまでにこの滾った想いを発散させねば。

 

「よし。今日も"りせちーコス"でしようか!」

 

二人が引きつった顔を見せる。

 

「きょ、今日もあれやるの?えーと、で、できれば手加減してほしいなって。明日も学校だし・・・」

 

「あ、そ、そうだ!えーと久しぶり千枝と一緒にフェラしてあげる!ダブルフェラ。まず二、三回それで抜きましょう!ね、そうしよ!」

 

昨日の俺の荒ぶり様に恐れを為しているらしい。

いいだろう。

キックオフと同時のダブルフェラでの二発抜き。

受けて立とう!

 

結局二人とも今日もお泊まりコースとなる。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月21日TUE 雨 21:00>

 

「「じゅるじゅる、ペロペロ、じゅっぽじゅっぽ、あーん」」

 

雪子の提案に乗り、二人にそれぞれ濃いのをゴックンさせてから本番に移行する。

昨日に続いて腰が抜けるまで二人を攻め立てる。

 

「「やーん!、もうやだー、許して―」」

 

許しません!

JUNESで"りせちー"と上手く会話できなかった後悔が熱いリビドーとなって腰に溜まっていた。

最初に二回程度抜いたくらいでは到底収まるはずもない。

俺のマーラ様はいきり立ちまくりである。

 

「も、もう限界。千枝、あとよろしく。ガクッ」

 

「雪子ずるいっ、アタシ一人じゃ無理だってば!」

 

雪子が先にダウン。

 

「千枝、ここにおいで」

 

「悠っ、お願ーい、もう堪忍してよぅ」

 

怯えて媚びた表情で後ずさる千枝。

最近くびれが急激に目立つようになってきたその千枝の腰を掴み、持ち上げて対面座位で結合する。

 

「ああああっ」

 

ここで雪子のように千枝も気絶してしまっては俺の出しどころが無くなってしまう。

千枝の体力が持つように千枝の腰をゆっくり回して生かさず殺さず延々と互いの性器を刺激し続ける。

 

「はっはっあっあんっああんっ」

 

寝室の中、千枝の喘ぎ声が延々と響き続けた。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月21日TUE 雨 24:00>

 

「もうっいがぜでぐだざいっ!いがぜでよー。うぇええん」

 

焦らし続けて頭のネジが半分飛んでる千枝から泣いて懇願される。

そろそろ許してやるか。

つながったままゴロンと転がって正常位に移行。

そして鬼ピストン。

 

「ああっあああっ、やっどぎだああああああああああっ!!!」

 

きっちり千枝をイキまくらせ、イッたまま帰れなくしてやる。

限界まで躰を仰け反らせている千枝のしなやかな腰をガッチリ掴んでグググッと射精する。

 

ふー、出した出した。

ヌポッと抜く。

スキンは無事のようだ。

二人のうちどちらかが起きていれば口でスキンの後片付けをしてもらうのだが・・・。

 

「すー、すー」

 

「・・・」

 

あいにくどちらも気絶中である。

自分でスキンを外す。

今日もいっぱい出したなー。

トイレに捨てに行く。

 

あ、そろそろマヨナカテレビの時間だ。

 

<ブツンッ>

 

電源を入れていないTVに映像が生まれる。

 

「これは・・・」

 

映し出された映像は水着の"りせちー"だった。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 16:00>

 

昨日のマヨナカテレビ。

不鮮明ではあったが顔は間違いなく"りせちー"だった。

 

雪子のときはTVの中に入れられるまでマヨナカテレビは不明瞭な状態だった。

つまり"りせちー"もまだTVの中に入ってないということになる。

 

いったいどういう理屈で映し出される動画なのだろうか。

 

そして動画の内容についてもどうも腑に落ちないところがある。

 

あの水着は写真集の表紙でしか着たことがないものだ。

そもそも動画の媒体自体が存在していない。

 

それにあのバスト。

明らかに本物の"りせちー"よりデカい。

りせちー研究家の俺が言うのだから間違いない。

 

とりあえずだ。

"りせちー"本人の様子を見に行こう。

出来れば拉致の危険性を伝えられればいいのだが。

 

学校帰りに一人で丸久豆腐店に向かう。

千枝と雪子は今日も先にマンションに戻って休んでる。

仕方のない娘さんたちだ。

 

<パシャッ、パシャッ、ガヤガヤ>

 

丸久豆腐店の近くまで来てみたが、商店街の様子がいつもと違った。

沢山の学生たちが店の周りにたむろっており、携帯のカメラで店の様子を撮影している。

車も多く、宅急便のトラックが通れず困っているようだ。

車を誘導する警察の姿まである。

 

"りせちー"を見たくて集まった人たちである。

 

あまり目立ちたくはなかった。

人がはけた瞬間を見計らって丸久豆腐店に近づく。

とりあえず豆腐を買う振りをして中に入ろう。

 

「うおっ」

 

ところが目論見は見事に外れる。

店の引き戸に”お豆腐売り切れ”の張り紙が。

 

ど、どうする?

いや待て。

豆腐屋で売っている品物は豆腐だけじゃない!

 

「すみません!」

 

勇気を振り絞って中に入ってみた。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 16:10>

 

店内はやけに薄暗かった。

 

「表の張り紙見てないの?お豆腐もう無いわよ」

 

店の奥の暖簾を捲って応対に出てくる店員さん。

 

"りせちー"!

 

ダルそうな態度で目を疑ったが、それは紛れも無く割烹着姿の"りせちー"だった。

"りせちー"の代名詞とも言えるツインテールが三角巾で覆われている。

 

「あれ、あなた携帯拾ってくれた」

 

俺のことを覚えていてくれたようだ。

感激だ!

 

「や、やあ」

 

き、緊張して声が出ない。

 

「・・・何のよう?」

 

慌てて商品ケースを見回す。

あれだ!

 

「が、がんもどきを三つ、下さい」

 

「がんもね。三つか」

 

"りせちー"ががんもどきを包装するために、商品ケースの淵に手をついてこちらに腰を向けてくる。

 

き、来てよかった。

腰を付き出した"生りせちー"の後ろ姿を見れるなんて!

っていかん!

 

「あ、あの。最近変わったこと、ありませんでしたか?」

 

勇気を振り絞って尋ねてみる。

 

「何?ストーカーの話?」

 

「いや、その、マヨナカに映るテレビの噂、知らないかな」

 

「ああ、昨日の夜に映ったあれのこと?」

 

え、"りせちー"も見たのか!?

 

「み、見たのかい!?」

 

「不思議よね、アレ。なんかアタシに良く似た人が映ってたみたいだけど」

 

がんもどきを手渡しつつ答えてくれる。

 

「プロモ撮りであの水着は着たこと無いし。それにあたしあんなに胸無いよ」

 

「ああ、それは気付いてた。でも胸以外は君に良く似ていた。あの腰つき、ムダの無い脚線美・・・。あれは君そのものだ!」

 

「はぁ?あんた何言ってんの?」

 

怯えたように後ずさる"りせちー"。

 

「ってそうじゃない!俺が言いたいのは・・・」

 

い、いかん。

これじゃ俺がストーカーみたいじゃないかっ。

 

<ガラガラッ>

 

「ごめんくださーい!って、あれ悠君じゃない」

 

間の悪いことに来客のようだ。

この声、足立さん?

振り返るとそこにはやはり足立さんが。

・・・まずいことに叔父さんも一緒だ。

 

「悠、お前ここで何を?」

 

なんか叔父さんが凄い目で睨んでくる。

なぜだ?

 

「その。がんもどきを買いにきました。夕飯のおかずです」

 

ヤバイ予感がするのでりせちーに代金を渡してしらばっくれる。

もし叔父さんにTVの件を知られたら。

雪子と千枝をマンションに連れ込んでいることまで芋づる式にバレてしまいそうだ。

あの二人との愛の巣を手放すつもりなど今の俺には毛頭なかった。

 

「そ、それじゃ」

 

藪蛇にならないようにスッパリ撤収を選択する。

 

「???、まいどー・・・」

 

腑に落ちない様子の"りせちー"が俺をおずおずと見送る。

"りせちー"にしてみれば不審人物にしか見えなかっただろうな。

はぁ。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 17:00>

 

少し離れたところから丸久豆腐店を観察する。

なんとか"りせちー"に接触する機会を作らないと。

掲示板の影を張り込み場所にして機会を待つ。

 

掲示板には"安心な未来へ"という標語の警察のポスターが貼られていた。

モデルは警察官の制服姿の"りせちー"でこの春撮られたものだった。

きっちりしている制服のせいで腰のくびれのラインがやけに際立ってる。

非常にソソられる逸品だ。

 

ポスターに気を取られていると帽子を被った"りせちー"が店の裏手から出てきた。

今だ!

 

ん?

あれは何だ?

 

飛び出した瞬間、あり得ない光景が目に飛び込んできた。

リュックサックしたバンダナ男が電柱の上に掴まって"りせちー"をカメラで狙っている。

 

「誰だ!」

 

思わず声を上げてしまう。

 

バンダナ男がビクッとこちらを見る。

いかにもアイドルオタクって感じの男だった。

 

バンダナ男は華麗にスルスルと電柱を降りて道路を駆け出していく。

もしかしてあれ、"りせちー"がさっき言ってたストーカーなんじゃなかろうか。

捕まえないと!

 

「うひー」

 

「待て!」

 

「な、なんなの?」

 

戸惑っている"りせちー"の横をバンダナ男と俺が駆け抜ける。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 17:30>

 

くっ意外と脚速いなっ。

まずいぞ。

このままだと国道に出てしまう!

 

<ブーーーーン、キキーッ>

 

あいかちゃん!?

 

「うわあ」

 

偶然通りかかった出前中のあいかちゃんがなんと原付きバイクでストーカーの行手を遮ってくれた。

 

「とうっ」

 

「ぶぎゃ!」

 

そのお蔭でバンダナ男を取り押さえることに成功する。

 

「あいかちゃん、ありがとう!」

 

「お礼、よろしく」

 

「ツケにしといてくれ!」

 

「まいど」

 

ほんと助かった。

お礼、十回分くらいでいいかな。

 

「な、なんなんだよ、お前たちーっ」

 

「"りせちー"を困らせる奴は俺が許さん!」

 

ストーカーしてる証拠のカメラを抑えないと・・・。

暴れるバンダナ男を押し倒して拘束する。

 

「話しは署で聞くっ!」

 

<カチャリ>

 

え?

 

「くぅーこのセリフ一度言ってみたかったんだー。ほら立て!」

 

いつの間にか隣に現れた足立さんがバンダナ男に手錠を掛けていた。

 

「いやー、堂島さんに君を見張れって言われててさ。なんでも君ってかなりの久慈川りせファンらしいじゃない。おかしなことしないようにって話だったんだけどさー」

 

くっ。

両親経由で叔父さんに情報が入っていたか!

まぁいい。

ちょうど良かった。

 

「こいつ、"りせちー"のストーカーです。よろしく頼みます!」

 

「あ、ちょ、ちょっと!」

 

後は足立さんに任せておけば大丈夫。

俺は"りせちー"を追わないと。

彼女はどこに行った?

 

「あの娘、河原の方」

 

絶妙なタイミングであいかちゃんが情報提供してくれる。

 

サンキュー、あいかちゃん。

お礼はさらに一回追加だっ。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 18:00>

 

あまり遠くには行ってないはず。

そう思って辺りを探したらビンゴ。

"りせちー"は夕日の河川敷に座って一人黄昏れていた。

 

ん、何をやってるんだ?

グラビア雑誌のページを裂き、紙飛行機を作って飛ばしている。

よく見ると"りせちー"自身のグラビアのようだ。

 

「"りせちー"か。本当の私なんか誰も見てない・・・」

 

何か呟いたようだがよく聞こえない。

思わず一歩足を踏み出してしまう。

 

「誰っ!?」

 

「あ・・・」

 

俺に気づいた"りせちー"がサッと立ち去ろうとする。

 

「【待ってくれ!】」

 

慌てて呼び止める。

 

「・・・何?」

 

立ち止まってこちらを振り向く"りせちー"。

その眼光は不審気。

 

「えっとその。君を付け回っていたストーカー、捕まったよ」

 

「・・・あっそ。まあストーカーなんて慣れてるけど」

 

どうでも良さげに答えてくる。

 

「そのっ。そういうの、慣れない方がいいんじゃないかな」

 

「仕様がないじゃない。そういう人たちからお金巻き上げるためにさ。キャラ付けされたアイドルやってたわけだし」

 

「え?」

 

「アイドルの追っかけなんて全員ストーカー予備軍みたいなものでしょ。・・・あんたもそうなんじゃないの?」

 

そう言って"りせちー"はこちらに物憂げな視線を向けてくる。

アンニュイな雰囲気の"りせちー"もいいなぁ・・・って、いけない!

まずは疑いを晴らさないと。

 

「自分は決してストーカーなんかじゃない。【俺を信じてくれ!】」

 

真心だ。

こういうときは真心を表に出せばきっと通じる。

深呼吸して真正面から"りせちー"と向き合って言葉を紡ぐ。

 

「・・・クスッ、わかったわ。特別に信用してあげる」

 

やった!

"りせちー"が笑ってくれた。

俺の想いが彼女に通じたらしい。

 

「それで話はそれだけ?他に用が無いならもう帰るけど?」

 

本来の目的を忘れるところだった。

俺は"りせちー"に警告しに来たのだ。

 

「お店で言いかけたけど、マヨナカテレビに映った人は誘拐される可能性がかなり高い」

 

「え?」

 

「いきなりで信じられないかもしれないが、嘘や冗談じゃない。気をつけてほしい」

 

「さっき来た警察の人からも同じこと言われたわ。何かあったらすぐに連絡しろって」

 

叔父さんが?

警察も事件の発生条件をある程度まで掴んでいる、というのか?

それとも彼独特の刑事の勘だろうか。

 

「ありがとう」

 

え?

 

「あたしのこと心配してくれてるんでしょう。だからありがとう」

 

お、おう。

 

「じゃあ忠告に従って、暗くなってきたしもう帰るね。あ、名前聞いてなかった」

 

「な、鳴上悠」

 

"りせちー"に俺の名前を覚えてもらえるなんて、夢のようだ。

ドギマギしながら答える。

 

「ふふっ、あたしは久慈川りせ」

 

よく知ってます。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 23:45>

 

「あんっ、もう舐めないでっ。ペロペロしないでぇ」

 

"りせちー"と面識を得たことに興奮し、またまたりせちープレイでハッスル。

千枝と雪子の二人は今日もお泊まりで俺を楽しませてくれている。

 

すでに千枝は轟沈しており雪子をねっとりと攻めている最中である。

雪子の瞳は虚ろな金色に濡れ、視点を合わせられないほど快楽漬けになっている。

 

雪子の膣は入れるだけで気持ちいい。

背面座位で雪子と合体しつつ耳裏に鼻を埋め雪子の甘いフェロモン臭を堪能。

脚を大きく開かせて白い生乳や挿入中の秘唇を後ろから入念に愛撫。

すでに雪子の綺麗な背中は俺の口づけでサクラの花が散ったような状態だ。

 

「ちゅー」

 

「ああんっ」

 

雪子は首が性感帯だ。

 

普段の装いと異なるツインテールで細い首とうなじを露出させたその後ろ姿は新鮮だった。

執拗にペロペロと舐めまくったせいで雪子の首はヨダレまみれである。

 

あ、そろそろ零時になるな。

 

「雪子、体位変えるぞ」

 

「あぅん」

 

雪子の躰を前に倒し、腰を持ち上げる。

つながったまま後背位に移行。

 

わざと雪子の一番弱い角度を微妙に外して、パンパンッとゆっくり腰を打ちつける。

すると雪子はすでにろくな思考力も残ってないはずなのに、自分から一番気持ちいい場所が当たるようにモゾモゾと腰の位置をずらしてくる。

 

「フフッよく出来ました」

 

「ふぇ?」

 

ご褒美に本格的に腰の回転上げていく。

たぷんたぷんと揺れていた雪子の二つの白い乳が、プルプルプルプルと微振動するレベルまで到達。

 

「ん、ん、んんっっ!!ふああああん・・・っ!!!」

 

とっくの昔に雪子はイッたまま帰れない状態になっているようだ。

この世で最高のオナホールを使っているような感覚。

自分の好きなタイミングで射精。

 

イキ潰れた雪子をその場に放置し、一人居間に移動する。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月22日WED 雨/曇 24:00>

 

<ブツンッ>

 

電源を入れていないTVに映像が生まれる。

胸と腰をやたら強調している水着の女性。

やはり"りせちー"だった。

 

まだ映像は不鮮明で安心する。

つまりまだ"りせちー"はTVの中にいない。

だが昨日より映像がはっきりしているようだ。

どういうことだろう。

 

バラエティのようなものが映るのは本人が入った後。

そしてそのバラエティは入った本人が映し出している本音。

ならばそもそもこの不鮮明な映像はいったい何だ?

 

犯人の犯行予告?

なら予告相手は?

俺、か?

 

いや待て。

決めつけるな。

 

何らかの理由で犯人の心の中が映し出され、結果的に犯行予告に見えるということはないだろうか。

"りせちー"を襲うぞという想念が強まり、結果として映像もはっきり見えるようになってきた?

 

わからない。

とにかく今はっきりしているのは"りせちー"の身に危険が近づいているってことだ。

明日も"りせちー"の動向をチェックだ。

 

 

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月23日THU 雨/曇 15:50>

 

授業が終わった。

千枝と雪子はなんとか授業を受けていたがここ数日と同様にグッタリしている。

少し休んでから帰るということなので先に教室を出た。

急いで丸久豆腐店に向かわないと。

 

速攻で靴箱で靴を履き替えて玄関の扉を開けようとする。

んん?

外の様子が変だ。

 

校門の外に多数の人影が見える。

カメラや集音マイクが多数。

TV局?

 

戸惑って立ち止まっていると隣に女子生徒が並んだ。

ふわりといい匂いがする。

 

「ついさっきまでいなかったのに。相変わらずマスコミは鼻が利くわね」

 

え、この声って。

ええ?

 

振り返るとなんとそこには"りせちー"がいた!

"りせちー"が八十神高校の制服着てる!?

 

「あ、鳴上君じゃない」

 

「・・・なんで?」

 

「来月からこの学校に編入するの。その手続きに来たんだけど」

 

困惑した表情で"りせちー"が外を見ている。

 

う、嘘だろ!

おい、やばいぞ。

"りせちー"と同じ学校になっちまった。

 

「はぁ、どうやって帰ろ」

 

校門の方を見てため息をつく"りせちー"。

これは"りせちー"ともっとお近づきになるチャンスだ!

 

「よければ別の道を案内するよ」

 

俺は勇気を出して"りせちー"を誘った。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月23日THU 雨/曇 16:00>

 

裏門でもない場所から学校を出ることにする。

向かう先はグランドに面した普段は閉められたままの門。

そこだけ野球部のネットが捲れているのだ。

 

「あれ?その制服のバッチって二年の・・・」

 

移動中に"りせちー"が俺が二年生であることに気づいたらしい。

 

「そっか。先輩なんだ。あたし一年なの。じゃあ改めて。鳴上先輩、よろしくね」

 

「あ、ああ」

 

"りせちー"が俺の名前の呼び方を変えてくる。

あの"りせちー"が隣にいて俺を"先輩"と呼んでくれている。

なんて凄いシチュエーションだろうか。

 

人生何が起こるかほんとにわからないものだな。

ゲームの中に放り込まれてる俺が言うのも変な話ではあるが。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月23日THU 雨/曇 16:10>

 

門扉の前に着いた。

ネットを潜って先に門扉の上によじ登る。

そして門扉に腰掛けて"りせちー"に手を差し伸べる。

 

「ほらっ手を握って」

 

「うんっ」

 

"りせちー"を門扉の上まで引き上げてあげる。

 

「よいしょっと。大丈夫?」

 

「ええ」

 

先に飛び降りて"りせちー"が降りるのを見守る。

 

「うふふ。こういうシーン、映画にあったよね」

 

「ロマンティックだろ」

 

にこりと微笑み合う。

 

このイベントで大分"りせちー"との距離感が縮まった感がある。

緊張が解けて俺もいつの間にか吃らなくなっていた。

もっと"りせちー"と二人きりでいたいところではあったが・・・。

 

「あ、あそこにいるぞ!」

 

あ、まずい!

見つかったようだ。

 

「こっちだ。行くぞ!」

 

「うん!」

 

反射的に"りせちー"の手を握って駆け出していた。

"りせちー"は俺の手をきゅっと握り返してくれた。

"りせちー"からの信頼を強く感じる。

 

俺にとっては夢の様な逃避行だった。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月23日THU 雨/曇 16:30>

 

商店街まで二人で手を握ったまま移動する。

マスコミに見つからないように遠回りになってしまった。

丸久豆腐店に近づく。

 

「「あっ」」

 

店の周りにも多数のマスコミの姿が。

 

「これじゃ入れないな」

 

「ん・・・」

 

とっさに"りせちー"を背中に隠す。

さすが狙っているのがりせというトップアイドルだけはあるけれども、これは明らかにマスコミもやり過ぎだろう。

ここは警察を呼んだ方がいい。

 

「堂島さんって刑事の連絡先は聞いてるんだろ?彼に頼んで追い払ってもらおう」

 

「あ、そっか。ちょっと待って。電話するね。もしもし、あのわたし久慈川りせといいますが・・・」

 

"りせちー"が電話越しに叔父さんに要件を伝えている。

 

「あと10分したら足立さんって刑事の人が来てくれるって」

 

良かった。

 

「りせ!」

 

え?

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月23日THU 雨/曇 17:00>

 

声を掛けてきたのはスーツ姿のメガネ男。

"りせちー"のマネージャーだった人らしい。

井上という名だそうだ。

 

人目を避けるために辰姫神社に移動する。

最近TVやネットで妙な取り上げられ方をされて異様に人気が出ている神社だ。

しかし幸いなことに夕暮れ時になって参拝客は誰もいない。

 

「すまない、少し外してくれないか?」

 

「いやです」

 

心細そうな"りせちー"をほっとけなかった。

井上さんは俺が邪魔なようだったがキッパリ断る。

 

「き、君はりせの何なんだね!」

 

「【俺は彼女の恋人です】」

 

きっぱりと言い切る。

少なくとも今この瞬間だけでも恋人に成りきって彼女を守る!

 

「なっ!?」

 

「・・・先輩(ぽっ)」

 

"りせちー"も俺の芝居に付き合うことにしたようだ。

本物の恋人のように頬を赤らめて寄り添ってきた。

肩を抱き寄せてやる。

 

「な、何を言ってるんだ。りせがこの街に来てから数日しか立ってないだろ」

 

「井上さんには関係ない!一目惚れなの。先輩は運命の人なの。わ、わたしたち高校を卒業したら、結婚するんだから!」

 

"りせちー"話盛り過ぎ。

でも本当にそうなったらどんなにいいか。

とりあえずそれくらい熱烈な恋愛中であることを井上さんに対してアピールせねば。

 

「ええ、【俺達はラブラブです】」

 

もちろん井上さんに信じてもらうために、本気の想いを込めての発言である。

 

「・・・先輩〜。ウフフ」

 

ゴロゴロと甘えてくる"りせちー"の頭を撫でてやる。

あ、いい匂い。

ああ、これが恋い焦がれていた"りせちー"の体臭。

思いっきり吸い込んで堪能する。

 

「・・・わかった。もう何も言わないよ。君の主演が決まっていた映画、後任はかなみに決まった」

 

「え、あの娘が」

 

「今後我が社は真下かなみを力の限りバックアップしていく。それだけを伝えにきたんだ。それじゃ」

 

井上さんは恨みがましい目で俺を睨みつけ、踵を返してさっさと去っていった。

 

「あ・・・」

 

ん?

井上さんを見送る"りせちー"の様子がおかしい。

俺の制服を掴む"りせちー"の手が震えている。

不審に思って覗きこむと"りせちー"は涙を溢れさせていた。

 

「あ、れ?なんで、涙なんか出んのよ。悲しいことなんか何も無いのに・・・」

 

「どうしたんだ?」

 

「私、失くしちゃった。何か分かんないけど、大切なもの失くしちゃった。うわーん」

 

泣き出して縋ってくる"りせちー"。

俺は場に流され、その躰を抱きしめていた。

うわっ細い!

 

「みんながチヤホヤして寄ってくるのは本当のアタシじゃない。グスッ。売るためにキャラ付けされたアイドルなの。グスッ。本当のアタシなんか誰も見てない」

 

泣きながら"りせちー"が俺に想いを吐き出してくる。

 

「私もうタレントじゃない!生活時間を管理される人形じゃない!そう思ってたのに・・・なんで悲しいの。うわーん」

 

"りせちー"、いや久慈川りせがアイドルを休業した理由がやっと今わかった。

彼女、大分悩んでいたようだ。

背中と頭を撫でながら彼女が落ち着くのを待つ。

 

彼女を慰めたい。

そんな強い想いに突き動かされる。

りせを抱きしめたまま、俺自身が感じたことを素直に語りかけてみた。

 

「今、君がここにいることは正しい選択だったと思う。そんな想いを抱えながら無理して仕事を続けるなんて、人として間違ってる」

 

「・・・」

 

「それに今すぐ復帰したって、納得出来る仕事をするなんて絶対無理だ。タレントのメンタルケアもまともに出来ない事務所だもの」

 

「・・・え?」

 

「とりあえずさ。芸能界以外で君が今してみたいことを全部しよう。芸能界に戻るかどうかはそれから考えればいい。俺でよければ手伝うよ」

 

「う、うん。・・・そんなこと言われたの、初めてかもしれない」

 

いつの間にかりせは泣き止んでいた。

目元を赤く腫らし、俺の腕の中で照れたように笑うりせ。

か、可愛すぎる。

って俺、いつまでりせを抱きしめてるんだ?

 

抱擁を解き、慌ててりせから離れる。

 

「あ・・・」

 

少しだけりせが残念そうな顔をしたのは俺の願望だろう。

 

「あの、慰めてくれて、ありがとう」

 

「その、俺、君の大ファンだし。コンサートも行ったし」

 

俺もりせも顔が真っ赤だった。

 

「あ、そうだ。ねぇ先輩、携帯の連絡先の交換しよ!ラブラブで将来を誓い合った恋人同士なら当然でしょ?」

 

照れ隠しだろうか。

りせが先程の設定をからかってくる。

恥ずかしくて勘弁して欲しかったが、りせの連絡先をゲット出来るチャンスを逃すわけにはいかない。

 

「いいのか?」

 

「うん、勿論」

 

あたふたと携帯を取り出し、りせと連絡先を交換する。

 

「よしっ。これで登録っと。先輩の方はちゃんと登録できてる?」

 

「え?ああ大丈夫・・・みたいだ」

 

スマホの電話帳をチェックする。

"久慈川りせ"の項目が"く"の欄に追加されていることを確認。

スマホから視線をりせに戻そうとした瞬間。

 

「ん、チュッ」

 

スマホに気を取られていて反応できなかった。

スッと近付いてきたりせの顔。

ピンク色の唇が、俺の口元に当たる。

 

え?

 

一歩下がり、エヘヘと笑うりせ。

 

「わ、わたし泣き過ぎて今ひどい顔してるでしょ。今日はもう帰るね。夜に必ず連絡するから!」

 

「あ、ああ」

 

「じゃあ、バイバイ!」

 

その後姿を呆然と見送る俺。

しばらくその場に立ち尽くしてしまう。

 

今俺、りせとキス、したよな?

あのりせと。

 

それから後のことはよく覚えていない。

夢の中の出来事のようでフワフワしており、現実味がなかった。

 

マンションに帰って玄関で雪子と千枝が三指付いて俺を出迎えてきたことも。

二人が土下座して「「今夜のお勤めは勘弁して下さい!もう限界なんです!」」と必死でお願いしてきたことも。

鷹揚に了解してお風呂で背中を流されるだけで済まし、たいそう二人に喜ばれたことも。

 

全てが些細なことであった。

 

スマホを一時も離さず、ただただとにかくりせからの連絡を待ち続ける俺がそこにはいた。

 

・・・りせのガラケーが夜の車道に転がり、降り始めた雨に濡れ続けていることも知らずに。

 

 

 

<YU SIDE 2011年6月23日THU 雨/曇 --:-->

 

鳴上悠の「神言」により、久慈川りせは鳴上悠にラブラブになりました。

久慈川りせの中で高校卒業後の鳴上悠との結婚が規程路線になります。




りせ回その2でこれまで溜め込まれていたオナペットアイドルへの妄念が一気に爆発予定。
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