※この作品はR-18です。

5P erosuna4   作:夜叉五郎

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直斗の溜め回。
エロ無しです。


第16章 運命(上)

<VELVET ROOM 2011年9月12日MON 曇 --:-->

 

「まだまだ負けませんわよ。ううっ」

 

今日のベルベッドルームでのセックスバトルの相手は、エスとエムの美女戦士セーラーマーガレットだ。

 

「あんっ、主、主の表情の中には油断が見えます!」

 

セーラーマーガレットは組み拉がれ、マーラ様を差し込まれて陥落したはずだった。

 

「私の膣が再び深くきつく締め付けつつあります。くぅ。雌雄はまだ決しておりません」

 

なかなかに往生際が悪いセーラーマーガレットは、イったはずなのに負けを認めようとしない。

 

「いいえ、むしろこれからさらにエロくなっていくでしょう。えいっ」

 

一瞬の隙を突き、くるりと反転してマウントポジションを取るセーラーマーガレット。

 

「しかしまた射精するまでの時間は長いようですわね。私のペースで腰を振らせて頂きますわ」

 

勝ち誇った笑みを浮かべたセーラーマーガレットがセーラー服に包まれた乳を縦揺れさせながら腰を使ってくる。

 

「あっあっあっあっ。おもしろくなってまいりました。ふふふ。さぁもう一勝負です。ああんっ」

 

爛れた戦いは、セーラーマーガレットがヒロピンものの定石通りマーラ様に屈服して悪落ちするまで続いた。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月12日MON 曇 20:00>

 

ん?

直斗、随分思い切った行動に出たものだ。

 

三人を家まで送った後、マンションに戻ってTVを付けるとそこに直斗の姿が。

 

「報道EYE。今日の特集は先日無事容疑者逮捕となった稲羽市の"逆さ磔・連続殺人事件"の解決に多大な貢献をされたこの方。現役女子高生にして私立探偵。白皙の美貌でも話題を攫いそうな美少女探偵、白鐘直斗さんです。いやー本当に奇麗な方ですねー」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

八十神高校のセーラ服姿のままインタビューを受けている直斗。

 

可憐だ。

男性アナウンサーのノリの軽さに戸惑ってるのが見て取れる。

 

「早速ですが謎が多いと言われた事件もようやく解決ですね!」

 

「い、いえ、事件の全体像を見渡すとボク、ンンッ・・・わ、私の見解は警察とは違います」

 

スツールに腰掛けての対談形式でインタビューは進むようだ。

腰の高いスツールのせいで生脚が丸見えである。

カメラがやたらローアングルでいやらしかった。

 

直斗の形の良い美脚と、その抜けるような肌の白さ。

そしてセーラー服の胸元を押し上げる乳の大きさがやたらクローズアップされている。

直斗もカメラアングルがおかしいことをわかっているのか、スカートの裾をずっと気にしている。

 

「ほほう。と、言いますと」

 

「具体的なことはまだ何とも言えませんが、違和感を感じます」

 

それでも直斗は言いたいことはきちんと主張していた。

キッと前を見た直斗の表情は凛々しくて美しい。

 

しかし上手い言い回しだ。

久保美津雄を模倣犯とは断定しなかったか。

警察を敵にまわすとまずいしな。

 

「直斗きゅんはまだ事件には謎があると」

 

「きゅ、きゅん?」

 

「ところで直斗きゅんはとてもお奇麗ですが、どこの芸能事務所に所属されるのでしょうか?アイドルとしてのデビューのご予定は?歌は出すんですか?それともモデル路線?」

 

「あ、あのえっとアナウンサーさん?ふ、二人の犠牲が出た事件です。どんな小さな違和感でも追求すべきだと、僕は思っています!」

 

「おお、実は僕っ子キャラなんですね!これは素晴らしい!さて、番組では"美少女探偵の素顔"と題しまして直斗きゅん自身の秘密をどんどん掘り下げていきたいと思います!こちらの"美少女探偵"が今まで解決してきた事件は何と二十四件。そのうち十六件が迷宮入りの難事件で・・・」

 

"逆さ磔・連続殺人事件"そっちのけで"美少女探偵"特集が始まってしまった。

直斗が中学生まで男装していて、高校デビューで一気に女っぽくなったことまで探り出してきてた。

この番組、凄い脱線ぶりだな・・・。

 

しかしそうか。

直斗くん、そうきましたか。

 

自分の女体を囮にするなんて。

それだけ彼女のこの事件に掛ける想いは重いということだろう。

意外だったのは直斗に自分が美少女であるという自覚が出てきたってところだ。

順調に色気付いており大変微笑ましい。

 

少し気になって"@チャンネル"を見てみる。

案の定というか直斗スレが乱立していた。

一部では"久慈川りせ"休養を受けて今や誰もが認めるトップアイドルとなりつつある"真下かなみ"越えを声高に宣言する書き込みも有り。

プチ祭り状態だ。

 

まあ、あれだけ白くてほっそりしていて巨乳で美少女でハスキーボイスだもの。

皆が放っておくわけもなく。

一夜にして国民的美少女が誕生してしまったな。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月13日TEU 晴 16:00>

 

授業が終わって下校時間。

校門に向かう途中、千枝が昨日のTVの感想を投げかけてくる。

 

「なーんか凄いTV映り良かったよねー。直斗くん」

 

「お手柄美少女探偵だっけ・・・。今頃芸能プロダクションで争奪戦始まってるんじゃないかなー」

 

芸能欄が直斗一色になってしまい、りせも複雑なようだ。

休止中とはいえトップアイドルとしての挟持が刺激されてしまったか。

 

「あ、昨日のテレビのこと?直斗くん、すっごい可愛かったね」

 

基本的に世事に疎いはずの雪子も話題に食いついてきた。

 

「うん、確かに可愛かった。カメラ映りもバッチリだよね。でも彼女さ、TVとかに出たがるタイプじゃないと思ってたんだー」

 

千枝も直斗のキュートさに同意はするが、千枝の言いたいことはそこじゃないらしい。

つまり何のために直斗がTVに出たのか、千枝はまだ理解出来てないのだろう。

 

おっ噂をすれば。

 

「もちろんです!むしろあの番組に出たことをものすごく後悔してます・・・」

 

校門で待ち受けていた直斗。

顔を赤らめながら声を掛けてきた。

 

先週の修学旅行まではところかまわず男子生徒に言い寄られていたのだが、TVに出て箔がついたからだろう。

今日はナンパしてくる男子は皆無な様子。

多くのギャラリーがただ遠巻きにして彼女の動向を見守っている。

 

「あの皆さん、ちょっといいですか?」

 

直斗から話があるようだ。

ここでは衆目を集め過ぎる。

場所を変えることにした。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月13日TEU 晴 16:30>

 

八十稲羽商店街のおふくろの味、総菜大学。

 

店の前のイートコーナーに全員着席。

移動先をここにしたのは千枝のチョイスだった。

 

「がぶっ、うーん、柔らかジューシー!」

 

ビフテキ串にホクホク顔で齧り付く千枝。

ここのビフテキ串、筋張っていて硬い印象しか無いんだけどな。

 

じゃあ俺は・・・。

特製コロッケはまた売り切れか。

仕方ない。

ビフテキコロッケにしよう。

 

「はい毎度!」

 

おばちゃんからビフテキコロッケを受け取る。

アツアツだ。

 

「あのっ。現時点での僕の考えを皆さんに聞いて貰おうと思って」

 

コロッケにかぶりつく。

 

「昨日のTV。違和感があるって上手い言い回しだったな。はふはふ」

 

うん、ビフテキコロッケ普通に美味い。

ただやっぱり特製コロッケも一度は食べてみたいぞ。

今度雨の日にでも買いにくるか。

 

「ありがとうございます。まず被害者の共通点ですが、必ず誘拐されてること。狙われるのはメディアにある程度はっきり取り上げられて急に知名度を得た地元の人。そしてかなり容姿の整っている妙齢の女性。この条件に当てはまる方が皆さんの中にいますよね」

 

雪子とりせに視線を走らせる直斗。

 

「一件目と二件目の間にはブランクがありました。でも先ほどの条件に当てはまる人の失踪は続いていた。小西早紀さん、天城雪子さん、久慈川りせさん。三人ともTVで取り上げられた直後に実は失踪してる。しかし何らかの理由で死を免れた。・・・その理由は一切不明ですが」

 

その理由は今のところ俺たち四人しか知らない。

謎を解くための鍵の部分の情報が何も無く、もどかしい思いをしているのだろう。

直斗がふぅーっと大きくため息をついて話題を変えてきた。

 

「先輩の言うとおり二件目は模倣犯・久保美津雄の犯行と考えるのが自然でしょう。諸岡さんはメディアにも出ず、失踪しておらず、美しい女性ではない。そして遺体の状況も食い違う。山野アナは今も詳しい死因は不明ですが、諸岡さんの場合は頭部強打が直接の死因です」

 

そこで言葉を切った直斗は、重大なことを打ち明けるようにまっすぐこちらを見つめてくる。

 

おっといかん。

ひょいっ、もぐもぐ、ごっくん。

ビフテキコロッケを食べ切る。

 

「ご、ごほん。では、第一の殺人の犯人、そして小西早紀さんたちを誘拐したのは誰なのか。正直にお話します。実はずっとあなたのことを疑っていました。鳴上悠先輩」

 

へー。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月13日TEU 晴 16:45>

 

おや?

視線をいっぱい感じる。

 

「おいおいあれ噂の美少女探偵じゃね?」

「絶対そうだって」

「すっげー可愛いな」

 

商店街の一般客らが脚を止めてこちらを伺っていた。

さらに八十神高校生もたくさんたむろってきている。

 

「やっぱり千枝先輩、ここダメだって。こんな往来のど真ん中じゃ人集まってくるの当然でしょー」

 

「もともとここって八十神高生の下校時の溜まり場だしね」

 

周りを気にせずビフテキ串を完食間際の千枝に対して、りせと雪子が呆れた声を上げている。

 

「千枝、満足したか?場所変えていいか?」

 

「もぐもぐ、ごっくん。うん、いいよー」

 

ビフテキ串を食い切って満足そうにしてる千枝は能天気に答えた。

肉が絡むと途端に千枝はボケ役に回るなー。

 

「・・・河川敷の東屋あたりにしましょう」

 

なかなかシリアスな雰囲気になりきれず、直斗が疲れた声で提案してきた。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月13日TEU 晴 17:00>

 

夕暮れの河川敷。

ここなら誰もいない。

 

先ほどの続きを再開しよう。

まずは千枝が軽い口調で口火を切った。

 

「んで、どうして直斗くんは悠が犯人って疑ってたわけ?」

 

「小西早紀さん以降、三件全ての失踪に先輩が関わっているように見えたからです。失踪した翌日、被害者の傍らには必ず先輩の姿があった」

 

そう言えば小西先輩のときも一瞬だけ側に居たな。

確かにそうだ。

 

興味津々な様子でりせが尋ねる。

 

「じゃあ聞くけど。何のために悠先輩は私たちを攫ったの?」

 

「あの、えと。コホン。先輩は随分女好きなようですので、攫った女性をて、手込めにしようとしたんじゃないかなって」

 

この直斗の反応。

俺たちの爛れた肉体関係もしっかり把握済みと見える。

しかし手込めとは随分古風な言い回しだな。

 

「えー、それ変じゃん。ならとっくに雪子先輩や私が警察に突き出してるよ」

 

りせはさらに不思議そうだ。

 

「それはそうなんですが。先輩は女性を虜にする技にかなり精通してそうなので・・・。お二人とも取り込まれてしまった可能性が高いと判断してました。その、実際に凄い指使いでしたし」

 

エスカペイド地下の一件を思い出したらしい。

直斗は凄く恥ずかしそうにしている。

そんな直斗にフムフムとりせが一定の理解を示す。

 

「そっかー、確かに悠先輩ってテクニシャンだもんねー」

 

「つまり山野アナは悠のテクに屈しなかったから殺しちゃったってことね。じゃあ早紀先輩は?今は花村の彼女だけど」

 

千枝が質問を引き継いぐ。

 

「あ、あの人は。ア、アブノーマル過ぎて先輩の好みに合わず、手を出す前に解放したのではないかと・・・」

 

ほう、小西先輩のマゾ趣味までリサーチ済みとな?

このうぶな直斗があのバカップルの性生活を覗き見てどんな印象を抱いたか。

すっごく気ぃーにーなーるーぅー。

 

「調べたのか?陽介のことも」

 

「は、はい」

 

「参考までに教えてくれ。小西先輩と陽介はいったいどんなプレイをしてたんだ?」

 

「それは・・・(赤)」

 

ふむふむ。

ほーほー。

なんとそんなことまでぇ!?

 

お、恐ろしい。

あの変態夫婦はいったいどこまで進化を遂げるのか。

負けるぜっ相棒!

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月13日TEU 晴 17:15>

 

「その話には全く興味ないので置いておいて」

 

花村の話になると途端にクールになる雪子。

おかしな方向に傾きつつあった話の流れを強引に立て直してくる。

 

「根本的におかしくない?ご主人様が転校してきたの、山野アナの事件が起こった当日よ?山野アナとだって全く面識無いはずだし」

 

「性犯罪となれば動機はとてもシンプルです。ニュースで見た若くて美しい女性を手に入れたかったから。個人的なつながりを追う意味自体無くなります。それに先輩が東京から稲羽市に越してきたのは、山野アナの死体が発見された日の前日の午後。山野アナが失踪したのはその日の夕方以降と目されていますから、犯行に及ぶ時間は十分にあった・・・と、今までは考えてました」

 

そこで直斗が持っていた鞄から一枚の書類を取り出してくる。

 

「でもつい先日入手したこのデータによって、僕はその推測を全て破棄せざるをえなくなりました。警察が使用している道路交通監視システムに記録されていた、4月11日当日の先輩のバイクについての移動記録です」

 

まるっきり違法行為だな。

一介の探偵に警察の内部データを引き渡す警官も警官だが。

・・・ああ、そういうことか。

 

「エスカペイドの会員制違法風俗店の情報とトレード、か」

 

「ご明察です」

 

神妙な顔で頷く直斗。

ぐぬぬ。

 

「おかしいではないか!あの潜入捜査には俺も多大な貢献をしている!直斗だけが利益を得るなど許されるはずがない!」

 

いきり立って声高に権利を主張してみる。

 

「あれ、おかしいな。ちゃんと報酬は渡したはずですよ」

 

何ぃ?

 

「ぼ、僕のファーストキスです。唇の半分だけでしたけど。乙女の唇です。それだけの価値はあるでしょう。ポッ(赤)」

 

ぐぬぬ。

実際はそれ以上のことをしてしまっているから何も言えぬ。

ヤブヘビになってセクハラで訴えられかねないしな!

 

「さて、このデータを見る限りですが、天城さんの言う通り、先輩には山野アナを誘拐する時間的余裕はいっさい無かったことになります」

 

「つまり、直斗くんはもう悠を犯人だとは思ってないわけね」

 

千枝が結論を口にする。

 

「はい。今の僕の考えは全く逆です」

 

「逆?」

 

「先輩は犯人ではなく、恐らく犯人を追いつめる何らかの手段を持った、救済者側の人間なのでしょう」

 

ほほう。

 

「小西さんの失踪時はまだ稲羽市に来て日が浅かった。そのため慣れない地理に戸惑って救出も中途半端になってしまった」

 

確かにあのときはまだシャドウにもTVの中の世界にも慣れてなかったな。

 

「しかし天城さんと久慈川さんの失踪時には小西さんのときの経験を生かせた。警察にも気づかれないくらいの短期間で、恐らくその日のうちにお二人を救出することに成功している。そしてお二人は命の恩人である先輩の側に身を置くことを自ら選択された。そう考えれば全ての辻褄が合います」

 

鋭い。

さすが美少女探偵。

花丸をあげよう。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月13日TEU 晴 17:30>

 

「疑いが晴れて嬉しいよ。それで真犯人を誘き寄せるためにTVに出演したのか」

 

「ええ。警察は久保美津雄に全ての咎を被せて事件を終息させようと必死です。たとえ久保自身が望んだ結果だとしても、それは正しい姿ではない。この上は真犯人に関する確証を掴む行動が必要です」

 

ここまで親しくなった仲だ。

直斗が素直に尋ねてくれば、TVの中の世界のことを教えるのもやぶさかではなかった。

 

「うーむ」

 

しかし、ふと思いとどまる。

彼女に真実を伝えるには、やはりTVの中の霧の世界に彼女を連れて行かなければならない。

それは彼女に己のシャドウと向き合わせることを意味していた。

つまり真犯人のしていることと全く同じになる。

 

同じく直斗がシャドウと向き合うことになるのなら、真犯人を誘き寄せて情報を得てからの方がマシ。

ここはこちらも心を鬼にしてこの機会を利用させて貰おう。

 

「すまない直斗。故あってどうやって失踪者を助け出しているかはまだ教えられない」

 

「えっ?」

 

俺が推理を肯定する態度をとったことにハッと驚いた表情を見せる直斗。

構わず言葉を続ける。

 

「だが約束する。もし直斗が連れ去られても、雪子やりせのときと同じく必ず助けるから。【俺を信じて待て】」

 

「・・・」

 

見つめ合う直斗と俺。

俺が述べた約束が真剣なものであることを見て取ったようだ。

 

「その言葉を頂けただけでも、今日お会いした甲斐がありました。嬉しいです。少しだけ不安が減った気がします」

 

とても奇麗な笑顔でお辞儀して礼を述べてくる。

 

抱いていた不安が大分和らいだようだ。

立ち去る間際に直斗が冗談を言い残していった。

 

「でもわかりませんよ。ターゲットは"美しい女性"ですから。僕なんかが狙われるとは思えません」

 

直斗ほどの美少女に真犯人が食指を動かさないなら、そもそも事件なんて発生していないだろう。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月14日WED 雨 24:00>

 

マヨナカテレビに影が映る。

男装時の直斗のようだ。

 

しかし、それだけではなかった。

 

ん?

これ・・・。

影がもう一つ?

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月15日THU 雨 15:30>

 

雨の放課後。

 

教室に集まってマヨナカテレビについて語り合う。

直斗は学校に来ていないようだった。

 

「昨日のマヨナカテレビ、あれやっぱり直斗くんだよね」

 

千枝が確認を取ってくる。

 

「巽屋で初めて会ったときの直斗くんに似ている感じがした」

 

雪子もやはりそう感じたらしい。

 

「やっと真犯人が動きだしたってことかー」

 

ため息をつくりせ。

それよりもだ。

 

「みんな、昨日のマヨナカテレビ、影がもう一つ見えなかったか?」

 

「え、そんなのいた?」

 

千枝には見えなかったらしい。

 

「ど、どうだったかな。かなり画像が乱れていたから」

 

雪子も俺の質問に困惑している。

 

「最後の方、確かに影が二重になってたけど。それのこと?」

 

お、りせにも見えたのか。

それそれ。

 

「あー、はいはい。それなら私にも見えたよ。ただのノイズじゃない?」

 

「・・・もしかして二人いるって言いたいの?直斗くん以外にもう一人」

 

千枝とは対照的に雪子が不安げにしてる。

 

「マヨナカテレビのことはまだよくわかっていなんだ」

 

三人に語りかける。

 

「今までは単独だったけど今度は二人同時ってこともありえるかもしれない。いろいろなケースを想定しておかないと。他に気になったことはないか?」

 

「・・・ねぇ、マヨナカテレビのことと関係あるのかわからないんだけど、なんだか最近変じゃない?街とか学校の雰囲気」

 

俺の言葉に触発されたのか、雪子が疑問を提示してきた。

 

「みんな妙に浮かれているっていうか。他人の話ばっかりしていて」

 

「別に今に始まったことじゃないけど、確かにそう。最近は特にひどいよねー」

 

千枝も雪子の言葉に同意してきた。

 

「ヤバい事件が解決したんで不安が無くなった反動かと思ってたけど・・・、なんかそういう感じじゃないよね」

 

「うん。いくらなんでもちょっと変っていうか。なんだか街全体が怖がってるみたい」

 

稲羽市自体がざわついているのか。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月15日THU 雨 24:00>

 

さてそろそろだ。

台所から居間に移動する。

 

<ゴロゴロドドーン>

 

雷が落ちた。

 

外は激しい雨だ。

放課後の雨がまだ続いている。

 

今日は早めにみんなを帰らせて正解だったな。

 

<キューーーン>

 

時計の針が零時を回ると同時にマヨナカテレビが始まった。

 

<皆さんようこそいらっしゃいました。探偵博士こと白鐘直斗です。性器の大実験TSプロジェクトへようこそ>

 

袖が長過ぎる白衣を着た男装直斗のシャドウが現れる。

 

<僕がこれから行うのは性転換手術。金玉を生やす素晴らしき秘法!>

 

「性転換、だと?」

 

直斗が立っている場所は特撮モノによくある改造手術を行うオペルームのような部屋だった。

そこで今から性転換をしようってのか!?

その素晴らしい女の躰のどこが不満だって言うんだ、直斗!

 

<皆さんこそが生き証人です。見守って下さい。胸ばかりデカイ馬鹿な尻軽娘の死と、一人の男の誕生の瞬間を!>

 

直斗が手を広げると同時に無数のドリルやノコギリなどが画面外から伸びてきた。

 

<僕という人間が今日を境に全く別の人生を歩み始めるのです。この素晴らしき記念の日を皆さんと祝わせて頂きたい!さぁチャンネルはそのまま!>

 

「くそっ!」

 

TSモノは男が女になるから流行ってるんじゃないかっ。

その反対の需要なんて断じて無いっ。

あってもフタナリくらいのものだ!

 

直斗を止めるために慌ててテレビの中に入ろうとする。

だが、マヨナカテレビにはまだ続きがあった。

 

<待て!>

 

「な、何ぃ?」

 

もう一体だと?

誰のシャドウなんだ・・・。

声は・・・、直斗?

 

<ぼ、僕の名前は愛と推理の美少女探偵セーラーナオト!お前の勝手には決してさせないっ、ぞっ!>

 

「おお!?」

 

現れたのは最近のイメージチェンジが完了した直斗の容貌をベースにしたシャドウ。

実物と異なるのは、腰までありそうなさらさらな黒髪をキュッとポニテに縛ってること。

そして衣装がセーラー服をモチーフにした変身スーツであることの二点。

 

己の過激な格好に慣れていないのだろうか。

かなり照れが入ってる。

 

スタイル抜群の美人で凛々しい女の子が、恥ずかしそうにしながら美少女戦士な超ミニのセーラー服を着て美脚を晒してる。

結構クルものがあった。

おそらくどこかの女優のように大人になったら黒歴史として封印されるだろう。

 

<かっ、覚悟しろ!探偵博士!>

 

<僕の邪魔をするなーーー!>

 

画面の中で探偵博士と美少女探偵が激しく争っている。

 

これどっちも直斗だよな。

どうなってるんだ?

 

そうか。

昨日の二重の影ってこれを意味してたのか。

 

あっ。

 

<キューーーーン、プツン>

 

戦いの行方を見守っていたらマヨナカテレビが終わってしまった。

しまった!

入るタイミングを逸してしまった。

 

くっ。

慌ててテレビを潜る。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月15日THU 雨 24:03>

 

特撮の秘密基地っぽいとこの前に出た。

あたりは密林だ。

ジャブローだろうか?

 

シャッターを壊して中に入る。

そういえば特撮の撮影現場ってしんどいらしいよな。

埃っぽくて照明で灼熱地獄だし。

ここは霧の影響かひんやりしてる。

 

この世界での建物や出来事は捕われた者の抑圧された心から作り出される。

この秘密基地は、いかにも昔の少年探偵やヒーローが活躍しそうな場所だ。

これの出元が直斗の心なんだとすると結構可愛いとこあるんだな。

美少女戦隊モノもこういうバトルステージは最終戦でありそうだし。

 

<ウィーンウィーンウィーン。警告。侵入者有り。侵入者有り>

 

それっぽいな。

ガードマン風のシャドウが天井から床から多数出てきた。

切り倒して前へ進む。

 

<さぁどうした。セーラーナオト。僕を止めるんじゃなかったのかい?>

 

<くぅう。絶対に、止めて、みせるっ>

 

通路の壁に並ぶディスプレイには探偵博士とセーラーナオトが戦うシーンが映されている。

探偵博士が優勢のようだ。

セーラーナオトはもう己の格好を照れている場合ではないようで必死に反撃している。

 

どっちを味方するかと問われれば当然セーラー戦士の方だ。

ヒロピンものは嫌いじゃないけどな。

 

急がないと。

 

 

 

<YU SIDE 2011年9月15日THU 雨 24:15>

 

「ていっ」

 

<どがーん>

 

中がボスの部屋らしき扉をぶち割る。

どうやら当りだな。

 

特撮の司令室のような巨大な空間。

その奥で探偵博士とセーラナオトが戦っていた。

決着する瞬間だったようだ。

 

『ほらほらほらぁー!』

 

<バキッ、カラン、カラン、カラン>

 

『ぐうっ』

 

探偵博士のサーベルがセーラーナオトのレイピアをたたき落とす。

 

『ははっこれで終わりだっ!』

 

<ドガっ>

 

『うわー』

 

さらに探偵博士の蹴りがセーラーナオトを壁まで吹っ飛ばした。

 

ボロボロとなったセーラナオト。

かなりそそられる光景だ。

 

あ、ちゃんと見せパン履いてる。

 

『さて邪魔者も静かになったことだし、そろそろ始めるとしましょうか』

 

探偵博士がサーベルを宙に翳す。

 

<ウィーーーーン>

 

部屋の中央。

丁度シャドウたちと俺の間の空間の床が割れ、改造手術台が競り上がってきた。

誰かが乗せられている。

 

普通の手術台ではなかった。

出産用の分娩台のように開脚アームがあり、脚が開かれたまま拘束されている。

 

『さぁお待ちかねの性転換手術の時間だ!』

 

<パッ>

 

手術灯が着いた。

手術台の上に拘束されているのは直斗本人。

 

オペ時の貫頭衣っぽい服を着せられている。

おそらく下は何も着けてないのだろう。

 

胸を絞り出すように締められており、乳首の形が丸わかりだ。

さらに白い素足が広げられて開脚アームに固定されており、短い裾が捲れて中が見えそうになっている。

 

「ふががっ!ふががっ!」

 

ポールギャグを噛まされており何を言っているのかわからない。

恐怖に目を見開き、イヤイヤと首を振っている。

 

『さぁ、レッツ男の子!』

 

そんなことは俺が絶対に許さない!

 

 

 

<SYSOP 2011年9月15日THU 雨 --:-->

 

鳴上悠の「神言」の積み重ねの効果により、白鐘直斗のシャドウは二つに分裂しています。

 

白鐘直斗が持っていた男の子になりたいという欲望は、鳴上悠の「神言」により強烈に抑圧され、特撮モノへの白鐘直斗の憧憬を基にして探偵博士の白衣姿に固定されています。

白鐘直斗が持っていた女の子らしく素直に生きたいという願望は、鳴上悠の「神言」によって強烈に増幅され、女の子向け特撮モノの定番のセーラー戦士姿に固定されています。

 

このままでは精神が完全に分裂してしまい、大変危険な状況です。

早急に片方を抹消する必要があります。




セーラーナオトは勿論美少女戦士たちがモチーフになってます。
ヒロピン物、結構好きなのでMAIKAとかこれからも頑張って欲しい。
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